JP2014222044A - 真空ポンプ取り付け用固定具 - Google Patents
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Abstract
【課題】過大なトルクによって吸気口フランジが回転しても、吸気口フランジを固定するクランプの耐久性が保たれる、真空ポンプ取り付け用固定具の提供。
【解決手段】クランプ1は、排気口フランジ510に着脱可能に固定される本体部3と、本体部3から吸気口フランジ20の背面25側に突出し、背面25との支持面9を有する支持部6と、支持部6から背面25に向けて突出し、背面25に形成された環状溝23に挿入される爪部2とを備え、爪部2は、環状溝23の外側面24に対向する爪部2の側面5の曲率半径r2が、外側面24の曲率半径r1以下に設定されることを特徴とする。
【選択図】図5
【解決手段】クランプ1は、排気口フランジ510に着脱可能に固定される本体部3と、本体部3から吸気口フランジ20の背面25側に突出し、背面25との支持面9を有する支持部6と、支持部6から背面25に向けて突出し、背面25に形成された環状溝23に挿入される爪部2とを備え、爪部2は、環状溝23の外側面24に対向する爪部2の側面5の曲率半径r2が、外側面24の曲率半径r1以下に設定されることを特徴とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する、ターボ分子ポンプやモレキュラドラッグポンプなどの真空ポンプを、真空チャンバの排気口に固定する真空ポンプ取り付け用固定具に関する。
半導体製造装置や液晶パネル製造装置などの真空装置を高真空に排気するために用いられるターボ分子ポンプは、交互に配置された複数段のロータ翼と複数段のステータ翼とを備えている。ステータ翼に対して、ロータ翼が形成されたロータを高速回転することにより、気体を排気する。
半導体製造装置等の真空チャンバにターボ分子ポンプを取り付ける方法としては、特許文献1などにあるような、ボルトを用いる方法がある。また、固定具であるクロークランプ(以下、単に、クランプと呼ぶ)を用いる方法がある。
ターボ分子ポンプの運転中には、ロータは毎分数万回転で回転している。ロータがステータと干渉して急激に回転数が低下した場合や、ロータ破壊が万一発生した場合には、ターボ分子ポンプのケーシングに過大なトルクが発生する。そのため、後者のクランプ取り付け方式においては、過大なトルクがクランプにも作用するので、クランプの耐久性を更に向上する必要がある。
(1)本発明の好ましい実施形態は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に固定する真空ポンプ取り付け用固定具が、排気口に着脱可能に固定される本体部と、本体部から吸気口フランジの背面側に突出し、吸気口フランジの背面に接触して吸気口フランジを支持する支持部と、支持部から吸気口フランジの背面に向けて突出し、吸気口フランジの背面に形成された環状溝に挿入される爪部とを備え、爪部は、環状溝の外側面に対向する側面の曲率半径が、環状溝の外側面の曲率半径以下に設定されていることを特徴とする。
(2)本発明の他の好ましい実施形態は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に固定する真空ポンプ取り付け用固定具が、排気口に着脱可能に固定される本体部と、本体部から吸気口フランジの背面側に突出し、吸気口フランジの背面に接触して吸気口フランジを支持する支持部と、支持部から吸気口フランジの背面に向けて突出し、吸気口フランジの背面に形成された環状溝に挿入される爪部とを備え、爪部は、環状溝の外側面に対向する側面の両端が曲面であり、曲面の曲率半径が、環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定されていることを特徴とする。
(3)さらに好ましい実施形態では、支持部は、吸気口フランジの背面と接触し吸気口フランジを支持する支持面を有し、支持部の支持面と、爪部の側面との少なくとも一方に、低摩擦係数の物質層を形成する表面処理を施すことを特徴とする。
(4)本発明の他の好ましい実施形態は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に設けられたクランプ固定式の排気口フランジに固定するための第1および第2のクランプを備える真空ポンプ取り付け用固定具において、第1のクランプが、吸気口フランジの外周側に配置される第1本体部と、第1本体部から吸気口フランジの背面側に突出し、吸気口フランジの背面に接触して吸気口フランジを支持する第1支持部と、第1支持部から吸気口フランジ背面に向けて突出し、吸気口フランジの背面に形成された第1環状溝に挿入される第1爪部とを有し、第2のクランプが、排気口フランジの外周側に配置されて第1本体部に着脱可能に固定される第2本体部と、第2本体部から排気口フランジの背面側に突出し、排気口フランジの背面に接触して排気口フランジを支持する第2支持部と、第2支持部から排気口フランジ背面に向けて突出し、排気口フランジの背面に形成された第2環状溝に挿入される第2爪部とを有し、第1爪部が、第1環状溝の外側面に対向する第1爪部の側面の曲率半径が、第1環状溝の外側面の曲率半径以下に設定され、第2爪部が、第2環状溝の外側面に対向する第2爪部の側面の曲率半径が、第2環状溝の外側面の曲率半径以下に設定され、第1本体部を第2本体部に固定することにより、吸気口フランジと排気口フランジとを挟持するように装着されることを特徴とする。
(5)本発明の他の好ましい実施形態は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に設けられたクランプ固定式の排気口フランジに固定するための第1および第2のクランプを備える真空ポンプ取り付け用固定具において、第1のクランプが、吸気口フランジの外周側に配置される第1本体部と、第1本体部から吸気口フランジの背面側に突出し、吸気口フランジの背面に接触して吸気口フランジを支持する第1支持部と、第1支持部から吸気口フランジ背面に向けて突出し、吸気口フランジの背面に形成された第1環状溝に挿入される第1爪部とを有し、第2のクランプが、排気口フランジの外周側に配置されて第1本体部に着脱可能に固定される第2本体部と、第2本体部から排気口フランジの背面側に突出し、排気口フランジの背面に接触して排気口フランジを支持する第2支持部と、第2支持部から排気口フランジ背面に向けて突出し、排気口フランジの背面に形成された第2環状溝に挿入される第2爪部とを有し、第1爪部が、第1環状溝の外側面に対向する第1爪部の側面の両端が曲面であり、該曲面の曲率半径が、第1環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定され、第2爪部が、第2環状溝の外側面に対向する第2爪部の側面の両端が曲面であり、該曲面の曲率半径が、第2環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定され、第1本体部を第2本体部に固定することにより、吸気口フランジと排気口フランジとを挟持するように装着されることを特徴とする。
(6)さらに好ましい実施形態では、第1支持部が、吸気口フランジの背面と接触し吸気口フランジを支持する第1支持面を有し、第2支持部が、排気口フランジの背面と接触し排気口フランジを支持する第2支持面を有し、第1支持面と、第1爪部の側面と、第2支持面と、第2爪部の側面との少なくとも1つに、低摩擦係数の物質層を形成する表面処理を施すことを特徴とする。
(2)本発明の他の好ましい実施形態は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に固定する真空ポンプ取り付け用固定具が、排気口に着脱可能に固定される本体部と、本体部から吸気口フランジの背面側に突出し、吸気口フランジの背面に接触して吸気口フランジを支持する支持部と、支持部から吸気口フランジの背面に向けて突出し、吸気口フランジの背面に形成された環状溝に挿入される爪部とを備え、爪部は、環状溝の外側面に対向する側面の両端が曲面であり、曲面の曲率半径が、環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定されていることを特徴とする。
(3)さらに好ましい実施形態では、支持部は、吸気口フランジの背面と接触し吸気口フランジを支持する支持面を有し、支持部の支持面と、爪部の側面との少なくとも一方に、低摩擦係数の物質層を形成する表面処理を施すことを特徴とする。
(4)本発明の他の好ましい実施形態は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に設けられたクランプ固定式の排気口フランジに固定するための第1および第2のクランプを備える真空ポンプ取り付け用固定具において、第1のクランプが、吸気口フランジの外周側に配置される第1本体部と、第1本体部から吸気口フランジの背面側に突出し、吸気口フランジの背面に接触して吸気口フランジを支持する第1支持部と、第1支持部から吸気口フランジ背面に向けて突出し、吸気口フランジの背面に形成された第1環状溝に挿入される第1爪部とを有し、第2のクランプが、排気口フランジの外周側に配置されて第1本体部に着脱可能に固定される第2本体部と、第2本体部から排気口フランジの背面側に突出し、排気口フランジの背面に接触して排気口フランジを支持する第2支持部と、第2支持部から排気口フランジ背面に向けて突出し、排気口フランジの背面に形成された第2環状溝に挿入される第2爪部とを有し、第1爪部が、第1環状溝の外側面に対向する第1爪部の側面の曲率半径が、第1環状溝の外側面の曲率半径以下に設定され、第2爪部が、第2環状溝の外側面に対向する第2爪部の側面の曲率半径が、第2環状溝の外側面の曲率半径以下に設定され、第1本体部を第2本体部に固定することにより、吸気口フランジと排気口フランジとを挟持するように装着されることを特徴とする。
(5)本発明の他の好ましい実施形態は、クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に設けられたクランプ固定式の排気口フランジに固定するための第1および第2のクランプを備える真空ポンプ取り付け用固定具において、第1のクランプが、吸気口フランジの外周側に配置される第1本体部と、第1本体部から吸気口フランジの背面側に突出し、吸気口フランジの背面に接触して吸気口フランジを支持する第1支持部と、第1支持部から吸気口フランジ背面に向けて突出し、吸気口フランジの背面に形成された第1環状溝に挿入される第1爪部とを有し、第2のクランプが、排気口フランジの外周側に配置されて第1本体部に着脱可能に固定される第2本体部と、第2本体部から排気口フランジの背面側に突出し、排気口フランジの背面に接触して排気口フランジを支持する第2支持部と、第2支持部から排気口フランジ背面に向けて突出し、排気口フランジの背面に形成された第2環状溝に挿入される第2爪部とを有し、第1爪部が、第1環状溝の外側面に対向する第1爪部の側面の両端が曲面であり、該曲面の曲率半径が、第1環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定され、第2爪部が、第2環状溝の外側面に対向する第2爪部の側面の両端が曲面であり、該曲面の曲率半径が、第2環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定され、第1本体部を第2本体部に固定することにより、吸気口フランジと排気口フランジとを挟持するように装着されることを特徴とする。
(6)さらに好ましい実施形態では、第1支持部が、吸気口フランジの背面と接触し吸気口フランジを支持する第1支持面を有し、第2支持部が、排気口フランジの背面と接触し排気口フランジを支持する第2支持面を有し、第1支持面と、第1爪部の側面と、第2支持面と、第2爪部の側面との少なくとも1つに、低摩擦係数の物質層を形成する表面処理を施すことを特徴とする。
本発明によれば、真空ポンプ取り付け用固定具の耐久性を向上させることができる。
――第1実施形態――
図1〜図5により第1実施形態を説明する。まず、ターボ分子ポンプの基本構成と基本動作について述べる。図1は、真空装置のチャンバ500に取り付けられたターボ分子ポンプ100の概略構成を示す断面図である。図1に示すターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20はいわゆるクランプ固定式のフランジであって、複数のクランプ1を用いてチャンバ500の排気口フランジ510に固定される。第1実施形態で用いられるクランプは、いわゆるシングルクロークランプと呼ばれる。ターボ分子ポンプ100のケーシング52内にはロータ40が回転自在に設けられている。図1に示したターボ分子ポンプ100は磁気軸受式のポンプであり、ロータ40は、上部ラジアル電磁石101、下部ラジアル電磁石102、スラスト電磁石104によって非接触支持される。磁気軸受によって磁気浮上されたロータ40は、モータ43により高速回転駆動される。
図1〜図5により第1実施形態を説明する。まず、ターボ分子ポンプの基本構成と基本動作について述べる。図1は、真空装置のチャンバ500に取り付けられたターボ分子ポンプ100の概略構成を示す断面図である。図1に示すターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20はいわゆるクランプ固定式のフランジであって、複数のクランプ1を用いてチャンバ500の排気口フランジ510に固定される。第1実施形態で用いられるクランプは、いわゆるシングルクロークランプと呼ばれる。ターボ分子ポンプ100のケーシング52内にはロータ40が回転自在に設けられている。図1に示したターボ分子ポンプ100は磁気軸受式のポンプであり、ロータ40は、上部ラジアル電磁石101、下部ラジアル電磁石102、スラスト電磁石104によって非接触支持される。磁気軸受によって磁気浮上されたロータ40は、モータ43により高速回転駆動される。
ロータ40には、複数段のロータ翼41と円筒状のネジロータ45とが設けられている。複数段のロータ翼41の間には、軸方向に対して複数段のステータ翼42が設けられ、ネジロータ45の外周側にはネジステータ44が設けられている。各ステータ翼42は、スペーサ53を介してベース107上に載置されている。吸気口フランジ20が形成されたケーシング52をベース107に固定すると、積層されたスペーサ53がベース107とケーシング52との間に挟持され、ステータ翼42が位置決めされる。
ベース107には排気口108が設けられ、この排気口108にバックポンプが接続される。ロータ40を磁気浮上させつつモータ43により高速回転駆動することにより、吸気口30側の気体分子は排気口108側へと排気される。
図2は、クランプ1の配置を図1の真空装置のチャンバ500側から見た図である。なお、図2では、クランプ1を排気口フランジ510に固定するボルト7やチャンバ500等は省略した。吸気口フランジ20の固定に用いられるクランプ1の数は、フランジ径に応じて決定される。
図3は、図2のA―A断面図である。チャンバ500の排気口フランジ510とターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20との間には、センターリング60が挟持されている。吸気口フランジ20のシール面21と反対側の背面25には、環状溝23が形成されている。排気口フランジ510には複数のネジ穴514が形成されている。
図4は、図3に示す第1実施形態のクランプ1を示した図である。図4(a)は、図3のクランプ1に関するB−B断面図である。図4(b)は、図4(a)のC−C断面図である。クランプ1は、本体部3と、本体部3の側方に突出した支持部6と、支持部6から図4(b)の図示上方に突出した爪部2を有する。本体部3には、ボルト貫通孔4(貫通穴)が形成されている。支持部6には、図3に示したターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の背面25と接触し、吸気口フランジ20を支持する支持面9が形成されている。爪部2には、図3に示した吸気口フランジ20の環状溝23の外周側の側面24(以降、外周側の側面のことを「外側面」と呼ぶ。)に接触することのできる側面5が形成されている。
クランプ1の爪部2がターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の背面25に形成された環状溝23に挿入され、さらに、ボルト7と、ネジ穴514と、クランプ1の本体部3に形成されたボルト貫通孔4とを用いて、真空装置のチャンバ500の排気口フランジ510にクランプ1が固定されると、クランプ1の支持部6の支持面9に吸気口フランジ20の背面25が押圧される。このようにして、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20と排気口フランジ510とが締結される。以上より、クランプ1で、ターボ分子ポンプ100が真空装置のチャンバ500の排気口フランジ510に取り付けられる。
なお、真空装置のチャンバ500の排気口フランジ510には、ネジ穴514の代わりにボルト貫通孔を形成し、ボルト7とナットを用いて締結するようにしてもよい。
図5は、図3のB−B断面図であって、爪部2の側面5と、環状溝23の外側面24との接触について説明する図である。
以降、様々な曲面の曲率を表現するにあたり、「曲率半径」という用語を使用する。円の曲率半径は円の半径であるため、曲率半径は、円の半径をも含む概念である。よって、用語を統一するために、円であっても「半径」という用語を使用せず、「曲率半径」を使用する。
以降、様々な曲面の曲率を表現するにあたり、「曲率半径」という用語を使用する。円の曲率半径は円の半径であるため、曲率半径は、円の半径をも含む概念である。よって、用語を統一するために、円であっても「半径」という用語を使用せず、「曲率半径」を使用する。
図5に示す通り、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24の曲率半径、すなわち、外側面24を軸方向に垂直な面で切断したときにできる円の曲率半径(以下、同様)を曲率半径r1とし、外側面24と対向するクランプ1の爪部2の側面5の曲率半径、すなわち、側面5を軸方向に垂直な面で切断したときにできる曲線の曲率半径(以下、同様)を曲率半径r2とする。
第1実施形態では、クランプ1の爪部2の側面5の曲率半径r2を、吸気口フランジ20に形成された環状溝23の外側面24の曲率半径r1と等しく設定した。よって、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24とクランプ1の爪部2の側面5は、面接触することができる。なお、環状溝23の溝幅寸法に対して、クランプ1の爪部2の厚さ寸法はやや小さく設定されているので、クランプ1の取り付け状況によっては、側面5と外側面24の間に隙間ができることもある。
図15は、従来のクランプ71に吸気口フランジ20の環状溝23の側面24が接触する様子を示した断面図であり、図5に相当する図である。ただし、簡単のため、吸気口フランジ20については、環状溝23の外側面24を破線で描いているのみである。従来のクランプ71は第1実施形態のクランプ1と以下の点で爪部の断面形状が異なる。従来のクランプ71の側面73は、環状溝23の外側面24と対向する平面であるため、環状溝23の側面24とは側面73の両端であるカド部73a、73bで点接触、より厳密には線接触することになる。よって、上述したように過大なトルクが発生することにより吸気口フランジ20が回転した場合、従来のクランプ71では、カド部73a、73bが、外側面24に引っかかり、外側面24からの力をクランプ71の爪部72のカド部73a、73bで集中して受ける。そのため、クランプ71の耐久性が低下するという問題があった。
一方、本発明の第1実施形態では、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24の曲率半径r1と、クランプ1の爪部2の側面5の曲率半径r2が等しく設定されているので、面接触することができる。これにより、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24にクランプ1の爪部2が引っかかることを解消し、クランプ1の耐久性を向上させることができる。
――第1実施形態の変形例1――
ターボ分子ポンプの基本構成と基本動作は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。以降の実施形態及び変形例でも同様である。第1実施形態の2つの変形例1を図6(a)、(b)に示す。図6(a)は変形例1の発明に係るクランプ1Aを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。図6(b)は、変形例1の発明に係るクランプ1Bを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。簡単のため、クランプ1A、クランプ1B以外の構成は、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例1は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1A、クランプ1Bの側方から見た断面図を省略した。
ターボ分子ポンプの基本構成と基本動作は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。以降の実施形態及び変形例でも同様である。第1実施形態の2つの変形例1を図6(a)、(b)に示す。図6(a)は変形例1の発明に係るクランプ1Aを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。図6(b)は、変形例1の発明に係るクランプ1Bを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。簡単のため、クランプ1A、クランプ1B以外の構成は、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例1は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1A、クランプ1Bの側方から見た断面図を省略した。
図6(a)、(b)の変形例は、クランプ1Aの爪部2a、2bの側面5a、5bの曲率半径r2、および、クランプ1Bの爪部2cの側面5cの曲率半径r2を、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24の曲率半径r1と等しく設定したことを特徴とする。この特徴は第1実施形態のクランプ1の爪部2の側面5と同様である。
図6(a)に示すクランプ1Aは、図4(a)に示した爪部2の図示上下の隅部を残して爪部2a、2bとしたものである。以下の変形例でも同様だが、強度さえ保てれば、このような変形を行ってもよい。本変形例でも、第1実施形態同様に、クランプ1Aの爪部2a、2bの側面5a、5bの曲率半径r2が吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24の曲率半径r1と等しく設定されており、環状溝23の外側面24とクランプ1Aの爪部2a、2bの側面5a、5bは面接触することができる。
図6(b)に示すクランプ1Bは、図4(a)に示した爪部2の中央部を残して、爪部2cとしたものである。環状溝23の外側面24とクランプ1Bの爪部2cの側面5cの接触状況は、図4(a)に示したクランプ1Aの爪部2a、2bの側面5a、5bと同様である。よって、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24にクランプ1Aの爪部2a、2b、あるいは、クランプ1Bの爪部2cが引っかかることを解消できる。
――第1実施形態の変形例2――
第1実施形態の3つの変形例2を図7(a)〜(c)に示す。図7(a)〜(c)は、変形例2の発明に係るクランプ1C〜1Eを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1C〜1E以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例2は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1C〜1Eの側方から見た断面図を省略した。
第1実施形態の3つの変形例2を図7(a)〜(c)に示す。図7(a)〜(c)は、変形例2の発明に係るクランプ1C〜1Eを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1C〜1E以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例2は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1C〜1Eの側方から見た断面図を省略した。
図7(a)〜(c)の変形例は、クランプ1Cの爪部2dの側面5dの曲率半径r2、クランプ1Dの爪部2e、2fの側面5e、5fの曲率半径r2、および、クランプ1Eの爪部2gの側面5gの曲率半径r2を、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24の曲率半径r1よりも小さく設定したことを特徴とする。
上述のように、図7(a)に示すクランプ1Cは、爪部2dの側面5dの曲率半径r2が、環状溝23の外側面24の曲率半径r1よりも小さく設定されているため、爪部2dの側面5dと環状溝23の外側面24とは、後述する「ヘルツ接触」という接触をすることができる。
ここで、「ヘルツ接触」について説明する。曲率半径の違う2つの曲面が接触する場合、点または線で接触することになる。しかし、そこに力がかかった場合は、2つの曲面が相互に弾性的な変形をし、局所的に面で接触する。これは「ヘルツ接触」と呼ばれている。このようなヘルツ接触でも、接触部同士の引っ掛かりを解消することができる。
図7(b)に示すクランプ1Dは、図7(a)に示したクランプ1Cの爪部2dの図示上下の隅部を残して爪部2e、2fとしたものである。爪部2eの側面5e、爪部2fの側面5fの曲率半径r2の設定は、図7(a)に示した爪部2dの側面5dと同様である。よって、爪部2eの側面5eも、爪部2fの側面5fも、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24に対してヘルツ接触することができる。
図7(c)に示すクランプ1Eは、図7(a)に示したクランプ1Cの爪部2dの中央部を残して爪部2gとしたものである。爪部2gの側面5gの曲率半径r2の設定は、図7(a)に示した爪部2dの側面5dと同様である。よって、爪部2gの側面5gも吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24に対してヘルツ接触することができる。
以上、本変形例のクランプ1C〜1Eの爪部2d〜2gの側面5d〜5gが吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24にヘルツ接触すること、および、ヘルツ接触においても接触部同士の引っかかりを解消できることを述べた。よって、本変形例でも、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24にクランプ1C〜1Eの爪部2d〜2gが引っかかることを解消できる。
――第1実施形態の変形例3――
第1実施形態の3つの変形例3を図8(a)〜(c)に示す。図8(a)〜(c)は、変形例3の発明に係るクランプ1F〜1Hを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例3は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1F〜1Hの側方から見た断面図を省略した。
第1実施形態の3つの変形例3を図8(a)〜(c)に示す。図8(a)〜(c)は、変形例3の発明に係るクランプ1F〜1Hを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例3は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1F〜1Hの側方から見た断面図を省略した。
本変形例は、第1実施形態のクランプ1の爪部2の代わりに、円柱状の爪部2hを形成したことを特徴とする。図8(a)では3本の円柱を、図8(b)では2本の円柱を、図8(c)では1本の円柱を形成している。それらの側面の曲率半径r2は曲率半径r1よりも小さく設定されており、環状溝23の外側面24とクランプ1F〜1Hの爪部2hの側面5hはヘルツ接触することができる。吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24と対向する面5hの曲率半径r2が、外側面24の曲率半径r1以下に設定された曲面であれば上述した引っ掛かりを解消できるため、本変形例も本発明の一形態である。
また、図8(a)、(b)では、複数の円柱状の爪部2hが描かれているが、これらの円柱状の爪部2hの側面5hの曲率半径r2は環状溝23の外側面24の曲率半径r1以下である条件さえ満たせば、異なっていてもよい。本変形例でも、クランプ1F〜1Hの爪部2hの、環状溝23の外側面24と対向する側面5hの曲率半径r2を外側面24の曲率半径r1よりも小さく設定したので、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24にクランプ1F〜Hの爪部2hの側面はヘルツ接触することができ、その結果として、外側面24に爪部2hが引っかかることを解消できる。
――第1実施形態の変形例4――
第1実施形態の変形例4を図9に示す。図9は、変形例4の発明に係るクランプ1Iを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1I以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例4は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1Iの側方から見た断面図を省略した。
第1実施形態の変形例4を図9に示す。図9は、変形例4の発明に係るクランプ1Iを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1I以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例4は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1Iの側方から見た断面図を省略した。
変形例4は、クランプ1Iの爪部2iを断面が楕円形の柱状体にしたことを特徴とする。断面形状の楕円は曲率半径が一定でないが、曲率半径r2の最大値が曲率半径r1以下に設定されており、環状溝23の外側面24とクランプ1Iの爪部2iの側面5iは面接触するかヘルツ接触することができる。よって、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝の外側面にクランプ1Iの爪部2iが引っかかることを解消できる。図9では、断面が楕円の柱状体が1本形成された爪部を示したが、変形例3のように柱状体を複数設けることも可能である。
――第1実施形態の変形例5――
第1実施形態の変形例5を図10に示す。図10は、変形例5の発明に係るクランプ1Jを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1J以外の構成は、簡単のため、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例5は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1Jの側方から見た断面図を省略した。
第1実施形態の変形例5を図10に示す。図10は、変形例5の発明に係るクランプ1Jを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1J以外の構成は、簡単のため、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。なお、変形例5は、第1実施形態のクランプ1の爪部2のみの変形例であるため、クランプ1Jの側方から見た断面図を省略した。
変形例5は、図15に示す従来のクランプ71の爪部72のカド部73a、73bをR面としたことを特徴とする。図10において、変形例5のクランプ1のR面5jの曲率半径r2は、環状溝23の外側面24の曲率半径r1以下に設定されており、環状溝23の外側面24とクランプ1Jの爪部2jのR面5jはヘルツ接触するか面接触することができる。このように、クランプの爪部の側面全てを曲面にしなくても、爪部の側面の両端という、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24に接触する可能性のある領域だけ曲面(本変形例ではR面)にして、R面5jの曲率半径r2を環状溝23の外側面24の曲率半径r1以下にすれば、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24にクランプ1Jの爪部2jが引っかかることを解消できる。
本発明のR面の曲率半径r2は、0.5mm以上に設定されている。この大きさ以上で、かつ、曲率半径r1以下に設定されたものが、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24との引っ掛かりを解消できる。
――第1実施形態の変形例6――
第1実施形態の変形例6を図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示す。図11(a)は、変形例6の発明に係るクランプ1Kを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1K以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。
第1実施形態の変形例6を図11(a)、(b)及び図12(a)、(b)に示す。図11(a)は、変形例6の発明に係るクランプ1Kを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。クランプ1K以外の構成は、簡単のため、環状溝23の外側面24を破線で示すのみで、ボルト7や、吸気口フランジ20などは省略する。
本変形例に係る発明は、クランプの作製方法に特徴がある。従来のクランプ71や、第1実施形態におけるクランプ1及びその変形例1〜5におけるクランプ1A〜1Jは、クランプを1つずつ鋳造するという方法で作製されている。一方、図11に示す本変形例のクランプ1Kは、図12に示すような環状のクランプ200を鋳造により作製し、これを図12(a)の破線で示す放射状の線に沿って切断して得る。環状のクランプ200の特徴は、図12(a)に示すように、爪部2kが円筒状に図12(b)に示された支持部6から突出していることと、爪部2kの側面5kの曲率半径r2が吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24の曲率半径r1と等しく設定されていることである。図11(b)に示す環状のクランプ200の断面は、第1実施形態におけるクランプ1と同様である。このような特徴を持つクランプであるため、第1実施形態と同様に吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24に対して、爪部2kの側面5kは面接触することができる。
なお、ここでは18分割の例を示したが、例えば、半割りや、3分の1割り等を行って、その状態でクランプとして使用することも可能である。曲率半径r2が曲率半径r1と等しく設定されており、かつ、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23は溝が途切れることなく、1周しているからである。図2に示すような配置のクランプ1よりも吸気口フランジ20を固定する領域が広がるので、吸気口フランジ20を固定する力が向上し、ターボ分子ポンプ100の取付けをより強固なものにすることができる。
以上述べたように、第1実施形態同様に、変形例6も、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24にクランプ1Kの爪部5kが引っかかることを解消できる。また、鋳造により1つ1つ作製していたクランプ1を大量に作製することができる。さらに、半割りや、3分の1割り等のように大きめに分割すれば、吸気口フランジ20を固定する力を向上させることができる。
――第2実施形態――
図13を用いて、本発明の第2実施形態の固定具について説明する。図3に示したチャンバ500の排気口フランジ510はクランプ1をボルト固定する方式であったが、本実施の形態におけるチャンバ500の排気口フランジ520は、クランプを装着するための環状溝523が形成されている形式のものである。このように、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20と真空装置のチャンバ500の排気口フランジ520のそれぞれに環状溝523が設けられている場合は、図13に示すような、クランプ1、クランプ11を用いる、いわゆる、ダブルクロークランプ方式を用いる。シングルクロークランプ方式の場合と同様に、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23にダブルクロークランプ方式のクランプ1の爪部2が挿入される。また、真空装置のチャンバ500の排気口フランジ520の環状溝523には、ダブルクロークランプ方式のクランプ11の爪部12が挿入される。クランプ1の本体部3にはボルト貫通孔4が形成されており、クランプ11にはネジ穴14が形成されている。これらのボルト貫通孔4とネジ穴14を用いてクランプ1とクランプ11はボルト7で締結される。締結されると、クランプ1の支持部6の支持面9と吸気口フランジ20の背面25が接触し、クランプ11の支持部16の支持面19と排気口フランジ520の背面525が接触する。これによって、吸気口フランジ20、センターリング60、及び排気口フランジ520がダブルクロークランプ方式のクランプ1、11に挟持されて、ターボ分子ポンプ100が真空装置のチャンバ500に取り付けられる。なお、ネジ穴14は、クランプ11を貫通するボルト貫通孔にすることも可能であり、その際はクランプ1とクランプ11はボルト7とナットで締結される。
図13を用いて、本発明の第2実施形態の固定具について説明する。図3に示したチャンバ500の排気口フランジ510はクランプ1をボルト固定する方式であったが、本実施の形態におけるチャンバ500の排気口フランジ520は、クランプを装着するための環状溝523が形成されている形式のものである。このように、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20と真空装置のチャンバ500の排気口フランジ520のそれぞれに環状溝523が設けられている場合は、図13に示すような、クランプ1、クランプ11を用いる、いわゆる、ダブルクロークランプ方式を用いる。シングルクロークランプ方式の場合と同様に、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23にダブルクロークランプ方式のクランプ1の爪部2が挿入される。また、真空装置のチャンバ500の排気口フランジ520の環状溝523には、ダブルクロークランプ方式のクランプ11の爪部12が挿入される。クランプ1の本体部3にはボルト貫通孔4が形成されており、クランプ11にはネジ穴14が形成されている。これらのボルト貫通孔4とネジ穴14を用いてクランプ1とクランプ11はボルト7で締結される。締結されると、クランプ1の支持部6の支持面9と吸気口フランジ20の背面25が接触し、クランプ11の支持部16の支持面19と排気口フランジ520の背面525が接触する。これによって、吸気口フランジ20、センターリング60、及び排気口フランジ520がダブルクロークランプ方式のクランプ1、11に挟持されて、ターボ分子ポンプ100が真空装置のチャンバ500に取り付けられる。なお、ネジ穴14は、クランプ11を貫通するボルト貫通孔にすることも可能であり、その際はクランプ1とクランプ11はボルト7とナットで締結される。
第1実施形態やその変形例の発明と同様に、第2実施形態の発明の特徴もクランプの爪部の形状にある。第2実施形態の固定具の爪部2、12の形状は、第1実施形態、または、その変形例のいずれかの固定具の爪部を適用すればよい。
ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の外側面24と真空装置のチャンバ500の排気口フランジ520の環状溝523の外側面524のそれぞれに対して、対応するクランプの爪部が面接触またはヘルツ接触することができる。これにより、クランプ1、クランプ11の耐久性を向上させることができる。
なお、クランプ1とクランプ11は同じ爪部を有するクランプを用いなくてもよい。例えば、クランプ1に第1実施形態の変形例1におけるクランプ1Aを、クランプ11に第1実施形態の変形例2におけるクランプ1Cを用いてもよい。いずれの組み合わせにおいても、第1実施形態と同様、クランプの耐久性を向上させるという効果を奏することができる。
――第3実施形態――
図14(a)、(b)を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。図14(a)は、第3実施形態の発明に係るクランプ1Lを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。また、図14(b)は、図14(a)のE−E断面図である。上述のように、第1実施形態でのクランプ1の爪部2の側面5は、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24と面接触することができる。その面接触であっても摩擦は起こる。そのため、その摩擦を低減することができれば、クランプ1はより耐久性を向上させることができる。第3実施形態で説明するクランプ1Lは、吸気口フランジ20との間の摩擦を低減させるような表面処理を第1実施形態のクランプ1に施したものである。第1実施形態の場合、クランプ1Lの支持部6の支持面9は、図3に示した吸気口フランジ20の背面25と接触する。また、クランプ1Lの爪部2の側面5は、吸気口フランジ20に設けられた環状溝23の外側面24と接触する。そのため、これらの支持面9と側面5(図14(a)、(b)でハッチングされた領域)との少なくとも一方(本例では両方)に表面処理を施す。具体的には、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂や、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を塗布したり、窒化によって支持面9や側面5の表面を改質したりする(窒化処理)などの表面処理を施す。これらの表面処理を施すことで、摩擦が低減され、摺動性が向上する。また、DLCや窒化処理は表面を硬化させるという副次的な効果も奏する。
図14(a)、(b)を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。図14(a)は、第3実施形態の発明に係るクランプ1Lを、図3におけるB−B線に相当する断面で切断したときの断面図である。また、図14(b)は、図14(a)のE−E断面図である。上述のように、第1実施形態でのクランプ1の爪部2の側面5は、吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24と面接触することができる。その面接触であっても摩擦は起こる。そのため、その摩擦を低減することができれば、クランプ1はより耐久性を向上させることができる。第3実施形態で説明するクランプ1Lは、吸気口フランジ20との間の摩擦を低減させるような表面処理を第1実施形態のクランプ1に施したものである。第1実施形態の場合、クランプ1Lの支持部6の支持面9は、図3に示した吸気口フランジ20の背面25と接触する。また、クランプ1Lの爪部2の側面5は、吸気口フランジ20に設けられた環状溝23の外側面24と接触する。そのため、これらの支持面9と側面5(図14(a)、(b)でハッチングされた領域)との少なくとも一方(本例では両方)に表面処理を施す。具体的には、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂や、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を塗布したり、窒化によって支持面9や側面5の表面を改質したりする(窒化処理)などの表面処理を施す。これらの表面処理を施すことで、摩擦が低減され、摺動性が向上する。また、DLCや窒化処理は表面を硬化させるという副次的な効果も奏する。
第3実施形態によって、クランプ1Lの爪部2の側面5の摩擦係数が下がり、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の環状溝23の外側面24との摩擦を低減することができる。また、クランプ1Lの支持部の支持面9の摩擦係数も下がり、ターボ分子ポンプ100の吸気口フランジ20の背面25との摩擦を低減することができる。これらの効果により、第1実施形態のクランプ1に比べて、さらに、クランプの耐久性を向上させることがクランプ1Lでは可能となる。
第3実施形態の発明は、第1実施形態の発明に適用可能なだけでなく、第1実施形態の変形例1〜6の発明や、第2実施形態の発明等にも適用可能である。第2実施形態においては、クランプ11の爪部12の、真空装置のチャンバ500の排気口フランジ520の環状溝523の外側面524に対向する側面15と、クランプ11の支持部16の、排気口フランジ520の背面525と接触し、吸気口フランジ520を支持する支持面19とにも第3実施形態の発明である上記の表面処理を施すことが可能である。当該表面処理は、上記箇所のうちの少なくとも1つに施されている。
上述した各実施形態では、本発明をターボ分子ポンプに適用した場合について説明したが、例えば、モレキュラドラッグポンプのような真空ポンプであれば同様に適用することができる。
上記の実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士を組み合わせることも可能である。
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
1,1A〜1L,11:本発明のクランプ、 2,2a〜2k,12:爪部、
3,13:本体部、 4,14:ボルト貫通孔、 5,5a〜5k,15:爪部の側面、
6,16:支持部、 7:ボルト、 9,19:支持面、 20:吸気口フランジ、
21:シール面、 23,523:環状溝、 24,524:外側面、
25,525:背面、 500:チャンバ、 510,520:排気口フランジ、
514:ネジ穴、 r1,r2:曲率半径、 60:センターリング、 40:ロータ、
41:ロータ翼、 42:ステータ翼、 100:ターボ分子ポンプ、
200:環状のクランプ
3,13:本体部、 4,14:ボルト貫通孔、 5,5a〜5k,15:爪部の側面、
6,16:支持部、 7:ボルト、 9,19:支持面、 20:吸気口フランジ、
21:シール面、 23,523:環状溝、 24,524:外側面、
25,525:背面、 500:チャンバ、 510,520:排気口フランジ、
514:ネジ穴、 r1,r2:曲率半径、 60:センターリング、 40:ロータ、
41:ロータ翼、 42:ステータ翼、 100:ターボ分子ポンプ、
200:環状のクランプ
Claims (6)
- クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に固定する真空ポンプ取り付け用固定具であって、
前記排気口に着脱可能に固定される本体部と、
前記本体部から前記吸気口フランジの背面側に突出し、前記吸気口フランジの背面に接触して前記吸気口フランジを支持する支持部と、
前記支持部から前記吸気口フランジの背面に向けて突出し、前記吸気口フランジの背面に形成された環状溝に挿入される爪部とを備え、
前記爪部は、前記環状溝の外側面に対向する側面の曲率半径が、前記環状溝の外側面の曲率半径以下に設定されている、真空ポンプ取り付け用固定具。 - クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に固定する真空ポンプ取り付け用固定具であって、
前記排気口に着脱可能に固定される本体部と、
前記本体部から前記吸気口フランジの背面側に突出し、前記吸気口フランジの背面に接触して前記吸気口フランジを支持する支持部と、
前記支持部から前記吸気口フランジの背面に向けて突出し、前記吸気口フランジの背面に形成された環状溝に挿入される爪部とを備え、
前記爪部は、前記環状溝の外側面に対向する側面の両端が曲面であり、前記曲面の曲率半径が、前記環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定されている、真空ポンプ取り付け用固定具。 - 請求項1または2に記載の真空ポンプ取り付け用固定具において、
前記支持部は、前記吸気口フランジの背面と接触し前記吸気口フランジを支持する支持面を有し、
前記支持部の支持面と、前記爪部の側面との少なくとも一方に、低摩擦係数の物質層を形成する表面処理が施されている、真空ポンプ取り付け用固定具。 - クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に設けられたクランプ固定式の排気口フランジに固定するための第1および第2のクランプを備える真空ポンプ取り付け用固定具であって、
前記第1のクランプは、前記吸気口フランジの外周側に配置される第1本体部と、前記第1本体部から前記吸気口フランジの背面側に突出し、前記吸気口フランジの背面に接触して前記吸気口フランジを支持する第1支持部と、前記第1支持部から前記吸気口フランジ背面に向けて突出し、前記吸気口フランジの背面に形成された第1環状溝に挿入される第1爪部とを有し、
前記第2のクランプは、前記排気口フランジの外周側に配置されて前記第1本体部に着脱可能に固定される第2本体部と、前記第2本体部から前記排気口フランジの背面側に突出し、前記排気口フランジの背面に接触して前記排気口フランジを支持する第2支持部と、前記第2支持部から前記排気口フランジ背面に向けて突出し、前記排気口フランジの背面に形成された第2環状溝に挿入される第2爪部とを有し、
前記第1爪部は、前記第1環状溝の外側面に対向する前記第1爪部の側面の曲率半径が、前記第1環状溝の外側面の曲率半径以下に設定され、
前記第2爪部は、前記第2環状溝の外側面に対向する前記第2爪部の側面の曲率半径が、前記第2環状溝の外側面の曲率半径以下に設定され、
前記第1本体部を前記第2本体部に固定することにより、前記吸気口フランジと前記排気口フランジとを挟持するように装着される、真空ポンプ取り付け用固定具。 - クランプ固定式の吸気口フランジを有する真空ポンプを、真空チャンバの排気口に設けられたクランプ固定式の排気口フランジに固定するための第1および第2のクランプを備える真空ポンプ取り付け用固定具であって、
前記第1のクランプは、前記吸気口フランジの外周側に配置される第1本体部と、前記第1本体部から前記吸気口フランジの背面側に突出し、前記吸気口フランジの背面に接触して前記吸気口フランジを支持する第1支持部と、前記第1支持部から前記吸気口フランジ背面に向けて突出し、前記吸気口フランジの背面に形成された第1環状溝に挿入される第1爪部とを有し、
前記第2のクランプは、前記排気口フランジの外周側に配置されて前記第1本体部に着脱可能に固定される第2本体部と、前記第2本体部から前記排気口フランジの背面側に突出し、前記排気口フランジの背面に接触して前記排気口フランジを支持する第2支持部と、前記第2支持部から前記排気口フランジ背面に向けて突出し、前記排気口フランジの背面に形成された第2環状溝に挿入される第2爪部とを有し、
前記第1爪部は、前記第1環状溝の外側面に対向する前記第1爪部の側面の両端が曲面であり、該曲面の曲率半径が、前記第1環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定され、
前記第2爪部は、前記第2環状溝の外側面に対向する前記第2爪部の側面の両端が曲面であり、該曲面の曲率半径が、前記第2環状溝の外側面の曲率半径以下で、かつ、0.5mm以上に設定され、
前記第1本体部を前記第2本体部に固定することにより、前記吸気口フランジと前記排気口フランジとを挟持するように装着される、真空ポンプ取り付け用固定具。 - 請求項4または5に記載の真空ポンプ取り付け用固定具において、
前記第1支持部は、前記吸気口フランジの背面と接触し前記吸気口フランジを支持する第1支持面を有し、
前記第2支持部は、前記排気口フランジの背面と接触し前記排気口フランジを支持する第2支持面を有し、
前記第1支持面と、前記第1爪部の側面と、前記第2支持面と、前記第2爪部の側面との少なくとも1つに、低摩擦係数の物質層を形成する表面処理が施される、真空ポンプ取り付け用固定具。
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---|---|---|---|
JP2013101963A JP2014222044A (ja) | 2013-05-14 | 2013-05-14 | 真空ポンプ取り付け用固定具 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013101963A JP2014222044A (ja) | 2013-05-14 | 2013-05-14 | 真空ポンプ取り付け用固定具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family
ID=52121661
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Country Status (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017014945A (ja) * | 2015-06-29 | 2017-01-19 | 株式会社島津製作所 | 真空ポンプ |
JP2018112288A (ja) * | 2017-01-13 | 2018-07-19 | 株式会社島津製作所 | 弁装置 |
US10683875B2 (en) | 2017-03-21 | 2020-06-16 | Shimadzu Corporation | Center ring and vacuum pump |
-
2013
- 2013-05-14 JP JP2013101963A patent/JP2014222044A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017014945A (ja) * | 2015-06-29 | 2017-01-19 | 株式会社島津製作所 | 真空ポンプ |
JP2018112288A (ja) * | 2017-01-13 | 2018-07-19 | 株式会社島津製作所 | 弁装置 |
US10683875B2 (en) | 2017-03-21 | 2020-06-16 | Shimadzu Corporation | Center ring and vacuum pump |
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