JP2014205279A - 透明積層フィルム及び透明基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する積層フィルムであって、該硬化層は、少なくとも一方の硬化層が、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にある酸化ケイ素と、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあり、該酸化ケイ素とは異なる屈折率を有する他の微粒子とを含有する硬化性組成物を用いて形成されていることを特徴とする、透明積層フィルムを提案する。
【選択図】なし
Description
そのため、ガラスに代わる代替材料として、薄型でかつ軽量の透明樹脂製のフィルム状基板が検討されている。
しかし、従来の通常のポリエステルフィルムは、150℃以上(具体的には150℃〜200℃)の高温雰囲気下における熱寸法安定性が不十分であった。
そのため、近年、ガスバリア加工用フィルムや、フレキシブルディスプレイ基板用フィルムとして、高い熱寸法安定性を有する樹脂フィルムが求められている。
また、特許文献2及び3には、通常の工程によって製造したフィルムの表面に各種塗膜を形成する方法が開示されている。
そのため、製造工程が複雑になり、フィルム自体の製造コストが高くなってしまうという課題を抱えていた。
よって、本発明が提案する透明積層フィルムは、例えば、液晶ディスプレイ、有機発光ディスプレイ(OLED)、電気泳動ディスプレイ(電子ペーパー)、タッチパネル、カラーフィルター、バックライトなどのディスプレイ材料の基板や、太陽電池の基板のほか、光電素子基板などに好適に使用することができる。
本発明の実施形態の一例に係る透明積層フィルム(以下、「本積層フィルム」と称する。)は、基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する透明積層フィルムである。
また本積層フィルムは、硬化層中に存在する屈折率の異なる2種類以上の微粒子によって、フィルム全体の屈折率を調整することができ、所定の光学特性を有する。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両面に硬化層を直接重ねて積層してもよいし、また、基材フィルムと当該硬化層との間に他の層を介在させてもよい。例えば、基材フィルムと当該硬化層との間にアンカーコート層などを介在させることができる。
少なくとも一方の硬化層は、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にある酸化ケイ素と、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあり、該酸化ケイ素とは異なる屈折率を有する他の微粒子とを含有する硬化性組成物により形成された層である。なお、本積層フィルムの「硬化層」は、基材フィルムの表裏両側に、硬化性組成物を塗布し"硬化"させて形成するのが通常であるため、"硬化層"という名称とした。但し、硬化層の形成方法をそのような方法に限定するものではない。また、基材フィルムの表裏両側に形成された硬化層の他方は、上記と同様の微粒子を含有する硬化性組成物により形成された硬化層であってもよいし、微粒子を含有しない硬化性組成物により形成された硬化層であってもよい。
硬化層を形成するための硬化性組成物としては、例えば、有機シロキサン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂などの光透過性をもつ光硬化性樹脂を含む組成物や、透明ポリイミド前駆体ワニスなどを含む組成物を挙げることができる。これらの中でも、重合性不飽和結合を有する化合物、具体的にはエチレン性不飽和結合を有するモノマー又はオリゴマーなどの光重合性化合物を好適な例示として挙げることができる。
光重合性化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、フルオレン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーのほか、単官能或いは多官能の(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーなどを挙げることができる。なお、本明細書において、モノマーとは、重合性官能基を有する構造単位の繰り返しがないものを表し、オリゴマーとは、重合性官能基を有する構造単位の繰り返し数が2以上であって、かつ末端に重合性官能基を有するものを表す。特に、迅速に硬化反応を進行させる観点から、アクリレートモノマー、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートを用いることが好ましい。また、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、1分子内に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する多官能アクリレートモノマーを使用することが好ましい。これらの官能基を2個以上有することにより、分子の対称性が高くなり、その結果、分子の双極子モーメントが低下し、微粒子(特に無機微粒子)同士の凝集を抑制することが可能となる。
上記硬化性組成物を硬化する際において、光重合開始剤を使用することが好ましく、この光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサントン系、フォスフィンオキシド系及びパーオキシド系等を挙げることができる。
上記の光重合開始剤の具体例としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、メチルベンゾイルホルメート等を例示することができる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本積層フィルムの「硬化層」に含有される微粒子は、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあることを要し、中でも平均粒径が1nm以上或いは10nm以下、その中でも4nm以上或いは50nm以下の範囲にあることが特に好ましい。平均粒径が、かかる範囲にある微粒子を使用することで、ミー散乱現象によって入射する光に対して散乱現象を起こすことがなく、フィルムの透明性を確保することができる。
本積層フィルムの硬化層は、光の散乱が少ないナノレベルの粒径を有し、且つ隣接する粒子との距離が限りなく小さい値となるような最密充填構造(空間充填率74%)に近い充填状態で含有されるのが特に好ましい。上記のような微粒子を使用することにより。そのような硬化層を形成することが可能となる。
また、2種類以上の微粒子を含有する場合には、それら混合粒子の平均粒径が前記の「平均粒径」となる。
特に硬化性組成物及び有機溶媒との分散性の面に於いて、疎水性の表面処理剤にて表面処理された微粒子を用いることが好ましい。
また特にその中でもシランカップリング剤、更にその中でもメタクリルシラン系カップリング剤、ビニルシラン系カップリング剤、フェニルシラン系カップリング剤によって処理された微粒子が好ましい。
ビニルシラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、フェニルシラン系カップリング剤としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
これらの中でも、メタクリルシラン系カップリング剤によって処理された微粒子は、特にバインダーとの親和性が高いため最も好ましい。
添加量(g)=充てん材の重量(g)×比表面積(m2/g)/シランカップリング剤の最小被覆面積(m2/g)
ここでいう最小被覆面積とは、以下の式で計算されるものである。
最小被覆面積(m2/g)=6.02 × 1023 × 13 × 10− 20/シランカップリング剤の分子量
上記の硬化性組成物は、上記以外の成分として、上記例示以外の他の光硬化性のオリゴマー・モノマーや光開始剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、充填材、熱可塑性樹脂等を、硬化性や透明性、吸水性等の物性に支障とならない範囲で含有することができる。
上記硬化性組成物は、必要によって溶剤を添加して使用することができる。すなわち、上記硬化性組成物を含む溶液として使用することができ、この溶液を基材フィルムに、塗布・硬化して硬化層を硬化塗布層として形成することができる。
後述する種々のコーティング方式に応じて、溶剤の種類や添加量は適宜選択することができる。
上記硬化性組成物中に含まれる上記光重合性化合物の含有量としては、硬化性組成物全体に対して、30〜50体積%(固形分換算)とすることが好ましく、30〜45体積%とすることがより好ましく、35〜45体積%とすることが最も好ましい。光重合性化合物の含有量が少ないと、微粒子の分散が困難になるため、微粒子同士の凝集が発生し、透明性が著しく悪化する。また、光重合性化合物の含有量が多すぎないことで、フィルム全体の熱寸法安定性に対する微粒子の寄与が半減し、微粒子が有する優れた熱寸法安定性が発揮できなくなってしまう虞がない。
硬化層の厚みは、表裏両側の硬化層の厚みの合計を基材フィルムの厚みの5%以上とするのが好ましい。表裏両側の硬化層の厚みの合計を基材フィルムの厚みの5%以上とすれば、本積層フィルムの高温時の貯蔵弾性率を高く保持することができ、高い寸法安定性を本積層フィルムに持たせることができる。
かかる観点から、前記硬化層の厚み合計は、基材フィルムの厚みの5%より大きいことが好ましく、特に7%以上或いは400%以下であることがより一層好ましく、中でも特に80%以上或いは200%以下であることがさらに好ましい。
本積層フィルムに用いる基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、透明ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状オレフィンホモポリマー、環状オレフィンコポリマー等の環状オレフィン系樹脂などからなるフィルムを挙げることができる。
これらは一種類または二種類以上の樹脂を組み合わせて含有するフィルムを使用することができる。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に所定の硬化層を設けることにより、基材フィルムに対してヒートセット処理を行わなくても、透明性及び高温(例えば200℃以上)における熱寸法安定性に優れた透明積層フィルムを得ることができる。しかしながら、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされたフィルムを使用することも可能である。
基材フィルム上に硬化性組成物を塗布する前に、予め基材フィルムにヒートセット処理を施すことにより、基材フィルム及び本積層フィルムの寸法安定性をさらに向上させることができる。
中でも、収縮を緩和するためのヒートセット処理がなされた2軸延伸ポリエステルフィルムは、基材フィルムとして好ましい一例である。
基材フィルムの厚みは、1μm〜200μmであるのが好ましく、5μm以上或いは100μm以下であることがさらに好ましい。このような範囲とすることで、光線透過率の向上、ハンドリング性能が高いなどの利点を得ることができる。
次に、本積層フィルムが備えることができる各種物性について説明する。
本積層フィルムは、全光線透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。本積層フィルムがかかる範囲の全光線透過率を有することで、照明やディスプレイ等では光の減衰を抑えることができ、より明るくなる。また、太陽電池部材としてはより多くの光を取り込めるなどの利点を得ることができる。なお、硬化層における光重合性化合物の種類、微粒子の種類と粒径、微粒子の含有量などを調整することで、該光線透過率を調整することができる。
本積層フィルムは、JIS−C23307.4.6.1(収縮寸法変化率:A法)に準じて測定される、温度200℃で10分間加熱した後、室温(25℃)で測定した縦方向及び横方向の収縮率が1%以下であることが好ましい。
本積層フィルムがかかる範囲の収縮率を有することで、回路や素子を形成する際の寸法ズレを少なくし、また無機バリア層を積層させる際にもより高いバリア性を得られる利点を有する。
本積層フィルムは、基材フィルムの表裏両側に、微粒子を含む硬化性組成物を塗布して硬化させて硬化層を形成することにより製造することができる。
また高圧水銀灯を使用する場合、80〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜60m/分で硬化させるのが好ましい。
一方、電子線により硬化させる場合、100〜500eVのエネルギーを有する電子線加速装置の使用が好ましい。
本積層フィルムは、上述のように、透明性を維持しつつ、加熱処理による寸法変化(熱寸法安定性)が少ないという利点を有するため、例えば、液晶ディスプレイ、有機発光ディスプレイ(OLED)、電気泳動ディスプレイ(電子ペーパー)、タッチパネル、カラーフィルター、バックライトなどのディスプレイ材料の基板や、太陽電池の基板のほか、光電素子基板のうち、特に透明電極を有する基板などに好適に使用することができる。
また、本積層フィルムは、前記のような利点を備えることから、高温での寸法安定性が要求される用途、特に包装用フィルム、電子部品用フィルムのほか、ガスバリア加工を行うことで、有機ELなどの半導体デバイスや、液晶表示素子、太陽電池用途にも好適に使用することができる。
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
(硬化性組成物Aの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)13.0質量%、透明微粒子A(株式会社アドマテックス製、商品名「YA010C−SM1」、シリカナノ粒子、屈折率1.458、平均粒径10nm)を23.2質量%、透明微粒子B(株式会社ソーラー、商品名「NANON5 ZR−010」、酸化ジルコニウム30質量%分散液、粒子の屈折率2.180、平均粒径13.7nm)を63.4質量%(乾燥後の固形分質量換算)及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.4質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)30.0質量部を均一に混合し、屈折率調整層形成用の硬化性組成物を得た(以下、「塗料A」と称する。組成物中の固形分量は70%であった。)。
厚さ23μmの二軸延伸フィルム(三菱樹脂製、商品名「T602E25N−N」、ポリエチレンテレフタレートフィルム、以下「フィルムA」と称する)の片面に、上記で調製した塗料Aを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
前記フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Aを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された耐熱光学フィルムを得た。後述する測定方法に準拠して、得られた透明積層フィルム1の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、透明積層フィルム1の屈折率は1.70であった。
(硬化性組成物Bの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)21.8質量%、透明微粒子Aを54.3質量%、透明微粒子Bを23.2質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.7質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)34.1質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物を得た(以下、「塗料B」と称する。組成物中の固形分量は66%であった。)。
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Bを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
前記フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Bを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された耐熱光学フィルムを得た。後述する測定方法に準拠して、得られた透明積層フィルム2の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、透明積層フィルム2の屈折率は1.61であった。
(シランカップリング剤の調整)
シランカップリング剤として、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:「KBM−503」、信越化学工業株式会社製)を準備した。該シランカップリング剤70質量部、純水14.5質量部及びアルコール14.5質量部を、ステンレス製容器に入れ、攪拌しながら0.01モル/リットル塩酸1質量部を添加し、10℃のクリーンルーム内で一時間撹拌を続け、シランカップリング剤の加水分解物(分子量:248.4)を得た。
透明微粒子C(住友化学株式会社製、商品名「AKP−G008」、アルミナナノ粒子、屈折率1.76、平均粒径20nm)30質量部、上記で得られたシランカップリング剤の加水分解物6質量部及び分散媒としてメチルイソブチルケトンを64質量部用意して、これらを攪拌して調合した。調合して得られた液をビーズ径が100μmのジルコニアビーズを攪拌容器に入れたビーズミル装置を用いて粉砕し、アルミナナノ粒子分散液Cを得た。
得られたアルミナナノ粒子分散液Cを53.2質量%(乾燥後の固形分質量換算)、透明微粒子Aを30.0質量%、トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)16.8質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.5質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)30質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物を得た(以下、「塗料C」と称する。組成物中の固形分量は67.7質量%であった。)。
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Cを、硬化後の厚みが3μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
前記フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Bを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された耐熱光学フィルムを得た。後述する測定方法に準拠して、得られた透明積層フィルム3の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、透明積層フィルム3の屈折率は1.57であった。
(硬化性組成物Dの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)21.9質量%、透明微粒子Aを77.4質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)0.7質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)34.1質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物Dを得た(以下、「塗料D」と称する。組成物中の固形分量は66%であった。)。
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Dを、硬化後の厚みが3.0μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。
該フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Dを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された積層フィルムを得た。得られた積層フィルム1の硬化層における粒子の体積割合は63.4体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は35.5体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は1.1体積%であった。
後述する測定方法に準拠して、得られた積層フィルム1の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、積層フィルム1の屈折率は1.48であった。
(硬化性組成物Eの調製)
トリシクロデカン構造を有する、分子量が304の光硬化性2官能アクリレートモノマー・オリゴマー(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」、屈折率1.50)79.4質量%、透明微粒子Aを18.2質量%及び光硬化剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)2.5質量%に対して、溶媒(荒川化学工業株式会社製、メチルエチルケトン)50質量部を均一に混合し、硬化層形成用の硬化性組成物Aを得た(以下、「塗料E」と称する。組成物中の固形分量は66%であった。)。
フィルムAの片面に、上記で調製した塗料Eを、硬化後の厚みが3.0μmになるようにワイヤーバーコーターを用いて塗布した後、100℃に設定したオーブン中に10分間入れることで溶媒を乾燥、除去し、フィルムの端部を固定した状態でベルトコンベア装置に入れ、塗布面に高圧水銀ランプ(160W/cm)を照射し、片面に光硬化性の硬化層を有するフィルムを得た。
該フィルムの当該硬化層が形成されていない面に対し、上記同様に塗料Eを塗布して硬化を行うことにより、両面に硬化層が形成された積層フィルムを得た。得られた積層フィルム1の硬化層における粒子の体積割合は10.0体積%であった。また光重合性化合物(新中村化学工業株式会社製、商品名「A−DCP」)の体積割合は83.7体積%であり、光開始剤(BASF製、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン)の体積割合は2.7体積%であった。
後述する測定方法に準拠して、得られた積層フィルム2の特性を評価した。結果は表1に示す。なお、積層フィルム2の屈折率は1.50であった。
上記実施例及び比較例において作製したフィルムについて、以下に記載の方法に準拠し、全光線透過率及び屈折率を測定した。
フィルムの屈折率は、試験装置:ATAGO社のアッベ屈折計1Tを用い、JIS K 7142に準拠する方法にて測定した。
フィルムの全光線透過率は、以下の装置を用い、JIS K7105に準拠する方法にて測定した。
反射・透過率計:株式会社村上色彩技術研究所「HR−100」
微粒子の平均粒径は、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)S−4500を用いて測定した。具体的には、試料の傾斜角を30度、加速電圧5kV、ソーキングディスタンス15mm、直接倍率を30,000倍に設定し、デジタル画像を取得後、得られた画像からランダムに200個の粒子の粒径を実測し、その平均を求めることで微粒子の平均粒径とした。
フィルムのヘーズは、以下の装置を用い、JIS K7105に準拠する方法にて測定した。
反射・透過率計:株式会社村上色彩技術研究所「HR−100」
基材フィルムの両面に硬化層を積層した構成とし、該硬化層中に径の小さな酸化ケイ素の微粒子が充填されることにより、透明性を損なうことなくフィルムの熱的安定性を高めることができる。
また、酸化ケイ素以外に屈折率の異なる微粒子が硬化層に充填されているため、フィルム全体の熱的安定性を損なわずに、フィルムの屈折率調整が可能となることが分かった。
Claims (8)
- 基材フィルムの表裏両側に硬化層を有する積層フィルムであって、
少なくとも一方の硬化層が、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にある酸化ケイ素と、平均粒径が1nm〜200nmの範囲にあり、該酸化ケイ素とは異なる屈折率を有する他の微粒子とを含有する硬化性組成物を用いて形成されていることを特徴とする、透明積層フィルム。 - 前記硬化性組成物が、他の微粒子として、ジルコニアを含む、請求項1記載の透明積層フィルム。
- 前記硬化層の厚み合計が、基材フィルムの厚みの5%以上である、請求項1又は2記載の透明積層フィルム。
- 前記硬化層中の微粒子の合計含有量が、50〜70体積%である、請求項1〜3の何れか一項記載の透明積層フィルム。
- 基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂及び透明ポリイミド樹脂からなる群から選ばれるいずれか一種以上の樹脂からなる、請求項1〜4の何れか一項記載の透明積層フィルム。
- JIS−C23307.4.6.1(収縮寸法変化率:A法)に準じて測定される、温度200℃で10分間加熱した後、室温(25℃)で測定した縦方向及び横方向の収縮率が1%以下である、請求項1〜5の何れか一項記載の透明積層フィルム。
- 積層フィルムの屈折率が、1.5〜〜2.6である、請求項1〜6の何れか一項記載の透明積層フィルム。
- 請求項1〜7の何れかに記載の透明積層フィルムを基材として有する透明基板。
Priority Applications (1)
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