JP2014218761A - クラフトパルプの蒸解方法 - Google Patents
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- D21C1/00—Pretreatment of the finely-divided materials before digesting
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Abstract
【課題】広葉樹の木材チップの蒸解性を従来よりも向上させることである。【解決手段】広葉樹の木材チップを酸溶液に浸漬することによって、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下にした後、クラフト蒸解することを特徴とするクラフトパルプの蒸解方法。【選択図】なし
Description
本発明は、クラフトパルプの蒸解方法に関するものであり、詳しくは、広葉樹の木材チップを酸溶液に浸漬することによって、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下にした後、クラフト蒸解することを特徴とするクラフトパルプの蒸解方法に関するものである。
木材チップ及びその他繊維原料を水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムを主成分とする蒸解薬液によって高温で蒸解することをクラフト蒸解と言い、クラフト蒸解によって得られるパルプをクラフトパルプと言う。
クラフト蒸解においては、木材チップ中のリグニンを分解除去(脱リグニン)することによって、セルロースを主成分とするクラフトパルプを得る。脱リグニンの程度は一般に「カッパー価」として表現される。カッパー価が低いほどパルプ中に残存しているリグニンが少ない。
一方、脱リグニンの効率は「蒸解性」という言葉で表現される。同一の蒸解温度・蒸解時間・蒸解薬液添加量において、得られたパルプのカッパー価が低いほど、脱リグニンの効率が高い、すなわち蒸解性が良いこととなる。
蒸解性はクラフトパルプの生産性に大きな影響を及ぼす。従って、クラフトパルプの蒸解性を向上させるために多くの方法が提案されてきた。
Saltbergらによると、アスペンやカバノキのチップを酸溶液に浸漬することによって蒸解性が向上する(非特許文献1参照)。しかしながら、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量に関する考察は行われていない。
蒸解性の向上を意図したものではないが、木材チップを酸溶液で前処理した後クラフト蒸解する技術が公知となっている(特許文献1参照)。しかしながら、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量に関する規定は記載されていない。
Anna Saltberg et al., Nordic Pulp and Paper Research Journal, 24(4), 440-447, (2009)
本発明は、広葉樹の木材チップをクラフト蒸解する際の蒸解性を向上させる方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、広葉樹の木材チップをクラフト蒸解する際の蒸解性を向上させる方法について鋭意検討を重ねた結果、広葉樹の木材チップを酸溶液に浸漬することによって、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下にした後、クラフト蒸解することによって、蒸解性が向上することを見出し、本発明に至った。
本発明のクラフトパルプの蒸解方法によれば、広葉樹の木材チップを酸溶液に浸漬することによって、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下にした後、クラフト蒸解することによって、蒸解性を向上させることができる。
以下に本発明の具体例を示すが、本発明は以下の具体例に限定されない。
本発明は、広葉樹の木材チップを酸溶液に浸漬することによって、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下にした後、クラフト蒸解することを特徴とするクラフトパルプの蒸解方法である。
本発明におけるエタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分(以下、抽出成分)とは、脂肪酸や樹脂酸及びそれらのエステル等である。これら抽出成分は蒸解薬液を消費するため蒸解性を低下させる原因となる。酸溶液に浸漬する前の木材チップ中におけるこれら抽出成分の含有量に特に制限はないが、酸溶液に浸漬した後の木材チップ中における抽出成分の含有量が対木材チップ絶乾質量あたり1.5%よりも多いと、蒸解薬液を消費し蒸解性が低下するため、木材チップを酸溶液に浸漬し抽出成分を除去することによって、抽出成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下にすることが好ましい。
本発明におけるエタノール・トルエン抽出法とは、溶剤としてエタノールとトルエンの混合溶液(モル比がエタノール:トルエン=82:18)を使用する以外は、JIS P 8010(1976)と同じ方法である。
本発明において用いられる酸溶液を構成する酸の種類に特に制限はないが、塩酸はチップ中から黒液中に移行した場合、回収ボイラーにおける水管付着物の原因となるため好適でなく、リン酸も同様に黒液中に移行した場合、最終的には苛性化工程における石灰中に蓄積し石灰純度を低下させる原因となるため好適でない。従って、回収系に悪影響を及ぼしにくく比較的安価な硫酸が好ましい。
本発明における酸溶液のpHに特に制限はないが、酸溶液のpHが4.0より高いと抽出成分の除去が十分でなくなり、蒸解性の向上効果が小さくなるため、酸溶液のpHは4.0以下にすることが好ましい。
本発明における酸浸漬時の温度に特に制限はないが、酸浸漬時の温度が50℃より低いと抽出成分の除去が十分でなくなり、蒸解性の向上効果が小さくなるため、酸浸漬時の温度は50℃以上にすることが好ましい。
本発明における酸浸漬の時間に特に制限はないが、酸浸漬の時間が10分より短いと抽出成分の除去が十分でなくなり、蒸解性の向上効果が小さくなるため、酸浸漬の時間は10分以上にすることが好ましい。
本発明において用いられる広葉樹チップの樹種に特に制限はないが、パルプ用材として一般的なEucalyptus属、Acacia属、Betula属及びPopulus属が好ましい。
以下に実施例を挙げるが、本発明はこの実施例により何ら限定されない。
(実施例1)
純水に硫酸を添加してpH2.0に調整した酸溶液を70℃に加熱し、この酸溶液中にAcacia mangiumチップを1時間浸漬した。酸浸漬中の温度は70℃を保持した。酸浸漬後のチップを水洗し酸を洗い流した。水洗後のチップをHF1123、液比4.5、保持温度170℃の条件でラボ用蒸解釜を用いて蒸解した。有効アルカリ添加率は、チップ絶乾質量に対して、11.6質量%、12.0質量%及び12.5質量%の3点に振った。蒸解後におけるパルプのカッパー価を測定した。また、水洗後のチップの一部を乾燥し木粉化した後、エタノール・トルエン抽出法による抽出成分の含有量を測定した。
純水に硫酸を添加してpH2.0に調整した酸溶液を70℃に加熱し、この酸溶液中にAcacia mangiumチップを1時間浸漬した。酸浸漬中の温度は70℃を保持した。酸浸漬後のチップを水洗し酸を洗い流した。水洗後のチップをHF1123、液比4.5、保持温度170℃の条件でラボ用蒸解釜を用いて蒸解した。有効アルカリ添加率は、チップ絶乾質量に対して、11.6質量%、12.0質量%及び12.5質量%の3点に振った。蒸解後におけるパルプのカッパー価を測定した。また、水洗後のチップの一部を乾燥し木粉化した後、エタノール・トルエン抽出法による抽出成分の含有量を測定した。
(比較例1)
酸浸漬及び水洗を行わなかった他は実施例1と同様にして、木材チップ中における抽出成分の含有量及び蒸解後におけるパルプのカッパー価を測定した。
酸浸漬及び水洗を行わなかった他は実施例1と同様にして、木材チップ中における抽出成分の含有量及び蒸解後におけるパルプのカッパー価を測定した。
(比較例2)
酸浸漬の時間を5分間とした他は実施例1と同様にして、木材チップ中における抽出成分の含有量及び蒸解後におけるパルプのカッパー価を測定した。
酸浸漬の時間を5分間とした他は実施例1と同様にして、木材チップ中における抽出成分の含有量及び蒸解後におけるパルプのカッパー価を測定した。
上記表1における実施例と比較例から明らかなように、チップを酸浸漬し、木材チップ中における抽出成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下とした方が蒸解後のカッパー価は低い値を示した。
比較例と比較して、実施例のようにチップを酸浸漬し、木材チップ中における抽出成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下とすることによって、蒸解性を従来よりも向上させることができる。
Claims (3)
- 広葉樹の木材チップを酸溶液に浸漬することによって、エタノール・トルエン抽出法によって抽出される木材成分の含有量を対木材チップ絶乾質量あたり1.5%以下にした後、クラフト蒸解することを特徴とするクラフトパルプの蒸解方法。
- 上記広葉樹がAcacia属であることを特徴とする請求項1記載のクラフトパルプの蒸解方法。
- 上記酸溶液のpHが4.0以下、温度が50℃以上であり、酸溶液への浸漬時間が10分以上であることを特徴とする請求項1または2記載のクラフトパルプの蒸解方法。
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JP2013098973A JP2014218761A (ja) | 2013-05-09 | 2013-05-09 | クラフトパルプの蒸解方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019007128A (ja) * | 2015-05-12 | 2019-01-17 | ピーティー アジア パシフィック レーヨン | 溶解パルプ |
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2013
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