JP2014200403A - 眼科装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】眼科装置において、検査の長時間化や画質の低下などの従来の問題を伴うことなくスキャン範囲の拡大を図る。【解決手段】実施形態の眼科装置は、光源からの光を光スキャナで偏向して被検眼に照射する照射光学系を有する。光スキャナは、第1のミラースキャナと、光学系とを含む。第1のミラースキャナは、光反射面の向きが可変とされている。光学系は、光源からの光を第1のミラースキャナに複数回反射させる。照射光学系は、第1のミラースキャナにより複数回反射された光を被検眼に照射する。【選択図】図3

Description

この発明は、光スキャナを有する眼科装置に関する。
光スキャナを有する眼科装置としては、走査型レーザ検眼鏡(SLO)、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置、レーザ治療装置などがある。SLOは、レーザ光で眼底をスキャンし、その戻り光を高感度な受光デバイスで検出することにより、眼底の正面画像を形成する装置である(たとえば特許文献1を参照)。OCT装置は、測定光で眼底や角膜をスキャンし、その戻り光と参照光との干渉光に基づいて断面像を形成する装置である(たとえば特許文献2を参照)。レーザ治療装置は、レーザ光の熱凝固作用を利用した治療に用いられる装置である(たとえば特許文献3を参照)。
特許第4774261号 特開2007−117714号公報 特開2012−213634号公報
このような眼科装置においては、スキャン範囲を拡大したいとの要望がある。たとえば、OCT装置やSLOにおいてスキャン範囲が拡大すれば、より広範囲の画像を得られるという利点がある。また、レーザ治療装置においてスキャン範囲が拡大すれば、より広範囲の治療を行えるというメリットがある。
従来の眼科装置では、被検眼の固視位置を変更するなどしてスキャン範囲を拡大していたが、固視位置の変更とスキャンとを反復する必要があるため、検査時間や治療時間が長くなるという問題があった。
反射部材の偏向角が大きい光スキャナを用いてスキャン範囲の拡大を図ることも考えられるが、このような光スキャナは高価格であり、また騒音や消費電力が増大するという問題が伴う。
スキャン範囲の拡大に加えて、ビームサイズ(ビーム径)の拡大やスキャンの高速化が要望される場合がある。たとえばSLOにおいて、ビームサイズの拡大は戻り光の光量を増加させ、それにより画質の向上を図ることができる。また、スキャンの高速化は、動画撮影におけるフレームレートの向上や、固視微動などの眼球運動による画質低下の抑制に寄与する。
しかし、これら条件は互いにトレードオフの関係にあるため、これら条件を複合的に満足することは従来技術では困難であった。たとえばSLOではスキャン速度が重要であり、光スキャナとして共振型光スキャナなどが用いられる。しかし、高速の光スキャナは一般に、スキャン範囲が狭いか、若しくはビームサイズに厳しい制限があるか、またはその双方である。そのため、従来は、撮像範囲よりもビームサイズを優先することで狭い範囲を高画質かつ高速で撮像するか、或いは、ビームサイズよりも撮像範囲を優先することで広範囲を低画質かつ高速で撮像するか、適宜選択をしていた。
高速化が可能な光スキャナとしてポリゴンスキャナがあるが、高速のポリゴンスキャナは高価であり、また大きなビームサイズの光を扱うことができないというデメリットがある。また、眼科装置においては、装置光学系の構成や被検眼の状態に応じて、光スキャナからの出射光の向きを調整する機構を設けることが必要となるが、寸法も重量も大きい高速のポリゴンスキャナを傾ける機構を設けることは実用的とは言い難い。
この発明の目的は、眼科装置において、このような問題を伴うことなくスキャン範囲の拡大を実現することにある。
請求項1に記載の発明は、光源からの光を光スキャナで偏向して被検眼に照射する照射光学系を有する眼科装置であって、前記光スキャナは、光反射面の向きが可変な第1のミラースキャナと、前記光源からの光を前記第1のミラースキャナに複数回反射させる光学系とを含み、前記照射光学系は、前記第1のミラースキャナにより複数回反射された光を被検眼に照射することを特徴とする眼科装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の眼科装置であって、前記光学系は、前記複数回の反射のうちの第n回目の反射における反射方向と、第n+1回目の反射における入射方向とが異なるように、前記光源からの光を前記第1のミラースキャナに複数回反射させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の眼科装置であって、前記光学系は、反射部材と、前記第1のミラースキャナにより反射された光を前記反射部材に導き、かつ、前記反射部材により反射された光を前記第1のミラースキャナに導く中間光学系とを含むことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記反射部材は、光反射面の向きが可変な第2のミラースキャナを含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の眼科装置であって、前記第2のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向と異なる方向に光を偏向させることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の眼科装置であって、前記第2のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向に対して実質的に直交する方向に光を偏向させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記第2のミラースキャナは、互いに直交する2方向にそれぞれ光を偏向させることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記第2のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含むことを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項3に記載の眼科装置であって、前記反射部材の光反射面の向きが固定されていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の眼科装置であって、前記光スキャナは、前記第1のミラースキャナにより複数回反射された後の光の経路に設けられ、光反射面の向きが可変な第3のミラースキャナを含み、前記第3のミラースキャナにより反射された光を出力することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の眼科装置であって、前記第3のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向と異なる方向に光を偏向させることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の眼科装置であって、前記第3のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向に対して実質的に直交する方向に光を偏向させることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項10〜請求項12のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記第3のミラースキャナは、互いに直交する2方向にそれぞれ光を偏向させることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項10〜請求項13のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記第3のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含むことを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項3〜請求項14のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記中間光学系は1つ以上のレンズを含むことを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項3〜請求項14のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記中間光学系は1つ以上の凹面鏡を含むことを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記第1のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含むことを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、請求項4〜請求項8のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記第1のミラースキャナおよび前記第2のミラースキャナをそれぞれ制御するスキャン制御部を有することを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、請求項10〜請求項14のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記第1のミラースキャナおよび前記第3のミラースキャナをそれぞれ制御するスキャン制御部を有することを特徴とする。
請求項20に記載の発明は、請求項18または請求項19に記載の眼科装置であって、被検眼の眼球運動の状態を監視する監視部を有し、前記スキャン制御部は、前記監視部によりリアルタイムで取得される眼球運動の状態に基づいて前記光スキャナを制御することを特徴とする。
請求項21に記載の発明は、請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記照射光学系は、前記光源からの光を前記光スキャナにより偏向して眼底に照射することで眼底を所定の軌跡に沿ってスキャンし、照射された光の眼底からの戻り光を受光する受光部と、前記スキャンの軌跡を示す情報と、前記受光部による前記戻り光の受光結果とに基づいて、眼底の正面画像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする。
請求項22に記載の発明は、請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記照射光学系は、前記光源からの光を測定光と参照光とに分割する分割部材を含み、測定光を前記光スキャナにより偏向して被検眼に照射することで被検眼を所定の軌跡に沿ってスキャンし、被検眼に照射された測定光の戻り光と参照光との干渉光を受光する受光部と、前記スキャンの軌跡を示す情報と、前記受光部による前記干渉光の受光結果とに基づいて、被検眼の断面像を形成する画像形成部とを有することを特徴とする。
請求項23に記載の発明は、請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載の眼科装置であって、前記光源は、照準光と治療用レーザ光とをそれぞれ出力し、前記照射光学系は、前記光源からそれぞれ出力された照準光および治療用レーザ光を、前記光スキャナにより偏向して眼底に照射することを特徴とする。
請求項24に記載の発明は、請求項23に記載の眼科装置であって、前記光スキャナを制御することにより、第1のパターンの前記照準光と、前記第1のパターンに基づき決定された第2のパターンの前記治療用レーザ光とを眼底に照射させる制御部を有することを特徴とする。
この発明に係る眼科装置によれば、従来技術の問題を伴うことなくスキャン範囲の拡大を図ることができる。
実施形態に係る眼科装置の構成の例を示す。 実施形態に係る眼科装置による光スキャンの例を示す。 実施形態に係る光スキャナの構成の例を示す。 実施形態に係る光スキャナの構成の例を示す。 実施形態に係る光スキャナの構成の例を示す。 実施形態に係る光スキャナの構成の例を示す。 実施形態に係る光スキャナの構成の例を示す。 実施形態に係る光スキャナの構成の例を示す。 実施形態に係る光スキャナの構成の例を示す。 変形例に係る眼科装置の構成の例を示す。 変形例に係る眼科装置の構成の例を示す。 変形例に係る眼科装置の構成の例を示す。 変形例に係る眼科装置の構成の例を示す。
実施形態に係る眼科装置は光スキャナを有する眼科装置であり、その例として、SLO、OCT装置、レーザ治療装置などがある。以下、SLOについて特に詳しく説明するが、光スキャナを有する任意の眼科装置に対してこの発明を適用することが可能である。
光スキャナは光を走査するデバイスである。光スキャナは、ミラースキャナを有する。ミラースキャナは、光を反射する面を(光反射面)を有し、この光反射面を偏向可能に構成されたデバイスである。実施形態において適用可能なミラースキャナとしては、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、圧電ミラースキャナなどがある。
共振型光スキャナは、ミラーを共振運動させる構成の光スキャナであり、レゾナントスキャナなどとも呼ばれる。ガルバノスキャナは、往復揺動が可能なミラーを1つ以上備えた構成の光スキャナである。ポリゴンスキャナは、鏡面加工された多面鏡をモータで高速回転させる構成の光スキャナである。MEMS光マイクロミラースキャナは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いてマイクロミラーを偏向可能に構成した光スキャナである。圧電ミラースキャナは、圧電素子をアクチュエータとしてミラーを偏向するように構成した光スキャナである。
なお、実施形態において適用可能な光スキャナはこれらには限定されない。また、複数のミラースキャナを具備する実施形態において、同種のミラースキャナを用いてもよいし、異種のミラースキャナを用いてもよい。
〈構成〉
実施形態に係るSLOの構成例を図1に示す。SLO1は、被検眼Eの眼底Efをレーザ光で走査し、その戻り光を高感度な受光デバイスで検出することにより、眼底Efの正面画像を形成する。SLO1は、光学系と、処理系とを有する。光学系は、眼底Efの光学的な計測を行う。光学系は、各種の光学素子や光学デバイスを含んで構成される。処理系は、光学系により取得されたデータの処理や、装置各部の制御などを行う。処理系は、演算装置、制御装置、記憶装置(RAM、ROM、ハードディスクドライブなど)、ユーザインターフェイス、通信インターフェイスなどを含んで構成される。
(光学系)
光源部10には、光源11と、コリメートレンズ12と、光学素子13とが設けられている。光源11としては、空間的コヒーレンシの高い光L0を出力する光源が用いられる。そのような光源として、半導体レーザ光源(波長掃引レーザ、スーパルミネッセンとダイオードなど)、固体レーザ、ガスレーザなどがある。また、このような光源から出力された光を光ファイバに結合させたものや、ファイバレーザなどを、光源11として用いることも可能である。コリメートレンズ12は、光源11から出力された光L0を平行光束にする。
光学素子13の適用は任意であり、その種類も任意である。一例として、開口(絞り)などの光束制限素子、波長板・偏光子などの偏光制御素子、波長選択フィルタなどの波長制限素子がある。また、光学素子13は、同種または異種の光学素子を組み合わせた複合素子であってよい。また、複数の光学素子13を選択的に適用可能な構成としてもよい。
コリメートレンズ12により平行光束とされた光L0は、(光学素子13を経由して)ビームスプリッタ30に導かれる。光L0のうちビームスプリッタ30を透過した成分(同じく光L0と呼ぶ)は、光スキャナ40に導かれる。実施形態の光スキャナ40は、2軸光スキャナであるとする。つまり、光スキャナ40は、異なる2方向に光L0を偏向可能な構成を有する。光スキャナ40の内部構成については後述する。
光スキャナ40から出力される光Lは、2次元的に偏向されたコリメート光である。コリメート光Lは、リレーレンズ50により集束光とされ、眼底Efと共役な面(眼底共役面)Pcにおいて空中結像される。さらに、光Lは、合焦レンズとしての対物レンズ60を透過し、被検眼Eに入射する。被検眼Eに入射した光Lは、虹彩Eiの中央の瞳孔を通過し、水晶体Ecを透過し、眼底Efにスポット光として結像される。
対物レンズ60と鏡筒部61は、その軸方向(つまり光軸方向)に移動可能に設けられている。対物レンズ60と鏡筒部61は、被検眼Eの屈折力に応じて光軸方向に移動される。それにより、眼底共役面Pcが眼底Efと共役な位置に配置される。その結果、光Lは、鮮明なスポット光を眼底Ef上に形成する。
眼底Efに照射された光Lの戻り光を符号RLで示す。戻り光RLは、光Lのスポットの形成位置(およびその近傍)からSLO1に戻ってくる光である。戻り光RLには、眼底Efによる光Lの散乱光(反射光や後方散乱光)、並びに、光Lを励起光とする蛍光およびその散乱光などが含まれる。
戻り光RLは、水晶体Ecを通過し、瞳孔を通過し、被検眼Eから出射する。被検眼Eから出射した戻り光RLは、対物レンズ60を透過し、眼底共役面Pcにおいて空中結像され、リレーレンズ50により平行光束に変換され、光スキャナ40を経由し、ビームスプリッタ30に導かれる。戻り光RLのうちビームスプリッタ30に反射された成分(同じく戻り光RLと呼ぶ)は、受光部70に導かれる。
受光部70は、光学素子71と、集光レンズ72と、光束制限素子73と、受光素子74とを含む。なお、光学素子71および光束制限素子73の適用は任意である。
光学素子71としては、光学素子13と同様に、開口(絞り)などの光束制限素子、波長板・偏光子などの偏光制御素子、波長選択フィルタなどの波長制限素子、同種または異種の光学素子を組み合わせた複合素子が用いられる。また、複数の光学素子71を選択的に適用可能な構成としてもよい。
光学素子71を透過した戻り光RLは、集光レンズ72により集束光とされ、光束制限素子73に導かれる。光束制限素子73には、光を遮断する遮光領域と、光を通過させる開口(透光領域)とが設けられている。開口を通過した戻り光RL(の一部)は、受光素子74により検出される。受光素子74は、検出された戻り光RLを光電変換し、電気信号(受光信号)を出力する。受光素子74は、たとえばアバランシェフォトダイオードである。
以上のプロセスは、眼底Efの一点の計測に相当する。すなわち、以上のプロセスは、図2に示す単一のスポット光の照射領域SLの計測に相当する。光スキャナ40による2次元的走査によって、スポット光の照射領域SLが移動される。図2の符号STi(i=1〜N)は、照射領域SLの移動パターンの例を示す。本例では、同方向を向く互いに平行な複数の直線状の軌跡に沿って、スポット光の照射領域SLが移動される。なお、照射領域SLの移動パターンはこれに限定されるものではない。他の移動パターンの例として、交互に逆方向を向き且つ互いに平行な複数の直線状の軌跡や、非平行な複数の直線状の軌跡や、曲線状の軌跡などがある。受光素子74は、各照射領域SLからの戻り光RLを検出して受光信号を出力する。それにより、眼底Efの複数の位置における計測が順次に実行される。
なお、図2において、符号Ef1は視神経乳頭を示し、符号Ef2は黄斑部を示し、符号Ef3は血管を示す。
上記構成では、簡単のために、光源部10により出力される光L0を一種類に限定しているが、光源部10は複数種類の光を出力可能に構成されていてよい。たとえば、出力波長が異なる複数の光源と、各光源に対応するコリメートレンズとを設け、これら光路を合流させる光学部材(ダイクロイックミラー等)を設けた構成を適用することが可能である。また、受光部70についても、ビームスプリッタ30からの光路を複数に分割する光学部材(ダイクロイックミラー等)を設け、これら光路のそれぞれに集光レンズおよび受光素子を配置した構成を適用することが可能である。
(処理系)
処理系は、制御部100と、電源部110と、光源制御部120と、画像形成部130と、データ処理部140と、ユーザインターフェイス(UI)150とを含む。
(制御部100)
処理系は、制御部100を中心として構成される。制御部100は、装置各部の制御を行う。制御部100は、マイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、SLO1を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納される。このコンピュータプログラムには、光源制御用プログラム、光スキャナ制御用プログラム、電源制御用プログラム、統括制御用プログラムなどが含まれる。このようなコンピュータプログラムにしたがってマイクロプロセッサが動作することにより、制御部100は制御処理を実行する。
光学系に対する制御として、光源制御部120を介した光源11の制御、複数の光学素子13(71)が設けられている場合における光学素子13(71)の選択、光スキャナ40の制御、対物レンズ60および鏡筒部61の移動、光束制限素子73の開口サイズの変更、受光素子74の動作制御などがある。処理系に対する制御として、各部の動作制御がある。
眼底Efの光学的計測が行われているときに、または光学的計測が終了した後に、制御部100は、画素位置信号を生成し、画像形成部130に送る。画素位置信号は、光スキャナ制御用プログラムに基づく複数のスポット光の照射領域SLの配置(つまり、光スキャナ40による光の偏向パターン、ないし光スキャナ40のミラースキャナの光反射面の向きの変更の流れ)に対応する複数の画素の配置を示す。
(電源部110)
電源部110は、商用電源や自家発電設備、バッテリなどから入力される電力に基づいて、SLO1の各部に電力を供給する。制御部100は、電源部110を制御することにより、電力供給モードの切り替えを行う。電力供給モードとしては、通常モード、省電力モード、休止モードなどがある。
(光源制御部120)
光源制御部120は、制御部100による制御の下に光源11を制御する。光源11の制御は、たとえば電源部110から供給される電力を制御することにより行われる。また、複数の光源が設けられている場合、光源制御部120は、制御部100による制御の下に、複数の光源に対して選択的に電力を供給する。それにより、複数の光源が選択的に使用される。光源制御部120は、たとえばマイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。また、光源制御部120は、専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
(画像形成部130)
画像形成部130は、受光素子74から入力される受光信号と、制御部100から入力される画素位置信号とに基づいて、画像データを形成する。この画像データは、眼底Efの正面画像に相当する。
画像形成部130は、たとえばマイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、画像形成用プログラムがあらかじめ格納される。マイクロプロセッサが画像形成用プログラムにしたがって動作することによって画像形成処理の少なくとも一部が実行される。また、光源制御部120は、専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
画像形成部130は、A/D変換部131と、眼底像形成部132と、メモリ部133とを含む。A/D変換部131は、受光素子74から入力される受光信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。
眼底像形成部132は、A/D変換部131から入力されるデジタル信号と、制御部100から入力される画素位置信号とに基づいて、眼底Efの正面画像の画像データを形成する。この画像データ形成処理は、スポット光の各照射位置SLに対応するデジタル信号に基づく情報(輝度などの画素値)と、その照射位置SLに対応する画素位置とを関連付ける処理を含む。
メモリ部133は、画像形成部130の内部メモリとして機能し、眼底像形成部132により形成された画像データを一時的に記憶する。なお、メモリ部133の適用は任意である。画像形成部130により形成された画像データは、制御部100に送られる。
(データ処理部140)
データ処理部140は、各種のデータ処理を実行する。データ処理の例として、画像形成部130または他の装置により形成された画像データに対する処理がある。この処理の例として、各種の画像処理や、画像データに基づく画像評価などの診断支援処理がある。
データ処理部140は、SLO1の一部であってもよいし、外部装置であってもよい。前者の場合、データ処理部140は、たとえばマイクロプロセッサおよび記憶装置を含んで構成される。記憶装置には、1つ以上のデータ処理用プログラムがあらかじめ格納される。マイクロプロセッサがデータ処理用プログラムにしたがって動作することによってデータ処理が実行される。また、データ処理部140は、専用のハードウェアを含んで構成されてもよい。
後者の場合、データ処理部140は、コンピュータを含んで構成される。このコンピュータの例として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)、サーバなどがある。制御部100は、このコンピュータと通信するためのインターフェイスを有する。コンピュータが表示機能を有する場合、外部装置としてのデータ処理部140は、制御部100から送信された情報に基づく表示処理を実行する。この表示処理の対象の例として、画像データに基づく画像、撮影日時情報、撮影条件(スキャン条件、光源11の種別、撮影光量など)がある。また、コンピュータがデータベース機能を有する場合、データ処理部140は、制御部100から送信された情報の保管処理を実行する。データ処理部140による処理結果をSLO1(制御部100)や他の装置に送信することができる。
なお、前者の場合においても後者の場合においても、データ処理部140の機能は上記に限定されるものではない。
(ユーザインターフェイス150)
ユーザインターフェイス150は、表示機能と、操作・入力機能とを有する。表示機能は、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示デバイスにより実現される。表示デバイスは、制御部100による制御の下に情報を表示する。
操作・入力機能は、操作デバイスや入力デバイスにより実現される。これらの例として、ボタン、レバー、ノブ、マウス、キーボード、トラックボールなどがある。また、制御部100が表示デバイスにグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を表示させる構成としてもよい。この表示デバイスはタッチスクリーンであってよい。
〈光スキャナ40の構成例〉
この実施形態の特徴の一つは光スキャナ40の構成にある。光スキャナ40は、光反射面の向きが可変なミラースキャナと、光源11からの光L0をこのミラースキャナに複数回反射させる光学系とを含む。このような光スキャナ40の構成例を以下に説明する。
(第1の構成例)
光スキャナ40の第1の構成例を図3に示す。光スキャナ40は、第1のスキャン部210と、リレーレンズ220と、第2のスキャン部230とを有する。第1のスキャン部210は、第1の方向に光L0を偏向する。リレーレンズ220は、第1のスキャン部210から出射された光L3を、第2のスキャン部230の光反射面に導く。第2のスキャン部230は、第1のスキャン部210とは異なる方向に光L3を偏向する。なお、リレーレンズ220の代わりに凹面鏡(たとえば対物面鏡)などを用いることも可能である。
本例では、第1のスキャン部210は符号R1で示す範囲における光Lのスキャンに寄与し、第2のスキャン部230は符号R2で示す範囲における光Lのスキャンに寄与する。なお、本例では、スキャン範囲R1およびR2が示す方向は互いに直交しているが、これら2つの範囲が示す方向は同一でなければよい。
第1のスキャン部210は、ミラースキャナ211と、レンズ212と、平面鏡213とを含む。レンズ212は、少なくとも1つのレンズを含んで構成される。
ミラースキャナ211は、矢印211aに示す方向に所定角度の範囲で揺動可能に構成されている。それにより、その光反射面の向きが変更される。光スキャナ40に入射した光L0は、ミラースキャナ211の光反射面に所定方向から入射し、その入射時における光反射面の向きに応じた方向に反射される。この反射光を符号L1で示す。
ミラースキャナ211による反射光L1はレンズ212に導かれる。反射光L1の進行方向の範囲は、ミラースキャナ211の揺動範囲によって規定される。レンズ212のサイズおよび配置は、ミラースキャナ211がその揺動範囲のいずれの方向を向いていても反射光L1がレンズ212に入射されるように設定されている。
レンズ212により屈折された反射光L1は、平面鏡213に入射する。平面鏡213により反射された光(反射光L2と呼ぶ)は、レンズ212により再び屈折された後に、ミラースキャナ211に再び入射して反射される。この反射光を符号L3で示す。反射光L3は、リレーレンズ220に向けて進行する。
所定範囲において揺動するミラースキャナ211による第1回目の反射における反射光L1の進行方向の変更範囲を符号θで示し、第2回目の反射における反射光L3の進行方向の変更範囲を符号θで示す。そうすると、図3に示す光L0、L1、L2およびL3の進行方向から分かるように、反射光L3の進行方向の変更範囲θは、反射光L1の進行方向の変更範囲θの2倍となる:θ=2×θ。すなわち、ミラースキャナ211の揺動範囲が固定されていても、光スキャナ40に入射した光L0を2回反射させることにより、1回しか反射させない場合と比較して、光スキャナ40から出力される光Lのスキャン範囲を拡大することができる。なお、ミラースキャナ211の揺動範囲はθである。
本例では、1軸のミラースキャナ211の揺動中心と、レンズ212の中心位置と、平面鏡213の中心位置とが一直線上に配列されている。さらに、ミラースキャナ211の揺動中心に光L0が入射し、レンズ212の中心位置に対して一方の側(図3では上側)を反射光L1が通過し、他方の側(図3では下側)を反射光L2が通過するようになっている。しかし、ミラースキャナ211、レンズ212および平面鏡213の配置関係はこれには限定されず、ミラースキャナ211による反射を2回(以上)行わせることでスキャン範囲を拡大する(たとえばθ>θ)ことが可能であれば、その配置関係は任意である。
第1のスキャン部210から出射された反射光L3は、リレーレンズ220に向けて進行する。リレーレンズ220のサイズおよび配置は、反射光L3がそのスキャン範囲のいずれの方向に進行していても反射光L3がリレーレンズ220に入射されるように設定されている。また、リレーレンズ220は、少なくとも1つのレンズを含んで構成される。
リレーレンズ220により屈折された反射光L3は、第2のスキャン部230の光反射面に入射し、この光反射面の向きに応じた方向に反射される。この反射光が、光スキャナ40から出射される光Lとなる。第2のスキャン部230は、ミラースキャナを含んで構成される。前述したように、第2のスキャン部230は、第1のスキャン部210による光の偏向方向に対して実質的に直交する方向に光を偏向させる。符号230aは、第2のスキャン部230に含まれるミラースキャナの揺動方向を示している。
このような構成により、光スキャナ40から出射される光Lの進行方向を2次元的に変更することが可能となる。図3に示す例では、符号Rで示す範囲において、光Lの進行方向を変更することが可能である。
眼底Efにおけるスポット光の照射領域SLの移動パターンと、第1のスキャン部210および第2のスキャン部230による光偏向方向との対応関係は任意である。たとえば、図2に示す直線状の軌跡STiが延びる方向のスキャンを第1のスキャン部210により実行し、これに直交する方向へのスキャンを第2のスキャン部230により実行することができる。
上記の説明において平面鏡213は固定配置されているが、その光反射面の向きを変更可能に構成することも可能である。つまり、第1の構成例において、ミラースキャナを平面鏡213として用いることが可能である。その場合、平面鏡213によるスキャン方向は任意である。たとえば、少なくともミラースキャナ211と同じスキャン方向を平面鏡213が実現する場合、光Lのスキャン範囲R1のさらなる拡大を図ることができる。また、少なくとも第2のスキャン部230と同じスキャン方向を平面鏡213が実現する場合、光Lのスキャン範囲R2の拡大を図ることができる。
この構成例で説明した事項のうち他の構成例に適用可能なものについては、他の構成例において任意に適用することが可能である。
(第2の構成例)
光スキャナ40の第2の構成例を図4に示す。光スキャナ40は、スキャン部310を有する。スキャン部310は、第1の構成例の第1のスキャン部210における平面鏡213をミラースキャナ313に置き換えたものである。
スキャン部310は、ミラースキャナ311と、レンズ312と、ミラースキャナ313とを含む。本例では、ミラースキャナ311によるスキャン方向と、ミラースキャナ313によるスキャン方向とが、互いに直交しているものとする。ただし、これら2つのスキャン方向は必ずしも直交している必要はなく、互いに異なる方向であればよい。また、レンズ312は、少なくとも1つのレンズを含んで構成される。
ミラースキャナ311は、矢印311aに示す方向に所定角度の範囲で揺動可能に構成されている。光スキャナ40に入射した光L0は、ミラースキャナ311の光反射面に所定方向から入射し、その入射時における光反射面の向きに応じた方向に反射される。この反射光を符号L1で示す。
ミラースキャナ311による反射光L1はレンズ312に導かれる。反射光L1の進行方向の範囲は、ミラースキャナ311の揺動範囲によって規定される。ミラースキャナ311の揺動範囲をθとすると、反射光L1の進行方向の変更範囲もθとなる。
レンズ312により屈折された反射光L1は、ミラースキャナ313に入射し、光反射面の向きに応じた方向に反射される。ミラースキャナ313は、矢印313aに示す方向に所定角度の範囲で揺動可能に構成されている。ミラースキャナ313の揺動方向313aは、光の進行方向に対して、ミラースキャナ311の揺動方向311aと実質的に直交している。ミラースキャナ313により反射された光(反射光L2と呼ぶ)は、レンズ312により再び屈折された後に、ミラースキャナ311に再び入射して反射される。この反射光が、光スキャナ40から出射される光Lとなる。
図4に示す光L0、L1、L2およびLの進行方向から分かるように、光Lの進行方向の変更範囲θは、反射光L1の進行方向の変更範囲θの2倍となる:θ=2×θ。すなわち、ミラースキャナ311の揺動範囲が固定されていても、光スキャナ40に入射した光L0を2回反射させることにより、1回しか反射させない場合と比較して、光スキャナ40から出力される光Lのスキャン範囲を拡大することができる。
本例では、1軸のミラースキャナ311の揺動中心と、レンズ312の中心位置と、1軸のミラースキャナ313の揺動中心とが一直線上に配列されている。さらに、ミラースキャナ311の揺動中心に光L0が入射し、レンズ312の中心位置に対して一方の側(図4では上側)を反射光L1が通過し、他方の側(図4では下側)を反射光L2が通過するようになっている。しかし、ミラースキャナ311、レンズ312およびミラースキャナ313の配置関係はこれには限定されない。
このような構成により、光スキャナ40から出射される光Lの進行方向を2次元的に変更することが可能となる。図4に示す例では、符号Rで示す範囲において、光Lの進行方向を変更することが可能である。2次元の範囲Rにおいて、一の方向におけるスキャンはミラースキャナ311により実現され、当該一の方向に直交する方向におけるスキャンはミラースキャナ313により実現される。
眼底Efにおけるスポット光の照射領域SLの移動パターンと、2つのミラースキャナ311および313による光偏向方向との対応関係は任意である。たとえば、図2に示す直線状の軌跡STiが延びる方向のスキャンをミラースキャナ311により実行し、これに直交する方向へのスキャンをミラースキャナ313により実行することができる。
この構成例で説明した事項のうち他の構成例に適用可能なものについては、他の構成例において任意に適用することが可能である。
(第3の構成例)
光スキャナ40の第3の構成例を図5に示す。光スキャナ40は、ミラースキャナ411と、レンズ412と、2軸ミラースキャナ413とを含む。2軸ミラースキャナ413は、異なる2方向に光を偏向可能な構成を有する。
本例では、ミラースキャナ411によるスキャン方向と、2軸ミラースキャナ413による2つのスキャン方向の1つとが一致し、かつ、2軸ミラースキャナ413の2つのスキャン方向が互いに直交しているものとする。ただし、ミラースキャナ411のスキャン方向と、2軸ミラースキャナ413のスキャン方向との関係はこれには限定されない。また、2軸ミラースキャナ413の2つのスキャン方向は必ずしも直交している必要はなく、互いに異なる方向であればよい。また、レンズ412は、少なくとも1つのレンズを含んで構成される。
ミラースキャナ411は、矢印411aに示す方向に所定角度の範囲で揺動可能に構成されている。光スキャナ40に入射した光L0は、ミラースキャナ411の光反射面に所定方向から入射し、その入射時における光反射面の向きに応じた方向に反射される。この反射光を符号L1で示す。
ミラースキャナ411による反射光L1はレンズ412に導かれる。反射光L1の進行方向の範囲は、ミラースキャナ411の揺動範囲によって規定される。ミラースキャナ411の揺動範囲をθとすると、反射光L1の進行方向の変更範囲もθとなる。
レンズ412により屈折された反射光L1は、2軸ミラースキャナ413に入射し、光反射面の向きに応じた方向に反射される。2軸ミラースキャナ413の光反射面は、矢印413aおよび413bに示す互いに直交する方向に、それぞれ所定角度の範囲で偏向可能とされている。偏向方向413aは、光の進行方向に対して、ミラースキャナ411の揺動方向411aと実質的に同じである。2軸ミラースキャナ413により反射された光(反射光L2と呼ぶ)は、レンズ412により再び屈折された後に、ミラースキャナ411に再び入射して反射される。この反射光が、光スキャナ40から出射される光Lとなる。
図5に示す光L0、L1、L2およびLの進行方向から分かるように、光Lの進行方向の変更範囲θは、反射光L1の進行方向の変更範囲θの2倍となる:θ=2×θ。すなわち、ミラースキャナ411の揺動範囲が固定されていても、光スキャナ40に入射した光L0を2回反射させることにより、1回しか反射させない場合と比較して、光スキャナ40から出力される光Lのスキャン範囲を拡大することができる。
本例では、1軸のミラースキャナ411の揺動中心と、レンズ412の中心位置と、2軸ミラースキャナ413の偏向中心とが一直線上に配列されている。さらに、ミラースキャナ411の揺動中心に光L0が入射し、レンズ412の中心位置に対して一方の側(図5では下側)を反射光L1が通過し、他方の側(図5では上側)を反射光L2が通過するようになっている。しかし、ミラースキャナ411、レンズ412および2軸ミラースキャナ413の配置関係はこれには限定されない。
このような構成により、光スキャナ40から出射される光Lの進行方向を2次元的に且つ広範囲に変更することが可能となる。なお、図5に示す例では、2次元のスキャン範囲において、一の方向におけるスキャンはミラースキャナ411および2軸ミラースキャナ413により実現され、当該一の方向に直交する方向におけるスキャンは2軸ミラースキャナ413により実現される。
眼底Efにおけるスポット光の照射領域SLの移動パターンと、2つのミラースキャナ411および413による光偏向方向との対応関係は任意である。たとえば、図2に示す直線状の軌跡STiが延びる方向のスキャンをミラースキャナ411および2軸ミラースキャナ413により実行し、これに直交する方向へのスキャンを2軸ミラースキャナ413により実行することができる。
また、本例では、2軸ミラースキャナ413を用いることにより、光スキャナ40から出力される光Lの進行方向を能動的に調整することが可能である。光Lの進行方向の能動的な調整(active adjustment)とは、測定環境や測定条件の変化に応じて、光Lの進行方向を調整することである。測定環境や測定条件の変化の例として、固視微動等の眼球運動、縮瞳、瞬きのような、被検眼Eの状態の変化がある。
SLO1は、たとえば、被検眼Eの眼球運動の状態を監視する監視部を有する。監視部は、たとえば、制御部100と、データ処理部140と、観察光学系とを含む。なお、後述の画像解析処理を制御部100に実行させる場合、監視部はデータ処理部140を含まなくてよい。
観察光学系は、被検眼Eの動画撮影を行うことにより観察画像を取得する。観察光学系は、眼底Efまたは前眼部の動画撮影を行う。眼底Efの動画撮影を行う場合、SLO1の光学系が観察光学系として用いられる。前眼部の動画撮影を行う場合、そのための光学系が別途設けられる。この光学系の光路は、図1に示すSLO1の光学系の光路にビームスプリッタによって合成される。或いは、この光学系は、SLO1の筐体の被検眼E側の位置に設けられる。前者の場合にはSLO1の光学系と観察光学系とが同軸構成となり、後者の場合にはSLO1の光学系と観察光学系とは非同軸構成となる。
観察光学系によりリアルタイムで取得される観察画像の画像データは、制御部100に入力される。制御部100は、観察画像の画像データをリアルタイムでデータ処理部140に送る。
データ処理部140は、制御部100から逐次に入力される画像データを解析することにより、被検眼Eの眼球運動の状態およびその変化を検出する。この処理は、たとえば、逐次に入力される画像データの画素値(輝度値など)に基づいて眼底Efの所定の特徴点の位置を検出する処理と、この特徴点の検出位置の変化を監視する処理とを含む。眼底Efの特徴点としては、視神経乳頭の中心・輪郭の位置、黄斑の中心・輪郭の位置、血管の分岐点の位置、主要な血管の位置、病変部の位置、治療痕の位置などがある。データ処理部140は、上記画像解析処理の結果をリアルタイムで制御部100に送る。
制御部100は、データ処理部140から逐次に入力される解析結果に基づいて光スキャナ40の2軸ミラースキャナ413を制御する。具体例として、解析結果が眼球運動の変位方向および変位量を示す場合、制御部100は、当該変位方向に当該変位量だけ光Lの進行方向を変更させるように2軸ミラースキャナ413を制御する。それにより、図2に示すように眼底Efの光スキャンを行なっている最中に眼球運動が発生した場合において、眼底Efに対するスポット光SPの形成位置を眼球運動に応じてリアルタイムで追従させることが可能となる。縮瞳や瞬きを考慮する場合についても、これらを検知するための公知の技術を用いて同様の制御を行うことが可能である。
この構成例で説明した事項のうち他の構成例に適用可能なものについては、他の構成例において任意に適用することが可能である。
(第4の構成例)
光スキャナ40の第4の構成例を図6に示す。本例は、光スキャナ40に対する入射光L0の入射方向と、光スキャナ40から出力される光Lの出射方向とが、第3の構成例と異なるように構成された場合を示す。本例の光スキャナ40は、第3の構成例と同様に、ミラースキャナ511と、レンズ512と、2軸ミラースキャナ513とを含む。2軸ミラースキャナ513の光反射面は、矢印513aおよび513bに示す互いに直交する方向に、それぞれ所定角度の範囲で偏向可能に構成されている。本例によれば、第3の構成例と同様の作用および効果が得られる。
(第5の構成例)
光スキャナ40の第5の構成例を図7に示す。本例では、2つのミラースキャナの間に配置される光学系として凹面鏡が用いられている。すなわち、第1、第2、第3および第4の構成例におけるレンズ212、312、412および512の代わりに、凹面鏡が用いられている。
光スキャナ40は、ミラースキャナ611と、凹面鏡612と、2軸ミラースキャナ613とを含む。本例では、ミラースキャナ611によるスキャン方向と、2軸ミラースキャナ613による2つのスキャン方向の1つとが一致し、かつ、2軸ミラースキャナ613の2つのスキャン方向が互いに直交しているものとする。また、ミラースキャナ611と2軸ミラースキャナ613との間に、複数の凹面鏡が設けられてもよい。また、ミラースキャナ611と2軸ミラースキャナ613との間に、1つ以上の凹面鏡と、1つ以上のレンズとが設けられてもよい。
ミラースキャナ611は、矢印611aに示す方向に所定角度の範囲で揺動可能に構成されている。光スキャナ40に入射した光L0は、ミラースキャナ611の光反射面に所定方向から入射し、その入射時における光反射面の向きに応じた方向に反射される。この反射光を符号L1で示す。
ミラースキャナ611による反射光L1は凹面鏡612に導かれる。反射光L1の進行方向の範囲は、ミラースキャナ611の揺動範囲によって規定される。ミラースキャナ611の揺動範囲をθとすると、反射光L1の進行方向の変更範囲もθとなる。
反射光L1は、凹面鏡612により反射されて2軸ミラースキャナ613に入射し、その光反射面の向きに応じた方向に反射される。2軸ミラースキャナ613の光反射面は、矢印613aおよび613bに示す互いに直交する方向に、それぞれ所定角度の範囲で偏向可能とされている。偏向方向613aは、光の進行方向に対して、ミラースキャナ611の揺動方向411aと実質的に同じである。2軸ミラースキャナ613により反射された光(反射光L2と呼ぶ)は、凹面鏡612により再び反射された後に、ミラースキャナ611に再び入射して反射される。この反射光が、光スキャナ40から出射される光Lとなる。
図7に示す光L0、L1、L2およびLの進行方向から分かるように、光Lの進行方向の変更範囲θは、反射光L1の進行方向の変更範囲θの2倍となる:θ=2×θ。すなわち、ミラースキャナ611の揺動範囲が固定されていても、光スキャナ40に入射した光L0を2回反射させることにより、1回しか反射させない場合と比較して、光スキャナ40から出力される光Lのスキャン範囲を拡大することができる。
本例では、1軸のミラースキャナ611の揺動中心と、凹面鏡612の中心位置と、2軸ミラースキャナ613の偏向中心とが一直線上に配列されている。さらに、ミラースキャナ611の揺動中心に光L0が入射し、凹面鏡612の中心位置に対して一方の側(図7では下側)に反射光L1が入射し、他方の側(図7では上側)に反射光L2が入射するようになっている。しかし、ミラースキャナ611、凹面鏡612および2軸ミラースキャナ613の配置関係はこれには限定されない。
このような構成により、光スキャナ40から出射される光Lの進行方向を2次元的に且つ広範囲に変更することが可能となる。なお、図7に示す例では、2次元のスキャン範囲において、一の方向におけるスキャンはミラースキャナ611および2軸ミラースキャナ613により実現され、当該一の方向に直交する方向におけるスキャンは2軸ミラースキャナ613により実現される。
眼底Efにおけるスポット光の照射領域SLの移動パターンと、2つのミラースキャナ611および613による光偏向方向との対応関係は任意である。たとえば、図2に示す直線状の軌跡STiが延びる方向のスキャンをミラースキャナ611および2軸ミラースキャナ613により実行し、これに直交する方向へのスキャンを2軸ミラースキャナ613により実行することができる。
また、本例では、2軸ミラースキャナ613が用いられているので、第3の構成例で説明した、光スキャナ40から出力される光Lの進行方向の能動的な調整を行うことが可能である。
この構成例で説明した事項のうち他の構成例に適用可能なものについては、他の構成例において任意に適用することが可能である。
(第6の構成例)
光スキャナ40の第6の構成例を図8Aおよび図8Bに示す。本例では、光L0の入射方向と光Lの出射方向とが図8Aの紙面の奥行方向にずれている構成の光スキャナ40について説明する。
光スキャナ40は、ミラースキャナ711と、レンズ712と、2軸ミラースキャナ713とを含む。レンズ712は、少なくとも1つのレンズを含んで構成される。
ミラースキャナ711は、矢印711aに示す方向に所定角度の範囲で揺動可能に構成されている。光L0は、ミラースキャナ711、レンズ712および2軸ミラースキャナ713の配列方向に対して斜交する方向からミラースキャナ711に入射し、その入射時における光反射面の向きに応じた方向に反射される。この反射光を符号L1で示す。ミラースキャナ711は、図8Aの視点においては光を偏向し、且つ、図8Bに示す視点においては光を直進させるような3次元的な方向に、光L0を反射する。
ミラースキャナ711による反射光L1はレンズ712に導かれる。反射光L1の進行方向の範囲は、ミラースキャナ711の揺動範囲によって規定される。ミラースキャナ711の揺動範囲をθとすると、反射光L1の進行方向の変更範囲もθとなる。
反射光L1は、レンズ712により屈折されて2軸ミラースキャナ713に入射し、その光反射面の向きに応じた方向に反射される。2軸ミラースキャナ713の光反射面は、矢印713aおよび713bに示す互いに直交する方向に、それぞれ所定角度の範囲で偏向可能とされている。偏向方向713aは、光の進行方向に対して、ミラースキャナ711の揺動方向711aと実質的に同じである。2軸ミラースキャナ713により反射された光(反射光L2と呼ぶ)は、レンズ712により再び屈折された後に、ミラースキャナ711に再び入射して反射される。この反射光が、光スキャナ40から出射される光Lとなる。
図8Aおよび図8Bに示す光L0、L1、L2およびLの進行方向から分かるように、光Lの進行方向の変更範囲θは、反射光L1の進行方向の変更範囲θの2倍となる:θ=2×θ。すなわち、ミラースキャナ711の揺動範囲が固定されていても、光スキャナ40に入射した光L0を2回反射させることにより、1回しか反射させない場合と比較して、光スキャナ40から出力される光Lのスキャン範囲を拡大することができる。
本例では、1軸のミラースキャナ711の揺動中心と、レンズ712の中心位置と、2軸ミラースキャナ713の揺動中心とが一直線上に配列されている。さらに、ミラースキャナ711の揺動中心に対して一方の側(図8Bでは左側)から入射した光L0が他方の側(図8Bでは右側)に反射し、この反射光L1がレンズ712により上記一方の側に向けて屈折し、2軸ミラースキャナ713の偏向中心に対して反射光L1が上記他方の側から入射して上記一方の側に反射し、この反射光L2がレンズ712により上記他方の側に向けて屈折し、ミラースキャナ711の揺動中心に対して反射光L2が上記一方の側から上記他方の側に反射することで、光スキャナ40から出力される光Lが得られるようになっている。しかし、ミラースキャナ711、レンズ712および2軸ミラースキャナ713の配置関係はこれには限定されない。
このような構成により、光スキャナ40から出射される光Lの進行方向を2次元的に且つ広範囲に変更することが可能となる。なお、図8Aおよび図8Bに示す例では、2次元のスキャン範囲において、一の方向におけるスキャンはミラースキャナ711および2軸ミラースキャナ713により実現され、当該一の方向に直交する方向におけるスキャンは2軸ミラースキャナ713により実現される。
また、本例では、2軸ミラースキャナ713が用いられているので、第3の構成例で説明した、光スキャナ40から出力される光Lの進行方向の能動的な調整を行うことが可能である。
この構成例で説明した事項のうち他の構成例に適用可能なものについては、他の構成例において任意に適用することが可能である。
〈作用・効果〉
実施形態に係る眼科装置(SLO1)の作用および効果について説明する。
実施形態に係る眼科装置(SLO1)は、光源(11)からの光を光スキャナ(40)で偏向して被検眼(E)に照射する照射光学系(光源部10、ビームスプリッタ30、光スキャナ40、リレーレンズ50および対物レンズ60)を有する。光スキャナ(40)は、第1のミラースキャナ(ミラースキャナ211、311、411、511、611および711)と、光学系(レンズ212および平面鏡213、レンズ312およびミラースキャナ313、レンズ412および2軸ミラースキャナ413、レンズ512および2軸ミラースキャナ513、凹面鏡612および2軸ミラースキャナ613、並びに、レンズ712および2軸ミラースキャナ713)とを有する。第1のミラースキャナは、光反射面の向きが可変とされている。光学系は、光源からの光(L0)を第1のミラースキャナに複数回反射させるように構成されている。照射光学系は、第1のミラースキャナにより複数回反射された光(L)を被検眼Eに照射する。
このような眼科装置によれば、光源からの光を第1のミラースキャナに複数回反射させる構成を光スキャナの作用により、スキャン範囲を拡大することが可能である。さらに、従来のように被検眼の固視位置を変更することなくスキャン範囲の拡大を実現することができるので、検査時間や治療時間の短縮を図ることができる。また、第1のミラースキャナとして偏向角が大きいものを用いることなくスキャン範囲を拡大することができるので、コストや騒音、消費電力の低減を図ることができる。また、スキャン範囲の拡大に加えてビームサイズ(ビーム径)の拡大やスキャンの高速化を同時に満足することができる。このように、実施形態に係る眼科装置によれば、従来の問題を伴うことなくスキャン範囲の拡大を実現することが可能である。
なお、上記実施形態では、光源からの光を第1のミラースキャナに2回反射させるよう構成された光学系について説明したが、この反射回数は3回以上であってよい。それを実現するための光学系の構成は任意である。
第1のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含んでいてよい。
光スキャナの上記光学系は、第n回目の反射における反射方向と、第n+1回目の反射における入射方向とが異なるように、光源からの光を第1のミラースキャナに複数回反射させるように構成されていてよい。たとえば、図3〜図8Bに示す光スキャナ40において、ミラースキャナ211、311、411、511、611および711による第1回目の反射における反射光L1の進行方向と、第2回目の反射における反射光L2の進行方向とは、同一直線状にない。すなわち、第1回目の反射における反射方向と、第2回目の反射における入射方向とが異なる。なお、第1のミラースキャナによる反射が3回以上行われる構成が適用される場合、少なくとも一対の反射(たとえば第2回目の反射と第3回目の反射)において上記条件が満足されればよい。
光スキャナの上記光学系は、反射部材(平面鏡213、ミラースキャナ313、並びに、2軸ミラースキャナ413、513、613および713)と、中間光学系(レンズ212、312、412、512および712、並びに、凹面鏡612)とを含んでいてよい。中間光学系は、第1のミラースキャナにより反射された光を反射部材に導き、かつ、反射部材により反射された光を第1のミラースキャナに導く。
反射部材は、光反射面の向きが可変な第2のミラースキャナ(ミラースキャナ313、並びに、2軸ミラースキャナ413、513、613および713)を含んでいてよい。なお、第1のミラースキャナによる光の反射回数が3回以上である場合、第2のミラースキャナを2つ以上設けるようにしてよい。
第2のミラースキャナ(ミラースキャナ313、並びに、2軸ミラースキャナ413、513、613および713)は、第1のミラースキャナによる光の偏向方向と異なる方向に光を偏向させるように構成されていてよい。
第2のミラースキャナ(ミラースキャナ313、並びに、2軸ミラースキャナ413、513、613および713)は、第1のミラースキャナによる光の偏向方向に対して実質的に直交する方向に光を偏向させるように構成されていてよい。
第2のミラースキャナ(2軸ミラースキャナ413、513、613および713)は、互いに直交する2方向にそれぞれ光を偏向させるように構成されていてよい。
第2のミラースキャナ(ミラースキャナ313、並びに、2軸ミラースキャナ413、513、613および713)は、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含んでいてよい。
実施形態に係る眼科装置は、第1のミラースキャナおよび第2ミラースキャナをそれぞれ制御するスキャン制御部(制御部100)を有していてよい。
光スキャナの上記光学系の反射部材(平面鏡213)は、その光反射面の向きが固定されていてよい。
反射部材の光反射面の向きが固定されている場合、光スキャナは、第1のミラースキャナにより複数回反射された後の光(L3)の経路に設けられ、光反射面の向きが可変な第3のミラースキャナ(第2のスキャン部230)を含んでいてよい。光スキャナは、第3のミラースキャナにより反射された光(L)を出力する。
第3のミラースキャナは、第1のミラースキャナによる光の偏向方向(R1)と異なる方向(R2)に光を偏向させるように構成されていてよい。それにより、2次元的な光スキャンが可能となる。
第3のミラースキャナは、第1のミラースキャナによる光の偏向方向(R1)に対して実質的に直交する方向(R2)に光を偏向させるように構成されていてよい。
第3のミラースキャナは、互いに直交する2方向にそれぞれ光を偏向させるように構成されていてよい。そのための構成例として、図3に示す1軸のミラースキャナからなる第2のスキャン部230の代わりに、2軸ミラースキャナを適用することが可能である。
第3のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含んでいてよい。
実施形態に係る眼科装置は、第1のミラースキャナおよび第3ミラースキャナをそれぞれ制御するスキャン制御部(制御部100)を有していてよい。
光スキャナの中間光学系は、1つ以上のレンズ(レンズ212、312、412、512および712)、および/または、1つ以上の凹面鏡(凹面鏡612)を含んでいてよい。
実施形態に係る眼科装置は、被検眼(E)の眼球運動の状態を監視する監視部(制御部100および観察光学系(並びにデータ処理部140))を有していてよい。その場合、スキャン制御部(制御部100)は、監視部によりリアルタイムで取得される眼球運動の状態に基づいて光スキャナを制御することができる。この構成によれば、被検眼の眼球運動の状態に応じて光スキャンをリアルタイムで追従させることができ、眼球運動に起因する画質の低下を防止することが可能となる。
実施形態に係る眼科装置はSLOとしての機能を有していてよい。その場合、照射光学系は、光源からの光を光スキャナにより偏向して眼底(Ef)に照射することで、眼底を所定の軌跡(たとえば図2の軌跡STi)に沿ってスキャンする。さらに、SLOとして機能する眼科装置は、受光部(70)と、画像形成部(130)とを有する。受光部は、照射光学系により照射された光(L)の眼底からの戻り光(RL)を受光する。画像形成部は、スキャンの軌跡を示す情報(たとえば実施形態の画素位置信号)と、受光部による戻り光の受光結果とに基づいて、眼底の正面画像を形成する。
このような構成のSLOによれば、広範囲にわたる眼底の正面画像を一連のスキャンにより取得することができる。また、スキャン範囲の拡大、ビームサイズの拡大およびスキャンの高速化を同時に満足することができる。
〈変形例〉
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
(変形例1:光コヒーレンストモグラフィ装置)
上記実施形態で説明した光スキャナを、OCTを用いて被検眼の断面像や3次元画像を形成する装置に適用することが可能である。この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の変形例の内容として適宜援用することが可能である。
以下の変形例では、スペクトラルドメインタイプのOCTを適用した構成について詳しく説明するが、他のタイプ、たとえばスウェプトソースOCTであってもよい。また、この変形例ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた眼科撮影装置について説明するが、眼底カメラ以外の撮影装置、たとえばSLO、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などに、この変形例に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。また、この変形例に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。また、変形例に係る眼科撮影装置による撮影対象は眼底には限定されず、たとえば前眼部であってもよい。
図9および図10に示すように、眼科装置800は、眼底カメラユニット802、OCTユニット900および演算制御ユニット1000を含んで構成される。眼底カメラユニット802は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット900には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット1000は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
図9に示す眼底カメラユニット802には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す正面画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底カメラユニット802には、照明光学系810と撮影光学系830が設けられている。照明光学系810は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系830は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)835、838。)に導く。また、撮影光学系830は、OCTユニット900からの測定光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した測定光をOCTユニット900に導く。
照明光学系810の観察光源811は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源811から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー812により反射され、集光レンズ813を経由し、可視カットフィルタ814を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源815の近傍にて一旦集束し、ミラー816により反射され、リレーレンズ817、818、絞り819およびリレーレンズ820を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー821の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー846を透過し、対物レンズ822により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ822により屈折され、ダイクロイックミラー846を透過し、孔開きミラー821の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー855を透過し、合焦レンズ831を経由し、ミラー832により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー839Aを透過し、ダイクロイックミラー833により反射され、集光レンズ834によりCCDイメージセンサ835の受光面に結像される。CCDイメージセンサ835は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置803には、CCDイメージセンサ835により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系830のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源815は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源815から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー833まで導かれ、ダイクロイックミラー833を透過し、ミラー836により反射され、集光レンズ837によりCCDイメージセンサ838の受光面に結像される。表示装置803には、CCDイメージセンサ838により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)839は、固視標や視力測定用指標を表示する。LCD839から出力された光は、その一部がハーフミラー839Aにて反射され、ミラー832に反射され、合焦レンズ831およびダイクロイックミラー855を経由し、孔開きミラー821の孔部を通過し、ダイクロイックミラー846を透過し、対物レンズ822により屈折されて眼底Efに投影される。LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。
更に、眼底カメラユニット802には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系850とフォーカス光学系860が設けられている。アライメント光学系850は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系860は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系850のLED851から出力された光(アライメント光)は、絞り852、853およびリレーレンズ854を経由してダイクロイックミラー855により反射され、孔開きミラー821の孔部を通過し、ダイクロイックミラー846を透過し、対物レンズ822により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ822、ダイクロイックミラー846および上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー855を透過し、合焦レンズ831を通過し、ミラー832により反射され、ハーフミラー839Aを透過し、ダイクロイックミラー833に反射され、集光レンズ834によりCCDイメージセンサ835の受光面に投影される。CCDイメージセンサ835による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置803に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット1000がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系810の光路上に反射棒867の反射面が斜設される。フォーカス光学系860のLED861から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ862を通過し、スプリット指標板863により2つの光束に分離され、二孔絞り864を通過し、ミラー865に反射され、集光レンズ866により反射棒867の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ820を経由し、孔開きミラー821に反射され、ダイクロイックミラー846を透過し、対物レンズ822により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ835により検出される。CCDイメージセンサ835による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置803に表示される。演算制御ユニット1000は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ831およびフォーカス光学系860を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー846は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー846は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット900側から順に、コリメータレンズユニット840と、光路長変更部841と、光スキャナ842と、合焦レンズ843と、ミラー844と、リレーレンズ845とが設けられている。
光路長変更部841は、図9に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部941は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
光スキャナ842は、OCT計測用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを測定光LSで走査することができる。光スキャナ842は、測定光LSをx方向に走査する機能と、y方向に走査する機能とを有する。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。光スキャナ842は、上記実施形態で説明された光スキャナ40と同様の構成を有し、たとえば図3〜図8Bのいずれかに示す構成を有する。
図10を参照しつつOCTユニット900の構成の一例を説明する。OCTユニット900には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と測定光に分割し、眼底Efを経由した測定光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット1000に送られる。
なお、スウェプトソースタイプのOCT装置の場合には、低コヒーレンス光源を出力する光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、干渉光をスペクトル分解する光学部材が設けられない。一般に、OCTユニット900の構成については、光コヒーレンストモグラフィのタイプに応じた公知の技術を任意に適用することができる。
光源ユニット901は広帯域の低コヒーレンス光を出力する。低コヒーレンス光は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1040〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光として用いてもよい。
光源ユニット901は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット901から出力された低コヒーレンス光は、光ファイバ902によりファイバカプラ903に導かれて測定光LSと参照光LRに分割される。
参照光LRは、光ファイバ904により導かれて光減衰器(アッテネータ)905に到達する。光減衰器905は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット1000の制御の下、光ファイバ904に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器905により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ904により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)906に到達する。偏波調整器906は、たとえば、ループ状にされた光ファイバ904に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ904内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する装置である。偏波調整器906により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ909に到達する。
ファイバカプラ903により生成された測定光LSは、光ファイバ907により導かれ、コリメータレンズユニット840により平行光束とされる。更に、測定光LSは、光路長変更部841、光スキャナ842、合焦レンズ843、ミラー484、およびリレーレンズ845を経由してダイクロイックミラー846に到達する。そして、測定光LSは、ダイクロイックミラー846により反射され、対物レンズ822により屈折されて眼底Efに照射される。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる測定光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ903に導かれ、光ファイバ908を経由してファイバカプラ909に到達する。
ファイバカプラ909は、測定光LSの後方散乱光と、光ファイバ904を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ910により導かれて出射端911から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ912により平行光束とされ、回折格子913により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ914により集光されてCCDイメージセンサ915の受光面に投影される。
CCDイメージセンサ915は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ915は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット1000に送る。
演算制御ユニット1000の構成について説明する。演算制御ユニット1000は、CCDイメージセンサ915から入力される検出信号と、光スキャナ842によるスキャンの軌跡を示す情報とに基づいて、眼底Efの2次元断面像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様である。この処理には、従来のスペクトラルドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、分散補償、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれる。他のタイプのOCT装置の場合、演算制御ユニット1000は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。また、演算制御ユニット1000は、複数の2次元断面像に基づいて3次元画像を形成することもできる。また、演算制御ユニット1000は、診断支援用の各種解析処理を実行することもできる。
また、演算制御ユニット1000は、眼底カメラユニット802、表示装置803およびOCTユニット900の各部を制御する。眼底カメラユニット802の制御として、演算制御ユニット1000は、観察光源811、撮影光源815およびLED851、861の動作制御、LCD839の動作制御、合焦レンズ831、843の移動制御、反射棒867の移動制御、フォーカス光学系860の移動制御、光路長変更部841の移動制御、光スキャナ842の動作制御などを行う。また、OCTユニット900の制御として、演算制御ユニット1000は、光源ユニット901の動作制御、光減衰器905の動作制御、偏波調整器906の動作制御、CCDイメージセンサ915の動作制御などを行う。
演算制御ユニット1000は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
この変形例に係る眼科装置(OCT装置)の作用および効果について説明する。この眼科装置は、照射光学系と、受光部と、画像形成部とを有する。照射光学系(OCT計測用光学系)は、光源(光源ユニット901)からの光を測定光(LS)と参照光(LR)とに分割する分割部材(ファイバカプラ903)を含む。さらに、照射光学系は、測定光を光スキャナ(842)により偏向して被検眼(E)に照射することで被検眼を所定の軌跡(たとえば図2の軌跡STi)に沿ってスキャンする。受光部(CCDイメージセンサ915)は、被検眼に照射された測定光の戻り光と参照光との干渉光(LC)を受光する。画像形成部(演算制御ユニット1000)は、スキャンの軌跡を示す情報と、受光部による干渉光の受光結果とに基づいて、被検眼の断面像を形成する。
このような構成のOCT装置によれば、広範囲にわたる眼底の断面像を一連のスキャンにより取得することができる。また、スキャン範囲の拡大およびスキャンの高速化を同時に満足することができる。
(変形例2:レーザ治療装置)
上記実施形態で説明した光スキャナを、レーザ光の熱凝固作用を利用した治療に用いられるレーザ治療装置に適用することが可能である。なお、この変形例において、この明細書に記載された文献の記載内容を任意に援用することが可能である。
まず方向を定義しておく。装置光学系から患者に向かう方向を前方向とし、その逆方向を後方向とする。また、前方向に直交する水平方向を左右方向とする。更に、前後方向と左右方向の双方に直交する方向を上下方向とする。
この変形例に係るレーザ治療装置2000の構成の一例を図11および図12に示す。レーザ治療装置2000は、被検眼Eの眼底Efに対してレーザ治療を施すために使用される。レーザ治療装置2000は、光源ユニット2002と、スリットランプ2003と、光ファイバ2004と、処理ユニット2005と、操作ユニット2006とを有する。なお、スリットランプ2003に代えて、手術用顕微鏡や、倒像鏡や、眼内挿入タイプの観察装置などを用いてもよい。
光源ユニット2002とスリットランプ2003は、光ファイバ2004を介して光学的に接続されている。光ファイバ2004は、1つ以上の導光路を有する。光源ユニット2002と処理ユニット2005は、信号を伝送可能に接続されている。スリットランプ2003と処理ユニット2005は、信号を伝送可能に接続されている。操作ユニット2006と処理ユニット2005は、信号を伝送可能に接続されている。信号の伝送形態は有線でも無線でもよい。
処理ユニット2005は、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって動作するコンピュータである。処理ユニット2005が実行する処理については後述する。操作ユニット2006は、各種のハードウェアキーおよび/またはソフトウェアキー(GUI)を含んで構成される。ハードウェアキーの例として、スリットランプ2003に設けられたボタン・ハンドル・ノブや、スリットランプ2003に接続されたコンピュータ(処理ユニット2005等)に設けられたキーボード・ポインティングデバイス(マウス・トラックボール等)や、別途に設けられたフットスイッチ・操作パネルなどがある。ソフトウェアキーは、たとえばスリットランプ2003や上記コンピュータに設けられた表示デバイスに表示される。
光源ユニット2002は、眼底Efに照射される光を発生する。光源ユニット2002は、照準光源2002aと、治療用レーザ光源2002bと、ガルバノミラー2002cと、遮光板2002dとを有する。
照準光源2002aは、レーザ治療を施す部位に照準を合わせるための照準光LAを発生する。照準光源2002aとしては任意の光源が用いられる。たとえば、眼底Efを目視観察しつつ照準を合わせる構成が適用される場合、術者眼Eにより認識可能な可視光を発する光源(レーザ光源、発光ダイオード等)が照準光源2002aとして用いられる。また、眼底Efの撮影画像を観察しつつ照準を合わせる構成が適用される場合、撮影画像を取得するための撮像素子が感度を有する波長帯の光を発する光源(レーザ光源、発光ダイオード等)が照準光源2002aとして用いられる。照準光LAは、ガルバノミラー2002cに導かれる。照準光源2002aの動作は、処理ユニット2005により制御される。
治療用レーザ光源2002bは、眼底Efのレーザ治療に用いられる光(治療用レーザ光LT)を発する。治療用レーザ光LTは、その用途に応じて可視レーザ光でも不可視レーザ光でもよい。また、治療用レーザ光源2002bは、異なる波長帯のレーザ光を発する単一のレーザ光源または複数のレーザ光源であってよい。治療用レーザ光LTは、ガルバノミラー2002cに導かれる。治療用レーザ光源2002bの動作は、処理ユニット2005により制御される。
ガルバノミラー2002cは、反射面を有するミラーと、ミラーの向き(反射面の向き)を変更するアクチュエータとを含んで構成される。照準光LAと治療用レーザ光LTは、ガルバノミラー2002cの反射面の同じ位置に到達するようになっている。なお、照準光LAと治療用レーザ光LTをまとめて「照射光」と呼ぶことがある。ガルバノミラー2002c(の反射面)の向きは、少なくとも、照射光を光ファイバ2004に向けて反射させる向き(照射用向き)と、照射光を遮光板2002dに向けて反射させる向き(停止用向き)とに変更される。ガルバノミラー2002cの動作は、処理ユニット2005により制御される。
ガルバノミラー2002cが停止用向きに配置されている場合、照射光は遮光板2002dに到達する。遮光板2002dは、たとえば照射光を吸収する材質および/または形態からなる部材であり、遮光作用を有する。
この実施形態では、照準光源2002aと治療用レーザ光源2002bは、それぞれ連続的に光を発生する。そして、ガルバノミラー2002cを照射用向きに配置させることで、照射光を被検眼Eに照射させる。また、ガルバノミラー2002cを停止用向きに配置させることで、被検眼Eに対する照射光の照射を停止させる。
スリットランプ2003は、被検眼Eの前眼部および眼底Efの観察に用いられる装置である。より詳しく説明すると、スリットランプ2003は、被検眼Eをスリット光で照明し、この照射野を拡大観察するための装置である。なお、「観察」には、肉眼での観察と、撮像素子による撮影画像の観察の一方または双方が含まれる。この実施形態のスリットランプ2003は、肉眼観察を可能とし、且つ被検眼Eの撮影も可能とするものである。
スリットランプ2003は、照明部2003aと、観察部2003bと、接眼部2003cと、レーザ照射部2003dとを有する。照明部2003aには、図12に示す照明系2010が格納されている。観察部2003bと接眼部2003cには、観察系2030が格納されている。レーザ照射部2003dには、レーザ照射系2050が格納されている。
図示は省略するが、スリットランプ2003には、従来と同様に、レバー、ハンドル、ボタン、ノブ等の操作部材が設けられている。これら操作部材は、機能的に操作ユニット2006に含まれる。なお、図11に示す構成では、操作ユニット2006からの信号を受けた処理ユニット2005がスリットランプ2003を制御するようになっているが、このような電気的な駆動力を用いて動作する機構だけでなく、操作者が印加した駆動力を用いて動作する機構を適用することもできる。
図12を参照してスリットランプ2003の光学系について説明する。なお、図12には、眼底Efのレーザ治療に用いられるコンタクトレンズCLが示されている。スリットランプ2003は、照明系2010と、観察系2030と、レーザ照射系2050とを有する。
照明系2010は、被検眼Eを観察するための照明光を出力する。照明部2003aは、照明系2010の光軸(照明光軸)2010aの向きを左右方向および上下方向に変更可能に構成されている。それにより、被検眼Eの照明方向を任意に変更することができる。
照明系2010は、光源2011と、集光レンズ2012と、フィルタ2013、2014および2015と、スリット絞り2016と、結像レンズ2017、2018および2019と、偏向部材2020とを有する。
光源2011は照明光を出力する。なお、照明系2010に複数の光源を設けてもよい。たとえば、定常光を出力する光源(ハロゲンランプ、LED等)と、フラッシュ光を出力する光源(キセノンランプ、LED等)の双方を光源2011として設けることができる。また、角膜観察用の光源と眼底観察用の光源とを別々に設けてもよい。集光レンズ2012は、光源2011から出力された光を集めるレンズ(系)である。光源2011の動作は、処理ユニット2005により制御される。
フィルタ2013〜2015は、それぞれ、照明光の特定の成分を除去または弱める作用を持つ光学素子である。フィルタ2013〜2015としては、たとえば、ブルーフィルタ、無赤色フィルタ、減光フィルタ、防熱フィルタ、角膜蛍光フィルタ、色温度変換フィルタ、演色性変換フィルタ、紫外線カットフィルタ、赤外線カットフィルタなどがある。各フィルタ2013〜2015は、照明光の光路に対して挿脱可能とされている。フィルタ2013〜2015の挿脱は、処理ユニット2005により制御される。
スリット絞り2016は、スリット光(細隙光)を生成するためのスリットを形成する。スリット絞り2016は、一対のスリット刃を有する。これらスリット刃の間隔を変化させることによりスリット幅が変更される。なお、スリット絞り2016以外の絞り部材を照明系2010に設けることができる。この絞り部材の例として、照明光の光量を変更するための照明絞りや、照明野のサイズを変更するための照明野絞りなどがある。また、これら絞り部材以外の部材を用いて照明光の光量や照射野のサイズを変更することが可能である。このような部材の例として液晶シャッタがある。スリット絞り2016、照明絞り、照明野絞り、および液晶シャッタのそれぞれの動作は、処理ユニット2005により制御される。
結像レンズ2017、2018および2019は、照明光の像を形成するためのレンズ系である。偏向部材2020は、結像レンズ2017〜2019を経由した照明光を偏向して被検眼Eに照射させる。偏向部材2020としては、たとえば反射ミラーまたは反射プリズムが用いられる。
上記以外の部材を照明系2010に設けることができる。たとえば、偏向部材2020の後段に、拡散板を挿脱可能に設けることができる。拡散板は、照明光を拡散することにより、照明野の明るさを一様にする。また、照明光による照明野の背景領域を照明する背景光源を設けることができる。
観察系2030は、被検眼Eによる照明光の反射光を術者眼Eに案内する光学系である。観察系2030は、左右両眼での観察を可能とする左右一対の光学系を有する。左右の光学系は実質的に同一の構成を有するので、図12には一方の光学系のみが示されている。
観察部2003bは、観察系2030の光軸(観察光軸)2030aの向きを左右方向および上下方向に変更可能に構成されている。それにより、被検眼Eの観察方向を任意に変更することができる。
観察系2030は、対物レンズ2031と、変倍レンズ2032および2033と、保護フィルタ2034と、結像レンズ2035と、正立プリズム2036と、視野絞り2037と、接眼レンズ2038とを有する。また、観察系2030には後述の撮影系が設けられている。
対物レンズ2031は、被検眼Eに対峙する位置に配置される。対物レンズ2031は、左右の光学系に共通であってもよいし、左右別々に設けられていてもよい。
変倍レンズ2032および2033は、変倍光学系(ズームレンズ系)を構成する。各変倍レンズ2032および2033は、観察光軸2030aに沿って移動可能とされている。それにより、被検眼Eの肉眼観察像や撮影画像の倍率(画角)を変更できる。倍率の変更は、たとえば、観察部2003bに設けられた倍率変更ノブを手動で操作することにより行われる。また、処理ユニット2005が、操作ユニット2006に含まれるスイッチ等による操作に基づいて、倍率を制御するようにしてもよい。
また、変倍光学系として、観察系2030の光路に対して選択的に挿入可能な複数の変倍レンズ群を設けてもよい。これら変倍レンズ群は、それぞれ異なる倍率を付与するように構成されている。観察系2030の光路に配置された変倍レンズ群が変倍レンズ2032および2033として用いられる。倍率の変更、つまり観察系2030の光路に配置される変倍レンズ群の切り替えは、たとえば、観察部2003bに設けられた倍率変更ノブを手動で操作することにより行われる。
保護フィルタ2034は、被検眼Eに照射されるレーザ光を遮蔽するフィルタである。それにより、術者眼Eをレーザ光から保護することができる。保護フィルタ2034は、たとえば、レーザ治療(またはレーザ出力)の開始トリガに対応して光路に挿入される。通常の観察時には、保護フィルタ2034は光路から退避される。保護フィルタ2034の挿脱は、処理ユニット2005により制御される。
結像レンズ2035は、被検眼Eの像を結ばせるレンズ(系)である。正立プリズム2036は、接眼レンズ2038を介して観察される像を正立像にする光学部材であり、プリズム2036aおよび2036bを含んで構成される。接眼レンズ2038は正立プリズム2036と一体的に移動する。正立プリズム2036と接眼レンズ2038は接眼部2003cに格納されている。観察系2030を構成する他の部材は、観察部2003bに格納されている。
被検眼Eを撮影する撮影系について説明する。撮影系は、観察光軸2030aから分岐した光路上に設けられた撮像装置2042を含む。この分岐は、結像レンズ2035と正立プリズム2036との間に設けられたビームスプリッタ(ハーフミラー等)2041により実現される。
撮像装置2042は、照射光(照準光LAおよび/または治療用レーザ光LT)の波長帯に感度を有する。よって、照射光を眼底Efに照射した状態で撮像装置2042による撮影を行うと、その撮影画像には眼底Efに対する照射光の投影パターンが描出される。また、撮像装置2042は、照明系2010による照明光の波長帯に感度を有していてもよい。その場合、撮影画像には、眼底Efの形態(つまり眼底Efの正面画像)と、照射光の投影パターンとが描出される。
撮像装置2042を用いた撮影の対象は眼底Efには限定されず前眼部であってもよい。撮像装置2042による撮影対象の選択は、たとえば、結像レンズ2035や、撮像装置2042内部のレンズを制御することにより行われる。
レーザ照射系2050は、光源ユニット2002から光ファイバ2004を介してスリットランプ2003に伝送された照射光を被検眼Eに導く光学系である。
レーザ照射系2050は、コリメータレンズ2051と、光スキャナ2052と、ミラー2053と、リレーレンズ2054および2055と、ミラー2056と、コリメータレンズ2057と、偏向部材2058とを有する。
コリメータレンズ2051は、光ファイバ2004から出力された照射光を平行光束にする。光スキャナ2052は、照射光を2次元的に偏向する。光スキャナ2052は、上記実施形態で説明された光スキャナ40と同様の構成を有し、たとえば図3〜図8Bのいずれかに示す構成を有する。光スキャナ2052の動作は、処理ユニット2005により制御される。
ミラー2053は、光スキャナ2052を経由した照射光を反射して、その進行方向を変える。リレーレンズ2054および2055は、ミラー2053により反射された照射光をリレーする。ミラー2056は、リレーレンズ2054および2055を経由した照射光を反射して、その進行方向を変える。コリメータレンズ2057は、リレーレンズ2054および2055を経由した照射光を集束光束にする。偏向部材2058は、対物レンズ2031の後方に配置され、コリメータレンズ2057を経由した照射光を偏向して被検眼Eに照射させる。
ここで、照射光のパターンについて説明する。照射光のパターンには様々な条件(照射条件)がある。照射光の投影像(つまり眼底に対する照射光の照射範囲)をスポットと呼ぶ。照射条件としては、複数のスポットの配列(配列条件)、配列のサイズ(配列サイズ条件)、配列の向き(配列方向条件)、各スポットのサイズ(スポットサイズ条件)、スポットの間隔(スポット間隔条件)などがある。その他、スポットの個数(スポット数条件)なども考えられるが、他の条件(の組み合わせ)と実質的に同一視することができる。
配列条件は、複数のスポットがどのように配列されているかを示す条件である。配列条件には様々なものがある。その具体例として、円状配列、楕円状配列、矩形状配列、弧状配列、直線状配列、円板状配列、楕円板状配列、矩形板状配列(格子状配列)、扇形板状配列、幅の有る円状配列(円環状配列)、幅の有る弧状配列(円環状配列の一部:部分円環状配列)、幅の有る直線状配列(帯状配列)などがある。また、ユーザが任意に配列を設定できるように構成することも可能である。また、複数の配列を組み合わせて使用することも可能である。配列条件は、光スキャナ2052の制御に用いられる。
配列サイズ条件は、或る配列において、その配列をどのようなサイズで投影するかを示す条件である。たとえば、円状配列において、そのサイズ(たとえば径)を示すパラメータが配列サイズ条件である。配列サイズ条件については、これを任意に設定できるように構成してもよいし、これの選択肢(たとえば大、中、小)を設けるように構成してもよい。配列サイズ条件は、光スキャナ2052の制御に用いられる。
配列方向条件は、或る配列において、その配列をどのような向きで投影するかを示す条件である。たとえば、弧状配列の向きを示すパラメータが配列方向条件である。配列方向条件については、これを任意に設定できるように構成してもよいし、これの選択肢(たとえば上向き、下向き、左向き、右向き)を設けるように構成してもよい。配列方向条件は、光スキャナ2052の制御に用いられる。
スポットサイズ条件は、各スポットをどの程度のサイズで投影するかを示す条件である。たとえば、円状配列において、各スポットの投影サイズ(径、面積、周囲長等)を変更することで、異なるパターンの円状配列を適用することができる。スポットサイズ条件については、これを任意に設定できるように構成してもよいし、これの選択肢(たとえば大、中、小)を設けるように構成してもよい。なお、或る配列において、全てのスポットサイズが同じである必要はない。その場合、或る配列を複数の部分に分け、各部分についてスポットサイズを個別に設定するように構成することができる。
スポットサイズを変更するための構成について説明する。光ファイバ2004が単一の導光路からなる場合、スポットサイズを変更するための光学部材がレーザ照射系2050に設けられる。この光学部材は、たとえば変倍レンズ(系)である。処理ユニット2005は、レーザ照射系2050の光軸(照射光軸)2050aに沿って変倍レンズを移動させることにより、設定されたスポットサイズを実現する。
光ファイバ2004が2つ以上の導光路を有する場合、これら導光路の径をそれぞれ異ならせることができる。この場合、2つ以上の導光路を択一的に使用することで、被検眼Eに照射される光のスポットサイズが変更される。処理ユニット2005は、目的のスポットサイズに対応する導光路に照射光が入射される向きに、光源ユニット2002のガルバノミラー2002cを配置させる。
光ファイバ2004は、パターンを保持しつつ光を伝送することが可能なイメージングファイバ(画像伝送ファイバ)であってもよい。この場合、光ファイバ2004の前段または後段の任意の位置に、スポットサイズを変更するための光学部材(変倍レンズ等)が設けられる。この光学部材の制御は、光ファイバ2004が単一の導光路からなる場合と同様である。また、光源ユニット2002には、光ファイバ2004(イメージングファイバ)に所定パターンの照射光を入射するための光スキャナが設けられる。この光スキャナは、たとえばガルバノミラー2002cの代わりに設けられる。この光スキャナは、上記実施形態で説明された光スキャナ40と同様の構成を有し、たとえば図3〜図8Bのいずれかに示す構成を有する。この光スキャナの動作は、処理ユニット2005により制御される。この場合、レーザ照射系2050に光スキャナ2052を設ける必要はない。
スポット間隔条件は、隣接するスポットをどの程度の間隔(ピッチ)で投影するかを示す条件である。スポット間隔条件については、これを任意に設定できるように構成してもよいし、これの選択肢(たとえば疎、密)を設けるように構成してもよい。なお、或る配列において、全てのスポット間隔が同じである必要はない。その場合、或る配列を複数の部分に分け、各部分についてスポット間隔を個別に設定するように構成することができる。スポット間隔条件は、光スキャナ2052の制御に用いられる。
照射条件には、照射光のパターン以外の事項に関するものも含まれる。たとえば、複数種別の照射光を選択的に使用可能な場合、照射光の種別を照射条件に含めることができる。照射条件の種別の具体例として、レーザ光の種別(波長、用途等)がある。このような照射光種別条件は、照準光源2002aおよび/または治療用レーザ光源2002bの制御に用いられる。
また、照射条件は、照射光の強度に関する条件を含んでいてもよい。この照射強度条件の例として、照準光源2002aや治療用レーザ光源2002bによる照射光の出力強度を示す出力強度条件がある。出力強度条件は、照準光源2002aおよび/または治療用レーザ光源2002bの制御に用いられる。また、出力強度条件は、治療用レーザ光源2002bから出力される治療用レーザ光(レーザ光)のエネルギーを示すパラメータを含んでいてもよい。
照射強度条件の他の例として、照射光の光量を減光部材によって調整するための条件(減光条件)がある。減光部材としては減光フィルタがある。より具体的には、1つの減光フィルタを光路に挿脱する構成や、透過率が異なる複数の減光フィルタを選択的に光路に配置可能な構成などがある。
処理ユニット2005について説明する。処理ユニット2005は、レーザ治療装置2000の各部を制御する。たとえば、処理ユニット2005は、光源ユニット2002の制御、照明系2010の制御、観察系2030の制御、レーザ照射系2050の制御、図示しない表示ユニットの制御などを行う。
光源ユニット2002の制御として、処理ユニット2005は、照準光源2002aの制御、治療用レーザ光源2002bの制御、ガルバノミラー2002cの制御などを行う。また、1つ以上の治療用レーザ光源2002bにより複数種別の治療用レーザ光LTを出力可能な構成が適用される場合、処理ユニット2005は、治療用レーザ光LTを選択的に出力させるように治療用レーザ光源2002bを制御する。
照明系2010の制御として、処理ユニット2005は、光源2011の制御、フィルタ2013〜2015の制御、スリット絞り2016の制御、その他の絞り部材の制御などを行う。
観察系2030の制御として、処理ユニット2005は、変倍レンズ2032および2033の制御、保護フィルタ2034の制御、結像レンズ2035の制御などを行う。
処理ユニット2005は撮影系の制御を行う。撮影系の制御としては、撮像装置2042の制御がある。また、撮像系の他の制御として、上記した観察系2030の制御と同様に、変倍レンズ2032および2033の制御(撮影倍率・画角の変更制御)や、結像レンズ2035の制御(ピント合わせ)などがある。
レーザ照射系2050の制御として、処理ユニット2005は、光スキャナ2052の制御などを行う。光スキャナ2052は、上記実施形態の光スキャナ40と同様に、照射光を左右方向に偏向するためのミラースキャナと、照明光を上下方向に偏向するためのミラースキャナとを含む。処理ユニット2005は、これらミラースキャナの光反射面の向きをそれぞれ独立に変更する。それにより、光源ユニット2002から光ファイバ2004を介して入射された照射光を2次元的に偏向することができる。
この変形例に係る眼科装置(レーザ治療装置)の作用および効果について説明する。この眼科装置において、光源(光源ユニット2002)は、照準光(LA)と治療用レーザ光(LT)とをそれぞれ出力する。さらに、照射光学系(レーザ照射系2050(および光ファイバ2004))は、光源からそれぞれ出力された照準光および治療用レーザ光を、光スキャナ(2052)により偏向して眼底(Ef)に照射する。
このような眼科装置によれば、広範囲にわたる眼底のレーザ治療を一連のスキャンにより実行することができる。また、治療範囲の拡大およびスキャンの高速化を同時に満足することができる。
この変形例に係る眼科装置は、光スキャナ(2052)を制御することにより、第1のパターンの照準光(LA)と、この第1のパターンに基づき決定された第2のパターンの治療用レーザ光(LT)とを眼底(Ef)に照射させる制御部(処理ユニット2005)を有していてよい。
その場合、制御部は、あらかじめ設定された第1のパターンの照準光(LA)が照射されている状態の被検眼(E)を撮影系により撮影して取得された撮影画像と、当該第1のパターンとに基づいて、治療用レーザ光LTの照射パターンを決定する処理を実行する。つまり、制御部は、被検眼に対して照射された照準光のパターン(第1のパターン)と、実際に撮影画像に描出されている照準光のパターンとに基づいて、引き続き行われるレーザ治療で用いられる治療用レーザ光の照射パターンを決定する。撮影画像は、眼底Efの正面画像(眼底像)でもよいし、前眼部の正面画像(前眼部像)でもよい。この照射パターン決定処理は、たとえば、第1のパターンに含まれる複数のスポットのうち、撮影画像に描出されているスポットを特定し、特定されたスポットのみを用いて第2のパターンを設定することにより行われる。
このような眼科装置によれば、次のようなメリットがある。一連のスキャンによる眼底の治療範囲を拡大すると、治療用レーザ光が虹彩にケラれて眼底に到達しない可能性が高まる。本例では、第1のパターンのままで治療用レーザ光を照射した場合にそのパターンの一部または全部が虹彩にケラれるか否かを、照準光が照射されている状態の撮影画像によって判定し、虹彩にケラれないスポットのみからなる第2のパターンで治療用レーザ光を照射する。よって、本例によれば、眼底の治療範囲の拡大を図りつつ治療の安全性の向上を図ることが可能である。
1 走査型レーザ検眼鏡(眼科装置)
10 光源部
40 光スキャナ
70 受光部
100 制御部
130 画像形成部
211、311、313、411、511、611、711 ミラースキャナ
212、312、412、512、712 レンズ
213 平面鏡
230 第2のスキャン部
413、513、613、713 2軸ミラースキャナ
612 凹面鏡
800 光コヒーレンストモグラフィ装置(眼科装置)
842 光スキャナ
2000 レーザ治療装置(眼科装置)
2052 光スキャナ

Claims (24)

  1. 光源からの光を光スキャナで偏向して被検眼に照射する照射光学系を有する眼科装置であって、
    前記光スキャナは、
    光反射面の向きが可変な第1のミラースキャナと、
    前記光源からの光を前記第1のミラースキャナに複数回反射させる光学系と
    を含み、
    前記照射光学系は、前記第1のミラースキャナにより複数回反射された光を被検眼に照射する
    ことを特徴とする眼科装置。
  2. 前記光学系は、前記複数回の反射のうちの第n回目の反射における反射方向と、第n+1回目の反射における入射方向とが異なるように、前記光源からの光を前記第1のミラースキャナに複数回反射させることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記光学系は、
    反射部材と、
    前記第1のミラースキャナにより反射された光を前記反射部材に導き、かつ、前記反射部材により反射された光を前記第1のミラースキャナに導く中間光学系と
    を含む
    ことを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
  4. 前記反射部材は、光反射面の向きが可変な第2のミラースキャナを含むことを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
  5. 前記第2のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向と異なる方向に光を偏向させることを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
  6. 前記第2のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向に対して実質的に直交する方向に光を偏向させることを特徴とする請求項5に記載の眼科装置。
  7. 前記第2のミラースキャナは、互いに直交する2方向にそれぞれ光を偏向させることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の眼科装置。
  8. 前記第2のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載の眼科装置。
  9. 前記反射部材の光反射面の向きが固定されていることを特徴とする請求項3に記載の眼科装置。
  10. 前記光スキャナは、
    前記第1のミラースキャナにより複数回反射された後の光の経路に設けられ、光反射面の向きが可変な第3のミラースキャナを含み、
    前記第3のミラースキャナにより反射された光を出力する
    ことを特徴とする請求項9に記載の眼科装置。
  11. 前記第3のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向と異なる方向に光を偏向させることを特徴とする請求項10に記載の眼科装置。
  12. 前記第3のミラースキャナは、前記第1のミラースキャナによる光の偏向方向に対して実質的に直交する方向に光を偏向させることを特徴とする請求項11に記載の眼科装置。
  13. 前記第3のミラースキャナは、互いに直交する2方向にそれぞれ光を偏向させることを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれか一項に記載の眼科装置。
  14. 前記第3のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれか一項に記載の眼科装置。
  15. 前記中間光学系は1つ以上のレンズを含むことを特徴とする請求項3〜請求項14のいずれか一項に記載の眼科装置。
  16. 前記中間光学系は1つ以上の凹面鏡を含むことを特徴とする請求項3〜請求項14のいずれか一項に記載の眼科装置。
  17. 前記第1のミラースキャナは、共振型光スキャナ、ガルバノスキャナ、ポリゴンスキャナ、MEMS光マイクロミラースキャナ、および圧電ミラースキャナのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の眼科装置。
  18. 前記第1のミラースキャナおよび前記第2のミラースキャナをそれぞれ制御するスキャン制御部を有することを特徴とする請求項4〜請求項8のいずれか一項に記載の眼科装置。
  19. 前記第1のミラースキャナおよび前記第3のミラースキャナをそれぞれ制御するスキャン制御部を有することを特徴とする請求項10〜請求項14のいずれか一項に記載の眼科装置。
  20. 被検眼の眼球運動の状態を監視する監視部を有し、
    前記スキャン制御部は、前記監視部によりリアルタイムで取得される眼球運動の状態に基づいて前記光スキャナを制御する
    ことを特徴とする請求項18または請求項19に記載の眼科装置。
  21. 前記照射光学系は、前記光源からの光を前記光スキャナにより偏向して眼底に照射することで眼底を所定の軌跡に沿ってスキャンし、
    照射された光の眼底からの戻り光を受光する受光部と、
    前記スキャンの軌跡を示す情報と、前記受光部による前記戻り光の受光結果とに基づいて、眼底の正面画像を形成する画像形成部と
    を有することを特徴とする請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載の眼科装置。
  22. 前記照射光学系は、前記光源からの光を測定光と参照光とに分割する分割部材を含み、測定光を前記光スキャナにより偏向して被検眼に照射することで被検眼を所定の軌跡に沿ってスキャンし、
    被検眼に照射された測定光の戻り光と参照光との干渉光を受光する受光部と、
    前記スキャンの軌跡を示す情報と、前記受光部による前記干渉光の受光結果とに基づいて、被検眼の断面像を形成する画像形成部と
    を有することを特徴とする請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載の眼科装置。
  23. 前記光源は、照準光と治療用レーザ光とをそれぞれ出力し、
    前記照射光学系は、前記光源からそれぞれ出力された照準光および治療用レーザ光を、前記光スキャナにより偏向して眼底に照射する
    ことを特徴とする請求項1〜請求項20のいずれか一項に記載の眼科装置。
  24. 前記光スキャナを制御することにより、第1のパターンの前記照準光と、前記第1のパターンに基づき決定された第2のパターンの前記治療用レーザ光とを眼底に照射させる制御部を有することを特徴とする請求項23に記載の眼科装置。
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