JP2014210985A - 紡績糸および布帛および衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくく、かつ吸放湿性に優れた紡績糸、および該紡績糸を用いた布帛および衣料を提供する。
【解決手段】メタアラミド繊維50〜80重量%およびアクリル繊維10〜30重量%およびパラアラミド繊維0〜10重量%およびレーヨン繊維10〜30重量%および帯電防止繊維0〜3重量%を用いて紡績糸を得た後、必要におうじて布帛および衣料を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくく、かつ吸放湿性に優れた紡績糸、および該紡績糸を用いた布帛および衣料に関する。
通電中の電気設備等の周囲で作業を行う人々や電気設備等の事故に対応する救助隊員は、アーク現象により発生し得る電気アークおよび火災による危険にさらされる。電気アークは、2つの電極間の電位差が大気中の原子をイオン化させて電気を伝導できるようになった場合に大気中で発生する。
このような危険から身を守る、あるいはリスクを低減することを目的とした防護衣料やそれに用いる布帛および糸がこれまで種々提案されている。
例えば、特許文献1では、メタアラミド繊維とパラアラミド繊維およびモダクリル繊維が特定の比率で構成をなしている糸が開示されている。また、特許文献2では、特定の結晶化度のメタアラミド繊維とパラアラミド繊維およびモダクリル繊維が特定の比率で構成をなしている糸が開示されている。また、特許文献3では、特定の結晶化度のメタアラミド繊維とパラアラミド繊維、モダクリル繊維および帯電防止繊維が特定の比率で構成をなしている糸が開示されている。また、特許文献4では、メタアラミド繊維とパラアラミド繊維およびアンチモニーを含むモダクリル繊維が特定の比率で構成をなしている糸が開示されている。また、特許文献5では、メタアラミド繊維とパラアラミド繊維、モダクリル繊維、難燃レーヨンおよび帯電防止繊維が特定の比率で構成をなしている糸が開示されている。また、特許文献6では、本質的に難燃性のセルロース繊維とFRモダクリル繊維を含む難燃性の布帛が開示されている。これらは、いずれもモダクリル繊維が難燃性にアラミド繊維と同様に寄与している。
しかしながら、モダクリル繊維を用いた場合、染色した糸、布帛の堅牢度が低いという問題を有していた。また、光や熱によって繊維が黄変しやすく、その用途、加工法が制約されていた。特に塩素などハロゲンを共重合成分に含むモダクリル繊維は黄変し易いという問題も有していた。
一方、防護性能を重視することにより、特に高温環境下での作業において作業者の身体から生じる蒸気あるいは液体の汗によって作業者が不快に感じる場面が少なからずあり、着用快適性を向上させることが求められていた。
特表2007−529648号公報 特表2009−503278号公報 特表2011−527734号公報 国際公開第2010/141554号パンフレット 国際公開第2011/126999号パンフレット 特表2010−502849号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくく、かつ吸放湿性に優れた紡績糸、および該紡績糸を用いた布帛および衣料を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、紡績糸を構成する繊維の種類および重量比率(紡績糸全体重量に対する各繊維の重量比率)を特定することにより、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくく、かつ吸放湿性に優れた紡績糸が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「メタアラミド繊維50〜80重量%およびアクリル繊維10〜30重量%およびパラアラミド繊維0〜10重量%およびレーヨン繊維10〜30重量%および帯電防止繊維0〜3重量%を含むことを特徴とする紡績糸。」が提供される。
その際、紡績糸が、メタアラミド繊維60〜70重量%およびアクリル繊維15〜25重量%およびパラアラミド繊維2〜10重量%およびレーヨン繊維12〜25重量%および帯電防止繊維1〜3重量%を含むことが好ましい。また、前記レーヨン繊維が難燃レーヨン繊維であることが好ましい。また、前記帯電防止繊維が、炭素繊維、金属繊維、金属メッキを施した有機繊維、導電性粒子を内包する有機繊維からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記メタアラミド繊維が有機染料を含むことが好ましい。また、前記メタアラミド繊維において、結晶化度が15〜50%の範囲内であることが好ましい。また、前記メタアラミド繊維が、キャリア染色可能であることが好ましい。また、前記メタアラミド繊維において、残存溶媒量が0.1質量%以下であることが好ましい。また、前記アクリル繊維が、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で85%以上含む直鎖上合成高分子からなる繊維であることが好ましい。また、前記アクリル繊維において、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で85%以上であり、かつ、ハロゲン化モノマー単位が質量比で15%未満であることが好ましい。また、ポリエステル繊維またはポリアミド繊維がさらに紡績糸に含まれることが好ましい。その際、前記セルロース繊維がレーヨンであることが好ましい。また、紡績糸を構成する、少なくともいずれかの繊維が難燃剤を含むことが好ましい。
また、本発明によれば、前記の紡績糸を含む布帛が提供される。かかる布帛において、布帛の目付けが120〜300g/mの範囲内であることが好ましい。また、10回洗濯サイクル後の収縮率が5%以下であることが好ましい。また、ASTM F−1959−99による耐アーク試験において、カテゴリー2のアーク等級を維持することが好ましい。
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる衣料が提供される。
本発明によれば、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくく、かつ吸放湿性に優れた紡績糸、および該紡績糸を用いた布帛および衣料が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明において、アクリル繊維は、日本工業規格(JIS)および国際規格(ISO)で規定されるように、アクリロニトリルを原料にした合成繊維であり、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で85%以上含む直鎖上合成高分子からなる繊維であることが好ましい。アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で85%未満の場合、高い染色堅牢度、黄変抑制、経時審美性保持などが得られないおそれがある。その際、アクリル繊維において、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で85%以上であり、かつ、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化モノマー単位ハロゲン化モノマー単位が質量比で15%未満(より好ましくは1%以上15%未満)であってもよい。
前記アクリル繊維は、好ましくは以下の工程で製造される。ポリアクリロニトリル(好ましくは、自由ラジカル重合によって得られた平均分子量100,000のポリマーであるポリアクリロニトリル)を、N, N‐ジメチルホルムアルデヒド又は含水チオシアン酸ナトリウム等の溶媒に溶解する。さらに、該溶液を複数の孔を有するスピナレット(紡糸口金)を通過させることで、結果として得られるフィラメントは該溶媒の水溶液中で凝固する。ここで結果として得られるフィラメントを、洗浄、引き延ばし、乾燥、捲縮(クリンプ)の工程を経て、最終的にアクリル繊維が得られる。アクリル繊維の単繊維繊度としては1〜15dtexの範囲内であることが好ましい。
前記アクリル繊維は、その使用用途、使用目的に応じて難燃性能を補うために任意に難燃剤を含んでいてよく、難燃剤を繊維に内包させたり外周に付与してもよい。また、製糸から紡績、製織、縫製の各段階前後のどの段階でも難燃処理を施すことも可能であり、これらの内包・付与せしめる処理方法は周知の任意の方法を採用することができる。難燃剤としては、燐系難燃剤、ブロム系難燃剤など周知のものを任意に採用可能である。
本発明の紡績糸において、前記アクリル繊維を紡績糸重量対比10〜30重量%(好ましくは15〜25重量%)含んでいる。アクリル繊維の含有量が該範囲よりも小さい場合は、染色堅牢性や染色性が低下するおそれがあり好ましくない。逆にアクリル繊維の含有量が該範囲よりも大きい場合、相対的に他の繊維の含有量が低下し好ましくない。
本発明において、「アラミド」とは、アミド結合(−CONH−)の少なくとも85%が2個の芳香族環に直接結合しているポリアミドのことである。このアラミドには各種添加剤を使用してもよい。また、最大で10重量%の量の他の高分子材料をアラミドと混合することができること、またはアラミドを構成するジアミン成分の10%を他のジアミン成分で置き換えるかもしくはアラミドを構成するジ酸クロリド成分の10%を他のジ酸クロリド成分で置き換えたコポリマーを使用することができること等である。メタアラミドはアミド結合が互いにメタ位にあるアラミドであり、パラアラミドはアミド結合が互いにパラ位にあるアラミドである。具体的に、メタアラミドとしては、例えばポリメタフェニレンイソフタルアミドなどが例示される。一方、パラアラミドとしては、例えばポリパラフェニレンテレフタルアミド、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドなどが例示される。もちろんこれらに限定されるものではない。
本発明の紡績糸は、前記メタアラミドからなるメタアラミド繊維を紡績糸重量対比50〜80重量%(好ましくは60〜70重量%)含んでいる。メタアラミド繊維が該範囲で紡績糸に含まれることにより、フラッシュ火災などに暴露された際のエネルギー/熱の伝達を阻止でき、火炎、熱、アークなどからの防護性能が向上する。メタアラミド繊維の含有量が該範囲よりも小さい場合、フラッシュ火災などに暴露された際のエネルギー/熱の伝達を阻止できず、火炎、熱、アークなどからの防護性能が低下し好ましくない。逆に、メタアラミド繊維の含有量が該範囲よりも大きい場合、相対的に他の繊維の含有量が低下し好ましくない。
ここで、アーク防護をさらに向上させるためには、前記メタアラミド繊維において、結晶化度が15〜50%(より好ましくは20〜25%)の範囲内であることが好ましい。該結晶化度が該範囲よりも小さい場合、熱による収縮特性が大きくなりアークに曝された際にそのエネルギーで布帛に穴が形成され易くなるおそれがある。逆に、結晶化度が50%よりも大きいと、繊維の形成が困難になるおそれがある。なお、結晶化度の測定方法は、後記する。
また、前記メタアラミド繊維が、キャリア染色可能であると染色性に優れ好ましい。なお、前記メタアラミド繊維をキャリア染色可能とするには、特開2010−84237号公報に記載された方法によりメタアラミド繊維を製造するとよい。すなわち、以下の製造方法である。
〔メタ型全芳香族ポリアミドの原料〕
(メタ型芳香族ジアミン成分)
メタ型全芳香族ポリアミドの原料となるメタ型芳香族ジアミン成分としては、メタフェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン等、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルキル基等の置換基を有する誘導体、例えば、2,4−トルイレンジアミン、2,6−トルイレンジアミン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、2,6−ジアミノクロロベンゼン等を例示することができる。なかでも、メタフェニレンジアミンのみ、または、メタフェニレンジアミンを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合ジアミンであることが好ましい。
(メタ型芳香族ジカルボン酸成分)
メタ型全芳香族ポリアミドの原料となるメタ型芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドを挙げることができる。メタ型芳香族ジカルボン酸ハライドとしては、イソフタル酸クロライド、イソフタル酸ブロマイド等のイソフタル酸ハライド、および、これらの芳香環にハロゲン、炭素数1〜3のアルコキシ基等の置換基を有する誘導体、例えば3−クロロイソフタル酸クロライド等を例示することができる。なかでも、イソフタル酸クロライドそのもの、または、イソフタル酸クロライドを85モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上含有する混合カルボン酸ハライドであることが好ましい。
〔メタ型全芳香族ポリアミドの製造方法〕
メタ型全芳香族ポリアミドの製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、メタ型芳香族ジアミン成分とメタ型芳香族ジカルボン酸クロライド成分とを原料とした溶液重合や界面重合等により製造することができる。
<メタ型全芳香族ポリアミド繊維の製造方法>
本発明の易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、上記の製造方法によって得られたメタ型全芳香族ポリアミドを用いて、例えば、以下に説明する紡糸液調製工程、紡糸・凝固工程、可塑延伸浴延伸工程、洗浄工程、弛緩処理工程、熱処理工程を経て製造される。
[紡糸液調製工程]
紡糸液調製工程においては、メタ型全芳香族ポリアミドをアミド系溶媒に溶解して、紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を調整する。紡糸液の調整にあたっては、通常、アミド系溶媒を用い、使用されるアミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)等を例示することができる。これらのなかでは溶解性と取り扱い安全性の観点から、NMPまたはDMAcを用いることが好ましい。
溶液濃度としては、次工程である紡糸・凝固工程での凝固速度および重合体の溶解性の観点から、適当な濃度を適宜選択すればよく、例えば、ポリマーがポリメタフェニレンイソフタルアミドで溶媒がNMPの場合には、通常は10〜30質量%の範囲とすることが好ましい。
[紡糸・凝固工程]
紡糸・凝固工程においては、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を凝固液中に紡出して凝固させる。紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。また、安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態、孔形状等は特に制限する必要はなく、例えば、孔数が500〜30000個、紡糸孔径が0.05〜0.2mmのスフ用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。また、紡糸口金から紡出する際の紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)の温度は、10〜90℃の範囲が適当である。
繊維を得るために用いる凝固浴としては、無機塩を含まないNMP濃度45〜60質量%の水溶液を、浴液の温度10〜35℃の範囲で用いる。NMP濃度45質量%未満ではスキンが厚い構造となってしまい、洗浄工程における洗浄効率が低下し、原繊維の残存溶媒量を0.1質量%以下とすることが困難となる。またNMP濃度60質量%を超える場合には、繊維内部に至るまで均一な凝固を行うことができず、このため、原繊維の残存溶媒量を0.1質量%以下とすることが困難となり、また、耐酸性も不十分となる。なお、凝固浴中への繊維の浸漬時間は、0.1〜30秒の範囲が適当である。
[可塑延伸浴延伸工程]
可塑延伸浴延伸工程においては、凝固浴にて凝固して得られた繊維が可塑状態にあるうちに、可塑延伸浴中にて繊維を延伸処理する。可塑延伸浴液としては特に限定されるものではなく、従来公知の浴液を採用することができる。
繊維を得るためには、可塑延伸浴中の延伸倍率を、3.5〜5.0倍の範囲とする必要があり、さらに好ましくは3.7〜4.5倍の範囲とする。本発明においては、可塑延伸浴中にて特定倍率の範囲で可塑延伸することにより、凝固糸中からの脱溶剤を促進することができ、原繊維の残存溶媒量0.1質量%以下とすることができる。可塑延伸浴中での延伸倍率が3.5倍未満である場合には、凝固糸中からの脱溶剤が不十分となり、原繊維の残存溶媒量を0.1質量%以下とすることが困難となる。また、破断強度が不十分となり、紡績工程などの加工工程における取り扱いが困難となる。一方で、延伸倍率が5.0倍を超える場合には、単糸切れが発生するため、生産安定性が悪くなる。可塑延伸浴の温度は、10〜90℃の範囲が好ましい。好ましくは温度20〜90℃の範囲にあると、工程調子がよい。
[洗浄工程]
洗浄工程においては、可塑延伸浴にて延伸された繊維を、十分に洗浄する。洗浄は、得られる繊維の品質面に影響を及ぼすことから、多段で行うことが好ましい。特に、洗浄工程における洗浄浴の温度および洗浄浴液中のアミド系溶媒の濃度は、繊維からのアミド系溶媒の抽出状態および洗浄浴からの水の繊維中への浸入状態に影響を与える。このため、これらを最適な状態とする目的においても、洗浄工程を多段とし、温度条件およびアミド系溶媒の濃度条件を制御することが好ましい。
温度条件およびアミド系溶媒の濃度条件については、最終的に得られる繊維の品質を満足できるものであれば特に限定されるものではないが、最初の洗浄浴を60℃以上の高温とすると、水の繊維中への浸入が一気に起こるため、繊維中に巨大なボイドが生成し、品質の劣化を招く。このため、最初の洗浄浴は、30℃以下の低温とすることが好ましい。
[乾熱処理工程]
乾熱処理工程においては、洗浄工程を経た繊維を、乾燥・熱処理する。乾熱処理の方法としては特に限定されるものではないが、例えば、熱ローラー、熱板等を用いる方法を挙げることができる。乾熱処理を経ることにより、最終的に易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維を得ることができる。易染色性メタ型全芳香族ポリアミド繊維を得るためには、乾熱処理工程における熱処理温度を、260〜330℃の範囲とする必要があり、270〜310℃の範囲とすることがさらに好ましい。熱処理温度が260℃未満の場合には、繊維の結晶化が不十分となり、目的とする耐酸性が不十分なものとなる。一方で、330℃を越える場合には、繊維の結晶化が大きくなりすぎるため、染色性が大きく低下してしまう。また、乾熱処理温度を260〜330℃の範囲とすることは、得られる繊維の破断強度の向上に寄与する。
また、前記メタアラミド繊維において、残存溶媒量が0.1質量%以下であると、環境に配慮したものとなり好ましく、また、経時的に黄変しにくく好ましい。なお、残存溶媒量を0.1質量%以下とするには前記の製造方法で製造するとよい。
また、本発明の紡績糸は、レーヨン繊維を紡績糸重量対比10〜30重量%(好ましくは12〜25重量%)含んでいる。紡績糸にレーヨン繊維が含まれることにより吸放湿性が付加される。レーヨン繊維の含有量が該範囲よりも小さい場合、十分な吸放湿性が付加されないおそれがあり好ましくない。逆に、レーヨン繊維の含有量が該範囲よりも大きい場合、相対的に他の繊維の含有量が低下するおそれがあり好ましくない。
かかるレーヨン繊維としては、火炎、熱、アークなどからの防護性能の点で難燃レーヨン繊維が好ましい。かかる難燃レーヨン繊維において、難燃剤を繊維に内包させたり外周に付与してもよい。また、製糸から紡績、製織、縫製の各段階前後のどの段階でも難燃処理を施すことも可能であり、これらの内包・付与せしめる処理方法は周知の任意の方法を採用することができる。難燃剤としては、燐系難燃剤、ブロム系難燃剤など周知のものを任意に採用可能である。市販のものでは、レンチング社製「LenzingFR(登録商標)」などが例示される。
本発明の紡績糸は、前記パラアラミドからなるパラアラミド繊維を紡績糸重量対比0〜10重量%(より好ましくは2〜10重量%)含んでいることが好ましい。パラアラミド繊維が該範囲で紡績糸に含まれることにより、布帛の火炎暴露後の耐破れ性が向上する。パラアラミド繊維の含有量が該範囲よりも大きい場合、パラアラミド繊維の弾性率が高いため、紡績糸を用いた布帛や衣服の着用快適性が損なわれるだけでなく、相対的に他の繊維の含有量が低下するおそれがある。
また、本発明の紡績糸は、帯電防止繊維を紡績糸重量対比0〜3重量%(より好ましくは1〜3重量%)含んでいることが好ましい。帯電防止繊維を使用することにより、帯電性が低減された糸、布帛、および衣服が得られ、その結果、見かけの電界強度および煩わしい静電気が低減される。帯電防止繊維の含有量が該範囲よりも大きい場合、帯電防止繊維の弾性率が高いため、紡績糸を用いた布帛や衣服の着用快適性が損なわれるおそれがある。前記帯電防止繊維は特に限定するものではないが、カーボン芯/ナイロン鞘繊維や、金属などをメッキした繊維などを好適に例示することができる。
本発明の紡績糸において、発色性の改善、耐摩耗性の改善、吸放湿性、快適性を調整する目的で、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維など他の繊維をさらに追加してもよい。その際、前記アクリル繊維やレーヨン繊維と同様、その使用用途、使用目的に応じて難燃性能を補うために任意に難燃剤を含んでいてよく、難燃剤を繊維に内包させたり外周に付与してもよい。なお、かかる他の繊維の含有量は紡績糸の重量対比30重量%以下であることが好ましい。
本発明の紡績糸の製造方法は特に限定するものではなく、公知の方法でよい。例えば、リング精紡、コア精紡およびエアジェット精紡、空気を用いてステープル繊維を撚糸する村田エアジェット精紡のような高次エア精紡技術等、公知の精紡技術により製造してよい。
かくして得られた紡績糸は、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくい。さらには、吸放湿性に優れる。
次に、本発明の布帛は前記の紡績糸を含む布帛である。ここで、前記紡績糸は単独糸として布帛に含まれていてもよいし、前記紡績糸に必要に応じてさらに撚りを施した後、2本以上引き揃えて(必要に応じて他の繊維も同時に引き揃えて)合糸して複合糸とした後、必要に応じて前記の撚り方向とは逆方向に撚りをかけて布帛に含ませてもよい。また、前記紡績糸(または複合糸)と他の繊維とを交織、交編してもよい。
布帛の組織としては、平織や綾織などの織物が好ましいが、編物や不織布でもよい。布帛の製造方法は特に限定されず、レピア織機やグリッパー織機など公知の織編機を用いることができる。
また、布帛の目付けとしては120〜300g/mの範囲内であることが好ましい。目付けが該範囲よりも小さい場合は、火炎、熱、アークなどからの防護性能が低下するおそれがある。逆に、目付けが該範囲よりも大きい場合は、重量が重くなり着用快適性が損なわれるおそれがある。
また、かかる布帛は、有機染料で糸染めまたは布帛染め、いわゆる後染めを行った布帛であってもよい。さまざまな色に対応でき幅広いユーザーニーズに対応できる、より鮮やかな色にも対応できる、色直しができる、小さいロットの対応がきるなどの点から後染めが好ましい。
また、かかる布帛は、前記の紡績糸を用いているので、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくい。さらには、吸放湿性に優れるので着用快適性も向上する。具体的には、本発明を用いることで耐光、摩擦、汗、洗濯の各種堅牢度が向上する。これは、特に過酷な環境で用いられる防護服などでは、耐用年数を長くすることがきるなど、実用上、安全上そして産業上非常に大きな意義を持つ。
その際、ASTM F−1959−99による耐アーク試験において、カテゴリー2のアーク等級を維持することが好ましい。
また、前記布帛において、10回洗濯サイクル後の収縮率が5%以下であることが好ましい。なお、10回洗濯サイクル後の収縮率を5%以下とするには、例えば、セルロース繊維の混率を30%以下に抑えるとよい。
次に、本発明の衣料は前記の布帛を用いてなる衣料である。かかる衣料は前記の布帛を用いているので、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくい。
なお、かかる衣料には、消防服、防火服、執務服、モータースポーツ用レーシングスーツ、作業服、手袋、帽子、ベストなどが含まれる。また、前記作業服には、製鉄所や鉄鋼工場の作業用作業服、溶接作業用作業服、防爆エリアにおける作業服などが含まれる。また、前記手袋には、精密部品を取り扱う航空機産業、情報機器産業、精密機器産業などで使用される作業手袋などが含まれる。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)メタアラミド繊維の残存溶媒量
原繊維を約8.0g採取し、105℃で120分間乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M1)を秤量した。続いて、この繊維について、メタノール中で1.5時間、ソックスレー抽出器を用いて還流抽出を行い、繊維中に含まれるアミド系溶媒の抽出を行った。抽出を終えた繊維を取り出して、150℃で60分間真空乾燥させた後にデシケーター内で放冷し、繊維質量(M2)を秤量した。繊維中に残存する溶媒量(アミド系溶媒質量)を、得られるM1およびM2を用いて、下記式により算出した。
残存溶媒量(%)=[(M1−M2)/M1]×100
(2)メタアラミド繊維の結晶化度
染色前繊維(原繊維)を約1mm径のバンドルに束ねて、X線回折測定装置(商品名:RIGAKU RINT TTRIII)により、下記の条件で測定して得られたプロファイルから換算した。
(測定条件)
X線原 :Cu−Kα線
繊維試料台 :50rpm回転
2θ走査 :5−50°
連続測定 :0.1°
幅計測 :1°/分走査
具体的には、実測回折プロファイルから空気散乱、非干渉性散乱を直線近似で補正して、全散乱強度プロファイルを得た。得られた全散乱強度に非晶質であるメタ型全芳香族ポリアミド繊維の未乾燥糸プロファイルを目測フィットし、差分を結晶散乱強度とした。結晶化度は、結晶散乱強度および全散乱強度の面積(積分値)を用いて、以下の式から求めた。
結晶化度(%)=[結晶散乱強度/全散乱強度]×100
(3)布帛の染色方法
カチオン染料(日本化薬社製、商品名:Kayacryl ED Brill G−ED/ Kayacryl ED Flavine 10G−E)5%owf、オスピンTAN(カチオン緩染剤;東海精油(株)製)2%owfpH4、浴比1:50、100°C×30分上記条件で20°Cから100°Cまで1°C/minで昇温し、100°Cで30分維持した後、2°C/minの割合で60°Cまで温度を下げ、染色を終了し、乾燥した。
(4)布帛の染色性(測色)
染色性(C*値)は、マクベス分光光度計Color−Eye3100にて測色した。
(5)洗濯堅牢度
JIS L0844(A法)に規定されている測定法に準じて評価した。判定には、JIS−L0804変退色用グレースケールを用いた。
(6)摩擦堅牢度
JIS L0849に規定されている測定法に準じて評価した。判定には、JIS−L0804変退色用グレースケールを用いた。
(7)耐光堅牢度
JIS L0842に規定されている測定法に準じて評価した。判定には、JIS−L0804変退色用グレースケールを用いた。
(8)布帛の難燃性(限界酸素指数)
JIS L1096 E法に基づき、50mm以上燃え続けるのに必要な酸素濃度を限界酸素指数(LOI)とした。
(9)耐アーク性試験
ASTM F−1959−99「布帛についての材料のアーク熱性能値を求めるための標準試験法」に従って、耐アーク性試験器として日立化成工業(株)製HAT−100を用いて、本発明の布帛の耐アーク性を評価した。
(10)布帛の目付け
JIS L 1096に従い測定した。
(11)吸水性
2010年度版JIS L1907 7.1.1(滴下法)により評価した。実験回数5回の平均値を以ってその測定値とした。
(12)引張強度
2010年度版 JIS L1906 8.12.1により測定した。
[アクリル繊維の原綿の製造]
アクリロニトリル系モノマーの重合は、水を重合媒体として用い、重合反応温度60℃に設定し、水/モノマー比を3.2とし、重合反応釜内での水素イオン濃度をpH2.8の酸性領域として、触媒がすみやかに酸化・還元反応を起こす範囲とした。重合反応釜から取り出した重合体に、重合停止剤を添加し反応を停止させた。重合体の水溶液に重合停止剤を添加した後、未反応モノマーの回収を行った。未反応モノマーの回収方法としては、重合体水溶液を図示せぬ直接蒸留塔に導き、そこでポリマー/水と水/未反応モノマーとに分離させ未反応モノマーを回収する方法を採用した。
こうして得られたアクリロニトリル系重合体を溶剤に溶解させて紡糸原液を調製した。このときの溶媒としては、ジメチルスルホキシドを使った。前記アクリロニトリル系重合体20重量%と前記有機溶媒80重量%とからなる溶液に調製した。
こうして得られた紡糸原液を凝固浴槽に配設された紡糸口金を通して凝固液中に押出し、多数の繊維群から構成される繊維トウ状に凝固させた。凝固液を出たアクリル繊維トウは、所定の速度で洗浄工程の洗浄槽に導入され、熱水によって繊維表面に付着したり残存する溶剤を除去して洗浄した。
脱溶剤が終了したアクリル繊維トウは、続いて延伸工程の延伸槽に導入されて、同じく熱水中を通されて4.6倍の延伸がなされた。この延伸は上記洗浄槽と延伸槽をアクリル繊維トウが通過する間になされた。延伸後のアクリル繊維トウは、再び補助洗浄槽を介して最終洗浄がなされ、油剤を付与されたのち、乾燥工程で乾燥され、次の熱緩和処理などの仕上工程に送られた。このトウから押し込み捲縮、カットの工程を経てアクリル繊維の原綿を得た。
なお、前記アクリル繊維は、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で99%以上の直鎖上合成高分子からなる繊維であった。
[メタアラミド繊維の原綿の製造]
特公昭47−10863号公報記載の方法に準じた界面重合法により製造した、固有粘度(I.V.)が1.9のポリメタフェニレンイソフタルアミド粉末20.0質量部を、−10℃に冷却したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)80.0質量部中に懸濁させ、スラリー状にした。引き続き、懸濁液を60℃まで昇温して溶解させ、透明なポリマー溶液を得た。該ポリマー溶液に、ポリマー対比3.0質量%の2−[2H−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール粉末(水への溶解度:0.01mg/L)を混合溶解させ、減圧脱法して紡糸液(紡糸ドープ)とした。
上記紡糸ドープを、孔径0.07mm、孔数500の紡糸口金から、浴温度30℃の凝固浴中に吐出して紡糸した。凝固液の組成は、水/NMP=45/55(質量部)であり、凝固浴中に糸速7m/分で吐出して紡糸した。
引き続き、温度40℃の水/NMP=45/55の組成の可塑延伸浴中にて、3.7倍の延伸倍率で延伸を行った。
延伸後、20℃の水/NMP=70/30の浴(浸漬長1.8m)、続いて20℃の水浴(浸漬長3.6m)で洗浄し、さらに60℃の温水浴(浸漬長5.4m)に通して十分に洗浄を行った。
洗浄後の繊維について、表面温度280℃の熱ローラーにて乾熱処理を施し、メタ型全芳香族アラミド繊維を得た。
得られたメタアラミド繊維の物性は、繊度1.7dtex、残存溶媒量0.08質量%、結晶化度は19%であった。また、キャリア染色可能であった。
[その他の繊維の製造]
下記の繊維の原綿をそれぞれ用いた。
ポリエステル繊維;帝人(株)製ポリエチレンテレフタレート繊維「テトロン(登録商標)」
難燃レーヨン繊維;レンチング社製「LenzingFR(登録商標)」
パラアラミド繊維;テイジンアラミド社製「トワロン(登録商標)」
帯電防止繊維:ソルシア社製導電性カーボン微粒子を練込みナイロン「NO SHOCK(登録商標)」
[実施例1]
メタアラミド繊維(MA)の原綿(長さ51mm、アクリル繊維(AN)の原綿(長さ51mm)、パラアラミド(PA)の原綿(長さ51mm)、難燃レーヨン繊維(RY)の原綿(長さ51mm)および帯電防止繊維(長さ51mm)(AS)を、MA/AN/PA/RY/AS=65/15/3/15/2の比率で混紡した紡績糸36番手/双糸とし、織密度 経100本/25.4mm、緯56本/25.4mmで製織し、目付230g/mのツイル織物からなる布帛を得た。これを用いて、上記の方法で染色した。そして上記の耐アーク性能、難燃性、染色堅牢度の評価をそれぞれ行った。結果を表1に示す。
[実施例2〜6、比較例1、2、4、5]
実施例1において、紡績糸を、メタアラミド繊維(MA)の原綿(長さ51mm、アクリル繊維(AN)の原綿(長さ51mm)、パラアラミド(PA)の原綿(長さ51mm)、難燃レーヨン繊維(RY)の原綿(長さ51mm)および帯電防止繊維(長さ51mm)(AS)を表1に示す混紡率として紡績糸に変更し、それ以外は、実施例1と同様の操作および評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、アクリル繊維をモダクリル繊維(MO)カネカ製カネカロンに変更し、それ以外は、実施例1と同様の操作および評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、アクリル繊維を紡糸液の段階で日華化学製の難燃剤ニッカファイノンHF−2200をポリマー重量に対して3重量%添加したもの(FRAN)に変更し、それ以外は、実施例1と同様の操作および評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例5において、メタアラミド繊維(MA)、難燃剤を添加したアクリル繊維(FRAN)、パラアラミド繊維(PA)において、構成繊維の一種、二種または三種を減じて、その重量分だけ、ポリエステル繊維および/または難燃レーヨン繊維を添加し、それ以外は、実施例1と同様の操作および評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例1において、メタアラミド繊維(MA)、アクリル繊維(AN)、パラアラミド繊維(PA)において、構成繊維の一種、二種または三種を減じて、その重量分だけ、ポリエステル繊維(PE)を添加し、それ以外は、実施例1と同様の操作および評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例6〜7]
実施例1において、難燃レーヨン繊維を添加せず、これをメタアラミド繊維(MA)、またはメタアラミド繊維(MA)およびアクリル繊維(AN)に替えた以外は、実施例1と同様の操作および評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2014210985
本発明によれば、火炎、熱、アークなどからの防護性能を有し、染色堅牢度が高く、かつ経時的に黄変しにくく、かつ吸放湿性に優れた紡績糸、および該紡績糸を用いた布帛および衣料が提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (17)

  1. メタアラミド繊維50〜80重量%およびアクリル繊維10〜30重量%およびパラアラミド繊維0〜10重量%およびレーヨン繊維10〜30重量%および帯電防止繊維0〜3重量%を含むことを特徴とする紡績糸。
  2. メタアラミド繊維60〜70重量%およびアクリル繊維15〜25重量%およびパラアラミド繊維2〜10重量%およびレーヨン繊維12〜25重量%および帯電防止繊維1〜3重量%を含む、請求項1に記載の紡績糸。
  3. 前記レーヨン繊維が難燃レーヨン繊維である、請求項1または請求項2に記載の紡績糸。
  4. 前記帯電防止繊維が、炭素繊維、金属繊維、金属メッキを施した有機繊維、導電性粒子を内包する有機繊維からなる群より選択されるいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の紡績糸。
  5. 前記メタアラミド繊維が有機染料を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の紡績糸。
  6. 前記メタアラミド繊維において、結晶化度が15〜50%の範囲内である、請求項1〜5のいずれかに記載の紡績糸。
  7. 前記メタアラミド繊維がキャリア染色可能である、請求項1〜6のいずれかに記載の紡績糸。
  8. 前記メタアラミド繊維において、残存溶媒量が0.1質量%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の紡績糸。
  9. 前記アクリル繊維が、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で85%以上である含む直鎖上合成高分子からなる繊維である、請求項1〜8のいずれかに記載の紡績糸。
  10. 前記アクリル繊維において、アクリロニトリル基の繰返し単位が質量比で85%以上であり、かつ、ハロゲン化モノマー単位が質量比で15%未満である、請求項1〜9のいずれかに記載の紡績糸。
  11. ポリエステル繊維またはポリアミド繊維がさらに紡績糸に含まれる、請求項1〜10のいずれかに記載の紡績糸。
  12. 紡績糸を構成する、少なくともいずれかの繊維が難燃剤を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の紡績糸。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の紡績糸を含む布帛。
  14. 布帛の目付けが120〜300g/mの範囲内である、請求項13に記載の布帛。
  15. 10回洗濯サイクル後の収縮率が5%以下である、請求項13または請求項14に記載の布帛。
  16. ASTM F−1959−99による耐アーク試験において、カテゴリー2のアーク等級を維持する、請求項13〜15のいずれかに記載の布帛。
  17. 請求項13〜16のいずれかに記載された布帛を用いてなる衣料。
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