JP2014200150A - 永久磁石式リラクタンス型回転電機 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、磁石トルクおよびリラクタンストルクを向上させ、高速化、小型化を実現することが可能な永久磁石式リラクタンス型回転電機を提供することを目的とする。【解決手段】固定子鉄心７に電機子巻線３を有する固定子１と、固定子１の内周側に位置し、回転子鉄心８に永久磁石４（４ａ、４ｂ、４ｃ）が設けられている回転子５と、永久磁石４（４ａ、４ｂ、４ｃ）が多層配置され、各永久磁石４（４ａ、４ｂ、４ｃ）の端部がほぼ重ならない位置に配置されている永久磁石リラクタンス型回転電機。【選択図】 図５

Description

本発明の実施形態は、永久磁石式リラクタンス型回転電機に関する。

近年、鉄道、ハイブリット自動車向けのような車両用回転電機では、高効率化を強く求められている。それに伴い、永久磁石を使用した回転電機の小型・高出力化を開発が進められている。

車両用の回転電機は、搭載スペースが限られた空間の中で高トルク、高出力化が要求されるため、高磁気エネルギー積の永久磁石を用いて、リラクタンストルクを増加させることで回転の高速化を実現しなければならない。永久磁石を最適な配置とすることにより、高トルク、高出力、高速化が可能な永久磁石式リラクタンス型回転電機が必要とされている。

従来の開発では、永久磁石式リラクタンス型回転電機では、Ｖ字状に配置した永久磁石の外周側に空洞（磁極間空隙部）を配置し、その寸法形状を数値限定し、高トルクを得ることで高出力、且つ可変速運転が可能な永久磁石式リラクタンス型回転電機が提案されている。（例えば特許文献１参照）。また、多層構造のスリットを回転子鉄心内部に設け、そのスリットに永久磁石を配置し高出力、高速化を図っている。（例えば特許文献２参照）。

特開２００１−３３９９２２号公報 特開２０００−２７０５２５号公報

しかしながら、上述した従来の永久磁石式リラクタンス型回転電機においては、磁石配置・磁気障壁配置・ブリッジの問題によりトルク特性が低下してしまうという課題があった。

本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、磁石トルクおよびリラクタンストルクを向上させ、小型化を実現することが可能な永久磁石式リラクタンス型回転電機を提供することを目的とする。

図１は、第１の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機の全体構成（１極分）を示す図である。 図２は、第１の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機のベクトル図である。 図３は、第１の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機の永久磁石の重なりがある場合と無い場合のトルク−回転数特性の一例を示す図である。 図４は、第１の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機の全体構成（１極分）を示す図である。 図５は、第２の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機の全体構成（１極分）を示す図である。

以下、実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機について図面を参照して説明する。

（第１の実施形態）
第１の実施形態について図を参照し、詳細に説明する。図１は、第１の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機の全体図である。図１〜図３を用いて実施例１を説明する。

（構成）
図１は、第１の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機の径方向断面図である。図１において固定子１は、固定子スロット１１、固定子電磁鋼板１０、固定子鉄心７と電機子巻線３、固定子ティース２を有している。固定子１を主に構成する固定子鉄心７は、鉄にケイ素を添加することによって製造された薄板の固定子電磁鋼板１０といわれる材料を積層して構成される。固定子鉄心７の内周側には電機子巻線３を収容する固定子スロット１２と、回転子５に面する固定子ティース２が具備されている。

回転子５は、固定子ティース２と間隙を介して固定子１の内周側に配置される。図１において回転子５は、回転子鉄心８、永久磁石４、回転子電磁鋼板６、磁気障壁１２を有している。回転子５は主に回転子鉄心８によって構成される。回転子鉄心８は、鉄にケイ素を添加することによって製造された薄板の回転子電磁鋼板６といわれる材料を積層して構成される。回転子鉄心８には、複数個の永久磁石４が備えられている。

本実施形態では永久磁石４は第一永久磁石４ａと第２永久磁石４ｂとで構成される。

第１永久磁石４ａは、外側の磁気障壁１２ａａと内側の磁気障壁１２ａに挟まれて位置している。このとき、磁気障壁１２ａａは１２ａよりも外周側（固定子側）に位置しており、各磁気障壁の長さは１２ａ＞１２ａａとなる。前述した第１永久磁石４ａを２つ、ｄ軸を中心線として対象となるように設けられている。この１対を第１永久磁石群とする。

第２永久磁石４ｂは、外側の磁気障壁１２ｂｂと内側の磁気障壁１２ｂに挟まれて、かつ第１永久磁石４ａよりも外周側（固定子側）に位置している。このとき、磁気障壁１２ｂｂは、磁気障壁１２ｂよりも外周側（固定子側）に位置しており、各時期障壁の長さは１２ｂｂ＞１２ｂとなる。前述した第２永久磁石４ｂを２つ、ｄ軸を中心線として対象となるように設けられている。この１対を第２永久磁石群とする。

さらに、第１永久磁石４ａの磁石障壁１２ａａ側の端部は、第２永久磁石４ｂの磁石障壁１２ａ側の端部とほぼ同等、または重ならないように位置している。言い換えると、回転子シャフト９方向に向かって、回転子５内に設けられている各永久磁石が重ならないように配置されている構成となっている。

また、第一ブリッジ部１３ａはｄ軸と中心として対称となる磁気障壁１２ａにはさまれている。また第一ブリッジ部１３ａ近傍を第一磁路狭隘部とする。また、第二ブリッジ部１３ｂは、ｄ軸と中心として対称となる磁磁気障壁１２ｂにはさまれている。また第二ブリッジ部１３ａ近傍を第二磁路狭隘部とする。

回転子５の内周側には回転子シャフト９が設けられる。回転子シャフト９はここでは図示しないコロ軸や玉軸などを有する軸受によって回転自在に支持されている。

このような構成の永久磁石式リラクタンス型回転電機の固定子１の電機子巻線３には、電流が流れることによって回転磁界が発生する。発生した回転磁界によって、回転子５が吸引され、回転子シャフト９を中心に回転する。回転子鉄心８は、それぞれ回転子鉄心８の半径方向あるいは放射方向に延びる磁化容易軸（磁束の通りやすい部分）ｑ、および磁化困難軸（磁束が通り難い部分）ｄを有し、これらのｑ軸およびｄ軸は、永久磁石４の配置位置によって決定する。そのため、回転子鉄心８の円周方向に交互に、かつ、所定の位相で形成される。

第１に実施形態の説明では、２層磁石配置を例として説明したが２層に限るものではない。

（作用）
次に、この第１の実施形態の特性について説明する。永久磁石式リラクタンス型回転電機１００が発生するトルク（Ｔ）は図２に示されるベクトル図で表される。

図２のｑ軸とｄ軸上には永久磁石式リラクタンス型回転電動機１００から得られる各特性が示されている。永久磁石式リラクタンス型回転電機１００のトルク（Ｔ）は、Φａ（ｄ−ｑ軸上の鎖交磁束）とＩａ（電機子電流）から算出される磁石トルク、ｄ−ｑ軸のインダクタンスの差から発生するリラクタンストルクで求められる。その式を数１で示す。

数１から、Ｌｑ／Ｌｄの比を大きくすることで、リラクタンストルク（Ｔｒ）を高くでき、磁石トルク（Ｔｍ）と合わさるため、電流に対するトルク発生の高効率性が図れることが分かる。また、数２よりインダクタンスと永久磁石磁束の両影響により端子電圧が決定されることが分かる。与えられる電圧、電流内で最も良いモータの特性を引き出すためには、磁石磁束を適切に制御できるような磁石領域を回転子断面内に確保する構成が必要となる。

上記のような構成を実現するため、リラクタンストルク（Ｔｒ）と磁石トルク（Ｔｍ）を適切にバランスさせる構成が必要となる。Ｌｑ／Ｌｄの比を最大化する形状は、ｑ軸方向の磁束量が最大となるように鉄心に磁路が形成され、ｄ軸方向の磁束量が最小となるように永久磁石４や磁気障壁１２を設けた回転子形状である。また、電圧を適切に制御するためには、磁石磁束を固定子側からの電機子磁束により弱められる磁石配置としなければならない。

永久磁石４の重なった配置を有する永久磁石式リラクタンス型回転電機と永久磁石４の重なっていない配置を有する永久磁石式リラクタンス型回転電機のトルク−回転数特性の比較を図３に示す。図３には永久磁石４の重なった配置を有するトルク−回転数特性８１と永久磁石４の重なっていない配置を有するトルク−回転数特性８０が示されている。図は、５，０００〜の回転速度間において、永久磁石４の重なり無しのトルク−回転数特性８０は、永久磁石４の重なり有りのトルク−回転数特性８１よりもより大きなトルクが出力可能であることを示している。つまり、永久磁石４の重なりを無くすことにより中〜高速時のトルク出力が向上する。

（効果）
本実施形態によれば、回転子鉄心８に備えられた永久磁石４は、固定子ティース２と間隙を介した方向より見て重ならない磁石配置とすることにより、磁石トルクおよびリラクタンストルクおよび電圧を適切にバランスさせ、小型化を実現することが可能な永久磁石式リラクタンス型回転電機を提供することができる。

（第２の実施形態）
第２の実施形態について図４乃至図５を参照し、詳細に説明する。図４は、第２の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機において、第１回転子切断部を有する構成図である。図５は、第２の実施形態の永久磁石式リラクタンス型回転電機１０１において、磁石間のブリッジ部近傍にブリッジ部を飽和させるための磁石を配置した場合と配置しない場合のトルク−回転数特性の一例を示す図である。

尚、図１乃至図３に示した同一の構成をとるものについては、同符号を付して説明を省略する。

（構成）
第２の実施形態を図４に示す回転子５には、第一永久磁石４ａのｄ軸側に磁気障壁１２ｃを介して第三永久磁石４ｃが設けられている。第三ブリッジ部１３ｃはｄ軸と中心として対称となる第三永久磁石４ｃにはさまれている。また第三ブリッジ部１３ｃ近傍を第三磁路狭隘部とする。

第２に実施形態の説明では、第三ブリッジ部１３ｃの両側に第三永久磁石４ｃを有するものを例として説明したが、磁石間の磁路狭隘部に同様の処置をすること含む。

（作用）
次に、本実施形態の特性について説明する。永久磁石式リラクタンス型回転電機では、前述したように磁石トルク（Ｔｍ）とリラクタンストルク（Ｔｒ）を活用している。磁石トルクを有効に活用するためには、ブリッジ部１３における磁石磁束の漏れを防がなければならない。このため、ブリッジ部１３の近傍（つまり、第三磁路狭隘部及び回転子外周側の第二磁路狭隘部）に磁石を配置することにより、この近傍のみを磁気飽和させて磁気抵抗を高め、漏れ磁束を防ぐことが可能となる。また、磁石の磁力を可変することにより所望の特性を得ることが可能となる。

図４に示す第三ブリッジ部１３ｃ近傍に第三永久磁石４ｃを配置した永久磁石式リラクタンス型回転電機と、第三ブリッジ部１３ｃ近傍に第三永久磁石４ｃを配置しない永久磁石式リラクタンス型回転電機のトルク−回転数特性の比較を図５に示す。図５の８２は、第三ブリッジ部１３ｃ近傍に第三永久磁石４ｃを配置した場合のトルク−回転数特性である。８３は、第三ブリッジ部１３ｃ近傍に第三永久磁石４ｃを配置しない場合のトルク−回転数特性である。図５より、全回転速度域において、第三ブリッジ部１３ｃ近傍に第三永久磁石４ｃを配置した場合のトルク−回転数特性８２は第三ブリッジ部１３ｃ近傍に第三永久磁石４ｃを配置しない場合のトルク−回転数特性８３よりもより大きなトルクが出力可能であることを示している。つまり、ブリッジ部１３近傍に磁石を配置することによりトルク出力が向上する。

（効果）
本実施形態によれば、第三ブリッジ部１３ｃの近傍（つまり、第三の磁路狭隘部近傍）に磁石を配置することにより、この近傍のみを磁気飽和させて磁気抵抗を高め、漏れ磁束を防ぐことにより、トルクを向上させ、小型化を実現することが可能な永久磁石式リラクタンス型回転電機を提供することができる。

上記で説明された全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。そのため、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

１ 固定子
２ 固定子ティース
３ 電機子巻線
４ 永久磁石
４ａ 第一永久磁石
４ｂ 第二永久磁石
４ｃ 第三永久磁石
５ 回転子
６ 回転子電磁鋼板
７ 固定子鉄心
８ 回転子鉄心
９ 回転子シャフト
１０ 固定子電磁鋼板
１１ 固定子スロット
１２ 磁気障壁
１３ ブリッジ
Ｒ 固定子巻線抵抗
Ｉａ 電機子電流
Φｅ 永久磁石による固定子錯興交磁束の実効値
ｖｄ 固定子電圧のｄ軸成分
ｖｑ 固定子電圧のｑ軸成分
ｉｄ 固定子電流のｄ軸成分
ｉｑ 固定子電流のｑ軸成分
ω 電気核速度（回転速度）
Ｐｎ 極対数
Ｌｄ インダクタンスのｄ軸成分
Ｌｑ インダクタンスのｑ軸成分
Ｖａ 電圧
β ｉｄとｉｑの位相角
δ ｉｑとＶａの位相角
８０ 永久磁石重なり無し
８１ 永久磁石重なり有り
８２ ブリッジ部近傍に磁石の配置有り
８３ ブリッジ部金部に磁石の配置無し

Claims (4)

1. 固定子鉄心に電機子巻線を有する固定子と、
   前記固定子の内周側に位置し、回転子鉄心に永久磁石が設けられている回転子と、
   前記永久磁石が多層配置され、各永久磁石の端部がほぼ重ならない位置に配置されている永久磁石リラクタンス型回転電機。
2. 前記永久磁石は、ｄ軸を中心線する１対の第１永久磁石群と第２永久磁石群を有し、
   前記第１永久磁石群の内側端部は、前記第２永久磁石群の外側端部とほぼ重ならない位置に配置されている請求項１記載の永久磁石リラクタンス型回転電機。
3. 前記第１永久磁石群の永久磁石は、磁気障壁間に位置しており、内側の磁気障壁が外側の磁気障壁より長く、前記第２の永久磁石群の永久磁石は、磁気障壁間に位置しており、外側の磁気衝撃が内側の磁気障壁よりも長い、請求項１または２記載の永久磁石リラクタンス型回転電機。
4. 前記永久磁石の磁力を可変する請求項１から３のいずれか１項に記載の永久磁石式リラクタンス型回転電機。

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