JP2014214174A - 表面処理組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含まず、生体および環境への影響が少ない炭素数が6のパーフルオロアルキル基を含んだ、撥水撥油性の高い表面処理組成物の提供。
【解決手段】炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含ませず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基をもつ(メタ)アクリラートと環状炭化水素基を有する(メタ)アクリラートから導かれる構成単位を有する重合体を有効成分とする表面処理組成物。
【選択図】なし
【解決手段】炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含ませず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基をもつ(メタ)アクリラートと環状炭化水素基を有する(メタ)アクリラートから導かれる構成単位を有する重合体を有効成分とする表面処理組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、撥水撥油性を付与する表面処理組成物に関する。
現代の生活環境において、撥水撥油性が望まれるか必要とされる設備、装置、機械器具は多数存在し、その種類も、自動車の窓ガラス、自動車の塗装表面、台所設備、台所用品、台所設備に付設される排気装置、入浴設備、洗面設備、医療用施設、医療用機械器具、鏡、眼鏡、インクジェットプリンター部品など、きわめて多岐に亘っている。従来、これらの物体に撥水性を付与しようとする際には、一般的に、濡れにくくする、つまり物体表面の水接触角を大きくする方法が適用されている。典型的には、たとえばシリコーン系化合物または樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などのいわゆる疎水性材料による表面被覆が行われている。
特に、上記フッ素系樹脂のうちでも、パーフルオロアルキル基を含有する重合体は濡れにくい材料として知られている。典型的に(メタ)アクリラート重合体であり、たとえば、CH2=C(R1)COO−Q−Rf(式中、R1:水素原子またはメチル基、Q:2価連結基、Rf:C4〜14のパーフルオロアルキル基)で表される(メタ)アクリラートの重合体が半田用フラックス這い上がり防止剤として提案されている(特許文献1参照)。このような重合体において、パーフルオロアルキル基の炭素数が8以上であれば、特に撥水性だけでなく撥油性が強いことが知られている。
米国環境保護庁(USEPA)が2003年3月に公開した、野生動物や人の血液を含め、種々の環境から検出されるパーフロオロオクタン酸(PFOA)の安全性に関する予備リスク調査報告書では、PFOAの発生の恐れのあるパーフルオロアルキル基の炭素数が8であるものについて、生体および環境への影響が指摘され、2006年1月には、PFOAとその類縁物質、およびこれらの前駆体物質の環境中への排出削減と製品中の含有量削減計画への参加をフッ素樹脂メーカー等に提唱して以来、化合物中に含有されるパーフルオロアルキル基の炭素数は6以下の短いものが望まれている。
本発明は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含まず、生体および環境への影響が少ない炭素数が6のパーフルオロアルキル基を含んだ、撥水撥油性の高い表面処理組成物の提供を目的とする。
本発明者は上記のような知見に基づいて鋭意検討したところ、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を含ませず、炭素数が6のパーフルオロアルキル基をもつ(メタ)アクリラートと環状炭化水素基を有する(メタ)アクリラートから導かれる構成単位を有する重合体を有効成分とすることで、撥水撥油性の高い表面処理組成物を見出した。
本発明の表面処理組成物は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有する構成単位を含有せず、下記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位および下記式(b)で表される化合物から導かれる構成単位を、それぞれの少なくとも1種を含有する重合体(1)を含む。
CH2=C(Ra1)−C(O)O−Qa−C6F13・・・(a)
式中、
Ra1:水素原子またはメチル基、
Qa:単結合または2価の連結基。
CH2=C(Rb1)−C(O)O−Qb-Y ・・・(b)
式中、
Rb1:水素原子またはメチル基、
Qb:単結合または2価の連結基、
Y:環状炭化水素基。該基中に存在する1つまたは2つの−CH2−はエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、または−NR−で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
CH2=C(Ra1)−C(O)O−Qa−C6F13・・・(a)
式中、
Ra1:水素原子またはメチル基、
Qa:単結合または2価の連結基。
CH2=C(Rb1)−C(O)O−Qb-Y ・・・(b)
式中、
Rb1:水素原子またはメチル基、
Qb:単結合または2価の連結基、
Y:環状炭化水素基。該基中に存在する1つまたは2つの−CH2−はエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、または−NR−で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
上記重合体(1)において、式(a)で表される化合物から導かれる構成単位の含有量が50質量%以上であるのが好ましい。
本発明において、上記重合体(1)を溶解又は分散させている溶媒は、各種有機溶媒、水またはこれらの混合媒体であることが好ましい。該溶媒としては、フッ素系有機溶媒、極性有機溶媒、水またはこれらの混合媒体が好ましい。
本発明は、前記表面処理組成物を含有する、撥水撥油剤、防汚剤、および離型剤を提供する。
本発明は、前記で示した特定の基を含ませず、前記で示した特定の基を有する重合体を使用することで、生体および環境への影響が少ない、撥水性及び撥油性を付与する表面処理組成物の提供を可能とした。
本発明の表面処理組成物は、重合体(1)(以下、「本発明の重合体」ともいう。)を含む。重合体(1)は、炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有する構成単位を含有せず、下記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位、および下記式(b)で表される化合物から導かれる構成単位を、それぞれ少なくとも1種を含有する。
なお、本明細書において式(a)で表される化合物を化合物(a)とも記す。他の式で表される化合物も同様に表記することがある。
なお、本明細書において式(a)で表される化合物を化合物(a)とも記す。他の式で表される化合物も同様に表記することがある。
CH2=C(Ra1)−C(O)O−Qa−C6F13・・・(a)
式中、
Ra1:水素原子またはメチル基、
Qa:単結合または2価の連結基。
CH2=C(Rb1)−C(O)O−Qb-Y ・・・(b)
式中、
Rb1:水素原子またはメチル基、
Qb:単結合または2価の連結基、
Y:環状炭化水素基。該基中に存在する1つまたは2つの−CH2−はエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、または−NR−で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
式中、
Ra1:水素原子またはメチル基、
Qa:単結合または2価の連結基。
CH2=C(Rb1)−C(O)O−Qb-Y ・・・(b)
式中、
Rb1:水素原子またはメチル基、
Qb:単結合または2価の連結基、
Y:環状炭化水素基。該基中に存在する1つまたは2つの−CH2−はエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、または−NR−で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
化合物(a)において、パーフルオロアルキル基であるC6F13は、直鎖構造または分岐構造のいずれであってもよいが、直鎖構造のものが好ましい。
化合物(a)において、Qaは単結合または2価の連結基である。前記2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐状の2価のアルキレン基もしくはアルケニレン基、2価のオキシアルキレン基、6員環芳香族基、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基、または下記式(q)で表される2価の連結基が挙げられる。これら2価の連結基は組み合わされていてもよく、環基は縮合していてもよい。
−W−Z− (q)
式中の記号は以下の意味を示す。
W:直鎖状もしくは分岐状の2価のアルキレン基、6員環芳香族基、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基、またはこれらの縮合した環基。
Z:−O−、−S−、−CO−、−COO−、−COS−、−N(R)−、−SO2−、−PO2−、−N(R)−COO−、−N(R)−CO−、−N(R)−SO2−、または−N(R)−PO2−。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
−W−Z− (q)
式中の記号は以下の意味を示す。
W:直鎖状もしくは分岐状の2価のアルキレン基、6員環芳香族基、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基、またはこれらの縮合した環基。
Z:−O−、−S−、−CO−、−COO−、−COS−、−N(R)−、−SO2−、−PO2−、−N(R)−COO−、−N(R)−CO−、−N(R)−SO2−、または−N(R)−PO2−。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
2価の連結基は、置換基を有していてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、シアノ基、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、ブトキシ、オクチルオキシ、メトキシエトキシなど)、アリーロキシ基(フェノキシなど)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオなど)、アシル基(アセチル、プロピオニル、ベンゾイルなど)、スルホニル基(メタンスルホニル、ベンゼンスルホニルなど)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾイルオキシなど)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシなど)、ホスホニル基(ジエチルホスホニルなど)、アミド基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなど)、カルバモイル基(N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイルなど)、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチルなど)、アリール基(フェニル、トルイルなど)、複素環基(ピリジル、イミダゾリル、フラニルなど)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニルなど)、アルコキシアシルオキシ基(アセチルオキシなど)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、および重合性基(ビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基、シリル基、桂皮酸残基など)などが挙げられる。
Qaは単結合または2価の連結基であれば適宜選択可能であるが、中でも単結合または直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基が好ましく、直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。
化合物(a)の具体例を表1に示すが、化合物(a)はこれらに限定されるものではない。
上記のような化合物(a)から導かれる構成単位(以下「構成単位(A)」という場合がある。)は、次のように表すことができる。
ここで、RaおよびQaは、それぞれ、式(a)におけるRa1およびQaと同義である。
本発明の重合体は、上記構成単位(A)の1種からなる単独重合体であってもよく、構成単位(A)の2種以上からなる共重合体であってもよい。また、構成単位(A)以外の構成単位を1種または2種以上含有する共重合体であってもよい。この場合、本発明の重合体における、上記構成単位(A)の含有量は50質量%以上であることが好ましい。本発明の重合体における構成単位(A)の質量比率が上記範囲内であると、本発明の表面処理組成物の撥水撥油性能がより良好だからである。なお本発明において、重合体における各構成単位の質量比率は、重合に使用した原料がすべて構成単位を構成するとみなした値である。したがって、たとえば構成単位(A)の質量比率(全構成単位質量に対する、そこに含まれる構成単位(A)の質量の百分率)は、実質的に、重合に使用した化合物(a)質量の重合原料化合物の全質量に対する割合として求められる。重合体における他の構成単位の質量比率も同様に求められる。
化合物(b)において、Rb1およびQbは、それぞれ、化合物(a)のRa1およびQaと同様のものが挙げられる。
化合物(b)において、Yは環状炭化水素基である。基中に存在する1つまたは2つの−CH2−はエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、または−NR−で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
環状炭化水素基としては、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基またはこれらの縮合した環基や、架橋した環基が挙げられ、環基は置換基を有していてもよい。
Yの好ましい構造としては、シクロヘキシル基、ノルボニル基、イソボニル基、アダマンチル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基や、これらが窒素原子や酸素原子で置換された基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
環状炭化水素基としては、4〜6員環の飽和もしくは不飽和の脂肪族基、5〜6員環の複素環基またはこれらの縮合した環基や、架橋した環基が挙げられ、環基は置換基を有していてもよい。
Yの好ましい構造としては、シクロヘキシル基、ノルボニル基、イソボニル基、アダマンチル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基や、これらが窒素原子や酸素原子で置換された基などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
化合物(b)の具体例を表2に示すが、化合物(b)はこれらに限定されるものではない。
本発明の重合体は、(A)及び(B)以外の構成単位(C)を含有していてもよい。構成単位(C)は、化合物(a)および(b)と共重合しうる化合物(c)から導かれる構成単位であれば特に限定されない。この化合物(c)としては、具体的に、アルコキシシリル基含有化合物、反応性の不飽和結合を複数有する多官能化合物、スチレン系化合物、前記化合物以外の(メタ)アクリラート系化合物が挙げられる。このような化合物(c)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
アルコキシシリル基含有化合物の一例を、表3に記載した。
反応性の不飽和結合を複数有する多官能化合物の一例として、以下の化合物が挙げられる。
およびRCH2CH2R。
上記式中のRは、(メタ)アクリロイルオキシ基である。
上記式中のRは、(メタ)アクリロイルオキシ基である。
スチレン系化合物としては、下記式で表わされるスチレン系化合物が挙げられる。
式中、R2:−H、CH3、−Cl、−CHO、−COOH、−CH2Cl、−CH2NH2、−CH2N(CH3)2、−CH2N+(CH3)3Cl−、−CH2N+H3Cl−、−CH2CN、−CH2COOH、−CH2N(CH2COOH)2、−CH2SH、−CH2SO3NaまたはCH2OCOCH3である。
前記化合物以外の(メタ)アクリラート系化合物の一例として、カルボキシ基含有化合物を、表5に記載した。
表4及び5以外の(メタ)アクリラート系化合物としては、α−クロロアクリル酸および下記式で表わされる(メタ)アクリラートが挙げられる。
CH2=C(R1)−COO−R3
式中、R1:HまたはCH3、R3:−CH3、−CH2CH2N(CH3)2、−(CH2)mH(m=2〜20の整数)、−CH2CH(CH3)2、−CH2−C(CH3)2−OCO−Ph(「Ph」はフェニル基を意味する。以下同様である。)、−CH2Ph、−CH2CH2OPh、−CH2N+(CH3)3Cl−、−(CH2CH2O)mCH3(m=2〜20の整数)、−(CH2)2−NCO、または以下の基である。
CH2=C(R1)−COO−R3
式中、R1:HまたはCH3、R3:−CH3、−CH2CH2N(CH3)2、−(CH2)mH(m=2〜20の整数)、−CH2CH(CH3)2、−CH2−C(CH3)2−OCO−Ph(「Ph」はフェニル基を意味する。以下同様である。)、−CH2Ph、−CH2CH2OPh、−CH2N+(CH3)3Cl−、−(CH2CH2O)mCH3(m=2〜20の整数)、−(CH2)2−NCO、または以下の基である。
これまでに例示した化合物以外にも、下記式で表わされる(メタ)アクリルアミド、ビニル化合物、例えば塩化ビニル(CH2=CHCl)、アクリロニトリル(CH2=CHCN)などが挙げられる。
CH2=C(R1)−CONH−R4
式中、R1:HまたはCH3、R4:−CmH2m+1(m=2〜20の整数)またはHである。
CH2=C(R1)−CONH−R4
式中、R1:HまたはCH3、R4:−CmH2m+1(m=2〜20の整数)またはHである。
本発明の重合体が、上記のような他の構成単位(C)を含有する場合、その種類によっても異なるが、重合体(1)におけるこれら他の構成単位全量での質量が30質量%以下であることが好ましい。
本発明の重合体の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)で1×103〜1×107であることが好ましく、1×104〜1×106であることが好ましい。分子量がこのような範囲であると、滑水性能を十分に発揮することができるからである。一方、分子量が大きすぎると本発明の重合体の溶媒への溶解性が悪くなる傾向がある。
本発明の重合体は、上記のような構成単位(A)および構成単位(B)と、任意で構成単位(C)を含んでよいこと以外は、重合形態など特に制限されない。共重合体である場合の重合形態は特に制限されず、ランダム、ブロック、グラフトなどのいずれでもよいがランダム重合体であることが好ましい。
重合体の製造方法も特に限定されず、各種の公知の方法を採用し得る。例えば、各化合物中の不飽和基に基づき付加重合させることができる。重合に際しては、公知の不飽和化合物の付加重合条件を適宜に採択して行うことができる。例えば重合開始源として有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等の通常の開始剤が利用できる。また、分子量の調整のために、重合反応時に分子量調整剤を利用することもできる。
本発明の表面処理組成物は、被膜成分として、好ましくは上記のような重合体を含み、該重合体を溶媒中に含む液状形態である。
本発明の表面処理組成物の製造方法も限定されない。例えば本発明の重合体を公知の溶媒に溶解させて得ることができる。また、例えば化合物(a)を溶媒に添加し、この溶媒を重合媒体とする溶液重合によって本発明の重合体を製造し、本発明の重合体を含む前記溶媒を得て、これを本発明の表面処理組成物とすることもできる。乳化重合させることで本発明の重合体を含む溶液を得て、これを本発明の表面処理剤とすることもできる。ここで得られた本発明の重合体を分離し、他の溶媒に溶解させてもよい。また、重合原料の化合物が、ガス状である場合には、圧力容器を用いて、加圧下に連続供給してもよい。
本発明の表面処理組成物の製造方法も限定されない。例えば本発明の重合体を公知の溶媒に溶解させて得ることができる。また、例えば化合物(a)を溶媒に添加し、この溶媒を重合媒体とする溶液重合によって本発明の重合体を製造し、本発明の重合体を含む前記溶媒を得て、これを本発明の表面処理組成物とすることもできる。乳化重合させることで本発明の重合体を含む溶液を得て、これを本発明の表面処理剤とすることもできる。ここで得られた本発明の重合体を分離し、他の溶媒に溶解させてもよい。また、重合原料の化合物が、ガス状である場合には、圧力容器を用いて、加圧下に連続供給してもよい。
本発明の表面処理組成物を形成する溶媒は、本発明の重合体を溶解または分散できるものであれば特に限定されず、各種有機溶媒、水またはこれらの混合媒体などが挙げられる。例えば、極性有機溶媒やフッ素系有機溶媒を用いることができる。極性有機溶媒としては、アルコール系(エタノール、2−プロパノールなど)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル系(酢酸エチルなど)、エーテル系(テトラヒドロフランなど)が挙げられる。フッ素系有機溶媒としては、価格面と重合体の溶解性の点からキシレンヘキサフルオリドなどが好ましい。
また、これらの溶媒は、引火性を有していても本発明の表面処理組成物に用いることができる。なお、2種類以上の極性有機溶媒を混合して用いても構わない。
また、極性有機溶媒は、例えば変性エタノール水溶液等、水と混合した混合媒体として用いることも好ましい。また、フッ素系有機溶媒と、アルコール系等の極性有機溶媒とを混合して用いることも可能である。
また、これらの溶媒は、引火性を有していても本発明の表面処理組成物に用いることができる。なお、2種類以上の極性有機溶媒を混合して用いても構わない。
また、極性有機溶媒は、例えば変性エタノール水溶液等、水と混合した混合媒体として用いることも好ましい。また、フッ素系有機溶媒と、アルコール系等の極性有機溶媒とを混合して用いることも可能である。
以下に本発明の表面処理組成物を形成する溶媒として、好ましい溶剤の具体例を挙げるが、これに限定されるわけではない。
m-キシレンヘキサフルオリド(以下、m-XHFと記す。)
p-キシレンヘキサフルオリド(以下、p-XHFと記す。)
エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(以下、IPAと記す。)、1−ブタノール、t-ブタノール
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン
m-キシレンヘキサフルオリド(以下、m-XHFと記す。)
p-キシレンヘキサフルオリド(以下、p-XHFと記す。)
エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(以下、IPAと記す。)、1−ブタノール、t-ブタノール
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン
本発明の表面処理組成物は、本発明の重合体を0.1〜20質量%で含有することが好ましく、1〜10質量%で含有することがより好ましい。本発明の表面処理組成物における本発明の重合体の濃度がこの範囲内であると、滑水性能が十分に発揮できる。
本発明の表面処理組成物における本発明の重合体の濃度は最終的濃度であればよく、例えば本発明の表面処理組成物を重合組成物として直接調製する場合には、重合直後の重合組成物の重合体濃度(固形分濃度)が20質量%を超えていてもなんら差し支えない。高濃度の重合組成物は、最終的に上記好ましい濃度となるように適宜に希釈することができる。
本発明の表面処理組成物における本発明の重合体の濃度は最終的濃度であればよく、例えば本発明の表面処理組成物を重合組成物として直接調製する場合には、重合直後の重合組成物の重合体濃度(固形分濃度)が20質量%を超えていてもなんら差し支えない。高濃度の重合組成物は、最終的に上記好ましい濃度となるように適宜に希釈することができる。
本発明の表面処理組成物は、その組成物としての安定性、撥水撥油性、外観等に悪影響を与えない範囲であれば、前記した以外の他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、例えば被膜表面の腐食を防止するためのpH調整剤、防錆剤、組成物を希釈して使用する場合に液中の重合体の濃度管理をする目的や未処理部品との区別をするための染料、染料の安定剤、難燃剤、消泡剤、または帯電防止剤等が挙げられる。
本発明の表面処理組成物は、目的および用途に応じて、任意の濃度に希釈し、表面に処理することで重合体を被覆させ、性能を付与することができる。被覆方法としては一般的な被覆加工方法が採用できる。例えば浸漬塗布、スプレー塗布またはローラー等による塗布等の方法がある。
本発明の表面処理組成物の塗布後は、溶媒の沸点以上の温度で乾燥を行うことがより好ましい。無論、被処理部品の材質などにより加熱乾燥が困難な場合には、加熱を回避して乾燥すべきである。なお、熱処理の条件は、塗布する組成物の組成や、塗布面積等に応じて選択すればよい。
本発明の利用分野としては、撥水撥油、潤滑、防汚、離型、摩擦低減などが挙げられ、本発明の表面処理組成物を含む撥水剤、撥油剤、潤滑材、防汚剤、離型剤、摩擦低減剤等として用いることができる。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断わりのない限り、以下の実施例の記載において「%」で表示されるものは「質量%」を表すものとする。
以下の実施例で使用する化合物を表6に示す。使用した化合物は、市場から試薬として入手することができるもの、または既知の合成法によって容易に合成できるものである。
以下の実施例で使用する化合物を表6に示す。使用した化合物は、市場から試薬として入手することができるもの、または既知の合成法によって容易に合成できるものである。
〔実施例1〜9〕
密閉容器に、表7に記載の仕込み比(質量部)でそれぞれ仕込み、70℃で18時間以上反応を行い、実施重合体1〜9を得た。この実施重合体1〜9の酢酸エチル溶液を、酢酸エチルで希釈し2%濃度の溶液を調整し、実施例1〜9とした。
密閉容器に、表7に記載の仕込み比(質量部)でそれぞれ仕込み、70℃で18時間以上反応を行い、実施重合体1〜9を得た。この実施重合体1〜9の酢酸エチル溶液を、酢酸エチルで希釈し2%濃度の溶液を調整し、実施例1〜9とした。
〔比較例1〕
同様の操作にて、比較重合体1の合成を試みたが、反応後重合体が分離してしまった。
同様の操作にて、比較重合体1の合成を試みたが、反応後重合体が分離してしまった。
〔実施例10〜18〕
密閉容器に、表8に記載の仕込み比(質量部)でそれぞれ仕込み、70℃で18時間以上反応を行い、実施重合体10〜18を得た。この実施重合体10〜18のm-XHF溶液を、重合体濃度が2%、溶剤比率がm-XHF/IPA=70/30になるように調整を行い、実施例10〜18とした。
密閉容器に、表8に記載の仕込み比(質量部)でそれぞれ仕込み、70℃で18時間以上反応を行い、実施重合体10〜18を得た。この実施重合体10〜18のm-XHF溶液を、重合体濃度が2%、溶剤比率がm-XHF/IPA=70/30になるように調整を行い、実施例10〜18とした。
〔比較例2〕
同様の操作にて、比較重合体2の合成及び比較例2を調整した。
同様の操作にて、比較重合体2の合成及び比較例2を調整した。
〔実施例19〜26〕
密閉容器に、表9に記載の仕込み比(質量部)で開始剤以外をそれぞれ仕込み、50℃で1時間前乳化したのち、開始剤(和光純薬工業株式会社製、V-50)を加え、60℃で18時間以上反応を行い、実施重合体19〜26を得た。この実施重合体19〜26の乳化溶液を孔径約6μmの濾紙で濾過したのち、変性エタノールの20%水溶液で乾燥残分濃度2%に調整して、実施例19〜26とした。
密閉容器に、表9に記載の仕込み比(質量部)で開始剤以外をそれぞれ仕込み、50℃で1時間前乳化したのち、開始剤(和光純薬工業株式会社製、V-50)を加え、60℃で18時間以上反応を行い、実施重合体19〜26を得た。この実施重合体19〜26の乳化溶液を孔径約6μmの濾紙で濾過したのち、変性エタノールの20%水溶液で乾燥残分濃度2%に調整して、実施例19〜26とした。
上記で得られた実施例1〜26について、以下の性能を評価した。評価結果を表7〜表9に示す。
[接触角の測定]
実施例1〜26に、ガラス板を浸漬し、1分後に取り出す。その後、120℃で5分間乾燥させ、本発明の実施例または比較例の被膜を有する各ガラス板を得た。
次に各々の種類の被膜を形成した各ガラス板の被膜上にイオン交換水、ノルマルヘキサデカン(n−HD)またはIPAを滴下し、接触角(単位:°)を測定した。接触角の測定には自動接触角計OCA−20[dataphysics社製]を用いた。経時変化するものに関しては、変化が止まった値を測定結果とした。
[接触角の測定]
実施例1〜26に、ガラス板を浸漬し、1分後に取り出す。その後、120℃で5分間乾燥させ、本発明の実施例または比較例の被膜を有する各ガラス板を得た。
次に各々の種類の被膜を形成した各ガラス板の被膜上にイオン交換水、ノルマルヘキサデカン(n−HD)またはIPAを滴下し、接触角(単位:°)を測定した。接触角の測定には自動接触角計OCA−20[dataphysics社製]を用いた。経時変化するものに関しては、変化が止まった値を測定結果とした。
本発明において、PFOAの発生の恐れのある化合物を使用せず、かつ十分な撥水撥油性能を有する表面処理組成物が得られることを見出した。
Claims (7)
- 炭素数が8以上の直鎖状のパーフルオロアルキル基を有する構成単位を含有せず、下記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位、および下記式(b)で表される化合物から導かれる構成単位を、それぞれの少なくとも1種を含有する重合体(1)を含むことを特徴とする表面処理組成物。
CH2=C(Ra1)−C(O)O−Qa−C6F13・・・(a)
[式中、
Ra1:水素原子またはメチル基、
Qa:単結合または2価の連結基。]
CH2=C(Rb1)−C(O)O−Qb-Y・・・(b)
[式中、
Rb1:水素原子またはメチル基、
Qb:単結合または2価の連結基、
Y:環状炭化水素基。該基中に存在する1つまたは2つの−CH2−はエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子、または−NR−で置換されていてもよく、該基中の1つ以上の水素原子はハロゲン原子または炭素数1〜10のアルキル基で置換されていてもよい。ただし、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。] - 前記重合体(1)中の、前記式(a)で表される化合物から導かれる構成単位(A)の含有量が50質量%以上である請求項1に記載の表面処理組成物。
- 重合体(1)を溶解又は分散させている溶媒が、各種有機溶媒、水またはこれらの混合媒体であることを特徴とする請求項1または2に記載に記載の表面処理組成物。
- 前記溶媒が、フッ素系有機溶媒、極性有機溶媒、水またはこれらの混合媒体である、請求項3に記載の表面処理組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする撥水撥油剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする防汚剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理組成物を含有することを特徴とする離型剤。
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JP2013090172A JP2014214174A (ja) | 2013-04-23 | 2013-04-23 | 表面処理組成物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017128725A (ja) * | 2016-01-18 | 2017-07-27 | ダイキン工業株式会社 | シーリング材組成物 |
WO2021200646A1 (ja) * | 2020-03-31 | 2021-10-07 | 東レ株式会社 | フッ素含有重合体粒子およびそれを含む分散液 |
-
2013
- 2013-04-23 JP JP2013090172A patent/JP2014214174A/ja active Pending
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