JP2014200756A - 濾材、濾材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚液に対する好適な浮力を有した濾材、及び、汚液に対する好適な浮力を有した濾材の製造方法を提供する。
【解決手段】濾材が、ポリオレフィン樹脂内に、熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成された中空球状粒子を複数備えてなる発泡体を主体に構成されているものとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、汚水等の汚液を濾過するための濾材、及び、この濾材の製造方法に関する。
従来から、汚水等の汚液を濾過するための濾材が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
一般にこの種の濾材は、粒径が5〜10mm程度の大きさをなしており、汚液に対して浮上し得る比重に設定されている。複数の濾材は、濾過システムの水槽内に大量に投入され、所定の箇所に浮上を阻止されて集積し、濾材層を形成する。そして、当該濾材層を汚液が通過することにより、液中に含まれている汚物が物理的に除去されるようになっている。
しかして、従来の濾材は、次のように、混合工程、発泡工程、シート形成工程、及び、打ち抜き工程を経て製造されているのが一般的である。
従来の「混合工程」では、ポリオレフィン樹脂に対し、アゾジカルボンアミドを主成分とした化学発泡剤(以下、単に「ADCA」という)や、重曹を用いた化学発泡剤(以下、単に「重曹」という)を添加して混合物を得る。
従来の「発泡工程」では、前記混合物を、所定のプレス用の金型を用いて加圧・加熱することにより、5倍発泡のブロック状の発泡材料(フォーム)を得る。当該ブロック状の発泡材料は、冷却用の棚等に移動され、一定の期間常温の環境で冷却に供される。
従来の「シート形成工程」では、前記ブロック状の発泡材料を、カッター等によりスライスすることにより、シート状をなす発泡体シートを形成する。
従来の「打ち抜き工程」では、当該発泡体シートを、プレス機により打ち抜き加工し、最終形態となる所定形状(直径約5〜10mm)をなす複数の濾材を得る。
ところが、従来の濾材においては、所期の発泡が行われず長期間に亘って満足のできる浮力が生じない場合があった。
また、従来における濾材の製造方法では、前述したように複数の工程が必要であり、発泡工程をプレス用の金型を用いて行うことから、複数の工程を連続的に行うことができず、必ずしも効率的な製造方法であるとは言えなかった。
さらに、従来における濾材の製造方法では、最終形態となる所定形状の濾材を、プレス機を用いた打ち抜き工程を経て得るようにしている。このため、当該打ち抜き工程において不可避的に余剰部分が発生し、材料ロスが多くなってしまうという不具合があった。
しかも、打ち抜き工程における過大な圧縮に起因して、濾材内の独立気泡が破断してしまい、汚液を吸水し易い連続気泡構造が部分的に形成される等して濾材の浮力が低下してしまうという現象が生じることもあった。
特開2003−299910号公報
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、汚液に対する好適な浮力を有した濾材、及び、汚液に対する好適な浮力を有した濾材の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の濾材は、次の構成をなしている。
請求項1に記載の濾材は、ポリオレフィン樹脂内に、熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成された中空球状粒子を複数備えてなる発泡体を主体に構成されているものである。
このようなものであれば、濾材が熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成された中空球状粒子を複数備えた発泡体を主体に構成してなるので、発泡体の発泡が好適に行われ、汚液に対して好適な浮力を有するものとなる。
なお、ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン−プロピレン共重合体、エチレンを主成分とするエチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリプロピレン、プロピレンを主成分とするエチレン−ポロピレン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン3元共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
請求項2に記載の濾材は、請求項1に係る構成において、前記中空球状粒子が、押出し機により前記熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成されたものである。
このようなものであれば、熱膨張性マイクロカプセルが、押出し機による押出し成形に伴って加熱されることにより、前記中空球状粒子が生成されるため、加熱温度の設定を押出し機によって好適に行うことができるものとなるとともに、上述したプレス機を用いたものにおける種々の不具合を解消し得るものとなる。
請求項3に記載の濾材は、請求項1又は2に係る構成において、前記ポリオレフィン樹脂が、低密度ポリエチレンであるものである。
このようなものであれば、密度の低い樹脂からなる発泡体が構成されるものとなるため、汚液に対して好適な浮力を備えたものとなる。
請求項4に記載の濾材の製造方法は、ポリオレフィン樹脂と複数の熱膨張性マイクロカプセルとを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を加熱することにより前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて前記ポリオレフィン樹脂内に複数の中空球状粒子を形成した発泡材料を得るとともに、当該発泡材料を切断して複数の濾材を得る成形工程とを備えてなる。
このようなものであれば、混合工程において、ポリオレフィン樹脂と複数のマイクロカプセルとを混合して混合物を得るようにしているため、汚液に対して好適な浮力を有した発泡体を得ることができる。
請求項5に記載の濾材の製造方法は、請求項4に係る構成において、前記成形工程が、前記混合物を加熱することにより前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて前記ポリオレフィン樹脂内に複数の中空球状粒子を形成した発泡材料を得る発泡工程と、冷却された前記発泡材料を切断し複数の濾材を得る切断工程とを備えているものである。
請求項6に記載の濾材の製造方法は、請求項5に係る構成において、前記混合物に対する加熱が、押出側の端部に押出し成形用の金型を有した押出し機によって行われるものである。
このようなものであれば、押出し機によって発泡工程を行うことができるものとなり、しかも、押出成形用の金型(ダイ)を通過することにより発泡材料が所定形状に連続した紐状のものとなるため、その後の切断工程を簡易な構成にすることができるものとなる。
請求項7に記載の濾材の製造方法は、請求項6に係る構成において、前記押出し機を用いた前記発泡工程と、前記押出し機によって成形された連続成形体である前記発泡材料を冷却水槽で冷却する冷却工程と、冷却された前記発泡材料を切断して複数の濾材を得る前記切断工程とが連続して行われるものである。
このようなものであれば、押出し機に投入された混合物を、押出し機による押出成形を経て所定の外周縁形状を有した紐状の発泡材料とし、その後、冷却水槽により効率良く当該発泡材料を冷却し、当該冷却された紐状の発泡材料を切断することにより最終形態である複数の濾材を得るという複数の工程を連続して行うことができる。このため、比較的スピーディー且つ効率的に濾材を得ることができるものとなる。しかも、押出し機による押出成形により紐状の発泡材料を形成するため、発泡材料に余剰部分が発生することが殆ど無くなり、材料ロスが多くなってしまうという不具合を抑制するものとなる。
さらに、切断工程は、紐状の発泡材料を基本的には長手方向に対して直交する方向に所定間隔で切断することで足りる。このため、切断工程が大がかりになることが抑制されるものとなる。
また、切断工程においてプレス機を用いる場合と比べ、発泡材料に対して広く過大な圧縮が作用することが無いため、濾材内の独立気泡が切断工程において破断してしまうことが少ないものとなる。したがって、汚液を吸水し易い構造が発生し難く、浮力が好適に維持される濾材を提供することができるものとなる。
請求項8に記載の濾材の製造方法は、請求項4、5、6又は7に係る構成において、前記ポリオレフィン樹脂が低密度ポリエチレンであり、この低密度ポリエチレン100重量部中に前記複数の熱膨張性マイクロカプセル2〜6重量部を含んでいるものである。
このようなものであれば、汚液に対する好適な浮力を有した発泡体を主体とする濾材を得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、少なくとも、熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成された中空球状粒子を複数備えてなり汚液に対する好適な浮力を有した濾材、及び、汚液に対する好適な浮力を有した濾材の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態である濾材の斜視図。 同実施形態の濾材の正面図。 図2におけるX−X線断面図。 図3におけるY部分の概略拡大断面図。 同実施形態の一適用例を説明するための概略説明図。 同実施形態の濾材の製造方法を説明するための概略側面図。 図6における押出し機を拡大して示す概略側面図。 実施例1及び比較例1における重量増加率の測定結果を示す表。
本発明の一実施形態を、図1〜7を参照して説明する。
この実施形態は、本発明を、浮上濾材である濾材1に適用したものである。
濾材1は、図1〜4に示すように、正面視略X字状をなしたもので、正面視中央の交差部分における上下の外周面を曲面状に滑らかに連続させている。濾材1は、粒径が5〜10mm程度の大きさをなしている。本実施形態に示す濾材1は、幅寸法(W)が約7mm、高さ寸法(H)が約6.4mm、奥行き寸法(D)が約5mmに設定されている。
複数の濾材1は、図5に示すように、濾過システムFにおける水槽内に大量に投入され、汚液seの通過経路中に配された網状のスクリーン部材nによって浮上が阻止されて集積し、濾材層FSを形成する。しかして、汚液seは、濾過システムF内における濾材層FSを通過し、汚物muが物理的に除去されるようになっている。
濾材1は、ポリオレフィン樹脂である低密度ポリエチレン(LDPE)11内に、熱膨張性マイクロカプセル(図示せず)を加熱することにより形成された中空球状粒子12を複数備えてなる発泡体hを主体に構成されている。本実施形態においては、発泡体hの中空球状粒子12が、押出し機Pにより熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成されている。
熱膨張性マイクロカプセルは、粒子径が約10〜17μmのものであり、外殻樹脂体に発泡剤(例えば、液状の炭化水素)を内包させている。熱膨張性マイクロカプセルは、所定の膨張温度に達すると、外殻樹脂体が軟化するとともに内包された発泡剤が気化膨張し、中空球状粒子12に変形する。すなわち、熱膨張性マイクロカプセルが加熱されることにより形成された中空球状粒子12は、中空ボール状のもので、中空の外殻樹脂体121と、この外殻樹脂体121の内部空間に満たされた気化膨張ガス122とを備えている。熱膨張後の熱膨張性マイクロカプセルである中空球状粒子12は、真比重が0.03g/cm3、平均粒子径が40μm、外殻樹脂体の厚さが0.1μmとなっている。
濾材1は、前後に切断機により切断されることにより形成される平面状の切断端面1aと、周囲に押出し機Pにより押出成形されることにより形成される押出し成形面1bを有している。
次いで、この濾材1の製造方法について、図6及び図7を参照して説明する。
濾材1の製造方法は、低密度ポリエチレン11と複数の熱膨張性マイクロカプセルとを混合して混合物を得る混合工程(図示せず)と、混合物を加熱することにより熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてポリオレフィン樹脂11内に複数の中空球状粒子12を形成した発泡材料gを得るとともに当該発泡材料gを切断して複数の濾材1を得る成形工程(a)とを備えてなる。より具体的には、成形工程(a)は、混合物を加熱することにより熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてポリオレフィン樹脂11内に複数の中空球状粒子12を形成した発泡材料gを得る発泡工程a1と、冷却された発泡材料gを切断し複数の濾材1を得る切断工程a3とを備えている。
本実施形態では、図6に示すように、混合物に対する加熱が、押出側の端部に押出し成形用の金型(ダイ)p1を有した押出し機Pによって行われている。しかして、図6に示す通り、成形工程(a)は、押出し機Pを用いた発泡工程a1と、押出し機Pの金型p1を通過することによって成形された連続成形体である発泡材料gを冷却水槽WTで冷却する冷却工程a2と、冷却された発泡材料gを切断して複数の濾材1を得る切断工程a3とを備えており、これらが連続して行われるようになっている。
なお、混合工程で得られた混合物は、ホッパローダ等によって自動的に押出し機Pのホッパーp2に投入することが可能である。
混合工程は、例えば、タンブラータンクを有したブレンド機(図示せず)等によって行われる。タンブラータンク内でポリオレフィン樹脂11と熱膨張性マイクロカプセルとを混合して得られた混合物は、ホッパーローダー(図示せず)により押出し機Pのホッパーp2に輸送される。
本実施形態におけるポリオレフィン樹脂11は低密度ポリエチレンである。そして、複数の熱膨張性マイクロカプセルは、低密度ポリエチレン100重量部中に対して2〜6重量部に設定されている。熱膨張マイクロカプセルが、2重量部よりも小さい値に設定された場合には、ポリオレフィン樹脂11内に所定数量の中空球状粒子12が生成されず密度が高すぎて浮力が弱いものとなり、6重量部よりも大きい値に設定された場合には、中空球状粒子12が数多く生成され過ぎてしまい密度が低すぎて濾材1の形状が安定しないものとなる。
発泡工程a1は、混合物を加熱することにより熱膨張性マイクロカプセルを膨張させてポリオレフィン樹脂11内に複数の中空球状粒子12を形成した発泡材料gを得るためのもので、成形工程(a)の一工程を構成するものである。発泡工程a1は、具体的には、押出し機Pによって行われる。
押出し機Pは、いわゆる単軸押出し機であり、材料を供給するためのホッパーp2と、ホッパーp2から供給された混合物を受け入れるシリンダp3と、シリンダp3内に配され混合物を押出して混練するスクリューp4と、押出側の端部に配され所定の外周形状を備えた連続成形体である発泡材料gを成形する金型(ダイ)p1とを備えている。押出し機Pは、モータp5のトルクを減速機p6を介してスクリューp4に伝達するようにしている。また、シリンダp3には、ヒータp7が取り付けられている。ヒータp7(C1〜C3)、ダイp1(D)、及び、アダプタp8(A)は、図示しない温度制御盤により温度制御が行われる。
冷却工程a2は、押出し機Pの金型p1を通過することによって成形された連続成形体である発泡材料gを冷却するためのもので、成形工程(a)の一工程を構成するものである。冷却工程a2は、具体的には、冷却水wtを保持した冷却水槽WTを通過させることにより行われる。この実施形態では、冷却工程a2は、長さ200cmの水槽本体を有する第一の冷却水槽WT1と、長さ200cmの水槽本体を有する第二の冷却水槽WT2のそれぞれに紐状の連続成形体である発泡材料gを順番に通過させることにより行われる。
なお、冷却水槽WTは、単一のものであっても良い。本実施形態のように第一、第二の冷却水槽WT1、WT2に分割して発泡材料gの冷却を段階的に行うようにすると、紐状の連続成形体である発泡材料gの形状が安定し易いものとなるとともに、紐状の連続成形体である発泡材料gに過大な引っ張り力が作用して搬送過程で分断されてしまうことを好適に抑制するものとなる。
切断工程a3は、冷却された発泡材料gを切断し複数の濾材1を得るためのもので、成形工程(a)の一工程を構成するものである。切断工程a3は、具体的には、切断機Cuにより紐状の発泡材料gを引き入れるとともに、発泡材料gを長手方向に対して直交する方向に所定間隔で切断することにより行われる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、上記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないのはもちろんのことである。
低密度ポリエチレン(商品:ノバテック(登録商標)YF30、密度0.920g/cm3、メルトフローレート1.1g/10min、日本ポリエチレン株式会社製)100重量部と、熱膨張性マイクロカプセル(商品:エクスパンセル(登録商標)、平均粒子径28〜38μm(乾燥未膨張)、膨張開始温度122〜132℃、最大膨張温度191〜204℃、TMA−Density<6.5Kg/m3、日本フィライト株式会社製)6重量部をタンブラータンクにて混合して混合物を得、スクリュー回転数40rpm、引取速度13.5Hz、スクリュー電流計12A、吐出量10kg/hrの押出し機Pにより前記混合物をC1:160℃、C2:160℃、C3:200℃、A:220℃、D:200℃の設定温度で加熱しつつ押出成形し、紐状をなす連続成形体である発泡材料gを成形し、しかる後に、第一、第二の冷却水槽TW1、TW2によって発泡材料gを冷却し、次いで、切断機Cuにより発泡材料gを切断して濾材1を成形した。実施例1の濾材1の見かけ密度は、0.31g/cm3であった。
熱膨張性マイクロカプセル4重量部に変えた以外は、実施例1と同じ配合及び同じ条件で濾材1を得た。実施例2の濾材の見かけ密度は、0.37g/cm3であった。
熱膨張性マイクロカプセル2重量部に加え、発泡剤としてさらに炭酸水素ナトリウムのマスターバッチ(商品名:ポリスレンEE405F、永和化成工業株式会社製)3.5重量部を追加した以外は、実施例1と同じ条件で濾材1を得た。実施例3の濾材の見かけ密度は、0.4g/cm3であった。
次に、比較例1〜2を説明する。
<比較例1>
低密度ポリエチレン(商品:ノバテック(登録商標)YF30、密度0.920g/cm3、メルトフローレート1.1g/10min、日本ポリエチレン株式会社製)100重量部と、発泡剤としてADCAのマスターバッチ(商品:パンスレンH7310、永和化成工業株式会社製)3重量部をタンブラータンクにて混合して混合物を得、スクリュー回転数30rpm、引取速度12.0Hz、スクリュー電流計14A、吐出量8kg/hrの押出し機Pにより混合物をC1:160℃、C2:170℃、C3:280℃、A:270℃、D:200℃の設定温度で加熱しつつ押出成形し、発泡材料を成形し、しかる後に、第一、第二の冷却水槽TW1、TW2によって発泡材料gを冷却し、次いで、切断機Cuにより発泡材料を切断して比較例1の濾材を成形した。比較例1の濾材の見かけ密度は、0.52g/cm3であった。
<比較例2>
発泡剤を炭酸水素ナトリウムのマスターバッチ(商品名:ポリスレンEE405F、永和化成工業株式会社製)3.5重量部に変えた以外は、比較例1と同じ条件で濾材を得た。比較例2の濾材の見かけ密度は、0.58g/cm3であった。
表1において、濾材の配合及び発泡条件を示す。
Figure 2014200756
次いで、得られた濾材を水中に投入し、投入された時間に対する重量増加率を測定した。それらの結果を図8において示す。
図8に示されるように、実施例1においては、水中に投入してから6日後まで重量増加率が上昇し、6日後における重量増加率が0.147g/cm3であり、その後、緩やかな上昇に転じて、重量増加率は0.165g/cm3よりも低い値で推移した。
一方、比較例1においては、水中に投入してから18日後まで重量増加率が上昇し、18日後における重量増加率は0.184g/cm3よりも低い値で推移した。すなわち、水になじんだ後における比較例1の濾材は、実施例1に係る濾材と比較して重量増加率が高く、浮力に劣るものであった。
以上詳述したように、本実施形態、及び、実施例に示す濾材1は、発泡剤としてマイクロカプセルを採用しているため、ポリオレフィン樹脂11内に均質且つ確実に中空球状粒子12を生成することができ、浮力に優れたものとなる。しかも、この濾材1の製造方法によれば押出し機Pを用いた押出成形によりマイクロカプセルを加熱するようにしているためマイクロカプセルを中空球状粒子12に変化させるための温度設定が容易であり、安定した中空球状粒子12の生成を行うことができるものとなる。また、本実施形態である濾材1の製造方法によれば、マイクロカプセルの含有量に応じて濾材1の密度を0.20〜0.80g/cm3まで制御可能となるため、好適な浮力を備えた濾材1を容易に製造することができるものとなる。
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
濾材は、発泡体を主体に構成されているものであれば良く、発泡体とは異なる他の構成が含まれたものであっても良い。
濾材の製造方法は、上述した実施形態等に限定されるものではない。例えば、成形工程における混合物の加熱は、所定の金型を用いたプレスによって行うようにしても良い。また、発泡材料の切断は、プレスによる打ち抜きにより行うようにしても良い。しかしながら、本実施形態に説明するものであれば、材料のロスを低減し、効率良く最終形態となる濾材を得ることができるものとなっている。
冷却工程における冷却水槽の数は一つであっても良い。
濾材の具体的な形状については、種々の形状が考えられ、本実施形態に示すものに限定されないのはもちろんのことである。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
1…濾材
11…ポリオレフィン樹脂
12…中空球状粒子
h…発泡体
Figure 2014200756

Claims (8)

  1. ポリオレフィン樹脂内に、熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成された中空球状粒子を複数備えてなる発泡体を主体に構成されていることを特徴とする濾材。
  2. 前記中空球状粒子が、押出し機により前記熱膨張性マイクロカプセルを加熱することにより形成されたものである請求項1記載の濾材。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂が、低密度ポリエチレンである請求項1又は2記載の濾材。
  4. ポリオレフィン樹脂と複数の熱膨張性マイクロカプセルとを混合して混合物を得る混合工程と、
    前記混合物を加熱することにより前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて前記ポリオレフィン樹脂内に複数の中空球状粒子を形成した発泡材料を得るとともに、当該発泡材料を切断して複数の濾材を得る成形工程とを備えてなることを特徴とする濾材の製造方法。
  5. 前記成形工程が、前記混合物を加熱することにより前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させて前記ポリオレフィン樹脂内に複数の中空球状粒子を形成した発泡材料を得る発泡工程と、冷却された前記発泡材料を切断し複数の濾材を得る切断工程とを備えている請求項4記載の濾材の製造方法。
  6. 前記混合物に対する加熱が、押出側の端部に押出し成形用の金型を有した押出し機によって行われる請求項5記載の濾材の製造方法。
  7. 前記押出し機を用いた前記発泡工程と、前記押出し機によって成形された連続成形体である前記発泡材料を冷却水槽で冷却する冷却工程と、冷却された前記発泡材料を切断して複数の濾材を得る前記切断工程とが連続して行われる請求項6記載の濾材の製造方法。
  8. 前記ポリオレフィン樹脂が低密度ポリエチレンであり、この低密度ポリエチレン100重量部中に前記複数の熱膨張性マイクロカプセル2〜6重量部を含んでいる請求項4、5、6又は7記載の濾材の製造方法。
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