JP2014211971A - 導電部材支持具 - Google Patents
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Abstract
Description
電線104が腕金102に接触すると地絡事故が発生するため、電線104を、腕金102との接触を回避しうる姿勢に維持し、絶縁を確保する必要がある。
分岐部分を有さない電線を支持可能な器具として、特許文献2には、上端部にて互いに開閉可能に軸支された一対の半裁クランプを備えたバインドレスキャップが開示されている。この発明では、半裁クランプを閉じることにより2つの半裁クランプの内面によって電線を挟着する。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、引下線等の導電部材を支持する際の作業性を向上させた導電部材支持具を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明は、前記掛止片は、前記挟圧片から離間して前記導電部材の着脱が可能な離間位置と、前記挟圧片に近接して前記導電部材の着脱が不能な近接位置と、の間で出没自在に構成されていることを特徴とする。
請求項1及び2の発明では、掛止片は、挟圧片に可動に支持されているので、作業工程に応じて掛止片の姿勢を変更することができる。
請求項3の発明では、ストッパにより掛止片の動作を禁止することができ、掛止片による導電部材の掛止状態を維持できる。
請求項4に記載の発明は、前記ロック手段は、前記挟圧片を前記絶縁体に対して移動不能にロックする手段であることを特徴とする。
請求項4の発明では、絶縁体に対して挟圧片をロックするため、導電部材を掛止したときの掛止具の姿勢を所定の状態に維持することができる。
請求項5の発明では、挟圧面が絶縁体に嵌合して、掛止具の移動を効果的に阻止する。
請求項6に記載の発明は、前記掛止片は、前記導電部材を掛止したときに、前記導電部材の外面に沿った形状に弾性変形する弾性部材を備えたことを特徴とする。
請求項6の発明では、弾性部材が導電部材の外面に沿った形状に弾性変形するので、掛止片によって種々の外形の導電部材を支持することが可能となる。
請求項7の発明では、装着部を軸状とすることで、装着部の軽量化を図ることができる。また、装着対象物に予め形成された取付穴を利用して導電部材支持具を取り付けることができ、作業性が向上する。
請求項8に記載の発明は、前記装着部は、ヒンジ部によって開閉自在に連接された2つの開閉片を備え、前記各開閉片を閉じたときに、夫々の内面によって前記装着対象物の外面を挟圧することを特徴とする。
請求項8の発明では、導電部材支持具を装着対象物の任意の箇所に、且つ所望の姿勢で装着することができ、装着位置の自由度が高まる。
本発明の第一の実施形態に係る電線支持具(導電部材支持具)について図1、及び図2に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電線支持具の軸方向に沿った断面図である。図2は、電線支持具の分解斜視図、及び掛止具の斜視図である。なお、図2の斜視図では便宜上、掛止片の図示は省略している。
電線支持具1(導電部材支持具)は、高圧引下用絶縁電線等の導電性の部材を支持する治具であり、電線支持具1は、電柱の腕金102(装着対象物:図5参照)に対して装着される碍子10と、碍子10に電線104を取り付ける為の掛止具30とを備えている。
なお、以下の説明において特に断らない場合、軸方向とは、碍子の軸方向を基準とするものであり、碍子に装着される掛止具においても同様に用いる。同様に、周方向、径方向とは、碍子の胴部又は笠部の周方向、径方向に沿った方向を基準とする。
絶縁体11は、概略円柱状の胴部13と、胴部13から径方向に張り出した複数の端部笠部17とを有する。即ち、絶縁体11は、軸方向に沿って大径の端部笠部17と小径の胴部13とが交互に配置された多段笠状である。
胴部13周りに複数の端部笠部17を突出形成することにより、絶縁体11の表面漏れ距離を増大させて耐電圧を高めている。また、本実施形態における碍子10は、塩じん害に耐えるように設計された耐塩がいしとして機能する。このように耐高電圧及び耐塩じん害の碍子10を用いることで、電線支持具1は、その設置箇所について制約を受けない。
また、絶縁体11の軸方向他端の端部笠部17は、掛止具30を絶縁体11に取り付ける際に使用される。
なお、碍子10と掛止具30とが別体であるため、碍子10については、電線支持具1が取り付けられる環境に対応したものを適宜選定して使用することができる。
把持部25は、間接活線作業時においてストレーリンクトング等の工具によって把持したときに、碍子10の周方向への回転を阻止する形状であればよい。把持部25の形状としては例えば六角柱状とすることができる。
装着部20を軸状部材とすることで、装着部20の軽量化を図ることができる。また、装着部20を軸状部材とすることで、高圧カットアウトを支持する腕金102に予め貫通形成された高圧カットアウト支持アーム用の取付穴105(挿通孔:図5参照)を利用して、腕金102に電線支持具1を取り付けることができる。即ち、取付穴105内に装着部20を挿通し、ナット21により装着部20を腕金102に締結することで、容易に碍子10を腕金102に固定することができ、作業性が向上する。
なお、碍子10として、一般的に使用されるピン碍子を用いてもよい。
2つの挟圧片31は、連接部33において一体化されている。連接部33は、2つの挟圧片を開閉する際の支持部(ヒンジ又は回動中心)として機能し、2つの挟圧片31は周方向(図中矢印A方向)に開閉する。また、少なくとも連接部33部分は変形可能に構成されており、挟圧片31は円滑に開閉する。なお、連接部33部分を蛇腹状とし、より円滑な開閉動作が行えるようにしてもよい。
なお、本実施形態において2つの挟圧片31は一体形成されているが、2つの挟圧片を別体構成とし、ヒンジ(又はヒンジ軸)によって開閉自在に連結した構成としてもよい。この場合、掛止片60は、少なくとも一方の挟圧片に支持されていれば足りる。また、図示する挟圧片は、碍子10の軸方向に沿った軸線の周りに動作することにより開閉する構成であるが、挟圧片の開閉方向はこれに限定するものではない。即ち、碍子の軸方向と交差する軸線の周りに開閉動作する構成としてもよい。
また、挟圧面35は端部笠部17に嵌合する凹形状(嵌合部)であり、挟圧片31を閉止したときに掛止具30が軸方向へ移動することを効果的に阻止する。即ち、挟圧片31は、その内面に端部笠部17の軸方向両端の側面と接触する接触面を有しており、端部笠部17を軸方向に挟むことによって、掛止具30の絶縁体11に対する軸方向移動を阻止する。碍子10に対する掛止具30の軸方向移動を阻止することにより、電線104を掛止したときの掛止具30の姿勢を所定の状態に維持することができる。
なお、絶縁体11に対する掛止具30の移動を効果的に阻止するため、挟圧面35には、絶縁体11に対して高い摩擦力を発生させる高摩擦材料を配置することが効果的である。さらに、端部笠部17に接触したときに弾性変形して端部笠部17に密着する弾性材料(ゴムやエラストマー樹脂等)を挟圧面35に配置することで、掛止具30の移動をより効果的に阻止する。
各操作片40には、挟圧片31を閉止状態に維持するための2つのロック手段(第一ロック手段41、第二ロック手段47)が形成されている。2つの操作片40を互いに近接する方向に押圧することで、第一ロック手段41と第二ロック手段47がロック状態となる。また、ロック手段は、挟圧片を絶縁碍子部に対して相対回転不能、且つ軸方向移動不能な状態にロックする手段としても機能する。
係合突起43は、側面に鈎状部43aが突出形成された平面視矢印形状である。また、係合孔45は、係合突起43を挿通(挿入)しうるように形成されている。係合孔45に係合突起43を挿通すると、鈎状部43aが弾性変形しながら係合孔45を通過する。係合突起43が係合孔45を通過したとき、鈎状部43aが弾性力により元の形状に復帰すると共に、第二操作片40bの第一操作片40aとの非対向面に係止されることにより、挟圧片31の開放を阻止する。
なお、各挟圧片31の開放時、言い換えれば、係合突起43を係合孔45に係合させていない状態では、碍子10に対する掛止具30の着脱を自由に行える。また、端部笠部17に取り付け、且つ閉止していない状態のとき、掛止具30は碍子10から脱落せずに、軸周りに自在に回転する。
係止片49は、挟圧片31を閉じるときに、第二操作片40bの径方向端部に当接して外径方向に弾性変形する。また、鈎状突起49aが係止溝51内に係止されると、係止片49は弾性力により元の姿勢に復帰する。従って、操作片40を互いに離間する方向(挟圧片31を開放する方向)に力を加えるだけでは、係止片49が係止溝51から離脱しない。
2つのロック手段41、47によるロックを解除するには、まず係止片49を外径方向に移動させ、鈎状突起49aを係止溝51から抜き出して第二ロック手段47によるロックを解除した後、2つの操作片40を互いに離間する方向に移動させて第一ロック手段41によるロックを解除する。このように、第一ロック手段41と第二ロック手段47は、ロックを解除するときの操作方向が異なるので、2つのロック手段41、47を備えることにより、挟圧片31の開放を効果的に阻止する。
本実施形態において掛止片支持部70は、掛止片60の軸部63を受け入れる支持孔71を有し、掛止片支持部70は軸部63を出没自在(図中矢印B方向に進退自在)に支持する。即ち、掛止片支持部70は、掛止片60を、挟圧片31から離間した離間位置と、挟圧片31に近接した近接位置との間で出没自在に支持する。図示する軸部63は角柱状であり、支持孔71は角筒状であるため、掛止片60の移動方向を軸方向に限定し、掛止片60の掛止片支持部70に対する相対回転を阻止することができる。なお、軸部63及び支持孔71を夫々円柱状、円筒状としてもよい。また、掛止片60の掛止片支持部70に対する相対回転が可能な構成としてもよい。
このように掛止片60は、掛止片支持部70によって挟圧片31に対して可動に支持されているので、作業工程に応じて掛止片60の姿勢を適宜変更することができ、導電部材を支持する際の作業性を向上させることができる。
掛止片60が掛止片支持部70から突出した位置にあるとき、即ちフック部61が連接部33から離間した離間位置にあるとき、フック部61と挟持面37との間に電線を挿入し、又は取り出すことができる。また、掛止片60が掛止片支持部70内に没入した位置にあるとき、即ちフック部61が連接部に近接した近接位置にあるとき、電線はフック部61と挟持面37との間で挟持され、取り外すことができない。
このように、掛止片60は、挟圧片31から離間して電線の着脱が可能な離間位置と、挟圧片31に近接して電線の着脱が不能な近接位置との間で出没するので、作業工程に応じて掛止片の姿勢を変更することができる。
軸部63の側面には、掛止片60を所望の突出位置に維持し、掛止片60の出没移動を阻止するストッパ73が配置されている。ストッパは、軸部63の側面に形成されたネジ穴67内に螺着するボルトから構成することができる。
ストッパ73は、連通口75を介して掛止片60のネジ穴67に螺着する。ストッパ73の非締結状態では、掛止片60を進退移動させることができる上、掛止片60の掛止片支持部70からの脱落を防止できる。一方、ストッパ73を掛止片60に締結することで、掛止片60の出没動作を禁止することができる。即ち、掛止片60による電線の掛止状態を維持することができる。
以上説明した挟圧片31、操作片40、及び掛止片支持部70は、単一の材料から一体形成することが可能である。これらは、耐候性に富み、絶縁性及び耐熱耐寒性に優れた良質の合成樹脂又はこれと同等以上の性能を有する材料(例えば耐候性ポリエチレン樹脂等)から作製する。また、掛止具30やストッパについても同様の材料から構成することができる。
<事前工程>
作業を開始するにあたって、電線支持具による支持対象となる電線や、作業箇所に近接する縁線を縁線用間接シートにて被覆して腕金等との絶縁を確保する。また、腕金にも間接シートを取り付けて電線等との絶縁を確保する。なお、以下に説明する各工程では、電線支持具1の取り付け作業及び電線の掛止作業の支障とならない位置に間接シートを適宜移動させながら行う。以下、間接シートを移動させる工程については省略して説明する。
<工程1:図1、図2参照>
碍子10に掛止具30を固定する。即ち、挟圧片31を開放して端部笠部17に被せ、2つの操作片40を互いに近接する方向に押圧することにより第一ロック手段41と第二ロック手段47とをロックし、碍子10に対する掛止具30の相対回転を禁止した状態とする。
<工程2:図3(a)参照>
ストレーリンクトング110によって、電線支持具1の把持部25を把持する。このとき、電線支持具1を腕金に固定するときの掛止片60の角度に合わせて、把持する。
<工程3:図3(b)参照>
電線支持具1を腕金102の固定位置に合わせる。即ち、装着部20を予め腕金102に貫通形成された取付穴105に挿通する。
間接活線工具である間接ラチェット111を固定操作棒112の先端に取り付け、間接ラチェット111を使用して、装着部20の雄ネジ部23(不図示)にナットを締結し、電線支持具1を腕金102に固定する。固定後は、電線支持具1を把持していたストレーリンクトング110を取外す。
<工程5:図1参照>
絶縁ヤットコ(不図示)を使用し、電線104をフック部61と挟持面37との間に挿入する。また、絶縁ヤットコを使用し、掛止片60を近接位置に移動させて、フック部61と挟持面37とにより電線104を挟持する。
<工程6:図1参照>
図3(c)に示す間接ラチェット111を用いてストッパ73を締結し、掛止片60を掛止片支持部70に固定する。
<事後工程>
絶縁確保のために取り付けた縁線用間接シートと間接シートを取り外す。
以上のように、本発明によれば、腕金に形成された取付穴を利用して電線支持具を固定することができるので、電線支持具の取り付けが容易である。また、腕金に取り付ける際に碍子の角度を調整することで掛止片の向きを自在に変更できるので、支持する電線の姿勢や角度に柔軟に対応できる。また、掛止片をJ字状としたので、電線を切断することなく電線を掛止することができ、電線掛止作業にあたって停電の必要がない。
本発明の第二の実施形態に係る電線支持具について図4に基づいて説明する。図4は、本発明の他の実施形態に係る電線支持具の軸方向に沿った断面図である。
本実施形態に係る電線支持具2は、電線支持具を腕金に装着する際に、腕金を挟持する点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
電線支持具2の装着部80は、ヒンジ部81によって開閉自在に連接された2つの開閉片83、85を備え、各開閉片83、85を閉じたときに、夫々の内面によって腕金の外面を挟圧する。各開閉片83、85は、閉じた時に腕金を包囲する形状である。図示の装着部は、角柱状の腕金への装着に好適な形状であり、一方の開閉片83は側面視概略コの字形状であり、他方の開閉片85によって一方の開閉片83を閉止する。
また、2つの開閉片83、85は、ボルト87及びナット89によって閉止状態に固定される。ボルト87は、開閉片85に対してその脱落が禁止された状態で取り付けられている。また、開閉片83のボルト87装着部分には、ボルト87の軸を受け入れる切り欠き(不図示)が形成されており、開閉片85を図中矢印C方向に回動し、開閉片83を閉止した後、ナット89を締結することで2つの開閉片83、85は、閉止状態に維持される。
なお、装着部80の場合、碍子10に掛止具30を固定する工程では、電線支持具2の腕金102への取り付け姿勢と、支持する電線104との角度に合わせて、碍子10に対する掛止具30の向き(角度)を予め適当な角度に調整した上で固定する必要がある。
Claims (8)
- 絶縁体、及び該絶縁体を装着対象物に装着するための装着部を有した碍子と、前記絶縁体に導電部材を取り付けるための掛止具と、を備えた導電部材支持具であって、
前記掛止具は、開閉自在に支持され、閉止時に前記絶縁体に固定される2つの挟圧片と、前記各挟圧片を閉止状態に維持するロック手段と、少なくとも一方の前記挟圧片に可動に支持されて前記導電部材を掛止する掛止片と、を備えたことを特徴とする導電部材支持具。 - 前記掛止片は、前記挟圧片から離間して前記導電部材の着脱が可能な離間位置と、前記挟圧片に近接して前記導電部材の着脱が不能な近接位置と、の間で出没自在に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の導電部材支持具。
- 前記掛止片の動作を禁止するストッパを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電部材支持具。
- 前記ロック手段は、前記挟圧片を前記絶縁体に対して移動不能にロックする手段であることを特徴とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に導電部材支持具。
- 前記各挟圧片の挟圧面は、前記絶縁体に嵌合する形状であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に導電部材支持具。
- 前記掛止片は、前記導電部材を掛止したときに、前記ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に導電部材支持具。
- 前記装着部は、前記絶縁体から突出し、前記装着対象物に形成された取付穴内に挿通される軸状部材であり、前記軸状部材には、ナットが螺着する雄ネジ部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に導電部材支持具。
- 前記装着部は、ヒンジ部によって開閉自在に連接された2つの開閉片を備え、前記各開閉片を閉じたときに、夫々の内面によって前記装着対象物の外面を挟圧することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に導電部材支持具。
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