JP2014206262A - 等速自在継手 - Google Patents

等速自在継手 Download PDF

Info

Publication number
JP2014206262A
JP2014206262A JP2013085649A JP2013085649A JP2014206262A JP 2014206262 A JP2014206262 A JP 2014206262A JP 2013085649 A JP2013085649 A JP 2013085649A JP 2013085649 A JP2013085649 A JP 2013085649A JP 2014206262 A JP2014206262 A JP 2014206262A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
joint member
inner joint
constant velocity
annular groove
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013085649A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6284712B2 (ja
Inventor
輝明 藤尾
Teruaki Fujio
輝明 藤尾
正純 小林
Masazumi Kobayashi
正純 小林
賢二 山田
Kenji Yamada
賢二 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2013085649A priority Critical patent/JP6284712B2/ja
Publication of JP2014206262A publication Critical patent/JP2014206262A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6284712B2 publication Critical patent/JP6284712B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】 簡便な構造でもって、シャフトの環状凹溝の係止面と内側継手部材の当接部の係止面との間で止め輪の軸方向ガタを抑制して異音および振動の発生を未然に防止する。【解決手段】 外側継手部材11と、その外側継手部材11との間でボール13を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材12とを備え、その内側継手部材12の軸孔21にシャフト19の先端部を挿入してトルク伝達可能に嵌合させ、シャフト19の環状凹溝20に弾性的に縮径可能に装着された止め輪23を、内側継手部材12の軸孔21の端部に形成された当接部22に当接させることにより、内側継手部材12に対してシャフト19を抜け止めする等速自在継手であって、環状凹溝20のシャフト先端側は、シャフト19の外周面から径方向内側へ延びるように形成され軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面29と、係止面29に隣接して径方向内側に延びるように形成され軸方向と直交する面に対して平行な壁面30とで構成されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車、航空機、船舶や各種産業機械の動力伝達系において使用され、例えば4WD車やFR車などで使用されるドライブシャフトやプロペラシャフト等に組み込まれて駆動側と従動側の二軸間で角度変位を許容する等速自在継手に関する。
例えば、自動車のエンジンから駆動車輪に動力を伝達するドライブシャフトは、エンジンと車輪との相対的位置関係の変化による角度変位と軸方向変位に対応する必要があるため、一般的に、エンジン側(インボード側)に摺動式等速自在継手を、駆動車輪側(アウトボード側)に固定式等速自在継手をそれぞれ装備し、両者の等速自在継手をシャフトで連結した構造を具備する。このドライブシャフトを構成するシャフトの両端に設けられた等速自在継手は、内側継手部材の軸孔にシャフトの先端部を挿入してスプライン嵌合させたトルク伝達可能な構造を具備する。
この種の等速自在継手では、ブーツ交換などの整備工数の簡略化を図るため、内部部品である内側継手部材とシャフトとを分解可能に結合させたシャフト抜け止め構造が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
本出願人が先に提案した特許文献1のシャフト抜け止め構造は、シャフトの先端部に環状凹溝を形成すると共に内側継手部材の軸孔端部に当接部を形成している。この内側継手部材の軸孔にシャフトの先端部を挿入するに際して、シャフトの環状凹溝に弾性的に縮径可能な止め輪を装着し、シャフトの挿入後、縮径状態にある止め輪が内側継手部材の当接部に達した時点で、その止め輪を弾性復元力でもって拡径させることにより内側継手部材の当接部に係止させるようにしている。
このシャフト抜け止め構造では、環状凹溝のシャフト先端側に、軸方向(シャフトの引き抜き方向)と直交する面に対して角度αで傾斜する係止面が形成されている。また、内側継手部材の当接部には、軸方向(シャフトの引き抜き方向)と直交する面に対して角度βで傾斜する係止面が形成されている。この環状凹溝の係止面の傾斜角度αと当接部の係止面の傾斜角度βとの相対角度β−αを規定することにより、内側継手部材とシャフトとが分解可能な分解構造、あるいは内側継手部材とシャフトとが分解不可能な非分解構造を選択可能としている。
つまり、環状凹溝の係止面の傾斜角度αと当接部の係止面の傾斜角度βとの相対角度β−αを大きく設定することにより(β−α>19°)、シャフトの引き抜き力により止め輪が内側継手部材の当接部の係止面に沿って縮径し、その当接部から離脱するような分解構造としている。一方、環状凹溝の係止面の傾斜角度αと当接部の係止面の傾斜角度βとの相対角度β−αを小さく設定することにより(0°≦β−α≦19°)、シャフトの引き抜き力が作用しても止め輪が内側継手部材の当接部の係止面に沿って縮径せず、その当接部から離脱しないような非分解構造としている。
特許第4964417号公報
ところで、特許文献1で開示されたシャフト抜け止め構造では、シャフトの環状凹溝のシャフト先端側に、軸方向(シャフトの引き抜き方向)と直交する面に対して角度αで傾斜する係止面を設けることにより、その環状凹溝の係止面の傾斜角度αと当接部の係止面の傾斜角度βとの相対角度β−αが19°よりも大きいか小さいかでもって、内側継手部材とシャフトとの分解構造あるいは非分解構造を選択可能としている。
このシャフト抜け止め構造では、内側継手部材の軸孔にシャフトの先端部を挿入するに際して、止め輪がシャフトの環状凹溝に嵌まり込んで確実に縮径することができるように環状凹溝の軸方向長さを確保する必要があり、また、係止面がシャフト先端側に向けて拡開するように傾斜している。このことから、シャフトの環状凹溝の係止面と内側継手部材の当接部の係止面との間で止め輪の軸方向ガタ量が大きくなるという問題があった。この内側継手部材とシャフトとの組み付け後に止め輪の軸方向ガタ量が大きいと、車両における異音、振動が発生する原因となる。
そこで、本発明は前述の改善点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、簡便な構造でもって、シャフトの環状凹溝の係止面と内側継手部材の当接部の係止面との間で止め輪の軸方向ガタを抑制して異音および振動の発生を未然に防止し得る等速自在継手を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、外側継手部材と、その外側継手部材との間でトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、その内側継手部材の軸孔にシャフトの先端部を挿入してトルク伝達可能に嵌合させ、シャフトの環状凹溝に弾性的に縮径可能に装着された止め輪を、内側継手部材の軸孔端部に形成された当接部に当接させることにより、内側継手部材に対してシャフトを抜け止めする等速自在継手であって、環状凹溝のシャフト先端側は、シャフトの外周面から径方向内側へ延びるように形成され軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面と、係止面に隣接して径方向内側に延びるように形成され軸方向と直交する面に対して平行な壁面とで構成されていることを特徴とする。
本発明では、環状凹溝のシャフト先端側でシャフトの外周面から径方向内側へ延びるように形成され、軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面に隣接して、軸方向と直交する面に対して平行な壁面を径方向内側へ延びるように形成したことにより、軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面のみが形成された従来の等速自在継手(特許文献1参照)の場合よりも、シャフトの環状凹溝の係止面と内側継手部材の当接部の係止面との間で止め輪の軸方向ガタ量を小さくすることができる。
つまり、内側継手部材の軸孔にシャフトの先端部を挿入するに際して、止め輪が環状凹溝に嵌まり込んで確実に縮径できるように環状凹溝の軸方向長さを確保した上で、その環状凹溝のシャフト先端側に軸方向と直交する面に対して平行な壁面を形成したことにより、環状凹溝の係止面を内側継手部材の当接部の係止面に近づけることができ、その分、止め輪の軸方向ガタ量を小さくすることができる。
本発明において、内側継手部材の当接部に形成され軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面と、シャフトの環状凹溝の係止面との間で止め輪の軸方向ガタ量を0.5mm以下とすることが望ましい。このように、止め輪の軸方向ガタ量を0.5mm以下とすれば、車両における異音、振動の発生を確実に防止することができる。
本発明において、シャフトの環状凹溝の係止面の止め輪接触点と、係止面に隣接する壁面との境界点との間の長さLを0.3mm≦L≦1.0mmとすることが望ましい。このように、係止面の止め輪接触点と壁面との境界点との間の長さを0.3mm≦L≦1.0mmとすれば、シャフトに衝撃的な引き抜き力が作用しても止め輪が不所望に縮径することがなく、確実な非分解構造とすることができ、止め輪の軸方向ガタも確実に抑制することができる。
本発明において、内側継手部材の当接部の係止面の傾斜角度βと、シャフトの環状凹溝の係止面の傾斜角度αとの相対角度β−αを8°以下とすることが望ましい。このように、当接部の係止面の傾斜角度βと、シャフトの環状凹溝の係止面の傾斜角度αとの相対角度β−αを8°以下とすれば、シャフトの引き抜き力が作用しても止め輪が内側継手部材の当接部の係止面に沿って縮径せず、その当接部から離脱しない確実な非分解構造とすることができる。
本発明では、環状凹溝のシャフト先端側でシャフトの外周面から径方向内側へ延びるように形成され、軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面に隣接して、軸方向と直交する面に対して平行な壁面を径方向内側へ延びるように形成する。このように、環状凹溝のシャフト先端側に軸方向と直交する面に対して平行な壁面を形成したことにより、軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面のみが形成された従来の等速自在継手の場合よりも、シャフトの環状凹溝の係止面と内側継手部材の当接部の係止面との間で止め輪の軸方向ガタ量を小さくすることができる。このように止め輪の軸方向ガタを抑制することで、車両における異音および振動の発生を未然に防止することができる。
本発明の実施形態で、アンダーカットフリー型の固定式等速自在継手の全体構成を示す断面図である。 図1のシャフトを示す断面図である。 図2のA部を示す部分拡大断面図である。 図1の内側継手部材を示す断面図である。 図4のB部を示す部分拡大断面図である。 図1の止め輪を示す側面図である。 図1のC部を示す部分拡大断面図である。 止め輪の軸方向ガタ量を説明するための要部拡大断面図である。 係止面の相対角度が小さい場合に止め輪に作用する力を説明するための要部拡大断面図である。 係止面の相対角度が大きい場合に止め輪に作用する力を説明するための要部拡大断面図である。 相対角度とシャフトの引き抜き力との関係から、シャフトが抜けるか否かの判定結果の一例を示すグラフである。 相対角度とシャフトの引き抜き力との関係から、シャフトが抜けるか否かの判定結果の他例を示すグラフである。
本発明に係る等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。以下の実施形態では、固定式等速自在継手の一種であるアンダーカットフリー型等速自在継手(UJ)を例示する。なお、本発明は、アンダーカットフリー型等速自在継手以外の他の固定式等速自在継手であるツェッパ型等速自在継手(BJ)や、摺動式等速自在継手であるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)、トリポード型等速自在継手(TJ)、クロスグルーブ型等速自在継手にも適用可能である。
この実施形態の等速自在継手は、図1に示すように、外側継手部材11、内側継手部材12、ボール13およびケージ14で主要部が構成されている。この等速自在継手は、一端が開口したカップ状をなし、軸方向に延びるトラック溝15が球状内周面16の複数箇所に円周方向等間隔で形成された外側継手部材11と、軸方向に延びるトラック溝17が外側継手部材11のトラック溝15と対をなして球状外周面18の複数箇所に円周方向等間隔で形成された内側継手部材12と、外側継手部材11のトラック溝15と内側継手部材12のトラック溝17との間に配されたトルク伝達部材としてのボール13と、外側継手部材11の球状内周面16と内側継手部材12の球状外周面18との間に介在してボール13を保持するケージ14とを備えた構造を具備する。これら内側継手部材12、ボール13およびケージ14が、外側継手部材11に収容された内部部品を構成している。なお、ボール13は6個、8個などその個数は任意である。
自動車のドライブシャフトを構成する等速自在継手においては、内側継手部材12にシャフト19がスプライン嵌合によりトルク伝達可能に結合されている。このシャフト19の内側継手部材12への組み付け作業は、外側継手部材11の内部に、内側継手部材12、ボール13およびケージ14からなる内部部品を組み込んだ後に行われることから、以下のようなシャフト抜け止め構造を採用している。
このシャフト抜け止め構造では、図2および図3に示すように、シャフト19の先端部に環状凹溝20を形成すると共に、図4および図5に示すように、内側継手部材12の軸孔21の奥側端部に当接部22を設ける。シャフト19の内側継手部材12への組み付け作業では、シャフト19の環状凹溝20に弾性的に縮径可能なC字形状のサークリップ等の止め輪23(図6参照)を装着する。内側継手部材12の軸孔21にシャフト19の先端部を挿入してスプライン24,25よりトルク伝達可能に嵌合させる。
このシャフト19の挿入により、環状凹溝20で縮径状態にある止め輪23は、内側継手部材12の当接部22に達した時点でその弾性復元力により拡径する。このようにして止め輪23を拡径させることにより内側継手部材12の当接部22に係止させる。なお、自由状態での止め輪23の外径D1(図6参照)は、内側継手部材12の当接部22の内径D2(図4参照)よりも大きく設定されている。これにより、止め輪23を内側継手部材12の当接部22に確実に係止させることができる。
なお、内側継手部材12の軸孔21のシャフト挿入側端部にテーパ面26を形成すると共に、シャフト19の大径部にテーパ面27を形成することによりストッパ部28を構成している。このストッパ部28により、内側継手部材12の軸孔21にシャフト19を挿入する際、シャフト19の大径部のテーパ面27を内側継手部材12の軸孔21のシャフト挿入側端部のテーパ面26に当接させることで、内側継手部材12に対するシャフト19の挿入位置を規制するようにしている。
このシャフト抜け止め構造において、シャフト19の環状凹溝20のシャフト先端側は、図2および図3に示すように、シャフト19の外周面から径方向内側へ延びるように形成され、軸方向と直交する面に対して角度αで傾斜する係止面29(傾斜面)と、その係止面29に隣接して径方向内側へ延びるように形成され、軸方向と直交する面に対して平行な壁面30(垂直面)とで構成されている。一方、内側継手部材12の当接部22は、図4および図5に示すように、軸孔21の奥側に位置するスプライン24の端部に形成され、軸方向と直交する面に対して角度βで傾斜する係止面31と、その係止面31から内側継手部材12の奥側端面まで延びるように形成された円筒面32とで構成されている。
シャフト19に引き抜き力が作用した場合、図7に示すように、止め輪23は、シャフト19の環状凹溝20の係止面29と、内側継手部材12の当接部22の係止面31および円筒面32とで挟み込まれる。つまり、シャフト19の環状凹溝20の係止面29と接触する止め輪23が、内側継手部材12の当接部22の係止面31および円筒面32と接触して係止される。このようにして、シャフト19が内側継手部材12に対して抜け止めされる。
前述したように、環状凹溝20のシャフト先端側では、シャフト19の外周面から径方向内側へ延びるように形成され、軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面29に隣接して、軸方向と直交する面に対して平行な壁面30を径方向内側へ延びるように形成したことにより、軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面(図3の破線部分)のみが形成された従来の等速自在継手(特許文献1参照)の場合よりも、シャフト19の環状凹溝20の係止面29と内側継手部材12の当接部22の係止面31との間で止め輪23の軸方向ガタ量を小さくすることができる。
つまり、内側継手部材12の軸孔21にシャフト19の先端部を挿入するに際して、止め輪23が環状凹溝20に嵌まり込んで確実に縮径できるように環状凹溝20の軸方向長さを確保した上で、図3の軸方向ガタ減少量δの分だけ、環状凹溝20の係止面29を内側継手部材12の当接部22の係止面31に近づけることができ、その分、止め輪23の軸方向ガタ量を小さくすることができる。ここで、止め輪23の軸方向ガタ量とは、図8に示すように、止め輪23とシャフト19の環状凹溝20の係止面29との間の軸方向すきまS1、および止め輪23と内側継手部材12の当接部22の係止面31との間の軸方向すきまS2の総和S1+S2を意味する。
図8では、止め輪23とシャフト19の環状凹溝20の係止面29との軸方向すきまS1、および止め輪23と内側継手部材12の当接部22の係止面31との軸方向すきまS2を誇張して示しているが、これら軸方向すきまS1,S2の総和である軸方向ガタ量、つまり、内側継手部材12の当接部22の係止面31とシャフト19の環状凹溝20の係止面29との間の軸方向ガタ量は0.5mm以下がよい。
この程度に軸方向ガタ量が小さければ、車両における異音、振動の発生を確実に防止することができる。なお、本出願人が実車による異音、振動の発生状況を確認したところ、軸方向ガタ量が0.5mmよりも大きく、1.0mmよりも小さい場合、車両や走行条件により異音や振動が発生する場合があり、軸方向ガタ量が1.0mmよりも大きいと、車両や走行条件により異音や振動が高い確率で発生することが判明した。
また、シャフト19の環状凹溝20において係止面29と壁面30との境界位置も重要である。つまり、図7に示すように、シャフト19の環状凹溝20の係止面29の止め輪接触点Pと、その係止面29に隣接する壁面30との境界点Qとの間の長さLは0.3mm≦L≦1.0mmがよい。
この止め輪接触点Pと境界点Qとの長さLが0.3mmよりも小さいと(L<0.3mm)、シャフト19に衝撃的な引き抜き力が作用した場合、止め輪23が突発的に内側継手部材12の当接部22の係止面31に沿って縮径してシャフト19が内側継手部材12から抜けてしまうおそれがある。一方、止め輪接触点Pと境界点Qとの長さLが1.0mmよりも大きいと(L>1.0mm)、環状凹溝20の係止面29が内側継手部材12の当接部22の係止面31から軸方向に離間することになり、前述の軸方向ガタ量が大きくなる。
従って、止め輪接触点Pと境界点Qとの間の長さLを0.3mm≦L≦1.0mmとすることにより、シャフト19に衝撃的な引き抜き力が作用しても止め輪23が不所望に縮径することがなく、シャフト19を内側継手部材12に確実に抜け止めすることができ、止め輪23の軸方向ガタも確実に抑制することができる。
この等速自在継手では、ブーツ交換などの整備工数の簡略化を図るため、分解可能な仕様あるいは分解不可能な仕様に応じて、内側継手部材12とシャフト19との分解構造と非分解構造とを選択可能としたシャフト抜け止め構造を採用する。このシャフト抜け止め構造では、図7に示すように、シャフト19の環状凹溝20の係止面29の傾斜角度α(図3参照)と、内側継手部材12の当接部22の係止面31の傾斜角度β(図5参照)との相対角度β−αを規定する。
この相対角度β−αが小さい場合、図9に示すように、シャフト19に引き抜き力が作用した時、内側継手部材12の当接部22の係止面31から受ける縮径方向の分力FNと、シャフト19の環状凹溝20の係止面29から受ける拡径方向の分力FSとの差が小さいため、止め輪23の弾性力でもって当接部22への係止状態を維持することができ、止め輪23は縮径されずにシャフト19と内側継手部材12とが分解不可能な非分解構造となる。
逆に、相対角度β−αが大きい場合、図10に示すように、シャフト19に引き抜き力が作用した時、内側継手部材12の当接部22の係止面31から受ける縮径方向の分力FNと、シャフト19の環状凹溝20の係止面29から受ける拡径方向の分力FSとの差が大きいため(FN>FS)、止め輪23の弾性力でもって当接部22への係止状態を維持することができず、止め輪23は縮径されてシャフト19と内側継手部材12とが分解可能な分解構造となる。
ここで、本出願人が検証したところ、特許文献1に開示された環状凹溝の係止面の傾斜角度αと当接部の係止面の傾斜角度βとの相対角度β−αの範囲(β−α≦19°)では、シャフトの引き抜き力が作用しても止め輪の縮径を抑制することが困難な場合があり、確実な非分解構造であるとは言えないことが判明した。そこで、この実施形態の等速自在継手では、内側継手部材12の当接部22の係止面31の傾斜角度βと、シャフト19の環状凹溝20の係止面29の傾斜角度αとの相対角度β−αを8°以下とする。
このように、内側継手部材12の当接部22の係止面31の傾斜角度βと、シャフト19の環状凹溝20の係止面29の傾斜角度αとの相対角度β−αを8°以下とすることにより(0°<β−α≦8°)、シャフト19の引き抜き力が作用しても止め輪23が内側継手部材12の当接部22の係止面31に沿って縮径せず、その当接部22から離脱しない確実な非分解構造とすることができる。なお、β−α≦0°の場合には、内側継手部材12の当接部22の係止面31から受ける縮径方向の分力FNよりも、シャフト19の環状凹溝20の係止面29から受ける拡径方向の分力FSの方が大きくなるため(FN<FS)、止め輪23が縮径せずに分解不可能な非分解構造となる。
本出願人が検証した結果として、相対角度β−αとシャフト19の引き抜き力との関係から、シャフト19と内側継手部材12とが分解可能か否かを判定した結果を図11および図12に示す。つまり、シャフト19の止め輪23を内側継手部材12の当接部22に係止させた後、シャフト19に引き抜き力を作用させた時に、そのシャフト19が抜けるか否かを実験したものである。縦軸の引き抜き力は、抜けた場合の抜け荷重、抜けなかった場合の最大荷重である。図11の丸印は線径がφ1.6mmの止め輪23を使用した例であり、図12の四角印は線径がφ1.8mmの止め輪23を使用し、三角印は線径がφ2.3mmの止め輪23を使用した例である。
図11および図12に示すように、止め輪23の線径の大小にかかわらず、相対角度β−αが8°以下であれば、シャフト19と内側継手部材12とが分解不可能な非分解構造となっていることが明らかである。なお、相対角度β−αが10°の場合、抜けるものと抜けないものとが混在していることから、この相対角度β−αが10°近辺が分解構造と非分解構造との境界であることが確認できる。
なお、相対角度β−αを8°、好ましくは10°よりも大きくすることにより、シャフト19と内側継手部材12とが分解可能な分解構造とすることができる。この分解構造における内側継手部材12を非分解構造の等速自在継手に共通して使用する場合、その内側継手部材12の当接部22の係止面31の傾斜角度βとの相対角度β−αが8°以下となるように、環状凹溝20の係止面29の傾斜角度αを選定したシャフト19を用いればよい。このようにして、前述した分解構造の内側継手部材12との組み合わせであっても確実な非分解構造とすることが可能となる。この非分解構造におけるシャフト19の環状凹溝20の係止面29の傾斜角度αは、分解構造で使用するシャフト19(傾斜角度α=0°)と視認性よく区別できて容易に管理することができるように、15°以上とすることが好ましい。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
11 外側継手部材
12 内側継手部材
13 トルク伝達部材(ボール)
19 シャフト
20 環状凹溝
21 軸孔
22 当接部
23 止め輪
29 係止面
30 壁面
31 係止面
α,β 傾斜角度
P 止め輪接触点
Q 境界点

Claims (4)

  1. 外側継手部材と、前記外側継手部材との間でトルク伝達部材を介して角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備え、前記内側継手部材の軸孔にシャフトの先端部を挿入してトルク伝達可能に嵌合させ、前記シャフトの環状凹溝に弾性的に縮径可能に装着された止め輪を、前記内側継手部材の軸孔端部に形成された当接部に係止させることにより、内側継手部材に対してシャフトを抜け止めする等速自在継手であって、
    前記環状凹溝のシャフト先端側は、前記シャフトの外周面から径方向内側へ延びるように形成され軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面と、前記係止面に隣接して径方向内側に延びるように形成され軸方向と直交する面に対して平行な壁面とで構成されていることを特徴とする等速自在継手。
  2. 前記内側継手部材の当接部に形成され軸方向と直交する面に対して傾斜する係止面と、前記シャフトの環状凹溝の係止面との間で前記止め輪の軸方向ガタ量を0.5mm以下とした請求項1に記載の等速自在継手。
  3. 前記シャフトの環状凹溝の係止面の止め輪接触点と、前記係止面に隣接する壁面との境界点との間の長さLを0.3mm≦L≦1.0mmとした請求項1又は2に記載の等速自在継手。
  4. 前記内側継手部材の当接部の係止面の傾斜角度βと、前記シャフトの環状凹溝の係止面の傾斜角度αとの相対角度β−αを8°以下とした請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
JP2013085649A 2013-04-16 2013-04-16 等速自在継手 Active JP6284712B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013085649A JP6284712B2 (ja) 2013-04-16 2013-04-16 等速自在継手

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013085649A JP6284712B2 (ja) 2013-04-16 2013-04-16 等速自在継手

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014206262A true JP2014206262A (ja) 2014-10-30
JP6284712B2 JP6284712B2 (ja) 2018-02-28

Family

ID=52119958

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013085649A Active JP6284712B2 (ja) 2013-04-16 2013-04-16 等速自在継手

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6284712B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016114050A1 (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 Ntn株式会社 等速自在継手

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6199712U (ja) * 1984-12-04 1986-06-26
JP2006258254A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Ntn Corp 等速ジョイントのシャフト抜け防止構造
JP2007056951A (ja) * 2005-08-23 2007-03-08 Ntn Corp 等速ジョイントのシャフト抜け防止構造
WO2007055685A1 (en) * 2005-11-09 2007-05-18 Gkn Driveline North America, Inc. Constant velocity joints

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6199712U (ja) * 1984-12-04 1986-06-26
JP2006258254A (ja) * 2005-03-18 2006-09-28 Ntn Corp 等速ジョイントのシャフト抜け防止構造
JP2007056951A (ja) * 2005-08-23 2007-03-08 Ntn Corp 等速ジョイントのシャフト抜け防止構造
WO2007055685A1 (en) * 2005-11-09 2007-05-18 Gkn Driveline North America, Inc. Constant velocity joints

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016114050A1 (ja) * 2015-01-15 2016-07-21 Ntn株式会社 等速自在継手
JP2016133127A (ja) * 2015-01-15 2016-07-25 Ntn株式会社 等速自在継手

Also Published As

Publication number Publication date
JP6284712B2 (ja) 2018-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1967750B1 (en) Constant velocity universal joint and inner member of the same
US8262490B2 (en) Connecting system and constant velocity joint
JP4964417B2 (ja) 等速ジョイントのシャフト抜け防止構造
JP6211638B2 (ja) 等速自在継手
JP6284712B2 (ja) 等速自在継手
JP6879775B2 (ja) 等速自在継手
JP2009085380A (ja) 等速自在継手
JP2009068508A (ja) 等速自在継手
JP2007333154A (ja) 等速自在継手
JP2011080556A (ja) 等速自在継手、ドライブシャフトアッセンブリ、およびプロペラシャフト
US11525484B2 (en) Constant velocity universal joint
WO2016114050A1 (ja) 等速自在継手
JP2007032645A (ja) 摺動式等速自在継手
WO2016147829A1 (ja) 固定式等速自在継手および固定式等速自在継手の組立方法
JP2008095843A (ja) サークリップ及び等速ジョイント
JP2014202231A (ja) 等速自在継手
JP2006266460A (ja) 等速ジョイントのシャフト抜け防止構造
JP2008281035A (ja) 等速自在継手のシャフト抜け止め構造
JP2017203538A (ja) 摺動式等速自在継手
JP2009079690A (ja) 等速自在継手
JP6901241B2 (ja) 等速自在継手
JP5128396B2 (ja) 等速自在継手の内側継手部材、等速自在継手の組立方法、ドライブシャフトアッシー、およびプロペラシャフトアッシー
JP2009127637A (ja) 等速自在継手
JP2007170573A (ja) 等速自在継手のシャフト抜け止め構造
WO2017195552A1 (ja) 摺動式等速自在継手及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170710

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180112

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180131

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6284712

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250