JP2015229968A - 真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータとシャフトの芯出しの精度が高い真空ポンプの提供。
【解決手段】ターボ分子ポンプ1のロータ組立体10の締結構造71は、ピン収納体73を有する。ピン収納体73は、ピン収納空間72、および、位置決め部材であるピン7から構成される。ピン収納空間72は、ロータ4に設けられた貫通孔42と、シャフト5の頂部51の頂面53に設けられた凹部52とで構成される。ピン収納体73を構成している際のピン7は、貫通孔42に一部が収納され、凹部52に別の一部が収納されている。ロータ4はアルミ合金で作製され、シャフト5は鉄またはステンレスで作製され、ピン7は、アルミ合金、鉄、ステンレスよりも線膨張係数が大きいマグネシウム合金で作製されている。
【選択図】図2
【解決手段】ターボ分子ポンプ1のロータ組立体10の締結構造71は、ピン収納体73を有する。ピン収納体73は、ピン収納空間72、および、位置決め部材であるピン7から構成される。ピン収納空間72は、ロータ4に設けられた貫通孔42と、シャフト5の頂部51の頂面53に設けられた凹部52とで構成される。ピン収納体73を構成している際のピン7は、貫通孔42に一部が収納され、凹部52に別の一部が収納されている。ロータ4はアルミ合金で作製され、シャフト5は鉄またはステンレスで作製され、ピン7は、アルミ合金、鉄、ステンレスよりも線膨張係数が大きいマグネシウム合金で作製されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、真空ポンプに関する。
ターボ分子ポンプに代表される真空ポンプは、ドライエッチング装置やCVD装置などの真空チャンバに取り付けられる。ターボ分子ポンプは、ロータ翼とロータ円筒部が形成されたロータ及びそのロータと互いに締結されるシャフトを有するロータ組立体と、シャフトを回転駆動するモータとを有する。モータは、シャフトを毎分数万回転という高速回転で回転駆動する。シャフトに締結されたロータも、シャフトの回転に伴って高速回転する。ロータ(ロータ組立体)の高速回転により、ロータ翼とステータ翼とが協働し、ロータ円筒部と円筒状ステータが協働して、その真空チャンバ内の気体を排気することで、高真空状態を作り出す。
ロータ組立体が安定して回転するためには、ロータとシャフトの芯出し(調芯)が必要である。特許文献1には、ロータに設けた貫通孔にシャフトの上端が挿設される発明が開示されている。このような構成にすれば、ある程度、ロータとシャフトの芯出しを行うことができる。
上記のような構成は、ロータの貫通孔の内周面とシャフトの上端の外周面の間に、ロータの貫通孔にシャフト頂部を挿入することを可能にするための隙間(クリアランス)を設けるのが一般的である。この隙間は、芯出しの精度を下げる原因となる。さらに、ロータはアルミ合金で作製され、シャフトは鉄またはステンレスで作製されるのが一般的である。アルミ合金の線膨張係数は、鉄またはステンレスの線膨張係数よりも大きい。この場合、ロータ組立体の回転などによってロータ組立体の温度が上昇すると、アルミ合金で作製されたロータが鉄またはステンレスで作製されたシャフトよりも径方向に膨張し、上記の隙間が広がる虞がある。その結果、ロータ組立体の温度上昇に伴い、さらに芯出しの精度を下げることとなる。
このように、ロータとシャフトの芯出しの精度が高い真空ポンプが望まれていた。
本発明の好ましい実施形態による真空ポンプは、締結部を有するロータと、シャフト頂部を有するシャフトと、を備え、ロータとシャフトとは、締結部とシャフト頂部とが締結されることにより成る締結構造によって、締結され、締結構造は、ロータとシャフトとの互いの位置を決定する位置決め部材を有し、位置決め部材の線膨張係数は、ロータ及びシャフトの線膨張係数よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、ロータとシャフトの芯出しの精度を向上させることができる。
以下では、本発明を複合型のターボ分子ポンプに適用した例で説明する。なお、本発明は、全翼型のターボ分子ポンプやモレキュラドラッグポンプなどの真空ポンプにも適用できる。
―第1実施形態―
図1は、本実施形態によるターボ分子ポンプ1の概略構成を示す断面図である。ターボ分子ポンプ1のポンプケーシング32内にはロータ組立体10が回転自在に設けられている。ロータ組立体10は、ロータ4と、シャフト5と、ロータディスク6と、位置決め部材であるピン7から構成されている。ピン7は円柱状の形状を有している。ロータ4とシャフト5は、ボルト90(図2参照)で締結されている。ターボ分子ポンプ1は磁気軸受式のポンプであり、ロータ組立体10は、上部ラジアル電磁石62、下部ラジアル電磁石64、スラスト電磁石66によって非接触支持される。
―第1実施形態―
図1は、本実施形態によるターボ分子ポンプ1の概略構成を示す断面図である。ターボ分子ポンプ1のポンプケーシング32内にはロータ組立体10が回転自在に設けられている。ロータ組立体10は、ロータ4と、シャフト5と、ロータディスク6と、位置決め部材であるピン7から構成されている。ピン7は円柱状の形状を有している。ロータ4とシャフト5は、ボルト90(図2参照)で締結されている。ターボ分子ポンプ1は磁気軸受式のポンプであり、ロータ組立体10は、上部ラジアル電磁石62、下部ラジアル電磁石64、スラスト電磁石66によって非接触支持される。
ロータ4には、複数段のロータ翼20とロータ円筒部8とが設けられている。複数段のロータ翼20の間には、軸方向に対して複数段のステータ翼24が設けられている。ロータ円筒部8の外周側には円筒状ステータ11が設けられ、円筒状ステータ11はボルト30でベース38に取り付けられている。
ステータ翼24のそれぞれは、環状のスペーサ37を介してベース38上に配設されている。ポンプケーシング32をベース38に固定すると、積層されたスペーサ37がベース38とポンプケーシング32との間に挟持され、それに伴って、ステータ翼24がスペーサ37に挟持される。
ベース38には排気口36が設けられ、この排気口36にバックポンプが接続される。ロータ組立体10は、上部ラジアル電磁石62、下部ラジアル電磁石64、スラスト電磁石66によって磁気浮上されつつ、モータ25により高速回転駆動される。これによって、ロータ翼20およびステータ翼24が協働し、また、ロータ円筒部8および円筒状ステータ11が協働して、吸気口31側の気体分子が排気口36側へと排気される。
図2を用いて、ロータ4とシャフト5の締結と、ロータ4とシャフト5によるピン7の収納について説明する。図2(a)は、図1のA1で示される領域を拡大したものである。図2(b)は、後述する締結構造71を吸気口31側から見た図である。
図2(a)に示すように、ロータ4は、径方向の中央に締結部41を有する。締結部41の回転中心位置には、締結部41の吸気口31側の上面43と排気口36側の下面44を連通する円柱状の貫通孔42が設けられている。シャフト5は、頂部51を有する。頂部51の頂面53の回転中心位置には、円柱状の凹部52が設けられている。
シャフト5の凹部52に位置決め部材であるピン7を挿設した状態で、ロータ4の貫通孔42にピン7を挿入して、ロータ4の下面44とシャフト5の頂面53を対向させる。そして、ロータ4とシャフト5は、図2(b)に示すボルト90によって締結される。その結果、図2(a)に示す締結構造71が形成される。なお、締結構造71、ロータ組立体10、ロータ4の締結部41、および、シャフト5の頂部51の頂面53は、互いに回転中心位置が一致する。この回転中心位置を回転中心位置Cと呼ぶことにする。
貫通孔42の径と凹部52の径は等しく設定されており、ロータ4とシャフト5が締結されたときに、貫通孔42の内周面と凹部52の内周面が一致するように設定されている。上記の締結構造71が完成した際に、貫通孔42と凹部52によって、図2(a)に示すピン収納空間72が構成される。さらに、ピン収納空間72は、ピン7を収納している。ピン収納空間72にピン7を収納したものを、ピン収納体73と呼ぶことにする。なお、ピン7は位置決め部材であるため、ロータ4側の収納部である貫通孔42に一部分が収納され、シャフト5側の収納部である凹部52に他の一部分が収納されている。また、ピン7の軸方向とピン収納空間72の軸方向は平行となるように収納されている。
ロータ4は、アルミ合金で作製されている。シャフト5は鉄またはステンレスで作製されている。ピン7は、それらよりも線膨張係数が大きいマグネシウム合金で作製されている。本実施形態においては、常温を含む所定の温度以下では、ピン7の外周面とピン収納空間72の内周面との間には、組立性を考慮してクリアランスである隙間S1が設けられている。すなわち、ピン7は、隙間嵌めでピン収納空間72に収納されている。しかし、ロータ組立体10が回転して、所定の温度以上になるとピン7は、ロータ4やシャフト5よりも熱膨張し、隙間S1をなくす。そして、ピン7の外周面がピン収納空間72の内周面に当接して、ロータ4とシャフト5の厳密な位置決めを行う。これによって、ロータ4とシャフト5の精度良く芯出しがなされる。
なお、マグネシウム合金の弾性率は、アルミ合金や鉄やステンレスの弾性率よりも小さい。弾性率が小さいものほど、遠心力膨張量が大きい。ここで、上述したように、ロータ4をアルミ合金で作製し、シャフト5を鉄で作製し、且つ、マグネシウム合金のように、アルミや鉄よりも線膨張係数が大きいだけでなく、アルミや鉄よりも弾性率が小さい部材でピン7を作製することを考える。このような場合は、たとえ、ロータ組立体10の温度が所定の温度まで到達していなくても、ロータ組立体10の回転数が所定の回転数まで到達していれば、部材間の弾性率の差によって、図2に示す隙間S1をなくすのに十分な遠心力膨張量の差が生じ、ロータ4とシャフト5の芯出しをすることが可能となる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)本実施形態のターボ分子ポンプ1は、締結部41を有するロータ4と、頂部51を有するシャフト5と、を備える。ロータ4とシャフト5は、締結部41と頂部51が締結されることにより成る締結構造71によって、締結される。締結構造71は、ロータ4とシャフト5の互いの位置を決定する位置決め部材であるピン7を有する。ピン7の線膨張係数は、ロータ4及びシャフト5の線膨張係数よりも大きい。
これによって、ロータ組立体10の温度上昇によって、ピン7がロータ4やシャフト5よりも熱膨張し、ロータ4やシャフト5との隙間S1をなくすことでロータ4とシャフト5の芯出しの精度を向上させることができる。
(1)本実施形態のターボ分子ポンプ1は、締結部41を有するロータ4と、頂部51を有するシャフト5と、を備える。ロータ4とシャフト5は、締結部41と頂部51が締結されることにより成る締結構造71によって、締結される。締結構造71は、ロータ4とシャフト5の互いの位置を決定する位置決め部材であるピン7を有する。ピン7の線膨張係数は、ロータ4及びシャフト5の線膨張係数よりも大きい。
これによって、ロータ組立体10の温度上昇によって、ピン7がロータ4やシャフト5よりも熱膨張し、ロータ4やシャフト5との隙間S1をなくすことでロータ4とシャフト5の芯出しの精度を向上させることができる。
従来のターボ分子ポンプ(例えば、特許文献1)では、シャフトの頂面に突設された凸部がロータに設けられた貫通孔に係合される構造になっていた。また、ロータはアルミ合金で作製され、シャフトはアルミよりも線膨張係数の小さい鉄またはステンレスで作製されるのが一般的であった。このような構成では、凸部と貫通孔に設けられた隙間(クリアランス)がロータ組立体の温度上昇によって広がり、芯出しの精度が悪化していた。
しかし、以上に示したターボ分子ポンプ1は、ロータ4に貫通孔42、シャフト5に凹部52が設けられ、それらにピン7が挿設されている。さらに、ロータ4はアルミ合金で作製され、シャフトは鉄またはステンレスで作製され、ピン7はそれらよりも線膨張係数が大きいマグネシウム合金で作製されている。これによって、ロータ組立体10の温度上昇によって、隙間S1が埋まり、ロータ4とシャフト5の芯出しの精度が向上する。
(2)ロータ4は貫通孔42を締結部に有する。シャフト5は凹部52を頂部51に有する。貫通孔42と凹部52は、ピン収納空間72を構成する。ピン収納空間72とピン7は、貫通孔42がピン7の一部を収納し、凹部52がピン7の別の一部を収納することで、ピン収納体73を構成する。締結構造71は、ピン収納体73を有する。
これによって、ロータ組立体10の温度上昇によって、ピン7と貫通孔42との隙間S1やピン7と凹部52との隙間S1が埋まることにより、ロータ4とシャフト5の芯出しの精度を向上させることができる。
これによって、ロータ組立体10の温度上昇によって、ピン7と貫通孔42との隙間S1やピン7と凹部52との隙間S1が埋まることにより、ロータ4とシャフト5の芯出しの精度を向上させることができる。
(3)ピン収納体73は、締結構造71の回転中心位置(回転中心位置C)に設けられている。
これによって、回転中心位置Cを中心としてピン7が熱膨張するので、ロータ4とシャフト5のそれぞれの中心位置を揃えることが可能となり、ロータ4とシャフト5の芯出しの精度を向上させることができる。
これによって、回転中心位置Cを中心としてピン7が熱膨張するので、ロータ4とシャフト5のそれぞれの中心位置を揃えることが可能となり、ロータ4とシャフト5の芯出しの精度を向上させることができる。
(4)ピン7の弾性率は、ロータ4の弾性率よりも小さく、かつ、シャフト5の弾性率よりも小さい。
これによって、ロータ組立体10の温度が所定の温度まで到達していなくても、ロータ組立体10の回転数が所定の回転数まで到達していれば、部材間の弾性率の差によって、図2に示す隙間S1をなくすのに十分な遠心力膨張量の差が生じ、ロータ4とシャフト5の芯出しをすることができる。
これによって、ロータ組立体10の温度が所定の温度まで到達していなくても、ロータ組立体10の回転数が所定の回転数まで到達していれば、部材間の弾性率の差によって、図2に示す隙間S1をなくすのに十分な遠心力膨張量の差が生じ、ロータ4とシャフト5の芯出しをすることができる。
なお、以下のような変形を行うことも可能である。なお、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
―変形例1―
図3は、変形例1を示す図である。図3(a)は、第1実施形態を示す図2(a)に相当する図である。図3(b)は、締結構造71を吸気口31側から見た図である。図3(c)は、図3(b)のピン収納体73周辺を拡大した図である。
図3は、変形例1を示す図である。図3(a)は、第1実施形態を示す図2(a)に相当する図である。図3(b)は、締結構造71を吸気口31側から見た図である。図3(c)は、図3(b)のピン収納体73周辺を拡大した図である。
変形例1は、第1実施形態の変形例である。具体的には、図3(a)に示すように、ピン収納空間72の内周面、すなわち、貫通孔42の内周面や凹部52の内周面とピン7の外周面との間に、ピン7よりもせん断強度が高い筒状部材95、すなわち、スリーブ95が設けられている。これが、第1実施形態と異なる点である。本変形例でもピン7は、マグネシウム合金により作製されている。筒状部材95は、マグネシウム合金よりもせん断強度が高いステンレスで作製されている。シャフト回転中心位置に対してロータの回転中心位置がずれていると、ロータが、シャフトの回転中心位置を中心として回転振動する。このような現象、すなわち、振れ回りなどによって、ロータ4とシャフト5は、図3(a)や図3(b)に示した矢印のように運動し、これが、ピン7が受けるせん断力の原因となる。本変形例のように、筒状部材95を設けることにより、ロータ4とシャフト5によるせん断力に対する強度が上がり、耐久性を向上させることができる。
さらに、図3(c)に示すように、筒状部材95は、周面の一部に、軸方向に平行なスリットが設けられている。これによって、ピン7の熱膨張に伴って筒状部材95も径方向に伸縮することができ、ピン7の熱膨張の妨げとならないようにすることができる。
―変形例2―
図4は、変形例2におけるロータ4とシャフト5を示す図である。本変形例のシャフト5において、頂部51とシャフト本体55が別体となっており、ボルト56で互いに締結されている。この点が、第1実施形態と異なる点である。なお、ボルト56は、図2(b)に示すようなロータ4と頂部51を締結するボルト90と干渉しない位置に設けられている。
図4は、変形例2におけるロータ4とシャフト5を示す図である。本変形例のシャフト5において、頂部51とシャフト本体55が別体となっており、ボルト56で互いに締結されている。この点が、第1実施形態と異なる点である。なお、ボルト56は、図2(b)に示すようなロータ4と頂部51を締結するボルト90と干渉しない位置に設けられている。
ロータ組立体10の温度上昇によって、ピン7がロータ4やシャフト5よりも熱膨張し、ロータ4とシャフト5の芯出しを行うためには、ピン7の材質の線膨張係数が、ロータ4やシャフト5の材料の線膨張係数よりも大きいものであればよい。
一例として、以下の各材料の線膨張係数の大小関係を示す。
マグネシウム合金 > アルミ合金 > 鉄(ステンレス) > CFRPなどの繊維強化部材
マグネシウム合金 > アルミ合金 > 鉄(ステンレス) > CFRPなどの繊維強化部材
本変形例では、シャフト5の頂部51とシャフト本体55は、別部材である。この場合には、ピン7の材料の線膨張係数が、ロータ4や頂部51の材料の線膨張係数よりも大きいものであればよい。すなわち、シャフト本体55の材料は、ピン7の材料に無関係に選択できる。
具体的な材料の組み合わせとしては、
<例1>ロータ4はアルミ合金で、シャフト5の頂部51は鉄やステンレスで、ピン7はマグネシウム合金で、作製されているもの。
<例2>ロータ4はCFRPなどの繊維強化部材で、シャフト5の頂部51は鉄やステンレスで、ピン7はアルミ合金やマグネシウム合金で、作製されているもの。
等が挙げられる。
<例1>ロータ4はアルミ合金で、シャフト5の頂部51は鉄やステンレスで、ピン7はマグネシウム合金で、作製されているもの。
<例2>ロータ4はCFRPなどの繊維強化部材で、シャフト5の頂部51は鉄やステンレスで、ピン7はアルミ合金やマグネシウム合金で、作製されているもの。
等が挙げられる。
本変形例でも、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
―第2実施形態―
第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。図5(a)は、第2実施形態のターボ分子ポンプ1の締結構造71周辺を示している。図5(b)は、第2実施形態の締結構造71を吸気口31側から見た図である。
第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。図5(a)は、第2実施形態のターボ分子ポンプ1の締結構造71周辺を示している。図5(b)は、第2実施形態の締結構造71を吸気口31側から見た図である。
本実施形態では、第1実施形態と異なり、回転中心位置Cから離間した位置で、且つ、周方向に等間隔にピン収納体73が設けられている。本実施形態では、周方向に2つのピン収納体73a、73bが設けられている。貫通孔42aと凹部52aでピン収納空間72aを構成し、ピン収納空間72aにピン7aが挿設されることで、ピン収納体73aが構成されている。同様に、貫通孔42bと凹部52bでピン収納空間72bを構成し、ピン収納空間72bにピン7bが挿設されることで、ピン収納体73bが構成されている。なお、図5(b)に示すように、ボルト90と干渉しないようにピン収納体73(73a、73b)は、設けられている。これは、以降でも同様であり、必要であれば、ボルト90の位置を変更することも可能である。
本実施形態では、ピン収納体73は、回転中心位置Cには設けられていない。なお、図5(a)では、ロータ4の締結部41にボス部B1が設けられ、シャフト5の頂部51に凹部D1が設けられ嵌め合いとなっているが、この嵌め合いはなくてもよい。
ピン収納体73は、回転中心位置Cに設けられていない場合は、少なくとも2つは設ける必要がある。熱膨張によりピン7の外周の隙間が埋まったとしても、ピン収納体73を中心とした回転自由度は残る。第1実施形態のように回転中心位置Cに設けられている場合は、この回転自由度はロータ4とシャフト5の芯出しに影響しない。しかし、本実施形態のように回転中心位置Cに設けられていない場合は、この回転自由度はロータ4とシャフト5の芯出しに影響する。そのため、本実施形態では、この回転自由度を消失させるために、ピン収納体73を2つ設けている。
さらに、ロータ組立体10の重量バランスを考慮すると、ピン収納体73を周方向に等間隔に設けることが好ましい。本実施形態の場合は、ピン収納体73が2つ設けられているため、周方向に180°間隔で、ピン収納体73a、73bが設けられている。
本実施形態のような構成でも、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
―変形例3―
図6(a)は、第2実施形態の変形例である変形例3を示している。なお、ボルト90の記載は省略した。具体的には、ピン収納体73の周方向に設ける数を2つから4つに変更した。本変形例でも、周方向に等間隔に設けたので、周方向に、90°間隔に、ピン収納体73a〜73dが設けられている。このような構成でも、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
図6(a)は、第2実施形態の変形例である変形例3を示している。なお、ボルト90の記載は省略した。具体的には、ピン収納体73の周方向に設ける数を2つから4つに変更した。本変形例でも、周方向に等間隔に設けたので、周方向に、90°間隔に、ピン収納体73a〜73dが設けられている。このような構成でも、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
―変形例4―
図6(b)は、第2実施形態の変形例である変形例4を示している。なお、ボルト90の記載は省略した。具体的には、ピン収納体73の周方向に設ける数を2つから3つに変更した。本変形例でも、周方向に等間隔に設けたので、周方向に、120°間隔に、ピン収納体73a〜73cが設けられている。このような構成でも、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
図6(b)は、第2実施形態の変形例である変形例4を示している。なお、ボルト90の記載は省略した。具体的には、ピン収納体73の周方向に設ける数を2つから3つに変更した。本変形例でも、周方向に等間隔に設けたので、周方向に、120°間隔に、ピン収納体73a〜73cが設けられている。このような構成でも、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
―変形例5―
図6(c)は、変形例5を示している。なお、ボルト90の記載は省略した。変形例5は、第1実施形態と第2実施形態の変形例(組み合わせ)である。すなわち、第1実施形態と第2実施形態におけるピン収納体73の設ける位置を組み合わせたものである。具体的には、ピン収納体73CEが、回転中心位置Cに設けられ、且つ、周方向に180°間隔にピン収納体73a、73bが設けられている。このような構成でも、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
図6(c)は、変形例5を示している。なお、ボルト90の記載は省略した。変形例5は、第1実施形態と第2実施形態の変形例(組み合わせ)である。すなわち、第1実施形態と第2実施形態におけるピン収納体73の設ける位置を組み合わせたものである。具体的には、ピン収納体73CEが、回転中心位置Cに設けられ、且つ、周方向に180°間隔にピン収納体73a、73bが設けられている。このような構成でも、第1及び第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
―変形例6―
図7は、ピン収納空間72、ピン収納体73の変形例である変形例6を説明するための図である。図7(a)は、以上の実施形態や変形例におけるピン収納空間72、ピン収納体73を示している。図7(b)は、本変形例のピン収納空間72、ピン収納体73を示している。図7(a)に示すように、以上の実施形態及び変形例では、ロータ4には、貫通孔42が設けられていたが、これでは、隙間嵌めの場合で所定の温度以下である場合に、ピン収納空間72からピン7が図示上方に向かって抜け出る可能性がある。そこで、図7(b)に示すように、本変形例では、貫通孔42の代わりに凹部42Sを設けるようにした。このように、凹部42Sと凹部52でピン収納空間72Sを構成し、ピン7を閉鎖空間内に収納してピン収納体73Sを構成すると、ピン7がピン収納空間72Sから抜け出るのを防ぐことができる。
図7は、ピン収納空間72、ピン収納体73の変形例である変形例6を説明するための図である。図7(a)は、以上の実施形態や変形例におけるピン収納空間72、ピン収納体73を示している。図7(b)は、本変形例のピン収納空間72、ピン収納体73を示している。図7(a)に示すように、以上の実施形態及び変形例では、ロータ4には、貫通孔42が設けられていたが、これでは、隙間嵌めの場合で所定の温度以下である場合に、ピン収納空間72からピン7が図示上方に向かって抜け出る可能性がある。そこで、図7(b)に示すように、本変形例では、貫通孔42の代わりに凹部42Sを設けるようにした。このように、凹部42Sと凹部52でピン収納空間72Sを構成し、ピン7を閉鎖空間内に収納してピン収納体73Sを構成すると、ピン7がピン収納空間72Sから抜け出るのを防ぐことができる。
―変形例7―
本変形例では、ピン7を隙間嵌めではなく、冷やし嵌めによって、ピン収納空間72に設ける。以上の実施形態及び変形例では、隙間嵌めのため、所定の回転速度未満においてはピン7とピン収納空間72の間に隙間S1(図2参照)が設けられているが、隙間S1は設けられていないほうが好ましい。隙間S1を設けないようにするため、本変形例では、ピン7を冷やし嵌めでピン収納空間72に設けるようにした。冷やし嵌めを行うと、常温から隙間S1がない状態となるので、ロータ組立体10が常温から安定して回転することができる。
本変形例では、ピン7を隙間嵌めではなく、冷やし嵌めによって、ピン収納空間72に設ける。以上の実施形態及び変形例では、隙間嵌めのため、所定の回転速度未満においてはピン7とピン収納空間72の間に隙間S1(図2参照)が設けられているが、隙間S1は設けられていないほうが好ましい。隙間S1を設けないようにするため、本変形例では、ピン7を冷やし嵌めでピン収納空間72に設けるようにした。冷やし嵌めを行うと、常温から隙間S1がない状態となるので、ロータ組立体10が常温から安定して回転することができる。
―変形例8―
以上では、ピン7の材質をマグネシウム合金としたが、それに限定されない。例えば、亜鉛合金などでもよい。また、アルミ合金は、組成によって、線膨張係数を変えることができるため、ロータ4で用いられているアルミ合金よりも線膨張係数の大きいアルミ合金でピン7を作製してもよい。
以上では、ピン7の材質をマグネシウム合金としたが、それに限定されない。例えば、亜鉛合金などでもよい。また、アルミ合金は、組成によって、線膨張係数を変えることができるため、ロータ4で用いられているアルミ合金よりも線膨張係数の大きいアルミ合金でピン7を作製してもよい。
以上では、本発明を複合型のターボ分子ポンプに適用した例で説明したが、本発明は、全翼型のターボ分子ポンプやモレキュラドラッグポンプなどにも適用できる。
以上では、種々の実施形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態および変形例の種々の組み合わせなど、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
例えば、
・第1実施形態、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1と変形例2の組み合わせ
・変形例1、第2実施形態、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1、変形例3、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1、変形例4、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例2、第2実施形態、変形例6、変形例7の組み合わせ
・変形例2、変形例3、変形例6、変形例7の組み合わせ
・変形例2、変形例4、変形例6、変形例7の組み合わせ
・変形例1と変形例5の組み合わせ
・変形例2と変形例5の組み合わせ
などの組み合わせが可能である。
例えば、
・第1実施形態、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1と変形例2の組み合わせ
・変形例1、第2実施形態、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1、変形例3、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例1、変形例4、変形例6、変形例7、変形例8の組み合わせ
・変形例2、第2実施形態、変形例6、変形例7の組み合わせ
・変形例2、変形例3、変形例6、変形例7の組み合わせ
・変形例2、変形例4、変形例6、変形例7の組み合わせ
・変形例1と変形例5の組み合わせ
・変形例2と変形例5の組み合わせ
などの組み合わせが可能である。
1:ターボ分子ポンプ
4:ロータ
5:シャフト
6:ロータディスク
7:ピン
8:ロータ円筒部
10:ロータ組立体
11:円筒状ステータ
20:ロータ翼
24:ステータ翼
25:モータ
31:吸気口
32:ポンプケーシング
36:排気口
37:スペーサ
38:ベース
41:締結部
42:貫通孔
42S:凹部
51:頂部
52:凹部
53:頂面
55:シャフト本体
62:上部ラジアル電磁石
64:下部ラジアル電磁石
66:スラスト電磁石
71:締結構造
72、72S:ピン収納空間
73、73a〜73d、73CE、73S:ピン収納体
90:ボルト
95:筒状部材(スリーブ)
B1:ボス部
C:回転中心位置
D1:凹部
S1:隙間
4:ロータ
5:シャフト
6:ロータディスク
7:ピン
8:ロータ円筒部
10:ロータ組立体
11:円筒状ステータ
20:ロータ翼
24:ステータ翼
25:モータ
31:吸気口
32:ポンプケーシング
36:排気口
37:スペーサ
38:ベース
41:締結部
42:貫通孔
42S:凹部
51:頂部
52:凹部
53:頂面
55:シャフト本体
62:上部ラジアル電磁石
64:下部ラジアル電磁石
66:スラスト電磁石
71:締結構造
72、72S:ピン収納空間
73、73a〜73d、73CE、73S:ピン収納体
90:ボルト
95:筒状部材(スリーブ)
B1:ボス部
C:回転中心位置
D1:凹部
S1:隙間
Claims (7)
- 締結部を有するロータと、
シャフト頂部を有するシャフトと、を備え、
前記ロータと前記シャフトとは、前記締結部と前記シャフト頂部とが締結されることにより成る締結構造によって、締結され、
前記締結構造は、前記ロータと前記シャフトとの互いの位置を決定する位置決め部材を有し、
前記位置決め部材の線膨張係数は、前記ロータ及び前記シャフトの線膨張係数よりも大きい真空ポンプ。 - 請求項1に記載の真空ポンプにおいて、
前記ロータは、貫通孔または凹部より成る第1収納部を前記締結部に有し、
前記シャフトは、凹部より成る第2収納部を前記シャフト頂部に有し、
前記第1収納部と前記第2収納部は、位置決め部材収納空間を構成し、
前記位置決め部材収納空間と前記位置決め部材は、前記第1収納部が前記位置決め部材の一部を収納し、前記第2収納部が前記位置決め部材の他の一部を収納することで、位置決め部材収納体を構成し、
前記締結構造は、前記位置決め部材収納体を有する真空ポンプ。 - 請求項2に記載の真空ポンプにおいて、
前記位置決め部材収納体は、前記締結構造の回転中心位置に、及び/又は、前記締結構造の回転中心位置から離間した位置に複数周方向に等間隔に、設けられる真空ポンプ。 - 請求項2または3に記載の真空ポンプにおいて、
前記位置決め部材収納空間の内周面と前記位置決め部材の外周面との間には、前記位置決め部材よりもせん断強度が高く、かつ、径方向に伸縮可能な筒状部材が設けられている真空ポンプ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記位置決め部材は、冷やし嵌めにより前記位置決め部材収納空間に収納される真空ポンプ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記位置決め部材の弾性率は、前記ロータの弾性率よりも小さく、かつ、前記シャフトの弾性率よりも小さい真空ポンプ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記位置決め部材は、マグネシウム合金で作製されている真空ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014116546A JP2015229968A (ja) | 2014-06-05 | 2014-06-05 | 真空ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014116546A JP2015229968A (ja) | 2014-06-05 | 2014-06-05 | 真空ポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015229968A true JP2015229968A (ja) | 2015-12-21 |
Family
ID=54886881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014116546A Pending JP2015229968A (ja) | 2014-06-05 | 2014-06-05 | 真空ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015229968A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017095407A (ja) * | 2015-11-25 | 2017-06-01 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | ニトリロ酢酸ジアセトアミド化合物、抽出剤、及び抽出方法 |
JP7459811B2 (ja) | 2021-01-25 | 2024-04-02 | 株式会社島津製作所 | 真空ポンプ |
-
2014
- 2014-06-05 JP JP2014116546A patent/JP2015229968A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017095407A (ja) * | 2015-11-25 | 2017-06-01 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | ニトリロ酢酸ジアセトアミド化合物、抽出剤、及び抽出方法 |
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