JP2014213217A - 過弗化物の処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】分解ガスから酸成分をより確実に除去するとともに、酸成分を乾式除去するための薬剤の交換をより円滑に行うことができる過弗化物の処理装置等を提供する。【解決手段】過弗化物を含むガスおよび水を加熱し触媒により過弗化物を加水分解して分解ガスを生成する加熱手段と、加熱手段の前段および後段に配される熱交換手段と、分解ガス中の酸成分を乾式除去する酸成分除去手段と、を備え、酸成分除去手段は、開閉可能であり開いた状態になるときに反応後の薬剤を取り出すシャッタ251a〜シャッタ251e(シャッタ251)と、シャッタ251の間に配され、上方からシャッタ251へ向かう斜面S1、S2を有するとともに斜面S1、S2に分解ガスは通過させる一方で薬剤は通過させない大きさのスリット252aを有するスリット部252と、を装置底部に備えることを特徴とする過弗化物の処理装置。【選択図】図5

Description

本発明は、例えば、過弗化物を分解して処理するために用いられる過弗化物の処理装置に関する。
例えば、半導体デバイスや液晶デバイスの製造プロセスにおいて、微細パターンを形成するためエッチングやクリーニングを行うことがある。この際に過弗化物が使用される場合が多い。また、過弗化物は、一般に安定で、人体に対し無害なものが多いため、他にも例えば、エアコンの冷媒用などに使用されている。
しかしながら、これらの過弗化物の中には、大気中に放出されると、地球環境に対し大きな影響を与えるものが多い。即ち、大気中で長期間安定に存在し、地球温暖化係数が大きい性質を有するため、地球温暖化の一因となり得る。そして、上述のように過弗化物は一般に安定であり、その影響は長期間続く場合が多い。
そこで、地球環境に影響を与えないために、使用された過弗化物を分解し、地球環境に対し無害な状態にして大気中に放出する必要がある。
特許文献1には、ハロゲンとしてフッ素のみを含有するフッ素化合物を含むガス流を、水蒸気の存在下でAlとNi、AlとZn、AlとTiからなる触媒のようにAlを含んでなる触媒と約200〜800℃で接触させて、ガス流中のフッ素をフッ化水素に転化するフッ素含有化合物の分解処理方法が開示されている。
また特許文献2には、触媒層が設けられて過弗化物を含む排ガスが供給され、過弗化物を分解する過弗化物分解装置と、過弗化物分解装置から排出された排ガスに含まれた酸性物質がCa塩と反応して生成される第1反応生成物を除去する酸性物除去装置とを備えていることを特徴とする過弗化物処理装置が開示されている。
特開2001−224926号公報 特開2008−246485号公報
しかしながら、過弗化物を加水分解することで生成する分解ガスにはHF等の酸成分が含まれる場合がある。そして酸成分を除去するのに薬剤を使用する場合、分解ガスから酸成分をより確実に除去するとともに、薬剤の交換をより円滑に行えることが望ましい。
本発明は、分解ガスから酸成分をより確実に除去するとともに、酸成分を乾式除去するための薬剤の交換をより円滑に行うことができる過弗化物の処理装置を提供することを目的とする。
かくして本発明によれば、開閉可能であり、閉じた状態から開いた状態になるときに反応後の薬剤を取り出す薬剤取り出し部と、薬剤取り出し部の間に配され、上方から薬剤取り出し部へ向かう斜面を有するとともに、斜面に分解ガスは通過させる一方で薬剤は通過させない大きさの開口部を有する分解ガス導入部と、を備える酸成分除去手段を有することを特徴とする過弗化物の処理装置が提供される。
また本発明によれば、過弗化物を含むガスおよび水を加熱するとともに、予め定められた触媒により過弗化物を加水分解して酸性ガスを含む分解ガスを生成する加熱手段と、加熱手段の前段および後段に配され、加熱手段に流入する前の過弗化物を含むガスおよび水と加熱手段から流出した後の分解ガスとの間で熱交換を行なう熱交換手段と、熱交換手段から流出した後の分解ガスから、酸成分を薬剤と反応させることで乾式除去する酸成分除去手段と、を備え、酸成分除去手段は、開閉可能であり、閉じた状態から開いた状態になるときに反応後の薬剤を取り出す薬剤取り出し部と、薬剤取り出し部の間に配され、上方から薬剤取り出し部へ向かう斜面を有するとともに、斜面に分解ガスは通過させる一方で薬剤は通過させない大きさの開口部を有する分解ガス導入部と、を装置底部に備えることを特徴とする過弗化物の処理装置が提供される。
ここで、薬剤取り出し部と分解ガス導入部とは、列状に交互に配列することが好ましく、分解ガス導入部の斜面は、互いに逆方向を向く2つの斜面からなることが好ましい。
また薬剤取り出し部は、円弧状のシャッタであり、シャッタが予め定められた回転中心に沿って移動することで開閉動作を行うことが好ましく、酸成分除去手段の上方から薬剤を供給する薬剤供給手段を更に備え、酸成分除去手段に導入する分解ガスは、酸成分除去手段の上方から排出することが好ましい。
酸成分除去手段に、開閉可能であり、閉じた状態から開いた状態になるときに反応後の薬剤を取り出す薬剤取り出し部と、薬剤取り出し部の間に配され、上方から薬剤取り出し部へ向かう斜面を有するとともに、斜面に分解ガスは通過させる一方で薬剤は通過させない大きさの開口部を有する分解ガス導入部を設けることで、分解ガスの導入と薬剤の取り出しを同じ装置底部から行うことができるとともに、分解ガスの流通とカルシウム塩の流通とが互いに影響を与えにくくなる。
薬剤取り出し部と分解ガス導入部とが、列状に交互に配列することで、酸成分除去手段内部に分解ガスをより均一に導入することができるとともに薬剤を取り出す量を制御しやすくなる。
分解ガス導入部の斜面が、互いに逆方向を向く2つの斜面からなることで、この斜面により薬剤を薬剤取り出し部までより円滑に案内することができる。
薬剤取り出し部が、円弧状のシャッタであり、このシャッタが予め定められた回転中心に沿って移動することで開閉動作を行うことで、シャッタの開閉をより行いやすくなるとともにシャッタの開閉を行なう機構部の構造をコンパクトなサイズにすることが出来る。
酸成分除去手段の上方から薬剤を供給する薬剤供給手段を更に備え、酸成分除去手段に導入する分解ガスは、酸成分除去手段の上方から排出することで、未反応の薬剤がほとんど生じず、薬剤の無駄な消費量を少なくすることができる。
本実施の形態の過弗化物の処理装置が適用される半導体製造工場の全体構成について説明した図である。 本実施の形態の過弗化物の処理装置の概略構成について説明した図である。 本実施の形態の過弗化物の処理装置を構成する各機器を示した図である。 反応温度と過弗化物の分解率との関係を説明した図である。 酸成分除去装置の底部について示した図である。 図5のVI方向から酸成分除去装置の底部を見た図である。 図6のVII方向から酸成分除去装置の底部を見た図である。 過弗化物の処理装置の動作について説明したフローチャートである。 実際に製造された過弗化物の処理装置を上方から見た図である。 実際に製造された過弗化物の処理装置を図9のVII方向から見た図である。 図9のX−X断面図である。
以下、本発明を実施する形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
<半導体製造工場の全体構成の説明>
図1は、本実施の形態の過弗化物の処理装置が適用される半導体製造工場の全体構成について説明した図である。
図示するように本実施の形態の半導体製造工場は、半導体の製造を行う半導体製造設備1と、過弗化物を分解処理する過弗化物の処理装置2と、酸性ガスの捕集を行う酸スクラバ3とを備える。
半導体製造設備1は、通常はクリーンルームとなっており、図示する例では、半導体であるシリコン・ポリシリコンをエッチングするP−Siエッチャ11と、絶縁膜である酸化シリコン(SiO)等の酸化膜をエッチングする酸化膜エッチャ12と、配線に使用するために金属膜をエッチングするメタルエッチャ13とを備える。
P−Siエッチャ11、酸化膜エッチャ12、メタルエッチャ13は、乾式エッチング(ドライエッチング)装置であり、例えば、プロセスチャンバ内で、反応性のエッチングガスを用いてエッチングを行う反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)装置である。
P−Siエッチャ11、酸化膜エッチャ12、メタルエッチャ13で用いるエッチングガスはそれぞれ異なるが、各装置で乾式エッチングを行った後に排気されるガスには、このエッチングガスに起因する種々の過弗化物(以下、PFC(perfluorocompound)とも云う)やCHFなどが含まれる。この過弗化物は、CF、C、C、C、C、SF等が例示される。そして過弗化物を含む排気されたガス、すなわちエッチング排ガスは、塩素(Cl)ガス等の有毒ガスが毒性ガス除害装置14で除去された後、収集ダクト15により半導体製造設備1外に排出される。本実施の形態では、半導体製造設備1外に排出されるエッチング排ガスは、例えば、キャリアガスとしてのN(窒素)ガス99%に、過弗化物等を1%含むガスである。本実施の形態では、エッチング排ガスに含まれる過弗化物は、1%以下であることが好ましい。また排出されるエッチング排ガスの流量は、例えば、3000L/min〜3500L/minである。
過弗化物の処理装置2は、詳しくは後述するが、半導体製造設備1から排出されるエッチング排ガス中に含まれる過弗化物を分解することで過弗化物を除害した後、排気ガスとして排出する。そのために半導体製造設備1の各設備から排出され、ダクトを介して集められたエッチング排ガスは、三方弁4を経由して過弗化物の処理装置2に導入される。過弗化物の処理装置2は、クリーンルーム内に設置する必要がなく、通常は半導体製造設備1の外側に設置される。
酸スクラバ3は、酸性ガスを捕集する。そして酸性ガスの捕集をした後の無害化したガスを半導体製造工場外に排出する。酸スクラバ3は、過弗化物の処理装置2で、過弗化物を完全に除去しきれなかった場合でも、過弗化物を捕集する役割を担う。また過弗化物の処理装置2に故障等が生じた場合でも、過弗化物の処理装置2のバックアップとしての役割を担う。つまり通常の状態では、過弗化物を含むガスは、三方弁4により過弗化物の処理装置2に導入され、過弗化物の処理装置2により過弗化物が分解され、処理される。しかし過弗化物の処理装置2に故障等が生じた場合は、三方弁4を切替え、過弗化物を含むガスを直接酸スクラバ3に導入されるようにする。
なお図1には図示していないが、三方弁4の上流側において、半導体製造設備1から排出されるエッチング排ガス中に含まれる酸性ガスを捕集するアルカリスクラバを設けてもよい。
<過弗化物の処理装置の構成の説明>
以後、過弗化物の処理装置2についてさらに詳しく説明を行う。
図2は、本実施の形態の過弗化物の処理装置2の概略構成について説明した図である。
図示するように過弗化物の処理装置2は、導入された装置入口排ガス(エッチング排ガス)を前処理する前処理ユニット21と、前処理ユニット21で前処理された装置入口排ガスに含まれる過弗化物を分解する過弗化物分解ユニット22と、過弗化物分解ユニット22で過弗化物を分解した際に生成されるHF(弗化水素)を含む分解ガスを吸着することで乾式除去するHF吸着ユニット23とを備える。そしてこれらの各ユニットにより装置入口排ガスを処理し無害化を行った後、排気ガスとして過弗化物の処理装置2外に排出する。
図3は、本実施の形態の過弗化物の処理装置2を構成する各機器を示した図である。
図2で説明したように過弗化物の処理装置2は、前処理ユニット21と、過弗化物分解ユニット22と、HF吸着ユニット23とを主として備える。また図示するように過弗化物の処理装置2は、制御ユニット24を備え、過弗化物の処理装置2に備えられた各機器およびバルブ(図示せず)等の制御を行う。
前処理ユニット21は、装置入口排ガスの予熱を行う入口加熱器211と、微粒子の除去を行うフィルタ212とを備える。
入口加熱器211は、装置入口排ガスを予熱することにより装置入口排ガス中に含まれる微小な水滴(ミスト)を蒸発させる。入口加熱器211は、装置入口排ガスが通過する配管の周囲にヒータ211aを備える。そして装置入口排ガスは、入口加熱器211を通過する際にヒータ211aにより加熱され、ミストが蒸発する温度でまで予熱される。このとき予熱される装置入口排ガスの温度は例えば、60℃とすることができる。これにより次のフィルタ212においてフィルタがミストにより閉塞することが抑制できる。
フィルタ212は、装置入口排ガスに含まれる固形分としての微粒子の除去を行う。半導体製造設備1では、上述した、乾式エッチングを行う際に削られた酸化シリコン等の微粒子が生じる。そしてこの微粒子が装置入口排ガスに混入するため、フィルタ212により除去を行う。フィルタ212は、装置入口排ガスを通過させるとともに微粒子を捕集することができるものであれば特に限定されることはないが、例えば、メッシュフィルタなどを用いることができる。
なお本実施の形態では、入口加熱器211とフィルタ212との間で空気を導入する。次の過弗化物分解ユニット22において一酸化炭素の生成を抑制するために、酸素が必要となる場合があり、そのためこの段階で空気を装置入口排ガスと混合する。
また本実施の形態では、詳しくは後述するが、フィルタ212を通過した後の装置入口排ガスは、いったん熱交換器231に入る。そして熱交換器231における熱交換により装置入口排ガスが加熱される。さらにこのとき次の過弗化物分解ユニット22において過弗化物を分解するための反応に必要な水が液体の状態で添加される。この水は、熱交換器231において装置入口排ガスとともに加熱され気体の水蒸気となる。そして装置入口排ガスと混合しつつ移送される。本実施の形態では、水として純水を使用し、添加量は、後述の反応式に見合った量であり、例えば、350mL/minである。また、この水はあらかじめ加熱して水蒸気として熱交換器231に添加しても良い。
過弗化物分解ユニット22は、装置入口排ガスおよび水を加熱するとともに、予め定められた触媒により過弗化物を加水分解して酸性ガスを含む分解ガスを生成する加熱手段の一例である。そして過弗化物分解ユニット22は、第1加熱器221と第2加熱器222の2つの加熱器を備える。
第1加熱器221は、内部にヒータ221aが配されており、このヒータ221aにより装置入口排ガス、および熱交換器231で添加され水蒸気となった水を加熱する。第1加熱器221を通過した後の装置入口排ガスは、例えば、450℃〜500℃となっている。本実施の形態では、第1加熱器221を装置入口排ガスの流路が水平方向となる横型の加熱器としている。
第2加熱器222は、上方から装置入口排ガスを導入し、まず内部に備えられたヒータ222aにより、装置入口排ガスおよび水蒸気をさらに加熱する。これにより装置入口排ガスは、例えば、750℃に加熱される。
そしてさらに加熱された装置入口排ガスは、第2加熱器222の下方に配された触媒層222bにおいて、装置入口排ガスに混合していた水(水蒸気)と反応し、分解される。
このときの分解反応として、過弗化物として、CF、CHF、CおよびSFの場合を例に採り、下記に反応式を示す。
CF+2HO→CO+4HF …(1)
CHF+(1/2)O+HO→CO+3HF …(2)
+3HO+(1/2)O→2CO+6HF …(3)
SF+3HO→SO+6HF …(4)
上記(1)式〜(4)式からわかるように、過弗化物は加水分解反応により、酸成分であるHF(弗化水素)を含む分解ガスとなる。またこの場合HFは、分解ガスに含まれる酸性ガスとして捉えることもできる。
図4は、反応温度と過弗化物の分解率との関係を説明した図である。
ここでエッチング排ガスに含まれる過弗化物として、CF、CHF、C、C、C、C、SF、NFを例示している。また過弗化物ではないが、半導体製造設備1から排出されるガス中に含まれる成分としてCOについても併せて図示している。
図示するように何れの成分も750℃近辺においてほぼ100%の分解率となるため、750℃の温度で反応させることで、過弗化物等がほぼ除去できることになる。
また触媒層222bを構成する触媒としては、本実施の形態では、Al(酸化アルミニウム)にZn(亜鉛)、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、F(弗素)、Sn(スズ)、Co(コバルト)、Zr(ジルコニウム)、Ce(セリウム)、Si(ケイ素)等の酸化物を含むものを使用することができる。より具体的には、例えば、Al(酸化アルミニウム)が80質量%、NiO(酸化ニッケル)20質量%の組成からなるものを使用することができる。
第2加熱器222で過弗化物が分解された後のHFを含む分解ガスは、第2加熱器222の下方から排出され、次のHF吸着ユニット23に送られる。なおこのとき第2加熱器222から排出される分解ガスの温度は、600℃〜700℃程度である。
HF吸着ユニット23は、第1加熱器221と第2加熱器222の前段および後段に配され第1加熱器221に流入する前の装置入口排ガスと第2加熱器222から流出した後の分解ガスとの間で熱交換を行なう熱交換手段の一例である熱交換器231と、熱交換器231から流出した後の分解ガスから、酸成分を薬剤であるカルシウム塩と反応させることで乾式除去する酸成分除去手段の一例としての酸成分除去装置232と、酸成分除去装置232により酸成分が乾式除去された後の排気ガスを排出する排気ガス排出手段の一例としてのエゼクタ233とを備える。
またHF吸着ユニット23は、酸成分除去装置232の上方からHFを乾式除去するための薬剤であるカルシウム塩を供給する薬剤供給手段の一例である薬剤供給装置234と、酸成分除去装置232の下方から使用済みのカルシウム塩を排出する薬剤排出手段の一例である薬剤排出装置235と、酸成分除去装置232から流出した排気ガスに含まれるHFの濃度を検知する濃度検知手段の一例としてのHF濃度センサ236と、HF濃度センサ236とエゼクタ233との間に配され、酸成分除去装置232にて生じた固形分を除去する粉末トラップ237とをさらに備える。
熱交換器231は、第2加熱器222から排出された後の高温の分解ガスと第1加熱器221に導入される前の前述した低温の装置入口排ガスとの間で熱交換を行う。これにより分解ガスの温度は低下するとともに、第1加熱器221に導入される前の装置入口排ガスの温度は上昇する。また前述の通り、熱交換器231に添加された水は蒸発し水蒸気となる。
熱交換器231を通過した後の分解ガスは、温度が300℃〜500℃程度まで低下し、熱交換器231を通過した後の装置入口排ガスは、温度が200℃〜300℃程度まで上昇する。
熱交換器231としては、特に限られるものではなく、2枚のプレートを交互に配置し、そのプレート間に流路を構成し、装置入口排ガスと分解ガスとの熱交換を行うプレートタイプの熱交換器や、シェル(円筒)と多数のチューブ(伝熱管)の中に、それぞれ装置入口排ガスや分解ガスを通し、相互間で熱交換を行うシェルアンドチューブタイプの熱交換器が使用できる。また二重管構造にして内管に高温の分解ガスを流し、外管に低温の装置入口排ガスを流す二重管式熱交換器であってもよい。また装置入口排ガスと分解ガスとは対向して流してもよく、並行して流してもよい。本実施の形態では、二重管式熱交換器を使用し、装置入口排ガスと分解ガスとは対向して流している。
酸成分除去装置232は、内部にカルシウム塩からなる薬剤層232aが充填されており、分解ガス中に含まれるHFは、このカルシウム塩と吸着反応することで乾式除去される。カルシウム塩としてはCaCO(炭酸カルシウム)、Ca(OH)(水酸化カルシウム)、CaO(酸化カルシウム)等を使用することができる。またカルシウム塩の形状としては、粉末状でもよいが、ハンドリングの容易さから円柱形状または球状等に成形されたペレットとすることが好ましい。本実施の形態では、例えば、Ca(OH)とCaCOとの混合物であってCaCO:Ca(OH)=50質量%〜80質量%:20質量%〜50質量%のものを使用する。この場合成形性がよく、ペレットとしたときに粉化することが抑制できる。また本実施の形態では、この混合物を、底面の直径が3mm程度、高さが8mm程度の円柱形状のペレットにして使用している。
このときの吸着反応として、カルシウム塩としてCaCOやCa(OH)を使用した場合を例に採り、下記に反応式を示す。
CaCO+2HF→CaF+CO+HO …(5)
Ca(OH)+2HF→CaF+2HO …(6)
上記(5)式〜(6)式からわかるように、HFはカルシウム塩と反応し、CaF(弗化カルシウム(蛍石))、CO(二酸化炭素)、およびHO(水)が生じる。
エゼクタ233には、圧縮空気を流入させる圧縮空気配管が接続され、この圧縮空気を高速で流すことで生じる負圧により、排気ガスを吸引し、圧縮空気とともに過弗化物の処理装置2外に排出する。これにより排気ガスは、さらに温度が低下し、排出される。酸成分除去装置232から排出された後の排気ガスは、例えば、200℃程度であるが、エゼクタ233から排出される排気ガスは、例えば、100℃以下となる。
また分解ガスは、酸成分除去装置232の下方から導入するとともに、酸成分除去装置232の上方から排出する。そして分解ガスは、酸成分除去装置232の下方から上方へ流動する間に上記(5)式〜(6)式で例示したHFとカルシウム塩との反応が生じ、HFが乾式除去される。このときカルシウム塩は、CaFとなり、これ以上の反応は生じないため、順次交換を行う必要がある。
そのため本実施の形態では、カルシウム塩を酸成分除去装置232に供給する薬剤供給装置234と、使用済みのカルシウム塩を酸成分除去装置232から排出する薬剤排出装置235を設けている。
本実施の形態では、HF濃度センサ236によりHFの濃度を監視し、HFの濃度が、例えば、100ppmに達したときは、カルシウム塩の交換時期になったと判断する。そして薬剤排出装置235に設けられたロータリーバルブ(図示せず)等の開閉を行い、所定量の使用済みのカルシウム塩を排出する。また使用済みのカルシウム塩を排出した後は、薬剤供給装置234に設けられたロータリーバルブ(図示せず)等の開閉を行い、排出した分の新たなカルシウム塩を供給する。このようにして酸成分除去装置232や薬剤排出装置235内のカルシウム塩は、順次交換される。なおこの一連の手順は、制御ユニット24が、HF濃度センサ236から送られるHFの濃度に関する情報を取得し、そしてHFの濃度が、例えば、100ppmに達したときに、薬剤供給装置234や薬剤排出装置235に設けられたロータリーバルブの開閉の制御を行うことで自動的に行われる。またこのときカルシウム塩は、全て交換してもよいが、通常は一部のみ交換が行われる。カルシウム塩の交換量としては、例えば、40kg/hである。
図5は、酸成分除去装置232の底部について示した図である。図5では、酸成分除去装置232の底部を上方から見た場合を示している。また図6は、図5のVI方向から酸成分除去装置232の底部を見た図である。即ち、図6は、酸成分除去装置232の底部を水平方向から見た場合を示している。さらに図7は、図6のVII方向から酸成分除去装置232の底部を見た図である。即ち、図7は、酸成分除去装置232の底部を下方から見た場合を示しており、図5に示した酸成分除去装置232の底部を裏面から見た場合を示している。
以下、図5〜図7を使用して酸成分除去装置232の底部の構造について説明を行う。
酸成分除去装置232の底部は、カルシウム塩の取り出しを行うシャッタ251a、251b、251c、251d、251eと、分解ガスの導入を行うスリット部252とを備える。なお以下、シャッタ251a、251b、251c、251d、251eを区別しない場合は、シャッタ251と総称して言うことがある。
図示するようにシャッタ251とスリット部252とは、列状に交互に配列する。これにより図5および図6では、5つのシャッタ251a、251b、251c、251d、251eの両側にスリット部252が位置するようになっている。
シャッタ251は、開閉可能であり、閉じた状態から開いた状態になるときに反応後のカルシウム塩を取り出す薬剤取り出し部、すなわち薬剤排出装置235の一部として機能する。
ここでシャッタ251は、円弧状をなし、このシャッタ251が予め定められた回転中心に沿って移動することで開閉動作を行う。この動作は、シャフト253a、253b、253c、253d、253e(以下、「シャフト253」と総称することがある)と、このそれぞれに対し連動し回転する取り付け部254a、254b、254c、254d、254e(以下、「取り付け部254」と総称することがある)とにより実現される。つまり取り付け部254にはシャッタ251が取り付けられているため、シャフト253が回転すると、取り付け部254を介してシャッタ251もシャフト253を回転中心として回転する。これによりシャッタ251は、開閉動作を行うことができる。なお図5〜図7では、シャッタ251が「閉」の状態を示している。
また取り付け部254には、連結アーム255a、255b、255c、255dがさらに取り付けられる。ここで連結アーム255aは、取り付け部254aと取り付け部254bとを連結し、連結アーム255bは、取り付け部254bと取り付け部254cとを連結する。さらに連結アーム255cは、取り付け部254cと取り付け部254dとを連結し、連結アーム255dは、取り付け部254dと取り付け部254eとを連結する。
また取り付け部254aには、横アーム256の一端が取り付けられ、この横アーム256の他端には縦アーム257の一端がさらに接続される。そして縦アーム257の他端には、連結棒258の一端が接続される。
縦アーム257は、中心部257aを中心に回転可能となっている。また連結棒258は、他端が酸成分除去装置232の外部に延び、外部からシャッタ251を操作するためのものである。この連結棒258は、X1方向およびX2方向に移動可能に構成される。そして連結棒258をX1方向に移動させる(引張る)と、縦アーム257が中心部257aを中心に回転する。このとき縦アーム257は、上部が連結棒258に従ってX1方向に移動しつつ回転するとともに、下部は、X2方向に移動しつつ回転する。そのため縦アーム257の下部と接続される横アーム256もX2方向に移動する。
そして横アーム256がX2方向に移動すると、横アーム256に接続される取り付け部254aがシャフト253aを中心にしてR1方向に回転するため、シャッタ251aもR1方向に回転する。これによりシャッタ251aは「閉」の状態から「開」の状態となる。
また取り付け部254aがR1方向に回転すると、この回転に従い連結アーム255aがX1方向に移動し、これにより取り付け部254bがR1方向に回転する。これによりシャッタ251bについても「閉」の状態から「開」の状態となる。
さらに取り付け部254bがR1方向に回転すると、連結アーム255bがX3方向に移動し、今度は、取り付け部254cがR2方向に回転する。これによりシャッタ251cは、R2方向に回転し、「閉」の状態から「開」の状態となる。
そして取り付け部254cがR2方向に回転すると、連結アーム255c、255dがX2方向に移動し、取り付け部254d、254eがR2方向に回転する。よってシャッタ251d、251eは、R2方向に回転し、「閉」の状態から「開」の状態となる。
以上のようにして連結棒258をX1方向に移動させることにより、全てのシャッタ251を「閉」の状態から「開」の状態とすることができる。そしてシャッタ251が「開」の状態となると、今までシャッタ251により閉鎖されていた隙間からカルシウム塩が落下し、これによりカルシウム塩を取り出すことができる。
なおシャッタ251を「開」から「閉」の状態にするには、上述した場合と逆の作業を行えばよい。つまり連結棒258をX2方向に移動させる(押し込む)と、縦アーム257の下部は、X1方向に移動しつつ回転する。そしてこれにより、横アーム256は、X1方向に移動し、連結アーム255aがX2方向に移動する。さらに連結アーム255bがX4方向に移動し、連結アーム255c、255dがX1方向に移動する。これによりシャフト253a、253b、取り付け部254a、254bは、R2方向に回転し、シャフト253c、253d、253e、取り付け部254c、254d、254eは、R1方向に回転する。これにより全てのシャッタ251が「開」の状態から「閉」の状態となる。
また、横アーム256の一端は、例えば取り付け部254cに取り付けられても良く、254cを起点として、連結アーム255a、255b、255c、255dを介して取り付け部254a、254bと取り付け部254d、254eをそれぞれ反対方向に回転させてシャッタ251を開閉させても良い。
スリット部252は、シャッタ251の間に配され、上方からシャッタ251へ向かう斜面を有するとともに、この斜面に分解ガスは通過させる一方でカルシウム塩は通過させない大きさの開口部を有する分解ガス導入部として機能する。
即ち図5および図6に示すようにスリット部252は、斜面S1、S2を有する。この斜面S1と斜面S2は、互いに逆方向を向いており、上部において接合して頂部Pを形成する。つまりスリット部252は、シャッタ251の間で山形状をなし、頂部Pから両側のシャッタ251に向け延びている。
斜面S1、S2には開口部の一例としてスリット252aが形成される。そしてこのスリット252aは、例えばペレット状であるカルシウム塩を通さない幅として形成される。これにより分解ガスはスリット252aを通過して酸成分除去装置232の内部に導入させることができるが、カルシウム塩は、通過できない。そのため上述したシャッタ251から取り出されない限り、酸成分除去装置232内に留まる。
スリット部252を斜面S1、S2を有する構成とすることで、分解ガスを酸成分除去装置232内に導入させる箇所の面積を増加させることができる。そのため分解ガスの導入が阻害されにくい。また例えばペレット状であるカルシウム塩は、この斜面S1、S2を滑り落ち、そしてシャッタ251の上部に到達することができる。そのためシャッタ251の箇所からより円滑にカルシウム塩を取り出すことができ、カルシウム塩が詰まる等の現象が生じにくくなる。
なお上述したカルシウム塩を排出するロータリーバルブは、図示した箇所よりさらに下方に存在し、シャッタ251から取り出されたカルシウム塩は、このロータリーバルブから最終的に排出される。またシャッタ251の開閉動作は、ロータリーバルブの動作と連動して行われる。つまりロータリーバルブからカルシウム塩を排出される際には、制御ユニット24による制御により連結棒258をX1方向に移動させ、シャッタ251を「開」の状態としてカルシウム塩を取り出す処理を行う。また所定量のカルシウム塩がシャッタ251を通過した後は、連結棒258をX2方向に移動させ、シャッタ251を「閉」の状態としてカルシウム塩を取り出す処理を停止する。
粉末トラップ237は、カルシウム塩の交換の際などに酸成分除去装置232で生じたカルシウム塩の粉末等を除去するために設けられる。粉末トラップ237としては、金属メッシュフィルタ等を使用することができる。
<過弗化物の処理装置の動作の説明>
図8は、過弗化物の処理装置2の動作について説明したフローチャートである。
以後、図3および図8を使用して過弗化物の処理装置2の動作について説明を行う。
まず装置入口排ガスは、前処理ユニット21の入口加熱器211を通過し、予熱が行われる(ステップ101)。これにより装置入口排ガス中に含まれるミストが蒸発する。
次に予熱された装置入口排ガスに空気を導入し、前処理ユニット21のフィルタ212により微粒子が除去される(ステップ102)。
そして装置入口排ガスは、熱交換器231による熱交換により加熱される(ステップ103)。またこのとき過弗化物の分解反応に必要な水が添加される(ステップ104)。
熱交換器231を通過した装置入口排ガスは、第1加熱器221によりまず加熱され(ステップ105)、さらに第2加熱器222により過弗化物の分解に必要な温度にまでさらに加熱される(ステップ106)。そして第2加熱器222の触媒層222bを通過するときに過弗化物が分解し、装置入口排ガスは、HFを含む分解ガスとなる(ステップ107)。
分解ガスは、再び熱交換器231に入り、前述の装置入口排ガスとの間で熱交換を行う(ステップ108)。
そして分解ガスは、酸成分除去装置232においてカルシウム塩と反応し、HFが乾式除去される(ステップ109)。またこのとき制御ユニット24は、HF濃度センサ236により取得されたHF濃度が所定の値以上になったか否かを判断する(ステップ110)。そして所定の値以上になったとき(ステップ110でYes)は、薬剤排出装置235と薬剤供給装置234を動作させ、カルシウム塩の交換を行う(ステップ111)。また所定の値未満であったとき(ステップ110でNo)は、カルシウム塩の交換は行わず、次のステップ112に進む。
HFが乾式除去された後の排気ガスは、粉末トラップ237により粉末が除去された後(ステップ112)、エゼクタ233により過弗化物の処理装置2外に排出される(ステップ113)。
以上詳述した過弗化物の処理装置2では、以下のような特徴点を有する。
(i)触媒層222bを利用して過弗化物の分解を行うため、大量のエッチング排ガスを処理することができるとともに運転コストを低減することができる。
(ii)分解ガス中に含まれるHFをカルシウム塩との吸着反応により乾式除去することで、従来の水にHFを溶解させてHFを除去する方法に対し、HFを含む排水が生じない。また吸着反応後に生成するCaFは、無害であるとともにハンドリングが容易である。さらにCaFは、HFを製造する原料となるため、有価物である。つまり地球環境に有害なエッチング排ガスから有価物であるCaFを製造することができる。
(iii)熱交換器231により装置入口排ガスと分解ガスとの間で熱交換を行うことで、エネルギーの利用効率が上昇する。また従来の分解ガスを水により冷却する方式に比べ、排水が生じない。そのため排水処理工程が不要となり過弗化物の処理装置2の運転コストを低減することができる。
(iv)酸成分除去装置232の上方に配される薬剤供給装置234と下方に薬剤排出装置235を有する薬剤層232aを組み込むことで、単に弁を開くだけで重力を利用して落とし込むという簡便なシステムにより、カルシウム塩の交換を行うことができる。また本実施の形態では、分解ガスを下方から導入し、上方から排気するとともに、HF濃度センサ236を設け、HFの濃度を監視することでカルシウム塩の交換時期の判断を行う。これにより薬剤層232aの上層部は排出されず、下層部の反応済みのカルシウム塩のみが排出されるので、未反応のカルシウム塩がほとんど生じず、カルシウム塩の無駄な消費量を少なくすることができる。
(v)また本実施の形態では、酸成分除去装置232の底部を図5〜図7で示した構造とすることで、酸成分除去装置232の下方から分解ガスを導入する際に阻害されにくく、カルシウム塩を酸成分除去装置232の下方から取り出す際にも円滑に行うことができる。つまり本実施の形態の酸成分除去装置232は、分解ガスの導入とカルシウム塩の取り出しを同じ装置底部から行うことができるとともに、分解ガスの流通とカルシウム塩の流通とが互いに影響を与えにくい構造となっている。
<実際の過弗化物の処理装置の説明>
図9は、実際に製造された過弗化物の処理装置2を上方から見た図である。また図10は、実際に製造された過弗化物の処理装置2を図9のVII方向から見た図である。さらに図11は、図9のX−X断面図である。即ち図10、図11は、過弗化物の処理装置2を水平方向から見た図となる。
図示するように実際の過弗化物の処理装置2は、上方から見た場合矩形領域の内部にほぼ全ての機器が配置されている。なお制御ユニット24については、矩形領域の外部に配置されている。なお本実施の形態における矩形とは、長方形が基本形であるが、長方形に近い台形や平行四辺形や楕円形なども本実施の形態の特徴を逸脱しない範囲で矩形に含めることができる。
次に図9〜図11における過弗化物の処理装置2の各機器の説明を行う。なお以後、制御ユニット24が設置されている位置を上方から見たときに過弗化物の処理装置2の左下側であるとして説明を行う。
装置入口排ガスは、過弗化物の処理装置2の左下側から導入される。そして複数の配管を経由して図9中右方向に流され、過弗化物の処理装置2の下側に設置された入口加熱器211を通過する。そしてこのときに入口加熱器211に配されたヒータ211a(図3参照)により予熱が行われる。これにより装置入口排ガスに含まれるミストが蒸発する。また入口加熱器211を通過した装置入口排ガスは、さらに図9中右方向に流され、フィルタ212に導入され、装置入口排ガス中に含まれる微粒子が除去される。また図示はしていないが、入口加熱器211を通過した後の装置入口排ガス中に空気が導入される。
なお本実施の形態では、フィルタとしてフィルタ212のみではなく、予備フィルタ212aを備えている。即ち、フィルタ212が閉塞する等の理由で交換が必要になった場合、フィルタ212に接続されている配管に設けられたバルブ等を操作することで、装置入口排ガスが流通する配管を切替え、予備フィルタ212aに装置入口排ガスが流入するようにする。これによりフィルタ212の交換作業中に予備フィルタ212aにより微粒子の除去が可能となり、過弗化物の処理装置2の運転を停止することなくフィルタ212の交換作業が可能となる。
フィルタ212を通過した後の装置入口排ガスは、配管P1により矢印A方向に流れ、過弗化物の処理装置2の上側に設置された熱交換器231に入る。そして装置入口排ガスは、熱交換器231による熱交換により加熱される。また図示はしていないが、このとき熱交換器231には水が添加され、この水は水蒸気となって装置入口排ガスとともに運ばれる。
熱交換器231から排出された装置入口排ガスは、配管P2により矢印B方向に流れ、過弗化物の処理装置2の右下側に設置された第1加熱器221に入る。第1加熱器221は、横型の加熱器であり、図9中左側より装置入口排ガスが流入し、図9中右側より装置入口排ガスが排出される。そして第1加熱器221は、内部にヒータ221a(図3参照)が配され、装置入口排ガスが第1加熱器221内部を左側から右側に移動する際に、加熱が行われる。
次に第1加熱器221から排出された装置入口排ガスは、配管P3により矢印C方向に流れ、過弗化物の処理装置2の右上側に設置された第2加熱器222に入る。第2加熱器222は縦型の加熱器であり、上方にヒータ222a(図3参照)が配され、下方に触媒層222b(図3参照)が配される。そして装置入口排ガスは、第2加熱器222の上方から流入し、ヒータ222aにより過弗化物の分解温度にまで加熱されつつ、第2加熱器222の下方に流れる。そして触媒層222bにおいて、過弗化物は、装置入口排ガスと混合していた水(水蒸気)と反応し、分解される。そして分解後の生成物であるHFを含む酸性の分解ガスとなり、第2加熱器222の下方から排出される。
そして第2加熱器222から排出された分解ガスは、配管P4により矢印D方向に流れ、再び熱交換器231に入る。そして熱交換器231において、高温の分解ガスと低温の装置入口排ガスとの間で熱交換が行われる。
熱交換器231から排出された分解ガスは、配管P5により矢印E方向(図9中左方向)に流れ、過弗化物の処理装置2の上側に設置された酸成分除去装置232に入る。このとき分解ガスは、図11からわかるように酸成分除去装置232の下方から流入し、酸成分除去装置232の上方に流れる。そしてこのときにカルシウム塩からなる薬剤層232a(図3参照)において分解ガスに含まれるHFが吸着反応を起こし、乾式除去される。そして無害化された排気ガスとなり、酸成分除去装置232の上方から排出される。
また酸成分除去装置232には、酸成分除去装置232の上部に薬剤供給装置234が設けられ、酸成分除去装置232の下部に薬剤排出装置235が設けられている。そしてHF濃度センサ236により検知されるHFの濃度が予め定められた濃度以上になったときは、制御ユニット24が、薬剤排出装置235に設けられたロータリーバルブRo2の開閉を行い、所定量の使用済みのカルシウム塩を排出する。またこの際にシャッタ251は「開」の状態となっている。さらに使用済みのカルシウム塩を排出した後は、制御ユニット24が、薬剤供給装置234に設けられたロータリーバルブRo1の開閉を行い、排出した分の新たなカルシウム塩を供給する。
酸成分除去装置232から排出された排気ガスは、配管P6により矢印F方向(図9中左方向)に流れ、過弗化物の処理装置2の左上側に設置された粉末トラップ237に入る。そして粉末トラップ237により、カルシウム塩の粉末等が除去される。なお配管P6の途中には、HF濃度センサ236が配されており、排気ガス中に含まれるHFの濃度を測定する。また配管P6は、本実施の形態では、比較的長尺として、周囲に放熱フィンを備えている。これは酸成分除去装置232に接続され、エゼクタ233へ向かう配管P6は、矩形領域の他方の長辺側に沿って配され、排気ガスを冷却する放熱フィンを備えると言い換えることもできる。これにより排気ガスの温度をさらに低下させることができる。
そして粉末トラップ237から排出された排気ガスは、最後に過弗化物の処理装置2の左上側に設置されたエゼクタ233により吸引され、配管P7により矢印G方向(図9中上方向)に流れ、装置外部に排出される。
また上述した例では、半導体製造工場において排出されるエッチング排ガス中に含まれる過弗化物を処理する場合について説明したが、これに限られるものではないことはもちろんである。例えば、液晶製造工場等から排出されるエッチング排ガスやクリーニング排ガス中に含まれる過弗化物を処理する場合であってもよい。
1…半導体製造設備、2…過弗化物の処理装置、3…酸スクラバ、21…前処理ユニット、22…過弗化物分解ユニット、23…HF吸着ユニット、24…制御ユニット、211…入口加熱器、212…フィルタ、221…第1加熱器、222…第2加熱器、231…熱交換器、232…酸成分除去装置、233…エゼクタ、251…シャッタ、252…スリット部

Claims (6)

  1. 開閉可能であり、閉じた状態から開いた状態になるときに反応後の薬剤を取り出す薬剤取り出し部と、
    前記薬剤取り出し部の間に配され、上方から当該薬剤取り出し部へ向かう斜面を有するとともに、当該斜面に分解ガスは通過させる一方で薬剤は通過させない大きさの開口部を有する分解ガス導入部と、
    を備える酸成分除去手段を有することを特徴とする過弗化物の処理装置。
  2. 過弗化物を含むガスおよび水を加熱するとともに、予め定められた触媒により過弗化物を加水分解して酸性ガスを含む分解ガスを生成する加熱手段と、
    前記加熱手段の前段および後段に配され、当該加熱手段に流入する前の過弗化物を含むガスおよび水と当該加熱手段から流出した後の分解ガスとの間で熱交換を行なう熱交換手段と、
    前記熱交換手段から流出した後の分解ガスから、酸成分を薬剤と反応させることで乾式除去する酸成分除去手段と、
    を備え、
    前記酸成分除去手段は、
    開閉可能であり、閉じた状態から開いた状態になるときに反応後の薬剤を取り出す薬剤取り出し部と、
    前記薬剤取り出し部の間に配され、上方から当該薬剤取り出し部へ向かう斜面を有するとともに、当該斜面に分解ガスは通過させる一方で薬剤は通過させない大きさの開口部を有する分解ガス導入部と、
    を装置底部に備えることを特徴とする過弗化物の処理装置。
  3. 前記薬剤取り出し部と前記分解ガス導入部とは、列状に交互に配列することを特徴とする請求項2に記載の過弗化物の処理装置。
  4. 前記分解ガス導入部の前記斜面は、互いに逆方向を向く2つの斜面からなることを特徴とする請求項2または3に記載の過弗化物の処理装置。
  5. 前記薬剤取り出し部は、円弧状のシャッタであり、当該シャッタが予め定められた回転中心に沿って移動することで開閉動作を行うことを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載の過弗化物の処理装置。
  6. 前記酸成分除去手段の上方から薬剤を供給する薬剤供給手段を更に備え、
    前記酸成分除去手段に導入する分解ガスは、当該酸成分除去手段の上方から排出することを特徴とする請求項2乃至5の何れか1項に記載の過弗化物の処理装置。
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