JP2014201787A - 高強度アルミニウム押出合金およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶体化・焼入れ時に発生していた歪みをなくし、プレス焼入れ工程においても高強度で精度の良い押出し材を提供する。
【解決手段】Si:0.40〜0.80%、Mg:0.80〜1.20%、Cu:0.50〜0.90%、Fe:0.5%以下を含有し、さらにMn、Cr、Zr、Vより選ばれた元素を少なくとも1種類以上を合計で0.25%以下添加し、残部Al及び不可避的不純物からなる押出し用アルミニウム合金を、押出時のプレス焼入れ処理を行った後、人工時効処理を行い引張り強さが300MPa以上であることを特徴とする押出し用アルミニウム合金。
【選択図】 なし
【解決手段】Si:0.40〜0.80%、Mg:0.80〜1.20%、Cu:0.50〜0.90%、Fe:0.5%以下を含有し、さらにMn、Cr、Zr、Vより選ばれた元素を少なくとも1種類以上を合計で0.25%以下添加し、残部Al及び不可避的不純物からなる押出し用アルミニウム合金を、押出時のプレス焼入れ処理を行った後、人工時効処理を行い引張り強さが300MPa以上であることを特徴とする押出し用アルミニウム合金。
【選択図】 なし
Description
本発明は強度に優れたアルミニウム合金押出材に関するものであり、具体的には溶体化、焼入れ処理を省略したプレス焼入れ工程において高い強度を有し、形状あるいは寸法精度に優れるアルミニウム押出材の製造方法に関するものである。
アルミニウム合金押出材は中空形状や複雑な断面形状も比較的容易に製造が可能であり、建築用、構造部材、フレームなど多様な部位に使用されている。その合金種類としては押出性の非常に良好な6063合金が用いられているが6000系合金の主要添加元素であるMg、Si量を少なく抑えているため焼入れ感受性が小さくプレス焼入れと人工時効によっても引張り強さで200MPa程度の強度は得られる。しかしながらさらに高強度な材料が必要な場合はプレス焼入れに代わって、押出後に溶体化・焼入れ処理が必要となる。この溶体化・焼入れ処理は強度を高めるために十分な固溶量が得られるが、焼入れ処理時に歪みが発生する。この歪みは通常ストレッチ矯正によって製直されるが精密部品の用途においてはしばしば問題となることがある。このため溶体化・焼入れ処理を用いないでプレス焼入れのみで高強度が得られるアルミニウム合金が望まれている。
通常、さらに高い強度を得るためには強化成分であるMg,Siを多く含有する必要があるがプレス焼入れ時の冷却速度は比較的遅いため冷却過程で析出が生じるため添加元素を多くしても高い強度を得ることが困難である。
特許文献1では耐食性および溶接性の改善と同時に焼入れ性も改善した合金が提案されているが、押出し材の肉厚が増加した場合や、中空部材のような冷却が遅くなる場合においては、Si添加量の上限では固溶しきれなかったSi系化合物がプレス焼入れ後の冷却中に析出物の不均一析出サイトとなり十分な強度が得られない、いわゆる焼入れ感受性が高くなる現象が生じており十分ではなかった。
特開昭58−167757号公報
本発明はこのような課題に鑑みて発明されたものであり、溶体化・焼入れ工程を省略した低コストでの製造工程であると同時に、従来溶体化・焼入れ時に発生していた歪みをなくし、プレス焼入れ工程においても高強度で精度の良い押出し材を提供するために開発されたものである。
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、Si:0.40〜0.80mass%(以下、単に%と記す。)、Mg:0.80〜1.20%、Cu:0.50〜0.90%、Fe:0.5%以下を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる押出し用アルミニウム合金で、押出時のプレス焼入れ処理を行った後、人工時効処理を行い、引張り強さが300MPa以上であることを特徴とする押出し用アルミニウム合金である。
請求項2に記載の発明は、Si:0.40〜0.80%、Mg:0.80〜1.20%、Cu:0.50〜0.90%、Fe:0.5%以下を含有し、さらにMn、Cr、Zr、Vより選ばれた元素を少なくとも1種類以上を合計で0.25%以下添加し、残部Al及び不可避的不純物からなる押出し用アルミニウム合金を、押出時のプレス焼入れ処理を行った後、人工時効処理を行い引張り強さが300MPa以上であることを特徴とする押出し用アルミニウム合金である。
請求項3に記載の発明は、請求項1、2に記載のアルミニウム合金の製造に際して、均質化処理を450〜550℃で行い、押出温度350〜550℃で行い、プレス焼入れとして押出後にファン冷却を行なった後、人工時効処理を150〜220℃で施すことを特徴とする押出し用アルミニウム合金の製造方法である。
本製造方法によれば従来、溶体化・焼入れ処理を行わなければ十分な強度が得られなかった6000系押出用合金においてもプレス焼入れ工程で高強度でかつ寸法精度に優れた押出材を低コストで提供するものである。
以下に本発明の限定理由について述べる。
本発明に用いられる合金は、6000系合金として知られるAl−Mg−Si系の熱処理型アルミニウム合金である。主な成分について説明する。
本発明に用いられる合金は、6000系合金として知られるAl−Mg−Si系の熱処理型アルミニウム合金である。主な成分について説明する。
Siは、プレス焼入れ処理によってマトリックス中に固溶し、その後の自然時効および人工時効によって微細な析出物を形成し強度向上に寄与する。その効果は0.40%未満では不十分であり、0.80%を超えると押出し性を阻害する。
Mgは、Siと同様に溶体化処理によってマトリックス中に固溶し、自然時効および人工時効によって微細な析出物を形成し強度向上に寄与する。その効果は0.80%未満では不十分であり、1.20%を超えると飽和する。
Cuは、マトリクスに固溶し強度を向上させる働きがあり、さらには析出物の均一核発生サイトとなる働きがあり強度の向上をもたらす。その効果は0.50%未満では不十分であり、0.90%を超えると飽和する。
Feは、通常アルミニウムに含まれる不可避的不純物であり、不溶性の金属間化合物を形成し伸びや靭性の低下をもたらし特性の劣化を引き起こすため少ないほうが望ましい。一方、不純物量の規制が厳しいと工業的規模での製造においてコストの増加を引き起こす。特性とコストのバランスから0.5%以下とすることが好ましい。
Mn、Cr、Zr、Vはアルミと化合物を形成しマトリクス中に高温でも熱的に安定相として分散することにより再結晶抑制効果がある。いずれか1種類以上で複数の元素が同時に添加されていても問題ないが、その合計の添加量が0.01%未満では効果が不十分であり、0.25%を超えると効果が飽和してしまう。
その他の元素として例えばTiは鋳造時の結晶粒微細化の目的で一般的には添加される。添加量は特に規定するものではないがAA(Aluminum Association)規格などでは通常0.2%程度含有される。
その他元素についても特に規定するものではないがAA規格に準じて一般的には0.05%以下程度の含有であれば許容される。
次に製造条件について限定理由について述べる。
均質化処理は鋳造時に生じた成分偏析や粗大な金属間化合物を固溶あるいは分断・球状化することで均一な押出素材とすることを目的として実施される。その効果は加熱温度に大きく影響される。450℃未満ではその効果は小さく、550℃を超えると金属間化合物の局所溶融の恐れが発生するため好ましくない。
均質化処理は鋳造時に生じた成分偏析や粗大な金属間化合物を固溶あるいは分断・球状化することで均一な押出素材とすることを目的として実施される。その効果は加熱温度に大きく影響される。450℃未満ではその効果は小さく、550℃を超えると金属間化合物の局所溶融の恐れが発生するため好ましくない。
押出温度は押出素材に大きな塑性変形を与え、最終製品内部組織を制御するために非常に重要な条件であり、350℃未満では変形抵抗が大きくなり過ぎるため不適であり、550℃を超えると製品表面に粗大結晶粒が発生しやすくなると同時に金属間化合物の局所溶融の恐れが発生するため好ましくない。
人工時効処理はプレス焼入れによって固溶した元素を微細に析出させ、最終製品の強度を決定する重要な工程となる。その温度が150℃未満では所望の強度を得るために非常に長時間を要し工業的な生産性を著しく劣化させる。また220℃を超えると粗大な析出物が生成されるため好ましくない。
表1に示す6000系アルミニウム合金と従来合金として一般的な6063,6061合金をDC鋳造により、φ155mm×L800mmの鋳塊を得た。それぞれ面削によりφ145mmとした後、520℃×12hrの均質化処理を行った。続いて押出加工は、いずれも420℃に再加熱し、断面がt10mm×w100mmのフラットバー形状の押出材を得た。押し出し後ファン空冷により冷却を行いプレス焼入れ処理とした。1%のストレッチ矯正を行った後、175℃×8hrの人工時効処理を行いT5調質とした。
引張り試験は押出方向に直角にφ6mmの丸棒試験片にて引張り強度を測定した。
結果を表2に示すがこれより本発明例ではプレス焼入れ処理によっても十分に高い強度が得られている。
結果を表2に示すがこれより本発明例ではプレス焼入れ処理によっても十分に高い強度が得られている。
焼入れ処理後の反りについて、測定するため合金Aと合金M(6061)を用い、実施例1と同様に鋳造、面削、均質化処理を行い、その後押し出しを行った。A合金はプレス焼入れ工程にて製造し、M合金(6061)は従来法の溶体化・水焼入れ処理を実施した後、長さ1mに切断し定盤上で反りを測定した。結果を表3に示す。
これよりプレス焼入れを行った本発明では反りが従来材の50%以下となっており著しく改善されることが明らかである。
このように本発明によれば、従来押出材は溶体化・焼入れ工程でしか高強度が得られなかったが、押出工程後のプレス焼入れを行うことによって寸法精度が高く、かつ高強度な押出材を得ることが可能となる。これによって、航空機材や自動車材として従来用いられなかった部位に本発明による押出材を適用することがで、さらなる軽量化が可能となり産業上著しい効果が得られる。
Claims (3)
- Si:0.40〜0.80mass%(以下、単に%と記す。)、Mg:0.80〜1.20%、Cu:0.50〜0.90%、Fe:0.5%以下を含有し、残部Al及び不可避的不純物からなる押出し用アルミニウム合金を、押出時のプレス焼入れ処理を行った後、人工時効処理を行い、引張り強さが300MPa以上であることを特徴とする押出し用アルミニウム合金。
- Si:0.40〜0.80%、Mg:0.80〜1.20%、Cu:0.50〜0.90%、Fe:0.5%以下を含有し、さらにMn、Cr、Zr、Vより選ばれた元素を少なくとも1種類以上を合計で0.25%以下添加し、残部Al及び不可避的不純物からなる押出し用アルミニウム合金を、押出時のプレス焼入れ処理を行った後、人工時効処理を行い引張り強さが300MPa以上であることを特徴とする押出し用アルミニウム合金。
- 請求項1、2に記載のアルミニウム合金の製造に際して、均質化処理を450〜550℃で行い、押出温度350〜550℃で行い、プレス焼入れとして押出後にファン冷却を行なった後、人工時効処理を150〜220℃で施すことを特徴とする押出し用アルミニウム合金の製造方法。
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JP2013078220A JP2014201787A (ja) | 2013-04-04 | 2013-04-04 | 高強度アルミニウム押出合金およびその製造方法 |
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CN105506407A (zh) * | 2015-12-08 | 2016-04-20 | 辽宁忠旺集团有限公司 | 一种建筑模板用铝合金型材的制造方法 |
CN109628807A (zh) * | 2018-12-29 | 2019-04-16 | 安徽鑫发铝业有限公司 | 一种高性能低吸附颗粒太阳能边框铝型材 |
US11175820B2 (en) | 2016-06-07 | 2021-11-16 | Advanced New Technologies Co., Ltd. | Method, device, and terminal device for extracting data |
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