JP2014201281A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Takao Wada
孝雄 和田
服部 高幸
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高幸 服部
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Abstract

【課題】トレッドおよびサイドウォールが低tanδ性に優れるが体積固有抵抗率の高いトレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物により形成されるにもかかわらず、転がり抵抗特性だけでなく、通電性およびリムチェーフィング性能にも優れた空気入りタイヤを提供すること。【解決手段】トレッド、サイドウォール、クリンチおよびベースペンを有する空気入りタイヤであって、クリンチが、窒素吸着比表面積が100〜1500m2/gでありジブチルフタレート吸油量が65〜600ml/100gであるカーボンブラックをゴム組成物全体に占める体積分率で4〜45%含有し、体積固有抵抗率が7.0LogΩ・cm以下であるクリンチ用ゴム組成物により形成され、クリンチおよびベースペンが導電経路の少なくとも一部を構成する空気入りタイヤである。【選択図】図1

Description

本発明は空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する要求が強くなり、転がり抵抗の少ないタイヤに対する要求もますます強くなっている。そこで、トレッドやその他のタイヤを構成する部材を構成するゴム組成物の損失正接(tanδ)を低減する手法が広く採用されている。
例えば、トレッド用ゴム組成物のtanδを低減しウェットグリップ性能を維持するために、カーボンブラックに替えてシリカなどの無機充填剤を配合する手法がある。また、サイドウォール、クリンチ、タイヤ内部部材などにおいてもカーボンブラックに替えてシリカなどの無機充填剤を配合することで、ゴム組成物を低tanδ化するという手法も採用されている。しかし、これらの手法によれば、カーボンブラックに比べて導電性に劣る無機充填剤を含有することになるため、ゴム組成物の体積固有抵抗率(Ω・cm)が高くなり、タイヤの通電性が悪化することが知られている。
ここで、タイヤの通電性とは、車両に蓄積された静電気を路面へ放電する性能のことであり、一般的には、リムから、クリンチ、サイドウォール、プライ、ベルト、ブレーカーなどのタイヤ内部部材、そしてトレッドを導電経路として放電する程度をいう。
このような放電が行われない場合、車両に静電気が蓄えられ、乗車する人が感電する、燃料補給時にスパークが発生し発火する、走行時に車中で聞くラジオにノイズ混入が発生する、電気を帯びたリムによりクリンチ部のゴム組成物の腐食が促進するなどの不具合が発生する。
また、タイヤの通電性がゴム組成物の低tanδ化により悪化した場合の対策としては、ベースペン構造等を採用することによりタイヤの通電性を確保する技術が知られている(特許文献1および2等参照。)。
特開2007−8269号公報 特開2007−245918号公報
前述のようにタイヤの転がり抵抗を少なくすることを目的とし、タイヤのあらゆる部材にシリカなどの無機充填剤を配合することが行われている。しかしながら、リムと接するクリンチ用ゴム組成物にシリカなどの無機充填剤を多用し過ぎると、当該ゴム組成物の強度が低下してしまい、走行中にクリンチに損傷が生じる(リムチェーフィング性能が悪化する)という問題がある。
本発明は、トレッドおよびサイドウォールが低tanδ性に優れるが体積固有抵抗率の高いトレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物により形成されるにもかかわらず、転がり抵抗特性だけでなく、通電性およびリムチェーフィング性能にも優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、トレッド、サイドウォール、クリンチおよびベースペンを有する空気入りタイヤであって、トレッドが、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを35〜70質量部、カーボンブラックを0〜25質量部含有し、tanδが0.20以下であり、体積固有抵抗率が8.0LogΩ・cm以上であるトレッド用ゴム組成物により形成され、サイドウォールが、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜40質量部、カーボンブラックを0〜27質量部含有し、tanδが0.15以下であり、体積固有抵抗率が8.0LogΩ・cm以上であるサイドウォール用ゴム組成物により形成され、クリンチが、窒素吸着比表面積が100〜1500m2/gでありジブチルフタレート吸油量が65〜600ml/100gであるカーボンブラックをゴム組成物全体に占める体積分率で4〜45%含有し、体積固有抵抗率が7.0LogΩ・cm以下であるクリンチ用ゴム組成物により形成され、クリンチおよびベースペンが導電経路の少なくとも一部を構成する空気入りタイヤに関する。
クリンチ用ゴム組成物が、天然ゴムを80質量%以上含有するジエン系ゴム成分、ならびに窒素吸着比表面積が100〜1500m2/gでありジブチルフタレート吸油量が65〜600ml/100gであるカーボンブラックおよびシリカを含むフィラーを含有し、前記カーボンブラックの含有量がゴム組成物全体に占める体積分率で4〜45%であり、フィラー中の前記カーボンブラックの含有量が10〜95質量%であり、シリカの含有量が3〜40質量%であることが好ましい。
本発明によれば、トレッドおよびサイドウォールが低tanδ性に優れるが体積固有抵抗率の高いトレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物により形成されるにもかかわらず、所定のカーボンブラックを所定の体積分率で含有するクリンチ用ゴム組成物により形成されるクリンチを有し、当該クリンチとベースペンが導電経路の少なくとも一部を構成する空気入りタイヤとすることで、転がり抵抗特性、通電性およびリムチェーフィング性能に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明に係る空気入りタイヤの一態様を示す部分断面図である。 本発明に係る空気入りタイヤの一態様を示す部分断面図である。 本発明に係る空気入りタイヤの一態様を示す部分断面図である。 本発明に係る空気入りタイヤの一態様を示す部分断面図である。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド、サイドウォール、クリンチおよびベースペンを有する。
本発明の空気入りタイヤが有するトレッドは、ジエン系ゴム成分に対し所定量のシリカおよびカーボンブラックを含有し、所定のtanδおよび体積固有抵抗率を示すトレッド用ゴム組成物により形成される。
トレッド用ゴム組成物が含有するジエン系ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)や、極性基を有するジエン系ゴムなどが挙げられる。極性基としては、ブロモ基、クロロ基などのハロゲン基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられ、極性基を有するジエン系ゴムとしては、ハロゲン化ブタジエンゴム、エポキシ化天然ゴム(ENR)などが挙げられる。特にグリップ性能および転がり抵抗特性を両立することができるという点から、SBRおよび/またはENRを含有することが好ましく、なかでも、汎用性に優れるという点からはSBRを含有することがより好ましく、石油外資源比率を高くできるという点からはENRを含有することがより好ましい。
トレッド用ゴム組成物におけるシリカのジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、35〜70質量部であり、40〜70質量部が好ましく、45〜70質量部がより好ましい。シリカの含有量が35質量部未満の場合は転がり抵抗の低減効果が得られにくくなる傾向がある。また、シリカの含有量が70質量部を超える場合は加工性が悪化する傾向がある。
当該シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、10m2/g以上が好ましく、40m2/g以上がより好ましい。N2SAが10m2/g未満の場合はシリカによる補強効果が得られにくくなる傾向がある。また、シリカのN2SAは、600m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましい。N2SAが600m2/gを超える場合は加工性が悪化する傾向がある。なお、本発明におけるシリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値であり、以下同様である。
なお、シリカはシランカップリング剤と併用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69)のようにゴム工業において一般的に使用されるものを用いることができる。
トレッド用ゴム組成物におけるジエン系ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、0〜25質量部であり、2〜25質量部が好ましく、3〜25質量部がより好ましい。カーボンブラックの含有量は、転がり抵抗の低減という点からは含有しないことが好ましいが、紫外線劣化防止という点からは2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。また、カーボンブラックの含有量が25質量部を超える場合は、転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。
当該カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、100m2/g以上が好ましく、105m2/g以上がより好ましい。N2SAが100m2/g未満の場合は、紫外線劣化の防止効果が弱く、含有量を増やす必要がある。また、カーボンブラックのN2SAは、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましく、170m2/g以下がさらに好ましい。N2SAが300m2/gを超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。なお、本発明におけるカーボンブラックのN2SAは、JIS K6217のA法によって求められる値であり、以下同様である。
当該カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、65ml/100g以上が好ましく、70ml/100g以上がより好ましい。DBPが65ml/100g未満の場合は、紫外線劣化の防止効果が不充分となる傾向がある。また、カーボンブラックのDBPは、250ml/100g以下が好ましく、220ml/100g以下がより好ましく、150ml/100g以下がさらに好ましい。DBPが250ml/100gを超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。なお、本発明におけるカーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4の測定方法によって求められる値であり、以下同様である。
本発明のトレッド用ゴム組成物は、前記のジエン系ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤およびカーボンブラック以外にも、通常ゴム工業で使用される配合剤、例えば、シリカおよびカーボンブラック以外のフィラー、オイルなどの各種軟化剤、各種老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫剤、各種加硫促進剤などを適宜含有することができる。
シリカおよびカーボンブラック以外のフィラーとしては特に限定されず、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、クレー、マイカ、アルミナ、タルクなどの白色充填剤などが挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記軟化剤としては特に限定されず、アロマオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイル、植物オイルなどのゴム工業において一般的に使用されるものを用いることができる。
前記トレッド用ゴム組成物のtanδは0.20以下であり、0.19以下であることが好ましい。tanδが0.20を超える場合は、空気入りタイヤの転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。なお、本発明におけるトレッド用ゴム組成物のtanδは、初期歪み10%、動歪み2%、振動周波数10Hz、温度70℃の条件下における粘弾性物性測定によって得られる値であり、以下同様である。
前記トレッド用ゴム組成物の体積固有抵抗率(常用対数値で示す)は8.0LogΩ・cm以上である。該ゴム組成物の体積固有抵抗率が8.0LogΩ・cm未満の場合は、充分に低tanδ化されておらず、空気入りタイヤの転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。なお、本発明における体積固有抵抗率はJIS K 6271に準じて測定した値であり、以下同様である。
本発明の空気入りタイヤが有するサイドウォールは、ジエン系ゴム成分に対し所定量のシリカおよびカーボンブラックを含有し、所定のtanδおよび体積固有抵抗率を示すサイドウォール用ゴム組成物により形成される。
サイドウォール用ゴム組成物が含有するジエン系ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)や、極性基を有するジエン系ゴムなどが挙げられる。極性基としては、ブロモ基、クロロ基などのハロゲン基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられ、極性基を有するジエン系ゴムとしては、ハロゲン化ブタジエンゴム、エポキシ化天然ゴムなどが挙げられる。なかでも強度において優れるという点からNRを含有することが好ましく、NRと極性が異なる点および耐亀裂成長性において優れるという点からNRに加えてBRを含有することがより好ましい。
サイドウォール用ゴム組成物におけるシリカのジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、10〜40質量部であり、14〜35質量部が好ましく、16〜32質量部がより好ましい。シリカの含有量が10質量部未満の場合は、転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向や、補強性が低下する傾向がある。また、シリカの含有量が40質量部を超える場合はゴムが硬くなり過ぎ耐亀裂成長性が悪化する傾向がある。
当該シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、10m2/g以上が好ましく、40m2/g以上がより好ましい。N2SAが10m2/g未満の場合はシリカによる補強効果が得られにくくなる傾向がある。また、シリカのN2SAは、600m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましい。N2SAが600m2/gを超える場合は加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカはシランカップリング剤と併用されることが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69)のようにゴム工業において一般的に使用されるものを用いることができる。
サイドウォール用ゴム組成物におけるカーボンブラックのジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、0〜27質量部であり、2〜27質量部が好ましく、3〜27質量部がより好ましい。カーボンブラックの含有量は、転がり抵抗の低減という点からは含有しないことが好ましいが、紫外線劣化防止という点からは2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。また、カーボンブラックの含有量が27質量部を超える場合は、転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。
当該カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、100m2/g以上が好ましく、105m2/g以上がより好ましい。N2SAが100m2/g未満の場合は、紫外線劣化の防止効果が弱く、含有量を増やす必要がある。また、カーボンブラックのN2SAは、300m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましく、170m2/g以下がさらに好ましい。N2SAが300m2/gを超える場合は加工性が悪化する傾向がある。
当該カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、65ml/100g以上が好ましく、70ml/100g以上がより好ましい。DBP吸油量が65ml/100g未満の場合は、紫外線劣化の防止効果に劣る傾向がある。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、250ml/100g以下が好ましく、220ml/100g以下がより好ましく、150ml/100g以下がさらに好ましい。DBP吸油量が250ml/100gを超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のサイドウォール用ゴム組成物は、前記のジエン系ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤およびカーボンブラック以外にも、前記トレッド用ゴム組成物と同様に、通常ゴム工業で使用される配合剤、例えば、シリカおよびカーボンブラック以外のフィラー、オイルなどの各種軟化剤、各種老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫剤、各種加硫促進剤などを適宜含有することができる。
前記サイドウォール用ゴム組成物のtanδは0.15以下であり、0.14以下であることが好ましい。tanδが0.15を超える場合は、空気入りタイヤの転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。
前記サイドウォール用ゴム組成物の体積固有抵抗率(常用対数値で示す)は8.0LogΩ・cm以上である。該ゴム組成物の体積固有抵抗率が8.0LogΩ・cm未満の場合は、充分に低tanδ化されておらず、空気入りタイヤの転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。
本発明の空気入りタイヤが有するクリンチは、ジエン系ゴム成分に所定のカーボンブラックを所定量含有し、所定の体積固有抵抗率を示すクリンチ用ゴム組成物により形成される。
クリンチ用ゴム組成物が含有するジエン系ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)や、極性基を有するジエン系ゴムなどが挙げられる。極性基としては、ブロモ基、クロロ基などのハロゲン基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられ、極性基を有するジエン系ゴムとしては、ハロゲン化ブタジエンゴム、エポキシ化天然ゴムなどが挙げられる。特に強度および耐摩耗性において優れるという点からNRおよびBRを含有することが好ましく、石油外資源比率を高くできるという点からNRのみとすることがより好ましい。
クリンチ用ゴム組成物が含有するカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、100m2/g以上であり、105m2/g以上が好ましい。N2SAが100m2/g未満の場合は、カーボンブラックによる補強効果が低く、リムチェーフィング性能が悪化する傾向がある。また、このカーボンブラックのN2SAは、1500m2/g以下であり、1400m2/g以下がより好ましい。N2SAが1500m2/gを超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。
また、当該カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、65ml/100g以上であり、70ml/100g以上が好ましい。DBP吸油量が65ml/100g未満の場合は、カーボンブラックによる補強効果が低く、リムチェーフィング性能が悪化する傾向がある。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、600ml/100g以下であり、550ml/100g以下が好ましい。DBP吸油量が600ml/100gを超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。
当該カーボンブラックは導電性カーボンブラックであることが好ましい。導電性カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、黒鉛化カーボン、ケッチェンブラック類などが挙げられる。なかでも、導電性に優れるため少量の配合でタイヤの通電性を向上させることができ、転がり抵抗を低減することができるという理由からケッチェンブラックが好ましい。
また、カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、黒鉛化カーボン、ケッチェンブラック類などの導電性カーボンブラック以外にも、N110、N220、N351などを含有してもよい。なかでも、加工性において優れるという点からN110が好ましい。
当該カーボンブラックの含有量は、クリンチ用ゴム組成物全体に占める体積分率で4〜45%であり、6〜40%が好ましく、6〜35%がより好ましい。体積分率が4%未満の場合は、導電性が不充分となる傾向、リムチェーフィング性能が悪化する傾向がある。また、体積分率が45%を超える場合は、加工性が悪化する傾向、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
また、当該カーボンブラックのジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、10〜80質量部が好ましく、12〜75質量部がより好ましい。カーボンブラックの含有量が10質量部未満の場合は、導電性が不充分となる傾向、リムチェーフィング性能が悪化する傾向がある。また、カーボンブラックの含有量が80質量部を超える場合は、加工性が悪化する傾向、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。
本発明のクリンチ用ゴム組成物はシリカを含有することができる。シリカを含有する場合のジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、3〜40質量部が好ましく、4〜38質量部がより好ましい。シリカの含有量が3質量部未満の場合は加工性が悪化する傾向、転がり抵抗特性が悪化する傾向がある。また、シリカの含有量が40質量部を超える場合はリムチェーフィング性能が悪化する傾向がある。
当該シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、10m2/g以上が好ましく、40m2/g以上がより好ましい。N2SAが10m2/g未満の場合はシリカによる補強効果が得られにくくなる傾向がある。また、シリカのN2SAは、600m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましい。N2SAが600m2/gを超える場合は加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカはシランカップリング剤と併用されることが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69)のようにゴム工業において一般的に使用されるものを用いることができる。
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、前記のカーボンブラックおよびシリカ以外のフィラーも適宜含有することができる。フィラー中の前記カーボンブラックの含有量は、リムチェーフィング性能において優れるという点から、10〜95質量%が好ましく、12〜95質量%がより好ましい。また、フィラー中の前記シリカの含有量は、加工性の改善効果や転がり抵抗の低減効果に優れるという点から、3〜40質量%が好ましく、4〜35質量%がより好ましい。
本発明のクリンチ用ゴム組成物は、前記のジエン系ゴム成分、カーボンブラックおよび/またはシリカを含むフィラーならびにシランカップリング剤以外にも、通常ゴム工業で使用される配合剤、例えば、シリカおよびカーボンブラック以外のフィラー、オイルなどの各種軟化剤、各種老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫剤、各種加硫促進剤などを適宜含有することができる。
前記クリンチ用ゴム組成物のtanδは0.25以下であることが好ましく、0.22以下であることがより好ましい。tanδが0.25を超える場合は、空気入りタイヤの転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。また、tanδは低くし過ぎるとゴム組成物の補強性が低下し、リムチェーフィング性能が低下する傾向があることから、0.05以上であることが好ましい。
前記クリンチ用ゴム組成物の体積固有抵抗率(常用対数値で示す)は7.00LogΩ・cm以下であり、6.90LogΩ・cm以下であることが好ましく、6.80LogΩ・cm以下であることがより好ましい。クリンチ用ゴム組成物の体積固有抵抗率が7.00LogΩ・cmを超える場合は、クリンチの導電性が低く、空気入りタイヤの通電性が不充分となる傾向がある。また、体積固有抵抗率の下限は特に限定されないが、混練時の加工性を悪化させないという点から3.00LogΩ・cm以上であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤが有するベースペンとは、タイヤ内部からトレッドやサイドウォールを貫通するなどしてトレッドの接地面まで設けられ、走行時に路面に接するように設けられた部材である。ベースペンは導電性に優れたベースペン用ゴム組成物により形成されており、トレッドの導電性が悪い場合であっても、タイヤ内部の静電気を路面に放電することを可能にするものである。
前記ベースペン用ゴム組成物は、トレッドを構成するトレッド用ゴム組成物に比べて体積固有抵抗率の低いゴム組成物であれば特に限定されず、ジエン系ゴム成分に、カーボンブラックなどのフィラー、シランカップリング剤、オイルなどの各種軟化剤、各種老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫剤、各種加硫促進剤などを適宜含有するゴム組成物とすることができる。
前記ジエン系ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)や、極性基を有するジエン系ゴムなどが挙げられる。極性基としては、ブロモ基、クロロ基などのハロゲン基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられ、極性基を有するジエン系ゴムとしては、ハロゲン化ブタジエンゴム、エポキシ化天然ゴムなどが挙げられる。トレッドとベースペンとの耐摩耗性に差が生じないようにトレッド用ゴム組成物と同じゴム成分を用いることが好ましい。
ベースペン用ゴム組成物におけるカーボンブラックのジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、45〜80質量部が好ましく、47〜78質量部がより好ましい。カーボンブラックの含有量が45質量部未満の場合は、導電性が不充分となる傾向がある。また、カーボンブラックの含有量が80質量部を超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。
当該カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、100m2/g以上が好ましく、105m2/g以上がより好ましい。N2SAが100m2/g未満の場合は、耐摩耗性および導電性が不充分となる傾向がある。また、カーボンブラックのN2SAは、1500m2/g以下が好ましく、1400m2/g以下がより好ましい。N2SAが1500m2/gを超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。
当該カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸油量は、65ml/100g以上が好ましく、70ml/100g以上がより好ましい。DBP吸油量が65ml/100g未満の場合は、導電性が不充分となる傾向がある。また、カーボンブラックのDBP吸油量は、600ml/100g以下が好ましく、550ml/100g以下がより好ましい。DBP吸油量が600ml/100gを超える場合は、加工性が悪化する傾向がある。
ベースペン用ゴム組成物におけるシリカのジエン系ゴム成分100質量部に対する含有量は、5〜40質量部であり、7〜38質量部が好ましく、8〜37質量部がより好ましい。シリカの含有量が5質量部未満の場合は加工性が悪化する傾向および転がり抵抗の低減効果が不充分となる傾向がある。また、シリカの含有量が40質量部を超える場合は耐摩耗性が不充分となる傾向がある。
ベースペン用ゴム組成物が含有するシリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、10m2/g以上が好ましく、40m2/g以上がより好ましい。N2SAが10m2/g未満の場合はシリカによる補強効果が得られない傾向がある。また、シリカのN2SAは、600m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましい。N2SAが600m2/gを超える場合は加工性が悪化する傾向がある。
前記ベースペン用ゴム組成物の体積固有抵抗率は、7.0LogΩ・cm以下であることが好ましく、6.8LogΩ・cm以下であることがより好ましい。ベースペン用ゴム組成物の体積固有抵抗率が7.0LogΩ・cmを超える場合は、ベースペンの導電性が低く、空気入りタイヤの通電性が不充分となる傾向がある。また、体積固有抵抗率の下限は特に限定されないが、混練時の加工性を悪化させないという点から3.0LogΩ・cm以上であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、車両に蓄積された静電気を路面に放電するための導電経路を有する。この導電経路は、他の部材に比べて導電性に優れた部材により構成されており、低tanδ化により導電性が悪化したトレッドや、サイドウォールなどに代わって、静電気を路面に放電するための経路であり、空気入りタイヤの通電性を担うものである。
前記導電経路は、クリンチおよびベースペンによりその少なくとも一部が構成される。クリンチおよびベースペン以外の構成部材として、プライ、ベルト、ブレーカーなどのタイヤ内部部材を含むこともでき、またベースペンをクリンチまで延長することで、クリンチおよびベースペンのみによる構成とすることもできる。
前記導電経路が、クリンチおよびベースペン以外のタイヤ内部部材を含む場合、当該タイヤ内部部材を構成するゴム組成物は特に限定されないが、体積固有抵抗率は、7.0LogΩ・cm以下であることが好ましく、6.8LogΩ・cm以下であることがより好ましい。当該ゴム組成物の体積固有抵抗率が7.0LogΩ・cmを超える場合は、導電性が低く、空気入りタイヤの通電性が不充分となる傾向がある。また、体積固有抵抗率の下限は特に限定されないが、混練時の加工性を悪化させないという点から3.0LogΩ・cm以上であることが好ましい。
本発明の導電経路について、本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す部分断面図である添付の図1〜図4を参照して説明するが、この態様のみに限定されるものではない。
図1に示す空気入りタイヤは、ベースペン8がトレッド7内部のブレーカー6に接し、トレッド7を貫通してトレッド7の接地面まで設けられた空気入りタイヤである。この場合の導電経路は、リムR、クリンチ1、プライ3、ブレーカー6およびベースペン8となる。
図2に示す空気入りタイヤは、ベースペン8がサイドウォール4内部のプライ3に接し、サイドウォール4を貫通し、トレッド7とウイング5との界面を経てトレッド7の接地面まで設けられた空気入りタイヤである。この場合の導電経路は、リムR、クリンチ1、プライ3およびベースペン8となる。
図3に示す空気入りタイヤは、ベースペン8がビードエイペックス2の先端部およびクリンチ1に接し、プライ3とサイドウォール4との界面およびブレーカー6とトレッド7との界面を経て、トレッド7を貫通してトレッド7の接地面まで設けられた空気入りタイヤである。なお、ブレーカー6とトレッド7との界面において、トレッド7を貫通する方向だけでなく、他方のビードエイペックスおよびクリンチまで延伸した構造としてもよい。この場合の導電経路は、リムR、クリンチ1およびベースペン8となる。
図4に示す空気入りタイヤは、ベースペン8がビードエイペックス2の先端部およびクリンチ1に接し、プライ3とサイドウォール4との界面を経てサイドウォール4を貫通し、さらにトレッド7とウイング5との界面を経てトレッド7の接地面まで設けられた空気入りタイヤである。この場合の導電経路は、リムR、クリンチ1およびベースペン8となる。
本発明の空気入りタイヤは通常の方法により製造できる。すなわち、必要に応じて前記配合剤および添加剤を配合した各タイヤ部材用のゴム組成物を、未加硫の段階で、各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、通常の方法にて成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
以下に実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
NR:RSS#3
ENR:クラルンプーラン社製のENR25
SBR:JSR(株)製のJSR1502(乳化重合SBR、スチレン含量:23.5質量%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(ハイシスBR、シス−1,4−ブタジエン単位量:97質量%)
ケッチェンブラック:ケッチェンブラックインターナショナル(株)製のケッチェンブラックEC600JD(N2SA:1270m2/g、DBP:495ml/100g)
N110:三菱化学(株)製のダイアブラックSA(N2SA:142m2/g、DBP=165ml/100g)
N220:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N2SA:114m2/g、DBP:114ml/100g)
N351:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN351(N2SA:128m2/g、DBP:69ml/100g)
N330:三菱化学(株)製のダイアブラックH(N2SA:105m2/g、DBP:79ml/100g)
FEF:三菱化学(株)製のダイアブラックE(N2SA:41m2/g、DBP:115ml/100g)
シリカ:エボニックデグッサ社製のULTRASIL VN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤:デグサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のPS−32(パラフィン系プロセスオイル)
ワックス:日本精鑞(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:住友化学工業(株)製のアンチゲン6C
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸「椿」
酸化亜鉛1:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
酸化亜鉛2:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)
製造例TR1〜TR4(トレッド用ゴム組成物)
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄および加硫促進剤以外の材料を180℃になるまで混練りすることで混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、105℃になるまで練り込み、未加硫のトレッド用ゴム組成物を得た。また、得られた未加硫ゴム組成物を160℃の条件下で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
製造例SW1〜SW4(サイドウォール用ゴム組成物)
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄および加硫促進剤以外の材料を180℃になるまで混練りすることで混練り物を得た。次に、得られた混練り物に不溶性硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、105℃になるまで練り込み、未加硫のサイドウォール用ゴム組成物を得た。また、得られた未加硫ゴム組成物を160℃の条件下で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
製造例BP1〜BP4(ベースペン用ゴム組成物)
表2に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄および加硫促進剤以外の材料を180℃になるまで混練りすることで混練り物を得た。次に、得られた混練り物に不溶性硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、105℃になるまで練り込み、未加硫のベースペン用ゴム組成物を得た。また、得られた未加硫ゴム組成物を160℃の条件下で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
製造例(クリンチ用ゴム組成物)
表3〜7に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、配合材料のうち、硫黄および加硫促進剤以外の材料を180℃になるまで混練りすることで混練り物を得た。次に、得られた混練り物に不溶性硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、105℃になるまで練り込み、未加硫のクリンチ用ゴム組成物を得た。また、得られた未加硫ゴム組成物を160℃の条件下で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物を用いて以下の評価を行った。なお、スコーチタイムの評価はクリンチ用ゴム組成物のみ行った。
<体積固有抵抗率>
(株)ADVANTEST製のデジタル超高抵抗微小電流計(R−8340A)を用いて、印加電圧1000V、温度23℃、相対湿度55%、それ以外の条件についてはJIS K 6271に準じて、加硫ゴム組成物(トレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物、クリンチ用ゴム組成物およびベースペン用ゴム組成物)の体積固有抵抗率(LogΩ・cm)を測定した。結果を表1〜7に示す。なお、10LogΩ・cmを超える場合は「10<」と示す。
<tanδ>
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪み10%および動歪み2%の条件下で、各加硫ゴム組成物(トレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物、クリンチ用ゴム組成物およびベースペン用ゴム組成物)の損失正接tanδを測定した。結果を表1〜7に示す。
<スコーチタイム>
JIS K6300の「未加硫ゴム物理試験方法」に規定された「ムーニー・スコーチ試験」に従い、測定温度130.0±0.5℃におけるM−時間曲線で10M(ムーニー)単位まで上昇するまでの時間t10を測定した(単位:分)。結果を表3〜7に示す。
実施例1〜20および比較例1〜11
表3〜7に示す各タイヤ部材用未加硫ゴム組成物を用いて各試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を作製した。また、ベースペンの構造(図1〜4)を表3〜7に示す。表3〜7に示すタイヤ部材以外の部位については、全ての実施例および比較例において、一般的な配合のゴム組成物により形成された各部材を統一して使用した。得られた試験用タイヤを用いて以下の評価を行った。
<転がり抵抗特性試験>
各試験用タイヤをリム組みし(リム:15×6JJ)、内圧230kPa、荷重3.43kNおよび速度80km/hで走行させたときの転がり抵抗を転がり抵抗試験機を用いて測定し、実施例3を100とした時の指数で表示した。結果を表3〜7に示す。指数が大きいほど低燃費性に優れていることを示す。転がり抵抗特性指数は100以上を性能目標指数とする。
<タイヤの電気抵抗>
各試験用タイヤをリム組みし(リム:15×6JJ)、内圧2.0MPaおよび荷重4.7kNの条件において鉄板にトレッド部を設置し、リム部と鉄板間の電気抵抗を印加電圧100V、温度23℃および相対湿度55%の条件下で測定した。結果を表3〜7に示す。タイヤの電気抵抗は8.0LogΩ以下を性能目標値とする。
<リムチェーフィング性能試験>
各試験用タイヤをリム組みし(リム:15×6JJ)、内圧200kPa、荷重7kNおよび速度80km/hの条件にて、30000kmドラム走行耐久試験を行った後、タイヤをリムから外し、リム接触部(クリンチ部)の厚みを測定し、試験開始時の厚みと比較し、削れた量(チェーフィング量)を測定した。なお、左右の各クリンチの周上3箇所、合計6箇所の測定を行い、これらの平均値を求めた。結果を表3〜7に示す。チェーフィング量が小さいほどチェーフィング性能に優れることを示す。チェーフィング量は1.1mm以下を性能目標値とする。
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表3〜7の結果から、所定のカーボンブラックを所定の体積分率で含有するクリンチ用ゴム組成物により形成されるクリンチを有し、当該クリンチとベースペンが導電経路の少なくとも一部を構成する空気入りタイヤとすることで、トレッドおよびサイドウォールが低tanδ性に優れるが体積固有抵抗率の高いトレッド用ゴム組成物およびサイドウォール用ゴム組成物により形成されるにもかかわらず、転がり抵抗特性、通電性およびリムチェーフィング性能に優れた空気入りタイヤが得られることがわかる。
1 クリンチ
2 ビードエイペックス
3 プライ
4 サイドウォール
5 ウイング
6 ブレーカー
7 トレッド
8 ベースペン
R リム

Claims (2)

  1. トレッド、サイドウォール、クリンチおよびベースペンを有する空気入りタイヤであって、
    トレッドが、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを35〜70質量部、カーボンブラックを0〜25質量部含有し、tanδが0.20以下であり、体積固有抵抗率が8.0LogΩ・cm以上であるトレッド用ゴム組成物により形成され、
    サイドウォールが、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜40質量部、カーボンブラックを0〜27質量部含有し、tanδが0.15以下であり、体積固有抵抗率が8.0LogΩ・cm以上であるサイドウォール用ゴム組成物により形成され、
    クリンチが、窒素吸着比表面積が100〜1500m2/gでありジブチルフタレート吸油量が65〜600ml/100gであるカーボンブラックをゴム組成物全体に占める体積分率で4〜45%含有し、体積固有抵抗率が7.00LogΩ・cm以下であるクリンチ用ゴム組成物により形成され、
    クリンチおよびベースペンが導電経路の少なくとも一部を構成する空気入りタイヤ。
  2. クリンチ用ゴム組成物が、
    天然ゴムを80質量%以上含有するジエン系ゴム成分、ならびに
    窒素吸着比表面積が100〜1500m2/gでありジブチルフタレート吸油量が65〜600ml/100gであるカーボンブラックおよびシリカを含むフィラーを含有し、
    前記カーボンブラックの含有量がゴム組成物全体に占める体積分率で4〜45%であり、
    フィラー中の前記カーボンブラックの含有量が10〜95質量%であり、シリカの含有量が3〜40質量%である請求項1記載の空気入りタイヤ。
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