JP2014222102A - パーキング機構 - Google Patents

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勇太 高橋
Yuta Takahashi
勇太 高橋
雅文 西ケ谷
Masafumi Nishigaya
雅文 西ケ谷
翔平 永田
Shohei Nagata
翔平 永田
鈴木 晴久
Haruhisa Suzuki
晴久 鈴木
竜也 大坪
Tatsuya Otsubo
竜也 大坪
淳二 松下
Junji Matsushita
淳二 松下
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【課題】パーキング機構1の使用初期段階においてパーキング操作荷重が増大するという不具合の発生を回避する。【解決手段】パーキングポール3は、長手方向途中に動力伝達軸21に設けられるパーキングギヤ2の隣り合う歯の間に噛合可能とされる突起3aを有する。カム7は、直線状に変位させられることによりパーキングポール3を所定角度回転させるために設けられる。カム7は、変位方向の先端側から連なる第1傾斜面(第1円錐部7bの外周面)と第2傾斜面(第2円錐部7cの外周面)とを有する。パーキングポール3は、非パーキング状態において前記第1傾斜面が当接される第1カム受け面3bと、パーキング状態において前記第2傾斜面が当接される第2カム受け面3cとを有する。第2カム受け面3cには面圧低減部(3d)が設けられている。【選択図】図8

Description

本発明は、車両の駆動輪への動力伝達軸を回転不可能にロックするパーキング状態と、前記動力伝達軸を回転可能にアンロックする非パーキング状態とに切り替えるためのパーキング機構に関する。
例えば特許文献1には自動変速機のパーキングロック装置が記載されている。このパーキングロック装置は、パーキングロッドのパーキングカムでパーキングロックポールをパーキングホイール側に近づけることによりパーキングロックポールのロック部片をパーキングホイールのロック窪所に係合させると、パーキングホイールが回転不可能になる。一方、パーキングカムを後退させることによりパーキングロックポールをパーキングホイール側へ近づける力を解除すると、リターンスプリングによりパーキングロックポールがパーキングホイールから離されるので、パーキングロックポールのロック部片がパーキングホイールのロック窪所から抜け出ることになって、パーキングホイールが回転可能になる。
特許文献1では、パーキングカムに第1、第2カム面が設けられ、パーキングロックポールに第1、第2カム面が当接する第1、第2当接面が設けられている。前記第1カム面は傾斜が緩やかなテーパ状に、また、前記第2カム面は傾斜の急なテーパ状にそれぞれ形成されている。前記第1当接面は前記第2カム面の傾斜角度と略同一角度に、また、前記第2当接面は前記第1カム面の傾斜角度と略同一角度にそれぞれ設定されている。
特開平3−86660号公報
上記特許文献1では、パーキングロックポールにおいて傾斜の急なテーパ状の第1当接面と傾斜が緩やかなテーパ状の第2当接面との連接部分(境界部分)が角張ったエッジになっているために、パーキングロック要求によりパーキングカムをパーキングロックポール側へ移動させたときに当該パーキングカムの第1カム面に前記エッジが当接することになる。しかも、その状態を保持している間(パーキング状態の継続中)は、パーキングロックポールからパーキングカムへの押し付け荷重が継続的に作用するので、パーキングカムの第1カム面に対する前記エッジの当接部位における接触面圧が高くなる。これらのことから、パーキングロック装置の使用初期段階において、パーキングカムの第1カム面が荒れやすくなるために、パーキングロックポールに対するパーキングカムの摺動抵抗が増大するなど、パーキング操作荷重が増大することが懸念される。
このような事情に鑑み、本発明は、パーキング機構の使用初期段階においてパーキング操作荷重が増大するという不具合の発生を回避することを目的としている。
本発明は、車両の駆動輪への動力伝達軸を回転不可能にロックするパーキング状態と、前記動力伝達軸を回転可能にアンロックする非パーキング状態とに切り替えるためのパーキング機構であって、長手方向一端側を中心として回転可能とされかつ長手方向途中に前記動力伝達軸に設けられるパーキングギヤの隣り合う歯の間に噛合可能とされる突起を有するパーキングポールと、直線状に変位させられることにより前記パーキングポールを所定角度回転させるためのカムとを備え、前記カムは、変位方向の先端側から連なる第1傾斜面と第2傾斜面とを有し、前記パーキングポールは、非パーキング状態において前記カムの第1傾斜面が当接される第1カム受け面と、パーキング状態において前記カムの第2傾斜面が当接される第2カム受け面とを有し、この第2カム受け面には面圧低減部が設けられている、ことを特徴としている。
この構成では、パーキング状態にする場合、前記カムを直線状に変位させることにより当該カムの第1傾斜面を前記パーキングポールの第1カム受け面に当接させてから、このカムの第1傾斜面を前記第1カム受け面を越えて前記第2カム受け面に当接させるようにする。これにより、前記パーキングポールが押し上げられて当該パーキングポールの突起が前記パーキングギヤの隣り合う歯の間に噛合されると、前記パーキングギヤおよび前記動力伝達軸が回転不可能にロックされる状態(パーキング状態)になる。
このように動作するパーキング機構の使用初期段階において、前記パーキング状態にする場合には、前記カムが前記パーキングポールの第1カム受け面から前記面圧低減部を経て前記第2カム受け面へ向けて摺動するようになるが、この摺動過程において前記パーキングポールに対する前記カムの接触面圧が、前記面圧低減部を設けていない場合に比べると低減されることになる。
また、前記パーキング状態を保持している間(パーキング状態の継続中)は、前記パーキングポールから前記カムへの押し付け荷重が継続的に作用しているが、その状態においても前記面圧低減部の存在により前記パーキングポールに対する前記カムの接触面圧が前記面圧低減部を設けていない場合に比べると可及的に低減されることになる。
これらの相乗により、パーキング機構の使用初期段階において前記摺動過程ならびに前記パーキング状態の継続中に前記カムが受けるダメージが軽減されることになって面荒れしにくくなるので、前記パーキングポールに対する前記カムの摺動抵抗が増大せずに済むようになる。したがって、パーキング機構の使用初期段階においてパーキング操作荷重が増大するという不具合の発生を回避できるようになる。
好ましくは、前記面圧低減部については、前記第1カム受け面の傾斜角よりも小さい傾斜角の第3カム受け面とすることができる。
このように、面圧低減部を特定している場合には、パーキングポールにおいて第1カム受け面と第3カム受け面とで挟む角度、ならびに第2カム受け面と第3カム受け面とで挟む角度が、第3カム受け面を設けていない場合において第1カム受け面と第2カム受け面とで挟む角度に比べてそれぞれ大きくなる。これにより、前記摺動過程ならびに前記パーキング状態の継続中において、前記パーキングポールに対する前記カムの接触面圧が、前記第3カム受け面を設けていない場合に比べると可及的に低減されることになる。そのため、前記摺動過程において前記カムが受けるダメージが軽減されることになって面荒れしにくくなる。
好ましくは、前記カムは、外周面が傾斜角の大小異なる第1、第2円錐部を有する形状とされ、前記傾斜角の大きい第1円錐部の外周面が前記第1傾斜面とされ、前記傾斜角の小さい第2円錐部の外周面が前記第2傾斜面とされ、前記第1カム受け面は、凹状の部分円弧面とされかつ前記第2カム受け面へ向けて徐々に幅狭とされ、前記第3カム受け面は、前記第1カム受け面の中心軸線に対してオフセットして設けられる。
このように、面圧低減部を第1カム受け面に対してオフセットして設けている場合には、前記摺動過程において、前記カムが前記パーキングロッドを中心とする回転モーメントを受けることにより、当該カムが円周方向一方に回転させられるようになる。これはつまり、前記カムが前記摺動動作を行う毎に当該カムが回転させられることになるので、前記摺動動作を行う毎に前記カムの第1、第2傾斜面において前記パーキングポールの第1、第2カム受け面と当接する位置が逐一変わることになると言える。これにより、前記カムの第1、第2傾斜面の円周方向の特定領域が経時的に摩耗する現象(偏摩耗)が回避されるようになる。言い換えると、前記カムの第1、第2傾斜面の円周方向全域が均等に摩耗するようになるから、前記カムの寿命向上に貢献できるようになる。
好ましくは、前記面圧低減部は、前記第1カム受け面と前記第2カム受け面との連接部分の長手方向全域に設けられる丸い面取りとされる。
好ましくは、前記カムは、外周面が傾斜角の大小異なる第1、第2円錐部を有する形状とされ、前記傾斜角の大きい第1円錐部の外周面が前記第1傾斜面とされ、前記傾斜角の小さい第2円錐部の外周面が前記第2傾斜面とされ、前記第1カム受け面は、凹状の部分円弧面とされかつ前記第2カム受け面へ向けて徐々に幅狭とされ、前記第2カム受け面は、前記カムの中心軸線に沿うような平坦面とされ、前記面圧低減部は、前記カムの第2円錐部の外周面が2ヶ所で接触する逆さV字形の窪み面とされる。
本発明に係るパーキング機構は、前記構成に加えて、前記パーキングポールを前記パーキングギヤから遠ざける方向に付勢するリバーススプリングと、前記カムが取り付けられるロッドと、このロッドを軸方向に変位させるものでかつパーキング用の谷および非パーキング用の谷が並んで設けられているディテントプレートと、自由端側に前記ディテントプレートの前記いずれかの谷に係合させられるローラが設けられかつ前記ディテントプレートの回転停止時に当該ディテントプレートを停止予定位置に保持するためのディテントスプリングと、前記ディテントプレートを回転させるための動力を発生するアクチュエータとをさらに含む、ことを特徴としている。ここでは、パーキングポールの駆動系の構成を特定している。
本発明に係るパーキング機構は、使用初期段階においてカムが受けるダメージが軽減されることになって面荒れしにくくなる。したがって、本発明によれば、パーキング機構の使用初期段階においてパーキング操作荷重が増大するという不具合の発生を回避できるようになるなど、パーキング機構の初期動作の信頼性向上に貢献できる。
本発明に係るパーキング機構の一実施形態を示す斜視図であり、アンロック(非パーキング)状態を示している。 図1を白抜き矢印方向から見た図である。 図1のパーキング機構においてカムとパーキングポールとカム受け部材とを示す図であり、ロック(パーキング)状態を示している。 図1のパーキング機構においてアンロック(非パーキング)状態を示す側面図である。 図4のアンロック状態からロック(パーキング)状態にした場合を示す側面図である。 図1のパーキングポールの先端側のカム受け部分を示す斜視図である。 図1のパーキングポールの先端側のカム受け部分を上から見た図である。 図1のパーキング機構のアンロック状態においてパーキングポールに対するカムの当接位置を拡大して示す断面図である。 図1のパーキング機構をロック状態にするときのパーキングポールに対するカムの当接位置の変化に伴うカムの挙動を上から見た図である。 図9を白抜き矢印方向から見た図である。 図8に示す状態においてカムの第1、第2円錐部の連接部分の形状を変更する形態を説明するための図である。 本発明に係るパーキング機構の他の実施形態で、パーキングポールの先端側のカム受け部分を示す斜視図である。 図12のパーキングポールとカムとの当接状態を側方から見た図である。 図13の(14)−(14)線断面の矢視図である。 本発明に係るパーキング機構のさらに他の実施形態で、パーキングポールの先端側のカム受け部分を示す斜視図である。 図15のパーキングポールとカムとの当接状態を側方から見た図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図11に、本発明の一実施形態を示している。図中、1はパーキング機構の全体を示している。
パーキング機構1は、例えば車両の駆動輪への動力伝達軸21を回転不可能にロックするパーキング(P)状態と、動力伝達軸21を回転可能にアンロックする非パーキング(NP)状態とに切り替え可能とする構成になっている。なお、動力伝達軸21としては、例えば図示していないが、自動変速機内の各種回転軸とすることができる。
具体的に、パーキング機構1は、パーキングギヤ2、パーキングポール3、リバーススプリング4(図2にのみ記載)、パーキングロッド6、カム7、アクチュエータ12、ディテントプレート13などを備えている。
パーキングギヤ2は、動力伝達軸21の外周に回転一体となるように設けられている。
パーキングポール3は、例えば金属製の帯状板とされ、パーキングギヤ2の下側の近傍に位置するように設置されている。このパーキングポール3の長手方向途中の上辺には、パーキングギヤ2の歯底(円周方向で隣り合う歯の間)に噛合可能とされる歯状の突起3aが一体に設けられている。
このパーキングポール3は、その長手方向一端側が支軸5を介してパーキング機構1の設置対象となる機器のケース22(図3にのみ記載)に支持されており、この支軸5を中心として図2の矢印で示すように正逆方向に回転可能になっている。
リバーススプリング4は、パーキングポール3をパーキングギヤ2から引き離す方向に常時付勢するために設けられている。
パーキングロッド6は、丸棒形状とされ、その長手方向一端側がディテントプレート13に連結されている。この連結の形態としては、詳細に図示していないが、例えばディテントプレート13の所定位置に設けられる貫通孔に、パーキングロッド6の屈曲端を挿入してから、この屈曲端に図示省略のスナップリングや係止ピン等でもって抜け止め固定するようになっている。
このパーキングロッド6は、ディテントプレート13の回転(または傾き)動作に追従してパーキングギヤ2の回転軸心に対して略平行に直線状に変位させられるようになっている。
カム7は、パーキングロッド6に外装されていて、このパーキングロッド6の直線変位に追従してパーキングポール3を支軸5を中心として所定角度回転させるものである。
具体的に、パーキングロッド6に対するカム7の取り付け構造を説明する。カム7の中心には貫通する孔が設けられており、パーキングロッド6の軸方向他端側(自由端側)の外周に軸方向変位可能に外装されている。
カム7は、パーキングロッド6の自由端側に例えば溶接などにより一体に固定されているストッパリング8によってパーキングロッド6の自由端側からの抜け出しが防止されるようになっている。また、パーキングロッド6の長手方向途中において180度対向する2ヶ所には、ばね受け6a,6aが設けられており、このばね受け6aとカム7との間にコイルスプリング9が圧縮状態で介装されている。ばね受け6aは、パーキングロッド6の外周面の所定領域を加締めて塑性変形させることにより得られる凸部とされている。但し、ばね受け6aは、図示していないが、適宜のリングをパーキングロッド6に接合したものとすることも可能である。
このように圧縮状態にされているコイルスプリング9の弾性復元力によってカム7がパーキングロッド6の自由端のストッパリング8へ向けて押されるように付勢されていて、このカム7の外周面がパーキングポール3の長手方向他端(自由端)側の下面に設けられている後述のカム受け部分に押し付けられるようになっている。
なお、カム7の下半分領域は、図3に示すように、カム受け部材10を介してケース22に支えられている。
このようにカム7をパーキングロッド6に軸方向変位可能に外装している理由を説明する。つまり、パーキング要求時にパーキングギヤ2の歯底(隣り合う歯の間)にパーキングポール3の突起3aを噛合させて正常にロックさせることができればよいが、動力伝達軸21の回転停止角度によっては、パーキングギヤ2の歯先にパーキングポール3の突起3aが当接して当該突起3aがパーキングギヤ2の歯底(隣り合う歯の間)に噛合しなくなって正常にロックできなくなることが起こり得る。
そのとき、仮に、パーキングロッド6にカム7を軸方向変位不可能に固定していたとすると、パーキングロッド6をロック方向に押すことができなくなって、アクチュエータ12に逆回転トルクが入力することになり、好ましくない。
これに対し、前記しているようにカム7をパーキングロッド6の外周に軸方向変位可能に外装している場合には、仮にパーキングギヤ2の歯先にパーキングポール3の突起3aが当接して当該突起3aがパーキングギヤ2の隣り合う歯の間に噛合しなくなったことが原因でカム7が不動になると、パーキングロッド6のみがロック方向に押されることになって、アクチュエータ12に前記逆回転トルクが入力されずに済むようになるのである。
次に、パーキングポール3を変位させるための駆動系11について説明する。
具体的に、駆動系11は、主として、アクチュエータ12、ディテントプレート13、ディテントスプリング14などを備えている。
アクチュエータ12は、詳細に図示していないが、モータで発生する回転動力を減速機構で減速して出力軸12aから出力するものである。このアクチュエータ12の出力軸12aがディテントプレート13の回転中心に一体回転可能に貫通固定されている。
このアクチュエータ12は、図示していないが、パーキングスイッチから出力されるパーキング要求信号または非パーキング要求信号を図示していない制御装置により認識し、この制御装置が認識した要求ポジション(PポジションまたはNPポジション)に対応して駆動する。
ディテントプレート13は、ほぼ扇形に形成されており、その所定領域には、パーキング用のP谷13aおよび非パーキング用のNP谷13bが設けられている。P谷13aおよびNP谷13bは、ディテントプレート13の回転方向(図4の太線矢印方向,図5の太線矢印方向)に沿って並んで配置されている。
ディテントスプリング14は、ディテントプレート13の姿勢を位置決め保持するために設けられており、板ばね等とされる。このディテントスプリング14の長手方向一端はケース22内の所定位置(図示省略)に固定されており、また、長手方向他端(自由端)には、ディテントプレート13のP谷13aおよびNP谷13bのいずれか一方に係合されるローラ14aが回転自在に取り付けられている。
ローラ14aは、非パーキング時にディテントプレート13のNP谷13bに係合され、また、パーキング時にディテントプレート13の回動に伴ってNP谷13bから抜け出てP谷13aに係合されることにより、ディテントプレート13の姿勢を位置決め保持する。
次に、図4および図5を参照して、パーキング機構1の基本的な動作を説明する。
まず、図4の非パーキング状態において、パーキングポジションが要求されると、アクチュエータ12でディテントプレート13を図4の太線矢印方向に所定角度回転させることによりパーキングロッド6をパーキングポール3に近づける方向に押す。これにより、パーキングロッド6に外装しているカム7がパーキングポール3とカム受け部材10との対向空間に押し込まれることになるので、いわゆる楔打ち込み作用でもってパーキングポール3が押し上げられる。これにより、パーキングポール3の突起3aがパーキングギヤ2の隣り合う歯の間に噛合されるので、パーキングギヤ2および動力伝達軸21が回転不可能にロックされる状態(図5に示すパーキング状態)になる。このとき、ディテントプレート13のP谷13aにディテントスプリング14のローラ14aが係合するので、ディテントプレート13の姿勢が保持される。
一方、図5のパーキング状態において、非パーキングポジションが要求されると、アクチュエータ12でディテントプレート13を図5の太線矢印方向に所定角度回転させることによりパーキングロッド6をパーキングポール3から遠ざける方向に引く。これにより、カム7外周面の小径部分がパーキングポール3に当接するようになってカム7によるパーキングポール3の押し上げ力が解除されるので、パーキングポール3がリバーススプリング4の弾性復元力によって下げられる。これにより、パーキングポール3の突起3aがパーキングギヤ2の隣り合う歯の間から抜け出るので、パーキングギヤ2および動力伝達軸21が回転可能にアンロックされる状態(図4に示す非パーキング状態)になる。このとき、ディテントプレート13のNP谷13bにローラ14aが係合するので、ディテントプレート13の姿勢が保持される。
この実施形態では、パーキング機構1の使用初期段階においてカム7がダメージを受けることを抑制または防止するために、パーキングポール3とカム7との摺動部分を工夫しているので、図6から図11を参照して詳細に説明する。
カム7は、図3および図8に示すように、その軸方向一方に向けて3段階に縮径する外形形状とされており、その軸方向先端側より順に、円筒部7aと、第1円錐部7bと、第2円錐部7cとを有している。第1円錐部7bの傾斜角を「α1」、第2円錐部7cの傾斜角を「α2」としたときに、α1>α2の関係にされている。
なお、前記傾斜角α1、α2は、カム7の中心軸線100(図3、図8参照)を基準とする傾斜角である。そして、第1円錐部7bの外周面が特許請求の範囲に記載している「第1傾斜面」に相当し、また、第2円錐部7cの外周面が特許請求の範囲に記載している「第2傾斜面」に相当している。
パーキングポール3は、第1カム受け面3bと、第2カム受け面3cとを有している。第1カム受け面3bは、非パーキング状態においてカム7の第1円錐部7bの外周面が当接されるようになっていて、凹状の部分円弧面とされかつ第2カム受け面3cへ向けて徐々に幅狭とされている。第2カム受け面3cは、パーキングポール3の平坦な下面とされていて、カム7の中心軸線100に沿うような平坦面とされている。
そして、図3および図8に示すように、第1カム受け面3bにおいて幅方向(パーキングポール3の長手方向)中心位置の傾斜角を「θ1」、第2カム受け面3cにおいて幅方向中心位置の傾斜角を「θ2」としたときに、θ1>θ2の関係にされている。但し、この実施形態では、第2カム受け面3cを平坦面として傾斜角θ2をゼロにしているので、図3および図8には「θ2」は記載されていない。
なお、前記傾斜角θ1、θ2は、カム7の中心軸線100(図3、図8参照)を基準とする傾斜角である。この実施形態では、第1カム受け面3bの傾斜角θ1が第1円錐部7bの傾斜角α1と同じにされている。
第1カム受け面3bと第2カム受け面3cとの連接部分(境界部分)の長手方向中間領域には、図6、図7に示すように、第3カム受け面3dが設けられている。
この第3カム受け面3dが特許請求の範囲の「面圧低減部」に相当している。この第3カム受け面3dは、凹状の部分円弧面とされ、かつ第2カム受け面3cへ向けて徐々に幅狭とされている。この第3カム受け面3dの幅方向(パーキングポール3の長手方向)中心位置の傾斜角を「θ3」とすると、θ1>θ3の関係にされている。
また、図8に示すように、パーキングポール3において第1カム受け面3bと第3カム受け面3dとで挟む角度β1、ならびに第2カム受け面3cと第3カム受け面3dとで挟む角度β2は、第3カム受け面3dを設けていない場合において第1カム受け面3bと第2カム受け面3cとで挟む角度β3に比べてそれぞれ大きくなる。
さらに、カム受け部材10は、カム7の形状に対応して、半円筒形に形成されているとともに、その凹状面には、カム7の第1円錐部7bに合致して当接する形状の第1カムガイド面10aと、カム7の第2円錐部7cが合致して当接する形状の第2カムガイド面10bとが設けられている。
そして、前記しているように、凹状の部分円弧面とした第1カム受け面3bの曲率をカム7の第1円錐部7bの曲率よりも小さくすることにより、第1カム受け面3bに対するカム7の第1円錐部7bの接触形態を面接触にしている。また、凹状の部分円弧面とした第3カム受け面3dの曲率をカム7の第1、第2円錐部7b,7cの曲率よりも小さくすることにより、第3カム受け面3dに対するカム7の第1、第2円錐部7b,7cの各接触形態をそれぞれ1ヶ所での線接触または面接触にしている。なお、平坦面とされる第2カム受け面3cに対するカム7の第2円錐部7cの接触形態は、1ヶ所での点接触または線接触になる。
さらに、第3カム受け面3dは、図7に示すように、第1カム受け面3bに対してオフセットされた状態で設けられている。具体的に、第3カム受け面3dは、第1カム受け面3bと第2カム受け面3cとの連接部分の長手方向中央領域に設けずに、当該長手方向中央位置から長手方向片方側にオフセットされた状態で設けられている。言い換えると、図7において、第3カム受け面3dにおいてパーキングポール3の幅方向に沿う中心線300が、パーキングポール3の第1カム受け面3bの中心軸線200に対して所定量Lだけオフセットされている。
このようなカム7とパーキングポール3とを備える場合、パーキング状態にする過程でのカム7とパーキングポール3との摺動形態を説明する。
まず、図8の実線で示すように、カム7の第1円錐部7bがパーキングポール3の第1カム受け面3bに当接している状態において、パーキングポール3およびカム7を軸方向に変位させると、カム7の第1円錐部7bがパーキングポール3の第1カム受け面3bを越えて第2カム受け面3cに当接するようになる。これにより、カム7がパーキングポール3とカム受け部材10との間に押し込まれることになるので、いわゆる楔打ち込み作用でもって図8の二点鎖線で示すようにパーキングポール3が押し上げられてパーキングポール3の突起3aがパーキングギヤ2の隣り合う歯の間に噛合されることになって、パーキングギヤ2および動力伝達軸21が回転不可能にロックされる状態(図5に示すパーキング状態)になる。
この実施形態では、第1カム受け面3bと第2カム受け面3cとの連接部分に第3カム受け面3dを設けることにより、図8に示すように、パーキングポール3において第1カム受け面3bと第3カム受け面3dとで挟む角度β1、ならびに第2カム受け面3cと第3カム受け面3dとで挟む角度β2を、第3カム受け面3dを設けていない場合において第1カム受け面3bと第2カム受け面3cとで挟む角度β3に比べてそれぞれ大きくしている。これにより、前記したようにパーキング状態にする場合にカム7がパーキングポール3の第1カム受け面3bから第3カム受け面3dを経て第2カム受け面3cへ向けて摺動する過程において、パーキングポール3に対するカム7の接触面圧が前記第3カム受け面3dを設けていない場合に比べると低減されることになる。
また、パーキング状態を保持している間(パーキング状態の継続中)は、パーキングポール3からカム7への押し付け荷重が継続的に作用しているが、その状態においてもパーキングポール3に対するカム7の接触面圧が第3カム受け面3dを設けていない場合に比べると低減されることになる。
これらの相乗により、パーキング機構1の使用初期段階においてカム7が受けるダメージが軽減されることになって面荒れしにくくなるので、パーキングポール3に対するカム7の摺動抵抗が前記第3カム受け面3dを設けていない場合に比べると大きくならずに済むようになる。したがって、パーキング機構1の使用初期段階においてパーキング操作荷重が増大するという不具合の発生を回避できるようになる。
ところで、この実施形態では、第3カム受け面3dを第1カム受け面3bに対してオフセットして設けているので、前記しているようにカム7の軸方向変位に伴いカム7の第1円錐部7bがパーキングポール3の第1カム受け面3bを越えて第2カム受け面3cに当接する摺動過程において、図9および図10の矢印で示すように、カム7がパーキングロッド6を中心とする回転モーメントを受けることにより、当該カム7が円周方向一方(図9および図10では反時計方向)に回転させられるようになる。
これはつまり、カム7が前記摺動動作を行う毎にカム7が回転させられることになるので、前記摺動動作を行う毎にカム7の第1、第2円錐部7b,7cにおいてパーキングポール3の第1、第2カム受け面3b,3cと当接する位置が逐一変わることになると言える。これにより、カム7の第1、第2円錐部7b,7cの円周方向の特定領域が経時的に摩耗する現象(偏摩耗)が回避されるようになる。言い換えると、カム7の第1、第2円錐部7b,7cの円周方向全域が均等に摩耗するようになるから、カム7の寿命向上に貢献できるようになる。
また、この実施形態のようにパーキングポール3の第1カム受け面3bと第2カム受け面3cとの連接部分(境界部分)に第3カム受け面3dを設けている場合には、カム7の第1円錐部7bと第2円錐部7cとの連接部分(境界部分)に対向する間隔が大きくなるので、カム7の第1円錐部7bと第2円錐部7cとの連接部分について、それらを滑らかに連接するような曲面形状(図11の二点鎖線参照)にすることが可能になる。このように前記連接部分を曲面形状した場合には、例えば曲面形状にせずに角張った形状にしている場合に比べると、前記連接部分の外径寸法が可及的に大きくなるので、カム7の強度アップにつながるなど、カム7の外形サイズを小さくすることが可能になる。この他、前記連接部分を曲面形状にせずに角張った形状にしている場合では必要となるバリ取り工程を削減できるので、カム7の製造コストの低減に貢献できる。
以上説明したように、本発明の特徴を適用した実施形態に係るパーキング機構1は、使用初期段階においてカム7が受けるダメージが軽減されることになって面荒れしにくくなるので、パーキングポール3に対するカム7の摺動抵抗が増大せずに済むようになる。したがって、パーキング機構1の使用初期段階においてパーキング操作荷重が増大するという不具合の発生を回避できるようになるなど、パーキング機構1の初期動作の信頼性向上に貢献できる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
(1)例えば図12から図14を参照して、本発明に係るパーキング機構1の他の実施形態を説明する。
この実施形態では、パーキングポール3の面圧低減部として、第2カム受け面3cに逆さV字形の窪み面3eを設けている。そして、図13に示すように、パーキング状態において窪み面3eに対するカム7の第2円錐部7cの接触形態を、2ヶ所での点接触または線接触になるようにしている。その他の構成は、図1から図11に示す実施形態と同様になっている。
この実施形態の場合、前記2ヶ所の接触部位それぞれにおける接触面圧は、上記実施形態のように平坦な第2カム受け面3cにカム7の第2円錐部7cを1ヶ所で線接触または点接触させるようにしている場合に比べると低減されるようになるので、カム7の摺動抵抗を可及的に低減できるようになる。そのため、パーキング機構1の使用初期段階においてカム7の第2円錐部7cがダメージを受けにくくなって面荒れしにくくなるので、パーキングポール3に対するカム7の摺動抵抗が増大せずに済むようになる。したがって、パーキング機構1の使用初期段階においてパーキング操作荷重の増大を回避できるようになるなど、初期動作の信頼性向上に貢献できるようになる。
(2)例えば図15および図16を参照して、本発明に係るパーキング機構1の他の実施形態を説明する。
この実施形態では、第1カム受け面3bと第2カム受け面3cとの連接部分(境界部分)の長手方向全域に、面圧低減部として丸みを帯びた面取り3fを設けている。その他の構成は、図1から図11に示す実施形態と同様になっている。この実施形態の場合、上記実施形態と遜色のない作用、効果を得ることが可能である。
(3)上記実施形態では、カム7を多段の円錐形状にしたものを例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えばカム7を環体とせずに傾斜角の大小異なる第1、第2傾斜面を有する部材とすることが可能である。
本発明は、車両の駆動輪への動力伝達軸を回転不可能にロックするパーキング状態と、前記動力伝達軸を回転可能にアンロックする非パーキング状態とにするためのパーキング機構に好適に利用することが可能である。
1 パーキング機構
2 パーキングギヤ
3 パーキングポール
3a パーキングポールの突起
3b パーキングポールの第1カム受け面
3c パーキングポールの第2カム受け面
3d パーキングポールの第3カム受け面(面圧低減部に相当)
4 リバーススプリング
5 支軸
6 パーキングロッド
6a ばね受け
7 カム
7b カムの第1円錐部
7c カムの第2円錐部
8 ストッパリング
9 コイルスプリング
10 カム受け部材
21 動力伝達軸

Claims (5)

  1. 車両の駆動輪への動力伝達軸を回転不可能にロックするパーキング状態と、前記動力伝達軸を回転可能にアンロックする非パーキング状態とに切り替えるためのパーキング機構であって、
    長手方向一端側を中心として回転可能とされかつ長手方向途中に前記動力伝達軸に設けられるパーキングギヤの隣り合う歯の間に噛合可能とされる突起を有するパーキングポールと、
    直線状に変位させられることにより前記パーキングポールを所定角度回転させるためのカムとを備え、
    前記カムは、変位方向の先端側から連なる第1傾斜面と第2傾斜面とを有し、
    前記パーキングポールは、非パーキング状態において前記カムの第1傾斜面が当接される第1カム受け面と、パーキング状態において前記カムの第2傾斜面が当接される第2カム受け面とを有し、この第2カム受け面には面圧低減部が設けられている、ことを特徴とするパーキング機構。
  2. 請求項1に記載のパーキング機構において、
    前記面圧低減部は、前記第1カム受け面の傾斜角よりも小さい傾斜角の第3カム受け面とされる、ことを特徴とするパーキング機構。
  3. 請求項2に記載のパーキング機構において、
    前記カムは、外周面が傾斜角の大小異なる第1、第2円錐部を有する形状とされ、前記傾斜角の大きい第1円錐部の外周面が前記第1傾斜面とされ、前記傾斜角の小さい第2円錐部の外周面が前記第2傾斜面とされ、
    前記第1カム受け面は、凹状の部分円弧面とされかつ前記第2カム受け面へ向けて徐々に幅狭とされ、
    前記第3カム受け面は、前記第1カム受け面の中心軸線に対してオフセットして設けられる、ことを特徴とするパーキング機構。
  4. 請求項1に記載のパーキング機構において、
    前記面圧低減部は、前記第1カム受け面と前記第2カム受け面との連接部分の長手方向全域に設けられる丸い面取りとされる、ことを特徴とするパーキング機構。
  5. 請求項1に記載のパーキング機構において、
    前記カムは、外周面が傾斜角の大小異なる第1、第2円錐部を有する形状とされ、前記傾斜角の大きい第1円錐部の外周面が前記第1傾斜面とされ、前記傾斜角の小さい第2円錐部の外周面が前記第2傾斜面とされ、
    前記第1カム受け面は、凹状の部分円弧面とされかつ前記第2カム受け面へ向けて徐々に幅狭とされ、
    前記第2カム受け面は、前記カムの中心軸線に沿うような平坦面とされ、
    前記面圧低減部は、前記カムの第2円錐部の外周面が2ヶ所で接触する逆さV字形の窪み面とされる、ことを特徴とするパーキング機構。
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