JP2014205594A - ディーゼル粒子フィルタの製造方法、及びグリーン成形体用の台座 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリーン成形体の搬送時に台座が破損し難く、搬送時及び乾燥時のグリーン成形体の変形及び破損を抑制するディーゼル粒子フィルタの製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係るディーゼル粒子フィルタ170の製造方法では、グリーン成形体70の端面を、鉛直に立てた板状の台座40に当接し、端面を当接した状態の台座40を水平に寝かした後、グリーン成形体70を載せた台座40を乾燥装置100内へ搬送し、乾燥装置100内で、グリーン成形体70の貫通孔70aへ台座40の通気部42を介して気体を供給すると共に、台座40の遮蔽部44でグリーン成形体70の外表面への気流を遮断し、グリーン成形体70へマイクロ波を照射する。台座40の全体はポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成される。【選択図】図2
Description
本発明は、ディーゼル粒子フィルタの製造方法、及びグリーン成形体用の台座に関する。
従来、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスに含まれるカーボン粒子等の微細粒子を捕集するためのディーゼル粒子フィルタ(Diesel Particulate Filter)として、多孔質のセラミックスからなるハニカム構造体が用いられている。
ハニカム構造体は柱状体である。ハニカム構造体には、その対向する端面間を貫通する複数の貫通孔(セル)が形成されている。ハニカム構造体の一方の端面(第一端面)では、貫通孔の開口部と封口部で塞がれた貫通孔の端部とが、格子状に交互に配置されている。第一端面に開口部が位置する貫通孔は、第一端面と反対側の第二端面において封口部で塞がれている。また、第一端面において端部が封口部で塞がれている貫通孔は、第二端面に開口部を有する。よって、第二端面においても、貫通孔の開口部と封口部で塞がれた貫通孔の端部とが、格子状に交互に配置されている。
ディーゼル粒子フィルタの製造では、セラミックスの原料粉末(焼成によりセラミックスになるもの)、造孔剤、有機バインダ及び溶媒等を混練機等により混合してペースト状の原料混合物を調製する。この原料混合物を、格子状の開口部を有するダイを備える押出成形機を用いて成形して、複数の貫通孔が形成された長尺の柱状体を作製する。自動切断機を用いて柱状体を加工に適した寸法に切断して、グリーン成形体を作製する。グリーン成形体とは、焼成前の生のハニカム構造体を意味する。グリーン成形体は、自動切断機から乾燥装置へ搬送された後に、乾燥される。必要に応じて、乾燥後のグリーン成形体を、封口工程前に再び切断してその寸法を調整する。乾燥後のグリーン成形体の貫通孔の封口工程、仮焼工程及び焼成工程等を経て、ディーゼル粒子フィルタが完成する。
グリーン成形体の乾燥装置としては、下記特許文献1に記載されているように、マイクロ波及び加熱気体を用いる乾燥装置が知られている。
グリーン成形体を自動切断機から乾燥装置へ搬送する工程、及びグリーン成形体を乾燥装置内に移す工程において、グリーン成形体を他の部材又は人の手で掴むと、乾燥前のグリーン成形体は柔らかいために変形し易い。本発明者らは、グリーン成形体の変形を防止するために、グリーン成形体を常に同一の台座に載せたまま、グリーン成形体の搬送及び乾燥を行う方法に想い到った。この方法では、切断された柱状体(グリーン成形体)の下方の側面を受台で支持し、受台上のグリーン成形体の端面を、搬送面上に鉛直に立てた板状の台座に当接し、グリーン成形体を当接した台座を搬送面上に寝かせて、グリーン成形体を載せた台座を乾燥装置内へ搬送し、乾燥装置内で台座に載せたグリーン成形体を乾燥する。
しかし、乾燥装置内でグリーン成形体を載せる台座として用いられる従来の多孔質のセラミックス板を、グリーン成形体の搬送用の台座として用いた場合、多孔質のセラミックス板は脆く、機械的強度及び靱性に劣るため、硬い搬送面又は他の部材と接触するときの衝撃で容易に破損してしまう。
従来の多孔質板の代わりに、靱性又は弾性を有する多孔質の樹脂からなる板を台座に用いた場合であっても、台座が多孔質である限り、搬送に耐えうる台座の機械的強度を実現することは容易ではない。また、グリーン成形体の乾燥中に樹脂が熱により溶解して台座が変形し、これに伴ってグリーン成形体が変形することがある。従来の多孔質板の代わりに、機械的強度及び靱性の高い金属板を台座に用いた場合、金属板が乾燥装置内でマイクロ波を吸収して金属板自体の発熱及び蓄熱が起こる。その結果、グリーン成形体の乾燥が妨げられたり、グリーン成形体自体が均一に加熱されずにグリーン成形体の変形又は割れが生じたりすることがある。このような乾燥時のグリーン成形体の変形及び割れは、通気性を有する従来の多孔質板を台座に用いたとしても、十分に抑制することはできない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、グリーン成形体の搬送時に台座が破損し難く、搬送時及び乾燥時におけるグリーン成形体の変形及び破損を抑制することができるディーゼル粒子フィルタの製造方法、及びグリーン成形体用の台座を提供することを目的とする。
本発明に係るディーゼル粒子フィルタの製造方法の一態様は、セラミックスの原料粉末、有機バインダ及び溶媒を含む原料混合物を調製する工程と、原料混合物の押出成形により、複数の貫通孔が長手方向に形成された長尺の柱状体を作製する工程と、柱状体を長手方向に垂直に切断して、グリーン成形体を作製する工程と、グリーン成形体の切断面を、鉛直に立てた板状の台座に当接し、切断面を当接した状態の台座を水平に寝かした後、グリーン成形体を載せた台座を乾燥装置内へ搬送する工程と、蒸気が存在する乾燥装置内で、グリーン成形体の複数の貫通孔へ台座の通気部を介して気体を供給すると共に、グリーン成形体へマイクロ波を照射する工程と、を備え、台座が、台座を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成された通気部と、通気部を囲み、台座の厚さ方向における気体の流れを遮断する遮断部と、を備え、台座の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、台座に当接された切断面が通気部の全体を覆い、台座に当接された切断面が遮断部の外縁内に収まる。
本発明に係るディーゼル粒子フィルタの製造方法の他の態様は、セラミックスの原料粉末、有機バインダ及び溶媒を含む原料混合物を調製する工程と、原料混合物の押出成形により、複数の貫通孔が長手方向に形成された長尺の柱状体を作製する工程と、柱状体を長手方向に垂直に切断して、グリーン成形体を作製する工程と、グリーン成形体の切断面を、鉛直に立てた板状の台座に当接し、切断面を当接した状態の台座を水平に寝かした後、グリーン成形体を載せた台座を乾燥装置内へ搬送する工程と、蒸気が存在する乾燥装置内で、グリーン成形体の複数の貫通孔へ台座の通気部を介して気体を供給すると共に、グリーン成形体へマイクロ波を照射する工程と、を備え、台座が、通気板と、通気板に重なる遮断板と、を備え、通気板には、通気板を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成されており、遮断板の略中央には、遮断板を厚さ方向に貫通する通気部が形成されており、遮断板において通気部を囲む遮断部は、当該遮断部の厚さ方向における気体の流れを遮断し、通気板の一部であって通気部内に露出している部分に複数の通気口が配置されており、通気板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、遮断板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、台座に当接された切断面が通気部の全体を覆い、台座に当接された切断面が遮断部の外縁内に収まる。
上記態様では、柱状体の下側の側面の一部を、柱状体の側面に対応する形状を有する可撓性の受台で支持した状態で、柱状体を切断することにより、受台で支持されたグリーン成形体を作製し、受台で支持されたグリーン成形体の切断面を、鉛直に立てた台座に当接することが好ましい。
本発明に係るグリーン成形体用の台座の一態様は、互いに平行な複数の貫通孔が形成された柱状のグリーン成形体を載せる板状の台座であって、台座を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成された通気部と、通気部を囲み、台座の厚さ方向における気体の流れを遮断する遮断部と、を備え、台座の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されている。
本発明に係るグリーン成形体用の台座の他の態様は、互いに平行な複数の貫通孔が形成された柱状のグリーン成形体を載せる板状の台座であって、通気板と、通気板に重なる遮断板と、を備え、通気板には、通気板を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成されており、遮断板の略中央には、遮断板を厚さ方向に貫通する通気部が形成されており、遮断板において通気部を囲む遮断部は、遮断部の厚さ方向における気体の流れを遮断し、通気板の一部であって通気部内に露出している部分に複数の通気口が配置されており、通気板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、遮断板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されている。
本発明によれば、グリーン成形体の搬送時に台座が破損し難く、搬送時及び乾燥時におけるグリーン成形体の変形及び破損を抑制することができるディーゼル粒子フィルタの製造方法、及びグリーン成形体用の台座が提供される。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付す。また、上下左右の位置関係は図面に示す通りであるが、寸法の比率は図面に示すものに限定されない。
[グリーン成形体用の台座]
図6(a)及び図6(b)に示すように、グリーン成形体70はその中心軸に平行である複数の隔壁70cを有する。つまり、グリーン成形体70は、その中心軸方向に垂直な断面において格子構造を有する。換言すれば、グリーン成形体70には、同一方向(中心軸方向)に延びる多数の貫通孔70a(流路)が形成されており、各貫通孔70aは隔壁70cによって隔てられる。複数の貫通孔70aは互いに平行である。グリーン成形体70の第一端面とその反対側の第二端面において、各貫通孔の開口部が位置している。各貫通孔70aはグリーン成形体70の両端面に垂直である。各隔壁70cが互いになす角は、特に限定されず、90°であってもよく、120°であってもよい。貫通孔の断面が正方形である場合、正方形の一辺の長さは、例えば0.8〜2.5mmであればよい。
図6(a)及び図6(b)に示すように、グリーン成形体70はその中心軸に平行である複数の隔壁70cを有する。つまり、グリーン成形体70は、その中心軸方向に垂直な断面において格子構造を有する。換言すれば、グリーン成形体70には、同一方向(中心軸方向)に延びる多数の貫通孔70a(流路)が形成されており、各貫通孔70aは隔壁70cによって隔てられる。複数の貫通孔70aは互いに平行である。グリーン成形体70の第一端面とその反対側の第二端面において、各貫通孔の開口部が位置している。各貫通孔70aはグリーン成形体70の両端面に垂直である。各隔壁70cが互いになす角は、特に限定されず、90°であってもよく、120°であってもよい。貫通孔の断面が正方形である場合、正方形の一辺の長さは、例えば0.8〜2.5mmであればよい。
グリーン成形体70の貫通孔が延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、30〜350mmとすることができる。また、グリーン成形体70の外径も特に限定されないが、例えば、10〜320mmとすることできる。
図2(a)及び図2(b)に示すように、本発明に係る台座の第一の形態(台座40)は、グリーン成形体70の搬送及び乾燥の際にグリーン成形体70を載せる板状の台座である。台座40は、通気部42と、通気部42を囲む遮断部44とからなる。通気部42には、台座40をその厚さ方向に貫通する複数の通気口42aが形成されている。遮断部44は、台座40の厚さ方向における気体の流れを遮断する機能を有する。つまり、遮断部44は緻密な部分であって、遮断部44にはその厚さ方向を貫通する通気口が形成されていない。台座40の全体は耐熱性樹脂から構成されている。なお、耐熱性樹脂とは、後述するマイクロ波を用いる乾燥装置内の雰囲気の温度の上限値(例えば120℃)よりも高い融点を有する樹脂である。グリーン成形体70において複数の貫通孔の開口部70aが位置する端面が台座40の表面に当接される。台座40に当接されたグリーン成形体70の端面は通気部42の全体を覆う。つまり、通気部42の面積は、グリーン成形体70の端面の面積以下である。台座40に当接されたグリーン成形体70の端面は遮断部44の外縁内に収まる。つまり、台座40の面積は、グリーン成形体70の端面の面積よりも大きく、グリーン成形体70の端面全体が台座40によって覆われる。
図3(a)、図3(b)、図4(a)及び図4(b)に示すように、本発明に係る台座の第二の形態(台座400)は、グリーン成形体70の搬送及び乾燥の際にグリーン成形体70を載せる板状の台座である。台座400は、通気板54と、通気板54に重なる遮断板52と、を備える。通気板54及び遮断板52は、エンジニアリングプラスチック等からなる耐熱性のねじ56によって接続されている。ねじ56の具体例としては、PEEK(Poly Ether Ether Ketone)樹脂からなるねじが挙げられる。通気板54には、通気板54をその厚さ方向に貫通する複数の通気口54bが形成されている。遮断板52の略中央には、遮断板52をその厚さ方向に貫通する通気部52aが形成されている。遮断板52において通気部52aを囲む遮断部は、遮断部の厚さ方向における気体の流れを遮断する。つまり、遮遮断板52は緻密な部分であって、遮断板52には通気部52aを除いて厚さ方向を貫通する通気口が形成されていない。通気板54の一部であって通気部52a内に露出している部分54aには複数の通気口54bが配置されている。つまり、遮断板52に形成された通気部52aの開口面積は、通気板54において複数の通気口54bが配置されている領域の面積よりも小さい。好ましくは、部分54aの全域に複数の通気口54bが配置されている。通気板54の全体が耐熱性樹脂から構成されており、遮断板52の全体が耐熱性樹脂から構成されている。グリーン成形体70において複数の貫通孔の開口部70aが位置する端面が台座400の遮断板52側又は通気板54側に当接される。台座400に当接されたグリーン成形体70の端面は通気部52a(54a)の全体を覆う。つまり、通気部52a(54a)の面積は、グリーン成形体70の端面の面積以下である。台座400に当接されたグリーン成形体70の端面は遮断部(遮断板52)の外縁内に収まる。つまり、台座400の面積は、グリーン成形体70の端面の面積よりも大きく、グリーン成形体70の端面全体が台座400によって覆われる。
台座400が有する遮断板52は、他の遮断板52と取り換えることができる。例えば、クリーン成形体70(目的とするディーゼル粒子フィルタ)の端面の形状及び寸法に応じた通気部52aが形成された複数の遮断板52を予め作製する。通気板54の製造コストは、遮断板52に比べて高いため、通気板54は使いまわせばよい。クリーン成形体70の端面の形状及び寸法に応じて、遮断板52のみを取り換えることにより、端面の形状及び寸法が異なる多種のクリーン成形体70の搬送及び乾燥に、同一の通気板54を使いまわすことができる。これにより、クリーン成形体70の搬送及び乾燥に用いる台座の製造コストが低減される。
台座40(400)は、その全体が耐熱性樹脂から構成されるため、従来のセラミックス板に比べて高い機械的強度、靱性及び弾性を有する。また、台座40(400)では、多数の通気口42a(54b)が位置する通気部42(52a)の周囲が、緻密で機械的強度が高い遮断部44(遮断板52)によって囲まれているため、台座40(400)の端部は、全体が多孔質である従来のセラミックス板又は樹脂板に比べて衝撃に強い。したがって、台座40(400)の端部が、グリーン成形体の搬送中に硬い搬送面又は他の部材と接触して衝撃を受けたとしても、従来の多孔質板に比べて破損し難い。
また台座40(400)は、乾燥装置内の雰囲気の温度よりも融点が高い耐熱性樹脂から構成されるため、グリーン成形体の乾燥中に溶解し難く、台座40(400)の歪み及び変形が抑制される。また耐熱性樹脂から構成される台座40(400)を用いた場合、マイクロ波の吸収による台座40(400)の発熱が起き難く、乾燥中にグリーン成形体自体が均一に加熱され易い。したがって、台座40(400)の歪み、変形及び発熱に伴うグリーン成形体70の変形及び破損が抑制される。
耐熱性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方である。耐熱性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。これらの樹脂は、高い融点を有するのみならず、他の耐熱性樹脂(例えばアラミド樹脂)よりも機械的強度に優れる。またポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンは、その誘電損失係数が小さいため、マイクロ波を吸収し難く、自己発熱し難い。したがってポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンから構成される台座は、乾燥装置内で熱による変形や歪みを起こし難く、台座の変形に伴うグリーン成形体70の変形及び破損が抑制される。特にポリテトラフルオロエチレンは200℃以上又は300℃以上の高い融点を有するため、ポリテトラフルオロエチレンから構成される台座を用いることにより、乾燥工程中の台座の変形及び歪み、並びにこれに伴うグリーン成形体の変形及び破損が顕著に抑制される。なお、台座440(400)は2種以上の耐熱性樹脂から構成されていてもよい。台座40(400)は耐熱性樹脂のみから構成されていてよい。台座の耐熱性及び耐衝撃性を損なわない限り、台座40(400)が耐熱性樹脂に加えて他の物質(例えば耐熱性のガラス繊維等)を含有してもよい。
通気口42a(54b)の穴径は特に限定されないが、20mm以下であることが好ましい。穴径が20mm以下であることにより、柔らかいグリーン成形体70が自重によって通気口42a(54b)内に沈み込むことが抑制され、乾燥中のグリーン成形体70の変形が抑制され易い。また通気口42a(54b)の穴径が20mm以下であることにより、乾燥中のグリーン成形体70の均一な収縮が通気口42a(54b)によって妨げられ難くなり、乾燥に伴うグリーン成形体70の変形及び破損が抑制され易い。通気口42a(54b)の下限値は、例えば5.0mm程度である。通気口42a(54b)の形状は円形でもよく、楕円形でもよく、多角形でもよい。通気部42における通気口42aの開口率は50%以上80%以下であることが好ましい。開口率が50%以上であることにより、クリーン成形体70が斑なく乾燥され易く、乾燥時間が短くなるとと共に、クリーン成形体70の隔壁70cの縒れ及び変形が抑制され易い。開口率が80%以下であることにより、グリーン成形体70が自重により通気口42a(54b)内に沈み込むことが抑制され、乾燥中のグリーン成形体70の変形が抑制され易い。遮断板52の通気部52a内に露出している部分54aにおける通気口54bの開口率も、同様の理由から、50%以上80%以下であることが好ましい。
台座40(400)全体の寸法は、クリーン成形体70の端面よりも大きければよく、特に限定されないが、例えば、縦250mm×横250mm程度である。台座40(400)の厚さは20〜30mm程度である。
[ディーゼル粒子フィルタの製造方法]
(原料混合物の調製工程)
セラミックスの原料粉末、有機バインダ及び添加物等を混練機等により混合して、原料混合物を調製する。
(原料混合物の調製工程)
セラミックスの原料粉末、有機バインダ及び添加物等を混練機等により混合して、原料混合物を調製する。
セラミックスの原料粉末としては、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、更に、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。セラミックスの原料粉末は、これらに限定されない。
チタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムからなるディーゼル粒子フィルタを製造する場合、原料粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含む。原料粉末は、必要に応じて、更に、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩が挙げられる。
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤及び可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;及びドライアイス等などが挙げられる。
潤滑剤及び可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(POAAE)などが挙げられる。
分散剤としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。
溶媒としては、アルコール類及び水などを用いることができる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの一価アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどの二価アルコール類;などを用いることができる。
(原料混合物の成形工程)
上述の原料混合物を押出成形機のダイから水平方向に押し出すことにより、長尺の柱状体を形成する。ダイは格子状の開口部を有するため、柱状体にはその長手方向に延びる複数の貫通孔が形成される。なお、押出成形機内で原料混合物を混練してもよい。
上述の原料混合物を押出成形機のダイから水平方向に押し出すことにより、長尺の柱状体を形成する。ダイは格子状の開口部を有するため、柱状体にはその長手方向に延びる複数の貫通孔が形成される。なお、押出成形機内で原料混合物を混練してもよい。
(柱状体の切断工程)
押出成形機から押し出された柱状体の下側の側面の一部を、柱状体の側面に対応する形状を有する受台の溝部で支持する。自動切断機を用いて、柱状体をその長手方向に垂直に切断して、図1(a)に示すように、受台3で支持されたグリーン成形体70を形成する。受台3は可撓性を有する材料から形成されている。そのため、切断される柱状体の側面を受台3の溝部で支持することにより、切断に伴うグリーン成形体70の変形が抑制される。受台3の材質としては、可撓性を有するゴム、スポンジ等が挙げられ、より具体的には、ポリウレタン、発泡ポリスチレン、又は発泡ポリエチレンが挙げられる。
押出成形機から押し出された柱状体の下側の側面の一部を、柱状体の側面に対応する形状を有する受台の溝部で支持する。自動切断機を用いて、柱状体をその長手方向に垂直に切断して、図1(a)に示すように、受台3で支持されたグリーン成形体70を形成する。受台3は可撓性を有する材料から形成されている。そのため、切断される柱状体の側面を受台3の溝部で支持することにより、切断に伴うグリーン成形体70の変形が抑制される。受台3の材質としては、可撓性を有するゴム、スポンジ等が挙げられ、より具体的には、ポリウレタン、発泡ポリスチレン、又は発泡ポリエチレンが挙げられる。
(搬送工程)
図1(a)、図1(b)に示すように、受台3上のグリーン成形体70の端面(切断面)を、搬送面1上に鉛直に立てた板状の台座40(400)に当接する。図1(b)、図1(c)に示すように、グリーン成形体70を当接した台座を搬送面上に寝かして、グリーン成形体70を台座40(400)の上に起てる。受台3の溝部でグリーン成形体70の側面を支持しながら、グリーン成形体70を台座40(400)の上に起ててもよい。これにより、グリーン成形体70の台座40(400)への移し替えに伴うグリーン成形体70の変形が抑制される。グリーン成形体70を載せた台座40(400)を、ベルトコンベア又はローラコンベア等で乾燥装置へ搬送し、台座40(400)に載せたままの状態でグリーン成形体70を乾燥装置内に設置して、グリーン成形体70を乾燥する。
図1(a)、図1(b)に示すように、受台3上のグリーン成形体70の端面(切断面)を、搬送面1上に鉛直に立てた板状の台座40(400)に当接する。図1(b)、図1(c)に示すように、グリーン成形体70を当接した台座を搬送面上に寝かして、グリーン成形体70を台座40(400)の上に起てる。受台3の溝部でグリーン成形体70の側面を支持しながら、グリーン成形体70を台座40(400)の上に起ててもよい。これにより、グリーン成形体70の台座40(400)への移し替えに伴うグリーン成形体70の変形が抑制される。グリーン成形体70を載せた台座40(400)を、ベルトコンベア又はローラコンベア等で乾燥装置へ搬送し、台座40(400)に載せたままの状態でグリーン成形体70を乾燥装置内に設置して、グリーン成形体70を乾燥する。
以上のように、本実施形態では、乾燥前の柔らかいグリーン成形体70を常に同一の台座40(400)に載せたまま、他の部材又は人の手に接触させることなく、グリーン成形体の搬送及び乾燥装置内への設置を行うことができる。その結果、グリーン成形体70の搬送及び乾燥装置内への設置に伴うリーン成形体70の変形が抑制される。
(乾燥工程)
[乾燥装置]
図5に示すように、グリーン成形体70を乾燥させる乾燥装置100は、主として、容器10と、容器10内にマイクロ波を供給するマイクロ波源20と、容器10内に配置された台座40(400)と、台座40(400)の通気部42(52a)を介してグリーン成形体70の複数の貫通孔70aに加熱気体を供給する加熱気体源30と、を備える。
[乾燥装置]
図5に示すように、グリーン成形体70を乾燥させる乾燥装置100は、主として、容器10と、容器10内にマイクロ波を供給するマイクロ波源20と、容器10内に配置された台座40(400)と、台座40(400)の通気部42(52a)を介してグリーン成形体70の複数の貫通孔70aに加熱気体を供給する加熱気体源30と、を備える。
[容器]
容器10は、グリーン成形体70、台座40(400)、及び、管路36の出口36aを収容する。容器10は、マイクロ波を遮蔽する観点から、金属であることが好ましい。容器10には、容器10内の気体を外部に排出する排出口10bが設けられている。また、容器10は、マイクロ波源20から供給されるマイクロ波を受け入れる導波管10aを有する。
容器10は、グリーン成形体70、台座40(400)、及び、管路36の出口36aを収容する。容器10は、マイクロ波を遮蔽する観点から、金属であることが好ましい。容器10には、容器10内の気体を外部に排出する排出口10bが設けられている。また、容器10は、マイクロ波源20から供給されるマイクロ波を受け入れる導波管10aを有する。
[マイクロ波源]
マイクロ波源20は、グリーン成形体70全体を加熱するためのマイクロ波を発生する。マイクロ波の波長は、グリーン成形体70を加熱できるものであれば特に限定されない。マイクロ波の好ましい波長は、895〜940MHz、又は、2400〜2500MHzである。マイクロ波源20は、マイクロ波の出力を、乾燥の進行にしたがって低下させることができるものであることが好ましい。マイクロ波の出力は特に限定されないが、グリーン成形体1個あたり、例えば、1〜10kWとすることができる。
マイクロ波源20は、グリーン成形体70全体を加熱するためのマイクロ波を発生する。マイクロ波の波長は、グリーン成形体70を加熱できるものであれば特に限定されない。マイクロ波の好ましい波長は、895〜940MHz、又は、2400〜2500MHzである。マイクロ波源20は、マイクロ波の出力を、乾燥の進行にしたがって低下させることができるものであることが好ましい。マイクロ波の出力は特に限定されないが、グリーン成形体1個あたり、例えば、1〜10kWとすることができる。
[台座]
台座40(400)は、その上面にグリーン成形体70を載せた状態で、乾燥装置100の外部から容器10内に設置される。台座40(400)は、通気部42(52a)と、通気部42(52a)を囲む通気性のない遮断部44(遮断板52)とを備える。グリーン成形体70は、その複数の貫通孔70aの開口が設けられた一端面(下面)70dが、通気部42を覆うように通気部42上に載置される。通気部42の大きさは、グリーン成形体70の端面70dの大きさ以下である。通気部42は、下方から供給される気体を、上方に通過させる際に、台座40(400)の厚さ方向における気体の流れを均一化する。
台座40(400)は、その上面にグリーン成形体70を載せた状態で、乾燥装置100の外部から容器10内に設置される。台座40(400)は、通気部42(52a)と、通気部42(52a)を囲む通気性のない遮断部44(遮断板52)とを備える。グリーン成形体70は、その複数の貫通孔70aの開口が設けられた一端面(下面)70dが、通気部42を覆うように通気部42上に載置される。通気部42の大きさは、グリーン成形体70の端面70dの大きさ以下である。通気部42は、下方から供給される気体を、上方に通過させる際に、台座40(400)の厚さ方向における気体の流れを均一化する。
遮断部44(遮断板52)は、通気部42(52a)を取り囲んでおり、側面からの気体の漏れを抑制する。
[加熱気体源]
加熱気体源30は、容器10の外に配置されたブロア32と、ブロア32からの気体を通気部42の下面に導く管路36と、管路36に設けられて管路36を流れる気体を加熱するヒータ34とを備える。気体の加熱温度は特に限定されないが、50〜200℃が好ましく、70〜120℃がより好ましい。気体も特に限定されないが、経済的観点から、空気が好ましい。気体の供給量も特に限定されないが、通気部42直上での気体分散板の面積平均の気体の風速が0.1〜10m/秒であることが好ましく、0.5〜5m/秒であることがより好ましい。
加熱気体源30は、容器10の外に配置されたブロア32と、ブロア32からの気体を通気部42の下面に導く管路36と、管路36に設けられて管路36を流れる気体を加熱するヒータ34とを備える。気体の加熱温度は特に限定されないが、50〜200℃が好ましく、70〜120℃がより好ましい。気体も特に限定されないが、経済的観点から、空気が好ましい。気体の供給量も特に限定されないが、通気部42直上での気体分散板の面積平均の気体の風速が0.1〜10m/秒であることが好ましく、0.5〜5m/秒であることがより好ましい。
管路36の出口36aは、通気部42(52a)の下面の面積にあわせて径が広がっており、遮断部44の下面と接触している。
[水蒸気供給口]
容器10の壁には、水蒸気供給口10cが形成されている。水蒸気供給口10cには、水蒸気供給ラインL1を介して水蒸気供給源STMが接続されており、容器10内に水蒸気を供給し、グリーン成形体の周りを水蒸気が存在する雰囲気下に維持することができる。水蒸気の供給条件も特に限定されないが、例えば、温度は100〜200℃、供給量は0.1〜5.0kg/分とすることが好ましい。
容器10の壁には、水蒸気供給口10cが形成されている。水蒸気供給口10cには、水蒸気供給ラインL1を介して水蒸気供給源STMが接続されており、容器10内に水蒸気を供給し、グリーン成形体の周りを水蒸気が存在する雰囲気下に維持することができる。水蒸気の供給条件も特に限定されないが、例えば、温度は100〜200℃、供給量は0.1〜5.0kg/分とすることが好ましい。
[乾燥工程の手順]
グリーン成形体の乾燥工程では、ブロア32を起動するとともに、ヒータ34を起動する。さらに、マイクロ波源20からマイクロ波を容器10内に供給する。さらに、水蒸気供給口10cから容器10内に水蒸気を連続的に供給し、グリーン成形体70の周りを水蒸気が存在する雰囲気とする。
グリーン成形体の乾燥工程では、ブロア32を起動するとともに、ヒータ34を起動する。さらに、マイクロ波源20からマイクロ波を容器10内に供給する。さらに、水蒸気供給口10cから容器10内に水蒸気を連続的に供給し、グリーン成形体70の周りを水蒸気が存在する雰囲気とする。
これにより、グリーン成形体70の周りが水蒸気存在雰囲気とされた状態で、加熱された気体が、管路36を通って通気部42(52a)の下面に供給され、さらに、通気部42(52a)を通過して、グリーン成形体70の各貫通孔70aを通過してグリーン成形体70の上端面70uから排出される。その後、排出された気体は、容器10の排出口10bから排出される。また、この状態で、各グリーン成形体70にマイクロ波が照射される。
このような加熱及び気体の供給により、グリーン成形体70の溶媒成分が除去され、乾燥が進む。ここで、乾燥が進むにつれて、マイクロ波源20から供給するマイクロ波の出力を下げることが好ましい。これにより、過乾燥による局所的な温度上昇による暴走(発火)を抑制するという効果がある。
成形体の最終的な乾燥の程度は特に限定されないが、マイクロ波及び水蒸気の供給を止める時点で、成形体の乾燥率(すなわち、成形体の乾燥前の溶媒質量に対する乾燥により除去された溶媒質量の比)を80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることがさらに好ましい。なお、マイクロ波及び水蒸気の供給を止めた後に、加熱気体のみを流すことによって、より乾燥をすすめることも好ましい。
従来の多孔質の台座を用いた場合、グリーン成形体70の外面近傍が中央部よりも先に過度に乾燥され、グリーン成形体70の変形や外周壁の割れが発生する。一方、本実施形態によれば、通気部42(52a)を介して加熱気体をグリーン成形体70の各貫通孔70aに供給しているので、各貫通孔70aに流れる気体の量の不均一性を抑制することができる。また、加熱気体の供給及びマイクロ波の照射中にグリーン成形体70の周りが水蒸気雰囲気に曝され、かつ遮断部44(遮断板52)によってグリーン成形体70の周りへの加熱気体の供給が抑制されるため、グリーン成形体70の外面近傍が中央部よりも先に過度に乾燥することが抑制される。これにより、乾燥速度の斑が低減され、乾燥に伴うグリーン成形体70の変形や外周壁の割れを抑制され、歩留まりが向上する。なお、乾燥の抑制のために水蒸気を用いることが好ましいが、グリーン成形体70の乾燥を抑制できるのであれば、水蒸気に代えて、その他の蒸気中にグリーン成形体70全体を保持して、上述した乾燥を行ってもよい。また、乾燥に用いる気体としては、加熱気体が好ましいが、常温の気体を用いてもよい。
本実施形態では、容器10内において通気部42(52a)の表面が水平に配置されており、通気部42(52a)の上面にグリーン成形体70を載せられているが、通気部42(52a)の表面を鉛直に配置し、グリーン成形体70の端面70dをこの鉛直表面に接触させた状態で、他の保持部材によりグリーン成形体70を保持してもよい。
乾燥後のグリーン成形体70の寸法を正確に調整するための切断工程を実施してもよい。また、切断後のグリーン成形体70の除塵を行ってもよい。
(封口工程)
封口工程では、グリーン成形体70において複数の貫通孔70aの一方の開口部が位置する第一端面に第一マスクを貼り付ける。第一マスクでは、貫通孔70aと略同様の寸法を有するマスク部と複数の開口部とが千鳥状に配置されている。各貫通孔70aと各マスク部及び開口部とが重なるように、グリーン成形体70の第一端面に第一マスクを貼り付ける。また、グリーン成形体70において第一端面とは反対側の第二端面に、第二マスクを貼り付ける。第二マスクが有する開口部とマスク部の配置関係は第一マスクとは真逆である。したがって、第一端面側で第一マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第二端面側で第二マスクの開口部と重なる。第二端面側で第二マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第一端面側で第一マスクの開口部と重なる。したがって、グリーン成形体70に形成された複数の貫通孔70aのいずれも、第一端面又は第二端面のいずれか一方において開いており、他方においてマスク部で塞がれる。
封口工程では、グリーン成形体70において複数の貫通孔70aの一方の開口部が位置する第一端面に第一マスクを貼り付ける。第一マスクでは、貫通孔70aと略同様の寸法を有するマスク部と複数の開口部とが千鳥状に配置されている。各貫通孔70aと各マスク部及び開口部とが重なるように、グリーン成形体70の第一端面に第一マスクを貼り付ける。また、グリーン成形体70において第一端面とは反対側の第二端面に、第二マスクを貼り付ける。第二マスクが有する開口部とマスク部の配置関係は第一マスクとは真逆である。したがって、第一端面側で第一マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第二端面側で第二マスクの開口部と重なる。第二端面側で第二マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第一端面側で第一マスクの開口部と重なる。したがって、グリーン成形体70に形成された複数の貫通孔70aのいずれも、第一端面又は第二端面のいずれか一方において開いており、他方においてマスク部で塞がれる。
第一端面に対する封口工程では、第一マスクの開口部と重なる各貫通孔70aの開口部(端部)内に上記の封口材を導入する。なお、貫通孔70aに封口材を導入した後、グリーン成形体70全体を振動器により振動させてもよい。これにより、貫通孔70aの端部の隙間に隈なく封口材が充填され易くなる。封口材としては、上記の原料混合物と略同様の物を用いればよい。
以上の第一端面に対する封口工程後、第一端面に対する封口工程と同様に、第二マスクが貼られた第二端面に対する封口工程を実施する。両端面に封口工程を施した後に、各端面から各マスクを剥がす。
(グリーン成形体70の仮焼き工程及び焼成工程)
封口工程後、グリーン成形体70を仮焼き(脱脂)し、且つ焼成する。以上の工程によって、多孔質のセラミックスからなるディーゼル粒子フィルタ170を得ることができる(図7(a)、図7(b)参照。)。
封口工程後、グリーン成形体70を仮焼き(脱脂)し、且つ焼成する。以上の工程によって、多孔質のセラミックスからなるディーゼル粒子フィルタ170を得ることができる(図7(a)、図7(b)参照。)。
仮焼(脱脂)は、グリーン成形体70中の有機バインダや、必要に応じて配合される有機添加物を、焼失、分解等により除去するための工程である。仮焼き工程は、焼成工程の初期段階、すなわちグリーン成形体70が焼成温度に至るまでの昇温段階(例えば、300〜900℃の温度範囲)に相当する。仮焼(脱脂)工程おいては、昇温速度を極力抑えることが好ましい。
グリーン成形体70の焼成温度は、好ましくは1300℃以上、より好ましくは1400℃以上であればよい。また、焼成温度は、好ましくは1650℃以下、より好ましくは1550℃以下である。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。
焼成は通常、大気中で行なわれる。用いる原料粉末、すなわちアルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成を行ってもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼成を行ってもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
焼成に要する時間は、グリーン成形体70を構成する原料粉末の組成及び量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、10分〜24時間であればよい。
仮焼きと焼成を個別に行ってもよい。仮焼き工程では、有機バインダその他の有機添加物の熱分解温度以上であり無機化合物粉末の焼結温度よりも低い温度でグリーン成形体70を加熱すればよい。焼成工程では、仮焼き工程後のハニカム成形体を原料粉末の焼結温度以上の温度で加熱すればよい。
[ディーゼル粒子フィルタ]
ディーゼル粒子フィルタ170では、第一端面側で封口部70bに塞がれた貫通孔70aは、第二端面側に開口部を有する。第二端面側で封口部70bに塞がれた貫通孔70aは、第一端面側に開口部を有する(図7(a)、図7(b)参照。)。貫通孔70aの隔壁表面に、アルミナ等の担体に担持された白金系金属触媒や、セリア又はジルコニア等の助触媒を付着させてもよい。
ディーゼル粒子フィルタ170では、第一端面側で封口部70bに塞がれた貫通孔70aは、第二端面側に開口部を有する。第二端面側で封口部70bに塞がれた貫通孔70aは、第一端面側に開口部を有する(図7(a)、図7(b)参照。)。貫通孔70aの隔壁表面に、アルミナ等の担体に担持された白金系金属触媒や、セリア又はジルコニア等の助触媒を付着させてもよい。
ディーゼル粒子フィルタ170の寸法は限定されない。貫通孔70aの長手方向に垂直な断面の内径(正方形の一辺の長さ)は、例えば0.5〜2.5mmである。貫通孔70aが延びる方向におけるディーゼル粒子フィルタの長さは、例えば30〜350mmである。また、ディーゼル粒子フィルタの外径は、例えば10〜320mmである。ディーゼル粒子フィルタの端面に開いている貫通孔70aの数(セル密度)は、例えば150〜450cpsiである。なお、cpsiとの単位は「/inch2」を意味し、「/(0.0254m)2」に等しい。貫通孔70aの隔壁の厚さは、例えば0.1〜0.76mmである。隔壁70cの気孔率(開気孔率)は、例えば30〜70体積%である。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
例えば、ディーゼル粒子フィルタは、コージェライトやシリコンカーバイド等からなる多孔質のセラミックスであってもよい。この場合、原料粉末として、コージェライト若しくはシリコンカーバイド又はこれらの混合物をもちいればよい。貫通孔の断面形状は、正方形には限定されず、矩形、円形、楕円形、三角形、六角形、八角形等にすることができる。断面の形状及び寸法が互いに異なる複数の種類の貫通孔がディーゼル粒子フィルタに形成されていてもよい。貫通孔同士の間隔や、貫通孔の配置も特に限定されない。ディーゼル粒子フィルタの外形は、円柱に限られず、例えば三角柱、四角柱、六角柱、八角柱等とすることができる。
本発明によれば、変形及び破損が抑制されたグリーン成形体及びディーゼル粒子フィルタを製造することが可能である。
1・・・搬送面、3・・・受台、10・・・容器、10c・・・水蒸気供給口、20・・・マイクロ波源、30・・・加熱気体源、40,400・・・グリーン成形体用の台座、42,52a・・・通気部、42a,54b・・・通気口、44・・・遮断部、52・・・遮断板、54・・・通気板、54a・・・通気板の一部であって、通気部内に露出している部分、56・・・ねじ、56a,56b・・・ねじ穴、70・・・グリーン成形体、70a・・・貫通孔、70b・・・封口部、70c・・・隔壁、70d・・・端面(切断面)、100・・・乾燥装置、170・・・ディーゼル粒子フィルタ。
Claims (5)
- セラミックスの原料粉末、有機バインダ及び溶媒を含む原料混合物を調製する工程と、
前記原料混合物の押出成形により、複数の貫通孔が長手方向に形成された長尺の柱状体を作製する工程と、
前記柱状体を長手方向に垂直に切断して、グリーン成形体を作製する工程と、
前記グリーン成形体の切断面を、鉛直に立てた板状の台座に当接し、前記切断面を当接した状態の前記台座を水平に寝かした後、前記グリーン成形体を載せた前記台座を乾燥装置内へ搬送する工程と、
蒸気が存在する前記乾燥装置内で、前記グリーン成形体の前記複数の貫通孔へ前記台座の通気部を介して気体を供給すると共に、前記グリーン成形体へマイクロ波を照射する工程と、を備え、
前記台座が、
前記台座を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成された前記通気部と、
前記通気部を囲み、前記台座の厚さ方向における気体の流れを遮断する遮断部と、
を備え、
前記台座の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、
前記台座に当接された前記切断面が前記通気部の全体を覆い、
前記台座に当接された前記切断面が前記遮断部の外縁内に収まる、
ディーゼル粒子フィルタの製造方法。 - セラミックスの原料粉末、有機バインダ及び溶媒を含む原料混合物を調製する工程と、
前記原料混合物の押出成形により、複数の貫通孔が長手方向に形成された長尺の柱状体を作製する工程と、
前記柱状体を長手方向に垂直に切断して、グリーン成形体を作製する工程と、
前記グリーン成形体の切断面を、鉛直に立てた板状の台座に当接し、前記切断面を当接した状態の前記台座を水平に寝かした後、前記グリーン成形体を載せた前記台座を乾燥装置内へ搬送する工程と、
蒸気が存在する前記乾燥装置内で、前記グリーン成形体の前記複数の貫通孔へ前記台座の通気部を介して気体を供給すると共に、前記グリーン成形体へマイクロ波を照射する工程と、を備え、
前記台座が、
通気板と、前記通気板に重なる遮断板と、を備え、
前記通気板には、前記通気板を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成されており、
前記遮断板の略中央には、前記遮断板を厚さ方向に貫通する前記通気部が形成されており、
前記遮断板において前記通気部を囲む遮断部は、当該遮断部の厚さ方向における気体の流れを遮断し、
前記通気板の一部であって前記通気部内に露出している部分に複数の前記通気口が配置されており、
前記通気板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、
前記遮断板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、
前記台座に当接された前記切断面が前記通気部の全体を覆い、
前記台座に当接された前記切断面が前記遮断部の外縁内に収まる、
ディーゼル粒子フィルタの製造方法。 - 前記柱状体の下側の側面の一部を、前記柱状体の側面に対応する形状を有する可撓性の受台で支持した状態で、前記柱状体を切断することにより、前記受台で支持された前記グリーン成形体を作製し、
前記受台で支持された前記グリーン成形体の前記切断面を、鉛直に立てた前記台座に当接する、
請求項1又は2に記載のディーゼル粒子フィルタの製造方法。 - 互いに平行な複数の貫通孔が形成された柱状のグリーン成形体を載せる板状の台座であって、
前記台座を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成された通気部と、
前記通気部を囲み、前記台座の厚さ方向における気体の流れを遮断する遮断部と、
を備え、
前記台座の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されている、
グリーン成形体用の台座。 - 互いに平行な複数の貫通孔が形成された柱状のグリーン成形体を載せる板状の台座であって、
通気板と、前記通気板に重なる遮断板と、を備え、
前記通気板には、前記通気板を厚さ方向に貫通する複数の通気口が形成されており、
前記遮断板の略中央には、前記遮断板を厚さ方向に貫通する通気部が形成されており、
前記遮断板において前記通気部を囲む遮断部は、当該遮断部の厚さ方向における気体の流れを遮断し、
前記通気板の一部であって前記通気部内に露出している部分に複数の前記通気口が配置されており、
前記通気板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されており、
前記遮断板の全体がポリテトラフルオロエチレン又はポリスルホンのうち少なくともいずれか一方から構成されている、
グリーン成形体用の台座。
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