JP2014212285A - 結晶性膜の製造方法、結晶性膜、積層体、および発光装置 - Google Patents

結晶性膜の製造方法、結晶性膜、積層体、および発光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フラッシュランプアニールにより非晶質膜を結晶化するまたは相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を高める工程を含み、非晶質膜または低結晶性膜の光吸収波長域にかかわらず、効率の良い結晶化または高結晶化が可能な結晶性膜の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る結晶性膜の製造方法は、非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜31を用意する工程(A)と、非晶質膜または低結晶性膜31の上に、この膜よりもフラッシュランプ光FLの吸収波長域が広いあるいは少なくとも一部の波長域について光吸収量が多い光吸収層50を形成する工程(C)と、光吸収層50に対してフラッシュランプ光FLを照射して、非晶質膜を結晶化するまたは低結晶性膜の結晶性を高める工程(D)とを有するものである。【選択図】図1C

Description

本発明は、結晶性膜とその製造方法、結晶性膜を含む積層体、および発光装置に関するものである。
無機発光体膜は、照明装置および表示装置等に利用されている。
一般に、無機発光性化合物は、成膜時には発光性を有さないまたは発光強度の相対的に低い、非晶質膜または相対的に低結晶性膜であり、その後、焼成等により結晶化または高結晶化して、無機発光体膜となる。
本明細書において、「低結晶性」は相対的に結晶性が低いことを言う。
本明細書において、「結晶化」は非晶質膜を結晶化することを言い、「高結晶化」とは相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を相対的に高めることを言う。
無機発光性化合物の種類にもよるが、一般に良好な発光強度を得るには、たとえば600℃以上の高温焼成が必要とされている。無機発光性化合物を基板上に膜として成膜した場合、基板あるいは下層膜にも同等以上の耐熱性が要求され、これらの材料選定が制限されてしまう。このことは、材料コストの増加を招いたり、デバイス設計の制限を招いたりする。また、電気炉を用いた一般的な高温焼成では、昇温工程を含め長時間の加熱が必要であり、多くのエネルギーを要する。
従来、非晶質または低結晶性のSi膜あるいは酸化物半導体膜等の半導体膜に対し、フラッシュランプ光を照射することで結晶化または高結晶化するフラッシュランプアニールが知られている(特許文献1〜5等)。
フラッシュランプアニールでは、対象膜のほぼ全面に対して高光量・高エネルギーのフラッシュ閃光を一括照射し、膜表面を瞬時に高温まで昇温することが可能である。この方法では、基板の長時間高温加熱が不要であるため、基板および下層膜として、比較的耐熱性の低い材料を選定することが可能である。たとえば、基板として、安価な汎用のガラス基板等を使用できる。
特開平05-218367号公報 特開2002-252174号公報 特開2003-197522号公報 特開2012-212835号公報 特開2002-057301号公報
フラッシュランプの発光波長域は広く、たとえばフラッシュランプとして汎用されているキセノンフラッシュランプでは200〜1100nm程度である。そのため、光吸収波長域の狭い膜では、フラッシュランプ光を効果的に吸収できず、ランプエネルギーを効果的に利用できず、効率の良い結晶化または高結晶化が難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フラッシュランプアニールにより非晶質膜を結晶化するまたは相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を高める工程を含み、非晶質膜または低結晶性膜の光吸収波長域にかかわらず、効率の良い結晶化または高結晶化が可能な結晶性膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の結晶性膜の製造方法は、
非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜を用意する工程(A)と、
前記非晶質膜または前記低結晶性膜の上に、当該膜よりもフラッシュランプ光の吸収波長域が広いあるいは少なくとも一部の波長域について光吸収量が多い光吸収層を形成する工程(C)と、
前記光吸収層に対してフラッシュランプ光を照射して、前記非晶質膜を結晶化するまたは前記低結晶性膜の結晶性を高める工程(D)とを有するものである。
膜の結晶レベルはたとえば、XRD(X線回折)分析において、特定ピークのピーク強度あるいは半価幅等により評価できる。
結晶レベルの相対的な変化は、同一測定条件にて評価するものとする。
フラッシュランプ光の吸収波長域あるいは特定の波長域の光吸収量のレベルはたとえば、分光光度計を用いて測定される吸収スペクトルまたは透過スペクトルにより評価できる。
ここで、吸収波長域の評価については、非晶質膜または低結晶性膜と光吸収層の膜厚は同一としても非同一としてもよいが、特定の波長域の光吸収量の評価(数値による比較)については、非晶質膜または低結晶性膜と光吸収層の膜厚は同一とする。
上記の本発明の結晶性膜の製造方法は、無機発光材料からなる結晶性膜に好ましく適用できる。
前記結晶性膜が無機発光材料からなる場合、
工程(A)において、発光性を有さないまたは発光強度の相対的に低い、前記非晶質膜または前記低結晶性膜を用意し、
工程(D)において、前記非晶質膜を結晶化するまたは前記低結晶性膜の結晶性を高めて、発光強度の相対的に高い無機発光体膜とすることができる。
この場合、膜の結晶レベルは、XRD分析の他、PL(フォトルミネセンス)等の発光強度によっても評価できる。
本発明の第1の結晶性膜は、
上記の本発明の結晶性膜の製造方法により製造されたものである。
本発明の第2の結晶性膜は、
非晶質膜を結晶化するまたは相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を高める方法により製造された結晶性膜であって、
基板、あるいは基板および少なくとも1層の下層膜の上に形成されたものであり、
前記基板または前記下層膜の耐熱温度よりも、前記非晶質膜または前記低結晶性膜を単に加熱するだけで前記結晶性膜を得る場合の加熱温度が高い結晶性膜である。
本明細書において、基板または下層膜の耐熱温度は、物質を加熱していくときに物質が軟化し変形し始める温度(軟化点)、により定義するものとする。
本発明の第1、第2の結晶性膜としては、
発光性を有さないまたは発光強度の相対的に低い、前記非晶質膜または前記低結晶性膜を用いて製造され、前記非晶質膜または前記低結晶性膜よりも発光強度の相対的に高い無機発光体膜が挙げられる。
本発明の積層体は、上記の無機発光体膜からなる本発明の結晶性膜と、当該結晶性膜上に形成されたキャップ層とを有するものである。
本発明の発光装置は、上記の無機発光体膜からなる本発明の結晶性膜、またはこの結晶性膜を含む上記の本発明の積層体を備えたものである。
発光装置としては具体的には、照明装置、および前記無機発光体膜から発光される光の変調により表示を行う表示装置が挙げられる。
本発明によれば、フラッシュランプアニールにより非晶質膜を結晶化するまたは相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を高める工程を含み、非晶質膜または低結晶性膜の光吸収波長域にかかわらず、効率の良い結晶化または高結晶化が可能な結晶性膜の製造方法を提供することができる。
本発明に係る一実施形態の結晶性膜の製造方法を示す工程図である。 本発明に係る一実施形態の結晶性膜の製造方法を示す工程図である。 本発明に係る一実施形態の結晶性膜の製造方法を示す工程図である。 本発明に係る一実施形態の結晶性膜の製造方法を示す工程図である。 結晶性膜の製造方法の変更例を示す工程図である。 結晶性膜の製造方法の変更例を示す工程図である。 本発明に係る第1実施形態の発光装置の模式断面図である。 本発明に係る第2実施形態の発光装置の模式断面図である。 本発明に係る第3実施形態の発光装置の全体模式断面図である。 本発明に係る第3実施形態の発光装置の部分拡大模式断面図である。 実施例1において、フラッシュランプ光照射前のZnS:Mn膜のPLスペクトルである。 実施例1において、フラッシュランプ光照射後のZnS:Mn膜のPLスペクトルである。 実施例1および比較例1において、フラッシュランプ光照射後のZnS:Mn膜のPLスペクトルである。 実施例2で得られたTa膜のXRDパターンである。 比較例2で得られたTa膜のXRDパターンである。 実施例3で得られたZnS:Mn膜のPLスペクトルである。 ZnS:Mn膜とTa膜とカーボン層とペリレン層の透過スペクトルである。
「結晶性膜の製造方法、結晶性膜」
本発明の結晶性膜の製造方法は、
非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜を用意する工程(A)と、
非晶質膜または低結晶性膜の上に、この膜よりもフラッシュランプ光の吸収波長域が広いあるいは少なくとも一部の波長域について光吸収量が多い光吸収層を形成する工程(C)と、
光吸収層に対してフラッシュランプ光を照射して、非晶質膜を結晶化するまたは低結晶性膜の結晶性を高める工程(D)とを有するものである。
結晶性膜の材料としては特に制限されず、
シリコン、酸化物半導体、窒化物半導体、酸窒化物半導体、硫化物半導体等の半導体;
無機発光性化合物;
セラミックス;
その他の絶縁体;
その他の導電体;
およびこれらの組合わせ等が挙げられる。
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の結晶性膜の製造方法について説明する。
図1A〜図1Dは工程図であり、各図は模式断面図である。
本実施形態では、結晶性膜が無機発光体膜である場合を例として説明する。
(工程(A))
はじめに図1Aに示すように、非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜31を用意する。
本実施形態では、基板10上に非晶質膜または低結晶性膜31を成膜する。
基板10上には、1層または2層以上の下層膜が成膜されていてもよい。
結晶性膜が無機発光体膜である場合、非晶質膜または低結晶性膜31の直下には、基板10の成分が無機発光体膜中に拡散することを抑制するバリア層20が形成されていることが好ましい。
バリア層20の材料としては、SiO、Ta、TiO、BaTiO、Alなどの酸化物、Si、AlN、TiNなどの窒化物、SiON、AlONなどの酸窒化物、およびこれらの組合わせ等が挙げられる。
バリア層20は単層構造でも積層構造でもよい。
バリア層20、非晶質膜または低結晶性膜31、後記のキャップ層40、および後記の光吸収層50は、公知方法により成膜することができる。
これらの成膜法としては、
スパッタリング法、CVD(ケミカルベーパーデポジション)法、および電子線蒸着法等の真空下での物理的蒸着法;
並びに、
ゾルゲル法、成膜しようとする層の成分または前駆体を含む溶液または分散液を、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、またはスプレー塗工法等により塗布する塗布法等の液相法等が挙げられる。
(工程(B))
結晶性膜が無機発光体膜である場合、図1Aに示すように、非晶質膜または低結晶性膜31の上に、キャップ層40を形成することが好ましい。
キャップ層40の材料としては、SiO、Ta、TiO、BaTiO、Alなどの酸化物、Si、AlN、TiNなどの窒化物、SiON、AlONなどの酸窒化物、およびこれらの組合わせ等が挙げられる。
キャップ層40は単層構造でも積層構造でもよい。
キャップ層40を設けることにより、フラッシュランプアニールにより、非晶質膜を結晶化するまたは低結晶性膜の結晶性を高める後工程(D)において、アブレーション(蒸発による膜減り)を抑制できる。また、後工程(D)では、熱による結晶成長が起こるが、キャップ層40がない場合は粒状成長が起こって得られる結晶性膜の表面平坦性が低下し、得られる素子の絶縁破壊を招く恐れがある。キャップ層40を設けることにより、表面平坦性を保持したまま、結晶を成長させることができる。
(工程(C))
次に図1Bに示すように、非晶質膜または低結晶性膜31よりもフラッシュランプ光の吸収波長域が広いあるいは少なくとも一部の波長域について光吸収量が多い光吸収層50を形成する。
光吸収層50の材料としては、後工程(D)においてフラッシュランプ光の照射により消失する材料が好ましい。
光吸収層50は、カーボンおよび/または有機化合物を含むことが好ましい。
上記有機化合物としては、
色素;
ペリレン等の発光性有機低分子;
ポリ(1,4−フェニレンビニレン)(PPV)およびポリフルオレン(PFO)等の発光性有機高分子等が挙げられる。
カーボンおよび上記有機化合物は、後工程(D)においてフラッシュランプ光の照射により消失する材料である。
光吸収層50の材料としては、後工程(D)においてフラッシュランプ光の照射により消失しない材料を用いてもよい。
フラッシュランプ光の照射により消失しない光吸収層材料としては、たとえばシリコン等が挙げられる。
(工程(D))
次に図1Cおよび図1Dに示すように、光吸収層50に対してフラッシュランプ光FLを照射して、非晶質膜を結晶化するまたは低結晶性膜の結晶性を高めて、結晶性膜32とする。
光吸収層50がカーボンおよび/または有機化合物等からなる場合、この工程において、光吸収層50は消失する。この場合、光吸収層50の成分が不要に残存して、得られる素子に影響を与える恐れがない。
フラッシュランプの発光波長域は広く、たとえばフラッシュランプとして汎用されているキセノンフラッシュランプでは200〜1100nm程度である。カーボンは光吸収波長域が広く、フラッシュランプの発光波長のほぼ全域を吸収することができ、なおかつ、フラッシュランプ光照射により消失し、好ましい。
本実施形態の結晶性膜の製造方法では、フラッシュランプアニールを採用している。フラッシュランプアニールでは、対象膜のほぼ全面に対して高光量・高エネルギーのフラッシュ閃光を一括照射し、膜表面を瞬時に高温まで昇温することが可能である。この方法では、長時間高温加熱が不要であるため、基板10および下層膜として、比較的耐熱性の低い材料を選定することが可能である。たとえば、基板10として、安価な汎用のガラス基板等を使用できる。また、下層膜が、比較的耐熱性の低いITO等の透光性酸化物導電体膜を含んでいてもよい。
結晶性膜32としてはたとえば、基板として汎用のガラス基板(耐熱温度600℃未満)上に成膜された無機発光体膜((高)結晶化温度600℃以上)、ITO等の透光性酸化物導電体膜(耐熱温度600℃未満)上に成膜された無機発光体膜((高)結晶化温度600℃以上)等が挙げられる。
「発明が解決しようとする課題」の項で述べたように、フラッシュランプの発光波長域は広く、たとえばフラッシュランプとして汎用されているキセノンフラッシュランプでは200〜1100nm程度である。そのため、光吸収波長域の狭い膜では、フラッシュランプ光を効果的に吸収できず、ランプエネルギーを効果的に利用できず、効率の良い結晶化または高結晶化が難しい。
本実施形態の方法では、非晶質膜または低結晶性膜31の上に、この膜よりもフラッシュランプ光の吸収波長域が広いあるいは少なくとも一部の波長域について光吸収量が多い光吸収層50を形成した上で、フラッシュランプアニールを実施する。
そのため、非晶質膜または低結晶性膜31の光吸収波長域が狭い場合においても、光吸収層50がフラッシュランプ光を効率良く吸収して昇温し、光吸収層50から下層の非晶質膜または低結晶性膜31に熱エネルギーが効率良く伝わる。また、光吸収層50を透過した光の少なくとも一部は非晶質膜または低結晶性膜31に直接吸収される。これらの作用効果により、非晶質膜または低結晶性膜31の光吸収波長域にかかわらず、効率の良い結晶化または高結晶化が可能となる。
たとえば、従来のフラッシュランプアニールでは結晶化または高結晶化しにくい膜をより高レベルまで結晶化できる、あるいは、同じ結晶レベルを得るのに必要な光照射時間あるいは光エネルギーを低減できる等の効果が得られる。
(工程(E))
光吸収層50がフラッシュランプ光の照射により消失しない材料からなる場合、必要に応じて、工程(D)後に光吸収層50を除去する工程(E)を実施することができる。
光吸収層50の除去方法としては、アッシング、イオンミリング、逆スパッタ等のドライエッチング、および、光吸収層50を溶解する溶媒を用いたウェットエッチング等が挙げられる。
(その他の工程)
工程(D)の前および/または後に、必要に応じて、加熱工程等の任意の工程を実施することができる。
(変更例)
図2Aおよび図2Bに示すように、工程(C)において、パターンを有する光吸収層50を形成し、工程(D)において、非晶質膜または低結晶性膜31の光吸収層50の直下部分を選択的に結晶性膜32とすることもできる。
この方法はたとえば、マトリクス状に配置された複数の画素を有する表示装置において、画素パターンに応じて無機発光体膜をパターニングする場合などに有用である。
以上説明したように、本実施形態によれば、フラッシュランプアニールにより非晶質膜を結晶化するまたは相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を高める工程を含み、非晶質膜または低結晶性膜の光吸収波長域にかかわらず、効率の良い結晶化または高結晶化が可能な結晶性膜の製造方法を提供することができる。
「結晶性膜、積層体」
本発明の第1の結晶性膜は、
上記の本発明の結晶性膜の製造方法により製造されたものである。
本発明の第2の結晶性膜は、
非晶質膜を結晶化する、または相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を高める方法により製造された結晶性膜であって、
基板、あるいは基板および少なくとも1層の下層膜の上に形成されたものであり、
基板または下層膜の耐熱温度よりも、非晶質膜または低結晶性膜を単に加熱するだけで結晶性膜を得る場合の加熱温度が高い結晶性膜である。
本発明の第1、第2の結晶性膜としては、
発光性を有さないまたは発光強度の相対的に低い、非晶質膜または低結晶性膜を用いて製造され、非晶質膜または低結晶性膜よりも発光強度の相対的に高い無機発光体膜が挙げられる。
本発明の積層体は、上記の無機発光体膜からなる本発明の結晶性膜と、この結晶性膜上に形成されたキャップ層とを有するものである。
本発明に係る結晶性膜と積層体の一実施形態については、図1Dを参照されたい。
図1Dで示した、無機発光体膜からなる結晶性膜32、および無機発光体膜からなる結晶性膜32とキャップ層40とを含む積層体は、照明装置、あるいは無機発光体膜から発光される光の変調により表示を行う表示装置等の発光装置に用いることができる。
「第1実施形態の発光装置」
図面を参照して、本発明に係る第1実施形態の発光装置の構造について説明する。
図3は模式断面図である。
図3に示す発光装置1は、無機EL装置である。
本明細書において、「EL」は、ELはエレクトロルミネセンス(Electroluminescence)の略号である。
発光装置1は、基板110上に、下部電極(第1の電極)120と無機発光体膜140と上部電極(第2の電極)160とを順次備えている。
基板110側から光を取り出す場合、基板110としては、ガラス基板等の透光性基板が用いられる。
上部電極160側から光を取り出す場合、基板110としては、ガラス基板等の透光性基板を用いてもよいし、金属基板等の非透光性基板を用いてもよい。
下部電極120と上部電極160の材料としては公知の導電材料が使用できる。下部電極120と上部電極160の少なくとも一方(光を取り出す側)は、透光性を有する導電材料からなる。
透光性を有する導電材料としては、ITO(インジウム錫酸化物)、FTO(フッ素添加酸化錫)、SnO、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)、およびCNT(カーボンナノチューブ)等が挙げられる。
透光性を有さない導電材料としては、Ag、Al、Au、Cd、Co、Cu、Fe、Ni、Sn、およびZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属が挙げられる。
下部電極120と無機発光体膜140との間には、バリア層(下部絶縁体層)130を設けてもよい。バリア層130を設けることで、下部電極120の成分が無機発光体膜140に拡散し、発光を不活性にすることを抑止できる。
無機発光体膜140と上部電極160との間には、キャップ層(上部絶縁体層)150を設けてもよい。キャップ層150を設けることで、無機発光体膜140の表面における材料の脱着を抑止し、無機発光体膜140の組成を均一にすることができ、発光特性を向上できる。
バリア層130およびキャップ層150の材料は、図1A〜図1Dにおけるバリア層20およびキャップ層40と同様である。
無機発光体膜140の材料としては特に制限されず、種々の公知の材料を用いることができる。たとえば、ZnS:Mn、ZnS:Tb、ZnS:Tm、SrS:Ce、CaS:Eu、SrGa:Eu、BaAl:Eu、CaAl:Eu、Y:Mn、Y:Eu、Y:Tb、Ga:Mn、ZnSi:Mn、SrSb:Mn、CaTiO:Pr、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
無機発光体膜140は、下部電極120と好ましくはバリア層130が形成された基板110上に非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜を形成する工程(A)と、光吸収層を形成する工程(C)と、光吸収層に対してフラッシュランプ光を照射して、非晶質膜を結晶化するまたは低結晶性膜の結晶性を高める工程(D)とを有する製造方法により製造された膜である。
本発明の製造方法を適用することにより、基板110および/または下部電極120として、比較的耐熱性の低い材料を用いても、高結晶性および高発光強度の無機発光体膜140を形成することができる。
本実施形態の発光装置1は、照明装置(EL光源)として用いることができる。
本実施形態の発光装置1は、表示ドットのパターンに応じて無機発光体膜140をパターン形成し、ドットごとに無機発光体膜140から発光される光を変調することで、表示装置(ELディスプレイ)として用いることができる。たとえば、無機発光体膜140として、赤色光、緑色光、および青色光を発光する3種の無機発光体膜をパターン形成し、1つの画素を赤、緑、および青の3ドットにより構成することで、カラー表示ができる。
「第2実施形態の発光装置」
図面を参照して、本発明に係る第2実施形態の発光装置の構造について説明する。
図4は、模式断面図である。
図4に示す発光装置2は、LEDチップを用いた面発光LED光源(LED装置、照明装置)である。
本明細書において、「LED」は発光ダイオード(Light Emitting Diode)の略号である。
発光装置2は、図示下方より、反射板210と、紫外光または青色光を発光する複数のLEDチップ221が搭載されたLEDユニット220と、無機発光体膜230と、拡散板240とを順次備えている。
個々のLEDチップ221は、n型電極と、n型半導体層およびp型半導体層を含む発光体層と、p型電極との接合構造を有している(図示略)。n型半導体層とp型半導体層との接合界面(pn界面)で発光が起こる。
LEDチップ221としてはたとえば、GaNにInが添加されたInGaNを発光体層とする量子井戸構造のLEDチップ(InGaN系LEDチップ)等が挙げられる。
各LEDチップ221は、好ましくはドーム状に成型された被覆材222で被覆されている。本実施形態において、被覆材222は光の色変換を行う必要はなく、材料はLEDチップ221を保護し、LEDチップ221から発光される光に対して透光性を有していればよい。被覆材222の材料としては、シリコーン樹脂およびエポキシ樹脂等の透光性樹脂が挙げられる。
本実施形態において、無機発光体膜230はたとえば、LEDチップ221から発光された紫外光または青色光を白色光等に変換する。
無機発光体膜230の材料としては、YAl12:Ce等が挙げられる。
無機発光体膜230から出射された白色光等は拡散板240で拡散されて、使用者側に出射される。
反射板210の材料としては、アルミニウム基板等が挙げられる。
拡散板240の材料としては、(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。
無機発光体膜230は、拡散板240上に非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜を形成する工程(A)と、光吸収層を形成する工程(C)と、光吸収層に対してフラッシュランプ光を照射して、非晶質膜を結晶化するまたは低結晶性膜の結晶性を高める工程(D)とを有する製造方法により製造された膜である。
本発明の製造方法を適用することにより、比較的耐熱性の低い拡散板240上に、高結晶性および高発光強度の無機発光体膜230を形成することができる。
本実施形態では照明装置を例として説明したが、本実施形態の発光装置2において、表示ドットのパターンに応じて無機発光体膜230をパターン形成し、ドットごとに無機発光体膜230から発光される光を変調することで、表示装置(LEDディスプレイ)として用いることができる。たとえば、無機発光体膜230として、赤色光、緑色光、および青色光を発光する3種の無機発光体膜をパターン形成し、1つの画素を赤、緑、および青の3ドットにより構成することで、カラー表示ができる。
「第3実施形態の発光装置」
図面を参照して、本発明に係る第3実施形態の発光装置の構造について説明する。
図5Aは全体模式断面図であり、図5Bは部分拡大模式断面図である。図5Aでは、図5Bで示されている一部の構成部材の図示を省略または簡素化してある。また、これらの図においては、視認しやすくするため、各構成部材の縮尺等は図ごとに適宜異ならせてある。
図5に示す発光装置3は、FED(FE装置、表示装置)である。
本明細書において、「FE」はフィールドエミッション(Field Emission、電界電子放出)の略号であり、FEDはフィールドエミッションディスプレイ(Field Emission Display、電界電子放出ディスプレイ)の略号である。
発光装置3は、基板本体310とカソード電極とを有するカソード基板300と、基板本体410とアノード電極とを有するアノード基板400とを備えている。
基板本体310、410としては、ガラス基板等が用いられる。
本実施形態において、カソード電極は、基板本体310の内面に形成された、導電体からなる複数の平面カソード電極321と、その上に形成されたエミッタ322により構成されている。本実施形態において、エミッタ322は、基板面に対して交差方向に立って形成された複数のカーボンナノチューブ(CNT)からなるCNT電極である。
CNT電極はたとえば、基板上に金属触媒を配置した状態で炭素を含む原料ガスを供給し、CVD法等の物理的蒸着法で作製することができる。CNT電極はまた、複数のCNTと溶媒とを含むCNT溶液を塗布し、溶媒を除去することでも作製できる。
エミッタ322としては、Spindt型と呼ばれる略円錐状電極を用いることもできる。
平面カソード電極321の上には複数の絶縁性凸部331からなる絶縁体層330が形成されており、上記複数のCNTは複数の絶縁性凸部331の間隙に形成されている。
複数の絶縁性凸部331からなる絶縁体層330の上には、複数の絶縁性凸部331の間隙の対向部分に開口部を有する複数の導電性のゲート電極340が形成されている。
平面カソード電極321およびゲート電極340はニオブあるいはモリブデン等の導電体からなり、絶縁体層330は酸化ケイ素等の絶縁体からなる。
平面視において、複数の平面カソード電極321および複数のゲート電極340は互いに交差する方向に延びたストライプ状パターンで形成されている。平面カソード電極321とゲート電極340とは駆動回路を介して電気的に接続されている。
アノード電極は、基板本体410の内面のほぼ全面に形成され、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性導電体からなる平面アノード電極420により構成されている。
カソード電極とアノード電極との間には電圧が印加されるようになっている。
平面アノード電極420の内面には、表示ドットのパターンに応じてパターン形成された蛍光体層430が形成されている。本実施形態においては、蛍光体層430として、赤色光を発光する蛍光体層430R、緑色光を発光する蛍光体層430G、および青色光を発光する蛍光体層430Bが、パターン形成されている。
蛍光体層430Rの材料としては、YS:Eu、Y:Eu、およびSrTiOS:Pr等が挙げられる。
蛍光体層430Gの材料としては、SrGa:Eu、ZnS:Cu,Al、Y(Al,Ga)12:Tb、およびYSiO:Tb等が挙げられる。
蛍光体層430Bの材料としては、ZnS:Ag,Cl、YSiO:Ce、AlN:Eu、ZnGa、およびGaN:Zn等が挙げられる。
図5B中、符号440は蛍光体層430が形成されていない画素周辺部を遮光するブラックマトリクス(BM)である。
カソード基板300とアノード基板400との間にはスペーサ500が設けられ、カソード基板300とアノード基板400との間の空間は高真空になっている。
カソード基板300のエミッタ322から放射される電子線により蛍光体層430が励起され、各ドットから、赤色光、緑色光、または青色光が出射される。ドットごとに蛍光体層430から発光される光が変調され、表示が行われる。1つの画素は、赤、緑、および青の3ドットからなり、カラー表示がなされる。
本実施形態において、蛍光体層430は、平面アノード電極420が形成された基板本体410上に非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜を形成する工程(A)と、光吸収層を形成する工程(C)と、光吸収層に対してフラッシュランプ光を照射して、非晶質膜を結晶化するまたは低結晶性膜の結晶性を高める工程(D)とを有する製造方法により製造された無機発光体膜である。
従来は、蛍光体粒子とバインダとを含む塗布剤をスクリーン印刷することにより蛍光体層430を形成している。この方法では、発光動作中に有機物であるバインダが分解し、発光特性を劣化させる恐れがある。
本発明の製造方法を適用することにより、ITO等からなる比較的耐熱性の低い平面アノード電極上に、高結晶・高発光強度の蛍光体層430を形成することができる。
本実施形態ではFEDを例として説明したが、蛍光体層430をパターニングせず、ドットごとの光変調をしない構成とすれば、FEL(Field Emission Lump、電界電子放出ランプ)(照明装置)とすることができる。そのデバイス構造は、図5Bに示したものと同様である。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
ソーダ石灰ガラス基板上に膜厚100nmのITO膜が成膜された基板(ITO基板、非耐熱性基板)に、バリア層として膜厚100nmのSiON膜をスパッタ成膜した。
次に、上記SiON膜上に、膜厚800nmのZnS:Mn膜をスパッタ成膜した。この膜のXRD(X線回折;CuKα線)分析を実施したところ、ZnSの(111)面の半価幅は0.2574deg.であった。この時点のZnS:Mn膜は低結晶性膜であった。
次に、上記ZnS:Mn膜上に、キャップ層として膜厚100nmのSiON膜をスパッタ成膜した。
上記SiON膜上に、光吸収層として膜厚50nmのカーボン層を蒸着した。
得られた積層体に対して、ウシオ電機社製のキセノンフラッシュランプを用いて、フラッシュランプアニールを実施した。照射強度10mJ/cm、1.0msのパルス光を1回照射した。
フラッシュランプ光の照射前と照射後について表面分析(SEM−EDX分析)を実施したところ、フラッシュランプ光の照射によりカーボン層が消失したことが確認された。
フラッシュランプ光の照射後のZnS:Mn膜をXRD分析したところ、ZnSの(111)面の半価幅は0.2370deg.であり、フラッシュランプ光の照射前と比較してZnS:Mn膜が高結晶化していることが確認された。
なお、ZnS:Mn膜の高結晶化は、後記PL特性評価によっても確認されている(図6Aおよび図6B)。
実施例1で用いたZnS:Mn膜の高結晶化は、電気炉を用いた一般的な高温焼成では通常700℃以上が必要である。この温度は、ソーダ石灰ガラス基板の耐熱温度(550℃)を超えている。また、ITOは400℃を超えると比抵抗が増加するため、この温度を超えて加熱することは好ましくない。
(比較例1)
実施例1と同様に、ソーダ石灰ガラス基板上にITO膜が成膜された基板(ITO基板)上に、バリア層としてのSiON膜と低結晶性のZnS:Mn膜とキャップ層としてのSiON膜とを順次成膜した。その後、光吸収層を形成せずに、実施例1と同様にフラッシュランプアニールを実施した。
XRD分析を実施したところ、フラッシュランプ光の照射後のZnS:Mn膜の(111)面の半価幅は0.2575deg.であり、ZnS:Mn膜は低結晶性膜のままであった。
(実施例1と比較例1のPL特性評価)
実施例1において、フラッシュランプ光の照射前と照射後について、ZnS:Mn膜のPLスペクトルを測定した。得られたスペクトルを図6Aおよび図6Bに示す。
フラッシュランプ光の照射前に対して、照射後には、ZnS:Mn膜のPL強度が大きく増大した。
比較例1において、フラッシュランプ光の照射後について、ZnS:Mn膜のPLスペクトルを同様に測定した。
これらの例では、日本分光社製「FP−8500」を用い、紫外光(波長350nm)を照射したときのPLスペクトルを測定した(以降の他の例でも同様)。
実施例1と比較例1で得られたPLスペクトル(いずれもフラッシュランプ光の照射後)を図6Cに示す。
図6Cに示すように、光吸収層を形成した実施例1では、光吸収層を形成しなかった比較例1に対して、PL強度が大きく増大した。PLピーク強度は、以下の通りであった。
実施例1のZnS:Mn膜:2800、
比較例1のZnS:Mn膜:300。
PL強度の値は相対値である。
(実施例2)
ソーダ石灰ガラス基板上に、膜厚800nmのTa膜をスパッタ成膜した。この膜のXRD分析を実施したところ、ピークは全く検出されず非晶質膜であることが分かった。
上記Ta膜上に、光吸収層として膜厚50nmのカーボン層を蒸着した。
得られた積層体に対して、実施例1と同様、キセノンフラッシュランプを用いて、フラッシュランプアニールを実施した。照射強度10mJ/cm、1.0msのパルス光を1回照射した。
フラッシュランプ光の照射前と照射後について、表面分析(SEM−EDX分析)を実施したところ、フラッシュランプ光の照射によりカーボン層が消失したことが確認された。
XRD分析により、フラッシュランプ光の照射後にTa膜が結晶化していることが確認された(図7A)。
実施例2で用いたTaの結晶化は、電気炉を用いた一般的な高温焼成では通常800℃以上が必要である。この温度は、ソーダ石灰ガラス基板の耐熱温度(550℃)を超えている。
(比較例2)
実施例2と同様にソーダ石灰ガラス基板上に非晶質のTa膜を成膜した。その後、光吸収層を形成せずに、実施例2と同様にフラッシュランプアニールを実施した。
XRD分析を実施したところ、フラッシュランプ光の照射後のTa膜は非晶質膜のままであった。
(実施例2と比較例2のXRD評価)
実施例2と比較例2で得られたTa膜のXRDパターンを図7Aおよび図7Bに示す。
図7Aおよび図7Bに示すように、光吸収層を形成した実施例2では、光吸収層を形成しなかった比較例2に対して、XRDのピーク強度が大きく現れた。フラッシュランプ光照射前のTa膜は非晶質膜であるが、フラッシュランプ光照射後にTa膜が結晶化していることが確認された。
(実施例3)
光吸収層として、膜厚80nmのペリレン層を蒸着した以外は実施例1と同様にして、ペリレン層/SiON膜/ZnS:Mn膜/SiON膜/ソーダ石灰ガラス基板の積層体を得た。この積層体に対して、実施例1と同様にフラッシュランプアニールを実施した。
実施例1と同様、XRD分析により、フラッシュランプ光照射前のZnS:Mn膜は低結晶性膜であるが、フラッシュランプ光照射後にZnS:Mn膜が高結晶化していることが確認された。
フラッシュランプ光の照射前と照射後について、表面分析(SEM−EDX分析)を実施したところ、フラッシュランプ光の照射によりペリレン層が消失したことが確認された。
フラッシュランプ光の照射後について、実施例1と同様に、ZnS:Mn膜のPLスペクトルを測定した。
得られたPLスペクトルを図8に示す。
実施例1と同等レベルの高PL強度を示すZnS:Mn膜が得られた。
(試験例1)
ZnS:Mn膜(800nm厚)とTa膜(800nm厚)とカーボン層(50nm厚)とペリレン層(80nm厚)について、分光光度計を用いて透過スペクトルを測定した。
得られた透過スペクトルを図9に示す。
ZnS:Mn膜とTa膜に比較して、カーボン層およびペリレン層は短波長側で透過率が低く、光吸収量が大きいことが示されている。
なお、ZnS:Mn膜およびTa膜の透過スペクトルにおける波打ちは、膜と基板との界面における光学干渉によるものである。この光学干渉は、膜および基板が透明で、膜の厚みと光の波長とが同じオーダーの時に発生する。実際の透過率は、波の上下の平均程度と考えられる。
本発明の結晶性膜の製造方法は、照明装置または表示装置等の発光装置に用いられる無機発光体膜等に好ましく適用することができる。
1 発光装置(EL装置)
2 発光装置(面発光LED光源)
3 発光装置(FED)
10 基板
20 バリア層
31 非晶質膜または低結晶性膜
32 結晶性膜
40 キャップ層
50 光吸収層
110 基板
120 下部電極
130 バリア層
140 無機発光体膜
150 キャップ層
160 上部電極
210 反射板
220 LEDユニット
221 LEDチップ
222 被覆材
230 無機発光体膜
240 拡散板
300 カソード基板
310 基板本体
321 平面カソード電極
322 エミッタ
330 絶縁体層
331 絶縁性凸部
340 ゲート電極
400 アノード基板
410 基板本体
420 平面アノード電極
430、430R、430G、430B 蛍光体層
440 ブラックマトリクス
500 スペーサ
FL フラッシュランプ光

Claims (15)

  1. 非晶質膜または相対的に結晶性の低い低結晶性膜を用意する工程(A)と、
    前記非晶質膜または前記低結晶性膜の上に、当該膜よりもフラッシュランプ光の吸収波長域が広いあるいは光吸収量が多い光吸収層を形成する工程(C)と、
    前記光吸収層に対してフラッシュランプ光を照射して、前記非晶質膜を結晶化するまたは前記低結晶性膜の結晶性を高める工程(D)とを有する結晶性膜の製造方法。
  2. 前記光吸収層は、フラッシュランプ光の照射により消失する材料からなる請求項1に記載の結晶性膜の製造方法。
  3. 前記光吸収層は、カーボンおよび/または有機化合物を含む請求項2に記載の結晶性膜の製造方法。
  4. 前記光吸収層は、フラッシュランプ光の照射により消失しない材料からなり、
    工程(D)後に前記光吸収層を除去する工程(E)をさらに有する請求項1に記載の結晶性膜の製造方法。
  5. 前記非晶質膜または前記低結晶性膜は、基板、あるいは基板および少なくとも1層の下層膜の上に形成されたものであり、
    前記基板または前記下層膜の耐熱温度よりも、前記非晶質膜または前記低結晶性膜を単に加熱するだけで前記結晶性膜を得る場合の加熱温度が高い請求項1〜4のいずれかに記載の結晶性膜の製造方法。
  6. 前記結晶性膜が無機発光材料からなり、
    工程(A)において、発光性を有さないまたは発光強度の相対的に低い、前記非晶質膜または前記低結晶性膜を用意し、
    工程(D)において、前記非晶質膜を結晶化する、または前記低結晶性膜の結晶性を高めて、発光強度の相対的に高い無機発光体膜とする請求項1〜5のいずれかに記載の結晶性膜の製造方法。
  7. 工程(A)と工程(C)との間に、前記結晶性膜上にキャップ層を形成する工程(B)をさらに有する請求項6に記載の結晶性膜の製造方法。
  8. 工程(C)において、パターンを有する前記光吸収層を形成し、
    工程(D)において、前記非晶質膜または前記低結晶性膜の前記光吸収層の直下部分を選択的に前記結晶性膜とする請求項1〜7のいずれかに記載の結晶性膜の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性膜の製造方法により製造された結晶性膜。
  10. 非晶質膜を結晶化する、または相対的に結晶性の低い低結晶性膜の結晶性を高める方法により製造された結晶性膜であって、
    基板、あるいは基板および少なくとも1層の下層膜の上に形成されたものであり、
    前記基板または前記下層膜の耐熱温度よりも、前記非晶質膜または前記低結晶性膜を単に加熱するだけで前記結晶性膜を得る場合の加熱温度が高い結晶性膜。
  11. 発光性を有さないまたは発光強度の相対的に低い、前記非晶質膜または前記低結晶性膜を用いて製造され、前記非晶質膜または前記低結晶性膜よりも発光強度の相対的に高い無機発光体膜である請求項10に記載の結晶性膜。
  12. 請求項11に記載の結晶性膜と、当該結晶性膜上に形成されたキャップ層とを有する積層体。
  13. 請求項11に記載の結晶性膜または請求項12に記載の積層体を備えた発光装置。
  14. 照明装置である請求項13に記載の発光装置。
  15. 前記無機発光体膜から発光される光の変調により表示を行う表示装置である請求項13に記載の発光装置。
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