JP2014212762A - イソブタノール生産酵母 - Google Patents

イソブタノール生産酵母 Download PDF

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史生 松田
近藤 昭彦
Akihiko Kondo
昭彦 近藤
石井 純
Jun Ishii
純 石井
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Abstract

【課題】イソブタノールの次世代バイオ燃料としての実用化に向けて、より生産性に優れたイソブタノール生産酵母を提供すること。
【解決手段】リンゴ酸酵素をミトコンドリア内に発現または発現増強するように形質転換された、イソブタノール生産酵母、その調製方法、ならびに該イソブタノール生産酵母を用いたイソブタノールの製造方法が提供される。
【選択図】なし

Description

本発明は、イソブタノールを生産する酵母およびその調製方法ならびに該酵母を用いてイソブタノールを製造する方法に関する。
分岐鎖を有するイソブタノールは、同じ炭素数の直鎖アルコールに比べてさらに高いオクタン価を示すため、ガソリン代替燃料として注目が集まっている。イソブタノールはまた、化成品の原料としても有用である。
イソブタノールについて、バイオマスから生産する試みがこれまでなされており、次世代バイオ燃料として注目されている。次世代バイオ燃料を生産する技術は、大腸菌を生体触媒として利用する方法が先行して開発されてきた。一方、酵母は、菌体のリサイクルが可能であり、発酵時のストレスが強く、アルコール耐性に優れるなど、経済的な次世代バイオ燃料の実用化の際に必須の宿主であるとされている。
イソブタノールは、酵母の発酵の副産物として生産され得るが、極めて低い量でしかない。イソブタノール生産酵母を作出するために、酵母は、その代謝経路を改変するよう遺伝子組換えがなされている(特許文献1および2;ならびに非特許文献1〜5)。
特表2011−522543号公報 米国特許第8,097,440号
Chenら,Biotechnology for Biofuels,2011,4:21 Bratら,Biotechnology for Biofuels,2012,5:65 Avalosら,nature biotechnology,2013,doi:10.1038/nbt.2509 Kondoら,J. Biotechnol.,2012,159(1-2):32-37 Matsudaら,Biosci. Biotechnol. Biochem.,2012,76(11),2139-2142
本発明は、イソブタノールの次世代バイオ燃料としての実用化に向けて、イソブタノールの生産性により優れたイソブタノール生産酵母を提供することを目的とする。
本発明は、リンゴ酸酵素をミトコンドリア内に発現または発現増強するように形質転換された、イソブタノール生産酵母を提供する。
1つの実施形態では、上記酵母は、以下の(1)から(5)の変換:
(1)ピルビン酸から2−アセト乳酸への変換;
(2)2−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への変換;
(3)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸への変換;
(4)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換;および
(5)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換
を含む代謝経路を含む。
1つの実施形態では、上記酵母はさらに、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体またはそれを構成する少なくとも1つのサブユニットを欠損する。
1つの実施形態では、上記酵母はさらに、(i)アセト乳酸シンターゼをミトコンドリア内に発現増強する、(ii)アセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをサイトゾルに発現する、または(iii)該(i)および(ii)の両方である。
本発明はさらに、イソブタノール生産酵母を調製する方法を提供し、この方法は、
イソブタノールを生産し、かつリンゴ酸酵素をミトコンドリア内に発現または発現増強する酵母を作出する工程を含む。
1つの実施形態では、上記リンゴ酸酵素のミトコンドリア内への発現または発現増強は、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むリンゴ酸酵素をコードする遺伝子を導入することにより得られる。
1つの実施形態では、上記イソブタノールの生産は、以下の(1)から(5)の変換:
(1)ピルビン酸から2−アセト乳酸への変換;
(2)2−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への変換;
(3)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸への変換;
(4)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換;および
(5)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換
を含む代謝経路を含むように酵母を形質転換することにより得られる。
1つの実施形態では、上記調製方法は、上記酵母からピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体を欠損させる工程をさらに含む。
1つの実施形態では、上記調製方法は、以下の(I)から(III):
(I)N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程;
(II)それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないアセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程;および
(III)N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子、ならびに、それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないアセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程
のいずれかの工程をさらに含む。
本発明はなおさらに、イソブタノールを製造する方法を提供し、この方法は上記イソブタノール生産酵母を、炭素基質を含む培地で培養する工程を含む。
1つの実施形態では、上記炭素基質を含む培地は、グルコースを含む。
本発明によれば、イソブタノールの生産性に優れたイソブタノール生産酵母が提供される。このようなイソブタノール生産酵母を用いることにより、イソブタノールをより効率的に製造することができる。
酵母発現用プラスミドpATP423(a)、pATP425(b)およびpATP426(c)の構造を示す模式図である。 pATP426−kivd−ADH6の構造を示す模式図である。 pILV2Lの構造を示す模式図である。 pATP426−kivd−ADH6−ILV2の構造を示す模式図である。 pILV532cytLの構造を示す模式図である。 pILV532cytMの構造を示す模式図である。 pATP423−MAE1およびpATP423−sMAE1の構造を示す模式図である。 pATP423−MMおよびpATP423−MsMの構造を示す模式図である。 pATP423−PMMおよびpATP423−PMsMの構造を示す模式図である。 形質転換酵母BSW12、BSW13、BSW14、BSW15、BSW16、BSW17、BSW18、BSW19およびBSW20の試験管におけるグルコースからの発酵開始48時間後のイソブタノールの生産量を示すグラフである。 (a)形質転換酵母BSW157、BSW158、BSW164、BSW165、BSW171、BSW172、BSW178およびBSW179;ならびに(b)形質転換酵母BSW159、BSW160、BSW166、BSW167、BSW173、BSW174、BSW180およびBSW181の試験管におけるグルコースからの発酵開始48時間後のイソブタノールの生産量を示すグラフである。 形質転換酵母BSW192およびBSW205の試験管におけるグルコースからの発酵開始48時間後のイソブタノールの生産量を示すグラフである。 形質転換酵母BSW205の発酵ビンにおけるグルコースからのイソブタノールの経時的な生産量を示すグラフである。
(イソブタノール生産酵母およびその調製方法)
本発明の酵母は、リンゴ酸酵素をミトコンドリア内で発現または発現増強するように形質転換された、イソブタノール生産酵母である。
「リンゴ酸酵素」(MAE)は、リンゴ酸からピルビン酸への変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。このリンゴ酸酵素は、NAD依存性リンゴ酸酵素とも呼ばれ、EC.1.1.1.38に分類され得るが、上記酵素活性を有する限り限定されない。リンゴ酸酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来MAE1(UNIProt番号P36013;NCBI Gene ID 853839)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)由来MAE1(UNIProt番号A3LV50;NCBI Gene ID 4839210)、スキゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)由来mae1(UNIProt番号P50537;NCBI Gene ID 2543334)、アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)由来NAD−ME2(UNIProt番号Q8L7K9;NCBI Gene ID 828222)などが挙げられる。1つの実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ由来MAE1である。サッカロマイセス・セレビシエ由来MAE1の遺伝子配列およびそのコードするアミノ酸配列を配列番号1および2に示す。
リンゴ酸酵素は、酵母においては、通常、ミトコンドリア内に局在している(Bolesら,J. Bacteriol.,1998,180(11):2875-2882)。
本発明はさらに、イソブタノール生産酵母を調製する方法を提供し、この方法は、イソブタノールを生産し、かつリンゴ酸酵素をミトコンドリア内に発現または発現増強する酵母を作出する工程を含む。1つの実施形態では、リンゴ酸酵素のミトコンドリア内への発現または発現増強は、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むリンゴ酸酵素をコードする遺伝子を導入することにより得られる。
リンゴ酸酵素のミトコンドリア内への発現または発現増強は、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ由来MAE1の天然型酵素をコードする遺伝子を酵母に導入することにより行うことができる。
「導入」とは、ポリヌクレオチドまたは発現ベクター中の発現を目的とする遺伝子が宿主細胞に導入されるだけでなく、宿主細胞で発現されることも含む。遺伝子導入によるその酵素の「発現」または「発現増強」は宿主に依存し得、「発現」は、本来その遺伝子を保有していない宿主に遺伝子を導入することで、形質転換酵母が酵素活性を有するようになることをいい、「発現増強」は、その遺伝子を保有する宿主に遺伝子を(好ましくは過剰発現するように)導入することで、形質転換酵母にて酵素活性を増強させることをいうが、これらは厳密に区別される必要はない。
リンゴ酸酵素(例えばMAE1)は、酵母において、本来ミトコンドリア内に発現するが、N末端が欠失した形態(例えば、配列番号4のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子(例えば、配列番号3の塩基配列からなる))に改変した酵素は、ミトコンドリア外(サイトゾル内)に発現される。N末端に存在し、かつミトコンドリアをターゲティングするように働く領域を「N末端ミトコンドリアターゲティング配列」ともいう。サッカロマイセス・セレビシエ由来MAE1においては、N末端ミトコンドリアターゲティング配列は、配列番号2のアミノ酸配列の1位〜30位のアミノ酸配列からなる領域である。ミトコンドリア内でのリンゴ酸酵素の発現を可能とする遺伝子(「ミトコンドリア内発現遺伝子」ともいう)としては、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むタンパク質をコードする遺伝子が用いられる。「ミトコンドリア内発現遺伝子」が含むN末端ミトコンドリアターゲティング配列は、本来の全長領域を含むもの(この場合、「天然型酵素」をコードする遺伝子になり得る)、またはミトコンドリアへのターゲティング能力を有する限り、改変されたものであってもよい。
本発明の酵母におけるイソブタノール生産経路は、その一部または全体について、当該酵母が本来有している経路を利用してもよく、またはそのような経路を保有するまたは増強するように酵母を形質転換してもよい。
1つの実施形態では、上記酵母は、以下の(1)から(5)の変換:
(1)ピルビン酸から2−アセト乳酸への変換;
(2)2−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への変換;
(3)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸への変換;
(4)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換;および
(5)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換
を含む代謝経路を含む。上記(1)から(5)の変換は、酵素の触媒によって進行する。本発明の酵母は、上記(1)から(5)の少なくとも1つの変換を触媒する酵素をコードする遺伝子を導入することにより、発現または発現増強するように形質転換されたものでもよい。上記(1)から(5)の各変換を触媒する酵素について、以下に説明する。
「アセト乳酸シンターゼ」(ALS)は、ピルビン酸2分子から2−アセト乳酸1分子への変換(上記(1))を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。アセト乳酸シンターゼは、「アセトヒドロキシ酸シンターゼ」としても知られ、EC.2.2.1.6に分類され得るが、上記酵素活性を有する限り限定されない。アセト乳酸シンターゼ酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2(UNIProt番号P07342;NCBI Gene ID 855135);大腸菌(Escherichia coli)由来ilvB(UNIProt番号P08142;NCBI Gene ID 12933592)、ilvG(UNIProt番号P00892;NCBI Gene ID 2847699)およびilvI(UNIProt番号P00893;NCBI Gene ID 12930386);枯草菌バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)由来alsS(UNIProt番号Q04789;NCBI Gene ID 936852)およびilvB(UNIProt番号P37251;NCBI Gene ID 936792);乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)由来als(UNIProt番号Q7DAV2;NCBI Gene ID 1114827)およびilvB(UNIProt番号Q02137;NCBI Gene ID 1114873)などが挙げられるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2である。サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2の遺伝子配列およびそのコードするアミノ酸配列を配列番号5および6に示す。
「ケトール酸レダクトイソメラーゼ」(KARI)は、2−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への変換(上記(2))を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。ケトール酸レダクトイソメラーゼは、「アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ」としても知られ、EC.1.1.1.86に分類され得るが、上記酵素活性を有する限り限定されない。ケトール酸レダクトイソメラーゼ酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV5(UNIProt番号P06168;NCBI Gene ID 851069)、大腸菌由来ilvC(UNIProt番号P05793;NCBI Gene ID 12934337)、枯草菌バチルス・ズブチリス由来ilvC(UNIProt番号P37253;NCBI Gene ID 937475)、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス由来ilvC(UNIProt番号Q02138;NCBI Gene ID 1114875)などが挙げられるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV5である。サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV5の遺伝子配列およびそのコードするアミノ酸配列を配列番号7および8に示す。
「ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ」(DHAD)は、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸への変換(上記(3))を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。ジヒドロキシ酸デヒドラターゼは、「2,3−ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ」としても知られ、EC.4.2.1.9に分類され得るが、上記酵素活性を有する限り限定されない。ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV3(UNIProt番号P39522;NCBI Gene ID 853473)、大腸菌由来ilvD(UNIProt番号P05791;NCBI Gene ID 12934335)、枯草菌バチルス・ズブチリス由来ilvD(UNIProt番号P51785;NCBI Gene ID 939084)、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス由来ilvD(UNIProt番号Q02139;NCBI Gene ID 1114872)などが挙げられるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV3である。サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV3の遺伝子配列およびそのコードするアミノ酸配列を配列番号9および10に示す。
アセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼ、およびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをまとめてバリン生合成酵素群ともいい、それぞれ、酵母におけるピルビン酸からバリンへの生合成経路の第一、第二、および第三の工程を触媒し得る。これらの酵素は、酵母においては、通常、ミトコンドリア内に局在している(非特許文献1〜3および5)。
「ケト酸デカルボキシラーゼ」(KDC)は、2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換(上記(4))を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。ケト酸デカルボキシラーゼは、「2−ケト酸デカルボキシラーゼ」などとも呼ばれ、上記酵素活性を有する限り限定されない。ケト酸デカルボキシラーゼ酵素としては、例えば、乳酸菌ラクトコッカス・ラクティス由来kivD(UNIProt番号Q684J7;NCBI ACCESSION No.AJ746364);サッカロマイセス・セレビシエ由来KID1(UNIProt番号Q07471;NCBI Gene ID 851479)およびARO10(UNIProt番号H8X586;NCBI Gene ID 14540047);枯草菌バチルス・ズブチリス由来alsS(UNIProt番号Q04789;NCBI Gene ID 936852)などが挙げられるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、ラクトコッカス・ラクティス由来kivDである。ラクトコッカス・ラクティス由来kivDの遺伝子配列およびそのコードするアミノ酸配列を配列番号11および12に示す。
「アルコールデヒドロゲナーゼ」(ADH)は、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換(上記(5))を触媒する酵素活性を有するポリペプチドを示す。このアルコールデヒドロゲナーゼは、NADP依存性アルコールデヒドロゲナーゼとも呼ばれ、EC.1.1.1.2に分類され得るが、上記酵素活性を有する限り限定されない。アルコールデヒドロゲナーゼ酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ由来ADH6(UNIProt番号Q04894;NCBI Gene ID 855368)、サッカロマイセス・セレビシエ由来のADH7(UNIProt番号P25377;NCBI Gene ID 850469)、大腸菌K12株(Escherichia coli(strain K-12))由来fucO(UNIProt番号P0A9S1;NCBI Gene ID 12930229)、およびラクトコッカス・ラクティス由来ADHARE1(イソブチルアルデヒドに対するアフィニティーを増大するように改変:Bastianら,Metabolic Engineering,2011,13:345-352)などが挙げられるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、サッカロマイセス・セレビシエ由来ADH6である。サッカロマイセス・セレビシエ由来ADH6の遺伝子配列およびそのコードするアミノ酸配列を配列番号13および14に示す。
ケト酸デカルボキシラーゼおよびアルコールデヒドロゲナーゼは、酵母においては、通常、ミトコンドリア外(すなわちサイトゾル内)にて、バリンからイソブタノールを生成するエールリッヒ経路で働くことが知られる(非特許文献1〜3および4)。
1つの実施形態では、本発明の酵母は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体またはそれを構成する少なくとも1つのサブユニットを欠損する。
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体とは、ピルビン酸をアセチルCoAに変換(ピルビン酸脱炭酸反応と呼ばれる)する3つの酵素の複合体である。ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体は、通常、真核生物のミトコンドリアのマトリックスに位置し、全部で60のサブユニットを含み、以下の3つの機能性タンパク質(酵素)を組織する:ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(E1)(EC 1.2.4.1)、24のサブユニットから構成される;ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ(E2)(EC 2.3.1.12)、24のサブユニットから構成される;ならびにジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ(E3)(EC 1.8.1.4)、12のサブユニットから構成される。
ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体またはそれを構成する少なくとも1つのサブユニットの欠損は、酵母におけるサブユニットをコードする遺伝子の発現を抑制することによって行われ得る。遺伝子の発現の抑制の実施形態としては、正常タンパク質の生産量の抑制、および機能しない変異体タンパク質の生産もしくは促進が挙げられる。そのための遺伝子操作としては、トランスジェニック、遺伝子ノックアウト、ノックインなどが挙げられる。
発現を抑制するサブユニットはいずれであってもよい。好ましくは、PDA1、PDB1、LAT1、LPD1、およびPDX1の少なくともいずれか1つのサブユニットであり、より好ましくは、PDB1およびLPD1の少なくともいずれか1つのサブユニットである。このような欠損酵母は、公知の遺伝子配列情報に基づいて適宜プライマー等を作製し、上記遺伝子操作を行うことによって作製してもよく、市販の欠損株を用いてもよい。市販の欠損株としては、例えば、BY4741 lpd1Δ株(インビトロジェン株式会社;現ライフテクノロジーズ株式会社より入手)、BY4741 pdb1Δ株(インビトロジェン株式会社;現ライフテクノロジーズ株式会社より入手)などが挙げられる。
1つの実施形態では、本発明の酵母は、(i)アセト乳酸シンターゼをミトコンドリア内に発現増強する、(ii)アセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをサイトゾルに発現する、または(iii)該(i)および(ii)の両方である。
上述したように、アセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼ、およびジヒドロキシ酸デヒドラターゼは、通常、酵母においてミトコンドリア内に局在している。このように本来ミトコンドリア内に発現し局在する酵素を、ミトコンドリア外にて発現させることは、酵素タンパク質のN末端に存在し、かつミトコンドリアをターゲティングするように働く領域(「N末端ミトコンドリアターゲティング配列」)を欠失させることによって行われ得る(非特許文献3および5)。よって、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないタンパク質をコードする遺伝子が設計され得る。N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないタンパク質とは、酵素のN末端ミトコンドリアターゲティング配列全体を欠失させたもの、および酵素活性を維持しかつミトコンドリアへのターゲティング能力を喪失するようにN末端領域が欠失された(例えば、N末端ミトコンドリアターゲティング配列よりも1〜数個のアミノ酸長いもしくは短い領域の欠失)を包含する。
上記(i)に関しては、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含む形態(例えば、天然型)のアセト乳酸シンターゼをコードするように遺伝子配列を設計し得る。例えば、配列番号6のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする塩基配列(例えば、配列番号5に示す塩基配列)を設計し得る。1つの実施形態では、本発明の酵母の調製方法は、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程(工程(I))を含む。
上記(ii)に関しては、これらの3つの酵素について、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないタンパク質をコードするように遺伝子配列を設計し得る。1つの実施態様では、サッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2、ILV3およびILV5について、それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないタンパク質をコードするように遺伝子配列を設計する。ILV2、ILV3およびILV5について、それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列は、配列番号5の1位〜54位、配列番号9の1位〜42位、配列番号7の1位〜47位のアミノ酸配列からなる領域である。N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないサッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2、ILV3およびILV5の例示の遺伝子配列およびそのコードするアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号15および16;配列番号17および18;ならびに配列番号19および20に示す。1つの実施形態では、本発明の酵母の調製方法は、それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないアセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程(工程(II))を含む。
上記(iii)に関しては、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子、ならびに、それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないアセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードする遺伝子のそれぞれを設計し、これらの遺伝子を酵母に導入し得る。1つの実施形態では、本発明の酵母の調製方法は、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子、ならびに、それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないアセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程(工程(III))を含む。
各酵素をコードする遺伝子は、酵母において内因性であってもよいし、外因性であってもよい。また、公知のこれらの酵素をコードする遺伝子を適宜利用でき、上述に例示した酵素およびコードする遺伝子に限定されない。遺伝子としては、由来を問わないで利用できる。すなわち、遺伝子は、宿主となる酵母以外の他の種の酵母、他の属の酵母に由来するものであってもよいし、動物、植物、真菌(カビなど)、細菌などいずれ酵母以外の生物に由来するものであってもよい。こうした遺伝子に関する情報は、当業者であれば、各種遺伝子データベース(例えば、UNIProt、NCBIなど)のホームページにアクセスすることにより適宜入手できる。
本発明で用いられる遺伝子は、各酵素活性を有する限りにおいて、データベースなどにおいて開示される配列情報と一定の関係を有するタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。このような実施形態としては、開示されたアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、本発明において発現または発現増強しようとする酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。開示されるアミノ酸配列に対するアミノ酸の変異は、すなわち、欠失、置換もしくは付加は、いずれか1種類であってもよいし、2種類以上が組み合わされていてもよい。また、これらの変異の総数は、特に限定されないが、好ましくは、1個以上10個以下程度、より好ましくは、1個以上5個以下である。アミノ酸置換の例としては、保存的置換が好ましく、具体的には以下のグループ内での置換が挙げられる:(グリシン、アラニン)(バリン、イソロイシン、ロイシン)(アスパラギン酸、グルタミン酸)(アスパラギン、グルタミン)(セリン、トレオニン)(リジン、アルギニン)(フェニルアラニン、チロシン)。
他の実施形態としては、本発明で用いられる遺伝子は、開示されるアミノ酸配列に対して70%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、かつ本発明において発現または発現増強しようとする酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。配列同一性は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは、90%以上であり、もっとも好ましくは95%以上である。
本明細書において配列の同一性または類似性とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2以上のタンパク質あるいは2以上のポリヌクレオチドの間の関係である。配列の「同一性」とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きのそのような配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、類似性とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸または配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLASTの配列相同性検索結果においてSimilarityと称される。同一性および類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性および類似性を決定するための方法は、公衆に利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、AltschulらによるBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)プログラム(例えば、Altschulら, J. Mol. Biol.,1990,215:403-410;Altschylら,Nucleic Acids Res. 1997,25:3389-3402)を利用し決定することができる。BLASTのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。
さらに他の実施形態として、開示される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子が挙げられる。ストリンジェントな条件とは、たとえば、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。例えば、塩基配列の同一性が高い核酸、すなわち開示される塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましく95%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖がハイブリダイズし、それより相同性が低い核酸の相補鎖がハイブリダイズしない条件が挙げられる。より具体的には、ナトリウム塩濃度が15〜750mM、好ましくは50〜750mM、より好ましくは300〜750mM、温度が25〜70℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは55〜65℃、ホルムアミド濃度が0〜50%、好ましくは20〜50%、より好ましくは35〜45%での条件をいう。さらに、ストリンジェントな条件では、ハイブリダイゼーション後のフィルターの洗浄条件が、通常はナトリウム塩濃度が15〜600mM、好ましくは50〜600mM、より好ましくは300〜600mM、温度が50〜70℃、好ましくは55〜70℃、より好ましくは60〜65℃である。さらなる他の実施形態として、開示される塩基配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましく95%以上の同一性を有する塩基配列を有し、本発明で発現または発現増強しようとする酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを含む遺伝子が挙げられる。
このような遺伝子は、例えば、開示されるまたは公知の塩基配列に基づいて設計したプライマーを用いて、各種生物から抽出したDNA、各種cDNAライブラリーまたはゲノムDNAライブラリー等由来の核酸を鋳型としたPCR増幅を行うことにより、核酸断片として得ることができる。また、上記ライブラリーなどに由来する核酸を鋳型とし、本発明で発現または発現しようとする酵素をコードする遺伝子の一部であるDNA断片をプローブとしてハイブリダイゼーションを行うことにより、核酸断片として得ることができる。あるいは遺伝子は、化学合成法等の当技術分野で公知の各種の核酸配列合成法によって、核酸断片として合成してもよい。
また、遺伝子は、例えば、開示されるまたは公知のアミノ酸の配列をコードするDNAを、慣用の突然変異誘発法、部位特異的変異法、エラープローンPCRを用いた分子進化的手法等によって改変することによって取得することができる。このような手法としては、Kunkel法または Gapped duplex法等の公知手法またはこれに準ずる方法が挙げられ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-K(TAKARA社製)やMutant-G(TAKARA社製))などを用いて、あるいは、TAKARA社のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異が導入される。
酵母において、酵素またはタンパク質をコードする遺伝子の発現が増強されている形態としては特に限定されない。これら遺伝子の発現を増強する改変が行われる前に比べて、これらのタンパク質の生産量または活性の増大、あるいは、後述するようにイソブタノール生産能力の増強が確認されればよい。遺伝子の発現が増強されている実施形態としては、例えば、内因性のいずれかの遺伝子がより強力なプロモーター(例えば、構成的プロモーター)の制御下に連結された実施形態が挙げられる。また、追加的に内因性および/または外因性のいずれかの遺伝子が導入されている実施形態が挙げられる。追加的に導入されたいずれかの遺伝子は好ましくは構成的プロモーターなど強力なプロモーターで作動可能に保持されている。発現の増強について、本明細書中においては「過剰発現」ともいう。
導入される遺伝子は、誘導的プロモーターまたは構成的プロモーターの制御下に連結され得る。好ましくは、構成的プロモーターの制御下に連結される。酵母における構成的プロモーターとしては、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK1)、アルコールデヒドロゲナーゼ1(ADH1)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ3(TDH3)、チトクロームbc1コンプレックス(CYC1)および高浸透圧応答7(HOR7)の遺伝子のプロモーター、ならびにこれらの改変体が挙げられる。
また、これらの遺伝子のいずれかの遺伝子の発現が増強されている実施形態としては、いずれかの遺伝子の複数コピーが発現可能に保持されている実施形態が挙げられる。この場合、コピー数は特に限定しないが、2以上であることが好ましい。
酵母においていずれかの酵素またはタンパク質をコードする遺伝子が発現されているまたは発現が増強されているか、および複合体を欠損しているかは、形質転換酵母が上記各種実施形態を保持しているかどうかを検出する、あるいは形質転換酵母におけるいずれかの遺伝子によってコードされるタンパク質の発現量、当該タンパク質のmRNA発現量、形質転換酵母が産生したタンパク質の活性などのいずれかが、形質転換前と比較して増加または減少しているかどうかを調べることにより評価することができる。発現増強の場合、増加の程度は、こうした発現量などが発現増強前に比較して、好ましくは10%以上であり、より好ましくは30%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、なおより好ましくは70%以上である。
宿主として用いる酵母は、子のう菌酵母(Ascomycetous yeast)に属するものであればよく、特に限定されない。例えば、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、カンジダ属(Candida)、ピチア属(Pichia)、スキゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ハンセヌラ属(Hancenula)、クロッケラ属(Kloeckera)、シュワニオマイセス属(Schwanniomyces)、およびヤロウィア属(Yarrowia)などの酵母が挙げられる。サッカロマイセス属(Saccharomyces)であるものがより好ましい。
本発明の酵母は、上述したように、上記各種遺伝子または遺伝子を含有する発現ベクターを宿主となる酵母に導入することにより得られる。
発現ベクターは、プラスミドベクターであってもよく、あるいは人工染色体であってもよい。酵母を宿主とする場合、ベクターの調製が容易であり、また酵母細胞の形質転換が容易である点で、プラスミドの形態が好ましい。発現ベクターは、例えば、これら遺伝子など所望の遺伝子組み換えのためのDNA断片を、適当なベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。プロモーターとしては、既に説明したほか、GALプロモーター等の誘導的プロモーターが挙げられる。発現ベクターはさらに、ターミネーター、エンハンサー、複製開始点(ori)、マーカーなどを備えることができ、これらの要素が必要に応じて適宜選択される。発現ベクターが、遺伝子置換、遺伝子破壊などの染色体への所望のDNA断片の組み込みを意図する場合は、染色体上の所定の領域との相同領域を有している。相同領域は、所望のDNA断片を組み込む領域に応じて適宜選択される。本発明で用いる組換えベクター材料としては、商業的に入手可能な酵母発現ベクターから適宜選択して用いることができる。
DNAの取得の簡易化の点からは、酵母と大腸菌とのシャトルベクターであることが好ましい。このようなベクターは、例えば、酵母の2μmプラスミドの複製開始点(Ori)とColE1の複製開始点とを有しており、酵母選択マーカー(以下に説明)および大腸菌の選択マーカー(薬剤耐性遺伝子など)を有する。酵母選択マーカーとしては、公知の任意のマーカーが利用され得る。例えば、薬剤耐性遺伝子、栄養要求性マーカー遺伝子(例えば、イミダゾールグリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ(HIS3)をコードする遺伝子、リンゴ酸ベータ−イソプロピルデヒドロゲナーゼ(LEU2)をコードする遺伝子、トリプトファンシンターゼ(TRP5)をコードする遺伝子、アルギニノコハク酸リアーゼ(ARG4)をコードする遺伝子、N−(5’−ホスホリボシル)アントラニル酸イソメラーゼ(TRP1)をコードする遺伝子、ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ(HIS4)をコードする遺伝子、オロチジン−5−リン酸デカルボキシラーゼ(URA3)をコードする遺伝子、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(URA1)をコードする遺伝子、ガラクトキナーゼ(GAL1)をコードする遺伝子、およびアルファ−アミノアジピン酸レダクターゼ(LYS2)をコードする遺伝子など)が挙げられる。例えば、栄養要求性マーカー遺伝子(例えば、HIS3、LEU2、URA1、TRP1欠損マーカーなど)が好ましく用いられ得る。
複数の遺伝子の導入が容易である点で、図1に示すようなpATP42x系ベクターが好適に用いられ得る。これらのプラスミドベクターは酵母の選択マーカーが異なること以外は共通する構成を有する。図1の(a)pATP423;(b)pATP425;および(c)pATP426はそれぞれ、pRS403+2μm、pRS405+2μm、pRS406+2μm(Ishiiら,J. Biochem.,2009,145(6),701-708)のマルチクローニングサイトに、ADH1ターミネーターおよびADH1プロモーター、TDH3プロモーターおよびTDH3ターミネーター、PGK1プロモーターおよびPGK1ターミネーターを挿入して調製されたベクターであり、3つのマルチクローニング部位を有する。
酵母への遺伝子の導入方法は特に限定されず、公知の方法を採用できる。代表的には、上記のような発現ベクターを用いて酵母を形質転換する方法が挙げられる。形質転換方法は、特に限定されず、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、酢酸リチウム法、プロトプラスト法などのトランスフェクション法やマイクロインジェクション法のような公知の方法を制限なく使用できる。導入された遺伝子は、プラスミドの形態で存在してもよく、または酵母の染色体に挿入された形態あるいは酵母の染色体に相同組換えにより組み込まれた形態で存在してもよい。
なお、上記のような発現ベクターの作製、組換え体宿主としての酵母などの取り扱い、形質転換などに必要な一般的な操作は、当業者間で通常行われているものであり、例えば、T.Maniatis,J. Sambrookらの実験書(Molecular Cloning, A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1982、1989、2001)などを適宜参照することにより当業者であれば実施することができる。
形質転換酵母は、常法に従い、酵母選択マーカーによる形質または目的タンパク質の活性などを指標として選択することができる。
(イソブタノールを製造する方法)
本発明はさらに、イソブタノールを製造する方法を提供し、この方法は、上記イソブタノール生産酵母を、炭素基質を含む培地で培養する工程(本明細書中において、発酵工程ともいう)を含む。
炭素基質としての糖は、単糖、オリゴ糖、および多糖、ならびにこれらの混合物のいずれの形態でもよい。1つの実施形態では、培養培地は、グルコースを含む。グルコースを含有する培養培地の形態は、酵母がグルコースを用いることができる形態であれば特に限定されない。例えば、培養培地がグルコースにて構成されるオリゴ糖または多糖(例えば、デンプン、セルロース)を含む場合、これらの糖を分解可能な酵素を培地に含んでもよい。炭素基質は、例えば、バイオマス原料由来の炭素基質(例えば、リグノセルロース系バイオマスの分解に伴うもの)であってもよい。バイオマス原料由来の炭素基質またはリグノセルロース系バイオマスの分解により生成する糖としては、グルコース、キシロース、マンノース、ガラクトースおよびアラビノースなどが挙げられるが、少なくともグルコースを含んでいることが好ましい。
発酵工程では、酵母に一般的に適用される培養条件を適宜選択して用いることができる。典型的には、発酵のための培養は、静置培養、振とう培養または通気攪拌培養等を用いることができる。通気条件は、嫌気条件下、微好気条件下、および好気条件などから適宜選択することができる。培養温度も、特に限定しないが、例えば、25℃〜40℃、好ましくは、28℃〜35℃の範囲とすることができる。培養時間も必要に応じて設定されるが、数時間〜96時間程度、好ましくは、12時間〜36時間とすることができる。pHの調整は、無機あるいは有機酸、アルカリ溶液などを用いて行うことができる。培養中は、必要に応じてアンピシリン、テトラサイクリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。
発酵工程の実施により、本発明の形質転換酵母によってイソブタノールが生産される。発酵終了後、培養液からイソブタノール含有画分を回収する工程、さらにこれを精製または濃縮する工程を実施することもでき、これらの工程は、当業者によって適宜選択される。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
酵母発現用プラスミドpATP423、pATP425およびpATP426は、それぞれpRS403+2μm、pRS405+2μm、pRS406+2μm(Ishiiら,J. Biochem.,2009,145(6),701-708)のマルチクローニングサイトに、ADH1ターミネーターおよびADH1プロモーター、TDH3プロモーターおよびTDH3ターミネーター、PGK1プロモーターおよびPGK1ターミネーターを挿入して調製した。これらの構成を表す模式図を図1に示す((a)pATP423;(b)pATP425;および(c)pATP426)。
前培養で用いたSD選択培地の組成は、D−グルコース20g/L、Yeast nitrogen base6.7g/L、および適切なアミノ酸および核酸(メチオニン20mg/L、アデニン40mg/L、トリプトファン40mg/L、リジン30mg/L、ロイシン60mg/L、ウラシル20mg/Lおよびヒスチジン20mg/L)とし、YPH499株用には、上記適切なアミノ酸および核酸に関して、アデニン、トリプトファン、リジン、ロイシン、ウラシルおよびヒスチジンのうち選択圧をかけるために必要な成分のみを含まないものとし、またはBY4741株およびBY4741破壊株用には、メチオニン、ロイシン、ウラシルおよびヒスチジンのうち選択圧をかけるために必要な成分のみを含まないものとした。
(調製例1:kivD発現およびAdh6過剰発現用プラスミドの作製)
2−ケト酸デカルボキシラーゼkivDおよびアルコールデヒドロゲナーゼAdh6をそれぞれ酵母で発現および過剰発現させるためのプラスミドを構築した。酵母発現用プラスミドpATP426(図1(c))のTDH3プロモーターおよびTDH3ターミネーターとの間にラクトコッカス・ラクティス由来のkivd遺伝子(配列番号11;配列番号12はそのコードするアミノ酸配列を示す)を挿入し、さらにADH1プロモーターおよびADH1ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来ADH6遺伝子(配列番号13;配列番号14はそのコードするアミノ酸配列を示す)を挿入して、プラスミドpATP426−kivd−ADH6を作製した(図2)。挿入に用いたkivd遺伝子は、pGK424−kivd(非特許文献4)を鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号21)およびリバースプライマー(配列番号22)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素SalIおよびNotIで処理することにより調製した。ADH6遺伝子は、pGK426−ADH6(非特許文献4)を鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号23)およびリバースプライマー(配列番号24)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素AvrIIおよびFseIで処理することにより調製した。得られたプラスミドpATP426−kivd−ADH6は、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーURA3遺伝子および酵母2μ複製起点を有するものであった。
(調製例2:Ilv2過剰発現用プラスミドの作製)
アセト乳酸シンターゼIlv2を酵母で過剰発現させるためのプラスミドを構築した。酵母発現用プラスミドpATP425(図1(b))のPGK1プロモーターおよびPGK1ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2遺伝子(配列番号5;配列番号6はそのコードするアミノ酸配列を示す)を挿入して、プラスミドpILV2Lを作製した(図3)。挿入に用いたILV2遺伝子は、pGK425−ILV2(非特許文献4)を鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号25)およびリバースプライマー(配列番号26)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素XmaIおよびAscIで処理することにより調製した。得られたプラスミドpILV2Lは、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーLEU2遺伝子および酵母2μ複製起点を有するものであった。
(調製例3:kivD発現、Adh6およびIlv2過剰発現用プラスミドの作製)
2−ケト酸デカルボキシラーゼkivDを発現させると同時に、アルコールデヒドロゲナーゼAdh6およびアセト乳酸シンターゼIlv2を酵母で過剰発現させるためのプラスミドを構築した。酵母発現用プラスミドpATP426−kivd−ADH6(図2)のPGK1プロモーターおよびPGK1ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2遺伝子(配列番号5;配列番号6はそのコードするアミノ酸配列を示す)を挿入して、プラスミドpATP426−kivd−ADH6−ILV2を作製した(図4)。挿入に用いたILV2遺伝子は、pILV2Lを制限酵素XmaIおよびAscIで処理することにより調製した。得られたプラスミドpATP426−kivd−ADH6−ILV2は、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーURA3遺伝子および酵母2μ複製起点を有するものであった。
(調製例4:Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現用プラスミドの作製)
ケトール酸レダクトイソメラーゼ(Ilv5)のN末端欠失変異体Ilv5c、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(Ilv3)のN末端欠失変異体Ilv3cおよびアセト乳酸シンターゼ(Ilv2)のN末端欠失変異体Ilv2cを酵母で同時に発現させるためのプラスミドを構築した。酵母発現用プラスミドpATP425(図1(b))のADH1プロモーターおよびADH1ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来ILV5c遺伝子(配列番号19;配列番号20はそのコードするアミノ酸配列を示す)を挿入し、TDH3プロモーターおよびTDH3ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来ILV3c遺伝子(配列番号17;配列番号18はそのコードするアミノ酸配列を示す)を挿入し、さらにPGK1プロモーターおよびPGK1ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来ILV2c遺伝子(配列番号15;配列番号16はそのコードするアミノ酸配列を示す)を挿入して、プラスミドpILV532cytLを作製した(図5)。挿入に用いたILV5c遺伝子は、pGK424−ILV5c(非特許文献5)を鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号27)およびリバースプライマー(配列番号28)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素AvrIIおよびFseIで処理することにより調製した。ILV3c遺伝子は、pGK423−ILV3c(非特許文献5)を鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号29)およびリバースプライマー(配列番号30)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素SalIおよびNotIで処理することにより調製した。ILV2c遺伝子は、pGK425−ILV2c(非特許文献5)を鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号31)およびリバースプライマー(配列番号26)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素XmaIおよびAscIで処理することにより調製した。得られたプラスミドpILV532cytLは、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーLEU2遺伝子および酵母2μ複製起点を有するものであった。
さらに、LEU2遺伝子の代わりに異なる酵母選択マーカーMET15遺伝子を有するIlv5c、Ilv3cおよびIlv2c過剰発現プラスミドpILV532cytMを作製した(図6)。pILV532cytMは、酵母発現用プラスミドpGK421(S. Togawaら、J. Biochem.、2010年、第147巻、p. 867-873)を制限酵素XhoIおよびSacIで処理することにより得られたMET15遺伝子を含む断片と、pILV532cytLを制限酵素XhoIおよびSacIで処理することにより得られたILV5c、ILV3cおよびILV2cを含む断片をライゲーション反応により結合することで調製した。得られたプラスミドpILV532cytMは、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーMET15遺伝子および酵母2μ複製起点を有するものであった。
(調製例5:Mae1過剰発現およびsMae1発現用プラスミドの作製)
リンゴ酸酵素Mae1およびリンゴ酸酵素のN末端欠失変異体sMae1をそれぞれ酵母で過剰発現および発現させるためのプラスミドを構築した。酵母発現用プラスミドpATP423(図1(a))のTDH3プロモーターおよびTDH3ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来MAE1遺伝子(配列番号1;配列番号2はそのコードするアミノ酸配列を示す)およびsMAE1遺伝子(配列番号3;配列番号4はそのコードするアミノ酸配列を示す)をそれぞれ挿入して、プラスミドpATP423-MAE1およびpATP423−sMAE1を作製した(図7)。挿入に用いたMAE1遺伝子は、酵母サッカロマイセス・セレビシエのYPH499株(RS. Sikorskiら、Genetics、1989年、第122巻、p. 19-27)から常法により抽出したゲノムDNAを鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号32)およびリバースプライマー(配列番号33)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素SalIおよびNotIで処理することにより調製した。sMAE1遺伝子は、YPH499株ゲノムDNAを鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号34)およびリバースプライマー(配列番号33)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素SalIおよびNotIで処理することにより調製した。得られたプラスミドpATP423−MAE1およびpATP423−sMAE1はそれぞれ、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーHIS3遺伝子および酵母2μ複製起点を有するものであった。
(調製例6:Mae1もしくはsMae1とMdh2共発現用プラスミドの作製)
リンゴ酸デヒドロゲナーゼMdh2をMae1もしくはsMae1と酵母で共発現させるためのプラスミドを構築した。プラスミドpATP423−MAE1およびpATP423−sMAE1(図7)のADH1プロモーターおよびADH1ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来MDH2遺伝子(配列番号35;配列番号36はそのコードするアミノ酸配列を示す)をそれぞれ挿入して、プラスミドpATP423−MMおよびpATP423−MsMを作製した(図8)。挿入に用いたMDH2遺伝子は、酵母サッカロマイセス・セレビシエのYPH499株(RS. Sikorskiら、Genetics、1989年、第122巻、p. 19-27)から常法により抽出したゲノムDNAを鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号37)およびリバースプライマー(配列番号38)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素AvrIIおよびFseIで処理することにより調製した。得られたプラスミドpATP423−MMおよびpATP423−MsMはそれぞれ、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーHIS3遺伝子および酵母2μ複製起点を有する。
(調製例7:Mae1もしくはsMae1と、Mdh2およびPyc2共発現用プラスミドの作製)
ピルビン酸カルボキシラーゼPyc2をMdh2と共に、Mae1もしくはsMae1と酵母で共発現させるためのプラスミドを構築した。プラスミドpATP423−MMおよびpATP423−MsM(図8)のPGK1プロモーターおよびPGK1ターミネーターとの間にサッカロマイセス・セレビシエ由来PYC2遺伝子(配列番号39;配列番号40はそのコードするアミノ酸配列を示す)をそれぞれ挿入して、プラスミドpATP423−PMMおよびpATP423−PMsMを作製した(図9)。挿入に用いたPYC2遺伝子は、酵母サッカロマイセス・セレビシエのYPH499株(RS. Sikorskiら、Genetics、1989年、第122巻、p. 19-27)から常法により抽出したゲノムDNAを鋳型とし、フォワードプライマー(配列番号41)およびリバースプライマー(配列番号42)を用いて、常法のPCR法によりDNA断片を得たのち、この断片を制限酵素XmaIおよびAscIで処理することにより調製した。得られたプラスミドpATP423−PMMおよびpATP423−PMsMはそれぞれ、大腸菌選択マーカーAmp遺伝子および大腸菌ColE1複製起点に加え、酵母選択マーカーHIS3遺伝子および酵母2μ複製起点を有するものであった。
(調製例8:酵母形質転換体の作製)
酵母サッカロマイセス・セレビシエのYPH499株(RS. Sikorskiら、Genetics、1989年、第122巻、p. 19-27)、BY4741株(CB. Brachmannら、Yeast、1998年、第14巻、p. 115-132)、BY4741 lpd1Δ株(インビトロジェン株式会社;現ライフテクノロジーズ株式会社より入手)、BY4741 ilv6Δ株(インビトロジェン株式会社;現ライフテクノロジーズ株式会社より入手)、BY4741 pdb1Δ株(インビトロジェン株式会社;現ライフテクノロジーズ株式会社より入手)に調製例1〜7で作製したプラスミドを酢酸リチウム法により導入し、形質転換酵母を得た(表1)。得られた形質転換酵母をそれぞれ表1に示すように命名した。
Figure 2014212762
(実施例1:試験管での形質転換酵母のイソブタノール生産試験1)
調製例8で得た形質転換酵母BSW12、BSW13、BSW14、BSW15、BSW16、BSW17、BSW18、BSW19およびBSW20を用いて、グルコースからの試験管での生産試験を行い、イソブタノールの生産量を測定した。
用いた形質転換酵母は以下の通りであった:
BSW12、空ベクターで形質転換した酵母YPH499株;
BSW13、kivD発現およびAdh6過剰発現の形質転換酵母YPH499株;
BSW14、kivD発現、Adh6過剰発現およびIlv2過剰発現の形質転換酵母YPH499株;
BSW15、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、およびsMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)の形質転換酵母YPH499株;
BSW16、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)およびMdh2発現の形質転換酵母YPH499株;
BSW17、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母YPH499株;
BSW18、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母YPH499株;
BSW19、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、Mae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)およびMdh2発現の形質転換酵母YPH499株;ならびに
BSW20、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、Mae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母YPH499株。
各形質転換酵母をSD選択培地で前培養し、菌体を回収および洗浄後、試験管内に同様のSD選択培地(初発D−グルコース濃度20g/Lを含む)5mlおよび前培養にて回収した酵母を入れ、発酵を開始した。発酵は、150rpm振盪下30℃にて48時間、微好気条件で行った。発酵開始48時間後、発酵サンプル100μLを採取し、これにアセトン890μLおよび2−ブタノール10μLを混合し、12,000rpmにて5分間遠心分離し、上清を回収した。この上清をGC−MSガスクロマトフラフィー質量分析装置(GCMS−QP2010 Plus;株式会社島津製作所)に供し、培養液中のイソブタノール濃度(mg/L)を測定した。GC−MSの分離用カラムにはDB−FFAP(アジレント・テクノロジー株式会社)を用い、キャリアガスにはヘリウムを用いた。GC温度は、40℃にて1分保持;10℃/分にて昇温し、165℃にて5分保持;120℃/分にて昇温し、250℃にて5分保持にて設定した。MS検出条件は、イソブタノール:m/z=32.90、40.90、41.90である。結果を図10に示す。
図10から明らかなように、リンゴ酸酵素Mae1の発現を増強した(すなわち、Mae1をミトコンドリア内発現する)形質転換酵母BSW18〜20において、増大したイソブタノール生産量が観察された。この中でも、Mdh2またはPyc2を発現させるように形質転換した酵母BSW19または20に比べて、Mdh2またはPyc2を発現させるプラスミドを用いなかったBSW18において、より高いイソブタノール生産量が観察された。さらに、BSW18は、sMae1発現(すなわち、Mae1をサイトゾルで発現させた)に加えて、Mdh2およびPyc2を発現するように形質転換した酵母BSW17よりも高いイソブタノール生産量を示した。
(実施例2:試験管での形質転換酵母のイソブタノール生産試験2)
調製例8で得た形質転換酵母BSW157、BSW158、BSW159、BSW160、BSW164、BSW165、BSW166、BSW167、BSW171、BSW172、BSW173、BSW174、BSW178、BSW179、BSW180およびBSW181を用いたこと以外は、実施例1と同様に試験管内イソブタノール生産試験を行った。得られた結果を図11に示す(図11の(a)に、BSW157、BSW158、BSW164、BSW165、BSW171、BSW172、BSW178およびBSW179の結果を示し、そして(b)に、BSW159、BSW160、BSW166、BSW167、BSW173、BSW174、BSW180およびBSW181の結果を示す)。
用いた形質転換酵母は以下の通りであった:
BSW157、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母BY4741株;
BSW158、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母BY4741株;
BSW159、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母BY4741株;
BSW160、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母BY4741株;
BSW164、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母lpd1欠損BY4741株;
BSW165、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母lpd1欠損BY4741株;
BSW166、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母lpd1欠損BY4741株;
BSW167、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母lpd1欠損BY4741株;
BSW171、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母ilv6欠損BY4741株;
BSW172、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母ilv6欠損BY4741株;
BSW173、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母ilv6欠損BY4741株;
BSW174、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母ilv6欠損BY4741株;
BSW178、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母pdb1欠損BY4741株;
BSW179、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母pdb1欠損BY4741株;
BSW180、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母pdb1欠損BY4741株;ならびに
BSW181、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、sMae1発現(Mae1サイトゾル内発現)、Mdh2発現およびPyc2発現の形質転換酵母pdb1欠損BY4741株。
図11(a)および(b)から明らかなように、BSW166およびBSW180で、とりわけ増大したイソブタノール生産量が観察された。これらの酵母は、Mae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)に加え、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体を欠損し、かつバリン生合成酵素群のケトール酸レダクターゼ(Ilv5)、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(Ilv3)およびアセト乳酸シンターゼ(Ilv2)をサイトゾルに発現する。BSW164およびBSW178でも、増大したイソブタノール生産量が観察された。これらの酵母は、Mae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)に加え、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体を欠損し、かつアセト乳酸シンターゼ(Ilv2)のミトコンドリア内の発現を増強する。BSW166、BSW164、BSW180およびBSW178は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体を欠損する酵母において、Mae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)をする点で共通している。
アセト乳酸シンターゼ(Ilv2)の調節サブユニット(Ilv6)を欠損させた酵母(BSW171またはBSW173)においてもイソブタノール生産量の増大が見られたが、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体を欠損する酵母に比べると増大の程度は低かった。
(実施例3:試験管での形質転換酵母のイソブタノール生産試験3)
調製例8で得た形質転換酵母BSW192およびBSW205を用い、実施例1と同様に試験管内イソブタノール生産試験を行った。得られた結果を図12に示す。
用いた形質転換酵母は以下の通りであった:
BSW192、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母BY4741株;ならびに
BSW205、kivD発現、Adh6過剰発現、Ilv2過剰発現、Ilv5c、Ilv3cおよびIlv2c発現(Ilv5、Ilv3およびIlv2サイトゾル内発現)、およびMae1過剰発現(Mae1ミトコンドリア内発現増強)の形質転換酵母lpd1欠損BY4741株。
図12から明らかなように、BSW205では、試験管において初発D−グルコース濃度20g/Lからの発酵開始48時間後に、230mg/Lものイソブタノール生産量が得られた。BSW205は、ミトコンドリア内のMae1発現増強に加え、ミトコンドリア内のアセト乳酸シンターゼ(Ilv2)の発現を増強し、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)複合体を欠損しかつバリン生合成酵素群(Ilv5、Ilv3およびIlv2)をサイトゾルに発現する。
(実施例4:発酵ビンでの形質転換酵母のイソブタノール生産試験)
調製例8で得た形質転換酵母BSW205を用いてグルコースからの発酵ビンでの生産試験を行い、イソブタノールの生産量を測定した。
形質転換酵母を、実施例1および3と同様にSD選択培地で前培養し、菌体を回収および洗浄した。次いで、発酵ビンに、YPD培地(酵母エキス10g/L、ペプトン20g/LおよびD−グルコース100g/Lを含有)50mLおよび前培養で回収した酵母を入れ、発酵を開始した。発酵条件は、酵母菌体量OD660=20、150rpm振盪下30℃にて、微好気条件で行った。発酵開始3、6、24および48時間後に、発酵サンプル100μLを採取し、実施例1と同様にして培養液中のイソブタノール濃度(mg/L)を測定した。結果を図13に示す。
図13から明らかなように、BSW205では、発酵ビンにおいて初発D−グルコース濃度100g/Lからの発酵開始6時間までにイソブタノール生産量が急上昇し、6時間後では1.2g/Lのイソブタノール生産量が観察され、その後も増大を続け、発酵開始48時間後には1.4g/Lの生産量が観察された。
本発明によれば、生産性に優れたイソブタノール生産酵母が提供される。このようなイソブタノール生産酵母を用いることにより、イソブタノールをより効率的に製造することができる。ガソリン代替燃料として、かつ化成品の原料に有用なイソブタノールがバイオマスから製造できれば、二酸化炭素削減効果が期待できる。効率的な製造は、さらに経済的なコストの削減につながる。

Claims (11)

  1. リンゴ酸酵素をミトコンドリア内に発現または発現増強するように形質転換された、イソブタノール生産酵母。
  2. 前記酵母が、以下の(1)から(5)の変換:
    (1)ピルビン酸から2−アセト乳酸への変換;
    (2)2−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への変換;
    (3)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸への変換;
    (4)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換;および
    (5)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換
    を含む代謝経路を含む、請求項1に記載の酵母。
  3. 前記酵母がさらに、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体またはそれを構成する少なくとも1つのサブユニットを欠損する、請求項1または2に記載の酵母。
  4. 前記酵母がさらに、(i)アセト乳酸シンターゼをミトコンドリア内に発現増強する、(ii)アセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをサイトゾルに発現する、または(iii)該(i)および(ii)の両方である、請求項1から3のいずれかに記載の酵母。
  5. イソブタノール生産酵母を調製する方法であって、
    イソブタノールを生産し、かつリンゴ酸酵素をミトコンドリア内に発現または発現増強する酵母を作出する工程を含む、方法。
  6. 前記リンゴ酸酵素のミトコンドリア内への発現または発現増強が、N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むリンゴ酸酵素をコードする遺伝子を導入することにより得られる、請求項5に記載の方法。
  7. 前記イソブタノールの生産が、以下の(1)から(5)の変換:
    (1)ピルビン酸から2−アセト乳酸への変換;
    (2)2−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への変換;
    (3)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸への変換;
    (4)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換;および
    (5)イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換
    を含む代謝経路を含むように酵母を形質転換することにより得られる、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記酵母からピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体またはそれを構成する少なくとも1つのサブユニットを欠損させる工程をさらに含む、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
  9. 以下の(I)から(III):
    (I)N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程;
    (II)それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないアセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程;および
    (III)N末端ミトコンドリアターゲティング配列を含むアセト乳酸シンターゼをコードする遺伝子、ならびに、それぞれN末端ミトコンドリアターゲティング配列を含まないアセト乳酸シンターゼ、ケトール酸レダクトイソメラーゼおよびジヒドロキシ酸デヒドラターゼをコードする遺伝子を酵母に導入する工程
    のいずれかの工程をさらに含む、請求項5から8のいずれかに記載の方法。
  10. イソブタノールを製造する方法であって、
    請求項1から4のいずれかに記載の酵母を、炭素基質を含む培地で培養する工程を含む、方法。
  11. 前記炭素基質を含む培地がグルコースを含む、請求項10に記載の方法。
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