JP2014207939A - 避難装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性に優れるとともに、装置全体をコンパクトにすることのできる避難装置の提供を目的とする。【解決手段】上階のベランダ1から下階のベランダ2へと垂直降下する搭乗プレート3を備えた避難装置であって、前記上階のベランダ1には、不使用時の搭乗プレート3を収容する避難開口4が中央寄りの位置に開設されるとともに、前記搭乗プレート3には、該搭乗プレート3と略コ字形状をなす手摺体5の一対の対向辺部5aとに一対の支持脚6の両端部を垂直回転可能に連結して手摺装置7が折り畳み可能に連結され、使用状態において搭乗プレート3上の所定高さに位置する手摺体5の内側に開放端から搭乗した避難者Aの避難開口4周縁との衝接を手摺体5により防止するとともに、手摺体5の下方における避難者Aの対向辺部5a側への移動を支持脚6により規制して構成する。【選択図】図8

Description

本発明は避難装置に関するものである。
垂直降下式のエレベータ近似の避難装置としては、従来、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例において、家屋には、2階の窓に対応する位置から地面近傍まで降下する板状の搭乗台が外壁近傍に併設されており、家屋の火災時において避難者は、この搭乗台に乗ることによって2階から地面まで避難できる。
しかしながら、上記従来例においては、搭乗台が単なる板状に形成されるに過ぎないことから、避難者が転落してしまうおそれがあり、安全性に劣るという問題がある。
一方、このような問題を解決しうる手摺を設けたものとして、特許文献2に記載されたものがある。この第2の従来例は、建物外壁から張り出すベランダの一部を分離することにより脱出用ベランダを形成したもので、手摺壁を備えて断面L字形状に形成された脱出用ベランダが建物外壁に沿って降下する。
しかしながら、上記脱出用ベランダは建物外壁との対向方向にのみ手摺壁を設けたに過ぎず、手摺壁の長手方向両端側において外部に開放していることから、未だに安全性に問題が残る。また、これを防ぐために手摺壁の長手方向両端側にも手摺壁を設けてしまうと、この手摺壁が通常のベランダ使用時に非常に邪魔になってしまう。
特開平9-271522号公報 特開2001-190701号公報
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたものであって、安全性に優れるとともに、通常時に邪魔にならないように装置をコンパクトにすることのできる避難装置の提供を目的とする。
本発明によれば、上記目的は、
上階のベランダ1から下階のベランダ2へと垂直降下する搭乗プレート3を備えた避難装置であって、
前記上階のベランダ1には、不使用時の搭乗プレート3を収容する避難開口4が開設されるとともに、
前記搭乗プレート3には、該搭乗プレート3と略コ字形状をなす手摺体5の一対の対向辺部5a、5aとに一対の支持脚6、6の両端部6a、6aを垂直回転可能に連結して手摺装置7が折り畳み可能に連結され、使用状態において搭乗プレート3上の所定高さに位置する手摺体5の内側に開放端から搭乗した避難者Aの避難開口4周縁との衝接を手摺体5により防止するとともに、手摺体5の下方における避難者Aの対向辺部5a側への移動を支持脚6により規制する避難装置を提供することにより達成される。
本発明によれば、搭乗プレート3には手摺装置7が折り畳み可能に連結されており、これにより安全性および収納性が高められる。この手摺装置7は、略コ字形状をなす手摺体5の一対の対向辺部5a、5aに一対の支持脚6、6の一端部6aを垂直回転可能に連結して形成され、該支持脚6の他端部6aが搭乗プレート3に垂直回転可能に連結されることにより、支持脚6を垂直回転させることによって手摺体5を搭乗プレート3上の所定高さに位置させて使用できるようにし、あるいは手摺体5と支持脚6を搭乗プレート3の表面に沿わせるようにしてコンパクトに収納することが可能になる。
また、上階のベランダ1には、搭乗プレート3を不使用時に収容する避難開口4が開設されており、この避難開口4に収容した搭乗プレート3の表面に手摺装置7を沿わせるようにして折り畳むことにより、通常のベランダ利用時に避難装置があまり邪魔になることはない。
上述した略コ字形状の手摺体5は、支持脚6を例えば搭乗プレート3の表面に直交させるなど、交差する姿勢にすることにより搭乗プレート3上の所定高さに位置することが可能であり、この状態で手摺体5の開放端から内側に避難者Aが搭乗することにより、避難者Aは前方、および両側方が手摺体5に囲まれ、さらに避難者Aの背中が対向辺部5aの終端よりも内側に位置することが保証される。搭乗プレート3の降下に際しては、手摺体5を把持させることにより、避難者Aを安定した状態にすることができる。
さらに、避難開口4内から搭乗プレート3が下降した際には避難者Aは避難開口4内を通過することになるが、この通過の際には、搭乗プレート3上に位置する略コ字形状の手摺体5の内側に避難者Aが居るため、避難者Aの避難開口4周縁との衝接が防止される。
加えて、手摺体5の使用状態において、一対の支持脚6、6が手摺体5の下方における避難者Aの対向辺部5a側への移動を規制することにより、避難者Aは手摺体5の高さ位置のみならず、その下方においても避難開口4と衝接する位置への移動を規制される。さらに、このように足下側においても移動を拘束されることにより、降下中の避難者Aに強い安心感を与えることができる。
以上の支持脚6による避難者Aの対向辺部5a側への移動規制は、支持脚6を幅広に形成して避難者Aの対向辺部5a側を塞ぐようにすることによっても可能であるが、支持脚6を対向辺部5aの下方において傾斜姿勢とすれば、その幅寸法を仮に狭くしても避難者Aが対向辺部5a側に飛び出すのを規制することができる。この場合、支持脚6の一端部6aAを手摺体5の対向辺部5aの自由端部に連結すれば、傾斜する支持脚6によって手摺体5の下方における避難者Aの体側側への移動領域を十分に塞ぐことができる。
また、上述した搭乗プレート3は、上下階のベランダ1、2間にガイド支柱9を架設し、このガイド支柱9によって垂直方向への降下経路をガイドすれば、降下時の横揺れを良好に規制することができる。この場合、搭乗プレート3の一側縁部にガイド支柱9にガイドされる被ガイド部8を形成すれば、避難者Aの搭乗領域を広く確保することが可能になる。さらに、このように搭乗プレート3の一側縁部に被ガイド部8を形成した場合において、一対の支持脚6、6の他端部6aB、6aBとの連結部10、10間に被ガイド部8を配置すれば、手摺装置7の配置効率を高めることができる。
さらに、以上の避難装置について、上階のベランダ1に設置され、折り畳み状態の手摺装置7ととともに搭乗プレート3を収容する枠状のケース11を有して構成すれば、収納性と施工作業性を向上させることができる。例えば、上述したガイド支柱9の上端部をケース11に固定しておけば、上階のベランダ1の避難開口4内にケース11を固定するとともに、下階のベランダ2にガイド支柱9の下端部を固定するだけで、設置作業をほぼ完了させることができる。
さらに、上述のケース11に折り畳み状態の手摺装置7ととともに搭乗プレート3を上方から覆う蓋体12を連結すれば、不使用時に手摺装置7や搭乗プレート3が蓋体12により隠されることから、上階のベランダ1の外観を良好にすることができる。
加えて、このように蓋体12を設けた場合において、この蓋体12の開放動作に伴って手摺体5をケース11上面を越える位置まで搭乗プレート3の上方に飛び出させる付勢手段13をも設けたときには、蓋体12を開放操作した後に手摺体5を搭乗プレート3上に引き起こす操作を直感的に知らせることができ、スムーズな避難行動が可能になる。蓋体12の開放操作に伴う付勢手段13による手摺体5の飛び出しは、手摺体5と搭乗プレート3の少なくともいずれか一方に付勢手段13を設けるに際し、例えば蓋体12の開放動作に伴って付勢手段13を手摺体5等を付勢可能な位置に移動させるなどしたり、あるいは蓋体12の重量を付勢手段13の付勢力に抗して手摺体5をケース11内に位置させることができる程度にすれば足りる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、安全性に優れるとともに、装置全体をコンパクトにすることのできる避難装置を提供することができる。
本発明に係る避難装置の設置状態を示す図で、(a)は俯瞰図、(b)は仰瞰図である。 避難装置を示す要部縦断面図である。 ガイド支柱による搭乗体のガイド状態を説明する図で、(a)は要部縦断面図、(b)は要部横断面図である。 ストッパや減速装置の構造を説明するための斜視図である。 ストッパの動作を示すための要部断面図で、(a)は作動状態を示す図、(b)はストッパ解除状態を示す図である。 避難装置の使い方を説明するための図で、(a)は不使用状態を示す要部縦断面図、(b)は上蓋のロックを解除した状態を示す要部縦断面図である。 避難装置の使い方を説明するための図で、手摺装置の展開動作を示す要部縦断面図である。 避難装置の使い方を説明するための図で、使用状態を示す要部縦断面図である。 避難装置の使い方を説明するための図で、使用状態を示す平面図である。 手摺装置の折畳構造を説明するための図で、(a)は手摺体の支持脚との連結構造、および支持脚の伸縮構造を示す要部縦断面図、(b)は支持脚の搭乗台との連結構造を示す要部縦断面図である。
図1および図2に示すように、避難装置は、非常時に上階のベランダ1から下階のベランダ2へと避難するために使用されるもので、上階のベランダ1における壁面1aから少し離れた位置の床スラブ1bに開設された開口部1cに嵌合固定されるケース11と、下階のベランダ2の床スラブ2b上に立設されるガイド支柱9とを有する。なお、図1において21はベランダ手摺、22は窓である。
上記ケース11は、床スラブ1bと同じ程度の高さの筒状に形成されて内部に避難開口4を備えたもので、避難開口4の上下開放部が上蓋(蓋体12)と下蓋23により開放可能に閉塞される。上記上蓋12は、ケース11に対して枢軸24周りに垂直回転自在に連結され、一方、下蓋23は、ケース11内に収容される後述する搭乗プレート3に一体的に設けられる。なお、図2において25は、上蓋12をやや開いて隙間からケース11内に手を入れることによりロック解除操作可能で、ロック状態において上述のように手を入れることのできる隙間よりも大きく上蓋12が開くのを規制するチャイルドロックである。また、図7等に示す12aは取手である。
一方、上記ガイド支柱9は、適宜の座屈強度を有する中空パイプ体であり、例えばアルミニウムを押し出し成形して形成される。このガイド支柱9の下端部は、図示省略したアンカー部材により固定ブラケット26を介して下階の床スラブ2bに固定される。また、ガイド支柱9の上端部は、固定金具として機能する後述の天井板27を介してケース11、具体的にはその内壁面に固定される。
また、上記ケース11内には、避難者Aを上階から下階へと運ぶために、上述した搭乗プレート3が収容される。この搭乗プレート3は、枠状基部3aの上面に平板状のステージプレート3bを固定して形成され、枠状基部3aの底面には、上述した下蓋23が枠状基部3aよりも外側に周縁部を張り出すようにして固定される。
さらに、図3に示すように、搭乗プレート3の前端部(以下、本明細書において、ガイド支柱9が設けられる側を前方とする。)には、上述したガイド支柱9を側方からほぼ全周に渡って囲む筒形状の部分を備えたブラケット28が固定される。このブラケット28には、上述したガイド支柱9によるガイドを受ける被ガイド部8として、上下に配置されてガイド支柱9の後面に接触するメイン・サブローラ8a、8b、ガイド支柱9の前面に接触するバックローラ8c、およびガイド支柱9の前面に長手方向に沿って形成される凹部9aの側壁に接触するバランスローラ8dが各々支軸29周りに空転自在に装着されており、搭乗プレート3は、これらのローラ8a、8b、8c、8dを転動させてながらガイド支柱9に沿って昇降する。
なお、図3において8eは、ガイド支柱9の側面との摺接面を備えて長尺のブロック状に形成され、ブラケット28に固定されて上述したメインローラ8a等と同様に被ガイド部8として機能するスリップ部材である。また、搭乗プレート3の上下のストローク終端を決定するために、図2ないし図4に示すように、ガイド支柱9の上端部には、ブラケット28に固定されたショックアブソーバ30の先端に衝接する上述の天井板27が取り付けられ、また、固定ブラケット26の上面には、搭乗プレート3の底面に衝接するクッション材31が固定される。搭乗プレート3は、上方ストローク終端位置をとるときにケース11内に収容され、この状態で上述した下蓋23が避難開口4の下方開放部を閉塞する。
また、避難者Aが乗り込む際に搭乗プレート3が上方ストローク終端位置から妄りに下降してしまうのを規制するために、避難装置にはストッパ32が設けられる。このストッパ32は、図4および図5に示すように、搭乗プレート3側に配置され、先端にフック部33aを備えて回転軸33b周りに回転自在なストッパ部材33と、ガイド支柱9側に配置されて上記フック部33aが係脱される被係止部34とを有する。
上記ストッパ部材33は、一対のフック部33a、33a間にペダル部33cを架設して平面視略コ字状をなし、ガイド支柱9の両側方に一対のフック部33a、33aを跨がらせるようにして配置することにより、ペダル部33cをガイド支柱9の後面近傍において垂直方向に揺動可能にする。このストッパ部材33は、捩りバネ35によってペダル部33cを上方、すなわち図5において反時計回りに付勢される。一方、上記被係止部34は、ガイド支柱9の両側面に取り付けられるU字ボルトからなり、搭乗プレート3が上方ストローク終端位置をとるときに上述のフック部33aが係止する位置に設けられる。
したがってストッパ部材33は、捩りバネ35によりフック部33aが被係止部34に係止する方向に付勢され、図5(a)に示すように、搭乗プレート3が上方ストローク終端位置、すなわちケース11内に収容された状態で被係止部34に係止し、搭乗プレート3を上方ストローク終端位置に保持する。この状態から図5(b)に示すように、図外の避難者Aによってペダル部33cが踏み込まれると、ストッパ部材33は時計回り、すなわち被係止部34との係止解除方向に回転し、支持を失った搭乗プレート3は自重および避難者Aの荷重により降下する。
また、ペダル部33cへの操作力を解除すると、ストッパ部材33には捩りバネ35により反時計回りの回転力、すなわち原位置への復帰力が作用する。この状態で搭乗プレート3が上部ストローク終端位置に向かって上昇すると、フック部33aに形成された傾斜面33dが被係止部34に衝接してストッパ部材33に反時計回りの分力が働き、これによりフック部33aが被係止部34をかわして搭乗プレート3がさらに上昇する。この後、上方ストローク終端位置にまで至ると、フック部33aが被係止部34を越えることから、捩りバネ35の作用により被係止部34に弾発係止し、ストッパ32が作動状態に自動的に復帰する。
さらに、上述のようにストッパ32が解除されたときの搭乗プレート3の降下速度を低減させるために、避難装置には緩降装置36が設けられる。緩降装置36は、図3および図4に示すように、ガイド支柱9に固定されるラック37と、搭乗プレート3に回動可能に設けられて上記ラック37に噛合するピニオン38と、このピニオン38の回転軸38aに連結される減速装置39とを有する。
上記ラック37は、ステンレス等の高強度の板材に透孔状の噛合開口37aを所定ピッチで開設して形成され、ガイド支柱9のほぼ全長に渡る程度の長さを有する。また、上記ピニオン38はラック37と同様の材料により形成され、その歯数は、複数の歯が同時にラック37に噛合できる程度に調整される。このピニオンの回転軸38aは、上述したメインローラ8aの支軸29を兼ねて構成される。
一方、上記減速装置39は、遠心ブレーキ式のものであり、ピニオン38の回転速度が所定以上になったときに動作してその回転速度を制限する。この減速装置39は、ピニオン38の回転軸38aとの間にワンウェイクラッチ40を介して連結されており、搭乗プレート3の下降動作に応じたピニオン38の回転方向にのみ回転力がピニオン38からワンウェイクラッチ40を介して減速装置39に伝達される。なお、図4において41は、上記ワンウェイクラッチ40が組み込まれ、搭乗プレート3下降時のピニオン38の回転力のみを減速装置39に伝達させる歯車である。また、減速装置39としては、上述したような遠心ブレーキ式以外に、例えば機械的摩擦式のものや流体抵抗式のものを用いることも可能である。
したがって上述のようにストッパ32の解除により搭乗プレート3が下降する際には、ラック37との噛合によってピニオン38が強制的に回転され、かつ、このピニオン38の回転速度が減速装置39によって制限されることにより、搭乗プレート3の降下速度が低減される。また、減速装置39として上述のように遠心ブレーキ式のものを利用すれば、機械摩擦式のもの等に比べて避難者Aの体重が軽いときにも迅速な避難が可能になる。
また、以上とは逆に搭乗プレート3を上昇させるために、避難装置には重錘42とワイヤ43が設けられる。上記重錘42は、図2および図3(b)に示すように、ガイド支柱9よりも格段短い柱状に形成されてガイド支柱9の内部に上下動可能に収容される。この重錘42は搭乗プレート3の2倍を越える程度の重量を備える。
一方、上記ワイヤ43は、図2および図3(a)に示すように、一端部がガイド支柱9の上端部に取り付けられる吊り金具44に、他端部が搭乗プレート3のブラケット28に取り付けられる吊り金具45に固定される。このワイヤ43は、中間部において上述した重錘42の上面に取り付けられる動滑車46と、ガイド支柱9の上端部に取り付けられる定滑車47とに掛け回されており、搭乗プレート3が上方ストローク終端位置をとるときに重錘42をガイド支柱9の下端近傍に、また、下方ストローク終端位置とるときにはガイド支柱9の中央よりもやや上方に吊り下げる。
したがって上述のように避難者Aを乗せて下降した搭乗プレート3が下部ストローク終端位置まで到着し、この後、避難者Aが搭乗プレート3から降りると、搭乗プレート3は重錘42によってワイヤ43を介して引き上げられ、上方ストローク終端位置まで復帰することができる。上述のように緩降装置36にはワンウェイクラッチ40が組み込まれていることから、搭乗プレート3は減速装置39によって邪魔されることなく迅速に上昇する。
また、ガイド支柱9の内壁には、図3(b)に示すように、重錘42の外周面に狭い隙間を隔てて近接し、重錘42が振り子状に揺れたり、水平回転したりするのを規制するガイド部48が形成される。このため、搭乗プレート3と同時に上下移動する重錘42の不要な横揺れ等も防止できるために、搭乗プレート3の昇降動作がスムーズになる上に、ワイヤ43がねじれて損耗してしまうこともない。なお、この実施の形態においてワイヤ43には、炭素繊維を利用した軽量で耐久性の高いものが利用される。
加えて、収納性をあまり損ねることなく避難時の安全性を高めるために、搭乗プレート3には折り畳み可能な手摺装置7が設けられる。なお、折り畳み状態の手摺装置7や、上述したストッパ32、緩降装置36を搭載した搭乗プレート3の全高寸法は、上述したケース11の高さ寸法に比して低背となるように設定される。
上記手摺装置7は、図6ないし図10に示すように、搭乗プレート3に折り畳み可能に連結される支持脚6と、この支持脚6に折り畳み可能に連結される手摺体5とを有する。上記手摺体5は、図9に示すように、直杆状の前手摺部5b(正面辺部)の両端部から同じく直杆状の横手摺部(対向辺部5a)を直交方向に延設して略コ字状に形成され、例えば、略コ字形状に曲げ加工した断面真円の金属パイプの表面を合成樹脂材でコーティングして製せられる。上記前手摺部5bは搭乗プレート3の横幅よりもひとまわり大きい程度の長さを有し、上記横手摺部5aは、成人男性の一般的な体の厚さ寸法よりもやや大きい程度の長さ寸法に形成される。
一方、上記支持脚6は、図10(a)等に示すように、直杆状のパイプ体49の大小一対をテレスコープ状に連結して伸縮自在に形成される。この支持脚6は、上述した手摺体5と同様に上記パイプ体49として断面真円の金属パイプに合成樹脂材をコーティング等したものを用いるなどして形成され、上述した各横手摺部5aの自由端部と連結するために、横手摺部5aと同様に一対で構成される。
上述のようにパイプ体49の大小一対により伸縮自在にするために、小径側のパイプ体49Aの下端部には、図10(a)に示すように、板バネ50により外周側に向かって付勢されるストッパ片51が内部に収容されるとともに、このストッパ片51の先端部が挿入されるストッパ孔52が開設され、また、大径側のパイプ体49Bの上端部には、支持脚6の伸長状態において上記ストッパ孔52に合致する位置に配置されて上記ストッパ片51の先端部が嵌入されるストッパ孔53が開設される。さらに、小径側のパイプ体49Aの上端部の外側には、先端に屈曲部54aを備えて支持脚6の伸縮ストロークに応じた長さに形成される略棒状のガイド体54の基端部が固定され、一方、大径側のパイプ体49Bの上端部には、上記ガイド体54がスライド移動自在に挿入されるとともに、支持脚6の伸長状態において上記屈曲部に係止するガイド挿入口55aを備えたガイド受け55が形成される。
以上の支持脚6は、図6等に示すように、手摺体5との連結反対端部(他端部6aB)において搭乗プレート3に連結されており、折り畳み時の高さを低く抑えるために、搭乗プレート3の前端部の側面に対して垂直回転軸56により垂直回転自在に連結される。なお、図6等において10は、枠状基部3aの側面側に固定されて上記垂直回転軸56を搭乗プレート3側において軸支する連結片(連結部)である。また、57は、一対の支持脚6、6を長手方向の中間部において連結し、支持脚6の剛性を高める補強部材である。
また、支持脚6を図8に示す展開姿勢に拘束するために、搭乗プレート3の枠状基部3aの側面には、図10(b)に示すように、板状に形成されて展開姿勢をとる支持脚6の基端部外壁に当接する当接片10aと、この当接片10aの反対側から支持脚6の基端部6aB外壁を当接片10aとともに挟持し、支持脚6を展開姿勢に拘束する挟持部材58とが設けられる。挟持部材58は、ブロック状に形成されて中間部において軸部材59により枠状基部3aに垂直回転自在に連結され、当接片10a寄りの一端部の材端には支持脚6を当接片10aに押し付ける押圧部58aが形成される。
この挟持部材58は、図10(b)における時計回り、すなわち押圧部58aを支持脚6に圧接させる方向に捩りバネ60により付勢される。また、挟持部材58の押圧部58a側の一端部には、折畳姿勢から展開姿勢へと回転移動する支持脚6の移動途上において、支持脚6の外壁に押されることにより捩りバネ60に抗して挟持部材58を軸部材周りに反時計回りに回転させ、支持脚6の移動軌跡から一時的に退避させる傾斜面58bが形成される。挟持部材58は、支持脚6が展開姿勢へと完全に移行すると、捩りバネ60により原位置に復帰し、支持脚6を当接片57とともに挟持する。
また、上述した手摺体5と支持脚6とは、図6等に示すように、連結ブラケット61を介して連結される。上記連結ブラケット61は、図10(a)に示すように、横手摺部5aの自由端部に回転不能に固定されるとともに、支持脚6の先端部(一端部6aA)に対しては垂直回転軸62を介して垂直回転自在に連結され、支持脚6を横手摺部5aにほぼ平行にする折畳姿勢とほぼ直交させる展開姿勢とに姿勢変更可能にする。
この連結ブラケット61には、板状に形成されて展開姿勢をとる支持脚6の先端部6aA外壁に当接する当接片66が固定されるとともに、支持脚6が展開姿勢をとるときに該支持脚6の先端部6aAに係止可能な係止部63aを備えた係止片63が軸部材64により垂直回転自在に軸支される。上記係止片63は、図10(a)における時計回り、すなわち係止部63aを支持脚6に係止させる方向に捩りバネ65により付勢されており、上記当接片66の反対方から支持脚6を挟みつけるようにして支持脚6に係止する。また、上記係止部63aには、上述した挟持部材58とほぼ同様に、折畳姿勢から展開姿勢へと回転移動する支持脚6の移動途上において、支持脚6の外壁に押されることにより捩りバネ65に抗して係止片63を軸部材周りに反時計回りに回転させ、支持脚6の移動軌跡から一時的に退避させる傾斜面67が形成される。
なお、以上において述べた支持脚6の伸縮構造、および手摺体5や搭乗プレート3との連結構造は、上述した態様以外にも、例えば、外部から楔を打ち込むことにより伸長状態や展開姿勢に拘束するなどの種々の代替態様で構成することが可能である。
したがってこの実施の形態において、上蓋12を開けた後、横手摺部5aの中間部を握るなどして手摺体5を上方側に引き上げると、図7に示すように、支持脚6が搭乗プレート3と手摺体5の双方に対して折畳姿勢から展開姿勢へと姿勢変更するとともに、縮退状態から伸長状態へと移行し、手摺装置7を折畳状態から使用状態にすることができる。支持脚6の伸長状態への移行に際しては、ガイド体54がガイド挿入口55a内を滑ることにより大小のパイプ体49A、49Bの相対回転が規制され、これにより伸長状態において相互のストッパ孔52、53が合致する回転姿勢に維持される。展開姿勢への姿勢変更や伸長状態への移行が完了すると、支持脚6は挟持部材58と係止片63により展開姿勢に、またストッパ片51により伸長状態に拘束される。
このとき、略コ字状の手摺体5は、図9に示すように、後方に開放端を向け、搭乗プレート3上のガイド支柱9よりもやや後方側において、上方空間を前手摺部5bと横手摺部5a、5aにより三方から包囲した避難者Aの搭乗領域を形成する。また、ステージプレート3bには、図9に示すように、上記搭乗領域内の中央部に足形の印68が形成されており、開放端から手摺体5の内側へと進入した避難者Aが足の裏の位置を足形に合わせて直立姿勢をとることにより、搭乗領域内に避難者Aの身体が自然とガイドされる。なお、図9において69は、ペダル部33cの踏み込み操作を案内するための案内表示である。
また、図8に示すように、この状態で手摺体5、すなわち前手摺部5bや横手摺部5aの搭乗プレート3上面からの高さは、直立姿勢をとる成人男性の一般的な腰の高さ程度に位置しており、搭乗領域内の避難者Aは自然な姿勢で手摺体5を掴むことができる。さらに、搭乗領域の下方空間は、展開姿勢において傾斜している支持脚6、6によって両側方が塞がれていることから、膝の近傍等が体側側にずれるなどして搭乗領域から外れてしまうことはない。
次いで、避難者Aがペダル部33cを踏み込み、ストッパ32を解除すると、避難者Aは避難開口4を通過することになるが、上記搭乗領域内に位置することにより、上述したように避難開口4が上階のベランダ1の壁面1aから少し離れた位置、すなわちベランダ1の端縁に接しない中間領域に開設されていても、避難者Aが避難開口4の周縁に衝接することはない。また、降下の初動時に避難者Aが受ける反動に際しては、避難者Aが手摺装置7に掴まっていることであまり恐怖を感じることはない。さらに、降下に伴って避難者Aはガイド支柱9に正対し、このガイド支柱9によって前方が塞がれることから、上述のように支持脚6によって体側側の下部領域を塞がれていることと相まって、足下側に強い安心感、安定感を感じることができ、足が竦むような事態が防止される。
この後、搭乗プレート3が下階のベランダ2への安全な避難が可能な高さまで降下すると、固定ブラケット26のクッション材31に接触して降下動作が停止する。避難者Aが搭乗プレート3から降りると、重錘42の作用によって搭乗プレート3は上昇し、ショックアブソーバ30がガイド支柱9の天井板27に接触して上方ストローク終端位置に達すると、ストッパ32が作動する。したがって上階に取り残された他の避難者Aがいるときには、この状態で搭乗プレート3に乗り込み、ストッパ32を解除することにより、先に避難した避難者Aに続いて避難することができる。
さらにまた、以上の避難装置には、図6に示すように、使用に際して避難者Aによる手摺装置7の折畳状態から使用状態への状態移行操作を補助、示唆するための操作補助部が設けられる。この操作補助部は、この実施の形態においては、ケース11の上面から飛び出す程度に手摺装置7を折畳状態から使用状態側へと付勢するスプリング(付勢手段13)を搭乗プレート3に組み付けることにより構成される。このスプリング13の付勢力は、上蓋12の重量によって手摺装置7に作用する折畳状態側への押し付け力よりも小さくされる。
したがって避難者Aが上蓋12を開けると、手摺装置7が自動的に折畳状態から使用状態に向かってやや駆動され、手摺装置7に対する折畳状態から使用状態への展開操作を補助することができる上に、この展開操作の方法が直感的に避難者Aに理解されることから、その後のスムーズな手摺装置7の展開操作を促すことができる。
1 上階のベランダ
2 下界のベランダ
3 搭乗プレート
4 避難開口
5 手摺体
5a 対向辺部
6 支持脚
6a 両端部
6aA 一端部
6aB 他端部
7 手摺装置
8 被ガイド部
9 ガイド支柱
10 連結部
11 ケース
12 蓋体
13 付勢手段
A 避難者


Claims (5)

  1. 上階のベランダから下階のベランダへと垂直降下する搭乗プレートを備えた避難装置であって、
    前記上階のベランダには、不使用時の搭乗プレートを収容する避難開口が開設されるとともに、
    前記搭乗プレートには、該搭乗プレートと略コ字形状をなす手摺体の一対の対向辺部とに一対の支持脚の両端部を垂直回転可能に連結して手摺装置が折り畳み可能に連結され、使用状態において搭乗プレート上の所定高さに位置する手摺体の内側に開放端から搭乗した避難者の避難開口周縁との衝接を手摺体により防止するとともに、手摺体の下方における避難者の対向辺部側への移動を支持脚により規制する避難装置。
  2. 前記支持脚は、一端部が対向辺部の自由端部に連結され、使用状態において他端部側に行くに従って対向辺部から漸次離隔する傾斜姿勢をとる請求項1記載の避難装置。
  3. 前記上下階のベランダ間に架設され、搭乗プレートに形成された被ガイド部をガイドして降下時の横揺れを規制するガイド支柱を有するとともに、
    前記搭乗プレートには、被ガイド部が一側縁部における一対の支持脚の他端部との連結部間に形成される請求項2記載の避難装置。
  4. 前記上階のベランダに設置され、折り畳み状態の手摺装置ととともに搭乗プレートを収容する枠状のケースを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の避難装置。
  5. 前記ケースには折り畳み状態の手摺装置ととともに搭乗プレートを上方から覆う蓋体が連結されるとともに、
    前記手摺体と搭乗プレートの少なくともいずれか一方には、蓋体の開放動作に伴って手摺体をケース上面を越える位置まで搭乗プレートの上方に飛び出させる付勢手段が形成される1ないし4のいずれかに記載の避難装置。


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