JP2014214192A - 色材分散体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着色磁性粒子および水性溶媒を含有し、水性溶媒中に着色磁性粒子が分散された色材分散体である。着色磁性粒子が、磁性粒子と、磁性粒子の表面を被覆するように形成された色材層と、から構成され、磁性粒子が、ニッケルより比重が小さいコア粒子と、コア粒子の表面を被覆するように形成されたニッケル層と、から構成され、磁性粒子の比重(D)が、5.3〜7.9の範囲内であり、かつ、着色磁性粒子の全体積に占めるニッケル層の体積比率(V)が、10.5〜32.0%の範囲内であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
CH2=CR1−COO−(CH2−CH2−O)m−R2 :(1)
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはヘテロ芳香族炭化水素基、mは0〜2の整数を示す)
CH2=CR3−Ar−R4 :(2)
(式中、R3は水素原子またはメチル基、Arはフェニレン基、R4は−R5、−OR5または−COOR5で表される基であり、R5は炭素数1〜18のアルキル基を示す)
CH2=CR6−COO−(CH2−CH2−O)n−H :(3)
(式中、R6は水素原子またはメチル基、nは0〜2の整数を示す)
着色磁性粒子は、磁性粒子と、前記磁性粒子の表面を被覆するように形成された色材層と、から構成されている。
磁性粒子は、ニッケルより比重が小さいコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆するように形成されたニッケル層と、から構成されている。このように、磁性粒子をコア粒子とニッケル層の二重構造とし、コア粒子の比重を小さくすることにより、ニッケル粒子よりも磁性粒子全体の比重を小さくすることができる。従って、水性溶媒中で沈降し難く、分散安定性が良好な磁性粒子とすることができる。
コア粒子はニッケル(比重8.9)より比重が小さい粒子であり、磁性粒子の芯材として機能する。比重の値は特に限定されないが、2.0以下であることが好ましい。具体的な材質は特に限定されないが、例えばシリカ粒子(比重1.95)を挙げることができる。シリカ粒子は、粒度分布が小さいナノサイズの市販品を入手することができ、しかも粒子が凝集し難い点においても好ましい。
ニッケル層は、前記コア粒子の表面を被覆するように形成される層であり、磁性粒子において磁性を発揮する部分である。ニッケル層は磁性粒子の比重を小さくするため、薄膜である必要がある。但し、その厚さは特に限定されず、10〜30nmであることが好ましく、10〜20nmであることが更に好ましい。10nm以上とすることにより、磁性粒子の比重(D)を5.3以上とすることができる。一方、30nm以下とすることで、磁性粒子の比重(D)を7.9以下とすることができる。なお、ニッケル層の厚さは、コア粒子の粒径と同様に、TEMにより、観察・測定された磁性粒子100個のニッケル層厚さの平均値を意味するものとする。
磁性粒子の比重(D)は、5.3〜7.9の範囲内とする。比重(D)が5.3以上であれば、コア粒子表面に十分な量のニッケルが担持されており、磁性粒子として必要な磁性を発揮させることが可能である。一方、7.9以下であれば、水性溶媒に分散させた着色磁性粒子が沈降し難くなる。即ち、分散安定性の高い着色磁性粒子を構成することができる。なお、磁性粒子の比重(D)は、JIS K0061に準拠した比重瓶法により測定した値を意味するものとする。
着色磁性粒子の全体積に占めるニッケル層の体積比率(V)は、10.5〜32.0%の範囲内とする。体積比率(V)を10.5%以上とすることにより、コア粒子表面に十分な量のニッケルが担持され、磁性を発揮させることが可能となる。一方、32.0%以下とすることで、着色磁性粒子を水性溶媒に分散させた際に、着色磁性粒子が沈降し難くなり、着色磁性粒子の分散性を向上させることができる。
磁性粒子は、コア粒子の表面にニッケル層(ニッケル薄膜)を形成することにより調製することができる。ニッケル薄膜の形成方法は特に限定されないが、例えば無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着法、CVD法等を挙げることができる。これらの中では、ニッケル層の厚みを制御し易いという理由から無電解メッキ法が好ましい。
色材層は、磁性粒子の表面を被覆するように形成された層である。磁性粒子の表面が色材層に被覆されていることにより、磁性粒子固有の色彩は隠蔽される。従って、色再現性に優れたインク組成物を調製することが可能となる。また、色材が磁性粒子と一体化された着色磁性粒子を構成しているため、印刷後、磁気エネルギーの印加により、磁性粒子とともに色材を水性溶媒から迅速に分離することができる。従って、インクの乾燥時間および定着時間を短縮することができる。
色材層の厚さは特に限定されないが、10〜30nmであることが好ましく、10〜20nmであることが更に好ましい。10nm以上とすることにより、磁性粒子の表面を十分に被覆することができる。一方、30nm以下とすることで、磁性粒子に由来する磁気応答性を有効に発揮させることができる。なお、色材層の厚さは、下記式により算出された値を意味するものとする。ここで、磁性粒子の粒径は、TEMにより観察・測定された磁性粒子100個の粒径の平均値を意味するものとする。
色材層の厚さ=(着色磁性粒子の粒径−磁性粒子の粒径)×0.5
色材層を構成する色材としては、水溶性染料、油溶性染料、顔料等を挙げることができる。中でも、色味が良い点において、油溶性染料または顔料が好ましい。
C.I.ソルベントイエロー21、同42、同79、同82、同83:1、同88;
C.I.ソルベントブルー25、同38、同44、同67、同70;
C.I.ソルベントレッド8、同49、同83:1、同91、同127、同218;
C.I.ソルベントブラック3、同27、同29、同45;等。
C.I.ピグメントイエロー3、同74、同93、同95、同109、同120、同128、同138、同151、同175、同183、同184;
C.I.ピグメントブルー15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16;
C.I.ピグメントグリーン7;
C.I.ピグメントレッド12、同122、同184、同202;
C.I.ピグメントバイオレット19、同32;
C.I.ピグメントブラック1、同7、同10、同31、同32;等。
磁性粒子の表面に色材層(色材薄膜)を形成することにより着色磁性粒子を調製することができる。色材層の形成方法は特に限定されないが、色材が油溶性染料の場合は、転相法により色材層を形成することができる。例えば油溶性染料を有機溶媒に溶解させて染料溶液とし、前記染料溶液に磁性粒子を添加し混合して混合液とし、前記混合液を水中に滴下することにより、磁性粒子表面に色材を析出させることが好ましい。前記有機溶媒としては、油溶性染料を200g/L以上溶解させる溶解力を有するものが好ましい。また、磁性粒子の凝集を防止するため、色材層の形成に先立って界面活性剤等により磁性粒子の表面を処理しておくことも好ましい。
水性溶媒は、着色磁性粒子を分散させるための媒体である。その組成は特に限定されないが、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒等を用いることができる。
本発明の色材分散体は、着色磁性粒子および水性溶媒を必須成分とするが、更に高分子分散剤を含有するものであってもよい。高分子分散剤を含有させることで、着色磁性粒子をより安定的に分散させることができる。
疎水性単位としては、例えば下記一般式(1)で示される疎水性モノマー(1)に由来する繰り返し単位を挙げることができる。疎水性モノマー(1)は、(メタ)アクリル酸エステル類またはその誘導体である。
CH2=CR1−COO−(CH2−CH2−O)m−R2 :(1)
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはヘテロ芳香族炭化水素基、mは0〜2の整数を示す)
CH2=CR3−Ar−R4 :(2)
(式中、R3は水素原子またはメチル基、Arはフェニレン基、R4は−R5、−OR5または−COOR5で表される基であり、R5は炭素数1〜18のアルキル基を示す)
親水性単位としては、例えば下記一般式(3)で示される親水性モノマー(3)に由来する繰り返し単位を挙げることができる。親水性モノマー(3)は、(メタ)アクリル酸またはその誘導体である。
CH2=CR6−COO−(CH2−CH2−O)n−H :(3)
(式中、R6は水素原子またはメチル基、nは0〜2の整数を示す)
高分子分散剤の重量平均分子量は、1,000〜140,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜90,000の範囲内であることが更に好ましい。重量平均分子量を1,000以上とすることにより、分散安定性を向上させることができる。一方、140,000以下とすることにより、低粘性とすることができ、有機溶媒への溶解性を向上させることができる。なお、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)をはじめとする各種クロマトグラフィー、静的光散乱法(Static Light Scattering:SLS)等により測定することができる。但し、本明細書に言う「重量平均分子量」は、GPCにより測定した重量平均分子量を意味するものとする。
高分子分散剤を構成する共重合体が、親水性単位として、(メタ)アクリル酸類に由来する単位を含む場合には、共重合体の酸価が30〜120mgKOH/gであることが好ましい。酸価を30mgKOH/g以上とすることにより、分散安定性が向上するという効果を得ることができる。一方、酸価を120mgKOH/g以下とすることにより、印字後の定着性が向上するという効果を得ることができる。
高分子分散剤は、例えばラジカル重合法、アニオン重合法等の従来公知の重合法により合成することができる。中でも、分子量分布がシャープな共重合体を得られるリビングラジカル重合により合成することが好ましい。これらの重合法により得られた高分子分散剤は、核磁気共鳴分光法(NMR)、赤外分光法(IR)による官能基の定性・定量、各種クロマトグラフィー等により同定することができる。
本発明の色材分散体は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、高分子分散剤以外の各種添加剤を含有するものであってもよい。各種添加剤としては、インク組成物に使用される従来公知の添加剤、例えば界面活性剤、pH調整剤、酸化防止剤、防黴剤等を挙げることができる。
以上説明したように、本発明の色材分散体は、着色磁性粒子および水性溶媒を必須成分として含有し、必要に応じて高分子分散剤およびその他の添加剤を含有するものである。その製法は特に限定されないが、例えば以下の方法により製造することができる。
まず、有機溶媒に高分子分散剤を溶解させて分散剤溶液とし、前記分散剤溶液に着色磁性粒子、必要に応じて高分子分散剤以外の添加剤を添加し、分散処理を行い分散液とする。この分散処理により、高分子分散剤の疎水性ブロックが着色磁性粒子の色材層に付着する。
次いで、前記分散液に水性溶媒を添加する。この際、高分子分散剤の親水性単位が水性溶媒側に配向し、分散状態が安定する。前記分散液に添加する水性溶媒としては水が好ましい。その後、必要に応じて、高分子分散剤溶解用の有機溶媒を留去してもよい。このようにして、水性組成物である色材分散体を得ることができる。
コア粒子としては、市販のシリカゾル粒子(日産化学工業社製「スノーテックス」)を用いた。具体的には、シリカ粒子A(粒径20nm、「スノーテックス30」)、シリカ粒子B(粒径50nm、「スノーテックス20L」)、シリカ粒子C(粒径70nm、「スノーテックスYL」)、シリカ粒子D(粒径80nm、「スノーテックスZL」)の4種類のシリカゾルを用いた。コア粒子の粒径はTEM(日本電子社製「JEM−3000F」)により観察、測定した。
磁性粒子は、前記コア粒子の表面に無電解メッキ法でニッケル層を形成することにより調製した。具体的には、前記コア粒子を25℃の無電解メッキ液(日本カニゼン社製「SE680」)に浸漬し、前記コア粒子の表面にニッケルを析出させ、ニッケル層を形成した。メッキ液への浸漬時間と膜厚の関係は予めデータ採取しておき、そのデータに基づいて浸漬時間を調整することで、前記コア粒子に厚さ5〜40nmのニッケル層を形成した。ニッケル層の厚さおよび磁性粒子の粒径は前記TEMにより観察、測定した。
着色磁性粒子は、色材として油溶性染料を用い、前記磁性粒子の表面に転相法で色材層を形成することにより調製した。具体的には、前記油溶性染料を、前記油溶性染料が200g/L以上溶解される溶解力を有する有機溶媒に溶解させて染料溶液とし、前記染料溶液に磁性粒子を添加し混合して混合液とし、前記混合液をイオン交換水中に滴下することにより、磁性粒子表面に色材を析出させ、色材層を形成した。油溶性染料の濃度を調整することで、前記磁性粒子に厚さ9.4〜40.4nmの色材層を形成した。着色磁性粒子の粒径はSEM(日本電子社製「S−4800」)により観察、測定した。色材層の厚さは、下記式から算出した。
色材層の厚さ=(着色磁性粒子の粒径−磁性粒子の粒径)×0.5
(着色磁性粒子1の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子B(粒径50nm)に厚さ10nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は6.37であった。油溶性染料としてC.I.ソルベントブラック27を、染料溶解用の有機溶媒としてMEKを用い、前記磁性粒子の表面に色材層を形成することにより着色磁性粒子1を得た。着色磁性粒子1の色材層の厚さは20.4nm、着色磁性粒子の全体積に占めるニッケル層の体積比率(V)は16.0%であった。
(着色磁性粒子2の調製)
油溶性染料の濃度を調整したこと以外は調製例1と同様にして、着色磁性粒子2を得た。着色磁性粒子2の色材層の厚さは9.4nm、ニッケル層の体積比率(V)は31.1%であった。
(着色磁性粒子3の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子B(粒径50nm)に厚さ20nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は7.71であった。前記磁性粒子を用いたことと、油溶性染料の濃度を調整したこと以外は調製例1と同様にして、着色磁性粒子3を得た。着色磁性粒子3の色材層の厚さは40.4nm、ニッケル層の体積比率(V)は12.1%であった。
(着色磁性粒子4の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子C(粒径70nm)に厚さ10nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は5.63であった。前記磁性粒子を用いたこと、油溶性染料の濃度を調整したこと以外は調製例1と同様にして、着色磁性粒子4を得た。着色磁性粒子4の色材層の厚さは31.4nm、ニッケル層の体積比率(V)は10.8%であった。
(着色磁性粒子5の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子C(粒径70nm)に厚さ20nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は7.11であった。前記磁性粒子を用いたこと以外は調製例3と同様にして、着色磁性粒子5を得た。着色磁性粒子5の色材層の厚さは20.0nm、ニッケル層の体積比率(V)は29.3%であった。
(着色磁性粒子6の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子C(粒径70nm)に厚さ30nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は7.81であった。前記磁性粒子を用いたこと以外は調製例4と同様にして、着色磁性粒子6を得た。着色磁性粒子6の色材層の厚さは31.0nm、ニッケル層の体積比率(V)は26.2%であった。
(着色磁性粒子7の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子D(粒径80nm)に厚さ10nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は5.34であった。前記磁性粒子を用いたこと以外は調製例4と同様にして、着色磁性粒子7を得た。着色磁性粒子7の色材層の厚さは30.4nm、ニッケル層の体積比率(V)は11.7%であった。
(着色磁性粒子8の調製)
油溶性染料としてC.I.ソルベントレッド218を用いたこと以外は調製例1と同様にして、着色磁性粒子8の色材層の厚さは20.2nm、ニッケル層の体積比率(V)は16.2%であった。
(着色磁性粒子9の調製)
油溶性染料としてC.I.ソルベントブルー70を用いたこと以外は調製例1と同様にして、着色磁性粒子9を得た。着色磁性粒子9の色材層の厚さは20.2nm、ニッケル層の体積比率(V)は16.2%であった。
(着色磁性粒子10の調製)
油溶性染料としてC.I.ソルベントイエロー21を用いたこと以外は調製例1と同様にして、着色磁性粒子10を得た。着色磁性粒子10の色材層の厚さは20.4nm、ニッケル層の体積比率(V)は16.0%であった。
(着色磁性粒子11の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子A(粒径20nm)に厚さ40nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は8.84であった。前記磁性粒子を用いたこと以外は調製例2と同様にして、着色磁性粒子11を得た。着色磁性粒子11の色材層の厚さは10.8nm、ニッケル層の体積比率(V)は55.2%であった。
(着色磁性粒子12の調製)
油溶性染料の濃度を調整したこと以外は、調製例11と同様にして、着色磁性粒子12を得た。着色磁性粒子12の色材層の厚さは30.6nm、ニッケル層の体積比率(V)は23.7%であった。
(着色磁性粒子13の調製)
磁性粒子として、シリカ粒子B(粒径50nm)に厚さ5nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は4.88であった。前記磁性粒子を用いたこと以外は調製例2と同様にして、着色磁性粒子13を得た。着色磁性粒子13の色材層の厚さは10.4nm、ニッケル層の体積比率(V)は17.3%であった。
(着色磁性粒子14の調製)
油溶性染料の濃度を調整したこと以外は、調製例13と同様にして、着色磁性粒子14を得た。着色磁性粒子14の色材層の厚さは20.4nm、ニッケル層の体積比率(V)は8.9%であった。
(着色磁性粒子15の調製)
油溶性染料の濃度を調整したこと以外は、調製例1と同様にして、着色磁性粒子15を得た。着色磁性粒子15の色材層の厚さは30.0nm、ニッケル層の体積比率(V)は9.9%であった。
(着色磁性粒子16の調製)
油溶性染料の濃度を調整したこと以外は、調製例6と同様にして、着色磁性粒子16を得た。着色磁性粒子16の色材層の厚さは21.6nm、ニッケル層の体積比率(V)は35.7%であった。
(着色磁性粒子17の調製)
磁性粒子として、ニッケル粒子(粒径70nm)に厚さ40nmのニッケル層を形成したものを用いた。前記磁性粒子の比重(D)は8.90であった。油溶性染料としてC.I.ソルベントレッド218を、染料溶解用の有機溶媒としてMEKを用い、前記磁性粒子の表面に色材層を形成することにより着色磁性粒子17を得た。着色磁性粒子17の色材層の厚さは10.2nm、着色磁性粒子の全体積に占めるニッケル層の体積比率(V)は68.2%であった。
(着色粒子18の調製)
磁性粒子の代わりに、シリカ粒子B(粒径50nm)を用いた。シリカ粒子Bの比重は1.95であった。磁性粒子の代わりに、シリカ粒子Bを用いたこと以外は調製例1と同様にして、着色粒子18を得た。着色粒子18の色材層の厚さは20.2nm、ニッケル層の体積比率(V)は0%であった。
以下の実施例、比較例において使用する高分子分散剤を合成した。原料モノマーとしてはいずれも、疎水性モノマーとして4−メチルスチレンおよびメタクリル酸2−エトキシエチル、親水性モノマーとしてメタクリル酸を使用した。
(高分子分散剤Aの合成)
まず、三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、ジメチルホルムアミド(溶媒)100g、4−メチルスチレン(疎水性モノマー)35ミリモルと、アゾビスイソブチルニトリル(開始剤)5ミリモルを添加し、撹拌しながら加熱し、系内温度を70℃まで上昇させ、当該温度で重合反応を行い、疎水性ブロックを形成した。反応中、H1−NMR(日本電子社製「ECA400」、測定溶媒:テトラヒドロフラン―d8)により生成物の分子量をモニタリングし、疎水性モノマーの約60%以上が重合したことを確認した後、メタクリル酸2−エトキシエチル(疎水性モノマー)118ミリモルおよびメタクリル酸(親水性モノマー)22ミリモルを添加して重合反応を継続し、共重合体(高分子分散剤A)を得た。
(高分子分散剤Bの合成)
メタクリル酸(親水性モノマー)を13ミリモルに変更し、アゾビスイソブチルニトリル(開始剤)を4.9ミリモルに変更した以外は合成例1と同様にして、共重合体(高分子分散剤B)を得た。
(高分子分散剤Cの合成)
メタクリル酸(親水性モノマー)を60ミリモルに変更し、アゾビスイソブチルニトリル(開始剤)を5.3ミリモルに変更した以外は合成例1と同様にして、共重合体(高分子分散剤C)を得た。
(高分子分散剤Dの合成)
メタクリル酸(親水性モノマー)を60ミリモルに変更し、アゾビスイソブチルニトリル(開始剤)を1.7ミリモルに変更した以外は合成例1と同様にして、共重合体(高分子分散剤D)を得た。
(高分子分散剤Eの合成)
アゾビスイソブチルニトリル(開始剤)を1.3ミリモルに変更した以外は合成例1と同様にして、共重合体(高分子分散剤E)を得た。
(高分子分散剤Fの合成)
アゾビスイソブチルニトリル(開始剤)を15.8ミリモルに変更した以外は合成例1と同様にして、共重合体(高分子分散剤F)を得た。
(色材分散体1の製造)
ガラス容器中に、イソプロパノール(IPA、分散剤溶解用溶媒)9.5gと前記高分子分散剤2.0gを仕込み、前記高分子分散剤をIPAに溶解させて分散剤溶液とし、これに着色磁性粒子1(調製例1)10gを加えて混合し、超音波分散機(本田電子社製「W−113」)により分散を行い、分散液とした。前記分散液にイオン交換水38gを加えた後、更に衝突型分散機(スギノマシン社製「スターバーストミニ」)により分散処理を行った。その後、IPAを留去させ、着色磁性粒子の含有率が20.0%、高分子分散剤の含有率が4%の色材分散体1を得た。
(色材分散体2〜8、10の製造)
表3に記載のように着色磁性粒子の種類を変更したこと以外は実施例1と同様にして、色材分散体2〜8および10を得た。
(色材分散体9の製造)
着色磁性粒子として着色磁性粒子9(調製例9)を用い、分散剤溶解用溶媒としてメタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、色材分散体9を得た。
(色材分散体11〜19の製造)
表3に記載のように高分子分散剤溶解用溶媒の量およびイオン交換水の量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、色材分散体11〜19を得た。
(色材分散体20の製造)
着色磁性粒子として着色磁性粒子5(調製例5)を用い、高分子分散剤溶解用溶媒のIPAを留去させた後、分散体の水性溶媒としてIPAを38g加えたこと以外は、実施例1と同様にして、色材分散体20を得た。
(色材分散体21〜25の製造)
着色磁性粒子として着色磁性粒子5(調製例5)を用い、表3に記載のように高分子分散剤の種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、色材分散体21〜25を得た。
(色材分散体26〜33の製造)
表3に記載のように着色磁性粒子の種類、高分子分散剤溶解用溶媒の量およびイオン交換水の量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、色材分散体26〜33を得た。
(分散安定性)
まず、実施例および比較例の色材分散体における着色磁性粒子の粒子径を測定した。その後、前記色材分散体を80℃の温度条件下、密閉状態で2週間保存した。保存後の前記色材分散体中の着色磁性粒子の粒子径を測定し、下記式により粒子径増加率を算出し、下記基準により、分散安定性を評価した。なお、粒子径測定には、ナノ粒子粒度分布測定器(日機装社製「UPA−EX250」)を使用した。
粒子径増加率(%)={(試験後の粒子径−試験前の粒子径)/試験前の粒子径}×100
◎:粒子径増加率(%)が5%以下
○:粒子径増加率(%)が5%超、10%以下
△:粒子径増加率(%)が10%超、30%以下
×:粒子径増加率(%)が30%超
サンプル瓶(容量20ml)に、実施例および比較例の色材分散体10mlを採取し、80℃の温度条件下、密閉状態で2週間保存した。その後、前記サンプル瓶の底面側から0.1テスラの磁気エネルギーを印加した。磁気エネルギーによる着色磁性粒子が凝集するまでの時間を測定し、下記基準により、磁気による凝集性を評価した。
◎:凝集までの時間が1秒以下
○:凝集までの時間が1秒超、2秒以下
△:凝集までの時間が2秒超、5秒以下
×:凝集までの時間が5秒超
−:磁気エネルギー印加前に既に凝集しており、測定不可
実施例および比較例の色材分散体30.0部に、グリセリン10.0部、エチレングリコール20.0部およびイオン交換水40.0部を添加し、これらを十分撹拌して混合し、磁性カラーインクを調製した。
◎:白紙への転写が起こらなくなる時間が0.5秒以下
○:白紙への転写が起こらなくなる時間が0.5秒超、1.0秒以下
△:白紙への転写が起こらなくなる時間が1.0秒超、5秒以下
×:白紙への転写が起こらなくなる時間が5秒超
−:印字前および印字中にインク中で着色磁性粒子が凝集し、吐出不可または測定不可
前記磁性カラーインクを前記インクジェット記録装置に搭載して前記印刷媒体に100%ベタ画像を印字し、前記印字後に前記印刷媒体の下面側から0.1テスラの磁力を印加した。その後、印刷物のOD(Optical density。光学濃度)を測定し、下記基準により、色味を評価した。なお、ODはマクベス濃度計(グレタグマクベス<Gretag Macbeth>社製「RD−918」)により測定した。
◎:OD 1.2以上
○:OD 0.9以上、1.2未満
△:OD 0.5以上、0.9未満
×:OD 0.5未満
−:印字後の定着不可により、測定できず
Claims (8)
- 着色磁性粒子および水性溶媒を含有し、前記水性溶媒中に前記着色磁性粒子が分散された色材分散体であって、
前記着色磁性粒子が、磁性粒子と、前記磁性粒子の表面を被覆するように形成された色材層と、から構成され、
前記磁性粒子が、ニッケルより比重が小さいコア粒子と、前記コア粒子の表面を被覆するように形成されたニッケル層と、から構成され、
前記磁性粒子の比重(D)が、5.3〜7.9の範囲内であり、かつ、
前記着色磁性粒子の全体積に占める前記ニッケル層の体積比率(V)が、10.5〜32.0%の範囲内であることを特徴とする色材分散体。 - 前記コア粒子が、比重2.0以下の粒子である請求項1に記載の色材分散体。
- 前記コア粒子が、シリカ粒子である請求項1に記載の色材分散体。
- 前記色材層が、厚さ10〜30nmの層である請求項1〜3のいずれか1項に記載の色材分散体。
- 更に、高分子分散剤を含有し、
前記高分子分散剤が、下記一般式(1)で示される疎水性モノマーおよび下記一般式(2)で示される疎水性モノマーからなる群より選択される少なくとも1種の疎水性モノマーに由来する疎水性単位と、下記一般式(3)で示される親水性モノマーに由来する親水性単位と、を有し、重量平均分子量が、1,000〜140,000の範囲内の共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の色材分散体。
CH2=CR1−COO−(CH2−CH2−O)m−R2 :(1)
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基またはヘテロ芳香族炭化水素基、mは0〜2の整数を示す)
CH2=CR3−Ar−R4 :(2)
(式中、R3は水素原子またはメチル基、Arはフェニレン基、R4は−R5、−OR5または−COOR5で表される基であり、R5は炭素数1〜18のアルキル基を示す)
CH2=CR6−COO−(CH2−CH2−O)n−H :(3)
(式中、R6は水素原子またはメチル基、nは0〜2の整数を示す) - 前記共重合体が、ポリマー鎖の末端に前記疎水性単位が連続的に配置された疎水性ブロックを有する共重合体である請求項5に記載の色材分散体。
- 前記高分子分散剤の含有率が、0.5〜30質量%である請求項5または6に記載の色材分散体。
- 前記着色磁性粒子の含有率が、0.5〜30質量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の色材分散体。
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