JP2014212015A - バナジウム固体塩電池及びその製造方法 - Google Patents

バナジウム固体塩電池及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量である、バナジウム固体塩電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】初期状態において3価又は4価のいずれかの酸化数であるバナジウムを含有する正極及び負極と、正極と負極とを区画し、水素イオンを通過させることができる隔膜とを含み、一方の電極に、初期充電における最大価数変化が2価であるバナジウムを含み、他方の電極に、最大価数変化が1価であるバナジウムを含み、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上であることを特徴とするバナジウム固体塩電池及びその製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、バナジウムを活物質として含む電解質を用いたバナジウム電池に関する。特に、正極又は負極に、固体状のバナジウム化合物を含むバナジウム固体塩電池(以下、「VSSB(Vanadium Solid-Salt Battery)」ともいう。)に関する。
二次電池は、デジタル家電製品のみならず、モーター動力を用いた電気自動車、ハイブリッド自動車にも広く使用される。このような二次電池の中で、レドックスフロー電池が知られている(特許文献1)。レドックスフロー電池は、バナジウムを活物質とする。レドックスフロー電池は、電解質溶液中において酸化還元(Reduction/Oxidation、レドックス)反応を生じる2組の酸化還元対(レドックス対)を利用して、イオンの価数変化によって充放電を行う。
レドックスフロー電池の酸化還元対は、+2価及び+3価の酸化状態のバナジウムイオン(V2+及びV3+)と、+4価及び+5価の酸化状態のバナジウムイオン(V4+及びV5+)が例示できる。レドックスフロー電池の一つの形態として、液流通型のレドックスフロー電池が例示できる。液流通型のレドックスフロー電池は、タンクに貯留していたバナジウムの硫酸溶液を液流通型セルに供給して充放電させる、大型電力貯蔵分野で使用されている。
液流通型のレドックスフロー電池は、正極活物質を含む電解液タンクと、負極活物質を含む電解液タンクと、充放電を行うスタックと、スタックに各電極用電解質溶液を供給するポンプとを有する。電解液は、タンクからスタックに送られ、タンクとスタックの間を循環する。スタックは、イオン交換膜を正極及び負極で挟んだ構造を有する。レドックスフロー電池は、正極及び負極において以下の反応を示す
正極:VO2+(aq)+HO⇔VO (aq)+e+2H (1)
負極:V3+(aq)+e⇔V2+(aq) (2)
式中、「⇔」は化学平衡を示す。本明細書において、「化学平衡」とは可逆反応の生成物の変化量と出発物質の変化量が合致した状態を意味する。また、イオンに付与された添示の(aq)は、そのイオンが溶液中に存在することを示す。本明細書中の他の式においても「⇔」及び「(aq)」は同様の意味である。
軽量小型で高出力性能を有するレドックス電池を得るために、電解液を循環させない液静止型レドックス電池が提案されている(特許文献2)。この液静止型レドックス電池は、電解液タンクを有していない。液静止型のレドックス電池は、正極電解槽と負極電解槽とを有する。この液静止型レドックス電池は、電解槽中に活物質であるバナジウムイオンを含む電解液と、例えば炭素粉末等の導電性物質とを充填した構造を有する。
その他に、バナジウム固体塩電池が提案されている(特許文献3)。バナジウム固体塩電池は、バナジウムイオン又はバナジウムを含む陽イオンを含む析出物を担持させた集電体を含む。
米国特許4786567号公報 特開2002−216833号公報 国際公開2011/049103号
特許文献3に開示されているバナジウム固体塩電池は、軽量小型で高エネルギー密度の要求を満たす点で非常に有用である。このようなバナジウム固体塩電池は、電池性能を向上するために、高容量である電池が望まれている。
本発明は、高容量であるバナジウム固体塩電池及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明1は、初期状態において3価又は4価のいずれかの酸化数であるバナジウムを含有する正極及び負極と、正極と負極とを区画し、水素イオンを通過させることができる隔膜とを含み、一方の電極に、初期充電における最大価数変化が2価であるバナジウムを含み、他方の電極に、最大価数変化が1価であるバナジウムを含み、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上であるバナジウム固体塩電池に関する。
本発明2は、正極及び負極に、初期状態において酸化数が4価のバナジウムを含み、正極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が1価であり、負極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が2価である、本発明1のバナジウム固体塩電池に関する。
本発明3は、正極及び負極に、初期状態において酸化数が3価のバナジウムを含み、正極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が2価であり、負極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が1価である、本発明1のバナジウム固体塩電池に関する。
本発明4は、正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において4価又は3価のいずれか一方の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持する工程を含み、活物質を担持する工程において、一方の集電体に最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質を担持し、他方の集電体に最大価数変化が1価となるバナジウムを含む活物質を、最大価数変化が2価となるバナジウムのモル数に対して1.5倍以上のモル数となるように担持することを特徴とするバナジウム固体塩電池の製造方法に関する。
本発明5は、正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において4価の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持する工程を含み、活物質を担持する工程において、負極を構成する集電体に最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質を担持し、正極を構成する集電体に最大価数変化が1価となるバナジウムを含む活物質を、最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質のモル数に対して1.5倍以上のモル数となるように担持する、本発明4のバナジウム固体塩電池の製造方法に関する。
本発明6は、正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において3価の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持する工程を含み、活物質を担持する工程において、正極を構成する集電体に最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質を担持し、負極を構成する集電体に最大価数変化が1価となるバナジウムを含む活物質を、最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質のモル数に対して1.5倍以上のモル数となるように担持する、本発明4のバナジウム固体塩電池の製造方法に関する。
本発明は、正極又は負極のいずれか一方の電極に、最大価数変化が2価であるバナジウムを含むことによって、標準電極電位を大きくして、バナジウム固体塩電池の標準起電力を大きくすることができる。また、本発明は、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上であることによって、バナジウムの価数を最大で2価まで変化させることができる。これにより、本発明は、高容量であるバナジウム固体塩電池及びその製造方法を提供することができる。また、本発明は、高いエネルギー密度を有するバナジウム固体塩電池及びその製造方法を提供することができる。
バナジウム固体塩電池の概略構成を示す図である。 バナジウム固体塩電池の一実施形態の製造方法を示すフロー図である。 バナジウム固体塩電池の他の実施形態の製造方法を示すフロー図である。 実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池の充放電試験における時間−電圧曲線である、(a)は比較例1(正極:負極が1:1)、(b)は実施例1(正極:負極が1.5:1)、(c)は実施例2(正極:負極が2:1)、(d)は実施例3(正極:負極が2.5:1)である。 実施例1〜3及び比較例1の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電池の容量(mAh)の関係を示すグラフである。 実施例1〜3及び比較例1の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電力量(mWh)の関係を示すグラフである。 実施例4〜6及び比較例2のバナジウム固体塩電池の充放電試験における時間−電圧曲線である、(a)は比較例2(正極:負極が1:1)、(b)は実施例4(正極:負極が1:1.5)、(c)は実施例5(正極:負極が1:2)、(d)は実施例6(正極:負極が1:2.5)である。 実施例4〜6及び比較例2の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電池の容量(mAh)の関係を示すグラフである。 実施例4〜6及び比較例2の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電力量(mWh)の関係を示すグラフである。
まず、図1を参照にして、バナジウム固体塩電池の概略構成について説明する。図1は、バナジウム固体塩電池の概略構成を示す図である。
図1に示すように、バナジウム固体塩電池1は、正極4に、第1集電体2と、電子を引き出す第1端子3とを有する。また、バナジウム固体塩電池1は、負極7に、第2集電体5と第2端子6とを有する。さらに、バナジウム固体塩電池1は、正極4と負極7とを区画し、水素イオンを通過させることができる隔膜8とを含む。バナジウム固体塩電池1は、第1端子3、第1集電体2、隔膜8、第2集電体5、第1端子4をこの順序で積層して単一スタックとする。図1に示したバナジウム固体塩電池1は、単一スタックをセル9に挿入した構造を有する。さらにバナジウム固体塩電池1は、第1端子3及び第2端子6のそれぞれに、導電線を連結した構造を有する。
正極及び負極は、活物質を含む。活物質は、バナジウムを含む。バナジウムは、2価、3価、4価、及び5価を含む異なる数種の酸化状態を取り得る元素である。また、バナジウムは、電池に有用な程度の電位差を有する元素である。
最初に、通常のバナジウム固体塩電池について説明する。通常のバナジウム固体塩電池は、正極に初期状態において4価の酸化数であるバナジウムを含む。また、通常のバナジウム固体塩電池は、負極に初期状態において3価の酸化数であるバナジウムを含む。このバナジウム固体塩電池は、以下の反応を示す。
正極:VOX・nHO(s)⇔VOX・nHO(s)+HX+H+e (3)
負極:VX・nHO(s)+e⇔2VX・nHO(s)+X (4)
本明細書に示す反応式において、Xは1価の陰イオンを表す。ただし、Xがm価の陰イオンであっても、結合係数(1/m)が考慮されても良い。また、本明細書に示す反応式において、nは様々な値をとり得ることを示す。
式(3)の反応を示す正極活物質のVO2+/VO の標準電極電位は、1.0Vである。また、式(4)の反応を示す負極活物質のV3+/V2+の標準電極電位は、-0.255Vである。したがって、式(3)及び式(4)の反応を示すバナジウム固体塩電池の標準起電力は1.255Vである。
電池の理論容量は、以下の式(i)〜(iii)に示すように、電極活物質の物質量から導き出せる。正極に酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)を用い、負極に硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)を用いたバナジウム固体塩電池の理論容量は、以下のように算出できる。正極に含まれるバナジウムの最大価数変化は1価である。負極に含まれるバナジウムの最大価数変化は1価である。電池の理論容量は、正極の理論容量と負極の理論容量の少ない方の数値である。
正極の理論容量 :正極の活物質物質量×ファラデー定数÷3600 …(i)
負極の理論容量 :負極の活物質物質量×ファラデー定数÷3600 …(ii)
電池の理論容量 :正極の理論容量と負極の理論容量の少ない方の数値 …(iii)
次に、本開示のバナジウム固体塩電池について説明する。本開示のバナジウム固体塩電池は、正極及び負極に、初期状態において3価又は4価のいずれかの酸化数であるバナジウムを含む。3価のバナジウムを含む化合物は、硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)が例示できる。4価のバナジウムを含む化合物は、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)が例示できる。
本開示のバナジウム固体塩電池は、正極又は負極のいずれか一方の電極に、最大価数変化が2価であるバナジウムを含む。また、本開示のバナジウム固体塩電池は、正極又は負極の他方の電極に、最大価数変化が1価であるバナジウムを含む。バナジウム固体塩電池は、最大価数変化が2価であるバナジウムを含むことによって、標準電極電位を大きくして、電池の標準起電力を大きくすることができる。また、本開示のバナジウム固体塩電池は、電池の容量を大きくすることができる。さらに、本開示のバナジウム固体塩電池は、エネルギー密度を大きくすることができる。
本開示のバナジウム固体塩電池は、一の実施形態として、正極又は負極に、初期状態において4価の酸化数であるバナジウムを含む。
初期状態において4価の酸化数であるバナジウムを含む正極及び負極は、以下の反応を示す。
正極:VOX・nHO(s)⇔VOX・nHO(s)+HX+H+e (5)
負極:VOX・nHO(s)+HX+e⇔VOX・nHO(s)+H(6)
負極:VX・nHO(s)+e⇔2VX・nHO(s)+X (7)
正極及び負極の両方に酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)を含む、式(5)〜(7)の反応を示すバナジウム固体塩電池の理論容量は、以下のように算出できる。正極に含まれるバナジウムの最大価数変化は1価であり、負極に含まれるバナジウムの最大価数変化は2価である。電池の理論容量は、正極のバナジウムのモル数が1.5であり、負極のバナジウムのモル数が1の場合(正極:負極が1.5:1)、負極の理論容量の方が正極の理論容量よりも少なくなるため、負極の理論容量である。
さらに、本開示のバナジウム固体塩電池は、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上である。最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数と、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数との比率(1価のVモル数:2価のVモル数)は、好ましくは1.5:1〜2.5:1である。本開示のバナジウム固体塩電池は、初期充電において、負極に含まれるバナジウムの価数を最大で2価まで変化させることができる。これにより、本開示のバナジウム固体塩電池は、標準電極電位を大きくして、理論容量を大きくし、かつ、実際の電池の容量も大きくすることができる。
次に、正極及び負極の反応について説明する。正極及び負極は、初期状態において酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)を含む。
まず、正極の反応について説明する。
VOSO・nHO(s)⇔VOSO・nHO(aq)⇔VOSO(aq)
+nHO(aq) (8)
(VOSO・nHO(s)⇔(VOSO・nHO(aq)⇔
(VOSO(aq)+nHO(aq) (9)
VO2+(aq)+VO (aq)⇔V 3+(aq) (10)
VO2+(aq)+SO 2−(aq)⇔VOSO(aq) (11)
2VO2+(aq)+SO 2−(aq)⇔(VOSO(aq) (12)
次に、負極の反応について説明する。
(VOSO・nHO(s)⇔(VOSO・nHO(aq)⇔
(VOSO(aq)+nHO(aq) (13)
VO2++2H+e⇔V3++HO (14)
(SO・nHO(s)⇔V(SO・nHO(aq)⇔
(SO(aq)+nHO(aq) (15)
VSO・nHO(s)⇔VSO・nHO(aq)⇔VSO(aq)
+nHO(aq) (16)
2V3+(aq)+3SO 2−⇔V(SO(aq) (17)
次に、本開示のバナジウム固体塩電池は、他の実施形態として、正極又は負極に、初期状態において3価の酸化数であるバナジウムを含む。
初期状態において3価の酸化数であるバナジウムを含む正極及び負極は、以下の反応を示す。
正極:VX・nHO(s)⇔VOX・nHO(s)+HX+H+e(18)
正極:VOX・nHO(s)⇔VOX・nHO(s)+HX+H+e (19)
負極:VX・nHO(s)+e⇔2VX・nHO(s)+X (20)
正極及び負極の両方に硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)を用いた、式(18)〜(20)の反応を示すバナジウム固体塩電池の理論容量は、以下のように算出できる。正極に含まれるバナジウムの最大価数変化は2価であり、負極に含まれるバナジウムの最大価数変化は1価である。電池の理論容量は、正極のバナジウムのモル数が1であり、負極のバナジウムのモル数が1.5の場合(正極:負極が1:1.5)、正極の理論容量の方が負極の理論容量よりも少なくなるため、正極の理論容量である。
さらに、本開示のバナジウム固体塩電池は、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上である。最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数と、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数との比率(1価のVモル数:2価のVモル数)は、好ましくは1.5:1〜2.5:1である。本開示のバナジウム固体塩電池は、初期充電において、正極に含まれるバナジウムの価数を最大で2価まで変化させることができる。これにより、本開示のバナジウム固体塩電池は、標準電極電位を大きくして、理論容量を大きくし、かつ、実際の電池の容量も大きくすることができる。
次に、正極及び負極の反応について説明する。正極及び負極は、初期状態において硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)を含む。
まず、正極の反応について説明する。
(SO・nHO(s)⇔V(SO・nHO(aq)⇔
(SO+nHO(aq) (21)
3++HO⇔VO2++2H+e(22)
式(21)及び式(22)の反応に加えて、さらに正極において、式(8)〜式(12)の反応示す。
また、負極において、式(15)〜式(17)の反応を示す。
次に、本開示のバナジウム固体塩電池を構成する材料について説明する。
(集電体)
集電体は、炭素繊維から構成された炭素フェルト、炭素繊維から構成された炭素シート、活性炭、グラッシーカーボン等を用いることができる。負極用集電体又は正極用集電体は、同一の材料からなる集電体を用いてもよく、それぞれ異なる材料からなる集電体を用いてもよい。負極用の集電体としては、炭素フェルト、活性炭を用いることが好ましい。正極用の集電体としては、炭素フェルト、炭素シート、活性炭又はグラッシーカーボンを用いることが好ましい。集電体として用いる活性炭は、平均粒子径5〜20μmの粒子状のものであることが好ましい。ここで平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定により測定される体積基準のメジアン径をいう。
集電体として、炭素フェルトを用いる場合には、直径10〜20μmの炭素短繊維からなるものが好ましい。また、炭素フェルトは、好ましくは目付200〜500g/mである。さらに好ましくは、炭素フェルトは、目付250〜450g/mであり、特に好ましくは目付300〜400g/mである。
(端子)
端子は、導電性ゴム、グラファイトシート、導電性ゴムと金属箔を組み合わせたもの、又は、グラファイトシートと金属箔を組み合わせたもの等を用いることができる。端子は、特に導電性ゴムと金属箔を組み合わせたもの、グラファイトシートと金属箔を組み合わせたものを用いることが好ましい。導電性ゴムと金属箔を組み合わせたもの、グラファイトシートと金属箔を組み合わせたものは、金属箔のない場合に比べて抵抗を低減できるという理由により、好適に用いることができる。導電性ゴムは、シート状であることが好ましい。導電性ゴムの厚さ又はグラファイトシートの厚さは、特に限定されないが、好ましくは10〜150μm、より好ましくは20〜120μm、さらに好ましくは30〜100μmである。また、金属箔を構成する金属としては、抵抗の小さい、銅、アルミニウム、銀、金、ニッケル又はステンレス(SUS303、SUS316L等)等が挙げられる。なかでも、金属箔は、安価な銅箔やアルミニウム箔であることが好ましい。また、金属箔の厚さは、好ましくは10μm〜150μm、より好ましくは20〜120μm、さらに好ましくは30〜100μmである。
(隔膜)
バナジウム固体塩電池は、正極と負極とを区画する、水素イオン(プロトン)を通過させることができる隔膜とを含む。この隔膜は、水素イオン(プロトン)を通過させることができるものであれば、どのようなものを用いることも可能である。隔膜は、多孔膜、不織布、又は水素イオンの選択的な透過が可能なイオン交換膜を用いることができる。多孔膜は、例えばポリエチレン微多孔膜(旭化成社製)等が例示できる。また、不織布は、例えばNanoBase(三菱製紙社製)等が例示できる。また、イオン交換膜は、例えばSELEMION(登録商標)APS(旭硝子社製)等が例示できる。
(活物質)
活物質は、バナジウム化合物に硫酸水溶液を加えたものから析出された析出物であることが好ましい。バナジウム化合物は、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)が例示できる。また、バナジウム化合物は、硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)が例示できる。ここでnは、0又は1〜6の整数を示す。
硫酸水溶液は、例えば硫酸の濃度が90質量%未満の希硫酸等を用いることが好ましい。硫酸水溶液の量は、電池が充放電状態(以下、SOC(State of Charge)ともいう)0〜100%まで取り得るのに過不足のない量を加える。バナジウム化合物に加える硫酸水溶液の量は、SOCが20〜80%まで取り得るのに過不足のない量であってもよい。電池がSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液とは、例えばバナジウム化合物100gに対して、2Mの硫酸70mLである。
また、バナジウム化合物を含む硫酸水溶液は、集電体に付着する程度の硬度又は粘度を有している状態であることが好ましい。バナジウム化合物を含む硫酸水溶液は、固体状又は半固体状であってもよい。ここで、半固体状とは、バナジウム化合物に硫酸水溶液等を加えたスラリー状のもの、バナジウム化合物にシリカを加えてゲル状にしたものが含まれる。
本開示において、バナジウム固体塩電池は、少量の電解液として硫酸水溶液を含んでいてもよい。「少量の電解液」とは、具体的には電池のSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液を意味する。電解液としての硫酸水溶液の量は、場合によりSOC20〜80%まで取り得るのに過不足のない量であってもよい。電池がSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液とは、例えばバナジウム化合物100gに対して、2Mの硫酸70mLである。
(その他の材料)
本開示において、バナジウム固体塩電池は、端子に連結する導電線として、カーボンファイバーを用いてもよい。また、本開示のバナジウム固体塩電池は、2つの集電体、2つの端子、隔膜から構成されるスタックを収容する合成樹脂製等のセル等を用いてもよい。
[バナジウム固体塩電池の製造方法]
次に、本開示のバナジウム固体塩電池の製造方法について説明する。
図2は、バナジウム固体塩電池の製造方法の一実施形態を示すフロー図である。バナジウム固体塩電池を作製する工程として、ステップS1〜S5を含む。ステップS1〜S3、S1’〜S3’は、正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において4価の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持する工程である。ステップS4〜S5は構成部材を組み立てて、電池を得る工程である。ステップS1〜S3と、ステップS1’〜S3’は、同一のステップを含む。ただし、ステップS1〜S3と、ステップS1’〜S3’とは、集電体に含浸するバナジウムを含む溶液の容量(mL)が異なる。
(ステップS1、S1’)
ステップS1、S1’は、4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を調製するステップである。ここで、4価の酸化数を有するバナジウムは、バナジウムイオン(V4+)又はバナジウムを含む陽イオン(VO2+)を例示できる。「4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液」は、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)水溶液が例示できる。
酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の濃度は、正極及び負極におけるバナジウムの価数変化にしたがって、濃度を設計する。酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の濃度は、好ましくは1〜3M(mol/L)である。酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の濃度は、より好ましくは1.5〜2.5Mである。溶液中のバナジウム化合物の濃度は、集電体の種類や、集電体の厚さによって変化する。
(ステップS2、S2’)
ステップS2、S2’は、4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を、集電体に含浸又は塗布するステップである。
4価の酸化数を有するバナジウムは、電極の活物質である。4価の酸化数を有するバナジウムを活物質として用いた場合、活物質は、次のように集電体に担持する。正極用の集電体は、初期充電における最大価数変化が1価であるバナジウムを含む活物質を担持する。負極用の集電体は、初期充電における最大価数変化が2価であるバナジウムを含む活物質を担持する。また、正極用の集電体は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数に対して、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が1.5倍以上となるように活物質を担持する。正極用の集電体は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数に対して、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が1.5倍〜2.5倍となるように活物質を担持することが好ましい。
上述のように集電体に活物質を担持するためには、以下の方法が挙げられる。例えば、一定のモル濃度の酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を用いる場合、正極用の集電体又は負極用の集電体に含浸させる酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の量を変化させる。例えば、負極用の集電体には、1Mの酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を1mL含浸させる。正極用の集電体には、1Mの酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を1.5mL以上含浸させる。一定濃度の酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を用いる場合、負極に用いる酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の量が1mLである場合には、正極に用いる酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の量が1.5mL〜2.5mLであることが好ましい。
また、上述のように集電体に活物質を担持するためには、例えば、一定量の酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を用いる場合、正極用の集電体又は負極用の集電体に含浸させる酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の濃度を変化させる。例えば、負極用の集電体には、1Mの酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を1mL含浸させる。正極用の集電体には、1.5M以上の酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を1mL含浸させる。一定量の酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液を用いる場合、負極に用いる酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の濃度が1Mである場合には、正極に用いる酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の濃度は、1.5〜2.5Mであることが好ましい。
(ステップS3、S3’)
ステップS3、S3’は、集電体を乾燥することによって、余分な液体を蒸発させ、4価の酸化数を有するバナジウムを含有する析出物を集電体に担持するステップである。本明細書において、「余分な液体を蒸発させる」とは、二次電池がSOC0〜100%まで取り得るために過不足ない量だけ硫酸水溶液を残して、それ以外の液体は蒸発させるという意味である。場合によっては、SOC20〜80%の値をカバーできる量だけ硫酸水溶液を残して、それ以外の液体は蒸発させるという意味であってもよい。また、本明細書において、「集電体に担持」とは、乾燥により、溶液から析出した析出物を集電体に固着することを意味する。
ステップ3、S3’において、集電体は、大気圧(約1.01×10Pa)下で常温(約20℃)〜180℃で乾燥する。集電体は、真空の状態で乾燥させてもよい。常温以上の温度に加熱して乾燥する場合には、集電体は、ホットプレートを用いて加熱してもよい。また、真空の状態とは、大気圧よりも低い圧力下にあることをいい、特に限定されない。大気圧(1.01×10Pa)よりも低い圧力として、真空度1×10Pa以下であることが好ましい。真空度の下限値も、特に限定されないが、真空度が1×10Pa以上であることが好ましい。乾燥時の圧力が、1×10Pa〜1×10Paであると、アスピレータや真空ポンプ等の汎用の手段によって、乾燥時の圧力を大気圧よりも低い真空状態とすることが可能である。
(ステップS4)
ステップS4は、構成部材を組み立てて電池を得るステップである。電池は、正極用の第1集電体と、負極用の第2集電体を用い、第1集電体と第2集電体の間に水素イオンを通過させる隔膜を配置する。第1集電体には、第1端子を配置する、正極は、第1集電体と、第1端子とを含む。第2集電体には、第2端子を配置する。負極は、第2集電体と、第2端子とを含む。バナジウム固体塩電池は、第1端子、第1集電体、隔膜、第2集電体、第2端子をこの順序でセルに挿入することによって組み立てられる。電池の構成部材は、特に限定されないが、第1端子、第1集電体、隔膜、第2集電体、第2端子及びセルをいう。また、第1端子及び第2端子の連結する導電線も電池の構成部材である。
(ステップS5)
ステップS5は、組み立てた電池にSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液を注入するステップである。電解液は、硫酸水溶液を用いることが好ましい。
電池がSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液とは、例えば、電池全体の酸化硫酸バナジウム(IV)100gに対して、2Mの硫酸70mLである。
本開示のバナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、正極及び負極に初期状態において4価の酸化数であるバナジウムを含む。また、バナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、負極に初期充電における最大価数変化が2価であるバナジウムを含む。また、バナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、正極に最大価数変化が1価であるバナジウムを含む。さらに、バナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数に対して、1.5倍以上とすることができる。
次に、バナジウム固体塩電池の製造方法として、他の実施形態を説明する。図3は、バナジウム固体塩電池の他の実施形態を示すフロー図である。バナジウム固体塩電池を作製する工程として、ステップS10〜S16を含む。ステップS10〜S11は、4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を電解還元して、3価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を調製するステップである。S12〜14及びS12’〜S14’は、正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において3価の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持するステップである。ステップS15〜S16は構成部材を組み立てて、電池を得るステップである。ステップS12〜S14と、ステップS12’〜S14’は、同一のステップである。ただし、ステップS12〜S14と、ステップS12’〜S14とは、集電体に含浸する3価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液の量(mL)が異なる。
(ステップS10)
ステップS10は、4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を調製するステップである。ここで、4価の酸化数を有するバナジウムは、バナジウムイオン(V4+)又はバナジウムを含む陽イオン(VO2+)を例示できる。「4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液」は、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)水溶液が例示できる。
(ステップS11)
ステップS11は、4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を電解還元するステップである。
電解還元は、例えば、4価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液に1Aの定電流を5時間通電することによって行う。次に、溶液の色が青色から紫色に完全に変化したことを確認する。次に、溶液を空気中で12時間放置する。そして、3価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液が得られる。この溶液は緑色である。電解還元は、アルゴン等の希ガスバブリング下で行ってもよい。さらに電解還元は、溶液の温度を一定温度に保ちながら行ってもよい。一定温度としては、10〜30℃であることが好ましい。また、電解還元を行う際の電極としては、白金板を用いることができる。電解還元を行う際に、2つの電極の間を区画する隔膜としては、例えばSELEMION(登録商標) APS(旭硝子社製)等のイオン交換膜を用いることができる。
(ステップS12、S12’)
ステップS12、S12’は、電解還元によって、3価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を調製するステップである。ここで、3価の酸化数を有するバナジウムは、バナジウムイオン(V3+)を例示できる。「3価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液」は、硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)水溶液が例示できる。
硫酸バナジウム(III)水溶液は、正極及び負極におけるバナジウムの価数変化にしたがって、濃度を設計する。酸化硫酸バナジウム(III)水溶液の濃度は、好ましくは1〜3M(mol/L)である。酸化硫酸バナジウム(III)水溶液の濃度は、より好ましくは1.5〜2.5Mである。溶液中のバナジウム化合物の濃度は、集電体の種類や、集電体の厚さによって変化する。
3価の酸化数を有するバナジウムは、電極の活物質である。3価の酸化数を有するバナジウムを活物質として用いた場合、活物質は、次のように集電体に担持する。正極用の集電体は、初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が2価である活物質を担持する。負極用の集電体は、初期充電におけるバナジウムの価数変化が1価である活物質を担持する。また、負極用の集電体は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数に対して、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が1.5倍以上となるように活物質を担持する。負極用の集電体は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数に対して、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が1.5倍〜2.5倍となるように活物質を担持することが好ましい。
上述のように集電体に活物質を担持するためには、以下の方法が挙げられる。例えば、一定のモル濃度の硫酸バナジウム(III)水溶液を用いる場合、正極用の集電体又は負極用の集電体に含浸させる硫酸バナジウム(III)水溶液の量(mL)を変化させる。例えば、正極用の集電体には、1Mの硫酸バナジウム(III)水溶液を1mL含浸させる。負極用の集電体は、1Mの硫酸バナジウム(III)水溶液を1.5mL以上含浸させる。一定濃度の硫酸バナジウム(III)水溶液を用いる場合、正極に用いる硫酸バナジウム(III)水溶液の量が1mLである場合には、負極に用いる硫酸バナジウム(III)水溶液の量が1.5mL〜2.5mLであることが好ましい。
また、上述のように集電体に活物質を担持するために、例えば、一定量の硫酸バナジウム(III)水溶液を用いる場合、正極用の集電体又は負極用の集電体に含浸させる硫酸バナジウム(III)水溶液の濃度を変化させる。例えば、正極用の集電体には、1Mの硫酸バナジウム(III)水溶液を1mL含浸させる。負極用の集電体には、1.5M以上の硫酸バナジウム(III)水溶液を1mL含浸させる。一定量の硫酸バナジウム(III)水溶液を用いる場合、正極に用いる硫酸バナジウム(III)水溶液の濃度が1Mである場合には、負極に用いる硫酸バナジウム(III)水溶液の濃度は、1.5〜2.5Mであることが好ましい。
(ステップS13、S13’)
ステップS13、S13’は、3価の酸化数を有するバナジウムを含む溶液を、集電体に含浸又は塗布するステップである。
(ステップS14、S14’)
ステップS14、S14’は、集電体を乾燥することによって、余分な液体を蒸発させ、4価の酸化数を有するバナジウムを含有する析出物を集電体に担持するステップである。ステップS14、S14’は、ステップS3、S3’と同様の方法を用いることができる。
(ステップS15)
ステップS15は、電池を組み立てるステップである。ステップ15は、ステップS4と同様の方法を用いることができる。
(ステップS16)
ステップS16は、組み立てた電池にSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液を注入するステップである。電解液は、硫酸水溶液を用いることが好ましい。電池がSOC0〜100%まで取り得るのに過不足のない量の電解液とは、例えば、電池全体の酸化硫酸バナジウム(IV)100gに対して、2Mの硫酸70mLである。
本開示のバナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、正極及び負極に初期状態において3価の酸化数であるバナジウムを含む。また、本開示のバナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、正極に、初期充電における最大価数変化が2価であるバナジウムを含む。また、バナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、負極に、最大価数変化が1価であるバナジウムを含む。さらに、バナジウム固体塩電池は、上述の方法によって、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数に対して、1.5倍以上とすることができる。
次に実施例により本発明の具体的態様を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(集電体)
集電体は、目付330g/m、厚さ4.2mmである市販の炭素フェルトを用いた。
(隔膜)
隔膜は、SELEMION(登録商標)APS(旭硝子社製)を用いた。
(端子)
端子は、グラファイトシート(40μm)と銅箔(40μm)を組み合わせたものを用いた。
(実施例1〜3及び比較例1の活物質溶液)
酸化硫酸バナジウム(IV)・nHO(VOSO・nHO)(VOSO含有率:72%)498g(VOSO:358.6g、2.2mol)に2.2M(2.2mol/L)の硫酸を加えて1Lとしたものを撹拌し、活物質溶液とした。
(実施例1)
第1集電体は、集電体2.16cm当たり2.2Mの酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)水溶液を0.45mL含浸させた。この第1集電体を60℃、1×10Paの条件で、1時間、乾燥させた。乾燥後、初期状態において4価のバナジウムを含む活物質を担持した第1集電体を得た。第1集電体中の4価のバナジウムのモル数は0.99mmolであった。第1集電体は、正極用の集電体として用いた。第2集電体は、集電体2.16cm当たり2.2Mの酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO・nHO)水溶液を0.3mL含浸させた。この第2集電体を60℃、1×10Paの条件で、1時間、乾燥させた。乾燥後、初期状態において4価のバナジウムを含む活物質を担持した第2集電体を得た。第2集電体の4価のバナジウムのモル数は、0.66mmolであった。第2集電体は、負極用の集電体として用いた。第1集電体(正極)の4価のバナジウムのモル数は、第2集電体(負極)の4価のバナジウムのモル数の1.5倍であった。正極は、第1集電体に、第1端子として、第1集電体と同じ大きさの第1端子を配置した。負極は、第2集電体に、第2集電体と同じ大きさの第2端子を配置した。第1集電体と第2集電体の間に、同じ大きさの隔膜を配置した。単一スタックを、第1端子、第1集電体、隔膜、第2集電体、第2端子をこの順序で積層して製造した。この単一スタックを、底面積2.16cm、厚さ3mmの円筒形のセルに挿入した。セル中に電解液として、2M硫酸を0.5mL加えた。セル中の第1端子及び第2端子のそれぞれに、導電用のカーボンファイバーを連結して、バナジウム固体塩電池を製造した。
(実施例2)
第1集電体(正極)の4価のバナジウムのモル数は、第2集電体(負極)の4価のバナジウムのモル数の2倍とした。第1集電体の4価のバナジウムのモル数を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、バナジウム固体塩電池を製造した。
(実施例3)
第1集電体(正極)の4価のバナジウムのモル数は、第2集電体(負極)の4価のバナジウムのモル数の2.5倍とした。第1集電体の4価のバナジウムのモル数を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、バナジウム固体塩電池を製造した。
(比較例1)
第1集電体(正極)の4価のバナジウムのモル数は、第2集電体(負極)の4価のバナジウムのモル数の1倍とした。第1集電体の4価のバナジウムのモル数を変えたこと以外は、実施例1と同様にして、バナジウム固体塩電池を製造した。
下記表1は、実施例1〜3及び比較例1の正極と負極のそれぞれのバナジウムのモル数の比率と、正極と負極の理論容量比率(Ah)、酸化硫酸バナジウム(IV)水溶液の含浸比率(mL)、モル比率(mmol)を示す。
Figure 2014212015
実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池の充放電試験を以下のように行い、放電容量と電力量を測定した。結果を表2及び3、図4〜6に示す。
(放電容量)
充放電試験機(商品名:TOSCAT-3500、東洋システム社製)を用い、室温条件にして、17mA/cmで1.6Vまで充電した後、0.5Vまで放電させる充放電を5サイクル行い、放電容量(mAh)を測定した。
(電力量)
バナジウム固体塩電池は、電力量を以下のように測定した。
充放電試験機(商品名:TOSCAT-3500、東洋システム社製)を用い、室温条件にして、17mA/cmで1.6Vまで充電した後、0.5Vまで放電させる充放電を5サイクル行い、電力量(mWh)を測定した。
実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池の5サイクル測定したうちの最大放電容量(mAh)の測定結果を、表2に示す。表2に、最大放電容量(mAh)を正極及び負極の両極の活物質のモル数で除した数値、最大放電容量(mAh)を正極の活物質のモル数で除した数値を示す。
実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池の5サイクル測定したうちの最大電力量(mWh)の測定結果を、表3に示す。表3に、最大電力量(mWh)を正極及び負極の両極の活物質のモル数で除した数値、最大放電容量(mWh)を正極の活物質のモル数で除した数値を示す。
Figure 2014212015
表2に示すように、実施例1〜3のバナジウム固体塩電池は、比較例1のバナジウム固体塩電池よりも、放電容量が向上した。また、表2の「最大放電容量/両極の活物質のモル数(mAh・mol−1)」に示すように、実施例1及び2は、比較例1に対して、両極の活物質の増量(比較例1の両極の活物質のモル数1に対して、実施例1の両極の活物質のモル数1.25倍、実施例2の両極の活物質のモル数1.5倍)に比例する数値以上に、放電容量が増大していた。
この実施例1〜3の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上としたことによって、バナジウム固体塩電池の放電容量を高容量化できることが分かった。また、実施例1〜3の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5〜2.5倍とすることによって、増量した活物質のモル数に比例する数値以上に、バナジウム固体塩電池の高容量化が実現できることが分かった。
Figure 2014212015
表3に示すように、実施例1〜3のバナジウム固体塩電池は、比較例1のバナジウム固体塩電池よりも、最大電力量が向上した。表3の「最大電力量/両極の活物質のモル数(mWh・mol−1)」に示すように、実施例1〜3は、比較例1に対して、両極の活物質の増量(比較例1の両極の活物質のモル数1に対して、実施例1の両極の活物質のモル数1.25倍、実施例2の両極の活物質のモル数1.5倍、実施例3の活物質のモル数1.75倍)に比例する数値以上に、エネルギー密度(mWh・mol−1)が増大していた。
この実施例1〜3の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上としたことによって、バナジウム固体塩電池を高エネルギー密度化できることが分かった。また、実施例1〜3の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5〜2.5倍とすることによって、増量した活物質のモル数に比例する数値以上に、バナジウム固体塩電池を高エネルギー密度化できることが分かった。
図4は、充放電試験における時間−電圧曲線を示す。図4中、(a)は比較例1(正極:負極が1:1)の結果を示す。図4中、(b)は実施例1(正極:負極が1.5:1)の結果を示す。図4中、(c)は実施例2(正極:負極が2:1)の結果を示す。図4中、(d)は実施例4(正極:負極が2.5:1)の結果を示す。図4に示す充放電サイクルを繰り返しても、充放電試験における時間−電圧曲線は大きく変化しないことが確認できた。また、実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池は、担持した活物質量に比例して、充放電時間が長くなっていた。
図5は、実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電池の容量(mAh)の関係を示す。図6は、実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電池の電力量(mWh)の関係を示す。図5及び図6に示すように、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量(mAh)、電力量(mWh)はほぼ一定値であり、安定した挙動を示すことが確認できた。また、図5に示すように、実施例1〜3のバナジウム固体塩電池は、比較例1のバナジウム固体塩電池に比較して、高容量であることが確認できた。また、図6に示すように、実施例1〜3のバナジウム固体塩電池は、比較例1のバナジウム固体塩電池に比較して、高いエネルギー密度を有することが確認できた。
(実施例4〜6及び比較例2の活物質溶液)
酸化硫酸バナジウム(IV)・nHO(VOSO・nHO)に硫酸を加えて1Lとしたものを撹拌し、この溶液をビーカー型セルに移した。ビーカー型セルに作用電極として白金板を設置し、隔膜としてイオン交換膜(旭硝子社製、SELEMION(登録商標)APS)を設置した。ビーカー型セルに移した溶液をアルゴン(Ar)ガスでバブリングした。Arガスでバブリングを続けながら溶液の温度を15℃に保持し、溶液に1Aの定電流を流し、電解還元を5時間行った。その後、溶液をビーカー型セルからシャーレに移した。次いで、溶液を空気中に12時間放置した。放置後、溶液の色が紫色から緑色に完全に変わったことを目視で確認した。その後、室温(約20℃±5℃)、減圧(真空度1.0×10Pa以下)状態で、溶液を1週間乾燥させて、硫酸バナジウム(III)・nHO((V(SO含有率:84%)1030g(V(SO:858g、2.2mol)を得た。得られた硫酸バナジウム(III)・nHO(V(SO・nHO)に2.2M硫酸を加えて1Lとしたものを撹拌し、活物質用溶液とした。
(実施例4)
第1集電体は、集電体2.16cm当たり2.2Mの硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)水溶液を0.3mL含浸させた。この第1集電体を60℃、1×10Paの条件で、1時間、乾燥させた。乾燥後、初期状態において3価のバナジウムを含む活物質を担持した第1集電体を得た。第1集電体中の3価のバナジウムのモル数は0.66mmolであった。第1集電体は、正極用の集電体として用いた。
第2集電体は、集電体2.16cm当たり2.2Mの硫酸バナジウム(III)(V(SO・nHO)水溶液を0.45mL含浸させた。この第2集電体を60℃、1×10Paの条件で、1時間、乾燥させた。乾燥後、初期状態において3価のバナジウムを含む活物質を担持した第2集電体を得た。第2集電体中の3価のバナジウムのモル数は、0.99mmolであった。第2集電体は、負極用の集電体として用いた。第2集電体(負極)の3価のバナジウムのモル数は、第1集電体(正極)の3価のバナジウムのモル数の1.5倍であった。上述の第1集電体及び第2集電体を用いて、実施例1と同様にして、バナジウム固体塩電池を製造した。
(実施例5)
第2集電体(負極)の3価のバナジウムのモル数は、第1集電体(正極)の3価のバナジウムのモル数の2倍とした。第2集電体の3価のバナジウムのモル数を変えたこと以外は、実施例4と同様にして、バナジウム固体塩電池を製造した。
(実施例6)
第2集電体(負極)の3価のバナジウムのモル数は、第1集電体(正極)の3価のバナジウムのモル数の2.5倍とした。第2集電体の3価のバナジウムのモル数を変えたこと以外は、実施例4と同様にして、バナジウム固体塩電池を製造した。
(比較例2)
第2集電体(負極)の3価のバナジウムのモル数は、第1集電体(正極)の3価のバナジウムのモル数の1倍とした。第2集電体の3価のバナジウムのモル数を変えたこと以外は、実施例4と同様にして、バナジウム固体塩電池を製造した。
下記表3は、実施例4〜6及び比較例2の正極と負極のそれぞれのバナジウムのモル数の比率と、正極と負極の理論容量比率(Ah)、硫酸バナジウム(III)水溶液の含浸比率(mL)、モル比率(mmol)を示す。
Figure 2014212015
実施例4〜6及び比較例2のバナジウム固体塩電池の充放電試験を実施例1と同様に行い、放電容量と電力量を測定した。結果を表5及び6、図7〜9に示す。
Figure 2014212015
表5に示すように、実施例4〜6のバナジウム固体塩電池は、比較例2のバナジウム固体塩電池よりも、放電容量が向上した。
また、表3の「最大放電容量/両極の活物質のモル数(mAh・mol−1)」に示すように、実施例4は、比較例2に対して、両極の活物質の増量(比較例2の両極の活物質のモル数1に対して、実施例4の両極の活物質のモル数1.25倍)に比例する数値程度に、放電容量が増大していた。
この実施例4〜6の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上としたことによって、バナジウム固体塩電池の放電容量を高容量化できることが分かった。また、実施例4〜6の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5〜2.5倍とすることによって、増量した活物質のモル数に比例する数値以上に、バナジウム固体塩電池の高容量化が実現できることが分かった。
Figure 2014212015
表6に示すように、実施例1〜3のバナジウム固体塩電池は、比較例1のバナジウム固体塩電池よりも、最大電力量が向上した。表36「最大電力量/両極の活物質のモル数(mWh・mol−1)」に示すように、実施例4及び5は、比較例1に対して、両極の活物質の増量(比較例2の両極の活物質のモル数1に対して、実施例4の両極の活物質のモル数1.25倍、実施例5の両極の活物質のモル数1.5倍)に比例する数値程度に、エネルギー密度(mWh・mol−1)が増大していた。
この実施例4〜6の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上としたことによって、バナジウム固体塩電池を高エネルギー密度化できることが分かった。また、実施例4〜6の結果から、最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数は、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5〜2.5倍とすることによって、増量した活物質のモル数に比例する数値以上に、バナジウム固体塩電池を高エネルギー密度化できることが分かった。
図7は、充放電試験における時間−電圧曲線を示す。図7中、(a)は比較例2(正極:負極が1:1)の結果を示す。図7中、(b)は実施例4(正極:負極が1:1.5)の結果を示す。図7中、(c)は実施例5(正極:負極が1:2)の結果を示す。図7中、(d)は実施例6(正極:負極が1:2.5)の結果を示す。図7に示す充放電サイクルを繰り返しても、充放電試験における時間−電圧曲線は大きく変化しないことが確認できた。また、実施例1〜3及び比較例1のバナジウム固体塩電池は、担持した活物質量に比例して、充放電時間が長くなっていた。
図8は、実施例4〜6及び比較例2のバナジウム固体塩電池の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電池の容量(mAh)の関係を示す。図9は、実施例4〜6及び比較例2のバナジウム固体塩電池の充放電試験における、充放電試験サイクル数(n)と電池の電力量(mWh)の関係を示す。図8及び図9に示すように、充放電サイクルを繰り返しても、電池の容量(mAh)、電力量(mWh)はほぼ一定値であり、安定した挙動を示すことが確認できた。また、図8に示すように、実施例4〜6のバナジウム固体塩電池は、比較例2のバナジウム固体塩電池に比較して、高容量であることが確認できた。また、図9に示すように、実施例4〜6のバナジウム固体塩電池は、比較例2のバナジウム固体塩電池に比較して、高いエネルギー密度を有することが確認できた。
本発明は、高容量であるバナジウム固体塩電池を提供することができる。また、本発明は、高いエネルギー密度を有するバナジウム固体塩電池を提供することができる。また、バナジウム固体塩電池は、軽量かつ堅牢な製品実装が可能である。さらに、バナジウム固体塩電池は、大型電力貯蔵分野のみならず、パーソナルコンピュータ、個人用携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、デジタルメディアプレーヤー、デジタルレコーダ、ゲーム、電化製品、車両、無線装置、携帯電話等に広く用いることができ、産業上有用である。
1 バナジウム固体塩電池
2 正極用の第1集電体
3 第1端子
4 正極
5 負極用の第2集電体
6 第2端子
7 負極
8 隔膜
9 セル

Claims (6)

  1. 初期状態において3価又は4価のいずれかの酸化数であるバナジウムを含有する正極及び負極と、正極と負極とを区画し、水素イオンを通過させることができる隔膜とを含み、
    一方の電極に、初期充電における最大価数変化が2価であるバナジウムを含み、他方の電極に、最大価数変化が1価であるバナジウムを含み、
    最大価数変化が1価であるバナジウムのモル数が、最大価数変化が2価であるバナジウムのモル数の1.5倍以上であることを特徴とするバナジウム固体塩電池。
  2. 正極及び負極に、初期状態において酸化数が4価のバナジウムを含み、正極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が1価であり、負極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が2価である、請求項1記載のバナジウム固体塩電池。
  3. 正極及び負極に、初期状態において酸化数が3価のバナジウムを含み、正極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が2価であり、負極の初期充電におけるバナジウムの最大価数変化が1価である、請求項1記載のバナジウム固体塩電池。
  4. 正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において4価又は3価のいずれか一方の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持する工程を含み、活物質を担持する工程において、一方の集電体に最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質を担持し、他方の集電体に最大価数変化が1価となるバナジウムを含む活物質を、最大価数変化が2価となるバナジウムのモル数に対して1.5倍以上のモル数となるように担持することを特徴とするバナジウム固体塩電池の製造方法。
  5. 正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において4価の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持する工程を含み、活物質を担持する工程において、負極を構成する集電体に最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質を担持し、正極を構成する集電体に最大価数変化が1価となるバナジウムを含む活物質を、最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質のモル数に対して1.5倍以上のモル数となるように担持する、請求項4記載のバナジウム固体塩電池の製造方法。
  6. 正極及び負極を構成する集電体に、初期状態において3価の酸化数を有するバナジウムを含む活物質を担持する工程を含み、活物質を担持する工程において、正極を構成する集電体に最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質を担持し、負極を構成する集電体に最大価数変化が1価となるバナジウムを含む活物質を、最大価数変化が2価となるバナジウムを含む活物質のモル数に対して1.5倍以上のモル数となるように担持する、請求項4記載のバナジウム固体塩電池の製造方法。
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