JP2014202279A - 液体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低周波大振幅入力でも高周波小振幅入力でも防振機能を発揮できるコンパクトで低コストのエンジンマウントにも好適な液体封入式防振装置を提供する。【解決手段】第1および第2の取付部材11,12と、これらと共に主液室15を形成する支持ゴム弾性体13と、副液室16を形成するダイヤフラム17と、両液室15,16を区画するオリフィス付の仕切部材14とを備えた防振装置であり、第2の取付部材12は、仕切部材14より支持ゴム弾性体13に近い小径の内周壁12aと、仕切部材14より支持ゴム弾性体13から離れた大径の内周壁12bとを有し、両内周壁12a,12bにより主液室15の内周壁面15iが形成される。また、支持ゴム弾性体13に固着する小径ピストン部11aと、大径の内周壁12bに軸方向変位可能に支持された大径ピストン部11bとが一体に連結されて第1の取付部材11が構成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、内部に液体が封入された液体封入式防振装置、特に振動減衰用のオリフィス通路を有する液体封入式防振装置に関する。
車両のエンジンマウント等においては、支持ゴムに隣接する液室を絞り孔付の仕切板で主液室と少なくとも1つの他の液室(以下、副液室という)とに仕切る液体封入式防振装置が多用されている。
そのような液体封入式防振装置としては、例えば動ばね定数を複数段に調節すべく、副液室の背圧を外部からの供給負圧により調整するもの(例えば、特許文献1参照)や、仕切板の背後の2室を仕切る加振板をアクチュエータで加振するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、オリフィス通路付の外周金具と共に仕切板を構成する大径ピストンを支持ゴム側のセンターボスに連結する一方、主液室の内周壁を大径ピストン側で拡径させることで、センターボスに押込み荷重が加わるときに液室の内圧を低下させる等して、高周波小振幅の振動入力に対する動ばね定数を支持ゴムの支持ばね定数より低くするものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、上述のような従来の液体封入式防振装置のうち、動ばね定数を可変制御するために負圧供給機構やアクチュエータによる加振機構を設置するものにあっては、大型で高コストになるという問題があった。
また、動ばね定数を支持ゴムの支持ばね定数より低くできるようにした従来の液体封入式防振装置にあっては、負圧供給機構やアクチュエータによる加振機構を用いる必要がないものの、オリフィス通路付の外周金具の内方に環状の摺動シールゴムを介して大径ピストンを支持させる構成であったため、次のような問題があった。
すなわち、この従来装置にあっては、環状のオリフィス通路を形成する外周金具の内方に、摺動シールゴムを介して大径ピストンを支持させることにより仕切板が構成されていたため、摺動シールゴムの摺動範囲が外周金具の厚さの範囲内に制限されてしまい、振幅の大きい振動入力に対しては所要のシール性を確保できず、対応できなかった。そればかりか、大径ピストンの周囲の摺動シールゴムには高いシール性が要求されるため、その摺動シールゴムが大径ピストンおよび外周金具に強く圧接する必要があり、その点からも、大径ピストンのストロークが高周波小振幅の振動範囲内に制限されていた。そのため、この従来装置は、センターボスおよび大径ピストンに対して大振幅の振動が入力される用途では使用困難であるか、シール性の面で耐久性が著しく低下し易いものとなり、エンジン等からの分担荷重を受けたり悪路走行時等に大振幅の振動が入力されたりするエンジンマウントとしては好適でなかった。
そこで、本発明は、低周波大振幅の振動入力に対しても高周波小振幅の振動入力に対しても所要の防振機能を発揮できるコンパクトで低コストの、しかも、エンジンマウントにも好適な液体封入式防振装置を提供することを目的とする。
本発明に係る液体封入式防振装置は、上記目的達成のため、(1)相対変位可能に設けられた第1および第2の取付部材と、前記第1および第2の取付部材と共に主液室を形成するよう前記第1および第2の取付部材の間に介装された支持ゴム弾性体と、拡張および収縮可能な副液室を形成するよう前記第1および第2の取付部材のうちいずれかに装着されたダイヤフラムと、前記主液室と前記副液室とを区画する区画壁を形成する一方、前記主液室および前記副液室を連通させるオリフィス通路を有する仕切部材と、を備えた液体封入式防振装置であって、前記第2の取付部材が、前記仕切部材より前記支持ゴム弾性体に近い小径の内周壁と、前記仕切部材より前記支持ゴム弾性体から離れた大径の内周壁とを有し、両内周壁によって前記主液室の内周壁面を形成しており、前記支持ゴム弾性体に固着する小径ピストン部と、前記支持ゴム弾性体に対向しつつ前記大径の内周壁に軸方向変位可能に支持された大径ピストン部とが、前記小径ピストン部と前記大径ピストン部の軸方向に一体に変位するよう互いに連結されることにより、前記第1の取付部材が構成されていることを特徴とする。
この構成により、大径ピストン部の周囲にオリフィス通路を有する仕切部材が配置されないで済み、大径ピストン部の受圧面積を十分に確保しつつ装置を小径化できることになる。さらに、第1の取付部材に対する大振幅の振動入力に対応可能となるとともに、大径ピストン部と第2の取付部材の大径の内周壁との間のシール性も安定確保可能となる。したがって、低周波大振幅の振動入力に対しても高周波小振幅の振動入力に対しても所要の防振機能を発揮できるコンパクトで低コストの、しかも、エンジンマウントにも好適な液体封入式防振装置となる。
本発明の液体封入式防振装置は、(2)前記第2の取付部材の前記大径の内周壁と前記第1の取付部材の前記大径ピストン部との間に、前記大径の内周壁に対する前記大径ピストン部の軸方向変位を許容しつつ、前記大径の内周壁と前記大径ピストン部の間を封止する伸縮式の封止機構が介装されているものであってもよい。
この構成により、大径ピストン部から第2の取付部材に大きな反力を生じさせたりすることなく、大径の内周壁に対する大径ピストン部の軸方向変位を大振幅入力に十分に対応可能にし、かつ、大径の内周壁と大径ピストン部の間の十分なシール性を確保することができる。
本発明の液体封入式防振装置においては、(3)前記第1の取付部材の前記大径ピストン部は、前記第2の取付部材の前記大径の内周壁に対し、該内周壁の軸方向一端側の外方に配置されていてもよい。
この場合、大径ピストン部と小径ピストン部と受圧面積比を広範囲に選定でき、小径ピストンから支持ゴム弾性体側に押込み荷重が加わるときに主液室内の液圧を効果的に低下させたり、小径ピストンから支持ゴム弾性体側に引張り荷重が加わるときに主液室内の液圧を効果的に高めたりして、防振効果を高めることができる。
本発明の液体封入式防振装置は、(4)前記主液室が、前記第2の取付部材の内方側に配置され、前記副液室が、前記第2の取付部材の外方側に配置されているものであってもよい。
この構成により、副液室の配置の自由度が高まり、装置の実質的な小型化がさらに容易となる。
本発明の液体封入式防振装置は、(5)前記副液室が、前記第2の取付部材の前記小径の内周壁より径方向の外方側に及ぶように配置されているものであってもよい。
この構成により、装置の最大外径を抑えつつ、副液室を第2の取付部材の外方側に容易に配置できる。
本発明の液体封入式防振装置は、(6)前記第1の取付部材の前記小径ピストン部および前記大径ピストン部が、前記液室の外部で連結されているものであってもよい。
この構成により、大径の内周壁や第2ピストン部の径を抑えつつ、第1の取付部材の小径ピストン部および大径ピストン部の受圧面積差を十分に確保して、防振効果を高めることができる。しかも、第1の取付部材の小径ピストン部および大径ピストン部を容易に連結でき、装置の製造が容易となる。
本発明の液体封入式防振装置は、(7)前記第1の取付部材の前記小径ピストン部および前記大径ピストン部が、前記液室の内部で連結されているものであってもよい。
この構成により、連結部材がブラケット等として不要な場合に第1の取付部材を小型化し、防振装置をコンパクトに実装可能となる。
本発明の液体封入式防振装置においては、(8)前記支持ゴム弾性体の支持ばね定数をkr1、前記伸縮式の封止機構の支持ばね定数をkr2、前記主液室の拡張ばね係数をk1とするとき、前記拡張ばね定数k1が、次の式(A)で定義される設定範囲内に設定されていてもよい。
0.2・kr1 + kr2 < k1 < 1.8・kr1 + kr2 ・・・(A)
本発明によれば、大径ピストン部の周囲にオリフィス通路を有する仕切部材を配置せず、大径ピストン部の受圧面積を十分に確保しつつ装置を小径化するようにしているので、低周波大振幅の振動入力に対しても高周波小振幅の振動入力に対しても所要の防振機能を発揮できるコンパクトで低コストの、しかも、エンジンマウントにも好適な液体封入式防振装置を提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る液体封入式防振装置を示す図であり、本発明を車両にエンジンマウントとして搭載されるマウント装置に適用した場合を例示している。
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る液体封入式防振装置を示す図であり、本発明を車両にエンジンマウントとして搭載されるマウント装置に適用した場合を例示している。
まず、その構成について説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態のマウント装置10は、相対変位可能な第1および第2の取付部材11,12と、第1および第2の取付部材11,12を弾性的に結合する環状の支持ゴム弾性体13とを有している。
このマウント装置10は、振動体、例えば車両のパワープラント1と、そのパワープラント1を支持する支持体としての車体2との間に介装されるようになっている。パワープラント1は、原動機を構成する内燃エンジンおよび変速機を一体化したものである。
第1の取付部材11は、パワープラント1の特定の部位に取付け可能になっており、第2の取付部材12は、車体2の特定の部位に取付け可能になっている。例えば、第1および第2の取付部材11,12のそれぞれに、締結用のボルト結合部やボルト挿入穴等が設けられている。
ここで、第1の取付部材11は、いわゆるセンターボスとして機能する略円柱状の第1ピストン部11a(小径ピストン部)を有しており、この第1ピストン部11aの下端側の外周全域に支持ゴム弾性体13の内周部分が固着されている。
第2の取付部材12は、第1の取付部材11の第1ピストン部11aの下端側で第1ピストン部11aを取り囲む内筒部12aと、内筒部12aに対し同軸に配置された相対的に大径の外筒部12bとを有しており、内筒部12aの内周面に支持ゴム弾性体13の外周部分が固着されている。
第2の取付部材12には、また、内筒部12aと外筒部12bを一体に連結する連結要素を兼ねて、環状の仕切部材14が一体的に装着されている。
これにより、第2の取付部材12の内筒部12aは、仕切部材14より支持ゴム弾性体13に近い小径の内周壁を構成し、第2の取付部材12の外筒部12bは、仕切部材14より支持ゴム弾性体13から離れた大径の内周壁を構成している。そして、これら内筒部12aおよび外筒部12bと仕切部材14とによって、段付の略円筒状の内周壁面15iを有する主液室15が形成されている。
第1の取付部材11は、さらに、第1ピストン部11aに加えて、第2ピストン部11b(大径ピストン部)と、連結金具11cとを含んで構成されている。
第1の取付部材11の第2ピストン部11b(大径ピストン部)は、その軸方向である図1中の上下方向で支持ゴム弾性体13に対向するともに、第2の取付部材12の外筒部12bに対し軸方向に変位可能に支持されている。
また、第1の取付部材11の第1ピストン部11aが支持ゴム弾性体13を介して第2の取付部材12に連結されているのに対して、第2ピストン部11bは、第2の取付部材12の外筒部12bに対して軸方向の外側に配置されている。したがって、第2ピストン部11bから第2の取付部材12に大きな反力が加わることはない。
第1の取付部材11の連結金具11cは、第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bを互いに軸方向に一体に変位するように連結する金属製のブラケットとなっている。すなわち、この第1の取付部材11の連結金具11cは、第1の取付部材11の第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bを、主液室15の外部で一体に連結している。
支持ゴム弾性体13は、第1および第2の取付部材11,12の双方に加硫(架橋)接着等により一体に固着されたゴム等の弾性材料からなる。この支持ゴム弾性体13は、第1および第2の取付部材11,12と共に主液室15を形成するよう第1および第2の取付部材11,12の間に介装されている。
具体的には、支持ゴム弾性体13は、第1の取付部材11の第1ピストン部11a側から第2の取付部材12の内筒部12aに向かって半径が大きくなるほど図1中の下方側に位置する厚肉のスカート状に形成されており、第1ピストン部11aおよび内筒部12aとの固着部位において液体密のシール機能を発揮するようになっている。これにより、支持ゴム弾性体13は、第1および第2の取付部材11,12および仕切部材14と共に主液室15を画成している。
主液室15には、非圧縮性流体である液体として、例えばエチレングリコールやシリコンオイルが封入されている。
マウント装置10は、また、第1および第2の取付部材11,12のうちいずれか(少なくともいずれか一方)、例えば第2の取付部材12に装着されたダイヤフラム17を備えている。このダイヤフラム17は、第2の取付部材12および仕切部材14との間に拡張および収縮可能な副液室16を形成している。
一方、仕切部材14は、円環状の中空の区画壁14aを形成するとともに、その区画壁14aの内部に、主液室15および副液室16を互いに連通させるオリフィス通路部14bを有している。このオリフィス通路部14bは、予め設定された通路断面積で主液室15の内周壁面15iに沿って所定長さだけ延在しており、その一端側の開口14cで主液室15に接続され、他端側の開口14dで副液室16に接続されている。
したがって、マウント装置10に第1および第2の取付部材11,12を相対変位させる比較的低周波数の振動が入力されるとき、その振動入力荷重に応じて支持ゴム弾性体13が弾性変形するとともに主液室15内の液体が加圧され、主液室15および副液室16の間でオリフィス通路部14bを通して液体が移動する。また、主液室15および副液室16の間でオリフィス通路部14bを通して液体が移動するとき、副液室16が、支持ゴム弾性体13と協働してダイヤフラム17を弾性変形させながら拡張および収縮するようになっている。
さらに、オリフィス通路部14bは、比較的低周波数、例えばいわゆるアイドル振動数領域より振動周波数が低い特定周波数の振動入力に対して液柱共振を生じさせ得るように形状(通路断面積および通路長さ)が設定されており、特定周波数の振動入力に対しマウント装置10の動ばね定数を十分に低下させることで防振性能を高めるようになっている。アイドル振動数領域より振動周波数が低い特定周波数とは、より具体的には、例えばエンジンの運転によるシェイク振動入力の振動周波数である。また、シェイク振動入力とは、マウント装置10が搭載される車両の車体2の剛体振動とエンジン系の共振とによってエンジンシェイクと呼ばれる低周波振動が発生するときのマウント装置10への振動入力である。
なお、仕切部材14は、オリフィス通路部14bに対応する略環状をなすとともに少なくとも外周または上下一方側で開放された環状溝を有する略U字断面もしくは略L字形断面の環状部材を、第2の取付部材12の内筒部12aと外筒部12bとの連結要素にかしめたり溶接したりして構成することもできる。すなわち、仕切部材14は、少なくとも一部が第1および第2の取付部材11,12とは別体の部品で構成され得る。
ダイヤフラム17は、副液室16内の液圧に応じてその形状および表面積を変化させるように拡張および収縮可能な比較的膜厚の薄い(支持ゴム弾性体13より十分に薄い)弾性膜となっている。そして、ダイヤフラム17の内周部は、第1の取付部材11の第1ピストン部11a(第2の取付部材12の内筒部12aでもよい)に加硫接着等により固着されるか、図示しない環状の取付け金具等によって第1ピストン部11aの外周面に気密的に圧着されている。また、ダイヤフラム17の外周部は、第2の取付部材12の外筒部12bに固着されるか、図示しない環状の取付け金具等によって第2の取付部材12の外筒部12bの内周面または/および図1中の上端面に圧着されている。すなわち、ダイヤフラム17は、第1の取付部材11の第1ピストン部11aおよび第2の取付部材12の外筒部12bに対しシール機能を発揮し得るように接続されており、副液室16内に液体が封入された状態となっている。
主液室15は、第2の取付部材12の内方側に配置されている。一方、副液室16は、第2の取付部材12の外方側、例えば小径の内周壁である内筒部12aより半径方向の外方側に及ぶように配置されている。
ところで、第2の取付部材12の大径の内周壁である外筒部12bと第1の取付部材11の第2ピストン部11bとの間には、外筒部12bに対する第2ピストン部11bの軸方向変位および相対的に小さな径方向変位を吸収(許容)しつつ、外筒部12bと第2ピストン部11bとの間を封止する伸縮式の封止機構21が介装されている。
伸縮式の封止機構21は、例えば弾性体で構成される蛇腹部材22を、第2の取付部材12の外筒部12bと第1の取付部材11の第2ピストン部11bの外周部とにそれぞれ気密的に接合したものである。
この封止機構21は、支持ゴム弾性体13の支持ばね定数に対して、十分に小さい支持ばね定数となり、マウント装置10における支持ばね機能を実質的に担わないものである。さらに、封止機構21は、径方向の拡張・収縮性に乏しく(拡張ばね定数が高く)設定されている。これにより、主液室15の拡張ばね定数が、実質的に第1ピストン部11aの周囲、専らピストン面積範囲外における支持ゴム弾性体13の拡張ばね定数によって決まるようになっている。
また、封止機構21は、小振幅の振動入力時でも大振幅の振動入力時でも蛇腹部材22を自在に伸縮させることで、主液室15の下端外周部分を確実に封止することができ、第1および第2の取付部材11,12の相対変位に応じて主液室15内に的確に液圧変動を生じさせ得るようになっている。
蛇腹部材22は、第2の取付部材12の外筒部12bの図中下端部と第1の取付部材11の第2ピストン部11bの外周部とにそれぞれ気密的に接合された環状の両端部22a,22bと、これら両端部22a,22bの間に連続して形成された中間部22cとを有している。
蛇腹部材22の中間部22cは、少なくとも1回だけ第2の取付部材12の外筒部12bの半径方向に折り返されるか、外筒部12bの半径方向および軸方向に湾曲または屈曲することで、外筒部12bの軸方向に伸縮可能になっている。また、外筒部12bの半径方向に折り返される場合、蛇腹部材22の中間部22cは、外筒部12bに対しその半径方向のいずれか一方側(内側または外側)に凸となる環状もしくは螺旋状のひだ、あるいは、外筒部12bの半径方向の両側(内側および外側)に凸となる環状もしくは螺旋状のひだを有している。
具体的には、図1に示すように、蛇腹部材22の中間部22cは、例えば外筒部12bの半径方向の両側に凸となる複数の環状のひだを形成するように、半径方向に蛇行する略波形の周壁断面形状を有している。ただし、蛇腹部材22の中間部22cは、軸方向への伸縮を可能にする他の任意の断面形状、例えば周壁の断面が略U字形、略V字形、略W形、湾曲または屈曲した略波形、略S字形もしくは略Z形のいずれかとなってもよい。蛇腹部材22を構成する弾性体の材料は、例えばゴム弾性体であるが、特に限定されないものであり、弾性に優れた樹脂その他の材料でもよい。
図2は、本実施形態のマウント装置10の物理モデルであり、同図中のA1は、支持ゴム弾性体13の半径方向中央付近の直径を持つ第1ピストン部11a側の実質的なピストン面積(受圧面積)を示し、A2は、第2ピストン部11b側のピストン面積を示している。また、同図中のkr1は、支持ゴム弾性体13の支持ばね定数を示し、kr2は、伸縮式の封止機構21の支持ばね定数を示している。さらに、同図中のk1は、主液室15の拡張ばね定数を、k2は、副液室16の拡張ばね定数を示しており、同図中のxは、入力変位を、x1は、主液室15の拡張ばね定数分の変位を示している。A0は、オリフィス通路部14bの通路断面積を、mは、オリフィス通路部14b内の流体の質量を、yは、オリフィス通路部14b内の流体の変位を、それぞれ示している。
ところで、マウント装置10においては、第1ピストン部11a側のピストン面積A1と第2ピストン部11b側のピストン面積A2とに有意の面積差があるので、第1および第2の取付部材11,12を相対変位させる振動が入力されるときには、ピストン面積A1、A2のその同一ストロークにおける行程容積の差に応じて、主液室15の容積が変化し得る。したがって、前記振動の周波数が比較的低く、オリフィス通路部14bを通して主液室15と副液室16の間で液体が流れる段階では、オリフィス通路部14bでの絞りによる振動減衰効果が発揮される。
また、オリフィス通路部14bで液柱共振が生じる周波数域においては、オリフィス通路部14b内での液柱共振により絞り抵抗が大きく低下する(図4中のオリフィス共振周波数域参照)。
さらに、入力振動周波数が、オリフィス通路部14bで液柱共振が生じる周波数域を超える比較的高い周波数範囲になるときには、この振動入力による主液室15内の圧力変動に対して、オリフィス通路部14bは実質的に閉塞されたのと同様な高抵抗状態となる。
このとき、ピストン面積A1、A2のストローク時の行程容積差に応じて、主液室15の容積が変化する。そして、第1ピストン部11aが主液室15内に入り込む方向の変位が生じるときには、主液室15内の液圧は前記行程容積差に応じて低下し、第1ピストン部11aが主液室15から離れる方向の変位が生じるときには、主液室15内の液圧は前記行程容積差に応じて高くなる。したがって、振動入力に対する支持ゴム弾性体13の反力の変化とは逆位相となる傾向で、その振動入力による第1および第2の取付部材11,12の相対変位を容易にする方向に主液室15内の液圧変動が生じることになり、マウント装置10の全体としての動ばね定数が、低動ばね定数に保持されるようになっている。
図3は、このように入力振動周波数が、オリフィス通路部14bの液柱共振周波数域を超える比較的高い周波数範囲になり、低動ばね定数に保持されるときのマウント装置10の実質的な物理モデルを示している。
この図3に示す物理モデルおよび図2に示す物理モデルに基づいて、マウント装置10の動ばね定数について説明する。なお、ここでは、マウント装置10の動ばね定数をKdとする。
まず、第2ピストン部11b側のピストン面積A2は、第1ピストン部11a側の実質的なピストン面積A1より大きい(A2>A1)。また、主液室15の拡張ばねに対応する受圧面積A3は、A3=A2−A1と考えることができる。そして、主液室15内の液圧をP1、主液室15の拡張ばね定数をk1、主液室15の拡張ばね定数分の変位をx1として、振動入力時における主液室の拡張ばね分の力の釣り合いを考えると、次の圧力の式(1)が成立する。
P1・A3= P1・(A2−A1)= k1・x1 ・・・(1)
さらに、次の主液室15内の液体について、連続の式(2)が成立する。
(A2−A1)・x= −A3・x1 − A0・y ・・・(2)
入力荷重に対するマウント装置10の反力をFとすると、
F= kr1・x + kr2・x + P1・A3
= kr1・x + kr2・x + P1・(A2−A1) ・・・(3)
よって、マウント装置10の動ばね定数kdは、次式(4)で把握できる。
kd= F/x = kr1 + kr2 +P1・(A2−A1)/x ・・・(4)
すなわち、動ばね定数kdは、支持ゴム弾性体13の主ばね定数kr1と、伸縮性の封止機構21の主ばね定数kr2と、主液室15の拡張ばね定数との和として把握できる。
P1・A3= P1・(A2−A1)= k1・x1 ・・・(1)
さらに、次の主液室15内の液体について、連続の式(2)が成立する。
(A2−A1)・x= −A3・x1 − A0・y ・・・(2)
入力荷重に対するマウント装置10の反力をFとすると、
F= kr1・x + kr2・x + P1・A3
= kr1・x + kr2・x + P1・(A2−A1) ・・・(3)
よって、マウント装置10の動ばね定数kdは、次式(4)で把握できる。
kd= F/x = kr1 + kr2 +P1・(A2−A1)/x ・・・(4)
すなわち、動ばね定数kdは、支持ゴム弾性体13の主ばね定数kr1と、伸縮性の封止機構21の主ばね定数kr2と、主液室15の拡張ばね定数との和として把握できる。
また、圧力の式(1)から、P1・(A2−A1)=k1・x1であるから、
動ばね定数kdは、次式(5)に変形できる。
kd= kr1 + kr2 + P1・(A2−A1)/x ・・・(5)
さらに、オリフィス通路部14bが実質的に連通路として機能しない程度に高い振動周波数、例えば図4中のアイドル領域やこもり音領域となり、連続の式(2)におけるオリフィス通路部14b内の流体の変位y=0と考えることができるときには、次式(7)が成立する。
(A2−A1)・x= −A3・x1 ・・・(7)
よって、アイドル領域やこもり音領域等の比較的高い周波数範囲では、(7)式から、x=−x1となり、この比較的高い周波数範囲における動ばね定数kdは、次式(8)で把握できる。
kd= kr1 + kr2 − k1 ・・・(8)
したがって、伸縮式の封止機構21の支持ばね定数kr2を十分に小さく設定し、主液室15の拡張ばね定数k1より小さく設定しておくことにより、アイドル領域やこもり音領域等の比較的高い周波数範囲における動ばね定数kdを、支持ゴム弾性体13の支持ばね定数kr1より小さくすることができる。
動ばね定数kdは、次式(5)に変形できる。
kd= kr1 + kr2 + P1・(A2−A1)/x ・・・(5)
さらに、オリフィス通路部14bが実質的に連通路として機能しない程度に高い振動周波数、例えば図4中のアイドル領域やこもり音領域となり、連続の式(2)におけるオリフィス通路部14b内の流体の変位y=0と考えることができるときには、次式(7)が成立する。
(A2−A1)・x= −A3・x1 ・・・(7)
よって、アイドル領域やこもり音領域等の比較的高い周波数範囲では、(7)式から、x=−x1となり、この比較的高い周波数範囲における動ばね定数kdは、次式(8)で把握できる。
kd= kr1 + kr2 − k1 ・・・(8)
したがって、伸縮式の封止機構21の支持ばね定数kr2を十分に小さく設定し、主液室15の拡張ばね定数k1より小さく設定しておくことにより、アイドル領域やこもり音領域等の比較的高い周波数範囲における動ばね定数kdを、支持ゴム弾性体13の支持ばね定数kr1より小さくすることができる。
本実施形態のマウント装置10の動ばね定数kdは、そのように設定されており、具体的には、次式(9)で定義される範囲内に設定されている。
−0.8・kr1< kd < 0.8・kr1 ・・・(9)
この設定範囲は、(8)式の条件と、第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bの大小関係(A2>A1)および支持ゴム弾性体13の支持ばね定数kr1に対し伸縮式の封止機構21の支持ばね定数kr2が非常に小さい(kr1>>kr2)という条件を考慮して、支持ばね支持ゴム弾性体13による主液室15の拡張ばね定数k1の設定範囲を示す次式(10)で表すこともできる。
−0.8・kr1< kd < 0.8・kr1 ・・・(9)
この設定範囲は、(8)式の条件と、第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bの大小関係(A2>A1)および支持ゴム弾性体13の支持ばね定数kr1に対し伸縮式の封止機構21の支持ばね定数kr2が非常に小さい(kr1>>kr2)という条件を考慮して、支持ばね支持ゴム弾性体13による主液室15の拡張ばね定数k1の設定範囲を示す次式(10)で表すこともできる。
0.2・kr1 + kr2 < k1 < 1.8・kr1 + kr2 ・・・(10)
次に、作用について説明する。
次に、作用について説明する。
上述のように、パワープラント1と車体2との間に介装されたマウント装置10においては、エンジンの運転によりパワープラント1から振動が入力されるとき、あるいは、車両の走行開始や走行状態変化等によってパワープラント1および車体2からそれぞれ振動が入力されるとき、パワープラント1の運転状態や車両の走行状態に応じて振幅や振動周波数の異なる様々な振動が入力される。また、マウント装置10には、パワープラント1側から鉛直方向下向きの荷重が加わり続ける。
いま、マウント装置10に振動が入力され、パワープラント1と車体2が接近する振動変位が生じたとすると、第1および第2の取付部材11,12の相対変位に伴って、第1ピストン部11aが主液室15内に押込まれるように支持ゴム弾性体13が圧縮される。一方、パワープラント1と車体2が離れる方向に振動変位が生じたとすると、第1および第2の取付部材11,12の相対変位に伴って、第1ピストン部11aが主液室15から離れるように支持ゴム弾性体13が引っ張られる。
また、前述のように、マウント装置10に入力される振動の周波数が比較的低く、オリフィス通路部14bを通して主液室15と副液室16の間で液体が流れる段階では、オリフィス通路部14bでの絞りによる振動減衰効果が発揮されるとともに、図4中のオリフィス共振周波数より低い周波数範囲内に示すように、マウント装置10の全体としての動ばね定数は、比較的高くなる。したがって、例えば車体2の剛体振動とエンジン系の共振によってエンジンシェイクが発生しても、効果的な防振作用が得られる。
オリフィス通路部14bで液柱共振が生じる周波数域においては、図4中のオリフィス共振周波数域に締め羽陽に、オリフィス通路部14b内での液柱共振により絞り抵抗が大きく低下することで、マウント装置10の全体としての動ばね定数が、周波数の単位変化量に対し動ばね定数が急に大きく低下する。
さらに、入力振動周波数が、オリフィス通路部14bで液柱共振が生じる周波数域を超える比較的高い周波数範囲、例えばアイドル領域やこもり音領域の振動周波数になるときには、その振動入力による主液室15内の圧力変動に対して、図3に物理モデルで示すように、オリフィス通路部14bは実質的に閉塞されたのと同様な高抵抗状態となる。
このとき、ピストン面積A1、A2の第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bのストローク時における行程容積差に応じて、主液室15の容積が変化し、支持ゴム弾性体13が拡張ばねとしても機能する。そして、第1ピストン部11aが主液室15内に入り込む方向の変位が生じるときには、主液室15内の液圧は前記行程容積差に応じて低下し、第1ピストン部11aが主液室15から離れる方向の変位が生じるときには、主液室15内の液圧は前記行程容積差に応じて高くなる。
したがって、振動入力に対する支持ゴム弾性体13の支持ばね反力の変化とは逆位相となる傾向で、その振動入力による第1および第2の取付部材11,12の相対変位を容易にする方向に主液室15内の液圧変動が生じることになり、図4中のアイドル領域およびこもり音領域に示すように、マウント装置10の全体としての動ばね定数kdが、低動ばね定数に保持される。
その結果、例えばエンジンのアイドル運転中で車両のステアリングホイール周りやフロアやシート等にアイドル振動が生じたり、車両走行中のロードノイズ等によりこもり音が生じたりしても、それらを含む広い周波数範囲でマウント装置10による有効な振動・騒音抑制効果が得られる。
このような作用に加え、本実施形態においては、特に、第1の取付部材11の第2ピストン部11bが、略環状のオリフィス通路部14bを有する仕切部材14よりも支持ゴム弾性体13から離れる図1中の下方側に配置されているので、第2の取付部材12の外筒部12b内における仕切部材14の占有領域分だけ第2ピストン部11bの受圧面積が狭められるという問題が解消される。その結果、第2ピストン部11bの受圧面積を十分に確保しつつ、マウント装置10を小径化できることになる。
また、パワープラント1からの分担荷重を受ける場合に対し、振幅が大きくなるシェイク入力時や悪路走行時等は、マウント装置10に非常に振幅の大きな振動が入力されるが、本実施形態のマウント装置10では、第1の取付部材11の外筒部12bに対する第2ピストン部11bの軸方向変位が仕切部材14の厚さ内に制限されるといったことがなく、面圧の高い摺動シールを採用するために高周波大振幅の振動入力にしか防振効果が発揮できないという従来の問題も解消される。
したがって、パワープラント1からの分担荷重を受けたり悪路走行時等に大振幅の振動が入力されたりするエンジンマウントとして好適に用いることができ、優れた防振効果を発揮させることができる。
また、本実施形態では、第2の取付部材12の外筒部12bと第1の取付部材11の第2ピストン部11bとの間に伸縮式の封止機構21が介装されているので、第2ピストン部11bから外筒部12bに大きな反力を生じさせたりすることなく、外筒部12bに対する第2ピストン部11bの大きな軸方向変位を許容できることになる。その結果、大振幅入力に十分に対応可能になるとともに、外筒部12bと第2ピストン部11bの間の十分なシール性を安定確保することができるマウント装置10となる。
特に、第1の取付部材11の第2ピストン部11bが第2の取付部材12の外筒部12bに対してその軸方向一端側の外方に配置されているので、大径の第2ピストン部11bと小径の第1ピストン部11aとの受圧面積比を広範囲に選定できることになる。したがって、小径の第1ピストン部11aから支持ゴム弾性体13側に押込み荷重が加わるときに主液室15内の液圧を効果的に低下させる一方、小径の第1ピストン部11aから支持ゴム弾性体13側に引張り荷重が加わるときに主液室15内の液圧を効果的に高めたりして、マウント装置10の防振効果を高めることができる。
さらに、本実施形態では、主液室15が第2の取付部材12の内方側に配置され、副液室16が第2の取付部材12の外方側に配置されているので、副液室16の配置の自由度が高まり、マウント装置10の最大外径を抑えつつ副液室16を第2の取付部材12の内筒部12aの径方向外方側に容易に配置でき、マウント装置10の実質的な小型化を容易に実行できることとなる。
加えて、第1の取付部材11の第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bが、主液室15の外部で連結されているので、外筒部12bや第2ピストン部11bの直径を抑えつつ、第1の取付部材11の第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bの受圧面積差を十分に確保して、マウント装置10の防振効果を高めることができる。また、第1の取付部材11の第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bを容易に連結でき、マウント装置10の製造が容易となる。
このように、本実施形態においては、第1の取付部材11の第2ピストン部11bの周囲に仕切部材14を配置しないようにして、第2ピストン部11bの受圧面積を十分に確保しつつマウント装置10を小径化できるようにしているので、低周波大振幅の振動入力に対しても高周波小振幅の振動入力に対しても所要の防振機能を発揮できるコンパクトで低コストの、しかも、エンジンマウントにも好適なマウント装置10を提供することができる。
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る液体封入式防振装置の側面断面図である。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る液体封入式防振装置の側面断面図である。
なお、本実施形態は、上述の第1実施形態と第1の取付部材の形状が異なるが、他の構成は上述の第1実施形態と同様であるので、その同様の構成については図1ないし図4に示した第1実施形態の対応する構成要素と同一の符号を用い、以下、上述の第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図5に示すように、本実施形態のマウント装置30においては、第1の取付部材31の第1ピストン部31a(小径ピストン部)および第2ピストン部31b(大径ピストン部)が、主液室15の内部で連結されている。
具体的には、第1の取付部材31の第1ピストン部31aおよび第2ピストン部31bは、第1実施形態における第1ピストン部11aおよび第2ピストン部11bに対応する形状を有しており、これら第1ピストン部31aおよび第2ピストン部31bが主液室15内に配置された丸棒状の連結金具31cによって連結されている。
第1の取付部材31の第2ピストン部31bは、その軸方向である図5中の上下方向で支持ゴム弾性体13に対向するともに、第2の取付部材12の外筒部12bに対し軸方向に変位可能に支持されている。
また、第1の取付部材31の第1ピストン部31aが支持ゴム弾性体13を介して第2の取付部材12に連結されているのに対して、第2ピストン部31bは、第2の取付部材12の外筒部12bに対して軸方向の外側に配置されている。したがって、第2ピストン部31bから第2の取付部材12に大きな反力が加わることはない。
第1の取付部材31の連結金具31cは、第1ピストン部31aおよび第2ピストン部31bを互いに軸方向に一体に変位するように連結する金属製の連結棒となっている。すなわち、この第1の取付部材31の連結金具31cは、第1の取付部材31の第1ピストン部31aおよび第2ピストン部31bを、主液室15の内部で一体に連結している。
本実施形態においても、第1の取付部材31の第2ピストン部31bの周囲に仕切部材14を配置しないようにして、第2ピストン部31bの受圧面積を十分に確保しつつマウント装置30を小径化できるようにしているので、低周波大振幅の振動入力に対しても高周波小振幅の振動入力に対しても所要の防振機能を発揮できるコンパクトで低コストの、しかも、エンジンマウントにも好適なマウント装置30を提供することができる。
さらに、本実施形態では、第1の取付部材31の小径ピストン部および第2ピストン部31bが、主液室15の内部で連結されているので、第1の取付部材31およびマウント装置30の全体の小型化が容易となる。
なお、上述の各実施形態においては、第2の取付部材12が、大径の内周壁として、仕切部材14より支持ゴム弾性体13に近い側および支持ゴム弾性体13から離れる側の双方に及ぶ外筒部12bを有していた。しかし、仕切部材14より支持ゴム弾性体13に近い側には内筒部12aのみが形成され、仕切部材14より支持ゴム弾性体13から離れる側には外筒部12bのみが形成されてもよい。
また、仕切部材14より支持ゴム弾性体13から離れる側、すなわち、第1の取付部材11の第2ピストン部11b側において、外筒部12bを無くし、伸縮性の封止機構21の蛇腹部材22等によって主液室15の大径の内周壁を形成することもできる。すなわち、大径の内周壁は、伸縮性の封止機構21の蛇腹部材22等のように軸方向に伸縮可能な周壁として構成されてもよく、仕切部材14の図1中の下面側に蛇腹部材22を直付けして、第2の取付部材12の外筒部12bに代わる大径の内周壁として機能させることもできる。
また、上述の各実施形態では、第1の取付部材11がセンターボスとして機能する第1ピストン部11aと、主液室15の底壁面を形成する第2ピストン部11bとを有するものとし、第2の取付部材12が略円筒状をなすものとしたが、これら取付部材の形状が特に限定されるものではない。
また、上述の各実施形態においては、振動体は、内燃機関と変速機を一体化したパワープラント1としたが、内燃機関以外の車両の原動機、例えば電気モータや、エンジンと電気モータを併有するものであってもよい。また、第1および第2の取付部材のいずれがエンジン側となってもよい。さらに、車両の原動機に限定されず、他の振動体による振動入力に対してもその防振装置として効果的に用いることができるのはいうまでもない。
以上説明したように、本発明は、低周波大振幅の振動入力に対しても高周波小振幅の振動入力に対しても所要の防振機能を発揮できるコンパクトで低コストの、しかも、エンジンマウントにも好適な液体封入式防振装置を提供することができるという効果を奏するものである。かかる本発明は、内部に液体が封入された液体封入式防振装置、特に振動減衰用のオリフィス通路を有する液体封入式防振装置全般に有用である。
1…パワープラント(原動機、エンジン)、2…車体、10…マウント装置、11…第1の取付部材、11a…第1ピストン部(小径ピストン部)、11b…第2ピストン部(大径ピストン部)、11c…連結金具、12…第2の取付部材、12a…内筒部(小径の内周壁)、12b…外筒部(大径の内周壁)、13…支持ゴム弾性体、14…仕切部材、14a…区画壁、14b…オリフィス通路部、14c…一端側の開口(主液室側の開口)、14d…他端側の開口(副液室側の開口)、15…主液室、15i…内周壁面、16…副液室、17…ダイヤフラム、21…伸縮性の封止機構、22…蛇腹部材、22a…一端部、22b…他端部、22c…中間部、30…マウント装置、31…第1の取付部材、31a…第1ピストン部(小径ピストン部)、31b…第2ピストン部(大径ピストン部)、31c…連結金具、A1…第1ピストン部側のピストン面積(小径ピストン部の受圧面積)、A2…第2ピストン部側のピストン面積(大径ピストン部の受圧面積)、A3…主液室の拡張ばね定数分の受圧面積、kr1…支持ゴム弾性体の支持ばね定数、kr2…伸縮式の封止機構の支持ばね定数、k1…主液室の拡張ばね定数、k2…副液室の拡張ばね定数、x…入力変位、x1…主液室の拡張ばね定数分の変位、m…オリフィス通路内の流体の質量、y…オリフィス通路内の流体の変位、kd…動ばね定数
Claims (8)
- 相対変位可能に設けられた第1および第2の取付部材と、前記第1および第2の取付部材と共に主液室を形成するよう前記第1および第2の取付部材の間に介装された支持ゴム弾性体と、拡張および収縮可能な副液室を形成するよう前記第1および第2の取付部材のうちいずれかに装着されたダイヤフラムと、前記主液室と前記副液室とを区画する区画壁を形成する一方、前記主液室および前記副液室を連通させるオリフィス通路を有する仕切部材と、を備えた液体封入式防振装置であって、
前記第2の取付部材が、前記仕切部材より前記支持ゴム弾性体に近い小径の内周壁と、前記仕切部材より前記支持ゴム弾性体から離れた大径の内周壁とを有し、両内周壁によって前記主液室の内周壁面を形成しており、
前記支持ゴム弾性体に固着する小径ピストン部と、前記支持ゴム弾性体に対向しつつ前記大径の内周壁に軸方向変位可能に支持された大径ピストン部とが、前記小径ピストン部と前記大径ピストン部の軸方向に一体に変位するよう互いに連結されることにより、前記第1の取付部材が構成されていることを特徴とする液体封入式防振装置。 - 前記第2の取付部材の前記大径の内周壁と前記第1の取付部材の前記大径ピストン部との間に、前記大径の内周壁に対する前記大径ピストン部の軸方向変位を許容しつつ、前記大径の内周壁と前記大径ピストン部の間を封止する伸縮式の封止機構が介装されていることを特徴とする請求項1に記載の液体封入式防振装置。
- 前記第1の取付部材の前記大径ピストン部は、前記第2の取付部材の前記大径の内周壁に対し、該内周壁の軸方向一端側の外方に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の液体封入式防振装置。
- 前記主液室が、前記第2の取付部材の内方側に配置され、
前記副液室が、前記第2の取付部材の外方側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか1の請求項に記載の液体封入式防振装置。 - 前記副液室が、前記第2の取付部材の前記小径の内周壁より径方向の外方側に及ぶように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の液体封入式防振装置。
- 前記第1の取付部材の前記小径ピストン部および前記大径ピストン部が、前記液室の外部で連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の液体封入式防振装置。
- 前記第1の取付部材の前記小径ピストン部および前記大径ピストン部が、前記液室の内部で連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1の請求項に記載の液体封入式防振装置。
- 前記支持ゴム弾性体の支持ばね定数をkr1、前記伸縮式の封止機構の支持ばね定数をkr2、前記主液室の拡張ばね係数をk1とするとき、前記拡張ばね定数k1が、次の式(A)で定義される設定範囲内に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の液体封入式防振装置。
0.2・kr1 + kr2 < k1 < 1.8・kr1 + kr2 ・・・(A)
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