JP2009068508A - 等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シャフトに大きな軸方向力が加わっても止め輪がシャフトの環状溝から脱落することがないように安定した嵌合状態を確保する。
【解決手段】 外輪と、その外輪との間で角度変位を許容しながらトルクを伝達する内輪20とを備えた等速自在継手であって、内輪20の軸孔26にシャフト60を嵌合した構造を有し、内輪20の軸孔26の入口側開口端部に面取り23を形成すると共に、その面取り23と当接する縮径可能な第一の止め輪70をシャフト60の外周面に形成された第一の環状溝62に嵌合させ、かつ、シャフト60の外周面の第一の環状溝62よりも先端側部位に第二の環状溝64を形成すると共に、その第二の環状溝64に第二の止め輪80を嵌合させて第二の環状溝64と内輪20とで挟み込んで軸方向に係止させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用され、例えば自動車のドライブシャフトやプロペラシャフトに組み込まれる固定式あるいは摺動式等速自在継手に関し、詳しくは、その等速自在継手の内側継手部材とシャフトの嵌合構造に関する。
例えば、自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用されている摺動式等速自在継手(ダブルオフセット型等速自在継手:DOJ)は、図14に示すように軸線に平行な複数の直線状トラック溝112が円筒状内周面114に円周方向等間隔で形成された外側継手部材としての外輪110と、その外輪110のトラック溝112と対応させて軸線に平行な複数の直線状トラック溝122が球面状外周面124に円周方向等間隔で形成された内側継手部材としての内輪120と、外輪110のトラック溝112と内輪120のトラック溝122とが協働して形成されるボールトラックに配されてトルクを伝達する複数のボール130と、外輪110の円筒状内周面114と内輪120の球面状外周面124との間に介在してボール130を保持するケージ140とを備えている。各ボール130は、ケージ140に形成された複数のポケット142のそれぞれに収容されて円周方向等間隔に配置されている。
この等速自在継手をドライブシャフトに使用する場合、外輪110の一端から軸方向に一体的に延びる軸部116(従動軸)をディファレンシャルに連結すると共に、内輪120の軸孔126にスプライン嵌合されたシャフト160(駆動軸)を固定式等速自在継手に連結するようにしている。この外輪110の軸部116と内輪120側のシャフト160の二軸間で外輪110と内輪120とが角度変位すると、ケージ140のポケット142に収容されたボール130は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
この摺動式等速自在継手の内輪120とシャフト160との連結構造には、内輪120の軸孔126にシャフト160の軸端を圧入する構造が採用されている。この内輪120の軸孔126の内径に軸方向に沿う凹凸として雌スプライン128を形成すると共に、シャフト160の軸端外径にも雄スプライン168を形成する。シャフト160の軸端を内輪120の軸孔126に圧入して雄スプライン168と雌スプライン128を噛み合わせることにより、シャフト160を内輪120に嵌合させて両者間でトルクを伝達可能としている(例えば、特許文献1の第1図参照)。
一般的に、等速自在継手の内輪120とシャフト160の嵌合構造では、シャフト160の外周面に環状溝を形成し、その環状溝に止め輪を嵌合させて内輪120の奥側端面に当接させることにより、内輪120に対してシャフト160を抜け止めしている。この場合、製作誤差などによって内輪120の軸方向幅、シャフト160の環状溝の幅や位置にバラツキが生じると、止め輪と内輪120との間に軸方向隙間が生じ、その結果、内輪120がシャフト160に対して軸方向に移動して止め輪に当接し、振動や騒音が発生したりする問題がある。
この問題を解消するため、特許文献1に開示された内輪120とシャフト160の嵌合構造では、図15に示すようにシャフト160の外周面に形成された環状溝162と、その環状溝162に嵌合されて内輪120の奥側端面121に当接する第一の止め輪170と、前述の環状溝162に嵌合されてその環状溝162の端面164に当接する第二の止め輪180とで構成し、第一の止め輪170と第二の止め輪180とが相互に向かい合って接する端面172,182をテーパとしている。
第二の止め輪180が半径方向に縮小すると、第一の止め輪170と第二の止め輪180とが接する端面172,182でのテーパ作用により、第一の止め輪170はその端面174が内輪120の奥側端面121に当接する位置まで軸方向移動し、第二の止め輪180はその端面184が環状溝162の端面164に当接する位置まで軸方向移動する。このようにして、内輪120がシャフト160に対して軸方向に隙間なく拘束される。これにより、内輪120がシャフト160に対して軸方向に移動して止め輪170,180に当接することによって発生する振動や騒音を未然に防止するようにしている(例えば、特許文献1の第2図参照)。
特開平3−89026号公報
ところで、前述の特許文献1に開示された内輪120とシャフト160の嵌合構造では、通常、第二の止め輪180は半径方向に縮小しようとしている。ここで、シャフト160に大きな引き抜き方向(図14および図15中の白抜き矢印方向)の力が加わった場合、第二の止め輪180は第一の止め輪170により軸方向の環状溝162の端面164側へ押圧される。この時、第一の止め輪170と第二の止め輪180とが接する端面172,182でのテーパ作用により、第二の止め輪180には半径方向外側への分力が発生する。
第二の止め輪180が半径方向に縮小しようとする力よりも、シャフト160に加わった引き抜き方向の力により第二の止め輪180に発生する半径方向外側への分力の方が大きいと、第二の止め輪180は、その半径方向外側への分力により第一の止め輪170のテーパ状端面172に沿って拡径する。その結果、この第二の止め輪180がシャフト160の環状溝162から脱落するおそれがある。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、シャフトに大きな軸方向力が加わっても止め輪がシャフトの環状溝から脱落することがないように安定した嵌合状態を確保し得る等速自在継手を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明に係る等速自在継手は、外側継手部材と、その外側継手部材との間で角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備えた等速自在継手であって、内側継手部材の軸孔にシャフトを嵌合した構造を有し、内側継手部材の軸孔の入口側開口端部に面取りを形成すると共に、その面取りと当接する縮径可能な第一の止め輪をシャフトの外周面に形成された第一の環状溝に嵌合させ、かつ、シャフトの外周面の第一の環状溝よりも先端側部位に第二の環状溝を形成すると共に、その第二の環状溝に第二の止め輪を嵌合させて第二の環状溝と内側継手部材とで挟み込んで軸方向に係止させたことを特徴とする。
なお、内側継手部材の軸孔の入口側開口端部とは、内側継手部材の軸孔に対してシャフトを挿入する側に位置する開口端部を意味する。
シャフトの内側継手部材への組み付けは以下の要領でもって行われる。まず、第一の止め輪をシャフトの第一の環状溝に嵌合させた状態でシャフトを内側継手部材の軸孔の入口側開口端部から挿入する。第一の止め輪は、内側継手部材の入口側開口端部の面取りに当接し、そのテーパ作用により自然状態での直径よりも縮径した状態となる。この時、シャフトの第二の環状溝に第二の止め輪を嵌合させた状態としておく。この状態からシャフトを挿入する押し込み力を解除すると、第一の止め輪が自然状態への弾性復元力でもって半径方向に拡径する。
本発明では、この第一の止め輪が半径方向に拡径すると、面取りのテーパ作用により、内側継手部材がシャフトの先端側へ軸方向移動する。これにより、第二の環状溝に嵌合する第二の止め輪は、内側継手部材と第二の環状溝の両方で挟み込まれて位置規制されることになる。その結果、内側継手部材がシャフトに対して軸方向に隙間なく拘束される。また、第二の止め輪には、シャフトに大きな軸方向力が加わっても、半径方向外側への分力が発生することもないので、第二の止め輪が第二の環状溝から脱落することもない。
本発明では、第一の止め輪における内側継手部材の面取りと当接する部位を、その面取りと合致したテーパ面とした構造が望ましい。このようにすれば、シャフトの内側継手部材への組み付けに際して、シャフトを挿入する押し込み力を解除した時に、内側継手部材の面取りと当接する第一の止め輪をその面取りに沿って半径方向にスムーズに拡径させることができる。なお、面取りと合致したテーパ面とは、面取りの傾斜角度とテーパ面の傾斜角度とが同一であり、それら面取りとテーパ面とが面接触することを意味する。
本発明における第一の止め輪は、縮径した状態でその内径が第一の環状溝の底面に当接する構造が望ましい。このようにすれば、シャフトの内側継手部材への組み付けに際して、シャフトを内側継手部材の軸孔に挿入する時に、第一の止め輪が縮径してその内径が第一の環状溝の底面に当接した時点を押し込み端とすることができ、内側継手部材に対するシャフトの押し込み量を規制することが容易となる。
本発明における第二の止め輪は、内側継手部材の奥側端面に当接されている構造が望ましい。このようにすれば、シャフトの内側継手部材への組み付け後、シャフトに大きな軸方向力が加わっても、第二の止め輪が当接する内側継手部材の奥側端面が軸方向と直交していることから、第二の止め輪に半径方向外側への分力が発生することを確実に防止でき、第二の止め輪が第二の環状溝から脱落することを確実に回避できる。
なお、内側継手部材の奥側端面とは、内側継手部材の軸孔に対してシャフトを挿入する側に位置する入口側端面と反対側の端面を意味する。
この第二の止め輪が第二の環状溝から脱落することを回避するための手段としては、前述したように第二の止め輪を内側継手部材の奥側端面に当接させた構造以外に、以下のような構造とすることも可能である。
まず第一に、内側継手部材の軸孔の奥側開口端部に環状溝を形成し、その環状溝にシャフトの第二の環状溝を対向配置し、その第二の環状溝に嵌合された第二の止め輪を内側継手部材の環状溝に係止させた構造とする。この構造では、シャフトの内側継手部材への組み付け後、シャフトに大きな軸方向力が加わっても、第二の止め輪が内側継手部材の環状溝により半径方向外側で規制されていることから、第二の止め輪が第二の環状溝から脱落することを確実に回避できる。
第二に、内側継手部材の軸孔の内径に環状溝を形成し、その環状溝にシャフトの第二の環状溝を対向配置し、その第二の環状溝に嵌合された第二の止め輪を内側継手部材の環状溝に係止させた構造が可能である。この構造の場合も、シャフトの内側継手部材への組み付け後、シャフトに大きな軸方向力が加わっても、第二の止め輪が内側継手部材の環状溝により半径方向外側で規制されていることから、第二の止め輪が第二の環状溝から脱落することを確実に回避できる。
本発明では、内側継手部材の軸孔の入口側開口端部に面取りを形成すると共に、その面取りと当接する縮径可能な第一の止め輪をシャフトの外周面に形成された第一の環状溝に嵌合させ、かつ、シャフトの外周面の第一の環状溝よりも先端側部位に第二の環状溝を形成すると共に、その第二の環状溝に第二の止め輪を嵌合させて第二の環状溝と内側継手部材とで挟み込んで軸方向に係止させた構造としている。
このような構造としたことによって、シャフトの内側継手部材への組み付けに際して、シャフトの挿入により第一の止め輪が面取りのテーパ作用でもって縮径した状態から、そのシャフトの押し込み力の解除により、第一の止め輪が半径方向に拡径すると、面取りのテーパ作用により、内側継手部材がシャフトの先端側へ軸方向移動する。これにより、第二の環状溝に嵌合する第二の止め輪は、内側継手部材と第二の環状溝の両方で挟み込まれて位置規制されることになる。
その結果、内側継手部材がシャフトに対して軸方向に隙間なく拘束されるので、内側継手部材とシャフトとの間で軸方向のガタがなくなり、振動や騒音の発生を未然に防止できる。また、第二の止め輪には、シャフトに大きな軸方向力が加わっても、半径方向外側への分力が発生することもないので、第二の止め輪が第二の環状溝から脱落することがない安定した嵌合状態を確保することができ、信頼性の高い等速自在継手を提供できる。
本発明の実施形態を以下に詳述する。なお、以下の実施形態は、摺動式等速自在継手の一つであるダブルオフセット型等速自在継手(DOJ)に適用した場合を例示するが、クロスグルーブ型等速自在継手(LJ)やトリポード型等速自在継手(TJ)などの他の摺動式等速自在継手にも適用可能である。さらに、バーフィールド型等速自在継手(BJ)やアンダーカットフリー型等速自在継手(UJ)などの固定式等速自在継手にも適用可能である。
図2に示す実施形態の等速自在継手は、軸線に平行な複数の直線状トラック溝12が円筒状内周面14に円周方向等間隔で形成された外側継手部材としての外輪10と、その外輪10のトラック溝12と対応させて軸線に平行な複数の直線状トラック溝22が球面状外周面24に円周方向等間隔で形成された内側継手部材としての内輪20と、外輪10のトラック溝12と内輪20のトラック溝22とが協働して形成されるボールトラックに配されてトルクを伝達する複数のボール30と、外輪10の円筒状内周面14と内輪20の球面状外周面24との間に介在してボール30を保持するケージ40とを備えている。各ボール30は、ケージ40に形成された複数のポケット42のそれぞれに収容されて円周方向等間隔に配置されている。なお、ボール30の数は6個あるいは8個であるが、それ以外の個数でもよく任意である。
この等速自在継手をドライブシャフトに使用する場合、外輪10の一端から軸方向に一体的に延びる軸部16(従動軸)をディファレンシャルに連結すると共に、内輪20の軸孔26にスプライン嵌合されたシャフト60(駆動軸)を固定式等速自在継手に連結するようにしている。この外輪10の軸部16と内輪20側のシャフト60の二軸間で外輪10と内輪20とが角度変位すると、ケージ40のポケット42に収容されたボール30は常にどの作動角においても、その作動角の二等分面内に維持され、継手の等速性が確保される。
この摺動式等速自在継手の内輪20とシャフト60との連結構造には、内輪20の軸孔26にシャフト60の軸端を圧入する構造が採用されている。この内輪20の軸孔26の内径に軸方向に沿う凹凸として雌スプライン28を形成すると共に、シャフト60の軸端外径にも雄スプライン68を形成する。シャフト60の軸端を内輪20の軸孔26に圧入して雄スプライン68と雌スプライン28を噛み合わせることにより、シャフト60を内輪20に嵌合させて両者間でトルクを伝達可能としている。なお、内輪20とシャフト60の連結構造は、前述のスプライン嵌合に限らず、トルク伝達可能な他の凹凸嵌合であってもよい。
この実施形態における等速自在継手の内輪20とシャフト60との嵌合構造では、図3に示すように内輪20の軸孔26の入口側開口端部に面取り23を形成する。この面取り23は、内輪20の入口側端面25に向けて軸方向で拡径するテーパ面としている。一方、この内輪20の軸孔26にスプライン嵌合されるシャフト60の外周面には、図4に示すように第一の環状溝62と第二の環状溝64が形成されている。第一の環状溝62は、シャフト60の外周面に形成された雄スプライン68の根元部位に形成され、第二の環状溝64は、その雄スプライン68の先端部位に形成されている。
この第一の環状溝62には、図5(a)(b)に示す第一の止め輪70が嵌合され、第二の環状溝64には、図6(a)(b)に示す第二の止め輪80が嵌合される。第一の止め輪70は、C字状の弾性部材からなり、その外径に内輪20の面取り23と一致した傾斜角度を有するテーパ面72が形成され、そのテーパ面72が内輪20の面取り23と面接触で当接することにより縮径可能となっている。第二の止め輪80は、C字状の弾性部材からなり、厚みW1を有する断面角形の板状をなす。
図1に示す実施形態における内輪20とシャフト60の嵌合構造では、内輪20の軸孔26に圧入されたシャフト60の第一の環状溝62に第一の止め輪70を嵌合させ、かつ、そのシャフト60の第二の環状溝64に第二の止め輪80を嵌合させている。第一の止め輪70は、その外径のテーパ面72が内輪20の軸孔26の入口側開口端部に形成された面取り23に当接した状態となり、また、第二の止め輪80は、第二の環状溝64の端面66と内輪20の奥側端面21とに挟み込まれた状態で係止されている。
これにより、内輪20がシャフト60に対して軸方向に隙間なく拘束され、第二の止め輪80には、シャフト60に大きな軸方向力が加わっても、半径方向外側への分力が発生することもないので、第二の止め輪80が第二の環状溝64から脱落することもない。
シャフト60の内輪20への組み付け要領は次のとおりである。まず、図7に示すように第一の止め輪70をシャフト60の第一の環状溝62に嵌合させた状態でシャフト60を内輪20の軸孔26の入口側開口端部から圧入する。このシャフト60の圧入により、内輪20の軸孔26の雌スプライン28とシャフト60の外周面の雄スプライン68が噛み合ってスプライン嵌合し、両者間でトルク伝達可能となる。この圧入時、内輪20の奥側端面21と第二の環状溝64の端面66との軸方向寸法W2が第二の止め輪80の厚みW1〔図6(b)参照〕よりも若干大きくなるように(W2>W1)、内輪20に対してシャフト60を押し込む。
この時、第一の止め輪70は、その外径のテーパ面72が内輪20の入口側開口端部の面取り23に当接し、そのテーパ作用により自然状態での直径よりも縮径した状態となる。また、第一の止め輪70は、この縮径した状態でその内径74が第一の環状溝62の底面61に当接している。これにより、シャフト60を内輪20の軸孔26に挿入する時に、第一の止め輪70が縮径してその内径74が第一の環状溝62の底面61に当接した時点を押し込み端とし、これによって、内輪20の奥側端面21と第二の環状溝64の端面66との軸方向寸法W2が第二の止め輪80の厚みW1よりも若干大きくなるように設定することができる。このようにして、内輪20に対するシャフト60の押し込み量を規制することが容易となる。
内輪20に対するシャフト60の押し込み力を作用させた状態、つまり、内輪20の奥側端面21と第二の環状溝64の端面66との軸方向寸法W2が第二の止め輪80の厚みW1よりも若干大きくなっている状態を保持したままで、図8に示すようにシャフト60の第二の環状溝64に第二の止め輪80を嵌合させる。これにより、内輪20に対するシャフト60の押し込み力を解除していない状態では、内輪20の奥側端面21と第二の止め輪80との間に軸方向隙間(W2−W1)が生じている。
この状態からシャフト60を挿入する押し込み力を解除すると、第一の止め輪70は、自然状態での直径よりも縮径した状態になっていたため、自然状態への弾性復元力でもって半径方向に拡径する。この時、第一の止め輪70の外径を内輪20の面取り23と合致したテーパ面72としていることから、第一の止め輪70を内輪20の面取り23に沿って半径方向にスムーズに拡径させることができる。
この第一の止め輪70が半径方向に拡径すると、第一の止め輪70のテーパ面72と当接する面取り23のテーパ作用により、内輪20がシャフト60の先端側へ軸方向移動する。これにより、前述した内輪20の奥側端面21と第二の止め輪80との間に軸方向隙間(W2−W1)が詰まって、第二の環状溝64に嵌合する第二の止め輪80は、第二の環状溝64の端面66と内輪20の奥側端面21とで挟み込まれて位置規制されることになる。その結果、内輪20がシャフト60に対して軸方向に隙間なく拘束される。
シャフト60に大きな軸方向力、例えば引き抜き方向(図1中の白抜き矢印A方向)の力が加わった場合、第二の止め輪80は、引き抜き方向である軸方向と直交する内輪20の奥側端面21に当接していることから、半径方向外側への分力が発生することもないので、第二の止め輪80が第二の環状溝64から脱落することもない。
また、シャフト60に大きな押し込み方向(図1中の白抜き矢印B方向)の力が加わった場合、第一の止め輪70には、そのテーパ面72と当接する内輪20の面取り23のテーパ作用により半径方向内側への分力が発生し、その第一の止め輪70が縮径することになる。しかしながら、第一の止め輪70のテーパ面72と内輪20の面取り23とが当接している範囲で、第一の止め輪70の内径74が第一の環状溝62の底面61と当接することから、シャフト60の押し込み量は制限される。
前述した実施形態では、断面角形を有する第二の止め輪80を内輪20の奥側端面21に当接させた構造を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、図9に示すような構造であってもよい。この図9に示す実施形態では、内輪20の軸孔26の奥側開口端部に環状溝27を形成し、その環状溝27にシャフト60の第二の環状溝64’を対向配置し、その第二の環状溝64’に嵌合された第二の止め輪80’を内輪20の環状溝27に係止させた構造としている。
この構造では、シャフト60の内輪20への組み付け後、引き抜き方向あるいは押し込み方向の大きな軸方向力がシャフト60に加わっても、第二の止め輪80’が内輪20の環状溝27により半径方向外側で規制されていることから、第二の止め輪80’が第二の環状溝64’から脱落することを確実に防止できる。なお、内輪20がシャフト60に対して軸方向に隙間なく拘束される点については、図1の実施形態と同様であるため、重複説明は省略する。
また、図9に示す実施形態では、内輪20の軸孔26の奥側開口端部に環状溝27を形成した構造を説明したが、図10に示すような構造であってもよい。この図10に示す実施形態では、内輪20の軸孔26の内径に環状溝29を形成し、その環状溝29にシャフト60の第二の環状溝64''を対向配置し、その第二の環状溝64''に嵌合された第二の止め輪80''を内輪20の環状溝29に係止させた構造としている。
この構造の場合も、シャフト60の内輪20への組み付け後、引き抜き方向あるいは押し込み方向の大きな軸方向力がシャフト60に加わっても、第二の止め輪80''が内輪20の環状溝29により半径方向外側で規制されていることから、第二の止め輪80''が第二の環状溝64''から脱落することを確実に防止できる。なお、内輪20がシャフト60に対して軸方向に隙間なく拘束される点については、図1の実施形態と同様であるため、重複説明は省略する。
また、図9の実施形態では、第二の止め輪80’を半径方向外側で規制するための環状溝27を内輪20の軸孔26の奥側開口端部、つまり、雌スプライン28が形成されていない部位に設けている。これに対して、図10の実施形態では、第二の止め輪80''を半径方向外側で規制するための環状溝29を内輪20の内径、つまり、雌スプライン28が形成されている部位に設けている。このように、内輪20の環状溝27,29は、雌スプライン28の形成範囲内あるいは範囲外のいずれであってもよい。
同様に、図1に示す実施形態では、第一の止め輪70が嵌合する第一の環状溝62をシャフト60の雄スプライン68の範囲内に設けたが、図11に示すように第一の環状溝62’をシャフト60の雄スプライン68の範囲外に設けることも可能である。また、図1に示す実施形態では、第二の止め輪80が嵌合する第二の環状溝64をシャフト60の雄スプライン68の範囲内に設けているが、図12に示すように第二の環状溝64をシャフト60の雄スプライン68の範囲外に設けるようにしてもよい。
図9および図10に示す実施形態では、第二の止め輪80’,80''を半径方向外側で規制するための環状溝27,29を内輪20の軸孔26に設けた構造としていることから、内輪20に対するシャフト60の組み付けに際しては、第一の止め輪70をシャフト60の第一の環状溝62に嵌合させると共に、第二の止め輪80’,80''もシャフト60の第二の環状溝64’,64''に予め嵌合させた状態で、内輪20の軸孔26にシャフト60を圧入すればよい。また、第二の止め輪80’,80''は丸形の断面形状を有する。さらに、第二の環状溝64’,64''の入口側には、第二の止め輪80’,80''の嵌合を容易にするため、半径方向に対して所定角度θを有する傾斜面65’,65''が形成されている。
なお、以上の各実施形態では、第一の止め輪70はその外径が内輪20の面取り23と合致したテーパ面74を全幅に亘って形成した断面形状を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、第一の止め輪は、図13(a)〜(c)のような断面形状であってもよい。図13(a)に示す第一の止め輪70’は左右対称の山型形状で、外径の傾斜面72’は内輪20の面取り23と同一の角度を有する。同図(b)に示す第一の止め輪70''は角形の断面形状を有し、同図(c)に示す第一の止め輪70'''は丸形の断面形状を有する。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明の実施形態で、内輪とシャフトの嵌合構造を示す要部拡大断面図である。 本発明の実施形態で、摺動式等速自在継手の全体構成を示す縦断面図である。 図1の内輪を示す断面図である。 図1のシャフトを示す正面図である。 (a)は図1の第一の止め輪を示す側面図、(b)は図1の第一の止め輪を示す断面図である。 (a)は図1の第二の止め輪を示す側面図、(b)は図1の第二の止め輪を示す断面図である。 図4のシャフトを図3の内輪に押し込んだ状態を示す断面図である。 図7の状態からシャフトの第二の環状溝に第二の止め輪を嵌合させた状態を示す断面図である。 本発明の他の実施形態で、奥側開口端部に第二の環状溝が形成された内輪とシャフトの嵌合構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態で、内径に第二の環状溝が形成された内輪とシャフトの嵌合構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態で、スプライン範囲外に第一の環状溝が形成されたシャフトと内輪の嵌合構造を示す断面図である。 本発明の他の実施形態で、スプライン範囲外に第二の環状溝が形成されたシャフトと内輪の嵌合構造を示す断面図である。 第一の止め輪の変形例で、(a)は山形の断面形状を有する第一の止め輪を示す断面図、(b)は角形の断面形状を有する第一の止め輪を示す断面図、(c)は丸形の断面形状を有する第一の止め輪を示す断面図である。 従来の等速自在継手の全体構成を示す断面図である。 従来の等速自在継手における内輪とシャフトの嵌合構造を示す断面図である。
符号の説明
10 外側継手部材(外輪)
20 内側継手部材(内輪)
21 内側継手部材の奥側端面
23 面取り
26 軸孔
27,29 環状溝
60 シャフト
61 第一の環状溝の底面
62 第一の環状溝
64 第二の環状溝
70 第一の止め輪
72 テーパ面
74 第一の止め輪の内径
80 第二の止め輪

Claims (6)

  1. 外側継手部材と、その外側継手部材との間で角度変位を許容しながらトルクを伝達する内側継手部材とを備えた等速自在継手であって、前記内側継手部材の軸孔にシャフトを嵌合した構造を有し、前記内側継手部材の軸孔の入口側開口端部に面取りを形成すると共に、その面取りと当接する縮径可能な第一の止め輪をシャフトの外周面に形成された第一の環状溝に嵌合させ、かつ、前記シャフトの外周面の前記第一の環状溝よりも先端側部位に第二の環状溝を形成すると共に、その第二の環状溝に第二の止め輪を嵌合させて前記第二の環状溝と内側継手部材とで挟み込んで軸方向に係止させたことを特徴とする等速自在継手。
  2. 前記第一の止め輪における内側継手部材の面取りと当接する部位を、その面取りと合致したテーパ面とした請求項1に記載の等速自在継手。
  3. 前記第一の止め輪は、縮径した状態でその内径が第一の環状溝の底面に当接する請求項1又は2に記載の等速自在継手。
  4. 前記第二の止め輪は、内側継手部材の奥側端面に当接されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
  5. 前記内側継手部材の軸孔の奥側開口端部に環状溝を形成し、その環状溝にシャフトの前記第二の環状溝を対向配置し、その第二の環状溝に嵌合された第二の止め輪を内側継手部材の前記環状溝に係止させた請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
  6. 前記内側継手部材の軸孔の内径に環状溝を形成し、その環状溝にシャフトの前記第二の環状溝を対向配置し、その第二の環状溝に嵌合された第二の止め輪を内側継手部材の前記環状溝に係止させた請求項1〜3のいずれか一項に記載の等速自在継手。
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CN114112156A (zh) * 2022-01-21 2022-03-01 上海北阅机械设备有限公司 等速万向节轴向派生力测量装置及试验机

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