JP2014220435A - リアクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】3本の脚と共通脚の間に等しい磁束密度を有する磁路が形成されると共に、脚間における漏れ磁束の少ないリアクタを提供する。
【解決手段】共通脚12と、その周囲に配置された3本のコイル装着脚11a〜11cと、これら4本の脚の上下の端部に配置されて各脚を連結する上下のヨーク13bと、前記各コイル装着脚にそれぞれ巻回されたコイルを備える。3本のコイル装着脚11a〜11cが同一断面形状で、各コイル装着脚の中心を共通脚12の中心から等距離の位置で、且つ共通脚12の中心から等しい角度の間隔を保って配置する。各コイル装着脚11a〜11cの外周面と共通脚12の外周面の間隔を等距離に設定する。共通脚12におけるコイル装着脚11a〜11cとの対向部に凹部15a〜15cを形成し、この凹部がコイル装着脚の共通脚との対向面を取り囲む。
【選択図】図5

Description

本発明は、3相リアクタやインターリーブタイプのリアクタとして使用されるリアクタに関する。
特許文献1に記載されるように、コイルが巻回された3本の脚に対して1本の共通脚を有するリアクタは、従来から知られている。この種のリアクタを3相リアクタとして使用する場合には、3本の脚に巻回したコイルに3相交流の各相を接続する。電圧変換回路などにおいて、インターリーブタイプのリアクタとして使用する場合には、複数のコイルによって共通脚に発生する磁束が打ち消されるように3本の脚にコイルを巻回する。
従来、この種のリアクタでは、特許文献1のように、3本の脚と共通脚を1列に並べている。また、特許文献2の図7に示すように、中央に配置された円柱状の共通脚の周囲に四角形の頂点となるように4本の脚を配置している。
特表2011−502457号公報 特表2013−501346号公報
特許文献1のように、3本の脚と共通脚を平行に配置した場合には、コイルを巻回した各脚と共通脚との距離が異なることから、コイルごとの磁路長が異なってしまい、各コイルの磁気的なバランスが悪くなり、リアクタの特性を損なう。
特許文献2のように、4本の脚と共通脚との距離が等しい場合には、特許文献1のような不都合は解消されるが、共通脚が円柱状であるため、コイルを巻回した脚と共通脚との間では、両者の外周面の距離が円柱の周方向に沿って変化する。その結果、両者間に漏れ磁束が発生し、リアクタの周辺に配置された他の部品に対して発熱その他の磁気的な影響を与える。
本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明は、3本の脚と共通脚の間に等しい磁束密度を有する磁路が形成されると共に、脚間における漏れ磁束の少ないリアクタを提供することを目的とする。
本発明は、共通脚と、その周囲に配置された3本のコイル装着脚と、これら4本の脚の上下の端部に配置されて各脚を連結する上下のヨークと、前記各コイル装着脚にそれぞれ巻回されたコイルを備えたリアクタにおいて、前記3本のコイル装着脚が同一断面形状で、各コイル装着脚の中心が前記共通脚の中心から等距離の位置で、且つ共通脚の中心から等しい角度の間隔を保って配置され、前記共通脚の断面形状が前記コイル装着脚との対向部に凹部が形成され、この凹部が前記コイル装着脚の共通脚との対向面を取り囲んでいることを特徴とする。
前記各コイル装着脚の外周面と前記共通脚の外周面の間隔が等距離に設定されていることが好ましい。前記各コイル装着脚が円柱状で、前記共通脚の外周面に形成された前記凹部の内面が円弧状であること、あるいは前記コイル装着脚が多角柱状で、前記共通脚の表面に形成された前記凹部の内面が、前記コイル装着脚の多角柱の外周面と対向する平面を有する多角形であることも本発明の一態様である。
本発明によれば、3つのコイルによってコア内部に形成される3つの磁路を等しい距離とすることによって、3つのコイル間に生じる磁気特性のばらつきをなくし、リアクタの性能向上を達成することができる。コイル装着脚との対向部に凹部を形成し、この凹部がコイル装着脚の共通脚との対向面を取り囲んだ場合には、コイル装着脚と共通脚間の漏れ磁束を減少することができる。
第1実施形態のリアクタの全体形状を示す斜視図。 図1のリアクタを下方から見た斜視図。 図1のリアクタのコア全体の斜視図。 図3のコア全体を下方から見た斜視図。 図3のコアの下半分の斜視図。 図3のコアの下半分を下方から見た斜視図。 第2実施形態のコアの下半分の斜視図。 第3実施形態のコアの下半分の斜視図。 第4実施形態のコアの下半分の斜視図。 本発明におけるコイル装着脚と共通脚の断面積の比率(共通脚/コイル装着脚)について、インダクタンスと電流の関係を示すグラフ。
1.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態を図1から図6に従って具体的に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のリアクタは、コア1とそれに装着された3つのコイル2a〜2cを備えている。コア1は、図3及び図4に示すように、コイル2a〜2cが巻回される3本のコイル装着脚11a〜11cと、その中心に配置された共通脚12と、上下のヨーク13a,13bを備えている。コイル2a〜2cは、ボビン21a〜21cに巻回された状態で、コイル装着脚11a〜11cの外周に嵌め込まれている。
コイル装着脚11a〜11cと共通脚12は、上下のヨーク13a,13bの間に設けられた柱状の部材である。コイル装着脚11a〜11c及び共通脚12は、共に2個の同一断面の柱状の部材を上下に積み重ねて構成されている。各コイル装着脚11a〜11cは、その中心が共通脚12の中心から等距離の位置で、且つ共通脚12の中心から等しい角度(120°)の間隔を保って配置されている。なお、コイル装着脚11a〜11c及び共通脚12が1個の同一断面の柱状の部材から構成されていても良い。
正三角形に配置されたコイル装着脚11a〜11cに合わせて、上下のヨーク13a,13bも正三角形の平面形状を有し、その平面形状内に3本のコイル装着脚11a〜11cが収まるように、各コイル装着脚11a〜11cは上下のヨーク13a,13bの2つの辺に内接している。上下のヨーク13a,13bの各頂点の外周面14a〜14cは、円柱状のコイル装着脚11a〜11cの外周面と同一面となるように、円弧状になっている。
図5及び図6に示すように、各コイル装着脚11a〜11cは円柱状で、その円柱の外周面に合わせて、共通脚12における各コイル装着脚との対向部には、円弧状に湾曲した内面を有する3箇所の凹部15a〜15cが形成されている。共通脚12における3つの凹部15a〜15cに挟まれた部分の先端16a〜16cは曲線状に面取りされている。曲線状の面取りは、本発明において不可欠なものではなく、直線状の面取りでも良いし、面取りしなくても良い。
凹部15a〜15cの内面と、各コイル装着脚11a〜11cの外周面は、両者の間隔が等距離に設定されている。両者の間隔は、その間にコイル2a〜2cを巻回したボビン21a〜21cを挿入できる寸法で、共通脚12と各コイル2a〜2cとは接触することがない。
各コイル装着脚11a〜11cと共通脚12の断面積の比率(共通脚/コイル装着脚)は、0.8から1.0の範囲が好ましい。図10は、リアクタに流れる電流割合(%)に対するインダクタンスの低下割合(%)を示すグラフである。図10に示すように、共通脚の断面積の比率が小さくなり、0.7以下になると、コアが小電流で磁気飽和に達しリアクタのインダクタンスが急速に低下する現象が生じ、共通脚の断面積の比率が大きいと共通脚の使用によるリアクタの小型化の効果が薄れる。なお、図10から分かるように、請求項に記載した断面積の比率の下限0.8はその数値に限定されものではなく、実質的に0.8と見なされる範囲を含む。
このような構成を有する本実施形態のリアクタを作成するには、下方のヨーク13bの上面に、3本のコイル装着脚11a〜11cと共通脚12の下端を固定し、コイル装着脚11a〜11cの上端からボビン21a〜21cに巻いたコイル2a〜2cを挿入する。その後、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12の上端に、上方のヨーク13aを被せて固定する。固定の方法は、各コアに対向面に塗布した接着剤を使用するか、各コアの対向面にスペーサなどを使用してギャップを形成し、接着剤で固定する。リアクタの特性や用途によっては、接着剤を使用することなく、スペーサを各コアの対向面で挟持する場合もある。
図5及び図6に示すように、上下のヨーク13a,13bのそれぞれに、3本のコイル装着脚11a〜11cと共通脚12の上半分または下半分を固定し、各ヨーク13a,13bに固定した半分のコイル装着脚11a〜11cと共通脚12の先端を、コイルのボビン21a〜21c内に挿入しながら突き合わせて、上半分と下半分を固定しても良い。
このような構成を有する本実施形態においては、3本のコイル装着脚11a〜11cと共通脚12とにより、等しい距離の3本の磁路を形成されるため、各コイルのインダクタンスが等しくなり、3相リアクタやインターリーブタイプのリアクタに適用した場合に、優れた特性を発揮することができる。コイル装着脚11a〜11cの外周面と共通脚12の凹部15a〜15c内面との距離が等しく設定され、しかも、共通脚12の凹部15a〜15cがコイル装着脚11a〜11cを取り囲む様に配置されているので、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12間の漏れ磁束が少なくなり、磁気特性が向上すると共に、漏れ磁束による周囲の部品の発熱も防止でき、大電流用途にも適したリアクタを得ることができる。
2.第2実施形態
本実施形態は、図7に示すように、共通脚12に形成する3つの凹部15a〜15cの内面を、多角形としたもので、他の構成は、第1実施形態と同様である。本発明における等距離や等しい間隔とは、寸法的に全く同一のものに限定されるものではなく、リアクタとして要求される磁気的性能の範囲であれば、ほぼ同一の範囲を含む。したがって、凹部15a〜15cの外周面とコイル装着脚11a〜11cの外周面の形状は、必ずしも同一の曲面である必要はなく、本実施形態のように曲面と角のある面との組み合わせでも良い。
本実施形態においても、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12とは等しい距離の磁路を形成することができる。また、コイル装着脚11a〜11cの外周面と共通脚12の凹部15a〜15c内面との距離が等しく設定され、しかも、共通脚12の凹部15a〜15cがコイル装着脚11a〜11cを取り囲む様に配置されているので、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12間の漏れ磁束が少なくなる。
3.第3実施形態
本実施形態は、図8に示すように、コイル装着脚11a〜11cを六角柱としたものである。これに対応して、共通脚12の凹部15a〜15cの内面も、120°の角度で屈曲した形状になっている。他の構成は、第1実施形態と同様である。コイル装着脚11a〜11cに巻回するコイル2a〜2cとしては、第1実施形態と同様に、円筒状のボビンに丸く巻いたものを使用しても良いし、装着脚の形状に合わせて六角筒状のボビンにコイルを六角形に巻回しても良い。
本実施形態においても、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12とは等しい距離の磁路を形成することができ、コイル装着脚11a〜11cの外周面と共通脚12の凹部15a〜15c内面との距離が等しく設定され、しかも、共通脚12の凹部15a〜15cがコイル装着脚11a〜11cを取り囲む様に配置されているので、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12間の漏れ磁束が少なくなる。
4.第4実施形態
本実施形態は、図9に示すように、コイル装着脚11a〜11cを四角柱としたものである。共通脚12の凹部15a〜15cの内面は、第1実施形態と同様に、円弧状に湾曲した形状である。他の構成は、第1実施形態と同様である。コイル装着脚11a〜11cに巻回するコイル2a〜2cとしては、第1実施形態と同様に、円筒状のボビンに丸く巻いたものを使用しても良いし、装着脚の形状に合わせて四角筒状のボビンにコイルを四角形に巻回しても良い。
本実施形態においても、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12とは等しい距離の磁路を形成することができ、しかも、共通脚12の凹部15a〜15cがコイル装着脚11a〜11cを取り囲む様に配置されているので、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12間の漏れ磁束が少なくなる。コイル装着脚11a〜11cの外周面と共通脚12の凹部15a〜15c内面との距離は、前記各実施形態に比較すると、四角柱の各部で多少の差が生じるが、リアクトルに要求される磁気的性能の範囲であれば、同一とみなすことができる。
本実施形態において、共通脚12の凹部15a〜15cの内面を、コイル装着脚11a〜11cの形状に合わせて多角形とすることも可能である。その場合は、コイル装着脚11a〜11cの外周面と共通脚12の凹部15a〜15c内面との距離を、どの部分でも同一とすることができると共に、共通脚12の凹部15a〜15cで囲むコイル装着脚11a〜11cの範囲をより大きく取ることができ、漏れ磁束の低減効果が高い。
5.他の実施形態
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。
(1)コイル装着脚を多角形状とし、共通脚の凹部を多角形とした場合、これら多角形の角の部分については、面取りしたり、曲線状に加工することも可能である。共通脚の周囲に形成された3つの凹部の縁や、3つの凹部に挟まれた部分についても、角の部分を面取りしたり、曲線状に加工することもできる。
(2)図示の実施形態は、コアを構成するコイル装着脚、共通脚及びヨークをそれぞれ別部材としたが、これらのすべてあるいは適宜の組み合わせを一体に構成することも可能である。これらの材質としては、フェライト、アモルファス、圧粉、積層などを単独あるいは組み合わせて使用することができる。
(3)コイル装着脚11a〜11cや共通脚12の中段、あるいはコイル装着脚11a〜11cや共通脚12と上下のヨーク13a,13bの接合部分に、スペーサあるいは充填材を使用したギャップやエアギャップを設けることができる。
(4)図5に示す実施形態では、上下のヨーク13a,13bのそれぞれに、3本のコイル装着脚11a〜11cと共通脚12の上半分または下半分を固定し、両者を組み合わせることでリアクタを構成したが、いずれか一方のヨーク(例えば、下方のヨーク13b)に、図5の2倍の長さを有する3本のコイル装着脚11a〜11cと共通脚12を固定し、これらコイル装着脚11a〜11cと共通脚12の先端に板状のヨーク13aを固定しても良い。また、コイル装着脚11a〜11cと共通脚12を短いものとする場合には、図形リスト5の何れか一方のヨークと板状のヨークとを組み合わせて、リアクタを構成することもできる。
1…コア
2a〜2c…コイル
21a〜21c…ボビン
11a〜11c…コイル装着脚
12…共通脚
13a,13b…ヨーク
14a〜14c…ヨークの外周面
15a〜15c…凹部
16a〜16c…先端

Claims (7)

  1. 共通脚と、その周囲に配置された3本のコイル装着脚と、これら4本の脚の上下の端部に配置されて各脚を連結する上下のヨークと、前記各コイル装着脚にそれぞれ巻回されたコイルを備えたリアクタにおいて、
    前記3本のコイル装着脚が同一断面形状で、各コイル装着脚の中心が前記共通脚の中心から等距離の位置で、且つ共通脚の中心から等しい角度の間隔を保って配置され、
    前記共通脚の断面形状が前記コイル装着脚との対向部に凹部が形成されたもので、この凹部が前記コイル装着脚の共通脚との対向面を取り囲んでいる、
    ことを特徴とするリアクタ。
  2. 前記各コイル装着脚の外周面と前記共通脚の外周面の間隔が等距離に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクタ。
  3. 前記コイル装着脚が円柱状で、前記共通脚の外周面に形成された前記凹部の内面が円弧状であることを特徴とする請求項1に記載のリアクタ。
  4. 前記コイル装着脚が多角柱状で、前記共通脚の外周面に形成された前記凹部の内面が、前記コイル装着脚の多角柱の外周面と対向する平面を有する多角形であることを特徴とする請求項1に記載のリアクタ。
  5. 前記コイル装着脚の断面積に対する前記共通脚の断面積が、0.8から1の範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクタ。
  6. 前記リアクタが、3相リアクタであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクタ。
  7. 前記リアクタが、インターリーブタイプのリアクタであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクタ。
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