JP2014200803A - 連続鋳造鋳片の冷却方法及び冷却装置 - Google Patents

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【課題】連続鋳造機の二次冷却帯で鋳片を冷却する際に鋳片表面の温度むらを抑制する。【解決手段】連続鋳造機で鋳造されている鋳片11を二次冷却帯で冷却する冷却方法であって、前記二次冷却帯は前段冷却部と後段冷却部を有し、前記前段冷却部では第1の冷却手段13によるスプレー散水範囲を膜沸騰の冷却状態に保持するように冷却し、前記後段冷却部では第2の冷却手段14によるスプレー散水範囲中の鋳造方向位置の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域ができるように冷却することを特徴とする冷却方法である。【選択図】 図1

Description

本発明は、連続鋳造機の二次冷却帯における鋳片の冷却方法及び冷却装置に関するものである。
鋼の連続鋳造工程で、鋳型内に注入された溶鋼は冷却されて鋳型との接触面に凝固シェルを形成する。この凝固シェルを外殻とし、内部に未凝固溶鋼を有する鋳片は、鋳型下方に設けられた二次冷却帯において冷却水によって冷却されながら鋳型下方に連続的に引抜かれ、やがて中心部までの凝固が完了する。中心部までの凝固の完了した鋳片を所定の長さに切断して、圧延用素材である鋳片が製造されている。
二次冷却帯において、不均一な冷却が発生すると、鋳片の表面や内部に割れが生じたり、鋳片中心部の中心偏析が悪化したりするので、鋳片の幅方向で均一な冷却を行うことが要求される。この場合、スラブ鋳片は幅が広く、複数個のスプレーノズルを幅方向に配置する必要があることと、鋳造方向に短い間隔で配置される搬送ロールの存在によってスプレーノズルから大熱量の鋳片への散水可能な面積が狭くなることから、鋳片の幅方向で不均一冷却になりやすい。そのため、鋳片の幅方向に均一な冷却を行うことが重要となる。
特許文献1には、二次冷却帯において鋳片と相対する面に多数の噴出孔を有した多孔板ノズルを用いて気水冷却を行うことで、鋳片表面温度をMHF点(Minimum Heat Flux Point:極小熱流束点)以上の膜沸騰の状態に保持して冷却し、鋳片表面の温度むらを抑制することが記載されている。なお、MHF点は、膜沸騰冷却から遷移沸騰冷却へと変わる点である。
特許文献2には、熱間圧延された高温鋼板の温度むらを低減する方法として、冷却帯を前段・後段に分割し、前段では冷却水量を少なくすることにより全面膜沸騰となるよう冷却し、後段では冷却水量を多くすることにより速やかに遷移沸騰を通過させて全面核沸騰となるよう冷却することが記載されている。
特開2009−202166 特開2000−42621
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、膜沸騰の状態を保持して冷却するには、鋳片が例えば600℃以下になると冷却水の衝突圧力を低下させなければならず、冷却能力が低下するという問題がある。さらに450℃以下の低温まで膜沸騰の冷却状態を保持して鋳片を冷却するのはほとんど不可能である。
また、特許文献2に記載された発明は熱間圧延鋼板に適用される技術であり、連続鋳造工程に適用することは次の理由で困難である。連続鋳造では、鋳造方向に短い間隔で配置された搬送ロールによって散水可能な面積が狭くなること、鋳片の厚みが非常に厚いために鋳片熱量が非常に大きいことから、鋳片が搬送ロールを通過する際に鋳片表面への復熱が繰り返される。このため、後段において全面核沸騰の冷却状態へ到達させることは現実的には不可能であり、核沸騰の冷却状態に速やかに到達させて温度むらを抑制する方法を連続鋳造では取ることができない。
そこで、本発明の一態様は、連続鋳造機の二次冷却帯において鋳片を冷却する際に不均一な冷却の発生を抑制することを課題の一とする。
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
[1]連続鋳造機で鋳造されている鋳片を二次冷却帯で冷却する冷却方法であって、前記二次冷却帯は前段冷却部と後段冷却部を有し、前記前段冷却部では第1の冷却手段によるスプレー散水範囲を膜沸騰の冷却状態に保持するように冷却し、前記後段冷却部では第2の冷却手段によるスプレー散水範囲中の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域ができるように冷却することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却方法。
[2]上記[1]において、前記前段冷却部では前記第1の冷却手段によるスプレー散水範囲におけるスプレー水の最大衝突圧をPとした場合に式(1)を満たす温度Tまで冷却し、前記後段冷却部では前記第2の冷却手段によるスプレー散水範囲における鋳片幅方向の各位置でのスプレー水の最大衝突圧Pが式(2)を満足するように冷却することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却方法。
T(℃)≧125P +210P+600 ・・・・(1)
(kPa)≧−2.3×10−6+6.3×10−3T−2.6・・・(2)
[3]上記[1]または[2]において、前記第1の冷却手段及び前記第2の冷却手段それぞれは、前記鋳片幅方向に複数配置されたスプレー散水用ノズルを有することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却方法。
[4]連続鋳造機で鋳造されている鋳片を二次冷却帯で冷却する冷却装置であって、前記二次冷却帯は前段冷却部と後段冷却部を有し、前記前段冷却部における第1の冷却手段は、当該第1の冷却手段によるスプレー散水範囲を膜沸騰の冷却状態に保持するように冷却する手段であり、前記後段冷却部における第2の冷却手段は、当該第2の冷却手段によるスプレー散水範囲中の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域ができるように冷却する手段であることを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却装置。
[5]上記[4]において、前記前段冷却部における前記第1の冷却手段は、当該第1の冷却手段によるスプレー散水範囲におけるスプレー水の最大衝突圧をPとした場合に式(1)を満たす温度Tまで冷却する手段であり、前記後段冷却部における前記第2の冷却手段は、当該第2の冷却手段によるスプレー散水範囲における鋳片幅方向の各位置でのスプレー水の最大衝突圧Pが式(2)を満足するように冷却する手段であることを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却装置。
T(℃)≧125P +210P+600 ・・・・(1)
(kPa)≧−2.3×10−6+6.3×10−3T−2.6・・・(2)
[6]上記[4]または[5]において、前記第1の冷却手段及び前記第2の冷却手段それぞれは、前記鋳片幅方向に複数配置されたスプレー散水用ノズルを有することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却装置。
本発明によれば、連続鋳造機の二次冷却帯において鋳片を冷却する際に不均一な冷却の発生を抑制することができる。
本発明の一態様に係る鋳片の冷却装置を説明する模式図。 (A)は図1に示す前段のスプレー散水用ノズルが鋳片の幅方向に複数配置された状態を模式的に示す斜視図、(B)は図1に示す後段のスプレー散水用ノズルが鋳片の幅方向に複数配置された状態を模式的に示す斜視図。 鋳型内の溶鋼のメニスカスからの距離と鋳片表面温度との関係を示す図。 比較例の冷却装置によって鋳片を冷却した際の鋳型内の溶鋼のメニスカスからの距離と鋳片表面温度の関係を示す図。 図1に示す後段冷却部の冷却装置によって鋳片を冷却した際の鋳型内の溶鋼のメニスカスからの距離と鋳片表面温度の関係を示す図。 (A)はスプレー散水の衝突圧力P、鋳片表面温度Tと冷却状態の関係を示す図、(B)は鋳片表面温度T、スプレー散水の衝突圧力Pと冷却状態の関係を示す図。 図4で説明した比較例の冷却装置及び図1に示す冷却装置それぞれを用いて二次冷却帯で鋳片を冷却した後の鋳片表面温度と鋳片幅中央からの距離の関係を示す図。
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
図1は、本発明の一態様に係る鋳片の冷却装置を説明する模式図であり、二次冷却帯の一部を示している。図2(A)は、図1に示す前段冷却部のスプレー散水用ノズルが鋳片の幅方向に複数配置された状態を模式的に示す斜視図であり、図2(B)は、図1に示す後段冷却部のスプレー散水用ノズルが鋳片の幅方向に複数配置された状態を模式的に示す斜視図である。
図1に示す鋳片の冷却装置は、鋼の連続鋳造機(図示せず)で鋳造されている鋳片を鋳型下方に設けられた二次冷却帯で強冷却する装置である。この冷却装置は、二次冷却帯を前段冷却部及び後段冷却部の二段階に分け、前段冷却部に、鋳片11を鋳造方向に搬送するロール12と、鋳片11を冷却する第1の冷却手段13が、鋳造方向に交互に配置された構造を有している。後段冷却部に、鋳片11を鋳造方向に搬送するロール12と、鋳片11を冷却する第2の冷却手段14が、鋳造方向に交互に配置された構造を有している(図1参照)。
詳細な冷却方法としては、前段冷却部における第1の冷却手段13によって鋳片11の鋳造方向に広がるようにスプレー散水することで鋳片11に衝突する散水範囲15を膜沸騰の冷却状態に保持するものである(図2(A)参照)。また、後段冷却部では第2の冷却手段により鋳造方向に広がらないようにスプレー散水して衝突圧を高くすることによってスプレー散水範囲中の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域ができるようにするものである。
なお、本明細書中において「スプレー散水」とは、水または水と気体の混合体を噴射して鋳片表面に撒くことをいう。また、「散水範囲」とは、鋳片にスプレー散水した際に水または水と気体の混合体が鋳片の表面に衝突する範囲をいう。また、「鋳片幅方向の各位置」とは、鋳片表面上の鋳造方向と直角に交差する軸線上の各位置のことをいう。
前段冷却部における第1の冷却手段13は、鋳片11の幅方向にスプレー散水用ノズル13a,13bが複数配置されている。後段冷却部における第2の冷却手段14は、鋳片11の幅方向にスプレー散水用ノズル14a,14bが複数配置されている(図2参照)。なお、本実施の形態では、第1及び第2の冷却手段13,14それぞれにおいて鋳片11の幅方向に2つのスプレー散水用ノズル13a,13b,14a,14bを配置しているが、これに限定されず、鋳片11の幅方向に3つ以上のスプレー散水用ノズルを配置してもよい。
前段冷却部における第1の冷却手段13によって鋳片11にスプレー散水した際に鋳片11に衝突する散水範囲15におけるスプレー水の最大衝突圧をPとした場合に式(1)を満たす温度Tまで冷却するとよい。この最大衝突圧Pは、図2(A)に示す散水範囲15の全領域の衝突圧のうちの最大の衝突圧である。つまり、スプレー散水用ノズル13aによってスプレー散水された散水範囲と、スプレー散水用ノズル13bによってスプレー散水された散水範囲との重複範囲であるスプレーラップ部15aの衝突圧、及びスプレー散水用ノズル13a,13bそれぞれによってスプレー散水されたスプレー直下部15b,15cの衝突圧のうち最大の衝突圧をPとする。式(1)は冷却状態が膜沸騰となる条件を示すものであり、最大衝突圧P1で式(1)を満たす温度Tまで冷却するようにすれば、前段冷却部における散水範囲15の全域で膜沸騰の冷却状態に保持することができる。
T(℃)≧125P +210P+600 ・・・・(1)
後段冷却部では第2の冷却手段によるスプレー散水範囲16における鋳片幅方向の各位置でスプレー水の最大衝突圧Pが式(2)を満足するように冷却するとよい。式(2)は冷却状態が遷移沸騰または核沸騰となる条件を示すものであり、この衝突圧について式(2)を満足させることにより、後段冷却部において第2の冷却手段14によってスプレー散水された散水範囲16の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態となる領域をつくることができる。

(kPa)≧−2.3×10−6+6.3×10−3T−2.6・・・(2)
本発明の一態様では、後段冷却部における第2の冷却手段14によってスプレー散水された散水範囲16の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態となる領域をつくることにより、鋳片幅方向で膜沸騰と遷移沸騰とが混在する鋳片11の表面の不均一な冷却の発生を抑制することができる。なお、鋳片11が二次冷却体の前段冷却部、後段冷却部と進むにつれて鋳片11の温度が徐々に低下していく。このため、後段冷却部における最初の方の第2の冷却手段14によってスプレー散水された散水範囲16では遷移沸騰の冷却状態を保持できる可能性があるが、後段冷却部における最後の方の第2の冷却手段によってスプレー散水された散水範囲(図示せず)では鋳片11の温度が低いために一部核沸騰の冷却状態になることも考えられる。
前段冷却部における第1の冷却手段13は、例えば水圧1.0MPa以下の低圧水を用いてスプレー散水用ノズルから散水するものであって、鋳片11に衝突する散水範囲15の鋳造方向の長さ15dを100mm以上とするとよい。このようにすることで、前段冷却部における散水範囲15を膜沸騰の冷却状態に保持することができる。
後段冷却部における第2の冷却手段14は、水圧1.0MPa以下の低圧水を用いてスプレー散水用ノズルから散水するものであって、鋳片11に衝突する散水範囲16の鋳造方向の長さ16dを50mm以下とするとよい。このようにすることで衝突圧を上げることができ、後段冷却部において第2の冷却手段14によってスプレー散水された散水範囲16中の鋳片幅方向各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域をつくることができる。
本実施の形態によれば、二次冷却帯を前段冷却部と後段冷却部に分割し、前段冷却部では鋳片を膜沸騰の冷却状態を保持し、後段冷却部の第2の冷却手段による冷却では鋳片を遷移沸騰または核沸騰の状態に保持することにより、鋳片11の表面の不均一な冷却の発生を抑制することができる。特に、鋳片温度が例えば400〜700℃程度の後段冷却部で膜沸騰と遷移沸騰の冷却状態が鋳片幅方向で混在するのを防止することで、鋳片11の表面の不均一な冷却の発生を抑制できる。
また、後段冷却部では鋳片を遷移沸騰域または核沸騰で冷却を行うことにより、少ない水量で大きな抜熱が可能となり、また冷却完了温度を、膜沸騰のような制約がなく、低温に設定可能となる。
また、前段冷却部では鋳片を膜沸騰域で冷却を行い、後段冷却部の第2の冷却手段14から遷移沸騰域の冷却に切り替えるため、後段冷却部において遷移沸騰域通過時の鋳片表面の不均一な冷却の発生を少なくすることができる。
図3は、鋳型内の溶鋼のメニスカスからの距離と鋳片表面温度との関係を示す図である。二次冷却帯には、鋳片を鋳造方向に搬送するロールと、鋳片を冷却する冷却手段が、鋳造方向に交互に配置されている。このため、冷却手段によって鋳片にスプレー散水されることで鋳片が強冷却されて鋳片表面温度が急激に低下することと、その冷却手段の次の搬送ロールによって冷却が中断されることで復熱により鋳片表面温度が急激に上昇することを交互に繰り返す。ここで重要なのは、冷却手段によって鋳片が強冷却される際に、前段冷却部では膜沸騰の冷却状態を保持し、後段冷却部では鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域をつくることである。このようにすることで、鋳片を冷却する際に鋳片幅方向で膜沸騰と遷移沸騰が混在した鋳片表面の不均一な冷却の発生を抑制することができる。
図4は、比較例の冷却装置によって鋳片を冷却した際のMHF点近傍の鋳片表面温度変化を示している。
比較例の冷却装置は、本実施の形態のように二次冷却帯を前段冷却部、後段冷却部に分けず、前段冷却部の低衝突圧のスプレーを後段冷却部でも使用したものである。なお、冷却手段は、鋳片の幅方向に複数配置されたスプレー散水用ノズルを有している。
図4に示す点線グラフは、鋳片の幅方向に並べて配置された二つのスプレー散水用ノズルからそれぞれスプレー散水された散水範囲の重複範囲であるスプレーラップ部におけるMHF点近傍での鋳片表面の温度変化である。また図4に示す実線グラフは、スプレー散水用ノズルによってスプレー散水されたスプレー直下部(中央部)におけるMHF点近傍での鋳片表面の温度変化である。
図4によれば、冷却途中でスプレー直下部は膜沸騰から遷移沸騰へ冷却状態が変わり鋳片表面温度が大きく低下したのに対し、ラップ部では衝突圧が低下するために膜沸騰のままで鋳片表面温度の低下は小さく、鋳片幅方向で不均一な冷却となった。
図5は、図1に示す冷却装置によって鋳片を冷却した際のMHF点近傍の鋳片表面温度変化を示している。図1に示す冷却装置は、二次冷却帯を前段冷却部に低衝突圧のスプレーを使用し、後段冷却部に高衝突圧のスプレーを使用したものである。
図5に示す点線グラフは、図2(A)に示す隣合うスプレー散水用ノズル13a、13bによってそれぞれスプレー散水された散水範囲の重複範囲であるスプレーラップ部15aにおけるMHF点近傍での鋳片表面の温度変化である。また図5に示す実線グラフは、スプレー散水用ノズル13aによってスプレー散水されたスプレー直下部15bにおけるMHF点近傍での鋳片表面の温度変化である。
図5によれば、スプレー水の衝突圧を高くすることで、スプレー直下部だけでなく、スプレーラップ部も膜沸騰から遷移沸騰へ冷却状態が変わった。これにより、両者とも同じように温度が低下し、鋳片表面の不均一な冷却の発生を抑制することができた。
図6(A)は、スプレー散水の衝突圧力P、鋳片表面温度Tと冷却状態の関係を示す図であり、図中の白丸は、MHF点を示している。図6(A)は、前段冷却部のスプレー散水領域内の局所衝突圧をPとした場合に、式(1)を満たすように冷却すれば、スプレー散水全領域が膜沸騰の冷却状態となることを示している。なお、図6は、実験を繰り返すことにより求めたグラフである。
T(℃)≧125P +210P+600 ・・・・(1)
図6(A)に示すように、膜沸騰の冷却状態を保持する二次冷却帯の前段冷却部では、第1の冷却手段によって鋳片にスプレー散水した際に鋳片に衝突する散水範囲の衝突圧Pが式(1)を満たすようにするとよいことが分かる。
図6(B)は、鋳片表面温度T、スプレー散水の衝突圧力Pと冷却状態の関係を示す図であり、図中の白丸は、MHF点を示している。図6(B)は、スプレー散水の衝突圧Pが式(2)を満たすように冷却すれば、遷移沸騰または核沸騰の冷却状態となることを示している。なお、図6は、実験を繰り返すことにより求めたグラフである。
(kPa)≧−2.3×10−6+6.3×10−3T−2.6・・・(2)
図6(B)に示すように、遷移沸騰または核沸騰の冷却状態を保持する二次冷却帯の後段冷却部では、第2の冷却手段によって鋳片にスプレー散水した際に鋳片に衝突する散水範囲の衝突圧Pが式(2)を満たすようにするとよいことが分かる。このようにすることで、鋳片表面に不均一な冷却の発生を抑制することができる。
スプレー散水した鋳片に高い衝突圧を発生させるにはデスケーリングノズルのように高い水圧をかける方法が挙げられる。ところが連続鋳造機の二次冷却帯のように膨大な水量を散水する設備において高圧水を発生させるには、設備能力を大幅増強させなければならず、現実に実施することが難しい。そこで、連続鋳造用の低圧水で所定の衝突圧を確保する方法として、鋳造方向の散水角度を狭くする方法が挙げられる。従って、図2に示す通り、膜沸騰を維持する二次冷却帯の前段冷却部では散水範囲15の鋳造方向の長さ15dを100mm以上とし、遷移沸騰を維持する後段冷却部では散水範囲16の鋳造方向の長さ16dを50mm以下とするとよい。これにより、1.0MPa以下の低圧水であっても、たとえば、前段冷却部の散水範囲15を5gf/cm以下の衝突圧に制御でき、後段冷却部の散水範囲16を15gf/cm以上の衝突圧に制御でき、その結果、前段冷却部では膜沸騰、後段冷却部では遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域を鋳片幅方向各位置につくることが可能となる。
図7は、図4で説明した比較例の冷却装置及び本発明の冷却装置それぞれを用いて二次冷却帯で鋳片を冷却した後の鋳片表面温度と鋳片幅中央からの距離の関係を示す図である。図7に示す波線(対策前)が比較例の冷却装置を用いて冷却した結果であり、図7に示す実線(対策後)が本発明の冷却装置を用いて冷却した結果である。なお、冷却装置は鋳片幅方向に4つのスプレー散水用ノズルを配置したものである。
対策前では、前段冷却部と後段冷却部、幅全域で散水範囲の衝突圧を5gf/cm以下として冷却した。対策後では、前段冷却部は幅全域で散水範囲15の衝突圧を5gf/cm以下として冷却し、後段冷却部は幅全域で散水範囲16の衝突圧を15gf/cm以上として冷却した。前段冷却部と後段冷却部の切り替えはおよそ800℃で行った。
図7に示すように、対策前に比べて対策後の方が鋳片表面の不均一な冷却の発生を抑制できることが確認された。
11 鋳片
12 搬送ロール
13 第1の冷却手段
14 第2の冷却手段
13a,13b,14a,14b スプレー散水用ノズル
15,16 散水範囲
15a,16a スプレーラップ部
15b,15c,16b,16c スプレー直下部
15d 散水範囲15の鋳造方向の長さ
16d 散水範囲16の鋳造方向の長さ

Claims (6)

  1. 連続鋳造機で鋳造されている鋳片を二次冷却帯で冷却する冷却方法であって、前記二次冷却帯は前段冷却部と後段冷却部を有し、前記前段冷却部では第1の冷却手段によるスプレー散水範囲を膜沸騰の冷却状態に保持するように冷却し、前記後段冷却部では第2の冷却手段によるスプレー散水範囲中の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域ができるように冷却することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却方法。
  2. 請求項1において、
    前記前段冷却部では前記第1の冷却手段によるスプレー散水範囲におけるスプレー水の最大衝突圧をPとした場合に式(1)を満たす温度Tまで冷却し、前記後段冷却部では前記第2の冷却手段によるスプレー散水範囲における鋳片幅方向の各位置でのスプレー水の最大衝突圧Pが式(2)を満足するように冷却することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却方法。
    T(℃)≧125P +210P+600 ・・・・(1)
    (kPa)≧−2.3×10−6+6.3×10−3T−2.6・・・(2)
  3. 請求項1または2において、
    前記第1の冷却手段及び前記第2の冷却手段それぞれは、前記鋳片幅方向に複数配置されたスプレー散水用ノズルを有することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却方法。
  4. 連続鋳造機で鋳造されている鋳片を二次冷却帯で冷却する冷却装置であって、前記二次冷却帯は前段冷却部と後段冷却部を有し、前記前段冷却部における第1の冷却手段は、当該第1の冷却手段によるスプレー散水範囲を膜沸騰の冷却状態に保持するように冷却する手段であり、前記後段冷却部における第2の冷却手段は、当該第2の冷却手段によるスプレー散水範囲中の鋳片幅方向の各位置で遷移沸騰または核沸騰の冷却状態の領域ができるように冷却する手段であることを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却装置。
  5. 請求項4において、
    前記前段冷却部における前記第1の冷却手段は、当該第1の冷却手段によるスプレー散水範囲におけるスプレー水の最大衝突圧をPとした場合に式(1)を満たす温度Tまで冷却する手段であり、前記後段冷却部における前記第2の冷却手段は、当該第2の冷却手段によるスプレー散水範囲における鋳片幅方向の各位置でのスプレー水の最大衝突圧Pが式(2)を満足するように冷却する手段であることを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却装置。
    T(℃)≧125P +210P+600 ・・・・(1)
    (kPa)≧−2.3×10−6+6.3×10−3T−2.6・・・(2)
  6. 請求項4または5において、
    前記第1の冷却手段及び前記第2の冷却手段それぞれは、前記鋳片幅方向に複数配置されたスプレー散水用ノズルを有することを特徴とする連続鋳造鋳片の冷却装置。
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