JP2014206073A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆入力遮断クラッチにてロックとロック解除とが繰り返されることにより振動や騒音等が発生するのを抑制する。【解決手段】内燃機関は、回転体60を回転させると内燃機関の機械圧縮比が変化するように構成された可変圧縮比機構Aと、回転体を回転駆動するアクチュエータ59と、入力軸72がアクチュエータに連結され且つ出力軸73が可変圧縮比機構の回転体に連結された逆入力遮断クラッチとを具備する。制御装置は、入力軸の回転数を検出する入力軸回転数検出装置と、出力軸の回転数を検出する出力軸回転数検出装置とを具備し、機械圧縮比を変更すべくアクチュエータによって回転体を回転させているときに、出力軸の回転数が入力軸の回転数よりも高くなった場合には、内燃機関の出力トルクが低下するように機関運転状態を制御する。【選択図】図8
Description
本発明は、可変圧縮比機構を有する内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の機械圧縮比を変更する可変圧縮比機構が知られている。このような可変圧縮比機構としては、内燃機関のシリンダブロックをクランクケースに対して相対的に移動させることによって機械圧縮比を変更するものと、クランクシャフトとピストンとの相対距離を変化させることによって機械圧縮比を変更するものが挙げられる。いずれの可変圧縮比機構においても、アクチュエータによって回転体を回転させることにより、この回転体に連結されたリンク機構を介して機械圧縮比が変化せしめられる。
斯かる可変圧縮比機構においては、回転体とリンク機構との間に逆入力を遮断することができる逆入力遮断クラッチを設けることが提案されている(例えば、特許文献1、2)。具体的には、特許文献1では、2分割されたコンロッドの連結部に設けられた連結ピンが、制御ロッドを介して制御軸(出力側レバーアームの軸部)と接続され、この制御軸が逆入力遮断クラッチの出力軸と一体的に回転するように構成されている。一方、逆入力遮断クラッチの入力軸は、入力側レバーアーム等を介してモータに接続されている。
また、特許文献2では、クランクシャフトとピストンとの相対距離を変化させるリンク機構を駆動するためのアクチュエータユニットが設けられ、このアクチュエータユニットは、駆動部によって回転体(最終歯車)を回転させ、これによりリンク機構の制御軸を回動させるように構成されている。このアクチュエータユニットには逆入力遮断クラッチが設けられ、この逆入力遮断クラッチの入力軸は減速機構等を介してモータに接続され、出力軸は減速機構等を介して回転体に接続されている。
ところで、可変圧縮比機構により機械圧縮比を変化させるときには、モータから逆入力遮断クラッチの入力軸に駆動力が伝達され、その後、逆入力遮断クラッチから可変圧縮比機構のリンク機構に駆動力が伝達され、最終的に機械圧縮比が変化せしめられる。
一方、可変圧縮比機構のリンク機構では燃焼室における混合気の燃焼により力を受け、この力により逆入力遮断クラッチの出力軸がトルクを受けることがある。しかしながら、逆入力遮断クラッチでは、出力軸から入力軸への逆入力は遮断されるため、出力軸がこのようなトルクを受けてもそのトルクは入力軸には伝達されず、出力軸がロックされて出力軸の回転が停止せしめられる。
ところが、このように混合気の燃焼に伴って出力軸にトルクが加わったときに出力軸がロックされても、その後、入力軸からのトルクにより出力軸のロックが解除され、入力軸の回転に伴って出力軸も回転せしめられる。そして、再び、混合気の燃焼に伴って出力軸にトルクが加わり、出力軸のロックが生じる。このため、このような場合には、出力軸がロックと回転(ロック解除)とを繰り返し、これに伴って出力軸に接続された機械要素に振動や騒音等が生じてしまう。
そこで、本発明の目的は、逆入力遮断クラッチを有する可変圧縮比機構において、逆入力遮断クラッチがロックとロック解除とを繰り返すことにより逆入力遮断クラッチ等に振動や騒音等が発生するのを抑制することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、回転体を有すると共に該回転体を回転させると内燃機関の機械圧縮比が変化するように構成された可変圧縮比機構と、前記回転体を回転駆動するアクチュエータと、入力軸が前記アクチュエータに連結され且つ出力軸が前記可変圧縮比機構の回転体に連結されると共に、該出力軸から該入力軸への逆入力を遮断する逆入力遮断クラッチとを具備する内燃機関の制御装置において、前記逆入力遮断クラッチの入力軸の回転数を検出する入力軸回転数検出装置と、前記逆入力遮断クラッチの出力軸の回転数を検出する出力軸回転数検出装置とを具備し、前記可変圧縮比機構の機械圧縮比を変更すべく前記アクチュエータによって回転体を回転させているときに、前記出力軸回転数検出装置によって検出された出力軸の回転数が、前記入力軸回転数検出装置によって検出された入力軸の回転数よりも高くなった場合には、内燃機関の出力トルクが低下するように機関運転状態を制御する、内燃機関の制御装置が提供される。
第2の発明では、第1の発明において、前記出力軸の回転数が入力軸の回転数よりも高い場合であっても、前記回転体の回転位置が予め定められた範囲外であるときには、前記出力トルクを変化させるような機関運転状態の制御を行わない。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記出力軸の回転数が入力軸の回転数よりも高い場合に低下させる出力トルクの大きさを、前記回転体の回転位置に応じて変更する。
第4の発明では、第2の発明において、前記可変圧縮比機構は、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が前記回転体の回転位置に応じて変化するように構成され、前記予め定められた範囲は、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が予め定められた値よりも低い回転位置範囲である。
第5の発明では、第3の発明において、前記可変圧縮比機構は、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が前記回転体の回転位置に応じて変化するように構成され、前記出力軸の回転数が入力軸の回転数よりも高い場合に低下させる出力トルクの大きさは、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が高いほど大きくなるように設定される。
第6の発明では、第1〜第5のいずれか一つの発明において、前記出力トルクの低下は、燃料噴射弁からの燃料供給量を減量することによって行われる。
第7の発明では、第1〜第6のいずれか一つの発明において、前記出力トルクの低下は、点火プラグにより燃焼室内の混合気に点火する点火時期を遅角させることによって行われる。
本発明によれば、逆入力遮断クラッチにて出力軸がロックとロック解除とを繰り返すことにより逆入力遮断クラッチ発生する振動や騒音等を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。図1は、本発明の制御装置が用いられる火花点火式内燃機関の側面断面図を概略的に示す。
<内燃機関の構成>
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。なお、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付ける代りに各燃焼室5内に配置してもよい。
サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器(エアフロメータ)18とが配置される。一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒を内蔵した触媒コンバータ20に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。
一方、図1に示した実施形態ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられており、さらに実際の圧縮作用の開始時期を変更するために吸気弁7の閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bが設けられている。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18の出力信号及び空燃比センサ21の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに、入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。さらに、シリンダブロック2にはシリンダブロック2とクランクケース1との相対位置を検出するための相対位置センサ43が設けられており、相対位置センサ43の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火プラグ6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、可変圧縮比機構A及び可変バルブタイミング機構Bに接続される。
<可変圧縮比機構の構成>
次に、本実施形態の可変圧縮比機構Aの構成について図2及び図3を参照して説明する。図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。
次に、本実施形態の可変圧縮比機構Aの構成について図2及び図3を参照して説明する。図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。
図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個のブロック側突出部50が形成されており、各ブロック側突出部50内にはそれぞれ断面円形のブロック側カム挿入孔51が形成されている。これらブロック側カム挿入孔51はシリンダの配列方向に平行になるように同一軸線上に形成される。
一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応するブロック側突出部50の間に嵌合せしめられる複数個のケース側突出部52が形成されており、これら各ケース側突出部52内にもそれぞれ断面円形のケース側カム挿入孔53が形成されている。これらケース側カム挿入孔53も、ブロック側カム挿入孔51と同様にシリンダの配列方向に平行になるように同一軸線上に形成される。
図2に示したように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各ケース側カム挿入孔53内に回転可能に挿入されるケース側円形カム58が固定されている。これらケース側円形カム58は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各ケース側円形カム58の両側には図3に示したように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上にブロック側円形カム56が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示したようにこれらブロック側円形カム56は各ケース側円形カム58の両側に配置されており、これらブロック側円形カム56は対応する各ブロック側カム挿入孔51内に回転可能に挿入されている。
図2に示したように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸(回転体)60にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォームギア61、62が取付けられており、これらウォームギア61、62と噛合するウォームホイール63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。この実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。
<可変圧縮比機構による機械圧縮比の変更方法>
次に、上述した構成の可変圧縮比機構Aにより機械圧縮比を変更する方法について図3を参照して詳述する。図3において、aはケース側円形カム58の中心、bは偏心軸57の中心、cはブロック側円形カム56の中心をそれぞれ示している。なお、本実施形態では、ブロック側円形カム56の直径はケース側円形カム58の直径よりも大きく、よってブロック側円形カム56の中心cと偏心軸57の中心bとの間の距離がケース側円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bとの間の距離よりも長い。また、図3(A)、図3(B)、図3(C)にはそれぞれの状態におけるケース側円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bとブロック側円形カム56の中心cとの位置関係が示されている。
次に、上述した構成の可変圧縮比機構Aにより機械圧縮比を変更する方法について図3を参照して詳述する。図3において、aはケース側円形カム58の中心、bは偏心軸57の中心、cはブロック側円形カム56の中心をそれぞれ示している。なお、本実施形態では、ブロック側円形カム56の直径はケース側円形カム58の直径よりも大きく、よってブロック側円形カム56の中心cと偏心軸57の中心bとの間の距離がケース側円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bとの間の距離よりも長い。また、図3(A)、図3(B)、図3(C)にはそれぞれの状態におけるケース側円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bとブロック側円形カム56の中心cとの位置関係が示されている。
図3(A)に示したような状態から駆動モータ59を駆動して、ケース側円形カム58が図3(A)において矢印で示したように互いに反対方向に回転させるべく各カムシャフト54、55を回転させると、偏心軸57が互いに離れる方向に移動する。この偏心軸57の移動に伴ってブロック側円形カム56がブロック側カム挿入孔51内においてケース側円形カム58とは反対方向に回転する。この結果、図3(B)に示したように、偏心軸57の位置が高い位置から中間高さ位置となる。
さらに駆動モータ59を駆動して、ケース側円形カム58が図3(B)において矢印で示したように互いに反対方向に回転させるべく各カムシャフト54、55を回転させると、偏心軸57がケース側円形カム58内で下方に移動する。この偏心軸57の移動に伴ってブロック側円形カム56がブロック側カム挿入孔51内においてケース側円形カム58と同方向に回転する。この結果、図3(C)に示したように、偏心軸57は最も低い位置となる。
図3(A)〜図3(C)を比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置はケース側円形カム58の中心aとブロック側円形カム56の中心cとの距離によって定まり、ケース側円形カム58の中心aとブロック側円形カム56の中心cとの距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。すなわち、可変圧縮比機構Aは回転するカムを用いたクランク機構によりクランクケース1とシリンダブロック2との間の相対位置を変化させていることになる。そして、シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大する。したがって、各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積(以下、「燃焼室容積」という)を変更することができる。
特に、図3に示した例では、図3(A)に示した状態と図3(B)に示した状態との間でシリンダブロック2はクランクケース1に対してΔD1だけ相対移動せしめられ、図3(B)に示した状態と図3(C)に示した状態との間でシリンダブロック2はクランクケース1に対してΔD2だけ相対移動せしめられる。
このようにカムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変化させたとしても、圧縮行程時のピストン4の行程容積(ピストン4が吸気下死点から圧縮上死点まで移動するときに変化する燃焼室5の容積)は変化しない。したがって、(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される機械圧縮比は、上述したように燃焼室容積を変化させることで、変化する。すなわち、本実施形態の可変圧縮比機構Aによれば、駆動モータ59によってカムシャフト54、55を回転させることによって、内燃機関の圧縮比を変更することができる。
なお、図1〜図3に示した可変圧縮比機構Aは一例を示すものであり、本発明では、駆動モータ等のアクチュエータにより回転軸60等の回転体を回転させることによって機械圧縮比を変更することができれば、いかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
<逆入力遮断クラッチの構成>
本発明の実施形態によれば、図2に示したように、駆動モータ59と回転軸60との間には逆入力遮断クラッチ65が設けられる。逆入力遮断クラッチ65の入力軸72は駆動モータ59の出力軸に連結され、逆入力遮断クラッチ65の出力軸73は回転軸60に連結される。
本発明の実施形態によれば、図2に示したように、駆動モータ59と回転軸60との間には逆入力遮断クラッチ65が設けられる。逆入力遮断クラッチ65の入力軸72は駆動モータ59の出力軸に連結され、逆入力遮断クラッチ65の出力軸73は回転軸60に連結される。
図4〜図6を参照して、逆入力遮断クラッチ65の構造及び動作について説明する。図4は、図5のY−Y線に沿った逆入力遮断クラッチ65の断面平面図であり、図5は、図4のX−X線に沿った逆入力遮断クラッチ65の断面側面図である。
図4及び図5からわかるように、逆入力遮断クラッチ65は、静止部材として作用するケーシング71と、ケーシング71内で同軸に配置された入力軸72及び出力軸73とを有する。入力軸72及び出力軸73は、ケーシング71に対して回転することができるように、転がり軸受75a、75bによってそれぞれ支承される。
入力軸72には、出力軸73と対向する端面において、軸中心から径方向外側へずれた位置に、軸線方向に延びる受容孔76が設けられる。一方、出力軸73には、入力軸72と対向する端面に軸中心から径方向外側へずれた位置に、軸線方向に延びる凹溝77が設けられる。凹溝77は、受容孔76の位置に合わせて配置される。入力軸72の受容孔76内にはピン78が挿入され、ピン78は出力軸73と対面する入力軸72の端面から突出するように配置される。入力軸72の端面から突出したピン78は出力軸73の凹溝77内に配置される。これにより、入力軸72が回転すると、ピン78が凹溝77の内壁面を押し、出力軸73に回転が伝達される。
入力軸72の出力軸側端部には径方向外側に広がったフランジ部72aが形成され、このフランジ部72aの外周には軸線方向において出力軸73に向かって延びる複数の柱状部72bが円周方向に等間隔に形成されている。円周方向に隣り合った二つの柱状部72b間にはケーシング71の内周面と出力軸73の外周面との間に形成された空間79が設けられ、この空間79には、一対のローラ80a、80bが配置される。
出力軸73は入力軸72近傍において、その外周がほぼ多角形状になるように形成される。この多角形状は、入力軸72の柱状部72bの数に合うような形状とされる。図4及び図5に示した例では、柱状部72bが6つあることから、入力軸72近傍における出力軸73の外周もほぼ正六角形状になっている。加えて、出力軸73は、図4に示したように多角形状の角が柱状部72bと対面するように、すなわち柱状部72b間の空間79が多角形状の直線部上に位置するように、入力軸72に対して配置される。
一対のローラ80a、80b間にはばね等の弾性部材81が設けられ、この弾性部材81は両ローラ80a、80bを互いから離れるように付勢する。各弾性部材81は、入力軸72、出力軸73及びケーシング71とは独立して各対のローラ80a、80b間に配置される。
<逆入力遮断クラッチの動作>
このように構成された逆入力遮断クラッチ65では、図6(A)に拡大して示した中立状態では、弾性部材81の付勢力により各一対のローラ80a、80bがケーシング71の内面と出力軸73の外面との間の楔状の隙間に係合する。これにより、出力軸73は、ケーシング71に対してロックされた状態となっている。
このように構成された逆入力遮断クラッチ65では、図6(A)に拡大して示した中立状態では、弾性部材81の付勢力により各一対のローラ80a、80bがケーシング71の内面と出力軸73の外面との間の楔状の隙間に係合する。これにより、出力軸73は、ケーシング71に対してロックされた状態となっている。
図6(A)に示した中立状態から、入力軸72に回転トルク(通常の入力トルク)が入力されて、例えば時計回りに回動すると、図6(B)に拡大して示したように、これに伴って入力軸72の柱状部72bが時計回り方向に移動する。これにより、各一対のローラ80a、80bの回転方向後方に位置する柱状部72bが、一対のローラ80a、80bのうち回転方向後方側に位置するローラ80aと当接し、このローラ80aを弾性部材81の付勢力に抗して時計回り方向に押圧する。
これにより、回転方向後方側に位置するローラ80aは、ケーシング71の内面と出力軸73の外面との間の楔状の隙間に係合された状態から離脱する。これにより、出力軸73のケーシング71に対するロックが解除され、出力軸73はケーシング71に対して回動可能となる。入力軸72がさらに時計回りに回動すると、図6(C)に示したように、入力軸72のピン78が出力軸73の凹溝77の壁面に当接することにより、入力軸72からの時計回りの回転トルクがピン78と凹溝77との当接部分を介して出力軸73に伝達され、その結果、出力軸73が時計回りに回動せしめられる。このとき、上記一対のローラ80a、80bのうち回転方向前方側に位置するローラ80bは、ケーシング71の内面と出力軸73の外面との間の楔状の隙間には配置されるが、回転方向との関係で出力軸73の回転を停止させるようには作用しない。
入力軸72に反時計回りの回転トルクが入力された場合には、上述した場合とは逆に動作で、出力軸73が反時計回りに回動せしめられる。したがって、入力軸72から入力された回転トルクは、その回転方向に関わらず、ピン78と凹溝77との当接部分を介して出力軸73に伝達され、これにより出力軸73が回動せしめられることになる。
一方、図6(A)に示した中立状態から、出力軸73に例えば時計回りの回転トルク(逆入力トルク)が入力されても、回転方向後方側に位置するローラ80aはケーシング71の内面と出力軸73の外面との間の楔状の隙間に係合されたままとなっている。このため、出力軸73はケーシング71に対してロックされる。また、出力軸73に反時計回りの回転トルク(逆入力トルク)が入力されても、回転方向後方側に位置するローラ80bはケーシング71の内面と出力軸73の外面との間の楔状の隙間に係合されたままとなっている。このため、出力軸73はケーシング71に対してロックされる。したがって、出力軸73から回転トルクが入力されても、出力軸73の回転は停止され、その回転トルクは入力軸72へは伝達されない。
<逆入力遮断クラッチの問題点>
ところで、上述したように、逆入力遮断クラッチ65では、その入力軸72が駆動モータ59に連結され、その出力軸73が回転軸60に連結される。このため、逆入力遮断クラッチ65の入力軸72に加わる回転トルクは、基本的に、駆動モータ59の出力トルクとほぼ同一となる。
ところで、上述したように、逆入力遮断クラッチ65では、その入力軸72が駆動モータ59に連結され、その出力軸73が回転軸60に連結される。このため、逆入力遮断クラッチ65の入力軸72に加わる回転トルクは、基本的に、駆動モータ59の出力トルクとほぼ同一となる。
一方、逆入力遮断クラッチ65の出力軸73に加わる回転トルクは、燃焼室5内での混合気の燃焼に応じて変化する。すなわち、燃焼室5内で混合気の燃焼が起きると、シリンダヘッド3及びシリンダブロック2はクランクケース1に対して上方に向かって押される。このようにシリンダブロック2が上方に押されると、この上向きの力は、カムシャフト54、55、ウォームホイール63、64及びウォームギア61、62を介して回転軸60の回転トルクに変換される。そして、この回転トルクが逆入力遮断クラッチ65の出力軸73に伝達される。したがって、出力軸73に加わる回転トルクは、各気筒での燃焼に応じて増減を繰り返す。
ここで、駆動モータ59により機械圧縮比を低下させる場合、すなわち、クランクケース1に対してシリンダブロック2を上昇させる場合、基本的には駆動モータ59から入力軸72に伝達される回転トルクにより、逆入力遮断クラッチ65のロックが解除されて、この回転トルクが出力軸73に伝達される。その結果、シリンダブロック2が上昇せしめられ、機械圧縮比が低下せしめられる。しかしながら、斯かる動作の最中に燃焼室5内での混合気の燃焼が生じると、一時的に逆入力遮断クラッチ65の入力軸72に加わる回転トルクよりも出力軸73に加わる回転トルクの方が大きくなる。したがって、各気筒での燃焼が順次行われると、それに伴って出力軸73に加わる回転トルクが入力軸72に加わる回転トルクよりも大きくなる状態と小さくなる状態とが繰り返し切り替わり、逆入力遮断クラッチ65のロックとロック解除との切り替わりが繰り返し行われることになる。
この様子を図7に示す。図7は、駆動モータ59の出力に基づいた入力軸の回転数(図中の「本来の制御ライン」)、実際の入力軸の回転数及び実際の出力軸の回転数のタイムチャートである。図7に示した例では、図中に破線で示したように逆入力遮断クラッチ65の入力軸72が回転するように、入力軸72が駆動モータ59により回転駆動せしめられる。しかしながら、上述したように出力軸73には所定時間間隔毎に逆入力トルクが加わることから、出力軸73の回転数が所定時間間隔毎に入力軸72の回転数を上回る。この結果、出力軸73がロックされて回転を停止し、これに伴って入力軸72の回転も停止せしめられ、入力軸72及び出力軸73の回転数が共にほぼ零となる。その後、駆動モータ59によって入力軸72が回転せしめられてロックが解除され、再び、入力軸72によって出力軸73が回転せしめられる。
このように、逆入力遮断クラッチ65のロックとロック解除との切り替わりが繰り返し行われると、これによりウォームギア61、62とウォームホイール63、64との間で歯打ち音や振動等が発生してしまう。そこで、本発明の実施形態では、後述するように内燃機関の制御を行うことで、歯打ち音の発生を抑制している。
<ロック抑制制御>
第一実施形態の制御装置では、上述した相対位置センサ43によりシリンダブロック2とクランクケース1との相対位置が検出される。このシリンダブロック2とクランクケース1との相対位置は、一対のカムシャフト54、55の回転位置に、したがって回転軸60の回転位置に対応する。したがって、上記相対位置がわかれば、回転軸60の回転位置を把握することができ、その結果、回転軸60の回転数(回転速度)を算出することもできる。したがって本実施形態では、相対位置センサ43により回転軸60の回転数が検出される。すなわち、相対位置センサ43は、出力軸73の回転数を検出する出力軸回転数検出装置として作用する。
第一実施形態の制御装置では、上述した相対位置センサ43によりシリンダブロック2とクランクケース1との相対位置が検出される。このシリンダブロック2とクランクケース1との相対位置は、一対のカムシャフト54、55の回転位置に、したがって回転軸60の回転位置に対応する。したがって、上記相対位置がわかれば、回転軸60の回転位置を把握することができ、その結果、回転軸60の回転数(回転速度)を算出することもできる。したがって本実施形態では、相対位置センサ43により回転軸60の回転数が検出される。すなわち、相対位置センサ43は、出力軸73の回転数を検出する出力軸回転数検出装置として作用する。
なお、回転軸60の「回転位置」とは、基準となる回転角度から回転軸60が回転した後に到達する位置を意味し、基準となる回転角度からの回転角度に相当する概念である。また、上記実施形態では、相対位置センサ43により回転軸60の回転数を検出しているが、別の方法によって回転軸60の回転数を検出するようにしてもよい。
加えて本実施形態では、図2に示したように、逆入力遮断クラッチ65の入力軸72に平歯ギア85が固定される。この平歯ギア85は、入力軸72と共に回転される。なお、平歯ギア85は、入力軸72に固定されているが、駆動モータ59の出力軸や、駆動モータ59の出力軸と逆入力遮断クラッチ65の入力軸72との間に配置されたシャフト等に固定されてもよい。
また、本実施形態では、平歯ギア85の外周に対面するように配置されたギャップセンサ86を具備する。ギャップセンサ86は、平歯ギア85の表面とセンサ先端との間のギャップを検出するセンサであり、回転中に平歯ギア85の歯の山がセンサの前を通過したことを検出することができる。これにより、入力軸72の回転数を検出することができる。したがって、平歯ギア85及びギャップセンサ86は、入力軸72の回転数を検出する入力軸回転数検出装置として作用する。
そして、本実施形態では、可変圧縮比機構Aにて機械圧縮比を低下させるように駆動モータ59を駆動させているときに、相対位置センサ43によって検出された出力軸73の回転数がギャップセンサ86によって検出された入力軸72の回転数よりも低くなった場合には、内燃機関の出力トルクが低下するように機関運転状態が制御せしめられる。
内燃機関の出力トルクが低下するように機関運転状態を制御する方法としては、例えば、以下の方法が考えられる。一つ目は、燃料噴射弁13から燃焼室5に供給する燃料の供給量を減量することが挙げられる。このように燃料供給量を減量すれば、燃焼室5内における混合気の燃焼も小さくなり、その結果、内燃機関の出力トルクが低下せしめられる。また、燃料噴射弁13からの燃料供給量を減量する方法としては、各気筒・各サイクルにおいて燃料噴射弁13から燃料を噴射する燃料噴射時間を短くすること、又は燃料噴射弁13から燃料を噴射する際の噴射圧力を低下させることによって行われる。
内燃機関の出力トルクを低下させる二つ目の方法としては、点火プラグ6によって燃焼室5内の混合気に点火するタイミング(点火時期)を遅角させることが挙げられる。内燃機関の通常運転時には、点火プラグ6による点火時期は内燃機関の出力トルクが最も大きくなるようなタイミングとされている。これに対して、点火時期を遅角させることにより、出力トルクを低下させることができる。
内燃機関の出力トルクを低下させる三つ目の方法としては、燃焼室5内に燃料を直接噴射するように燃料噴射弁13が取り付けられている内燃機関において、燃料噴射弁13からの燃料噴射時期を変更することが挙げられる。燃料噴射時期についても内燃機関の通常運転時には、内燃機関の出力トルクが最も大きくなるようなタイミングとされている。これに対して、燃料噴射時期を変更することにより、出力トルクを変更することができる。
このように、本実施形態では、出力軸73の回転数が入力軸72の回転数よりも低くなった場合に内燃機関の出力トルクが低下するように機関運転状態を制御することにより、逆入力遮断クラッチ65に加わる逆入力トルクが小さくなり、その結果、逆入力遮断クラッチ65においてロックが発生するのを抑制することができる。このため、ロックとロック解除とが繰り返されることによって生じる歯打ち音や振動の発生を抑制することができる。
図8は、第一実施形態における逆入力遮断クラッチ65のロック及びロック解除の繰り返しを抑制するロック抑制制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは一定の時間間隔毎の割り込みによって実行される。
図8に示したように、まずステップS11において、機械圧縮比を低下させている最中であるか否かが判定される。機械圧縮比を低下させている最中であると判定されるときとは、例えば、駆動モータ59が機械圧縮比を低下させる方向に回転駆動されているとき、又は目標機械圧縮比が現在の機械圧縮比よりも低いとき等が挙げられる。
ステップS11において、機械圧縮比を低下させている最中ではないと判定された場合には、逆入力遮断クラッチ65においけるロック及びロック解除の繰り返しは生じないため、制御ルーチンが終了せしめられる。一方、機械圧縮比を低下させている最中であると判定された場合には、ステップS12へと進む。
ステップS12では、ギャップセンサ86によって検出された入力軸72の回転数が、相対位置センサ43によって検出された出力軸73の回転数以上であるか否かが判定される。入力軸72の回転数が出力軸73の回転数と同一であるかそれ以上と判定された場合には、逆入力遮断クラッチ65のロックは生じないため、制御ルーチンが終了せしめられ、そのまま機械圧縮比の低下操作が行われる。
一方、ステップS12において、入力軸72の回転数が出力軸73の回転数よりも低いと判定された場合には、逆入力遮断クラッチ65のロックが生じ得るため、シリンダブロック2から出力軸73に伝達される回転トルクを低減すべく、出力トルク低下制御が行われる。出力トルク低下制御としては、予め定められた値だけ出力トルクが低下するように機関運転状態が制御される。具体的な制御としては、例えば、予め定められた量又は割合だけ燃料噴射量を減量すること、予め定められた時間だけ点火プラグ6による点火時期を遅角させること、又は予め定められた時間だけ燃料噴射弁13からの噴射時期を遅角させること等が挙げられる。このように、出力トルク低下制御の実行後に制御ルーチンが終了せしめられる。
<第二実施形態>
次に、図9を参照して本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態の制御装置の構成は、基本的に第一実施形態の制御装置の構成と同様である。ただし、第一実施形態では、出力トルク低下制御において、常に予め定められた一定の値だけ出力トルクが低下するように機関運転状態の制御が行われているのに対して、第二実施形態では、回転軸60の回転位置に応じて低下させる度合いを変化させるようにしている。
次に、図9を参照して本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態の制御装置の構成は、基本的に第一実施形態の制御装置の構成と同様である。ただし、第一実施形態では、出力トルク低下制御において、常に予め定められた一定の値だけ出力トルクが低下するように機関運転状態の制御が行われているのに対して、第二実施形態では、回転軸60の回転位置に応じて低下させる度合いを変化させるようにしている。
ここで、図3において、ケース側円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bとを結ぶ線分の鉛直方向に対する角度をリンク角θと称する。したがって、図3(A)に示した状態では、リンク角θは0°となっており、図3(B)に示した状態では、リンク角θは90°となっており、図3(C)に示した状態では、リンク角θは180°となっている。
そして、燃焼室5内で同一の燃焼が生じた際にシリンダブロック2から出力軸73に伝達される回転トルクは、リンク角θに応じて異なる。この様子を、図9に示す。図9は、燃焼室5内で同一の燃焼が生じた際に、シリンダブロック2から出力軸73に伝達される回転トルク(逆入力トルク)とリンク角θとの関係を示した図である。図9からわかるように、リンク角θが0に近いとき及び180°に近いときには逆入力トルクは小さいのに対して、リンク角が90°に近づくにつれて徐々に逆入力トルクが大きくなる。
これは、機械圧縮比に応じて、ケース側円形カム58の中心a、偏心軸57の中心b及びブロック側円形カム56の中心cの位置関係が図3(A)〜(C)に示したように変化することによるものである。図3(A)及び図3(C)に示したように、中心a、b、cが鉛直線上に並んでいる状態では、シリンダブロック2に加わる上向きの力はカムシャフト54、55には伝達されにくい。その理由の一つとしては、このような状態では、リンク角θの変化量に対する機械圧縮比の変化率が小さい(すなわち、回転軸60の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が小さい)ことが考えられる。この結果、回転軸60に回転トルクは伝達されにくい。
これに対して、各中心a、b、cが図3(B)に示したように配置されている状態では、シリンダブロック2に加わる上向きの力はカムシャフト54、55には伝達され易い。その理由の一つとしては、このような状態では、リンク角θの変化量に対する機械圧縮比の変化率が大きい(すなわち、回転軸60の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が大きい)ことが考えられる。この結果、回転軸60の回転トルクは伝達され易い。
ここで、逆入力遮断クラッチ65では、シリンダブロック2から出力軸73に逆入力トルクが加わっても、その逆入力トルクが小さい場合にはロックが生じない。したがって、逆入力遮断クラッチ65においてロックが生じるには、逆入力トルクが或る一定の値(以下、「限界トルクTlim」と称する)以上であることが必要になる。したがって、仮に逆入力トルクが発生して出力軸73の回転数が入力軸72の回転数よりも高くなったとしても、逆入力トルクが限界トルクTlimよりも低い場合には逆入力遮断クラッチ65ではロックは発生しない。このため、ロックとロック解除とを繰り返すことによる歯打ち音も発生しない。
そこで、本実施形態では、リンク角θがシリンダブロック2から出力軸73に加わる逆入力トルクが限界トルクTlimよりも低くなるような角度である場合には、内燃機関の出力トルクを低下させる出力トルク低下制御を実行しないようにしている。図9に示した例では、リンク角θがθ1以下である領域I及びリンク角θがθ2以上である領域IIIでは、逆入力トルクが発生して出力軸73の回転数が入力軸72の回転数よりも高くなっても、出力トルク低下制御は実行されない。ここで、回転軸60の回転位置はリンク角θに応じて変化することを考慮すると、本実施形態では、回転軸60の回転位置がリンク角θの領域IIに対応する範囲外であるときには、出力トルク低下制御を実行しないようにしているといえる。これにより、不必要に出力トルク低下制御を実行することがなくなり、ドライバビリティや燃費等の悪化を抑制することができる。
また、上述したように、回転軸60の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率と逆入力トルクの大きさとの関係を考慮すると、回転軸60の回転位置がリンク角θの領域IIに対応する範囲外であるときは、回転軸60の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が所定の値よりも低いときに該当すると考えられる。したがって、本実施形態では、回転軸60の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が所定の値よりも低いときには、出力トルク低下制御を実行しないようにしているということもできる。
また、リンク角θが領域II内にあるときにおいても、逆入力トルクはリンク角θに応じて変化する。このため、領域IIのうち逆入力トルクが小さい領域では、出力トルク低下制御によって僅かにのみ出力トルクを低下させれば逆入力遮断クラッチ65でのロックの発生を防止することができる。逆に、領域IIのうち逆入力トルクが大きい領域では、出力トルク低下制御によって出力トルクを大きく低下させなければ、逆入力遮断クラッチ65でのロックの発生を防止することができない。
そこで、本実施形態では、リンク角θが領域II内にあるときには、リンク角θに応じて出力トルクを低下させる程度を変更するようにしている。換言すると、本実施形態では、リンク角θが領域II内にあるときには、回転軸60の回転位置に応じて出力トルクを低下させる程度を変更するようにしている。
本実施形態では、具体的には、リンク角θが領域IIのうち逆入力トルクが小さい領域内にあるときには出力トルク低下制御によって出力トルクを低下させる程度を小さくすると共に、リンク角θが領域IIのうち逆入力トルクが大きい領域内にあるときには出力トルクを低下させる程度を大きくするようにしている。図9に示したような例では、リンク角θがθ1、θ2近傍であるときには、出力トルク低下制御によって出力トルクを低下させる程度を小さくすると共に、リンク角θが90°近傍であるときには、出力トルクを低下させる程度を大きくするようにしている。
また、上述したように、回転軸60の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率と逆入力トルクの大きさとの関係を考慮すると、本実施形態では、回転軸60の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が高いほど、出力トルクを低下させる程度を大きくするようにしているといえる。
図10は、第二実施形態におけるロック抑制制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは、一定の時間間隔毎の割り込みによって実行される。ステップS21、S22は、図8のステップS11、S12と同様であるため、説明を省略する。
ステップS22において、入力軸72の回転数が出力軸73の回転数よりも低いと判定された場合には、ステップS23へと進む。ステップS23では、リンク角θが領域II内にあるか否かが判定される。リンク角θが領域II内に無いと判定された場合には、逆入力遮断クラッチ65のロックは生じないため、制御ルーチンが終了せしめられ、そのまま機械圧縮比の低下操作が行われる。
一方、ステップS23において、リンク角θが領域II内にあると判定された場合には、ステップS24へと進む。ステップS24では、リンク角θに基づいて出力トルクの目標低下量が算出される。具体的には、リンク角θに基づいて、例えば、燃料噴射量を減量させる量又は割合等が算出される。次いで、ステップS25では、ステップS24で算出された出力トルクの目標低下量に基づいて、出力トルク低下制御が実行され、制御ルーチンが終了せしめられる。
なお、上記第二実施形態では、領域IIを予め定められた領域としている。しかしながら、この領域IIを機関負荷及び機関回転数等に基づいて変化するようにしてもよい。例えば、機関負荷が高いほど且つ機関回転数が高いほど領域IIが広がるように(すなわち、図9のθ1が小さく且つθ2が大きくなるように)領域IIを設定してもよい。
1 クランクケース
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
6 点火プラグ
13 燃料噴射弁
30 電子制御ユニット(ECU)
43 相対位置センサ
54、55 カムシャフト
59 駆動モータ
60 回転軸
65 逆入力遮断クラッチ
86 ギャップセンサ
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
6 点火プラグ
13 燃料噴射弁
30 電子制御ユニット(ECU)
43 相対位置センサ
54、55 カムシャフト
59 駆動モータ
60 回転軸
65 逆入力遮断クラッチ
86 ギャップセンサ
A 可変圧縮比機構
B 可変バルブタイミング機構
Claims (7)
- 回転体を有すると共に該回転体を回転させると内燃機関の機械圧縮比が変化するように構成された可変圧縮比機構と、前記回転体を回転駆動するアクチュエータと、入力軸が前記アクチュエータに連結され且つ出力軸が前記可変圧縮比機構の回転体に連結されると共に、該出力軸から該入力軸への逆入力を遮断する逆入力遮断クラッチとを具備する内燃機関の制御装置において、
前記逆入力遮断クラッチの入力軸の回転数を検出する入力軸回転数検出装置と、
前記逆入力遮断クラッチの出力軸の回転数を検出する出力軸回転数検出装置とを具備し、
前記可変圧縮比機構の機械圧縮比を変更すべく前記アクチュエータによって回転体を回転させているときに、前記出力軸回転数検出装置によって検出された出力軸の回転数が、前記入力軸回転数検出装置によって検出された入力軸の回転数よりも高くなった場合には、内燃機関の出力トルクが低下するように機関運転状態を制御する、内燃機関の制御装置。 - 前記出力軸の回転数が前記入力軸の回転数よりも高い場合であっても、前記回転体の回転位置が予め定められた範囲外であるときには、前記出力トルクを変化させるような機関運転状態の制御を行わない、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力軸の回転数が入力軸の回転数よりも高い場合に低下させる出力トルクの大きさを、前記回転体の回転位置に応じて変更する、請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記可変圧縮比機構は、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が前記回転体の回転位置に応じて変化するように構成され、
前記予め定められた範囲は、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が予め定められた値よりも低い回転位置範囲である、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記可変圧縮比機構は、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が前記回転体の回転位置に応じて変化するように構成され、
前記出力軸の回転数が入力軸の回転数よりも高い場合に低下させる出力トルクの大きさは、前記回転体の単位回転角度に対する機械圧縮比の変化率が高いほど大きくなるように設定される、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記出力トルクの低下は、燃料噴射弁からの燃料供給量を減量することによって行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記出力トルクの低下は、点火プラグにより燃焼室内の混合気に点火する点火時期を遅角させることによって行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013083163A JP2014206073A (ja) | 2013-04-11 | 2013-04-11 | 内燃機関の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2014206073A true JP2014206073A (ja) | 2014-10-30 |
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JP2013083163A Pending JP2014206073A (ja) | 2013-04-11 | 2013-04-11 | 内燃機関の制御装置 |
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JP (1) | JP2014206073A (ja) |
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2013
- 2013-04-11 JP JP2013083163A patent/JP2014206073A/ja active Pending
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