JP2014215230A - ガスセンサ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料や排ガス中にエタノールが含有され、さらにはその含有量が多い場合でも、応答性能の低下が抑制されるガスセンサ素子を提供する。【解決手段】被測定ガス側電極41と基準ガス側電極42からなる一対の電極4を両側に備えた固体電解質層3と、被測定ガス側電極41を被測定ガス空間8aを介して包囲する多孔質拡散抵抗層2と、多孔質拡散抵抗層2とともに被測定ガス空間を画成する遮蔽層1と、基準ガス側電極42を基準ガス空間8bを介して包囲する基準ガス空間保護層5と、少なくとも多孔質拡散抵抗層2の外側面に形成されている触媒担持保護層9と、からなるガスセンサ素子10において、触媒担持保護層9には、非貴金属触媒92と、アルカリ金属の酸化物93もしくはアルカリ土類金属の酸化物が含まれている。【選択図】図1
Description
本発明は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子に関するものである。
各種産業界においては、環境影響負荷低減に向けた様々な取り組みが世界規模でおこなわれており、中でも、自動車産業においては、燃費性能に優れたガソリンエンジン車は勿論のこと、ハイブリッド車や電気自動車等のいわゆるエコカーの普及とそのさらなる性能向上に向けた開発が日々進められている。
車両の燃費性能の測定に関しては、排気ガス等の被測定ガス中の酸素濃度をガスセンサにて検知し、大気中の酸素を基準ガスとしてこの酸素濃度との差を求めることによっておこなわれている。
このガスセンサを構成するガスセンサ素子の一つの実施形態の具体的な構成としては、被測定ガス側電極と基準ガス側電極からなる一対の電極を両側に備えた固体電解質層と、被測定ガス側電極を被測定ガス空間を介して包囲する多孔質拡散抵抗層(もしくは拡散律速層)と、多孔質拡散抵抗層とともに被測定ガス空間を画成する遮蔽層と、基準ガス側電極を基準ガス空間を介して包囲する基準ガス空間保護層と、ヒータ等の発熱源とから構成される検知部と、この検知部を包囲する触媒担持保護層であって、貴金属触媒粒子が担持された触媒担持保護層(もしくは触媒担持トラップ層)とから大略構成されるものが一般的であり、この構成を備えたガスセンサ素子が特許文献1,2に開示されている。
ガスセンサの出力精度を高めるには、排気ガス中の水素ガスに起因するガスセンサ素子の出力ずれを抑制する必要がある。この出力ずれは、被測定ガスの導入量を抑制する上記多孔質拡散抵抗層を通過する水素ガスが他の酸素ガスや一酸化炭素ガス等に比べて分子量が小さく、他のガスよりも多孔質拡散抵抗層を速く通過するために、被測定ガス側電極付近で水素ガスが過剰となり、これがガスセンサ素子周囲の排気ガス中の水素ガス濃度と異なることによって齎されるものである。
一方、ガスセンサに要求される他の性能として応答性能が挙げられる。この応答性能は貴金属触媒の量によるところが大きいが、従来のガスセンサ素子においては、上記する出力ずれを抑制するべく、水素ガスとの反応を促進させるために可及的に多くの貴金属触媒粒子が触媒担持保護層内に担持されており、そのために排気ガスの反応時間がかかり過ぎて今度はセンサの応答性が低下するという別の課題を有するとともに、貴金属触媒量が多くなることで材料コストが嵩むといった課題もあった。
そこで、特許文献3には、トラップ層にペロブスカイト構造の卑金属酸化物を触媒として含有するガスセンサ素子が開示されている。
トラップ層が触媒としてペロブスカイト構造の卑金属酸化物を含有することにより、トラップ層の触媒性能の耐久劣化を抑制することができるとともに早期に活性することのできる、低コストのガスセンサ素子を得ることができるとしている。
被測定ガス中の水素ガス等をトラップ層において浄化する浄化率については、卑金属酸化物はガスセンサ素子の使用環境下において貴金属のみかなる触媒と同等の性能を発揮することができるため、触媒として卑金属酸化物を含有させることによって触媒中の貴金属の含有量を減らしたり、貴金属を含有しないように構成してもガスセンサ素子の活性温度を十分に低くすることができ、ガスセンサ素子を早期に活性化することができるとしている。また、ペロブスカイト構造の卑金属酸化物は貴金属よりも融点が高いため、ガスセンサ素子の実際の使用環境である高温環境下においても貴金属のみを用いた触媒とは異なり、卑金属酸化物の触媒が蒸散することがなく、また凝集することもないことから、ガスセンサ素子の高温安定性を向上させることもでき、触媒性能の耐久劣化を抑制することができるとしている。
ところで、上記するハイブリッド車や電気自動車のほかに、ガソリンでもエタノール(バイオエタノール)でも走行可能なフレキシブル・フューエル・ビーヒクル(FFV)も昨今注目されている車両の一つである。このFFVの今後の普及を勘案するに、燃料や排ガス中のエタノールの増加によってガスセンサの応答遅れの発生が予想される。また、FFVの多用が想定される国において粗悪燃料が使用される場合には、このような燃料に起因したSOx被毒による性能劣化も危惧される。
このエタノールに起因した課題に対し、特許文献3で開示されるガスセンサ素子を適用することでエタノールの改質は可能ではあるものの、本発明者等の検証によれば、排ガス中のエタノール含有量の増加にともなってガスセンサ素子の応答性能が低下することが見出されており、特許文献3で開示されるガスセンサ素子ではこの新たな課題に対処することは難しい。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、燃料や排ガス中にエタノールが含有され、さらにはその含有量が多い場合でも、応答性能の低下が抑制されるガスセンサ素子を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるガスセンサ素子は、被測定ガス側電極と基準ガス側電極からなる一対の電極を両側に備えた固体電解質層と、被測定ガス側電極を被測定ガス空間を介して包囲する多孔質拡散抵抗層と、多孔質拡散抵抗層とともに被測定ガス空間を画成する遮蔽層と、基準ガス側電極を基準ガス空間を介して包囲する基準ガス空間保護層と、少なくとも多孔質拡散抵抗層の外側面に形成されている触媒担持保護層と、からなるガスセンサ素子において、触媒担持保護層には、非貴金属触媒と、アルカリ金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物が含まれているものである。
本発明者等は、FFVに特有のエタノール含有量の多い排ガス成分を模擬し、A/Fセンサの特性をモデルガス(単ガス成分)で評価した結果、エタノール含有量の増加にともなってガスセンサ素子のガス応答性が低下するとの知見を得た。FFVの将来展開に鑑み、燃料がエタノール化した場合のガスセンサ素子の応答性を向上させる特徴構成として、非貴金属触媒と、アルカリ金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物を、多孔質拡散抵抗層の外側面に形成されている触媒担持保護層に含有させる構成を適用したものである。
ここで、「非貴金属触媒」としては、エタノール改質に特に効果的である、Ni、Cr、Co、Feのうちの少なくとも一種、もしくはその酸化物を挙げることができる。
触媒担持保護層の具体的な構成としては、アルミナ粒子等の表面に、非貴金属触媒と、アルカリ金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物が触媒として担持された触媒担持担体の集合体を挙げることができる。
本発明のガスセンサ素子では、触媒に貴金属触媒を使用しないことから、従来の貴金属触媒を適用するガスセンサ素子に比して製造コストを格段に廉価とできる。なお、貴金属触媒の使用は不要であるものの、Pt、Au等の貴金属触媒も触媒成分として含んでよいことは勿論のことである。
また、上記する非貴金属触媒における炭素析出による活性低下を抑制するべく、触媒担持保護層には、アルカリ金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物が含まれている。
本発明者等による検証、より具体的には、特許文献3で開示されるペロブスカイト構造の卑金属酸化物を具備する触媒担持保護層を備えたガスセンサ素子と本発明のガスセンサ素子との比較実験によれば、燃料中のエタノールが増加した場合でも本発明のガスセンサ素子ではその応答性能の低下が殆どないことが分かっている。このことより、本発明のガスセンサ素子によれば、SOx被毒を受けても、触媒の性能劣化がないことが実証されている。
このように、本発明によるガスセンサ素子は、車両用内燃機関の排気系統に設置されて、排ガスフィードバックシステムに適用される空燃比センサ素子(A/Fセンサ素子)や、排ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサ素子、三元触媒の劣化検知等に利用するNOx等の大気汚染物質濃度を測定するNOxセンサ素子として適用することができ、特にエタノールを燃料源とするFFVにおける各種センサ素子に好適である。
以上の説明から理解できるように、本発明のガスセンサ素子によれば、多孔質拡散抵抗層の外側面に形成されている触媒担持保護層において、非貴金属触媒と、アルカリ金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物が含まれていることにより、製造コストを低減しながら、燃料や排ガス中にエタノールが含有されている場合でも応答性能の低下を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明のガスセンサ素子の実施の形態を説明する。図1は、本発明のガスセンサ素子を説明した模式図であってその横断面を示したものであり、図2は図1中のII部を拡大した図である。
図1で示すガスセンサ素子10は、被測定ガス中の特定成分の濃度を検知するガスセンサ素子であり、特にFFVに適用される、空燃比センサ素子(A/Fセンサ素子)や酸素センサ素子、NOxセンサ素子として適用される。
その具体的な構成は、被測定ガス側電極41と基準ガス側電極42からなる一対の電極4を両側に備えた固体電解質層3と、被測定ガス側電極41を被測定ガス空間8aを介して包囲する多孔質拡散抵抗層2と、多孔質拡散抵抗層2とともに被測定ガス空間8aを画成する遮蔽層1と、基準ガス側電極42を基準ガス空間8bを介して包囲する基準ガス空間保護層5と、発熱源6および発熱源基板7と、から検知部が構成され、多孔質拡散抵抗層2の外側面に触媒担持保護層9が形成されている。
発熱源6は、その内部に発熱体となるヒータを備えており、ガスセンサ素子10の加熱領域を形成してその活性温度となるように加熱制御される。
固体電解質層3はジルコニアから形成されており、被測定ガス側電極41と基準ガス側電極42はともに白金から形成されている。また、遮蔽層1と基準ガス空間保護層5はともにガス不透過な内部構造を呈し、ともにアルミナから形成されている。
空燃比センサ素子を例に取り上げると、一対の電極4に対し、酸素濃度差と電流がリニアな相間を有する電圧を印加し、被測定ガス側電極41に被測定ガスを接触させ、基準ガス側電極42には大気等の基準ガスを接触させ、双方の酸素濃度差に応じて電極間に生じる電流値を測定し、測定電流に基づいて車両エンジンの空燃比を特定することができる。
多孔質拡散抵抗層2は、被測定ガス側電極41に対する被測定ガスの導入量を抑制するために被測定ガス側電極41の周囲の被測定ガス空間8aを画成する位置に設けてあり、多孔質拡散抵抗層2の外側にある触媒担持保護層9を介して導入された排気ガスを構成する水素ガスや一酸化炭素ガス、酸素ガスなどがさらに多孔質拡散抵抗層2を介して被測定ガス空間8aに導入されるようになっている。
触媒担持保護層9は、被測定ガス中に含まれてガスセンサ素子10の検出精度を低下させる恐れのある、水素ガスや一酸化炭素ガスなどの未燃焼ガスを燃焼させる作用を奏することのほか、鉛やケイ素、リンなどの被測定ガス側電極41を被毒させる被毒物質を捕集する作用を奏する。また、ガスセンサ素子10は、エタノール分の多い排ガス中において、その成分によって応答性が低下するとの本発明者等の知見に基づき、エタノールがセンサの検知部に到達する前に除去するべく、多孔質拡散抵抗層2の外側に配設されるものである。なお、図示例以外にも、触媒担持保護層が検知部の全周に形成されている形態のガスセンサ素子であってもよい。
触媒担持保護層9は、α−アルミナ等のアルミナ粒子91に、触媒として、非貴金属触媒92もしくはその酸化物と、アルカリ金属の酸化物93(もしくはアルカリ土類金属の酸化物)が担持されたものの集合体から構成されている。触媒担体にα−アルミナを適用することで、触媒担持保護層9の耐熱性を高めることができ、ガスセンサ素子10の長寿命化に繋がる。
ここで、非貴金属触媒92としては、Ni、Cr、Co、Feのうちの少なくとも一種、もしくはこれらの酸化物が適用される。これらの金属種はエタノール改質に効果があり、排ガス中のエタノールを効果的に分解することができる。
また、アルカリ金属93(もしくはアルカリ土類金属)としては、Na、K、Ca、Mgのうちの少なくとも一種が適用される。
このように触媒担持保護層9を構成する触媒に貴金属触媒を使用しないことから、従来の貴金属触媒を適用するガスセンサ素子に比して製造コストを格段に廉価とできる。なお、必要に応じて白金やロジウム、パラジウム等の貴金属触媒を触媒成分として含んでもよい。
また、触媒担持保護層9がアルカリ金属の酸化物93(もしくはアルカリ土類金属の酸化物)を含んでいることで、非貴金属触媒における炭素析出による活性低下や、SOx被毒による活性低下を抑制することができる。
[燃料中のエタノール含有量と排ガス中のエタノール含有量の相関、および、エタノール含有量の変化に応じてガスセンサ素子の応答性が相違することを検証した実験とそれらの結果]
本発明者等はまず、エタノール含有量を変化させたエタノール燃料を用いて、実機エンジンにてガス応答性を評価する実験をおこなった。ここで、エタノール燃料としては、エタノールの含有割合(体積%)の相違により、0%のものをE0、20%のものをE20、40%のものをE40、60%のものをE60、85%のものをE85、100%のものをE100とした6種を適用した。図3は、燃料中のエタノール含有量の変化に応じてガスセンサ素子の応答性が相違することを検証する実験結果を示した図であり、各燃料を使用した際の空燃比がリーン側の場合、およびリッチ側の場合の65msec応答(1600rpm−20g/sec)を検証した結果である。
本発明者等はまず、エタノール含有量を変化させたエタノール燃料を用いて、実機エンジンにてガス応答性を評価する実験をおこなった。ここで、エタノール燃料としては、エタノールの含有割合(体積%)の相違により、0%のものをE0、20%のものをE20、40%のものをE40、60%のものをE60、85%のものをE85、100%のものをE100とした6種を適用した。図3は、燃料中のエタノール含有量の変化に応じてガスセンサ素子の応答性が相違することを検証する実験結果を示した図であり、各燃料を使用した際の空燃比がリーン側の場合、およびリッチ側の場合の65msec応答(1600rpm−20g/sec)を検証した結果である。
同図より、リーン側、リッチ側ともに、燃料中のエタノール含有量の増加にともなってガスセンサ素子の応答性が低下することが分かる。
また、同図より、エタノールによるガスセンサ素子の応答性悪化は、排ガス中に酸素濃度の少ないリッチ側で顕著であることが分かる。この領域でのエタノール除去には酸素による燃焼が困難であることから、水蒸気による改質反応が有効である。ところで、従来から使用されている貴金属触媒の中でもRhを適用する場合には、還元雰囲気において、水蒸気改質によってエタノールの分解が可能であるが、材料コスト等との関連から微量の適用では十分な改質能力は期待できない。なお、記述する特許文献3で記載されるペロブスカイト構造の非貴金属触媒を適用してもエタノールの改質は可能であるものの、水蒸気改質能が不十分である。さらに、ペロブスカイト構造の非貴金属触媒はそのBサイトにアルカリ土類金属を含んでいるため、燃料に不純物であるSが含まれている場合にはSox被毒などによって触媒性能が低下する恐れがあって好ましくない。
本発明者等はさらに、図3で示した各種燃料からなる排ガスのガス分析をおこない、その結果を図4に示している。
同図より、燃料中のエタノール含有量の増加にともなって、排ガス中のエタノール含有量も増加することが分かる。
これらの実験結果より、排ガス中のエタノールがガスセンサ素子の応答性低下の要因となっている可能性が高いことが推察される。
そこで、本発明者等は、モデルガス装置を使用し、より単純なガス成分を用いてエタノールの影響調査を試みた。その結果を図5a,bに示している。ここで、図5aはエタノールの添加がなく、酸素と一酸化炭素からなるベースガスに対するガスセンサ素子の応答性を検証する実験結果を示した図であり、図5bはベースガスにエタノールが添加されているガスに対するガスセンサ素子の応答性を検証する実験結果を示した図である。
図5a、bより、ベースガスのみではガスセンサ素子の応答性に殆ど変化がないのに対して、ガスにエタノールが添加され、しかもエタノールの濃度が増加するとガスセンサ素子の応答性が低下することが分かる。
この実験結果より、ガスセンサ素子の応答性の低下の主要因としてエタノールが特定され、その濃度の増加にともなってガスセンサ素子の応答性が低下することが特定された。このように、ガスセンサ素子の応答性低下の要因としてエタノールを特定したことはこれまでにない新たな課題の特定であり、このエタノールによる応答性低下という課題を解決するための技術の発案は新規な技術思想である。
[本発明のガスセンサ素子の応答性能を検証する実験とその結果]
本発明者等はさらに、本発明のガスセンサ素子の応答性能を検証する実験をおこなった。この実験は、図1,2で示す本発明のガスセンサ素子(実施例)と、特許文献3で記載されるペロブスカイト構造の非貴金属触媒を適用したガスセンサ素子(比較例)をそれぞれ製作し、燃料がE0〜E100の6種のそれぞれの場合の65msec応答(1600rpm−20g/sec)を検証したものである。その結果を図6に示す。
本発明者等はさらに、本発明のガスセンサ素子の応答性能を検証する実験をおこなった。この実験は、図1,2で示す本発明のガスセンサ素子(実施例)と、特許文献3で記載されるペロブスカイト構造の非貴金属触媒を適用したガスセンサ素子(比較例)をそれぞれ製作し、燃料がE0〜E100の6種のそれぞれの場合の65msec応答(1600rpm−20g/sec)を検証したものである。その結果を図6に示す。
さらに、燃料の中でエタノール含有量が60体積%(60E)の燃料を使用した場合の、実施例および比較例それぞれの被毒前後の応答性も検証した。ここで、被毒条件は、各ガスセンサ素子をSO2濃度が1000ppmの排ガス中に、600℃で2時間曝したものである。この検証結果を図7に示す。
図6より、エタノール濃度の増加にともなって比較例の応答性は徐々に低下するのに対して、実施例の応答性はE0〜E100の6種の燃料で殆ど変化しないことが実証されている。
また、図7より、比較例は被毒前の初期値に対して被毒後の応答値が50%程度にまで低減しているのに対して、実施例は被毒の前後で応答性能に殆ど変化がないことが実証されている。
この実験結果より、本発明のガスセンサ素子を構成する触媒担持保護層が、燃料および排ガス中のエタノール改質性能に優れていることが確認される。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…遮蔽層、2…多孔質拡散抵抗層、3…固体電解質層、4…一対の電極、41…被測定ガス側電極、42…基準ガス側電極、5…基準ガス空間保護層、6…発熱源(ヒータ)、7…発熱源基板、8a…被測定ガス空間、8b…基準ガス空間、9…触媒担持保護層、91…アルミナ粒子、92…非貴金属触媒、93…アルカリ金属の酸化物(もしくはアルカリ土類金属の酸化物)、10…ガスセンサ素子
Claims (3)
- 被測定ガス側電極と基準ガス側電極からなる一対の電極を両側に備えた固体電解質層と、
被測定ガス側電極を被測定ガス空間を介して包囲する多孔質拡散抵抗層と、
多孔質拡散抵抗層とともに被測定ガス空間を画成する遮蔽層と、
基準ガス側電極を基準ガス空間を介して包囲する基準ガス空間保護層と、
少なくとも多孔質拡散抵抗層の外側面に形成されている触媒担持保護層と、からなるガスセンサ素子において、
触媒担持保護層には、非貴金属触媒と、アルカリ金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物が含まれているガスセンサ素子。 - 非貴金属触媒がNi、Cr、Co、Feのうちの少なくとも一種、もしくはその酸化物からなる請求項1に記載のガスセンサ素子。
- アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属がNa、K、Ca、Mgのうちの少なくとも一種からなる請求項1または2に記載のガスセンサ素子。
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- 2013-04-26 JP JP2013094116A patent/JP2014215230A/ja active Pending
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