JP2014205279A - 透明積層フィルム及び透明基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れ、フィルムの屈折率が調整された、新たな透明積層フィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する積層フィルムであって、該硬化層は、少なくとも一方の硬化層が、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にある酸化ケイ素と、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあり、該酸化ケイ素とは異なる屈折率を有する他の微粒子とを含有する硬化性組成物を用いて形成されていることを特徴とする、透明積層フィルムを提案する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、太陽電池、有機系太陽電池、フレキシブルディスプレイ、有機EL照明、タッチパネルなどの透明電極付き基材として用いることができる透明積層フィルムに関する。詳しくは、高い透明性を備えると共に、例えば、回路形成や各種素子を該フィルムに配置する際などに加熱を行った時の寸法安定性に優れ、且つ屈折率が任意に調整された透明積層フィルムに関する。
照明や表示部材、太陽電池、有機系太陽電池、フレキシブルディスプレイ、有機EL照明などで使用される基板や、フロントシート、バックシートなどには、透明性、軽量性、フレキシブル性のほか、高い耐熱性などの様々な性質が求められる。
従来、有機ELなどの各種表示素子や、太陽電池などの基板材料として、ガラスが用いられてきた。しかしながら、ガラスは、割れやすい、重い、薄型化困難などの欠点があったばかりか、近年のディスプレイの薄型化及び軽量化や、ディスプレイのフレキシブル化に関してガラスは十分な材質を有していなかった。
そのため、ガラスに代わる代替材料として、薄型でかつ軽量の透明樹脂製のフィルム状基板が検討されている。
このような用途において、フィルム状の樹脂製基板を用いる場合、フィルムには高い耐熱性が求められる。例えば、フィルム上にTFTなどの回路を形成する場合、回路形成時にパターンずれを起こさないために、TFTの熱処理温度である200℃前後での高い寸法安定性がフィルムには求められる。
しかし、従来の通常のポリエステルフィルムは、150℃以上(具体的には150℃〜200℃)の高温雰囲気下における熱寸法安定性が不十分であった。
そのため、近年、ガスバリア加工用フィルムや、フレキシブルディスプレイ基板用フィルムとして、高い熱寸法安定性を有する樹脂フィルムが求められている。
高温下における寸法安定性を樹脂フィルムに付与する手段としては、例えば、特許文献1において、フィルム製造工程の最終手段として熱弛緩処理(「アニール処理」「ヒートセット処理」とも称される)を付加する方法が開示されている。
また、特許文献2及び3には、通常の工程によって製造したフィルムの表面に各種塗膜を形成する方法が開示されている。
特許文献4には、ポリマー基板及び平坦化コーティング層を含むフィルムであって、かかるコーティング層の表面上に形成されたバリア層を有する複合フィルムについて開示されている。かかる複合フィルムは、ポリマー基板がヒートセット及び熱安定化されているので、高い寸法安定性を有する。
さらに特許文献5には、平均線膨張係数が50ppm/K以下である層(A層)と、引張弾性率が1GPa以下である層(B層)とを備えた透明多層シートについて開示されている。より具体的には、B層/A層/B層の3層からなる透明多層シートなどが開示され、かかる多層シートは、全光線透過率が91%及び平均線膨張係数が43ppm/Kであって、透明性と寸法安定性に優れることが開示されている。
また、特許文献6には、高温時の寸法安定性が高く、透明性の高いポリイミドやポリアミドなどが開示されている。これらは、流延法によって製膜していることから配向が殆ど存在しないため、加熱を行った際の収縮は発生しない。
特許文献7には、環状オレフィン系重合体を有するフィルム(I)の両面に、特定の化合物で表面変性した酸化物粒子及び特定の構造を有する重合性不飽和基を含む硬化性組成物を用いて形成された粒子含有層(II)を有し、かかる粒子含有層(II)がフィルム(I)の膜厚100に対して、0.1〜30の範囲で積層されてなる積層フィルムについて開示されている。
特開2008−265318号公報 特開2001−277455号公報 特許第2952769号 特表2011−518055号公報 特開2007−298732号公報 特開昭61−141738号公報 特開2010−23234号公報
上記特許文献1に記載に記載されているように、従来タッチパネルなどの基材シートとして用いる透明樹脂フィルムは、高温(例えば200℃以上)での寸法安定性を高めるために、ヒートセット処理を施して製造するのが一般的であった。
そのため、製造工程が複雑になり、フィルム自体の製造コストが高くなってしまうという課題を抱えていた。
また、これらの樹脂フィルムでは屈折率が樹脂材料の屈折率に依存する為、フィルム上に透明電極回路を形成する場合、透明電極層とフィルムとの屈折率が異なると、光の回折、反射現象が発生するため、いわゆる虹ムラ現象や電極回路が視認されてしまうという問題を抱えている。
また、このような問題に対して、フィルムの屈折率差を調整するために、フィルム上に屈折率調整層を積層する方法が考えられるが、屈折率調整層の線膨張係数が高いと、フィルムの寸法安定性が損なわれるという問題が生じる。
そこで本発明の目的は、従来技術の問題を鑑み、透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れ、フィルムの屈折率が調整された、新たな透明積層フィルムを提供することにある。
基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する積層フィルムであって、少なくとも一方の硬化層が、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にある酸化ケイ素と、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあり、該酸化ケイ素とは異なる屈折率を有する他の微粒子とを含有する硬化性組成物を用いて形成されていることを特徴とする、透明積層フィルムを提案する。
本発明が提案する透明積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に所定の微粒子を含有する硬化層を設けたことにより、透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れると共に、目的に応じた所定の屈折率を有するという光学特性をも備えることができる。
また本発明が提案する透明積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に設けられた硬化層を異なる屈折率を有する2種類以上の所望の微粒子を用いて形成することによりフィルムの屈折率を自由に調整でき、例えば、透明電極部材の屈折率に近い屈折率を備えるという光学特性を有すると共に、基材フィルムが高温時に収縮しようとする応力に耐えることができるので、透明性を維持しつつ、加熱処理による寸法変化(熱寸法安定性)が少ないという利点がある。
よって、本発明が提案する透明積層フィルムは、例えば、液晶ディスプレイ、有機発光ディスプレイ(OLED)、電気泳動ディスプレイ(電子ペーパー)、タッチパネル、カラーフィルター、バックライトなどのディスプレイ材料の基板や、太陽電池の基板のほか、光電素子基板などに好適に使用することができる。
また、本発明が提案する透明積層フィルムは、前記のような利点を備えることから、高温での寸法安定性が要求される用途、特に包装用フィルム、電子部品用フィルムのほか、ガスバリア加工を行うことで、有機ELなどの半導体デバイスや、液晶表示素子、太陽電池用途にも好適に使用することができる。
また、本発明が提案する透明積層フィルムは、屈折率を自由に調整可能であり、且つ屈折率の調整を行っても寸法安定性を損なう心配がないことから、透明電極層の形成においても好適に使用することができる。
次に、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明が下記実施形態に限定されるものではない。
<透明積層フィルム>
本発明の実施形態の一例に係る透明積層フィルム(以下、「本積層フィルム」と称する。)は、基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する透明積層フィルムである。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に所定の硬化層を有するため、高温領域における基材フィルムの収縮応力に当該硬化層が対抗して収縮を緩和することができる。そのため、高温時の収縮に対する本積層フィルムの寸法安定性を向上させることができる。
また本積層フィルムは、硬化層中に存在する屈折率の異なる2種類以上の微粒子によって、フィルム全体の屈折率を調整することができ、所定の光学特性を有する。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両面に硬化層を直接重ねて積層してもよいし、また、基材フィルムと当該硬化層との間に他の層を介在させてもよい。例えば、基材フィルムと当該硬化層との間にアンカーコート層などを介在させることができる。
<硬化層>
少なくとも一方の硬化層は、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にある酸化ケイ素と、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあり、該酸化ケイ素とは異なる屈折率を有する他の微粒子とを含有する硬化性組成物により形成された層である。なお、本積層フィルムの「硬化層」は、基材フィルムの表裏両側に、硬化性組成物を塗布し"硬化"させて形成するのが通常であるため、"硬化層"という名称とした。但し、硬化層の形成方法をそのような方法に限定するものではない。また、基材フィルムの表裏両側に形成された硬化層の他方は、上記と同様の微粒子を含有する硬化性組成物により形成された硬化層であってもよいし、微粒子を含有しない硬化性組成物により形成された硬化層であってもよい。
<硬化性組成物>
硬化層を形成するための硬化性組成物としては、例えば、有機シロキサン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂などの光透過性をもつ光硬化性樹脂を含む組成物や、透明ポリイミド前駆体ワニスなどを含む組成物を挙げることができる。これらの中でも、重合性不飽和結合を有する化合物、具体的にはエチレン性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマーなどの光重合性化合物を好適な例示として挙げることができる。
光重合性化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、フルオレン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーのほか、単官能或いは多官能の(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーなどを挙げることができる。なお、本明細書において、モノマーとは、重合性官能基を有する構造単位の繰り返しがないものを表し、オリゴマーとは、重合性官能基を有する構造単位の繰り返し数が2以上であって、かつ末端に重合性官能基を有するものを表す。特に、迅速に硬化反応を進行させる観点から、アクリレートモノマー、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートを用いることが好ましい。また、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記単官能又は多官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の単官能モノマーや、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の2官能モノマーや、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレート等の3官能アクリレートモノマーや、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能アクリレートモノマーや、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等の5官能モノマーや、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能アクリレートモノマーなどを挙げることができる。なお、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
(多官能アクリレートモノマー)
これらの中でも、1分子内に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーを使用することが好ましい。これらの官能基を2個以上有することにより、分子の対称性が高くなり、その結果、分子の双極子モーメントが低下し、微粒子(特に無機微粒子)同士の凝集を抑制することが可能となる。
光重合性化合物の分子量は、215〜4000の範囲にあることが好ましく、250〜3000の範囲にあることがより好ましく、300〜2000の範囲にあることが更に好ましい。このような分子量範囲の光重合性化合物を用いることで、分子量が低すぎて、乾燥工程などでモノマーが無機微粒子へ吸着されてしまうなどの虞がなく、また分子量が高すぎて、硬化性組成物の粘度が過度に大きくなり、微粒子の分散が抑制され、微粒子同士が凝集してしまうなどの問題がなく、結果として、硬化層が基材フィルムの高温時の収縮を効果的に抑え込むことができる。なお、本明細書において、光重合性化合物の分子量が1500を超える場合には、重量平均分子量(Mw)としての分子量を表すものとする。
上記の他にも、例えば、硬化層の硬化性、吸水性及び硬度などの物性を調整するために、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のポリマー成分を、上記硬化性組成物に対して任意で添加することができる。なお、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
(光重合開始剤)
上記硬化性組成物を硬化する際において、光重合開始剤を使用することが好ましく、この光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等を挙げることができる。
上記の光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
(微粒子)
本積層フィルムの「硬化層」に含有される微粒子は、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあることを要し、中でも平均粒径が1nm以上或いは10nm以下、その中でも4nm以上或いは50nm以下の範囲にあることが特に好ましい。平均粒径が、かかる範囲にある微粒子を使用することで、ミー散乱現象によって入射する光に対して散乱現象を起こすことがなく、フィルムの透明性を確保することができる。
本積層フィルムの硬化層は、光の散乱が少ないナノレベルの粒径を有し、且つ隣接する粒子との距離が限りなく小さい値となるような最密充填構造(空間充填率74%)に近い充填状態で含有されるのが特に好ましい。上記のような微粒子を使用することにより。そのような硬化層を形成することが可能となる。
ここで「平均粒径」とは、数平均粒径の意味であり、微粒子の形状が球状の場合には、「測定粒子の円相当径の総和/測定粒子の数」で算出することができ、また、微粒子の形状が球状でない場合には、「短径と長径の総和/測定粒子の数」で算出することができる。
また、2種類以上の微粒子を含有する場合には、それら混合粒子の平均粒径が前記の「平均粒径」となる。
硬化層に含有する微粒子の1つは、酸化ケイ素であり、その屈折率は1.45である。従って、硬化層に含有される他の微粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(屈折率:1.76)、酸化チタン(屈折率:2.52)、ソーダガラス(屈折率:1.51)、ダイヤモンド(屈折率:2.42)、ジルコニア(屈折率:2.40)、フッ化マグネシウム(屈折率:1.37)等の透明性を有する無機微粒子を挙げることができる。これらの中でも、硬化層の貯蔵弾性率を向上させることができ、本積層フィルムに高い寸法安定性を付与させることができるという点や、比重や価格等の点から、酸化ケイ素微粒子が好ましく、中でも特に、有機溶媒に分散されたコロイドゾルが好ましい。
微粒子は、硬化性組成物中での分散性又は塗料としてコーティングする際の溶媒との分散性の観点から、表面修飾処理されたものを用いることもできる。
特に硬化性組成物及び有機溶媒との分散性の面に於いて、疎水性の表面処理剤にて表面処理された微粒子を用いることが好ましい。
また特にその中でもシランカップリング剤、更にその中でもメタクリルシラン系カップリング剤、ビニルシラン系カップリング剤、フェニルシラン系カップリング剤によって処理された微粒子が好ましい。
メタクリルシラン系カップリング剤としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
ビニルシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、フェニルシラン系カップリング剤としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらの中でも、メタクリルシラン系カップリング剤によって処理された微粒子は、特にバインダーとの親和性が高いため最も好ましい。
微粒子に対して表面処理を行う場合、理論的な表面処理量は以下の式で計算される。
添加量(g)=充てん材の重量(g)×比表面積(m/g)/シランカップリング剤の最小被覆面積(m/g)
ここでいう最小被覆面積とは、以下の式で計算されるものである。
最小被覆面積(m/g)=6.02 × 1023 × 13 × 10− 20/シランカップリング剤の分子量
上記の式より導き出される添加量より表面処理剤の量が少ない場合、粒子同士の凝集等が起こり適切に分散しない。また、添加量に対して過剰に表面処理剤が存在する場合、溶媒等に分散させた場合液粘度の急激な上昇や気泡の発生等の問題が発生するため、理論的な表面処理量の3倍以内が望ましい。
上記の表面処理された微粒子を用いることで、硬化層中に高濃度、且つ均一に微粒子を分散させることができ、結果的に散乱現象の発生を防ぐと共に、熱寸法安定性の偏りも防ぐことも可能になる。
硬化層における微粒子の合計含有率としては、硬化層全体を基準として、30〜70体積%(固形分換算)とすることが好ましく、40〜65体積%とすることがより好ましく、50〜65体積%とすることが最も好ましい。このような範囲とすることによって、微粒子の分散が可能な範囲で透明性を維持しつつ、優れた熱寸法安定性を最大限に発揮することが可能となる。
(添加剤等)
上記の硬化性組成物は、上記以外の成分として、上記例示以外の他の光硬化性のオリゴマー・モノマーや光開始剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で含有することができる。
(溶剤)
上記硬化性組成物は、必要によって溶剤を添加して使用することができる。すなわち、上記硬化性組成物を含む溶液として使用することができ、この溶液を基材フィルムに、塗布・硬化して硬化層を硬化塗布層として形成することができる。
後述する種々のコーティング方式に応じて、溶剤の種類や添加量は適宜選択することができる。
上記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、さらにシクロヘキサノン、イソプロパノール等を例示することができる。
これら溶剤の使用量は、特に制限されるものではない。通常、硬化性組成物の固形分全体量100質量部に対して、0〜300質量部である。
(混合割合)
上記硬化性組成物中に含まれる上記光重合性化合物の含有量としては、硬化性組成物全体に対して、30〜50体積%(固形分換算)とすることが好ましく、30〜45体積%とすることがより好ましく、35〜45体積%とすることが最も好ましい。光重合性化合物の含有量が少ないと、微粒子の分散が困難になるため、微粒子同士の凝集が発生し、透明性が著しく悪化する。また、光重合性化合物の含有量が多すぎないことで、フィルム全体の熱寸法安定性に対する微粒子の寄与が半減し、微粒子が有する優れた熱寸法安定性が発揮できなくなってしまう虞がない。
また上記硬化性組成物中に含まれる上記光重合開始剤の含有量としては、硬化性組成物全体に対して、1〜10体積%(固形分換算)とすることが好ましく、2〜4体積%とすることがより好ましい。このような範囲とすることによって、硬化反応を確実に効率よく進めることが可能となる。
上記硬化性組成物中に含まれる、光重合性化合物、光重合開始剤及び微粒子の混合割合としては、光重合性化合物を29〜49体積%、光重合開始剤を0.3〜5.0体積%及び微粒子を50〜70体積%の混合割合とするのが好ましく、光重合性化合物を29〜44体積%、光重合開始剤を0.7〜3.0体積%及び微粒子を55〜70体積%とするのがより好ましく、光重合性化合物を34〜44体積%、光重合開始剤を0.7〜2.0体積%及び微粒子を55〜65体積%%とするのが最も好ましい。このような混合割合とすることで、微粒子が有する優れた熱寸法安定性を最大限に発揮しつつ、透明性、生産性を備えた積層フィルムを効率よく安定的に供給することが可能となる。
また2種以上の微粒子の混合割合としては、微粒子の合計量全体に対して、酸化ケイ素を1〜99体積%とし、それ以外の微粒子を99〜1体積%とすることが好ましい。
(硬化層の厚み)
硬化層の厚みは、表裏両側の硬化層の厚みの合計を基材フィルムの厚みの5%以上とするのが好ましい。表裏両側の硬化層の厚みの合計を基材フィルムの厚みの5%以上とすれば、本積層フィルムの高温時の貯蔵弾性率を高く保持することができ、高い寸法安定性を本積層フィルムに持たせることができる。
かかる観点から、前記硬化層の厚み合計は、基材フィルムの厚みの5%より大きいことが好ましく、特に7%以上或いは400%以下であることがより一層好ましく、中でも特に80%以上或いは200%以下であることがさらに好ましい。
<基材フィルム>
本積層フィルムに用いる基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、透明ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンホモポリマー、環状オレフィンコポリマー等の環状オレフィン系樹脂などからなるフィルムを挙げることができる。
これらの中でも、透明であり且つ融点が220℃以上であるか、又はガラス転移温度(Tg)が200℃以上であるという観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(Tg85℃、融点266℃)、ポリエーテルイミド樹脂(Tg234℃、融点275℃)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(Tg223℃、融点280℃)、ポリエーテルサルフォン樹脂(Tg225℃)、ポリエチレンナフタレート樹脂(Tg155℃、融点270℃)、透明ポリイミド樹脂(Tg250℃以上)などの樹脂からなるフィルムを該基材フィルムとして使用するのが好ましい。
これらは一種類または二種類以上の樹脂を組み合わせて含有するフィルムを使用することができる。
なお、上記の透明ポリイミド樹脂として、ポリイミド樹脂の主鎖にヘキサフルオロイソプロピリデン結合を導入したものや、ポリイミド中の水素をフッ素に置換したフッ素化ポリイミドの他、ポリイミド樹脂の構造中に含まれる環状不飽和有機化合物を水添した脂環式ポリイミドなどを挙げることができる。例えば特開昭61−141738号公報、特開2000−292635号公報等に記載されたものを使用することもできる。
(ヒートセット処理)
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に所定の硬化層を設けることにより、基材フィルムに対してヒートセット処理を行わなくても、透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れた透明積層フィルムを得ることができる。しかしながら、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされたフィルムを使用することも可能である。
基材フィルム上に硬化性組成物を塗布する前に、予め基材フィルムにヒートセット処理を施すことにより、基材フィルム及び本積層フィルムの寸法安定性をさらに向上させることができる。
中でも、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされた2軸延伸ポリエステルフィルムは、基材フィルムとして好ましい一例である。
基材フィルムのヒートセット処理は、該基材フィルムのガラス転移温度をTgとした際、Tg〜Tg+100℃の温度で0.1〜180分間、該基材フィルムを加熱処理するのが好ましい。
ヒートセット処理の具体的手法は、必要な温度、時間を維持できる方法であれば特に限定されない。例えば、必要な温度に設定したオーブンや恒温室で保管する方法、熱風を吹き付ける方法、赤外線ヒーターで加熱する方法、ランプで光を照射する方法、熱ロールや熱板と接触させて直接的に熱を付与する方法、マイクロ波を照射する方法などが使用できる。また、取扱が容易な大きさにフィルムを切断してから加熱処理しても、フィルムロールのままで加熱処理してもよい。さらに、必要な時間と温度を得ることができる限りにおいては、コーター、スリッター等のフィルム製造装置の一部分に加熱装置を組み込み、製造過程で加熱を行うこともできる。
(基材フィルムの厚み)
基材フィルムの厚みは、1μm〜200μmであるのが好ましく、5μm以上或いは100μm以下であることがさらに好ましい。このような範囲とすることで、光線透過率の向上、ハンドリング性能が高いなどの利点を得ることができる。
<本積層フィルムの物性>
次に、本積層フィルムが備えることができる各種物性について説明する。
(全光線透過率)
本積層フィルムは、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。本積層フィルムがかかる範囲の全光線透過率を有することで、照明やディスプレイ等では光の減衰を抑えることができ、より明るくなる。また、太陽電池部材としてはより多くの光を取り込めるなどの利点を得ることができる。なお、硬化層における光重合性化合物の種類、微粒子の種類と粒径、微粒子の含有量などを調整することで、該光線透過率を調整することができる。
(熱収縮率)
本積層フィルムは、JIS−C23307.4.6.1(収縮寸法変化率:A法)に準じて測定される、温度200℃で10分間加熱した後、室温(25℃)で測定した縦方向及び横方向の収縮率が1%以下であることが好ましい。
本積層フィルムがかかる範囲の収縮率を有することで、回路や素子を形成する際の寸法ズレを少なくし、また無機バリア層を積層させる際にもより高いバリア性を得られる利点を有する。
本積層フィルムの屈折率は、1.3〜2.6であることが好ましく、1.5〜2.6であることがより好ましく、1.6〜2.4であることが最も好ましい。かかる範囲であれば、フィルム上に透明電極回路を形成する場合における、いわゆる虹ムラ現象や電極回路が視認されてしまうという問題を最小限に抑えることが可能となる。
<本積層フィルムの製造方法>
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に、微粒子を含む硬化性組成物を塗布して硬化させて硬化層を形成することにより製造することができる。
硬化性組成物を塗工する方法としては、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、ディップコートなどによって、微粒子と共に硬化性組成物を基材フィルムに塗工する方法を挙げることができる。また、ガラスやポリエステルフィルム上で硬化層を成型した後、成型した硬化層を基材フィルムに転写させる方法も有効である。
以上のように微粒子を含む硬化性組成物を基材フィルムに塗工した後、該硬化性組成物を硬化(架橋)させる方法としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等の方法を単独又は組み合わせて用いることができる。中でも、短時間かつ比較的容易に硬化達成可能なことから、紫外線硬化による方法を用いることが好ましい。紫外線により硬化させる場合、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。
また高圧水銀灯を使用する場合、80〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜60m/分で硬化させるのが好ましい。
一方、電子線により硬化させる場合、100〜500eVのエネルギーを有する電子線加速装置の使用が好ましい。
<用途>
本積層フィルムは、上述のように、透明性を維持しつつ、加熱処理による寸法変化(熱寸法安定性)が少ないという利点を有するため、例えば、液晶ディスプレイ、有機発光ディスプレイ(OLED)、電気泳動ディスプレイ(電子ペーパー)、タッチパネル、カラーフィルター、バックライトなどのディスプレイ材料の基板や、太陽電池の基板のほか、光電素子基板のうち、特に透明電極を有する基板などに好適に使用することができる。
また、本積層フィルムは、前記のような利点を備えることから、高温での寸法安定性が要求される用途、特に包装用フィルム、電子部品用フィルムのほか、ガスバリア加工を行うことで、有機ELなどの半導体デバイスや、液晶表示素子、太陽電池用途にも好適に使用することができる。
<用語の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例等により何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]
(硬化性組成物Aの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)13.0質量%、透明微粒子A(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」、シリカナノ粒子、屈折率1.458、平均粒径10nm)を23.2質量%、透明微粒子B(株式会社ソーラー、商品名「NANON5 ZR−010」、酸化ジルコニウム30質量%分散液、粒子の屈折率2.180、平均粒径13.7nm)を63.4質量%(乾燥後の固形分質量換算)及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.4質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)30.0質量部を均一に混合し、屈折率調整層形成用の硬化性組成物を得た(以下、「塗料A」と称する。組成物中の固形分量は70%であった。)。
(透明積層フィルム1の作製)
厚さ23μmの二軸延伸フィルム(三菱樹脂製、商品名「T602E25N−N」、ポリエチレンテレフタレートフィルム、以下「フィルムA」と称する)の片面に、上記で調製した塗料Aを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
前記フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Aを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された耐熱光学フィルムを得た。後述する測定方法に準拠して、得られた透明積層フィルム1の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、透明積層フィルム1の屈折率は1.70であった。
[実施例2]
(硬化性組成物Bの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)21.8質量%、透明微粒子Aを54.3質量%、透明微粒子Bを23.2質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.7質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)34.1質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物を得た(以下、「塗料B」と称する。組成物中の固形分量は66%であった。)。
(透明積層フィルム2の作製)
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Bを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
前記フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Bを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された耐熱光学フィルムを得た。後述する測定方法に準拠して、得られた透明積層フィルム2の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、透明積層フィルム2の屈折率は1.61であった。
[実施例3]
(シランカップリング剤の調整)
シランカップリング剤として、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:「KBM−503」、信越化学工業株式会社製)を準備した。該シランカップリング剤70質量部、純水14.5質量部及びアルコール14.5質量部を、ステンレス製容器に入れ、攪拌しながら0.01モル/リットル塩酸1質量部を添加し、10℃のクリーンルーム内で一時間撹拌を続け、シランカップリング剤の加水分解物(分子量:248.4)を得た。
(硬化性組成物Cの調整)
透明微粒子C(住友化学株式会社製、商品名「AKP−G008」、アルミナナノ粒子、屈折率1.76、平均粒径20nm)30質量部、上記で得られたシランカップリング剤の加水分解物6質量部及び分散媒としてメチルイソブチルケトンを64質量部用意して、これらを攪拌して調合した。調合して得られた液をビーズ径が100μmのジルコニアビーズを攪拌容器に入れたビーズミル装置を用いて粉砕し、アルミナナノ粒子分散液Cを得た。
得られたアルミナナノ粒子分散液Cを53.2質量%(乾燥後の固形分質量換算)、透明微粒子Aを30.0質量%、トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)16.8質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.5質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)30質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物を得た(以下、「塗料C」と称する。組成物中の固形分量は67.7質量%であった。)。
(透明積層フィルム3の作製)
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Cを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
前記フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Bを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された耐熱光学フィルムを得た。後述する測定方法に準拠して、得られた透明積層フィルム3の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、透明積層フィルム3の屈折率は1.57であった。
[比較例1]
(硬化性組成物Dの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)21.9質量%、透明微粒子Aを77.4質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.7質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)34.1質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物Dを得た(以下、「塗料D」と称する。組成物中の固形分量は66%であった。)。
(積層フィルム1の作製)
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Dを、硬化後の厚みが3.0μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。
該フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Dを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された積層フィルムを得た。得られた積層フィルム1の硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
後述する測定方法に準拠して、得られた積層フィルム1の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、積層フィルム1の屈折率は1.48であった。
[比較例2]
(硬化性組成物Eの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)79.4質量%、透明微粒子Aを18.2質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)2.5質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)50質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物Aを得た(以下、「塗料E」と称する。組成物中の固形分量は66%であった。)。
(積層フィルム2の作製)
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Eを、硬化後の厚みが3.0μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。
該フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Eを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された積層フィルムを得た。得られた積層フィルム1の硬化層における粒子の体積割合は10.0体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は83.7体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は2.7体積%であった。
後述する測定方法に準拠して、得られた積層フィルム2の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、積層フィルム2の屈折率は1.50であった。
<特性評価及び測定条件>
上記実施例及び比較例において作製したフィルムについて、以下に記載の方法に準拠し、全光線透過率及び屈折率を測定した。
(屈折率の測定方法)
フィルムの屈折率は、試験装置:ATAGO社のアッベ屈折計1Tを用い、JIS K 7142に準拠する方法にて測定した。
(全光線透過率の測定)
フィルムの全光線透過率は、以下の装置を用い、JIS K7105に準拠する方法にて測定した。
反射・透過率計:株式会社村上色彩技術研究所「HR−100」
(平均粒径)
微粒子の平均粒径は、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)S−4500を用いて測定した。具体的には、試料の傾斜角を30度、加速電圧5kV、ソーキングディスタンス15mm、直接倍率を30,000倍に設定し、デジタル画像を取得後、得られた画像からランダムに200個の粒子の粒径を実測し、その平均を求めることで微粒子の平均粒径とした。
(へーズ)
フィルムのヘーズは、以下の装置を用い、JIS K7105に準拠する方法にて測定した。
反射・透過率計:株式会社村上色彩技術研究所「HR−100」
得られたフィルムから縦方向及び横方向からそれぞれ長さ140mm×幅10mmの短冊状にフィルムを切り出し、その中間に長さ100mm間隔の標線を記入した試験片を、150℃及び180℃に設定した恒温槽内で10分間無荷重の状態で懸垂し、取り出した後、室温で、15分以上放冷し、恒温槽に入れる前後の標線間の長さから熱収縮率を%値で求めた。なお、測定は各5回行い、その平均値を算出し、少数第三位を四捨五入した値を記載した。なお、熱収縮率は、フィルムの長手方向である縦方向(MD方向)と、これに直交する横方向(TD方向)の両方について測定した。得られた熱収縮率を表1に示す。
Figure 2014205279
(考察)
基材フィルムの両面に硬化層を積層した構成とし、該硬化層中に径の小さな酸化ケイ素の微粒子が充填されることにより、透明性を損なうことなくフィルムの熱的安定性を高めることができる。
また、酸化ケイ素以外に屈折率の異なる微粒子が硬化層に充填されているため、フィルム全体の熱的安定性を損なわずに、フィルムの屈折率調整が可能となることが分かった。

Claims (8)

  1. 基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する積層フィルムであって、
    少なくとも一方の硬化層が、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にある酸化ケイ素と、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあり、該酸化ケイ素とは異なる屈折率を有する他の微粒子とを含有する硬化性組成物を用いて形成されていることを特徴とする、透明積層フィルム。
  2. 前記硬化性組成物が、他の微粒子として、ジルコニアを含む、請求項1記載の透明積層フィルム。
  3. 前記硬化層の厚み合計が、基材フィルムの厚みの5%以上である、請求項1又は2記載の透明積層フィルム。
  4. 前記硬化層中の微粒子の合計含有量が、50〜70体積%である、請求項1〜3の何れか一項記載の透明積層フィルム。
  5. 基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂及び透明ポリイミド樹脂からなる群から選ばれるいずれか一種以上の樹脂からなる、請求項1〜4の何れか一項記載の透明積層フィルム。
  6. JIS−C23307.4.6.1(収縮寸法変化率:A法)に準じて測定される、温度200℃で10分間加熱した後、室温(25℃)で測定した縦方向及び横方向の収縮率が1%以下である、請求項1〜5の何れか一項記載の透明積層フィルム。
  7. 積層フィルムの屈折率が、1.5〜〜2.6である、請求項1〜6の何れか一項記載の透明積層フィルム。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の透明積層フィルムを基材として有する透明基板。
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