JP2014207881A - だし感増強用醤油 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便かつ低コストで風味を損なわずにだしを使用した料理のだし感を増強できる醤油を提供すること。【解決手段】醤油に4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールが所定量となるように含有させることにより、料理のだし感を増強できる醤油を得る。【選択図】なし
Description
本発明は、鰹節のだし感を増強する醤油に関する。
鰹節などの節類等を煮出すことにより得られるだしは、うどんやそば用のつゆ類、吸い物、すまし汁、煮物などのベースとして、和食には欠かせないものであり、独特の風味をこれらの料理に付与する。
日本料理店等では、古くから料理人によって、芳醇なだし感(だしの香りや風味)を有するだしを得るべく、鰹節をはじめとする節類の産地や製法、削り方の検討および節類の使用量の調整、だし抽出時の煮出し時間や火加減の調整などの様々な工夫等が行われている。
また、日本料理においては、つゆ類、すまし汁、煮物等だしを使用した料理の味付けに醤油が用いられることが多いが、それ自体がだしを含まずに、だし感を増強する効果を持つ醤油に関する報告はない。
一方、鰹節特有の香りは少数の成分のみから再現されるものではなく、多種多様な成分の微妙なバランスで形成されていると考えられており(例えば、非特許文献1参照)、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールを除く多数の成分が主要寄与成分として同定されている(例えば、非特許文献2参照)。
4−エチルグアイアコールは、鰹節中に微量含まれていることが知られている(例えば、非特許文献3参照)が、鰹節の香気を構成する上での重要な成分とはみなされていない(例えば、非特許文献2参照)。一方、4−エチルグアイアコールを複数の成分と組み合わせることにより自然な魚介類フレーバーを得る技術(例えば、特許文献1参照)や、魚節エキスに4−エチルグアイアコールを複数の成分と組み合わせて配合することにより魚節フレーバーを得る技術(例えば、特許文献2参照)が報告されている。また、4−エチルグアイアコールとメチオノールの含有量を調整することにより芳醇な香気の醤油を得る技術も報告されている(例えば、特許文献3参照)が、だし感の増強に関する記載はなく、示唆もされていない。市販の濃口醤油の4−エチルグアイアコールの含有量は0〜2.0ppm程度との報告(例えば、非特許文献4参照)や、0.2〜1.6ppm程度との報告がある(例えば、非特許文献5参照)。
また、4−エチルフェノールは、鰹節中に極微量含まれていることが知られている(例えば、非特許文献3参照)が、鰹節の香気を構成する上での重要な成分とはみなされておらず(例えば、非特許文献2参照)、これを用いた技術も存在しない。市販の濃口醤油の4−エチルフェノールの含有量は0.1〜0.3ppm程度との報告がある(例えば、非特許文献5参照)。
ここで、上記した日本料理店等で行われている作業は非常に手間がかかる上、個人の技量に依るところが大きいため、得られるだしの風味の再現性が乏しいという問題がある。また、節類の使用量を増やすことにより、簡便にだし感が高いだしを得ることも行われているが、コストが上がってしまうことに加え、節類由来のえぐみ、生臭みが強いだしが得られ、その結果、だしを使用した料理の風味のバランスが損なわれてしまうという問題がある。
また、一般家庭においては、だしを得る際に、上述のような詳細な検討を行うことは手間や費用の面からさらに困難である。
以上のことから、簡便かつ低コストで風味を損なわずにだしを使用した料理のだし感を高めること、また、つゆ等において、だし感が強い調味料を得ることが強く望まれている。
SAKAKIBARA et al.,Agricultural and Biological Chemistry,1988年,第52巻,第11号,p.2731-2739
石黒ら,日本食品科学工学会誌,2001年,第48巻,第8号,p.570-577
SAKAKIBARA et al.,Agricultural and Biological Chemistry,1990年,第54巻,第1号,p.9-16
横塚ら,日本農芸化学会誌,1967年,第41巻,第9号,p.442-447
末澤,香川県発酵食品試験場研究報告,1997年,第89号,p.19-24
本発明が解決しようとする課題は、簡便かつ低コストで風味を損なわずにだしを使用した料理のだし感を増強できる醤油を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールが所定量となるように含有することを特徴とする醤油が、簡便かつ低コストで風味を損なわずに、だしを使用した料理のだし感を増強すること、さらに、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールを所定量以上含有することを特徴とする醤油含有調味料が、従来のものよりも、強いだし感を持つことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
1)4−エチルグアイアコールの含有量が5.0〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.3〜1.8ppmであることを特徴とする醤油、
2)4−エチルグアイアコールの含有量が0.25ppm以上であり、4−エチルフェノールの含有量が0.015ppm以上であることを特徴とする醤油含有調味料、
を提供するものである。
1)4−エチルグアイアコールの含有量が5.0〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.3〜1.8ppmであることを特徴とする醤油、
2)4−エチルグアイアコールの含有量が0.25ppm以上であり、4−エチルフェノールの含有量が0.015ppm以上であることを特徴とする醤油含有調味料、
を提供するものである。
本発明の鰹節のだし感を増強する醤油を、だしを使用した料理の味付けの際に用いる、あるいは加工食品の原料として用いることにより、煩雑なだし取りの手間をかけることなく、簡便かつ低コストで風味を損なわずにだし感が豊かな飲食物を得ることができる。また、本発明により、従来の醤油含有調味料よりも強いだし感を持つ醤油含有調味料を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の醤油は、醤油に4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの両方、あるいはどちらか一方を添加することにより得られる。または、醤油醸造工程において、Candida属等の熟成酵母を適切な時期に適量添加し、厳密な発酵管理を行うことにより、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールが増加した醤油を得ることができる。
本発明の醤油は、醤油に4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの両方、あるいはどちらか一方を添加することにより得られる。または、醤油醸造工程において、Candida属等の熟成酵母を適切な時期に適量添加し、厳密な発酵管理を行うことにより、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールが増加した醤油を得ることができる。
本発明を製造する際のベースとなる醤油は、特に限定されるものではない。生醤油、火入れ醤油のいずれを使用してもよく、また、日本農林規格におけるいずれの分類の醤油、つまり、濃口醤油、たまり醤油、再仕込み醤油、淡口醤油、白醤油のいずれを用いてもよいが、濃口醤油が最も適している。
本発明における「4−エチルグアイアコール」は、4−エチルグアヤコール、p−エチルグアイアコール、p−エチルグアヤコール、2−メトキシ−4−エチルフェノール、4−エチル2−メトキシフェノール、グアイアシルエタン、ホモクレオゾール、1−ヒドロキシ−2−メトキシ−4−エチルベンゼン、フェノール,2−メトキシ−4−エチル、4−ヒドロキシ−3−メトキシエチルベンゼン、FEMA 2436とも呼ばれる。本発明で用いる4−エチルグアイアコールは、飲食品に用いられるものであれば特に限定は無く、合成品、抽出品、発酵品やその処理品のいずれを用いてもよい。また、醤油醸造工程の発酵条件を管理することにより、醤油に4−エチルグアイアコールを添加することなく増加させることも可能である。
本発明における「4−エチルフェノール」は、p−エチルフェノール、4−ヒドロキシエチルベンゼン、1−エチル−4−ヒドロキシベンゼン、1−ヒドロキシ−4−エチルベンゼン、FEMA 3156、エチルフェノール,p−、(p−ヒドロキシフェニル)エタン、p−ヒドロキシエチルベンゼン、(4−ヒドロキシフェニル)エタンとも呼ばれる。本発明で用いる4−エチルフェノールは、飲食品に用いられるものであれば特に限定は無く、合成品、抽出品、発酵品やその処理品のいずれを用いてもよい。また、醤油醸造工程の発酵条件を管理することにより、醤油に4−エチルフェノールを添加することなく増加させることも可能である。
本発明の醤油における、4−エチルグアイアコールの含有量は5.0〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量は0.3〜1.8ppmであることが好ましく、4−エチルグアイアコールの含有量が7.5〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.9〜1.8ppmの範囲であることが特に好ましい。また、本発明の醤油含有調味料における4−エチルグアイアコールの含有量は0.25ppm以上であり、4−エチルフェノールの含有量は0.015ppm以上であることが、醤油含有調味料のだし感を増強できるので好ましい。
本発明における、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量は、高速液体クロマトグラフィーを用い、以下に示す条件で測定した。
<4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量の測定条件>
カラム:L−column ODS(i.d 4.6×250mm)
移動相:10mM リン酸緩衝液(pH2.5)/メタノール=50/50(v/v)
流量:1mL/min
検出器:蛍光検出器(Ex280nm、Em320nm)
試料:20μLを注入
<4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量の測定条件>
カラム:L−column ODS(i.d 4.6×250mm)
移動相:10mM リン酸緩衝液(pH2.5)/メタノール=50/50(v/v)
流量:1mL/min
検出器:蛍光検出器(Ex280nm、Em320nm)
試料:20μLを注入
本発明の醤油または醤油含有調味料は、各種飲食物に特に制限なく使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
<すまし汁における本発明品(醤油)のだし感増強効果の確認>
沸騰した湯98重量部に鰹削り節2重量部を投入し、2分間煮出したのち、鰹削り節を濾して除去することにより、清澄な鰹だしを得た。なお、この鰹だし中の4−エチルグアイアコールおよび、4−エチルフェノールの含有量は検出限界以下であった。
沸騰した湯98重量部に鰹削り節2重量部を投入し、2分間煮出したのち、鰹削り節を濾して除去することにより、清澄な鰹だしを得た。なお、この鰹だし中の4−エチルグアイアコールおよび、4−エチルフェノールの含有量は検出限界以下であった。
4−エチルグアイアコールの含有量が0.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.06ppmである一般的な濃口醤油(キッコーマン社製)5重量部に、上記記載の清澄な鰹だし95重量部を混合し、70℃のすまし汁コントロールサンプルを作製した。
次に、上記記載の一般的な濃口醤油に4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの両方、あるいはどちらか一方を添加することにより、4−エチルグアイアコールの含有量が0.5〜15.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.06〜 2.1ppmであるサンプル醤油を調製した(4−エチルグアイアコールの含有量が0.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.06ppmのものは除く)。このサンプル醤油5重量部に、上記記載の清澄な鰹だし95重量部を混合し、70℃のすまし汁評価サンプルを作製した。
コントロールサンプルと評価サンプルとを比較し、評価サンプルのだし感の強さ(鰹だしの香りと風味の強さ)を5段階で評価した。具体的には、各評価サンプルのだし感がコントロールサンプルに比べ、非常に強いと感じられたものは「5点」、強いと感じられたものは「4点」、やや強いと感じられたものは「3点」、わずかに強いと感じられたものは「2点」、差が無いまたは弱いと感じられたものは「1点」と評点した。評価は習熟した3名のパネリストで行い、各評価サンプルの評点の平均値が4以上であれば「◎」、2以上4未満であれば「○」、2未満であれば「×」とした。その評価結果を表1に示す。
表1の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が5.0〜15.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.3〜2.1ppmである濃口醤油を用いることにより、すまし汁のだし感が増強されることが確認された。さらに、4−エチルグアイアコールの含有量が7.5〜15.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.9〜2.1ppmの場合においては、だし感がより顕著に増強されることが確認された。
また、表1の結果より、4−エチルグアイアコールまたは4−エチルフェノールのいずれかのみが増加した際には、だし感の増強が認められなかったことから、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールを特定の濃度範囲で組み合わせることにより初めてだし感が増強されることが確認された。
同様に、評価サンプルの香りと風味の総合的な嗜好性を5段階で評価した。具体的には、各評価サンプルのだし感がコントロールサンプルに比べ、非常に好ましいと感じられたものは「5点」、好ましいと感じられたものは「4点」、やや好ましいと感じられたものは「3点」、わずかに好ましいと感じられたものは「2点」、差が無いまたは好ましくないと感じられたものは「1点」と評点した。評価は習熟した3名のパネリストで行い、各評価サンプルの評点の平均値が4以上であれば「◎」、2以上4未満であれば「○」、2未満であれば「×」とした。その評価結果を表2に示す。
表2の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が5.0〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.3〜1.8ppmである濃口醤油を用いることにより、嗜好性が高いすまし汁が得られることが確認された。さらに、4−エチルグアイアコールの含有量が7.5〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.9〜1.8ppmの場合においては、より顕著に嗜好性の向上が確認された。なお、4−エチルグアイアコールの含有量が15.0ppm、あるいは、4−エチルフェノールの含有量が2.1ppmの場合においては、すまし汁の風味バランスが崩れ、嗜好性の向上が認められなかった。
表1、表2の結果を総合すると、本発明品における、4−エチルグアイアコールの含有量は5.0〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量は0.3〜 1.8ppmであことが好ましく、4−エチルグアイアコールの含有量が7.5〜 12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.9〜1.8ppmの範囲であることが特に好ましいことが確認された。また、だし感が増強し、嗜好性が向上したすまし汁(醤油含有調味料)の4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量は、それぞれ0.25〜0.625ppm、0.015〜0.09ppmであった。
ここで、すまし汁、うどんつゆ、そばつゆ、煮つゆとして用いられることが多い市販の醤油含有調味料について、4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量を測定した結果を表3に示す。
表3の結果より、市販の醤油含有調味料には、4−エチルフェノールがほとんど含有されていないことが確認された。
<淡口醤油を使用したすまし汁における本発明(醤油)のだし感増強効果の確認>
実施例1記載の清澄な鰹だしおよび、4−エチルグアイアコールの含有量および4−エチルフェノールの含有量が高速液体クロマトグラフィー分析において検出限界以下である一般的な淡口醤油(キッコーマン社製)を用いて、すまし汁におけるだし感増強効果の確認を行った。
実施例1記載の清澄な鰹だしおよび、4−エチルグアイアコールの含有量および4−エチルフェノールの含有量が高速液体クロマトグラフィー分析において検出限界以下である一般的な淡口醤油(キッコーマン社製)を用いて、すまし汁におけるだし感増強効果の確認を行った。
上記記載の一般的な淡口醤油(キッコーマン社製)5重量部に、実施例1記載の清澄な鰹だし95重量部を混合し、70℃のすまし汁コントロールサンプルを作製した。
一般的な淡口醤油(キッコーマン社製)に4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの両方、あるいはどちらか一方を添加することにより、4−エチルグアイアコールの含有量が0〜15.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0〜2.1ppmであるサンプル醤油を調製した(4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量が0ppmのものは除く)。このサンプル醤油5重量部に、実施例1記載の清澄な鰹だし95重量部を混合し、70℃のすまし汁評価サンプルを作製した。
実施例1と同様の方法により、評価サンプルのだし感の強さを評価した。その評価結果を表4に示す。
表4の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が5.0〜15.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.3〜2.1ppmである淡口醤油を用いることにより、すまし汁のだし感が増強されることが確認された。さらに、4−エチルグアイアコールの含有量が7.5〜15.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.6〜2.1ppmの場合においては、だし感がより顕著に増強されることが確認された。
実施例1と同様の方法により、評価サンプルの嗜好性を評価した。その評価結果を表5に示す。
表5の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が5.0〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.3〜1.8ppmである淡口醤油を用いることにより、嗜好性が高いすまし汁が得られることが確認された。さらに、4−エチルグアイアコールの含有量が7.5〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.9〜1.8ppmの場合においては、より顕著に嗜好性の向上が確認された。
<うどんつゆ(かけつゆ)における本発明品(醤油)のだし感増強効果の確認>
すまし汁においてだし感増強の効果が認められた4−エチルグアイアコール、4−エチルフェノールの濃度範囲の醤油の中から、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmの範囲である醤油を用いて、うどんつゆ(かけつゆ)におけるだし感増強効果の確認を行った。
すまし汁においてだし感増強の効果が認められた4−エチルグアイアコール、4−エチルフェノールの濃度範囲の醤油の中から、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmの範囲である醤油を用いて、うどんつゆ(かけつゆ)におけるだし感増強効果の確認を行った。
実施例1記載の清澄な鰹だし93.5重量部、実施例1記載の方法により調製した4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである濃口醤油5重量部、煮切ったみりん1.5重量部を混合し、約80℃のうどんつゆ評価サンプルを作製した。また、一般的な濃口醤油(キッコーマン社製)を用いて、同様の方法によりコントロールサンプルを作製した。
実施例1と同様の方法により、うどんつゆ評価サンプルのだし感の強さを評価した。その評価結果を表6に示す。
表6の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである醤油を用いることにより、うどんつゆのだし感が増強されることが確認された。
次に、実施例1と同様の方法により、評価サンプルの嗜好性を評価した。その評価結果を表7に示す。
表7の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである醤油を用いることにより、嗜好性が高いうどんつゆが得られることが確認された。また、だし感が増強し、嗜好性が向上したうどんつゆ(醤油含有調味料)中の4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量は、それぞれ0.5ppm、0.06〜0.09ppmであった。
<そばつゆ(つけつゆ)における本発明品(醤油)のだし感増強効果の確認>
実施例1記載の方法により調製した4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである濃口醤油76.5重量部、煮切ったみりん7.5重量部、上白糖16重量部を混合し、80℃になるまで加熱攪拌した後、室温で1週間寝かせて、そばつゆの返しを作製した。
実施例1記載の方法により調製した4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである濃口醤油76.5重量部、煮切ったみりん7.5重量部、上白糖16重量部を混合し、80℃になるまで加熱攪拌した後、室温で1週間寝かせて、そばつゆの返しを作製した。
上記の返し20重量部に、実施例1記載の清澄な鰹だし80重量部を混合することにより、約30℃のそばつゆ評価サンプルを作製した。また、一般的な濃口醤油(キッコーマン社製)を用いて、同様の方法によりコントロールサンプルを作製した。
実施例1と同様の方法により、評価サンプルのだし感の強さを評価した。その評価結果を表8に示す。
表8の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである醤油を用いることにより、そばつゆのだし感が増強されることが確認された。
実施例1と同様の方法により、評価サンプルの嗜好性を評価した。その評価結果を表9に示す。
表9の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである醤油を用いることにより、嗜好性が高いそばつゆが得られることが確認された。また、だし感が増強し、嗜好性が向上したそばつゆ(醤油含有調味料)中の4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量は、それぞれ1.53ppm、0.18〜0.28ppmであった。
<大根の煮物における本発明品(醤油)のだし感増強効果の確認>
実施例1記載の清澄な鰹だし73.3重量部、実施例1記載の方法により調製した4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである濃口醤油20重量部、みりん6.7重量部を混合して作製した煮つゆ200mLに、いちょう切りにした大根100gを加え、90〜95℃で23分間加熱することにより、大根の煮物評価サンプルを作製した。また、一般的な濃口醤油(キッコーマン社製)を用いて、同様の方法によりコントロールサンプルを作製した。
実施例1記載の清澄な鰹だし73.3重量部、実施例1記載の方法により調製した4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである濃口醤油20重量部、みりん6.7重量部を混合して作製した煮つゆ200mLに、いちょう切りにした大根100gを加え、90〜95℃で23分間加熱することにより、大根の煮物評価サンプルを作製した。また、一般的な濃口醤油(キッコーマン社製)を用いて、同様の方法によりコントロールサンプルを作製した。
実施例1と同様の方法により、評価サンプルのだし感の強さを評価した。その評価結果を表10に示す。
表10の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである醤油を用いることにより、大根の煮物のだし感が増強されることが確認された。
実施例1と同様の方法により、評価サンプルの嗜好性を評価した。その評価結果を表11に示す。
表11の結果より、4−エチルグアイアコールの含有量が10.0ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が1.2〜1.8ppmである醤油を用いることにより、嗜好性が高い大根の煮物が得られることが確認された。また、だし感が増強し、嗜好性が向上した大根の煮物の煮汁中の4−エチルグアイアコールおよび4−エチルフェノールの含有量は、それぞれ2.0ppm、0.24〜0.36ppmであった。
Claims (2)
- 4−エチルグアイアコールの含有量が5.0〜12.5ppmであり、4−エチルフェノールの含有量が0.3〜1.8ppmであることを特徴とする醤油。
- 4−エチルグアイアコールの含有量が0.25ppm以上であり、4−エチルフェノールの含有量が0.015ppm以上であることを特徴とする醤油含有調味料。
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