JP2014203560A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】膜電極接合体の外周部で発生する電解質膜の膜痩せを抑制する。【解決手段】発明の燃料電池は、電解質膜の一方の面にアノードが形成され、他方の面にカソードが形成された膜電極接合体と、アノードの表面に配置されたアノード側ガス拡散層と、カソードの表面に配置されたカソード側ガス拡散層と、アノード側ガス拡散層およびカソード側ガス拡散層が配置された膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、アノード側ガス拡散層およびカソード側ガス拡散層が配置された膜電極接合体の周囲に形成されたシール部と、を備える。カソードの外周端は、カソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側となるように形成されている。【選択図】図4

Description

本発明は、燃料電池に関するものである。
燃料電池を構成する1つのセル(以下、「単位セル」とも呼ぶ)は、例えば、膜電極接合体をガス拡散層およびセパレータで挟持することによって構成される。膜電極接合体は、電解質膜の両面に触媒電極(アノードおよびカソード)が接合された発電モジュールである。なお、発電に供する反応ガスを流すためのガス流路は、セパレータのガス拡散層側の面に形成された溝流路や、ガス拡散層とセパレータとの間に配置された多孔体流路部材により構成される。
燃料電池に関し、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1には、アノード側ガス拡散層のセパレータ側の表面に、アノード流入側から下流に向かう有底の溝部を多列に有し、溝部に入り込んでいる水成分を下流側に持ち去ることにより、電解質膜の湿潤を図る構造が開示されている。
特開2012−69260号公報
ところで、膜電極接合体およびガス拡散層の周囲には、アノード側とカソード側とをシールするためのシール部(シール材)が設けられる。このシール部は、燃料電池の単位セルの製造時において、例えば、膜電極接合体およびガス拡散層をセパレータで挟んで加圧する際に、膜電極接合体およびガス拡散層の周囲に、流動性を有する液状あるいはジェル状のシール材(以下、「流動性シール材」と呼ぶ)を抽入して、熱硬化することによって形成される場合がある。そして、このようなシール部を有する単位セルでは、膜電極接合体の外周部で、電解質膜に膜痩せと呼ばれる現象が発生し、膜痩せが進むとアノードとカソードとの間で反応ガスのクロスリークが増大し、発電性能が低下する、という課題があった。しかしながら、上記特許文献1には、膜電極接合体の外周部で発生する電解質膜の膜痩せに関して何らの記載も示唆もない。
また、膜電極接合体およびガス拡散層をセパレータで挟んで加圧する場合において、上記特許文献1の構造では、ガス拡散層の多列の溝部による凹凸を介してセパレータからの圧力が電極接合体に加わるため、電解質膜では凹凸に応じた膜変形が発生し、膜変形が進むと反応ガスのクロスリークに至る、という課題がある。しかしながら、上記特許文献1には、電解質膜の膜変形に関して何らの記載も示唆もない。
また、従来の燃料電池では、製造の容易化、低コスト化等が望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池が提供される。この燃料電池は、電解質膜の一方の面にアノードが形成され、他方の面にカソードが形成された膜電極接合体と;前記アノードの表面に配置されたアノード側ガス拡散層と;前記カソードの表面に配置されたカソード側ガス拡散層と;前記アノード側ガス拡散層および前記カソード側ガス拡散層が配置された前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと;前記アノード側ガス拡散層および前記カソード側ガス拡散層が配置された前記膜電極接合体の周囲に形成されたシール部と;を備え、前記カソードの外周端は、前記カソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側となるように形成されている。この形態の燃料電池によれば、カソード側ガス拡散層の拡散によるカソードガスの供給のみでは供給量が不足する可能性があるガス拡散層の外周部では、電解質膜上にカソードが形成されていないため、カソードによる電気化学反応が発生せず、電気化学反応に起因して発生する電解質膜の膜痩せを抑制することが可能となる。
(2)上記形態の燃料電池において、前記カソードの外周端よりも外側の前記電解質膜と前記カソード側ガス拡散層との間には、前記電解質膜が前記カソード側ガス拡散層に接触しないように保護するための保護部材が配置されていてもよい。この形態の燃料電池によれば、電解質膜を保護することが可能となる。例えば、カソード側ガス拡散層を構成する基材の毛羽による電解質膜の短絡を抑制し、また、保護部材によって電解質膜の膨潤収縮を規制することで電解質膜の変形を抑制し、カソードガスおよびアノードガスのクロスリークが発生することを抑制する可能となる。
(3)上記形態の燃料電池において、前記シール部は流動性を有する流動性シール材を硬化することによって形成されており、前記カソードの外周端は、前記シール部が形成される際に、前記カソード側ガス拡散層において、少なくとも、前記流動性シール材が外周側から内側へ向かって流入した領域に挟まれた領域であって前記流動性シール材が流入しなかった領域よりも内周側となるように形成されていてもよい。カソード側ガス拡散層の外周部のうち、流動性シール材を硬化することによってシール部が形成される際に、カソード側ガス拡散層において、流動性シール材が流入した領域に挟まれた領域であって流動性シール材が流入しなかった領域では、カソード側ガス拡散層の拡散によるカソードガスの供給のみでは供給量が不足する可能性がある。これに対して、この形態の燃料電池では、この領域の電解質膜上にはカソードが形成されていないので、カソードによる電気化学反応が発生することはなく、電解質膜の膜痩せを抑制することが可能となる。
(4)上記形態の燃料電池は、さらに、前記カソード側のセパレータと前記カソード側ガス拡散層との間に配置され、前記カソード側ガス拡散層の表面に沿って前記カソードガスを流すためのガス流路を形成する流路形成部と;前記シール部と前記流路形成部との間に配置され、前記シール部が形成される際に、前記流動性シール材の前記流路形成部への流入を防止するためのシーリングプレートと;を備え、前記カソードの外周端は、少なくとも、前記シーリングプレートよりも内周側となるように形成されていてもよい。カソード側ガス拡散層の外周部のうち、シーリングプレートに対応する領域では、カソード側ガス拡散層の拡散によるカソードガスの供給のみでは供給量が不足する可能性がある。これに対して、この形態の燃料電池おいては、この領域の電解質膜上にはカソードが形成されていないので、カソードによる電気化学反応が発生することはなく、電解質膜の膜痩せを抑制することが可能となる。
(5)上記形態の燃料電池は、さらに、前記カソード側のセパレータの前記カソード側ガス拡散層に接する面に形成され、前記カソード側ガス拡散層の表面に沿って前記カソードガスを流すための溝状のガス流路と;前記シール部と前記カソード側のセパレータとの間に配置され、前記シール部が形成される際に、前記流動性シール材の前記ガス流路への流入を防止するためのシーリングプレートと;を備え、前記カソードの外周端は、少なくとも、前記シーリングプレートよりも内周側となるように形成されていてもよい。カソード側ガス拡散層の外周部のうち、シーリングプレートに対応する領域では、カソード側ガス拡散層の拡散によるカソードガスの供給のみでは供給量が不足する可能性がある。これに対して、この形態の燃料電池においては、この領域の電解質膜上にはカソードが形成されていないので、カソードによる電気化学反応が発生することはなく、電解質膜の膜痩せを抑制することが可能となる。
(6)上記形態の燃料電池は、さらに、前記カソード側のセパレータに、前記カソードガスのガス流路よりも外周側に前記ガス流路から独立した空間領域を備えており、前記カソードの外周端は、少なくとも、前記空間領域よりも内周側となるように形成されていてもよい。カソード側ガス拡散層の外周部のうち、カソードガスのガス流路よりも外周側に備えられるガス流路から独立した空間領域に位置するカソード側ガス拡散層の領域では、カソード側ガス拡散層の拡散によるカソードガスの供給のみでは供給量が不足する可能性がある。これに対してこの形態の燃料電池においては、この領域の電解質膜上にはカソードが形成されていないので、カソードによる電気化学反応が発生することはなく、電解質膜の膜痩せを抑制することが可能となる。
(7)上記形態の燃料電池において、前記アノードの外周端は、前記カソードの外周端とともに、前記カソード側ガス拡散層の外周端より内周側となるように形成されていてもよい。この形態の燃料電池によれば、カソード側ガス拡散層の拡散によるカソードガスの供給のみでは供給量が不足する可能性があるガス拡散層の外周部において、電解質膜上にカソードおよびアノードが形成されていないため、カソードによる電気化学反応だけでなく、アノードによる電気化学反応も発生することはなく、電解質膜の膜痩せをより効果的に抑制することが可能となる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池を複数積層した燃料電池やガス拡散層が配置された膜電極接合体等の形態で実現することができる。
本発明の第1実施形態としての燃料電池の単位セルの構成を概略的に示す斜視図である。 単位セルの断面を概略的に示す断面図である。 単位セルのカソード側ガス拡散層およびカソードをカソード側セパレータの側から見た平面図である。 図2(b)のB−B断面におけるカソードの外周端とカソード側ガス拡散層の外周端との関係について示す説明図である。 図2(c)のC−C断面におけるカソードの外周端とカソード側ガス拡散層の外周端との関係について示す説明図である。 カソード側のガス流路を溝状のガス流路とした場合の変形例を示す説明図である。 本発明の第2実施形態としての単位セルのカソード側ガス拡散層とカソードと保護フィルムとをカソード側セパレータの側から見た平面図である。 図7のB−B断面におけるカソードとカソード側ガス拡散層と保護フィルムとの関係について示す説明図である。 スリットが形成された保護フィルムを用いた例を示す説明図である。 本発明の第3実施形態としての単位セルの構成を概略的に示す斜視図である。 図10のA−A断面を概略的に示す断面図である。 図10のB−B断面を概略的に示す断面図である。 単位セルのカソード側ガス拡散層とカソードと保護フィルム70とをカソード側セパレータの側から見た平面図である。
A.第1実施形態:
A1.燃料電池の概略構成:
図1は、本発明の第1実施形態としての燃料電池の単位セル100の構成を概略的に示す斜視図である。図2は、単位セル100の断面を概略的に示す断面図である。図2(a),(b),(c)は、それぞれ、図1の単位セル100のA−A断面,B−B断面,C−C断面を示している。なお、通常は、この単位セル100を複数積層することによって、スタック構造の燃料電池が構成される。
単位セル100は、図2(a)に示すように、膜電極接合体10(Membrane Electrode Assembly,MEA)を備える。膜電極接合体10は、電解質膜11の両面にアノード12aおよびカソード12cが形成された発電体モジュールである。また、単位セル100は、図2(a)に示すように、膜電極接合体10を両側から挟持するように、アノード側の面にガス拡散層(以下、「アノード側ガス拡散層」とも呼ぶ)20aおよびセパレータ(以下、「アノード側セパレータ」とも呼ぶ)40aを備えるとともに、カソード側の面にガス拡散層(以下、「カソード側ガス拡散層」とも呼ぶ)20c、流路形成部30c、およびセパレータ(以下、「カソード側セパレータ」とも呼ぶ)40cを備える。また、単位セル100は、図2(b),(c)に示すように、一対のセパレータ40a,40cの間に、膜電極接合体10とガス拡散層20a,20cと流路形成部30cの周囲を覆うシール部50を備える。
図1(a)の単位セル100の概略斜視図は、下側に位置するアノード側セパレータ40aのガス拡散層20a側の面の概略を主に示すために、上側に位置するカソード側セパレータ40cを破線で示している。また、一対のセパレータ40a,40cで挟持された他の要素(膜電極接合体10、ガス拡散層20a,20c、流路形成部30c、シール部50)を省略して示している。
電解質膜11は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂あるいは炭化水素系樹脂等により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜である。アノード12aおよびカソード12cは、触媒(例えば白金、あるいは白金合金)を備えており、これらの触媒を、導電性を有する担体(例えば、カーボン粒子)上に担持させることによって形成されている。アノード12aの大きさは、本実施形態では、図2(b),(c)に示すように、電解質膜11とほぼ同じ大きさのものとした。また、カソード12cの大きさは、本実施形態では、図2(b),(c)に示すように、アノード12aの大きさよりも小さく、カソード側ガス拡散層20cよりも小さいものとした。
アノード側ガス拡散層20aはアノード12aの表面に配置されており、カソード側ガス拡散層20cはカソード12cの表面に配置されている。ガス拡散層20a,20cを形成する部材としては、ガス透過性を有する導電性部材、例えば、カーボンペーパーやカーボンクロス等が用いられる。アノード側ガス拡散層20aの大きさは、本実施形態では、図2(b),(c)に示すように、膜電極接合体10のアノード12aの大きさとほぼ同じ大きさのものとした。また、カソード側ガス拡散層20cの大きさは、本実施形態では、図2(b),(c)に示すように、膜電極接合体10の電解質膜11よりも小さくカソード12cの大きさよりも大きいものとした。
なお、カソード12cの大きさとカソード側ガス拡散層20cの大きさとの関係については、後述する。
流路形成部30cは、上記したように、カソード側ガス拡散層20cの表面に積層される。流路形成部30cは、多孔体からなり、カソード側ガス拡散層20cの表面に沿って酸化剤ガス(「カソードガス」とも呼ぶ)としての空気を流すためのガス流路を形成する。流路形成部30cを形成する部材としては、導電性を有する多孔体、例えばエキスパンドメタルや発泡金属焼結体等が利用される。
カソード側セパレータ40cは、流路形成部30cの表面に積層されており、平面形状を有している(図2参照)。また、アノード側セパレータ40aは、アノード側ガス拡散層20aの表面に積層されている(図2参照)。また、アノード側セパレータ40aは、アノード側ガス拡散層20aの側に、その表面に沿って燃料ガス(「アノードガス」とも呼ぶ)としての水素を流すためのガス流路42mと、ガス流路42mへ外部からアノードガスを導入するためのガス導入流路42iおよびガス流路42mから外部へ排ガス(「アノードオフガス」とも呼ぶ)を排出するためのガス排出流路42o(不図示)と、を構成する凹凸形状を有している。ガス流路42mは、複数の溝状流路42mpに区分されている。ガス導入流路42iおよびガス排出流路42oも同様に複数の溝状流路に区分されている。なお、ガス流路を構成する凹凸形状は、隣接する単位セル100のカソード側セパレータ40cとの間で、その表面に沿って冷却水を流すための冷却水路(不図示)も構成する。流路の構造としては、サーペンタイン型やストレート型等の種々の構造が適用される。セパレータ40a,40cを形成する部材としては、ガス不透過で導電性を有する部材、例えば、ステンレス鋼などの金属や、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密性カーボンや、焼成カーボン等を利用してプレス成型することにより形成される。
図1に示したように、セパレータ40a,40cは、矩形の外形形状を有している。そして、セパレータ40a,40cには、セパレータ40a,40cの厚さ方向に貫通する複数の貫通孔が形成されている。すなわち、アノード側セパレータ40aには、単位セル100の外部から供給されたカソードガス(空気)を流路形成部30cに導入するための複数のカソードガス導入用貫通孔44aiが、一方の長辺(図の左下辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40aには、流路形成部30cから排出されたカソードオフガスを単位セル100の外部に排出するための複数のカソードオフガス排出用貫通孔44aoが、他方の長辺(図の右上辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40aには、単位セル100の外部から供給されたアノードガス(水素)をガス流路42mにガス導入流路42iを介して導入するためのアノードガス導入用貫通孔46aiと、単位セル100の外部から供給された冷却水を冷却水流路に導入するための複数の冷却水導入用貫通孔48aiとが、一方の短辺(図の右下辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40aには、ガス流路42mから排出されたアノードオフガスを単位セル100の外部にガス排出流路42oを介して排出するためのアノードオフガス排出用貫通孔46aoと、冷却水流路から排出された冷却水を単位セル100の外部に排出するための複数の冷却水排出用貫通孔48aoとが、他方の短辺(図の左上辺)に沿って形成されている。
同様に、カソード側セパレータ40cには、単位セル100の外部から供給されたカソードガス(空気)を流路形成部30cに導入するための複数のカソードガス導入用貫通孔44ciが、一方の長辺(図の左下辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40cには、流路形成部30cから排出されたカソードオフガスを単位セル100の外部に排出するための複数のカソードオフガス排出用貫通孔44coが、他方の長辺(図の右上辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40cには、単位セル100の外部から供給されたアノードガス(水素)をガス流路42mにガス導入流路42iを介して導入するためのアノードガス導入用貫通孔46ciと、単位セル100の外部から供給された冷却水を冷却水流路に導入するための複数の冷却水導入用貫通孔48ciとが、一方の短辺(図の右下辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40aには、ガス流路42mから排出されたアノードオフガスを単位セル100の外部にガス排出流路42oを介して排出するためのアノードオフガス排出用貫通孔46coと、冷却水流路から排出された冷却水を単位セル100の外部に排出するための複数の冷却水排出用貫通孔48coとが、他方の短辺(図の左上辺)に沿って形成されている。
なお、セパレータ40a,40cの外形形状は、実際には、単位セル100を積層してスッタク構造の燃料電池を構成する際の締結部材のスペースや、燃料電池の設置筐体の形状等に応じて変形された外形形状を有しているが、発明の説明上特に関係がないので矩形形状とした。
シール部50は、一対のセパレータ40a,40cの間において、ガス拡散層20a,20cが積層配置された電解質膜11および流路形成部30cの外周部、および、各貫通孔の周囲に形成されている(図2(b),(c)参照)。このシール部50は、流動性を有する流動性シール材(例えば、液状ゴム)を硬化することによって形成される。
流動性シール材としては、熱硬化前には常に流動性を有する熱硬化性のシール材や、加熱時に粘度が低下して流動性を発現する熱可塑性の半硬化状態のシール材が用いられる。このため、図2(b)に示すように、アノードガス導入用貫通孔46aiのガス流路42m側であって、シール部50とアノード側セパレータ40aとの間には、ガス導入流路42iへの流動性シール材の流入を防止するためのシーリングプレート60aが配置されている。同様に、アノードオフガス排出用貫通孔46aoのガス流路42m側であって、シール部50とアノード側セパレータ40aとの間にも、シーリングプレート60aが配置されている(不図示)。また、図2(c)に示すように、カソードガス導入用貫通孔44ciの流路形成部30c側であって、シール部50と流路形成部30cとの間にも、流動性シール材の流路形成部30cへの流入を防止するためのシーリングプレート60cが配置されている。同様に、カソードオフガス排出用貫通孔44coの流路形成部30c側であって、シール部50と流路形成部30cとの間にも、シーリングプレート60c(不図示)が配置されている。シーリングプレート60a,60cとしては、例えば、チタンプレートが用いられる。
なお、本実施形態では、流路形成部30cの大きさは、図2(b),(c)に示すように、長辺の長さがカソード側ガス拡散層20cの長辺の長さよりも短く、短辺の長さがセパレータ40cにおけるカソードガス導入用貫通孔44iとカソードオフガス排出用貫通孔44oとの間隔よりも長いものとした。
流路形成部30cは、図2(c)に示すように、セパレータ40cの厚さ方向から見たときに、セパレータ40cにおける長辺に沿った幅方向全体にわたって、カソードガス導入用貫通孔44ci内、および、カソードオフガス排出用貫通孔44co内に張り出すように形成されている。また、シーリングプレート60cも、セパレータ40cの厚さ方向から見たときに、セパレータ40cにおける長辺に沿った幅方向全体にわたって、カソードガス導入用貫通孔44ci内、および、カソードオフガス排出用貫通孔44co内に張り出すように形成されている。さらに、シーリングプレート60cは、セパレータ40cの厚さ方向から見たときに、セパレータ40cにおける長辺に沿った幅方向全体にわたって、流路形成部30cよりも、カソードガス導入用貫通孔44ci内、および、カソードオフガス排出用貫通孔44co内に張り出すように形成されている。
A2.単位セルの構造上の特徴:
図3は、単位セル100のカソード側ガス拡散層20cおよびカソード12cをカソード側セパレータ40cの側から見た平面図である。ただし、図3では、流路形成部30cを省略するとともに、カソード側セパレータ40cを破線で示し、カソード側ガス拡散層20cを一点鎖線枠で示している。単位セル100は、カソード12cの外周端がカソード側ガス拡散層20cの外周端よりも内周側となるように形成された構造に特徴を有している。以下では、図4および図5を用いてこの構造ついて詳述する。
図4は、図2(b)のB−B断面におけるカソード12cの外周端とカソード側ガス拡散層20cの外周端との関係について示す説明図である。図4(a)は本実施形態を示しており、図4(b)は比較形態としてカソード12cの外周端がカソード側ガス拡散層20cの外周端よりも外周側とした構造を示している。また、図4(a),(b)において、それぞれ上段は断面図を示し、下段は上段の断面領域を含む平面図をカソード側セパレータ40cおよび流路形成部30cを省略するとともに、カソード側ガス拡散層20cを破線枠で示している。
まず、比較形態について説明する。上記したように、シール部50が流動性シール材を硬化することにより形成される場合、その形成過程において、流動性シール材は、膜電極接合体10、ガス拡散層20a,20cおよび流路形成部30cに流入する。この結果、発電モジュールである膜電極接合体10の発電が不可となる無効領域が形成される。また、流動性シール材の流入は一様ではなく、流動性シール材が流入した部分(以下、「シール材流入部分」とも呼ぶ)と流動性シール材が流入しなかった部分(以下、「シール材非流入部分」とも呼ぶ)とが存在する混在領域が形成される。従って、単位セル100には、十分な発電が可能な有効領域の外側の外周領域に、内側から外側へ向かって順に混在領域および無効領域が形成される。
アノード側では、シール材非流入部分のガス拡散層20aに対して、ガス導入流路42iを介してガス流路42mの溝状流路42mpに供給されたアノードガスとしての水素(H2)が供給され、対応するアノード12aに水素が十分に供給される。
これに対してカソード側では、以下の問題が発生する。ガス拡散層20cには、通常、カソードガスとしての空気(Air)が図中矢印の方向に沿って流れる。このとき、ガス拡散層20cのシール材流入部分に挟まれたシール材非流入部分は、空気が滞留するとともに空気の流入が不足する領域(いわゆるエア溜まり、「エア供給不足領域」とも呼ぶ)となる。この結果、シール材非流入部分に対応するカソード12cでは、供給される空気が不足するとともに、アノード12aから電解質膜11を介する透過水素の流入により酸素分圧、具体的には、酸素濃度が低下する。この結果、過酸化水素の発生増加を招き、これにより発生するOHラジカルによって電解質膜11を構成する樹脂の破壊を招いて、電解質膜11の劣化(いわゆる膜痩せ)が発生する。
本実施形態では、図3に示すように、カソード12cの外周端がカソード側ガス拡散層20cの外周端よりも内周側となるように形成されている。具体的には、図4(a)に示すように、カソード12cの外周端が、シール材流入部分に挟まれたシール材流入領域が存在する混在領域(エア供給不足領域、図4(b)参照)よりも内周側となるように形成されている。この結果、シール材非流入部分には、カソード12cが形成されていないので、この部分における電気化学反応は発生せず、上記した過酸化水素の増加による膜痩せを抑制することが可能となる。
図5は、図2(c)のC−C断面におけるカソード12cの外周端とカソード側ガス拡散層20cの外周端との関係について示す説明図である。図5(a)は本実施形態を示しており、図5(b)は比較形態としてカソード12cの外周端がカソード側ガス拡散層20cの外周端よりも外周側とした構造を示している。
まず、比較形態について説明する。図2(c)の説明においてもふれたように、カソードガス導入用貫通孔44ciの流路形成部30c側であって、シール部50と流路形成部30cとの間には、流動性シール材の流路形成部30cへの流入を防止するためのシーリングプレート60cが配置されている。従って、シーリングプレート60cの下側にあるカソード側ガス拡散層20cの領域は、流路形成部30cから直接的に空気が供給されないため、空気が流入し難く酸素分圧が低下し、エア供給不足領域となる。この結果、図4のエア溜まりと同様に、過酸化水素の発生増加を招き、電解質膜11の膜痩せが発生する。
本実施形態では、図3に示すように、カソード12cの外周端がカソード側ガス拡散層20cの外周端よりも内周側となるように形成されている。具体的には、図5(a)に示すように、カソード12cの外周端が、シーリングプレート60cよりも内周側となるように形成されている。この結果、シーリングプレート60c下のエア供給不足領域では、電気化学反応は発生せず、上記した過酸化水素の増加による膜痩せを抑制することが可能となる。なお、以上説明したシーリングプレート60c下のエア供給不足領域には、図4で説明したエア溜りによるエア供給不足領域も含まれる場合があり、この領域もカソード12cが形成されないので、同様に、膜痩せを抑制することが可能である。
以上のように、図4では、アノードガス導入用貫通孔46aiにつながるアノードガスのガス導入流路42iに配置されたシーリングプレート60aの領域の断面を例に説明した。図示は省略するが、アノードオフガス排出用貫通孔46aoにつながるガス排出流路42oに配置されたシーリングプレート60aの領域においても同様である。また、図5では、カソードガス導入用貫通孔44ci側における流路形成部30cとカソード側ガス拡散層20cとの間にシーリングプレート60cが配置された部分の断面を例に説明した。図示は省略するが、カソードオフガス排出用貫通孔44co側における流路形成部30cとカソード側ガス拡散層20cとの間にシーリングプレート60cが配置された部分においても同様である。また、図示は省略するが、アノード側に配置されたシーリングプレート60aの部分以外の短辺方向の他の部分およびカソード側に配置されたシーリングプレート60cの部分以外の長辺方向の他の部分においても同様に、カソード12cの外周端がカソード側ガス拡散層20cの外周端よりも内周側であって、エア供給不足領域よりも内周側となるように形成されることにより、同様に、膜痩せを抑制することが可能である。
なお、カソード12cの外周端よりも外周のカソード側ガス拡散層20cは電解質膜11に密着配置されることが好ましい。この密着力は、電解質膜11の乾湿により生じる膨潤収縮の力よりも強力であることが好ましい。これにより、カソード側ガス拡散層20cによって、電解質膜11の乾湿による膨潤収縮を規制して電解質膜11の変形を抑制することが可能である。
A3.変形構成:
図6は、カソード側のガス流路を溝状のガス流路とした場合の変形例を示す説明図である。図6(a)は図4に対応する断面を示し、図6(b)は図5に対応する断面を示している。上記実施形態では、カソード側のガス流路を流路形成部30cで形成したが、アノード側と同様に、カソード側セパレータ40c’に複数の溝状流路42cmpを有するガス流路42cm、ガス導入流路42ciおよびガス排出流路42co(不図示)が形成された場合にも、同様に適用可能である。この場合も、図6(a)に示すように、カソード12cの外周端が、シール材流入領域に挟まれたシール材非流入領域(エア供給不足領域、図4参照)よりも内周側となるように形成される。また、図6(b)に示すように、カソード12cの外周端が、ガス導入流路42ciおよびガス排出流路42co(不図示)に配置されたシーリングセパレータ60cよりも内周側となるように形成される。
B.第2実施形態:
図7は、本発明の第2実施形態としての単位セル100Bのカソード側ガス拡散層20cとカソード12cと保護フィルム70とをカソード側セパレータ40cの側から見た平面図である。第2実施形態の単位セル100Bは、カソード12cの外周端よりも外周側の電解質膜11とカソード側ガス拡散層20cとの間に、保護フィルム70が配置されている点を除いて、第1実施形態の単位セル100と同じである。なお、図7では、図3と同様に、流路形成部30cを省略するとともに、カソード側セパレータ40cを破線で示し、カソード側ガス拡散層20cを一点鎖線枠で示している。また、図7では、保護フィルム70を実線枠で示している。
図8は、図7のB−B断面におけるカソード12cとカソード側ガス拡散層20cと保護フィルム70との関係について示す説明図である。なお、図8は、第1実施形態の単位セル100の図4に対応する断面を示している。本実施形態の単位セル100Bでは、図4(B)の比較形態においてカソード12cが形成されていた領域に、保護フィルム70が配置されている。保護フィルム70の外周端は、カソード側ガス拡散層20cの外周端よりも外側となっている。この構成により、カソード側ガス拡散層20cを形成する基材の毛羽が電解質膜11に突き刺さって短絡が発生し、カソードガスおよびアノードガスのクロスリークが発生することを抑制することが可能である。
ここで、保護フィルム70は、その厚さがカソード12cの厚さと同等であり、乾湿変化によって生じる電解質膜11の膨潤収縮の力よりも強規制力で電解質膜に密着させることが好ましい。これにより電解質膜11の膜変形を抑制することが可能である。また、カソード12cの外周端と、保護フィルム70の内周端との隙間dspは、電解質膜11の厚さに応じた幅に規制される。具体的には、隙間dspが、下式で表される座屈幅Dよりも小さくなるように規制される。座屈幅Dは、電解質膜が膨潤収縮によって発生するタワミ等の変形の幅であり、平板におけるオイラー座屈に基づいて求められる。
D=π・t・{1/[3・(1+ν)・ε]}-1/2
なお、tは電解質膜の膜厚、νはポアソン比(=0.4)、εは電解質膜の膨潤率である。
例えば、電解質膜の膜厚がt=21.5[μm]で、膨潤率がε=(0.044+0.010)/2とすると、座屈幅Dは約200[μm]となるので、間隔dspは200[μm]よりも小さくなるように規制される。
なお、保護フィルムとして用いられるフィルム材は、多孔質フィルム等の水を通す材質が好ましい。水を通さないフィルム材を保護フィルムとして用いる場合には、フィルムに孔やスリットを設けることが好ましい。水を通すフィルム材あるいはフィルムにスリットや孔を設けたフィルム材が、特に、カソードガスおよびアノードガスの出入り口付近の電解質膜がむき出しになっている部位に保護フィルムとして配置されていれば、その部位を介してアノード側とカソード側との水分を効率良く交換して、単位セルの面内方向における電解質膜11の水分のバランスを改善することが可能となる。もちろん水を通すフィルム材にスリットや孔を設けてもよい。なお、図9は、スリット72が形成された保護フィルム70sを用いた例を示す説明図である。
ここで、保護フィルムのスリットや孔は大きすぎると、かえって、スリットや孔において電解質膜の座屈が発生する。このため、スリットや孔の大きさが、上記した間隔dspと同様に、最少座屈幅Dよりも小さくなるように規制することにより、スリットや孔による電解質膜の変形を抑制しつつ、水分バランスの改善を図ることが可能である。
C.第3実施形態:
図10は、本発明の第3実施形態としての単位セル100Cの構成を概略的に示す斜視図である。図11は図10のA−A断面を概略的に示す断面図であり、図12は図10のB−B断面を概略的に示す断面図である。
単位セル100Cは、図11,12に示すように、第1実施形態の単位セル100(図1,2参照)および第2実施形態の単位セル100B(図7,8参照)とは異なり、カソード側の流路形成部30cを省略し、カソード側セパレータ40Ccおよびアノード側セパレータ40Caのどちらにも溝状のガス流路が形成された構造を有している。ただし、単位セル100Cは、一対のセパレータ40Ca,40Ccによって、膜電極接合体10およびガス拡散層20a,20cが挟持されている点は、第1実施形態の単位セル100と同様である。また、単位セル100Cは、一対のセパレータ40Ca,40Ccの間における膜電極接合体10C、ガス拡散層20a,20cの外周部、および、一対のセパレータ40Ca,40Ccの間における各貫通孔の周囲にシール部50が形成されている点も、第1実施形態の単位セル100と同様である。さらにまた、単位セル100Cは、カソード12cの外周端よりも外周側の電解質膜11とカソード側ガス拡散層20cとの間に、保護フィルム70が配置されている点は、第2実施形態の単位セル100Bと同様である。
図10は、図1とは反対に、カソード側セパレータ40Ccを下側とし、アノード側セパレータ40Caを上側とした斜視図を示している。また、図10は、カソード側セパレータ40Ccのガス拡散層20c側の面のガス流路の概略を主に示すために、アノード側セパレータ40Caを破線で示すとともに、他の要素(膜電極接合体10、ガス拡散層20a,20c、保護フィルム70、シール部50)を省略して示している。
カソード側セパレータ40Ccは、カソード側ガス拡散層20cの表面に積層されている(図11,12参照)。また、カソード側セパレータ40Ccは、カソード側ガス拡散層20cの側に、その表面に沿って酸化剤ガス(カソードガス)としての空気を流すためのガス流路42cmと、ガス流路42cmへ外部からカソードガスを導入するためのガス導入流路42ciおよびガス流路42cmから外部へカソードオフガスを排出するためのガス排出流路42co(不図示)と、を構成する凹凸形状を有している。ガス流路42cmは、複数の溝状流路42cmpに区分されている。ガス導入流路42ciおよびガス排出流路42coについては、複数の溝状流路に区分されていても区分されていなくてもよい。
アノード側セパレータ40Caは、アノード側ガス拡散層20aの表面に積層されている(図11,12参照)。また、アノード側セパレータ40Caは、アノード側ガス拡散層20aの側に、その表面に沿って燃料ガス(アノードガス)としての水素を流すためのガス流路42amと、ガス流路42amへ外部からカソードガスを導入するためのガス導入流路42ai(不図示)およびガス流路42amから外部へアノードオフガスを排出するためのガス排出流路42ao(不図示)と、を構成する凹凸形状を有している。ガス流路42amも、カソード側のガス流路42cmと同様に、複数の溝状流路42ampに区分されている。ガス導入流路42aiおよびガス排出流路42aoについても、カソード側のガス導入流路42ciおよびガス排出流路42coと同様に、複数の溝状流路に区分されていても区分されていなくてもよい。
アノード側セパレータ40Caのガス流路が形成された面とは反対側の面およびカソード側セパレータ40Ccのガス流路が形成された面とは反対側の面には、隣接する単位セル100Cが積層された際に、互いに組み合わさる位置に、それぞれ、冷却水を流すための溝状の冷却水流路43a,43cを構成する凹凸形状を有している。冷却水流路43a,43cは、それぞれ、複数の溝状流路43ap,43cpに区分されている。
なお、ガス流路および冷却水流路の構造としては、サーペンタイン型やストレート型等の種々の構造が適用される。セパレータ40Ca,40Ccは、ガス不透過で導電性を有する部材、例えば、ステンレス鋼などの金属や、カーボンを圧縮してガス不透過として緻密性カーボンや、焼成カーボン等が用いられて、成型や射出成形、切削成形等により形成される。
図10に示したように、セパレータ40Ca,40Ccは、矩形の外形形状を有している。そして、カソード側セパレータ40Ccには、複数のカソードガス導入用貫通孔44ciと冷却水導入用貫通孔48ciとアノードオフガス排出用貫通孔46coとが、一方の短辺(図の右下辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40Ccには、冷却水排出用貫通孔48coとアノードガス導入用貫通孔46ciとカソードオフガス排出用貫通孔44coとが、他方の短辺(図の左上辺)に沿って形成されている。同様に、アノード側セパレータ40Caには、複数のカソードガス導入用貫通孔44aiと冷却水導入用貫通孔48aiとアノードオフガス排出用貫通孔46aoとが、一方の短辺(図の右下辺)に沿って形成されている。また、セパレータ40Caには、冷却水排出用貫通孔48aoとアノードガス導入用貫通孔46aiとカソードオフガス排出用貫通孔44aoとが、他方の短辺(図の左上辺)に沿って形成されている。
図13は、単位セル100Cのカソード側ガス拡散層20cとカソード12cと保護フィルム70とをカソード側セパレータ40Ccの側から見た平面図である。なお、図13は、図7と同様に、カソード側セパレータ40cを破線で示し、カソード側ガス拡散層20cを一点鎖線枠で示し、保護フィルム70を実線枠で示している。単位セル100Cは、第1実施形態の単位セル100(図3参照)および第2実施形態の単位セル100B(図7参照)と同様に、カソード12cの外周端がカソード側ガス拡散層20cの外周端よりも内周側となるように形成された構造を有している。また、単位セル100Cは、第2実施形態の単位セル100Bと同様に、カソード12cの外周端よりも外周側の電解質膜11とカソード側ガス拡散層20cとの間に、保護フィルム70が配置された構造を有している。
図11に示すように、本実施形態の単位セル100Cにおいても、第1実施形態と同様に(図5参照)、カソードガスをガス流路42cmに導くガス導入流路42cmiに対応する位置にシーリングプレート60cが配置されているため、シーリングプレート60cの下側にはエア供給不足領域が発生する。しかしながら、本実施形態の単位セル100Cにおいても、カソード12cの外周端がシーリングプレート60cより内周側となるように形成されている。この結果、シーリングプレート60c下のエア供給不足領域では、電気化学反応は発生せず、上記した過酸化水素の増加による膜痩せを抑制することが可能となる。なお、図11では、カソードガスのガス導入流路42cmi部分の断面を例に説明した。図示は省略するが、カソードオフガスのガス排出流路42cmo部分においても同様である。また、第2実施形態と同様に(図8参照)、シーリングプレート60cの下側において、電解質膜11とカソード側ガス拡散層20cとの間に保護フィルム70が配置されている。この構成により、カソード側ガス拡散層20cを形成する基材の毛羽が電解質膜11に突き刺さって短絡が発生し、カソードガスおよびアノードガスのクロスリークが発生することを抑制することが可能である。
また、図12に示すように、本実施形態の単位セル100Cでは、有効領域よりも外周側に空間領域42caが形成される場合がある。なお、有効領域は、カソード側のガス流路42cmおよびアノード側のガス流路42amを介してアノードガス(水素)およびカソードガス(空気)が十分に供給される領域であって、望ましい発電特性が得られる発電部として機能する領域である。
空間領域42caでは、膜電極接合体10およびガス拡散層20a,20cにおいて、シール部50を形成する流動性シール材が流入されておらず、ガス供給がなされることによって電気化学反応が発生する部分が含まれる場合がある。この反応部分には、カソード側ではガス拡散層20cの拡散によって空気が流入し、アノード側でもガス拡散層20aの拡散によって水素が流入する。拡散によって流入する水素および空気は十分ではないが、水素と空気とを比較すると水素のほうが空気に比べて流入しやすい。このため、空間領域42ca、特に反応部分は、エア供給不足領域となり、電解質膜11の膜痩せが発生する。
しかしながら、本実施形態の単位セル100Cでは、図12に示すように、カソード12の外周端が空間領域42caよりも内周側となるように形成されている。これにより、エア供給不足領域となる空間領域42caでは、電気化学反応は発生せず、上記した過酸化水素の増加による膜痩せを抑制することが可能となる。また、カソード12cの外周端よりも外周側の電解質膜11とカソード側ガス拡散層20cとの間に、保護フィルム70が配置されている。この構成により、カソード側ガス拡散層20cを形成する基材の毛羽が電解質膜11に突き刺さって短絡が発生し、カソードガスおよびアノードガスのクロスリークが発生することを抑制することが可能である。
なお、図示は省略するが、カソード側に配置されたシーリングプレート60cの部分以外の短辺方向の他の部分においても同様である。また、第2実施形態において説明した保護フィルムに関する種々の条件は、本実施形態においても同様である。また、第1実施形態と同様に保護フィルムを省略した構造としてもよい。
D.変形例:
D1.変形例1:
上記実施形態では、アノード側のガス流路が溝状のガス流路で、カソード側のガス流路が多孔体による流路形成部あるいは溝状のガス流路の場合を例に説明したが、アノード側のガス流路については多孔体による流路形成部であってもよい。
D2.変形例2:
上記実施形態では、カソードの外周端がカソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側となるように形成されることにより、エア供給不足領域においてカソードでの電気化学反応による過酸化水素の発生の増加が抑制されている。具体的には、カソードの外周端がシール材流入領域に挟まれたシール材流入領域よりも内周側となるように形成されている。また、カソードの外周端がカソード側のシーリングプレートよりも内周側となるように形成されている。また、カソードの外周端がカソードガスのガス流路よりも外周側に形成された空間領域よりも内周側となるように形成されている。このように、カソードの外周端がカソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側となるように形成されることに加えて、アノードの外周端もカソードの外周端と同様に、カソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側に形成されていてもよい。具体的には、アノードの外周端がカソードの外周端とともに、シール材流入領域に挟まれたシール材流入領域(エア供給不足領域に含まれる))よりも内周側となるように形成されてもよい。また、アノードの外周端がカソードの外周端とともにカソード側のシーリングプレート(エア供給不足領域に含まれる)よりも内周側となるように形成されてもよい。また、アノードの外周端がカソードの外周端とともにカソードガスのガス流路よりも外周側に形成された空間領域(エア供給不足領域に含まれる)よりも内周側となるように形成されてもよい。
なお、アノードの外周端をカソードの外周端と同様に、カソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側とする場合においては、同様に、アノードの外周端よりも外周側の電解質膜とアノード側ガス拡散層との間に、アノード側ガス拡散層が電解質膜に接触しないように電解質膜を保護するための保護フィルムが配置されることが好ましい。
D3.変形例3:
上記実施形態では、カソードの外周端が、カソードの全周囲にわたってカソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側となるように形成されているが、これに限定されるものではなく、エア供給不足領域におけるカソードの外周端のみが、カソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側となるように形成されてもよい。また、カソードの外周端とカソード側ガス拡散層の外周端との位置関係も一様である必要性はなく、エア供給不足領域において電気化学反応が発生しないようにカソードの外周端が形成されていればよい。なお、これらの変形は、アノードにおいても同様である。
D4.変形例4:
上記第2実施形態および変形例2では、電解質膜を保護するための保護フィルムが適用される場合を例に説明した。しかしながら、保護フィルムのようなあらかじめ形成された部材のみならず、例えば、流動性のシール材等のような流動性の部材を熱硬化させて保護部材として適用するようにしてもよい。流動性の保護部材を用いる場合には、例えば、流動性の保護部材(流動性のシール材等)を、保護する電解質膜上に塗布等した上にガス拡散層を配置して薄膜状(フィルム状)に押しつぶし、熱硬化させることによって、電解質膜を保護するための保護部材として利用することができる。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…膜電極接合体
11…電解質膜
12a…アノード
12c…カソード
20a,20c…ガス拡散層
20Bc…ガス拡散層
30c…流路形成部
40a,40c…セパレータ
40Ba,40Bc…セパレータ
42m…ガス流路
42cmi…ガス導入流路
42cmo…ガス排出流路
42amp…溝状流路
42cmp…溝状流路
42i…ガス導入流路
42o…ガス排出流路
42ca…空間領域
42ai…ガス導入流路
42ci…ガス導入流路
42am…ガス流路
42ao…ガス排出流路
42co…ガス排出流路
42mp…溝状流路
43a,43c…冷却水流路
43ap,43cp…溝状流路
44i…カソードガス導入用貫通孔
44o…カソードオフガス排出用貫通孔
44ai,44ci…カソードガス導入用貫通孔
44ao,44co…カソードオフガス排出用貫通孔
46ai,46ci…アノードガス導入用貫通孔
46ao,46co…アノードオフガス排出用貫通孔
48ai,48ci…冷却水導入用貫通孔
48ao,48co…冷却水排出用貫通孔
50…シール部
60a,60c…シーリングプレート
70,70s…保護フィルム
72…スリット
100…単位セル
100B…単位セル
100C…単位セル

Claims (7)

  1. 燃料電池であって、
    電解質膜の一方の面にアノードが形成され、他方の面にカソードが形成された膜電極接合体と、
    前記アノードの表面に配置されたアノード側ガス拡散層と、
    前記カソードの表面に配置されたカソード側ガス拡散層と、
    前記アノード側ガス拡散層および前記カソード側ガス拡散層が配置された前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、
    前記アノード側ガス拡散層および前記カソード側ガス拡散層が配置された前記膜電極接合体の周囲に形成されたシール部と、
    を備え、
    前記カソードの外周端は、前記カソード側ガス拡散層の外周端よりも内周側となるように形成されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池であって、
    前記カソードの外周端よりも外側の前記電解質膜と前記カソード側ガス拡散層との間には、前記カソード側ガス拡散層が前記電解質膜に接触しないように前記電解質膜を保護するための保護部材が配置されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池であって、
    前記シール部は流動性を有する流動性シール材を硬化することによって形成されており、
    前記カソードの外周端は、前記シール部が形成される際に、前記カソード側ガス拡散層において、少なくとも、前記流動性シール材が外周側から内側へ向かって流入した領域に挟まれた領域であって前記流動性シール材が流入しなかった領域よりも内周側となるように形成されている。
    ことを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の燃料電池であって、さらに、
    前記カソード側のセパレータと前記カソード側ガス拡散層との間に配置され、前記カソード側ガス拡散層の表面に沿って前記カソードガスを流すためのガス流路を形成する流路形成部と、
    前記シール部と前記流路形成部との間に配置され、前記シール部が形成される際に、前記流動性シール材の前記流路形成部への流入を防止するためのシーリングプレートと、
    を備え、
    前記カソードの外周端は、少なくとも、前記シーリングプレートよりも内周側となるように形成されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の燃料電池であって、さらに、
    前記カソード側のセパレータの前記カソード側ガス拡散層に接する面に形成され、前記カソード側ガス拡散層の表面に沿って前記カソードガスを流すための溝状のガス流路と、
    前記シール部と前記カソード側のセパレータとの間に配置され、前記シール部が形成される際に、前記流動性シール材の前記ガス流路への流入を防止するためのシーリングプレートと、
    を備え、
    前記カソードの外周端は、少なくとも、前記シーリングプレートよりも内周側となるように形成されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項1から請求項3、および請求項5のいずれか一項に記載の燃料電池であって、さらに、
    前記カソード側のセパレータに、前記カソードガスのガス流路よりも外周側に前記ガス流路から独立した空間領域を備えており、
    前記カソードの外周端は、少なくとも、前記空間領域よりも内周側となるように形成されている
    ことを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の燃料電池であって、
    前記アノードの外周端は、前記カソードの外周端とともに、前記カソード側ガス拡散層の外周端より内周側となるように形成されている
    ことを特徴とする燃料電池。
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JP2020136218A (ja) * 2019-02-25 2020-08-31 株式会社エノモト 燃料電池セル及び燃料電池セルスタック
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