JP2014202747A - 配管評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】配管の劣化状況を正しく評価可能である。【解決手段】サンプル配管の内表面における腐食状況を検査する(S5)と共に、配管内を流通する水の水質も分析する(S5)。次に、サンプル配管の内表面の腐食状況を検査した結果と水質分析の結果とを照合し、腐食状況の検査が、サンプル配管を含む評価対象範囲の全体における劣化度合いの評価に十分であるか否かを判定する(S6)。例えば、水質分析によると配管表面に孔食が発生していることが強く示唆されているにもかかわらず、腐食状況の検査において孔食の発生が認められない場合には、腐食状況の検査が十分でないと判定する。一方、腐食状況の検査結果と水質分析の結果とが十分に整合している場合には、腐食状況の検査が十分であると判定する。そして、腐食状況の検査結果に基づいて、評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する(S7、S8)。【選択図】図1

Description

本発明は、配管評価方法に関する。
特許文献1は、配管のX線撮像に基づき、配管内の腐食状況を評価する方法に関する。
特開平6−221840号公報
配管の劣化状況を正しく評価するためには、適切なサンプルに関して検査した結果に基づき、配管の状況を広く考慮しつつ評価しなければならない。
本発明の目的は、配管の劣化状況を正しく評価可能な配管評価方法を提供することにある。
本発明の配管評価方法は、肉眼観察、光学観察、X線検査及び超音波検査の少なくともいずれかの方法に基づいて、複数種類のサンプル配管の内表面における腐食状況を検査する腐食検査ステップと、前記腐食検査判定ステップにおいて前記腐食状況の検査が前記劣化度合いの評価に十分であると判定された場合に、前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む前記評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、前記劣化評価ステップが、前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、前記複数種類のサンプル配管のそれぞれに関して、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す劣化度合いに応じた劣化ランクを決定するランク決定ステップとを含んでおり、前記劣化ランクのランク数が、前記サンプル配管の種類に関わらず共通であり、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づくランク分けの基準が、少なくとも2種類の前記サンプル配管同士で異なっている。別の観点では、本発明の配管評価方法は、肉眼観察、光学観察、X線検査及び超音波検査の少なくともいずれかの方法に基づいて、サンプル配管の内表面における腐食状況を検査する腐食検査ステップと、前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む前記評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、前記劣化評価ステップが、前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、前記サンプル配管ごとに耐用年数の推定値Yを導出するステップとを含んでおり、前記耐用年数の推定値Yが、前記腐食量導出ステップにおいて導出された最大の腐食量と配管設備の経過年数とに基づく1年あたりの腐食量をσとし、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す最小の肉厚をtmとし、配管の最低必要厚をt0とするときに、補正係数Zを用いてY=(tm−t0)/σ*Zと表され、前記補正係数Zが、前記耐用年数の推定値Yに影響を与えると想定される複数の要因のそれぞれに、影響度合いを示す0より大きく1より小さい数値を割り当てると共に、それらの数値の合計を1から減算することにより、0<Z<1の範囲で設定され、配管の経過年数が大きいほど大きい第1の数値、配管内を流通する水の水質を分析する水質分析の分析結果に基づき腐食の進行度が大きいと評価された場合ほど大きい第2の数値、並びに、配管の使用状況及び設置環境に基づき腐食の進行度が大きいと評価された場合ほど大きい第3の数値の少なくともいずれか2つの数値を前記複数の要因の少なくとも2つに係る数値として割り当てる。さらに別の観点では、本発明の配管評価方法は、サンプル配管の内表面における腐食状況をX線検査に基づいて検査する腐食検査ステップと、前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む前記評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、前記劣化評価ステップが、前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づいて前記劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、前記腐食検査ステップにおいて、前記サンプル配管の軸付近を通過するX線の検出を含むX線検査によって、前記サンプル配管における径方向に両端部の断面を含むX線撮像画像を示す画像データが取得され、前記腐食量導出ステップにおいて、前記X線撮像画像に含まれる画素のうち、前記サンプル配管の軸付近の基準箇所における画素の明暗値に対する、前記サンプル配管の軸付近の前記基準箇所とは別の箇所における画素の明暗値の相対的な大きさを前記画像データに基づいて取得すると共に、取得した前記明暗値の相対的な大きさと前記サンプル配管の公称肉厚値とに基づいて、前記別の箇所における前記腐食量が導出される。
本発明によると、複数種類のサンプル配管ごとに共通のランク数を有する基準で劣化ランクを決定したり、配管の経過年数などのさまざまな条件を考慮して耐用年数を評価したり、配管の両端部の断面を含めたX線画像に基づいて肉厚を評価したりするといった方法により、サンプル配管を取り巻くさまざまな状況を考慮しつつ配管を評価する。これにより、配管の状況を広く考慮しつつ正しい劣化状況の評価が可能である。
本発明の一実施形態に係る配管評価方法の各ステップを示すフロー図である。 配管同士の接合方式の一例を示す配管の正面図である。 X線検査においてX線照射装置から配管へとX線を照射する様子を示す模式図である。 配管の劣化ランクを決定する方法の各ステップを示すフロー図である。 配管のX線撮像の一例である。 配管内のスケールの形成状況を示すX線画像の模式図である。 本実施形態の配管評価方法の一実施例による評価結果を示す表である。 本実施形態の配管評価方法の別の実施例による評価結果を示す表である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態に係る配管評価方法は、オフィスビルや学校、ホテル、アミューズメント施設などに構築された配管設備の劣化を評価する方法に関する。本方法は、その評価結果が、設備のメンテナンスやリフォームを検討する際に検討資料となることを想定している。また、評価結果に基づき、既存の設備のうち、使用できないものについては交換するが、使用できるものについてはそのまま使用することにより、メンテナンスの手間や経費を抑制しつつ、設備全体を長寿命化させることができる。評価対象となる範囲は、施設内に構築された配管設備の全体又は一部である。本配管評価方法は、図1に示すステップに沿って実施される。以下、図1に従って説明する。
最初に、配管設備における評価範囲に関する予備調査を実施する。予備調査では、設備の管理者やオーナーに対するヒアリング、配管系統に関する図面のチェック、実地の簡易調査などを実施する(図1のステップS1。以下、単に“S1”などとする)。次に、設備の特性等を把握する(S2)。具体的には、以下の通り、配管の用途、使用状況、分類、区分、接合方式等を把握する。
配管の用途に関しては、その配管が給水管、給湯管、排水管、ドレーン管、空調配管、衛生配管等のいずれであるかを特定する。また、配管の使用状況に関しては、内圧による負荷の有無や、配管内に常に液体が充てんされた状態か否かなどを特定する。なお、空調配管や衛生配管、給水管、給湯管等は、内圧による負荷がかかる。一方、排水管やドレーン管は内圧による負荷がない。配管の分類に関しては、その配管が鋼管(炭素鋼鋼管等)、鋳鉄管、ライニング鋼管、銅管、ステンレス鋼鋼管等のいずれであるかを特定する。配管の区分に関しては、配管設備の各部が主管、立系統管、分岐管、枝管等のいずれであるかを特定する。
また、配管同士の接合方式に関しては、どのような継手が用いられているかなどを特定する。図2は接合方式の一例を示しており、直管部11〜15が継手部21及び22によって互いに接続されている。直管部11〜15よりも端部側の部分は、外表面にねじが切られており、ねじ部を構成している。例えば、直管部11〜13より端部側には、ねじ部11a〜13aが設けられている。継手部21及び22の端部の内表面には、直管部11〜14側のねじとかみ合うようにねじが切られている。直管部11〜14と継手部21又は22とは、互いのねじ同士を締めつけ合うことにより接続されている。なお、このような接合方式の他、直管部の外表面にねじを切らなくてもよいメカニカル継手と呼ばれる継手を用いて配管同士が接続されたり、溶接により接合されたりすることもある。これらの場合、直管部としてねじ部が形成されていない配管が用いられる。
次に、配管の各部から検査対象となるサンプルを抽出する(S3)。本来、評価範囲の全体を検査対象とすることが好ましいが、時間や費用の都合上、それが不可能であることが多い。したがって、多くの場合、評価範囲内から複数個所を抽出し、評価用のサンプルとする。サンプルの単位は、検査対象が直管部である場合、直管部の一端から他端まで(図2のQの範囲)とする。また、検査対象が継手である場合、サンプルの単位は1個の継手である。そして、サンプルごとに検査内容を決定する(S4)。
検査内容は、後述の劣化ランクの決定や耐用年数の推定のために適切なものに決定する。劣化ランクの決定等のために適切な検査条件は、対象となる配管の種類、配管の使用状態等に応じて異なる。例えば、対象となる配管が炭素鋼鋼管である場合には、配管がねじ部を含んでいるか否かに関わらず、後述のX線検査等の対象としてサンプルの直管部を含むこととする。ねじ部は直管部より厚みが小さい(例えば、直管部の厚みの半分程度)ため、腐食が進むと、腐食による孔が直管部より先にねじ部を貫通する。よって、ねじ部では最も腐食が進んだ箇所かどうかや最大の腐食量を把握することが難しいからである。また、対象となる配管がライニング鋼管など、樹脂ライニングが施された配管である場合には、継手部の肉厚値に基づいて劣化ランクを決定するのが適している。配管に樹脂ライニングが施されている場合には、継手部が直管部よりも劣化しやすいためである。よってこの場合、後述のX線検査等の対象として継手部を含むこととする。
また、各検査方式には下記のような特性がある。このため、サンプルの分類や使用状況に応じて適切な検査方式を選定する。本実施形態の検査方式としては、(1)外観観察、
(2)X線検査、(3)内視鏡検査、(4)超音波検査、(5)水質分析、(6)肉眼・顕微鏡観察等がある。
(1)外観観察
外観観察では、目視や外観の写真チェックなどにより、配管の防食塗膜、亜鉛メッキ等、配管内からの流体の漏洩、断熱材の状況等を検査する。配管の外観を把握できる限り、外観観察は必ず行われる。
(2)X線検査(腐食検査ステップ)
X線検査の方法は以下のとおりである。図3に示すように、X線照射装置100からサンプルSに向かってX線を照射する。その透過光を検出することにより、配管の透過画像を取得する。または、透過光により感光フィルムを感光させた後に現像し、現像結果をスキャナで取り込んでもよい。図3には、透過X線と撮像結果との関係の一例が模式的に示されている。X線検査によって取得される撮像画像の各画素は、透過X線の経路と対応している。各経路に沿った配管の肉厚に応じて、その経路に対応する透過X線の強度が変化する。一方、撮像画像における各画素の画素値は、その画素に対応する透過X線の強度に応じて異なったものとなる。したがって、撮像画像は、サンプルSの各部の肉厚に応じた画像となる。例えば、X線撮像がグレースケールで表現されると共に、各画素の明暗が、その画素に対応する透過X線の強度を示すとする。具体的には、明度が高いほど透過X線が弱く、明度が低いほど透過X線が強いとする。この場合、ある画素の明度が高いことは、その画素に対応する経路に沿った配管の肉厚が大きいことを示すことになる。また、ある画素の明度が低いことはその逆を示すことになる。図5は、グレースケールで表現されたX線撮像の一例である。
そこで、X線検査では、取得した画像を解析することにより、配管の肉厚を導出する。解析は、画像データのコンピュータ解析によって行う。コンピュータ解析は、例えば、取得した画像に明度を強調する画像処理を施して得られた修正画像に対して行ってもよい。コンピュータ解析における具体的な肉厚の導出方法については後述する。X線検査の選択基準は以下のとおりである。当該検査は基本的に、配管の分類(ライニング鋼管、銅管等)や用途等によらず、選択可能である。配管の外表面がウレタンフォームなどの保温材等で被覆されている場合にもそのまま撮影可能な場合が多い。配管径が1回で撮影が可能な範囲を超える場合は、X線照射の方向を変えつつ複数回撮影することにより、全体の像を取得してもよい。しかしながら、配管径がある程度大きい場合であって水が内部にほぼ満ちた状態で検査する際には、照射したX線が散乱しやすいため、比較的本検査に適さない。
(3)内視鏡検査(光学観察)
内視鏡検査は、内視鏡カメラによりサンプル内を撮像することにより行う。撮像した画像を官能評価又はコンピュータ解析により評価する。内視鏡検査の選択基準は以下のとおりである。本検査は、サンプル内に内視鏡を通すため、配管内を排水した後でなければ実施できない。一方、配管の使用状況によっては排水が困難である場合もあり、そのような場合は本検査に適さない。
(4)超音波検査
超音波検査の方法は以下のとおりである。サンプルの外表面から配管内へと超音波を放射する。配管の内表面で反射した反射波を捉えることにより、その伝搬時間に基づいて配管の肉厚を計測する。このような超音波を用いた厚さ測定器は多数存在しており、いずれの測定器を使用してもよい。配管の外表面が保温材等で被覆されている場合、その保温材等を除去してから測定しなければならない場合が多い。本検査の選択基準は以下のとおりである。配管径がある程度大きい場合であって水が内部にほぼ満ちた状態で検査する際には、上記の通りX線検査ではなく、超音波検査が選択される。また、配管の素材によっては超音波検査を使用できないことがある。さらに、超音波検査は、比較的幅が狭い孔食の状況を把握するのが困難である。例えば、検査装置の分解能より幅が狭い孔食の深さを正確に把握できないためである。また、比較的幅が広い孔食を検出する場合、検査位置を少しずつずらしつつ複数回計測することにより孔食の全体像を把握しなければならない。このように、超音波検査は、配管内面の状況を局所的に把握することができるが、広い範囲で状況を把握することが困難である。
(5)水質分析(水質分析ステップ)
水質分析では、配管内を流通する水質に関する以下の項目を検査、算出する。(基準項目)溶存酸素、pH、電気伝導率、塩化物イオンの濃度、硫酸イオンの濃度、酸消費量、全硬度、カルシウム硬度、イオン状シリカの濃度、濁度。(参考項目)鉄イオンの濃度、亜鉛イオンの濃度、銅イオンの濃度、化学的酸素要求量、硫化物イオンの濃度、アンモニウムイオンの濃度、残留塩素の濃度、遊離炭酸の濃度、飽和指数(ランゲリア指数)、マットソン比。水質分析は、排水管以外のあらゆる分類に採用できる。
上記の項目は、配管の分類や用途に応じて採用されることが好ましい。例えば、ランゲリア指数は、鋼管や銅管など、いずれの分類の配管においても腐食性の指標となるため、どのような配管であっても分析項目として採用されることが好ましい。一方、マットソン比は、主に銅管の腐食性の指標であるため、検査対象に銅管が含まれる場合に採用される。
水質分析のサンプルは、一般水道水、検査対象施設における給水源(給水タンク等)に貯留された水、及び、蛇口等の配管末端における水である。これらのそれぞれの検査結果を比較することにより、配管の劣化評価の指標とする。例えば、検査対象に鋼管が含まれる場合であって、配管末端の鉄イオンの濃度が給水源より高い場合には、配管材料が水中に溶出していることが推測される。しかしながら、そもそも給水源において鉄イオンの濃度が高い場合には、配管材料の溶出によらない可能性がある。また、一般水道水と給水源の水との比較により、例えば給水タンクの劣化など、給水源自体に問題があるか否かが推測される。
検査対象に銅管が含まれている場合には水質分析の必要性が高い。例えば、マットソン比やpH、遊離炭酸の濃度等に基づき、I型孔食やII型孔食などの原因が推測可能である。I型孔食は、比較的pHが低く遊離炭酸の濃度が高い場合に給水配管に起こりやすい。II型孔食は、マットソン比が1以下であり、pHが7未満の場合に給湯配管で生じやすい。また、マウンドレス孔食は、マットソン比が1以上であっても発生することが知られている。マウンドレス孔食は、近年の研究により、イオン状シリカ(SiO)の濃度が高く、硫酸イオン濃度が比較的高い場合に発生するとされている。さらに、塩化物イオン、硫酸イオンは銅管内表面に形成された保護被膜を破壊するため、これらのイオン濃度も重要である。
上記のように、水質分析の結果と腐食の発生状況とには強い相関性がある。一方、水質には地域特性が見られることがある。このため、過去の水質調査から施設が存在する地域で腐食性の水質特性があることが知られている場合には、水質分析においては、その水質特性に注目することが好ましい。例えば、北海道の特定の地域では、マウンドレス孔食が発生する原因とされるイオン状シリカと硫酸イオンの濃度が高い傾向にあることが知られている。したがって、検査対象となる施設が上記の特定の地域内又はその周辺にある場合には、水質分析の検査項目としてイオン状シリカと硫酸イオンを加える。そして、イオン状シリカの濃度と硫酸イオンの濃度に基づき、マウンドレス孔食が発生しているか否かを評価する。また、これらの濃度と塩化物イオンの濃度との関係にも依存することが提唱されている(参考文献:「銅の孔食形態に及ぼすシリカ,塩化物,硫酸イオンの影響」 “材料と環境”,60,126−128(2011))。したがって、マウンドレス孔食の発生をより高い精度で評価するためにはイオン状シリカ、硫酸イオン及び塩化物イオンの濃度に基づくことがより好ましい。このように、地域と検査項目とを関連付けておき、検査対象となる施設が存在する地域と上記検査項目の関連付けに基づき、各検査項目に係る水質分析を行うか否かを決定してもよい。
(6)肉眼・顕微鏡検査(肉眼観察、光学観察)
肉眼・顕微鏡検査では、サンプルを部分的に取り出し、その内表面を肉眼や顕微鏡で観察する。特に銅管に関しては、肉眼で把握できない微小な腐食が配管機能低下の主要な原因となる場合があるため、顕微鏡観察が有効である。肉眼・顕微鏡観察に当たっては、配管内表面へのスケール等の付着物をあらかじめ除去するため、希硫酸などの強酸で表面を洗浄しておくこともある。これにより、付着物の下に形成されている孔食や潰食をはっきりと観察できるようになる。
次に、S3及びS4において定めたサンプルと検査内容に基づき、検査を実施すると共に、検査結果を分析する(S5)。次に、S1の予備調査の結果やS5の分析結果に基づき、配管の劣化評価をするために検査が十分か否かを判定する(S6;腐食検査判定ステップ)。配管の劣化評価をするために検査が十分か否かは、主に、S5におけるX線検査等によって把握される配管内の腐食の態様と、水質分析等のその他の検査が示す腐食の傾向との対比に基づいて判定される。例えば、水質分析等の結果が腐食の傾向を示しているにも関わらず、X線検査等によって配管内の腐食が見つからなかった場合、S5の検査は不十分であると考えられる(S6、不十分)。つまり、サンプルの抽出数や抽出方法が十分ではなかったといった可能性がある。そこで、別のサンプルに関する再検査や新たな検査項目に基づく追加検査のため、S3のステップに戻る。一方、S5の検査が十分であると判断した場合(S6、十分)にはS7以降のステップを実施する。
S5の検査が不十分であると判断される場合の具体例は以下のとおりである。S5におけるX線検査等で腐食が発見されなかった場合であっても、水質分析の結果、腐食を示す特定の成分について濃度が高い(所定の基準値を超える、又は、所定の基準値以上である)と判断されると、X線検査等が不十分であったと判定する(S6)。そして、サンプルを追加してX線検査を再実施したり、肉眼・顕微鏡観察を実施したりする(S3〜S5)。例えば、上記の通り、イオン状シリカ及び硫酸イオンの2つの濃度が、マウンドレス孔食を示唆する所定の条件を満たしていたり、イオン状シリカ、硫酸イオン及び塩化物イオンの3つの濃度がマウンドレス孔食を強く示唆する別の条件を満たしていたりする場合には、配管の一部をサンプルとして抜き出し、その内表面を肉眼・顕微鏡観察することで、マウンドレス孔食が発生しているか否かを再検査する。また、すでにサンプルを肉眼観察している場合でも、顕微鏡観察を追加したり、強酸の洗浄を行ってから肉眼・顕微鏡観察をやり直したりしてもよい。
S3〜S6の検査結果に基づき、(イ)劣化の程度を示す劣化ランクを決定する(S7;劣化評価ステップ)と共に、(ロ)耐用年数を推定する(S8;劣化評価ステップ)。以下、劣化ランクの決定と耐用年数の推定について説明する。
(イ)劣化ランクの決定
劣化ランクの決定について説明する。図4に示す方法は、X線検査、超音波検査又は内視鏡検査の結果に基づき、所定の基準を使用して行う。これ以外の方法については後述する。まず、ランクを決定する際に配管の肉厚及び閉塞率のどちらに基づいて決定するかを選択する(S21)。X線検査や超音波検査など、配管の肉厚を導出するための検査を行っている場合は肉厚を優先して選択する。一方、サンプルによっては配管の肉厚を導出するための検査を行っていない場合がある。このような場合には閉塞率に基づくこととする。肉厚に基づいてランクを決定する場合(S21、“肉厚”)には、X線検査及び超音波検査のいずれの結果に基づいてランクを決定するかを選択する(S22)。
X線検査に基づく場合(S22、“X線”)には、まず、図1のS5において取得されたX線撮像に基づき、画像解析により肉厚減少率を導出する(S23)。上記のとおり、撮像画像はサンプルの肉厚を反映したものとなる。そこで、肉厚を導出したい箇所(以下、肉厚導出箇所とする)の肉厚を、当該箇所に対応する画素の明暗に基づいて導出する。また、肉厚を導出するための基準となる箇所(以下、基準箇所とする)を設定する。基準箇所は、肉厚が全く減少していないと推定される箇所に設定する。つまり、対象領域内で最も明度が高い位置に設定する。
肉厚導出箇所は、配管の分類や用途等に応じて設定する。例えば、配管が炭素鋼鋼管である場合には、そのサンプルがねじ部を有するか否かにかかわらず、直管部に設定する。また、配管がライニング鋼管である場合には、肉厚導出箇所を継手部に設定する。これらは、上述のとおり、劣化ランクや耐用年数の推定に適しているためである。また、ねじ部は、先端に近づくほど厚みが小さいテーパ状になっており、厚さが一定でなく、厚みの基準が把握しづらいためである。なお、肉厚導出箇所は、サンプルごとに複数設定することが好ましい。このように、どの部分に肉厚導出箇所を設定するとよいのかは、配管の分類や用途等に応じて異なる。このため、S4では、適切に肉厚導出箇所を設定できるように検査条件を設定しておく必要がある。例えば、上述の通り、サンプルが炭素鋼鋼管である場合には、検査条件としてX線検査の対象に直管部を含めておかなければならない。
また、肉厚導出箇所及び基準箇所は、いずれも、配管の軸付近に設定する。例えば、図5のRで示す領域内で設定する。図3に示すように、軸から離れるほど透過X線の経路が配管の径方向から逸れるので、透過X線の強度と配管の厚みとが対応しづらくなるためである。
そして、肉厚導出箇所に対応する画素の明暗値の、基準箇所に対応する画素の明暗値に対する割合を算出する。これにより、基準箇所における肉厚を1としたときの肉厚導出箇所における肉厚の割合が求められる。次に、基準箇所における肉厚が配管の公称肉厚値と等しいとの仮定に基づき、肉厚導出箇所の肉厚を導出する。つまり、(肉厚導出箇所の肉厚)=(公称肉厚値)*(肉厚の割合)により、肉厚を導出する。
一方、S22において超音波検査を選択した場合(S22,“超音波”)には、S5において超音波測定器の測定結果から、直接、肉厚導出箇所の肉厚を取得する(S23)。
次に、肉厚導出箇所ごとに、S23又はS24において取得された肉厚を公称肉厚値から減算する。この値が、各肉厚導出箇所における腐食量に相当する(S25)。肉厚導出箇所はサンプルごとに1又は複数個が設定されるため、腐食量もサンプルごとに1又は複数取得される。以下、サンプルごとの腐食量の最大値をサンプル内最大腐食量と呼ぶ。サンプル内最大腐食量を取る箇所が、サンプル内で腐食の進行が最も速い箇所である。また、複数のサンプルのうち、サンプル内最大腐食量が最大のものが、最も腐食が進んだサンプルである。
しかしながら、サンプルは配管系統全体の一部にすぎないため、全サンプル中のサンプル内最大腐食量の最大値と、配管系統全体のうちで実際に最も腐食が進んだ箇所の値とは、一致しない可能性がある。そこで、場合によっては、配管全体のうちで最も腐食が進んだ箇所における腐食量を統計的に推定する。一方、サンプル数が十分大きいなどの場合は、このような最大値の推定を行わず、サンプル内最大腐食量のうちの最大値を配管系統全体の実際の最大値と推定してもよい。
以上に基づき、最大値の推定を用いるか否かを選択する(S26)。最大値の推定を用いる場合(S26、Yes)には、以下の2つの方法のいずれかを用いて、配管系統における真の最大値を推定する。
第1の方法は以下のとおりである。まず、配管系統全体が(区分1)主管、(区分2)系統管、(区分3)枝管などの区分を含む場合、これらの区分ごとに腐食量の最大値を取得する。区分ごとの腐食量の最大値をxとするとき、その分布F(x)が下記の数式1で表されると仮定し、パラメータλ、αをMVLUE(Minimum Variance Linear Unbiased Estimate)法を用いて導出する。再帰期間をTとし、数式2より、真の最大値の推定値Sを導出する。なお、expは指数関数を、lnは自然対数をそれぞれ表す。
[数式1]F(x)=exp[−exp{−(x−λ/α)}]
[数式2]S=λ+α*ln(T)
第2の方法は以下のとおりである。一般に、測定数が増えるほど腐食量の測定値が正規分布に従うようになることから、実際の測定数が限られている場合にも、信頼度が特定の値となるような信頼区間を導出することによって腐食量の真の最大値を推定できる。具体的には、母集団が平均μの正規分布に従う場合に、すべての肉厚導出箇所に関する腐食量の平均をmとし、その不偏分散の平方根をδn−1とすると、t=(m−μ)*√N/δn−1がt分布fN−1(t)に従う。Nはサンプル数である。これにより、信頼区間を{−t,t}(t>0)とすると、母集団の平均μは下記の数式3を満たす。ここで、βを信頼度とするとき、信頼区間の定義から、∫{−t→t}fN−1(t)dt=βを満たす。∫{a→b}g(t)dtは、関数g(t)のt=aからt=b(>a)までの定積分である。以上により、例えば、数式4で表されるSを、腐食量の最大値と推定する。
[数式3]m−δn−1*t/√N<μ<m+δn−1*t/√N
[数式4]S=m+δn−1*t/√N
次に、サンプルごとに劣化率を導出する(S28)。劣化率は、直管部、ねじ部及び継手部のそれぞれにおいて、S27で推定された最大の腐食量まで腐食が進行したと仮定した場合の公称肉厚値に対する腐食量の割合とする。公称肉厚値は、直管部、ねじ部及び継手部の各部によって異なるので、それぞれについて劣化率を算出する。ただし、これらのうち、最も劣化率が大きいもののみが劣化ランクの決定や耐用年数の推定に用いられるため、最も劣化率が大きいもののみを算出してもよい。
一方、S26において、最大値の推定を用いないと決定した場合(S26,No)には、公称肉厚値に対するサンプル内最大腐食量の割合をサンプルごとの劣化率として算出する(S29)。公称肉厚値は、直管部、ねじ部及び継手部の各部によって異なるので、それぞれについて劣化率を算出する。ただし、上記と同様、最も劣化率が大きいもののみを算出してもよい。
次に、S28又はS29において算出した劣化率のうちで最大のものに基づき、劣化ランクを決定する(S30)。この際、下記の表1又は表2を使用する。表1及び表2は、劣化ランクを決定するための基準の一例である。表1及び表2は、劣化ランク決定の対象となる配管における内圧による負荷の有無、配管の分類、及び、配管がねじ部を含むか否かの3つの観点に基づいて作成されている。表1は、内圧による負荷有りの場合に使用され、表2は、内圧による負荷なしの場合に使用される。
表1はイ〜ハ列を含んでいる。まず、樹脂ライニングが施された配管か否かに応じて、イ列又はロ列を使用するか、ハ列を使用するかを決定する。劣化ランクを決定する対象となる配管が、樹脂ライニングが施された配管である場合、ハ列の基準を用いる。一方、配管が、樹脂ライニングが施されていない配管である場合、直管部の端部にねじ部が設けられているか否かに応じてイ列及びロ列のいずれを用いるかが決定される。ねじ部がある場合にはイ列の基準が用いられ、ねじ部がない場合にはロ列の基準が用いられる。
各列に含まれる記号a1,a2,b1,b2,c1,c2は、劣化率の基準値を示す。これらの値は、a1>a2,b1>b2、c1>c2の関係を満たす。各列は、表1中の最も左の列に含まれる劣化ランクと劣化率の範囲との対応関係を示している。例えば、イ列は、劣化率がa1以上の場合は劣化ランクAであり、劣化率がa2以上且つa1未満の範囲内にある場合は劣化ランクBであり、劣化率がa2未満である場合は劣化ランクCであることを示す。このように、測定値に基づく劣化率が表中のいずれの範囲に該当するかに応じて、劣化ランクをA〜Cのいずれかに決定する。A→B→Cの順に、劣化の度合いが低くなる。
イ列の基準はロ列又はハ列の基準に対して、劣化率が比較的小さくても劣化度合いが高いことを劣化ランクが示すように設定されている。例えば、a1<b1,a2<b2,a1<c1,a2<c2となるように設定されている。肉厚の減少が進む速さはねじ部であろうが直管部であろうが同じであると考えられるため、ねじ部が設けられている場合とねじ部が設けられていない場合とを比べると、劣化率が同じであっても前者の方が後者に対して早く限界に到達すると予測されるからである。
ハ列の基準はロ列の基準に対して、劣化率が比較的小さくても劣化度合いが高いことを劣化ランクが示すように設定されている。例えば、c1<b1及びc2<b2となるように設定されている。
表2は、表1と同様、劣化ランクと劣化率の範囲との対応関係を示している。d1,d2,e1,e2,f1,f2は劣化率の基準値を示しており、d1>d2、e1>e3,f1>f2の関係を満たす。表2は、内圧がかからない排水管等の場合に適用されるため、ニ〜ヘの各列は、いずれも、樹脂ライニングが施されていない配管を対象としている。ニ列の基準及びホ列の基準は、表1のイ列及びロ列と同様、ねじ部が設けられているかいないかに応じて使い分けられる。したがって、例えば、d1<e1,d2<e2の関係がある。ヘ列の基準は、ホ列に対して、配管の径が比較的大きい場合に使用される。例えば、ヘ列の基準は配管の径がXmm以上である場合に用いられ、ホ列の基準は配管の径がXmm未満である場合に用いられる。例えば、e1<f1,e2<f2の関係がある。
以上のように劣化ランクを決定した後、複数のサンプルにおける劣化ランクに従って総合ランクを決定する(S31)。総合ランクの決定は、例えば、主系統や分岐管、枝管などの区分単位で行ってもよい。この場合、区分内に含まれるすべてのサンプルの劣化ランクのうち、最も劣化が進んでいることを示すランクを総合ランクに決定する。設備のメンテナンスには、最も劣化が進んだ部分を最優先で考慮する必要があるためである。また、総合ランクの決定は、評価対象が給水管であれば給水管の系統全体、給湯管であれば給湯管の系統全体というように、配管の用途別に行ってもよい。総合ランク、つまり、配管や系統全体の劣化状況に関する評価が実情をどれだけ正しく反映しているか否かは、サンプルにおける検査やサンプルの抽出が十分であるか否かによる。本実施形態では、単にX線検査等により腐食を検査するのみならず、水質分析に基づいてその検査が十分かどうかを判定している(図1のS6)。そして、サンプル数や検査内容が不十分である場合には、サンプルを追加して再検査を行ったり、検査項目を追加したりする。したがって、配管や系統全体の劣化状況を評価するために十分な検査がなされるため、劣化状況が適切に評価可能である。
S21において、閉塞率に基づいてランクを決定すると選択した場合(S21、“閉塞率”)には、以下のように閉塞率を導出する(S41)。閉塞率は、X線検査や内視鏡検査によって得られた画像から、官能評価又は画像解析を用いて導出する。官能評価では、画像においてスケールの生成状況から、配管内のどれくらいの割合をスケールが閉塞しているかを目視で評価する。画像解析では、画像においてスケールが形成されている正味の領域の面積の、スケールがないとした場合の管内の全領域(図6の管内領域)に対する割合を、コンピュータに算出させる。具体的には例えば、コンピュータが、配管の断面の画像をディスプレイに表示させると共に、ポインティングデバイスやキーボードなどの入力装置を介して、画像のうちの任意の範囲を指定する入力をユーザから受け付ける。これにより、スケールが形成された領域(図6のスケール形成領域)をユーザがおおまかに指定すると、コンピュータが、ユーザが指定した範囲内に存在するスケールのエッジを認識し、その認識結果に基づき、スケールが形成されている正味の領域の面積を算出する。なお、ユーザがポインティングデバイスを介して直接エッジを指定してもよい。そして、コンピュータが、管内の全領域の面積に対する、スケールが形成された正味の面積の割合を算出する。
次に、導出した閉塞率に基づいて劣化ランクを決定する(S42)。劣化ランクは、閉塞率の範囲と劣化ランクとの対応関係を示す表3に基づいて決定する。表3の各列に含まれる記号g1,g2は、閉塞率の基準値を示し、g1>g2を満たす。なお、劣化ランクの基準には、配管の分類、用途、使用状況等に応じて表3と異なるものが用いられてもよいことは、劣化率に基づいて決定する際に使用する表1や表2の場合と同様である。
なお、劣化率及び閉塞率のいずれにも基づかずに劣化ランクを決定することもある。例えば、配管が銅管である場合には、X線検査や内視鏡検査による撮像画像からははっきりとした劣化の特徴が表れないことが多い。したがって、この場合には、配管系統からサンプルを切り出し、内表面の腐食状況を肉眼・顕微鏡観察によって把握する。また、配管劣化の原因を把握する。また、配管の使用環境等に応じて総合的に判断する場合もある。腐食状況については、例えば、緑青が発生している程度、その他の腐食生成物が発生している程度、孔食や潰食が発生している程度(孔食の深さや個数等)などをそれぞれランク付けする。使用環境については、保守管理の履歴を照会し、配管に漏水が発生した回数がどの程度かや、配管設備の使用開始時からの経過年数等をそれぞれランク付けする。そして、これらのランク付けの結果を総合的に判断し、配管(銅管)の劣化ランクを決定する。
(ロ)耐用年数の推定
耐用年数は、通常、配管の残存肉厚を算出した結果と、配管設備の使用開始時からの経過年数とに基づいて算出される。基本的に、耐用年数は、各サンプル中の最小の残存肉厚を腐食の速さで割ったものとなる。腐食の速さは、腐食量の最大値を経過年数で割った値である。
一方、上記の算出法は、腐食量が経過時間に対して線形であること、腐食の開始が設備使用開始と同時であることを前提としている。しかしながら、これらの前提が常に成立するとは限らない。正確な耐用年数の導出にはさらに以下の要因が関わる。(要因I)腐食の開始が設備の使用開始と同時とは限らないこと。(要因II)配管の使用状況や設置環境に応じて腐食の態様が異なること。(要因III)水質の変化等の物理的な要因によって腐食の進行度が変わること。(要因IV)測定精度に限界があること。なお、これらは想定される要因の一例である。
そこで、正確な耐用年数の導出のための補正係数Z(0<Z<1)を導入し、以下の数式5に基づいて耐用年数を算出することを考える。ここで、Y:耐用年数、t:最小の残存肉厚、t:最低必要厚、σ:1年あたりの腐食量である。tは、配管の公称肉厚から、サンプル内最大腐食量又は推定の最大値を引いたものである。最低必要厚は、想定される内圧に耐えうる最小の厚みである。σは、現在までの腐食量を設備の経過年数で除算することで算出する。
[数式5]Y=(t−t)/σ*Z
補正係数Zの設定方法の一例は、以下のとおりである。表4に示すように、耐用年数の補正が必要となる要因ごとに係数x,x,x,x(いずれも正の実数)を設定する。
これらの係数は0≦x+x+x+x<1を満たす範囲で設定する。なお、本例では4つの要因を考えるが、想定要因がこれと異なる場合には、要因数に応じた個数の係数を設定する。ところで、上記要因は、耐用年数を推定する時点での配管の状況に応じ、どの程度、耐用年数の推定に影響を与えるかが異なると考えられる。例えば、配管の経過年数が既に長く、現時点となっては腐食のスタート時を把握することが困難である場合には、耐用年数の推定の際に要因Iによる影響を大きく考慮するべきである。したがって、この場合には、係数xを比較的大きい値(例えば、0.2)とする。また、水質検査の結果に基づき、水質の変化が腐食の進行を促進していると推測できる場合には、要因IIIの係数xを比較的大きい値(例えば、0.15)とする。このように、各要因において、腐食の進行を促進する状況が認められたり、手持ちの情報では状況が不明であるため、最悪の想定を考慮すると耐用年数を短く見積もる方がよい場合があったりする。このような場合には、当該要因に対応する係数を大きく設定する。そして、x〜xを設定した後、数式6に基づき、補正係数Zを導出する。
[数式6]Z=1−(x+x+x+x
補正係数Zの設定方法の別の例は、以下のとおりである。腐食の要因や、各要因と腐食の進行度との関係が推測しづらい場合(例えば、配管が銅管である場合)には、表5に示すように、経過年数に応じてZを設定してもよい。表中、y、y、yは年数を示し、y<y<y=(一般的な耐用年数)の関係がある。例えば、経過年数がy〜yの範囲内にある場合、補正係数ZをZと設定する。
耐用年数の推定はサンプルごとになされるため、配管全体の評価としては、適切なサンプル数の検査が十分に行われたか否かが重要である。本実施形態では、上記の通り、水質分析に基づいて検査が十分かどうかを判定している(図1のS6)。そして、サンプル数や検査内容が不十分である場合には、サンプルを追加して再検査を行ったり、検査項目を追加したりする。したがって、配管や系統全体の劣化状況を評価するために十分な検査がなされるため、その検査結果に基づく耐用年数の推定も十分に価値のあるものとなる。
(実施例)
以下、上述の実施形態に基づいて配管を評価した一実・BR>{例について、図7及び図8を参照しつつ説明する。なお、図7及び図8において、大きさを示す値の単位はすべてミリメートルであり、率(割合)を示す値の単位はすべてパーセントである。
図7は、S26において、最大値の推定を用いないとした場合の評価結果の一例である。項目1〜3は、予備調査(S1)の結果であり、配管の区分、用途及び分類を示している。項目4は、各サンプルに適用される検査方法であり、項目1〜3や、配管の使用状態等に基づいて選択されたものである(S4)。例えば、サンプル1−2は炭素鋼鋼管であり、X線検査を使用する。一方、サンプル1−1は炭素鋼鋼管であるが、検査装置を置くスペースを確保できない等の理由により、内視鏡検査が選択されている。サンプル2−1はX線検査が選択されているが、サンプル2−2は、所定の径を超えており且つ内部に水がたまった状態で検査を行わなければならない等の理由により、超音波検査が選択されている。
項目5〜10は、配管設備の経過年数、配管径、接合方式及び公称肉厚であり、予備調査(S1)において把握されたものである。項目11はサンプル内の腐食量のうち最大のもの、つまり、サンプル内最大腐食量である。項目12の最大減肉率は、項目8又は10、つまり、直管部又は継手部の公称値に対するサンプル内最大腐食量の割合を示している。なお、サンプル1−1は内視鏡検査のみがなされているため、減肉率が算出されていない。項目12〜19においても同様である。
項目13〜15の残存肉厚は、項目8〜10のそれぞれから項目11を減算したものである。このように、各部の公称肉厚からサンプル内最大腐食量を減算する理由は、サンプル内最大腐食量の腐食が発生するのは直管部かねじ部かに関わらないと考えられるためである。言い換えると、最悪の状況を想定した場合、いずれの箇所においてもサンプル内最大腐食量の腐食が発生する可能性があるからである。なお、項目13〜15には、各部のうち一部の数値のみが含まれている。例えば、サンプル2−1の場合、継手部に関する値のみが含まれている。これは、上記のとおり、配管がライニング鋼管である場合には肉厚導出箇所が継手部に設定されているためである。サンプル1−2及び1−3の場合、肉厚導出箇所が直管部に設定されており、直管部とねじ部に関する数値のみが含まれている。
項目16〜18は、各部の劣化率である。例えば項目16は、項目11を項目8で除算したものに100を乗算することによって算出されている(S29)。項目19の最大劣化率は、各部の劣化率のうち、最大のものである。項目20は、管内表面に付着した付着物の厚さであり、X線検査又は内視鏡検査による撮像画像に基づき、目視によって得られる。項目21は、X線検査又は内視鏡検査による撮像画像に基づき、目視又は画像解析によって得られる(S41)。項目22は劣化ランクである。劣化ランクは、最大劣化率が導出されているサンプル1−1〜2−2については、表1又は表2に基づいて決定されている(S30)。例えば、サンプル1−3は、給水管であり、炭素鋼鋼管であり、且つねじ部を有しているため、表1のイ列が用いられる。最大劣化率(69.1パーセント)が表1のイ列のいずれの範囲に該当するかに基づき、ランクがAに決定されている。また、サンプル2−2は給水管であり且つビニルライニング管であるため、表1のハ列が用いられる。最大劣化率(19.6)が表1のハ列のいずれの範囲に該当するかに基づき、ランクがBに決定されている。また、最大劣化率が導出されていないサンプル1−1については、閉塞率に基づいてランクが決定されている(S42)。
項目23は予備調査(S1)において取得される。項目24は、項目5(経過年数)その他を参照し、耐用年数の推定に影響すると想定される各種の要因を考慮することで、数式6に基づいて導出される。推定耐用年数は、項目5、8〜11、13〜15及び24に基づき、数式5により算出される。数式5のうち、tは項目13〜15のうちの最小値であり、σは項目5と項目11とから求められる。
図8は、S26において、最大値の推定を用いるとした場合の評価結果の一例である。項目26はS27において推定された腐食量の真の最大値である。上記の通り、配管の区分ごとに最大値が求められている。項目27〜33は、項目11を項目26に置き換えた場合における項目13〜19と同様の計算により求められる。そして、図7の場合と同様、項目33に基づいて劣化ランクが、項目27〜29に基づいて推定耐用年数がそれぞれ導出される。
11-15 直管部
11a-13a ねじ部
21 継手部
100 X線照射装置
S サンプル
本発明の配管評価方法は、肉眼観察、光学観察、X線検査及び超音波検査の少なくともいずれかの方法に基づいて、複数種類のサンプル配管の内表面における腐食状況を検査する腐食検査ステップと、前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、前記劣化評価ステップが、前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、前記複数種類のサンプル配管のそれぞれに関して、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す当該サンプル配管の公称厚みに対する劣化度合いに応じた劣化ランクを、前記劣化ランクと前記公称厚みに対する劣化度合いに関する基準値と前記複数種類のサンプル配管とを互いに関連付ける表に対応する情報に基づいて決定するランク決定ステップとを含んでおり、前記劣化ランクのランク数が、前記サンプル配管の種類に関わらず共通であり、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づくランク分けの基準が、各ランクについて、前記公称厚みに対する劣化度合いに関する基準値を含んでおり、ねじ部の有無、樹脂ライニングの有無、及び、継手の有無の少なくともいずれかに関して互いに異なる少なくとも2種類の前記サンプル配管同士で少なくともいずれかのランクに関する前記基準値が異なっている。別の観点では、本発明の配管評価方法は、肉眼観察、光学観察、X線検査及び超音波検査の少なくともいずれかの方法に基づいて、複数種類のサンプル配管の内表面における腐食状況を検査する腐食検査ステップと、前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む前記評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、前記劣化評価ステップが、前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、前記複数種類のサンプル配管のそれぞれに関して、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す劣化度合いに応じた劣化ランクを決定するランク決定ステップと、前記サンプル配管ごとに耐用年数の推定値Yを導出するステップとを含んでおり、前記劣化ランクのランク数が、前記サンプル配管の種類に関わらず共通であり、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づくランク分けの基準が、互いに異なる少なくとも2種類の前記サンプル配管同士で異なっており、前記耐用年数の推定値Yが、前記腐食量導出ステップにおいて導出された最大の腐食量と配管設備の経過年数とに基づく1年あたりの腐食量をσとし、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す最小の肉厚をtmとし、配管の最低必要厚をt0とするときに、補正係数Zを用いてY=(tm−t0)/σ*Zと表され、前記補正係数Zが、前記耐用年数の推定値Yに影響を与えると想定される複数の要因のそれぞれに、影響度合いを示す0より大きく1より小さい数値を割り当てると共に、それらの数値の合計を1から減算することにより、0<Z<1の範囲で設定され、配管の経過年数が大きいほど大きい第1の数値、配管内を流通する水の水質を分析する水質分析の分析結果に基づき腐食の進行度が大きいと評価された場合ほど大きい第2の数値、並びに、配管の使用状況及び設置環境に基づき腐食の進行度が大きいと評価された場合ほど大きい第3の数値の少なくともいずれか2つの数値を前記複数の要因の少なくとも2つに係る数値として割り当てる。さらに別の観点では、本発明の配管評価方法は、サンプル配管の内表面における腐食状況をX線検査に基づいて検査する腐食検査ステップと、前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、前記劣化評価ステップが、前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、前記複数種類のサンプル配管のそれぞれに関して、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す劣化度合いに応じた劣化ランクを決定するランク決定ステップとを含んでおり、前記劣化ランクのランク数が、前記サンプル配管の種類に関わらず共通であり、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づくランク分けの基準が、互いに異なる少なくとも2種類の前記サンプル配管同士で異なっており、前記腐食検査ステップにおいて、前記サンプル配管の軸付近を通過するX線の検出を含むX線検査によって、前記サンプル配管における径方向に両端部の断面を含むX線撮像画像を示す画像データが取得され、前記腐食量導出ステップにおいて、前記X線撮像画像に含まれる画素のうち、前記サンプル配管の軸付近の基準箇所における画素の明暗値に対する、前記サンプル配管の軸付近の前記基準箇所とは別の箇所における画素の明暗値の相対的な大きさを前記画像データに基づいて取得すると共に、取得した前記明暗値の相対的な大きさと前記サンプル配管の公称肉厚値とに基づいて、前記別の箇所における前記腐食量が導出される。

Claims (9)

  1. 肉眼観察、光学観察、X線検査及び超音波検査の少なくともいずれかの方法に基づいて、複数種類のサンプル配管の内表面における腐食状況を検査する腐食検査ステップと、
    前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、
    前記劣化評価ステップが、
    前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、
    前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、
    前記複数種類のサンプル配管のそれぞれに関して、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す劣化度合いに応じた劣化ランクを決定するランク決定ステップとを含んでおり、
    前記劣化ランクのランク数が、前記サンプル配管の種類に関わらず共通であり、
    前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づくランク分けの基準が、少なくとも2種類の前記サンプル配管同士で異なっていることを特徴とする配管評価方法。
  2. 前記ランク分けの基準が、内圧による負荷がある前記サンプル配管と内圧による負荷がない前記サンプル配管との間で異なっていることを特徴とする請求項1に記載の配管評価方法。
  3. 前記ランク分けの基準が、ねじ部を含む前記サンプル配管とねじ部を含まない前記サンプル配管との間で異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管評価方法。
  4. 前記腐食検査ステップにおいて、前記サンプル配管として樹脂ライニングが施された配管とその配管を他の配管と繋ぐ継手部とが含まれ、
    前記ランク分けの基準が、前記継手部とその他の配管との間で異なっており、
    前記ランク決定ステップにおいて、前記樹脂ライニングが施された配管の劣化ランクを決定する際に、前記継手部に係る前記ランク分けの基準に基づくことを特徴とする請求項1又は2に記載の配管評価方法。
  5. 前記サンプル配管内に形成されるスケールによる閉塞度合いを評価する閉塞評価ステップをさらに備えており、
    前記ランク分けの基準が、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づいて前記劣化ランクを決定する場合の第1の基準と、前記閉塞評価ステップにおける評価結果に基づいて前記劣化ランクを決定する場合の第2の基準とを含んでおり、
    前記劣化ランクのランク数が、前記第1の基準と前記第2の基準とで共通であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の配管評価方法。
  6. 前記評価対象範囲内に銅管が含まれており、
    配管内を流通する水の水質分析において、イオン状シリカの濃度及び硫酸イオンの濃度を導出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の配管評価方法。
  7. 前記肉厚導出ステップにおいて、公称厚みが異なる2つの部分を含む前記サンプル配管の公称厚みが大きい方の部分に関して肉厚を導出し、
    前記最小肉厚評価ステップにおいて、前記サンプル配管の公称厚みが小さい方の部分に関して前記腐食量導出ステップで導出された最大の腐食量と同程度の腐食が発生したと想定した場合に残存する肉厚を最小の肉厚とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に配管評価方法。
  8. 肉眼観察、光学観察、X線検査及び超音波検査の少なくともいずれかの方法に基づいて、サンプル配管の内表面における腐食状況を検査する腐食検査ステップと、
    前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む前記評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、
    前記劣化評価ステップが、
    前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、
    前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、
    前記サンプル配管ごとに耐用年数の推定値Yを導出するステップとを含んでおり、
    前記耐用年数の推定値Yが、前記腐食量導出ステップにおいて導出された最大の腐食量と配管設備の経過年数とに基づく1年あたりの腐食量をσとし、前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果が示す最小の肉厚をtとし、配管の最低必要厚をtとするときに、補正係数Zを用いてY=(t−t)/σ*Zと表され、
    前記補正係数Zが、
    前記耐用年数の推定値Yに影響を与えると想定される複数の要因のそれぞれに、影響度合いを示す0より大きく1より小さい数値を割り当てると共に、それらの数値の合計を1から減算することにより、0<Z<1の範囲で設定され、
    配管の経過年数が大きいほど大きい第1の数値、配管内を流通する水の水質を分析する水質分析の分析結果に基づき腐食の進行度が大きいと評価された場合ほど大きい第2の数値、並びに、配管の使用状況及び設置環境に基づき腐食の進行度が大きいと評価された場合ほど大きい第3の数値の少なくともいずれか2つの数値を前記複数の要因の少なくとも2つに係る数値として割り当てることを特徴とする配管評価方法。
  9. サンプル配管の内表面における腐食状況をX線検査に基づいて検査する腐食検査ステップと、
    前記腐食検査ステップにおける検査結果に基づいて、前記サンプル配管を少なくとも含む評価対象範囲の全体に関する劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、
    前記劣化評価ステップが、
    前記腐食検査ステップの検査結果に基づいて前記サンプル配管における腐食量を導出する腐食量導出ステップと、
    前記腐食量導出ステップで導出された腐食量に基づいて、配管の最小の肉厚を評価する最小肉厚評価ステップと、
    前記最小肉厚評価ステップにおける評価結果に基づいて前記劣化度合いを評価する劣化評価ステップとを備えており、
    前記腐食検査ステップにおいて、前記サンプル配管の軸付近を通過するX線の検出を含むX線検査によって、前記サンプル配管における径方向に両端部の断面を含むX線撮像画像を示す画像データが取得され、
    前記腐食量導出ステップにおいて、
    前記X線撮像画像に含まれる画素のうち、前記サンプル配管の軸付近の基準箇所における画素の明暗値に対する、前記サンプル配管の軸付近の前記基準箇所とは別の箇所における画素の明暗値の相対的な大きさを前記画像データに基づいて取得すると共に、取得した前記明暗値の相対的な大きさと前記サンプル配管の公称肉厚値とに基づいて、前記別の箇所における前記腐食量が導出されることを特徴とする配管評価方法。
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