JP2014221020A - 生鮮青果物の保存方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 保存期間中に食味、風味、色を変化させることなく、現状行われている生鮮青果物を対象とした種々の保存に比べ、長期間鮮度維持が可能な保存方法を提供する。【解決手段】 生鮮青果物を水中又は水蒸気中で加熱処理後、冷蔵及び/又は過冷却状態で保存することにより、食味、風味、色を変化させることなく保存できる。【選択図】 なし
Description
本発明は生鮮青果物の保存前および保存中の温度制御に関する。
現状、生鮮青果物の保存に関しては、冷蔵保存や氷温保存(特許文献1)、さらにはこれら温度制御に加え、雰囲気ガスを制御するCA貯蔵やMA貯蔵が用いられている。
しかしながら、これらの保存方法を用いたとしても、保存期間は2〜3ヶ月が限度であり、また保存期間中における食味、風味、色などの変化、即ち酵素を主体とした種々の劣化反応を抑制する事は困難であった。
一方、トマト、スモモなどは、非特許文献1および非特許分件2に開示されているように、30〜40℃の空気雰囲気下で保存すると、常温で保存した場合に比べ、追熟などの変化が抑制されることが示されている(非特許文献1、2参照)。
しかしながら、30〜40℃の空気雰囲気下で長期間加温保持することは乾燥による重量減少の問題や、加温保持が可能な特殊な保存庫が必要となる。また、根本的な問題として非特許文献1、2の保存法は、いわゆる常温に比べ保存期間の延長が可能であっても、冷蔵などの低温保持に比べ保存期間の延長が可能であるとは言い難い。
一方で長期間を対象とした保存方法には、冷凍保存が挙げられる。冷蔵保存に比べ保存期間は延長されるが、組織内に生成した氷結晶による外観および食感の劣化は著しく、生鮮品として価値は無い。また、保存温度が低い為、酵素等による種々の劣化反応は冷蔵に比べ抑制されるが、保存期間が長くなれば冷蔵と同様な劣化を生じる。
通常、青果物を凍結保存する際には酵素活性の失活を目的として熱湯またはスチーム処理(ブランチング)や加糖処理を行うが(非特許文献3参照)、これらの処理を行った場合には、生鮮品としての価値は無い。
辻 正雄、「スモモ果実の高温下での品質保持に関する研究」、日本食品保蔵科学会誌、24巻、第1号、P.53−61、1998年
余 小林、邨田 卓夫、「イチゴ果実貯蔵中の品質変化に及ぼす高温処理の影響」、日本食品低温保蔵科学会誌、20巻、第4号、P.169−174、1994年
桜井 芳人、加藤 舜朗「冷凍食品ハンドブック」、光琳書院、P.84−95、1976年
「USDAハンドブック」、アメリカ農政局、ハンドブックNo.669、P.28−56、1995年
本発明の課題は保存期間中に食味、風味、色を変化させる事なく、現状行われている生鮮青果物を対象とした種々の保存に比べ、長期間鮮度維持が可能な保存方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決する為に鋭意検討した結果、外観および食味等に影響を及ぼさない加熱処理であっても酵素活性が低下し、青果物の鮮度維持が可能であること、さらに加熱処理を行った生鮮青果物を過冷却状態で保持することで、より長期に渡り安定して鮮度維持できることを見出し、本発明をなすに至った。即ち本発明の第1は生鮮青果物を水中および加湿空気中で加熱処理後、保存対象物を過冷却状態及び/又はガス雰囲気下で保存する生鮮青果物の保存方法であり、第2は加熱処理条件が30〜50℃で10〜60分間保持する事を特徴とする前記の保存方法であり、第3は過冷却への導入条件が冷却速度−10℃/時間以内であり、過冷却維持温度が保存対象物の融点から−5℃以内であることを特徴とする前記の保存方法であり、第4はガス雰囲気の条件が酸素濃度20%未満、二酸化炭素濃度が10%未満であることを特徴とする前記の保存方法に係るものである。
本発明により生鮮青果物の風味、食味、食感を官能上好ましく維持することが可能となり、現状の保存に比べ保存性を向上させることが出来る。
本発明による青果物とは一般的な青果物を指すが、イチゴ、みかん、もも、梨など年間を通じて収穫時期が限られる希少性の高い青果物に対し、有効に利用できる。
本発明で用いられている過冷却とは保存を対象物の融点温度(平衡凝固点)から過冷却が解消するまでの温度、即ち氷結晶が生成を開始するまでの温度帯を指す。例えば、苺の融点は−0.8℃、オレンジの融点は−1.3℃であるとされている(非特許文献4参照)。この場合の過冷却状態とは、−0.8℃または−1.3℃未満の温度であっても組織内に氷を生成させることなく、未凍結で保持している状態を示す。
以下、実験例および実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
(実験例1、加熱処理温度)
市販品の苺(とちおとめ、20g前後)、温州みかん(青島みかん、120g前後)を25〜55℃の温水中で10分間加熱処理を行った。加熱処理にはウォーターバス(東京理化器機社製、NTS−4000CH)を用いた。
市販品の苺(とちおとめ、20g前後)、温州みかん(青島みかん、120g前後)を25〜55℃の温水中で10分間加熱処理を行った。加熱処理にはウォーターバス(東京理化器機社製、NTS−4000CH)を用いた。
果実は別段、皮剥きなどの処理を行うことなく、上記条件で加熱処理後、外観、食味、食感、風味の各評価項目につき、パネル10名にて1〜5点の5段階評価法にて官能評価した。即ち、対象品である未処理のサンプルの各評価項目を5点とし、相対評価をおこなった。評価基準は、5点:未処理のサンプルと全く同じ、4点:ほとんど同じ、3点:どちらとも言えない、2点:やや異なる、1点:全く異なる、として各パネルが評価した結果を、再度全員で自由討議し、全員の合意のもとに整数値で表記した。
総合評価は外観、食味、食感、風味の合計点とし、20点から16点は○、15点から10点は△、10点未満は×とした。但し、何れの評価項目に対して1つでも1点が付いた場合は合計点数が10点以上でも×とした。苺の評価結果を表1に、温州みかんの評価結果を表2に示した。
表1および表2に示す様に、苺および温州みかん何れの場合であっても、加熱処理温度が55℃未満、望ましくは45℃未満であれば官能上、未処理と同等の品質であることが分かる。
(実験例2、加熱処理時間)
実験例1の結果から処理温度は45℃が最適であることが判断された為、実験例2では45℃の温水中にて5〜80分間処理後、実験例1と同様の方法にて官能評価を行い、苺の評価結果を表3に、温州みかんの評価結果を表4に示した。
実験例1の結果から処理温度は45℃が最適であることが判断された為、実験例2では45℃の温水中にて5〜80分間処理後、実験例1と同様の方法にて官能評価を行い、苺の評価結果を表3に、温州みかんの評価結果を表4に示した。
表3および表4に示す様に、加熱処理時間が60分未満、望ましくは20分未満であれば何れの場合も官能上、未処理と同等の品質であることが分かる。
(実施例1、保存試験)
実験例2の結果から処理条件は45℃、20分が望ましいが最適であることが判断された為、この加熱処理を行った後、凍結保存(−20℃)過冷却保存(−3℃)、氷温保存(−1℃)、冷蔵保存(+3℃)にて、苺の場合は2週間、温州みかんは1ヶ月間の保存試験を行った。尚、凍結保存には冷凍機付インキュベーター(三洋社製、MIR−154−PJ)を使用し、過冷却、氷温、冷蔵保存では低温恒温器(東京理化器機社製、LTI-700W)を用いた。官能評価は実験例1、2と同様に、未処理で保存を行っていないサンプルの評点を何れも5点とし、官能評価を行い、苺の評価結果を表5に、温州みかんの評価結果を表6に示した。
実験例2の結果から処理条件は45℃、20分が望ましいが最適であることが判断された為、この加熱処理を行った後、凍結保存(−20℃)過冷却保存(−3℃)、氷温保存(−1℃)、冷蔵保存(+3℃)にて、苺の場合は2週間、温州みかんは1ヶ月間の保存試験を行った。尚、凍結保存には冷凍機付インキュベーター(三洋社製、MIR−154−PJ)を使用し、過冷却、氷温、冷蔵保存では低温恒温器(東京理化器機社製、LTI-700W)を用いた。官能評価は実験例1、2と同様に、未処理で保存を行っていないサンプルの評点を何れも5点とし、官能評価を行い、苺の評価結果を表5に、温州みかんの評価結果を表6に示した。
表5、6の総合評価から、加熱処理を行ったサンプルは何れも過冷却状態で効果の高いことが分かる。一方、氷温、冷蔵と保存温度が高くなる場合には加熱処理の効果が低くなる傾向にある。これは、本加熱条件では酵素が完全には失活していない為、保存温度が高い場合には、劣化反応が進行した為と考えられる。また、凍結保存時にも本加熱処理は特に風味、食味に対して若干の効果はあるが、氷結晶により組織が破壊された状態では効果が低いことが分かる。実施例、1の結果から45℃、20分の加熱処理を行った場合には、過冷却状態での保存が最も優れていることが総合的に判断できる。
Claims (4)
- 生鮮青果物を水中又は水蒸気中で加熱処理後、冷蔵状態及び過冷却状態の少なくともいずれかで保存することを特徴とする生鮮青果物の保存方法。
- 前記加熱処理の条件が、30〜50℃で10〜60分間保持することを特徴とする、請求項1記載の生鮮青果物の保存方法。
- 前記過冷却状態への導入条件が冷却速度−10℃/時間以内であり、過冷却維持温度が保存対象物の融点から−5℃以内であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の生鮮青果物の保存方法。
- ガス雰囲気の条件が酸素濃度20%未満、二酸化炭素濃度が10%未満であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の生鮮青果物の保存方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013101823A JP2014221020A (ja) | 2013-05-14 | 2013-05-14 | 生鮮青果物の保存方法 |
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2014221020A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016133295A (ja) * | 2015-01-22 | 2016-07-25 | 株式会社デンソー | 冷凍装置 |
CN106742197A (zh) * | 2016-11-16 | 2017-05-31 | 常熟市辛庄镇双浜梨业种植专业合作社 | 一种翠冠梨的连续式气调保鲜包装工艺 |
WO2019235515A1 (ja) * | 2018-06-05 | 2019-12-12 | テーブルマーク株式会社 | 野菜又は果物の冷凍方法 |
CN114794223A (zh) * | 2022-04-15 | 2022-07-29 | 广西东鸣现代农业发展有限公司 | 一种猕猴桃常温存储保鲜方法 |
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2013
- 2013-05-14 JP JP2013101823A patent/JP2014221020A/ja active Pending
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