JP2014199770A - ガス遮断器用の摺動部材及びこれを用いたガス遮断器 - Google Patents

ガス遮断器用の摺動部材及びこれを用いたガス遮断器 Download PDF

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Abstract

【課題】低摩擦かつガスバリア性を実現するガス遮断器用の摺動部材を提供する。
【解決手段】ガス遮断器において、互いに接触し相対的に摺動可能である部材間に配置されるガス遮断器用の摺動材13として、摺動材13は、母材15と、母材15の表面の少なくとも一部にイオン注入されて形成されたイオン注入層16と、を有し、イオン注入層16は、多価イオンがイオン注入されて形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、電力系統において電流遮断を行うガス遮断器と、ガス遮断器に用いられる摺動可能な部材間に配置される摺動部材に関する。
現在、高電圧大容量の電力系統では、SFガスを絶縁及び消弧媒体としたガス絶縁開閉装置が広く使用されている。ガス絶縁開閉装置を構成する主要機器として、内部にSFガスを充填させたガス遮断器がある。このガス遮断器は、電力系統における故障電流を速やかに遮断することができる電力機器である。ガス遮断器は、遮断過程に接触子を機械的に切り離し、この切り離しによって発生したアークを絶縁及び消弧媒体の吹き付けによって消弧する。
上記のようなガス遮断器は、現在パッファ形と呼ばれるタイプが広く普及している。パッファ形ガス遮断器は、消弧性ガスが充填された密閉容器内に、固定アーク接触子及び固定通電接触子と、可動アーク接触子及び可動通電接触子とがそれぞれ対向して配置され、それぞれを機械的な駆動力によって接触又は離反させることで電流を導通し又は遮断する。
このガス遮断器には、接触子の離反に伴って容積が減少し、内部の消弧性ガスが蓄圧される蓄圧空間と、両アーク接触子を取り囲むように配置され、蓄圧空間内で蓄圧された消弧性ガスをアークに誘導する絶縁ノズルが設けられている。
遮断過程においては、固定アーク接触子と可動アーク接触子が離反することで、両アーク接触子間にアークが発生する。接触子の離反に伴って蓄圧空間で十分蓄圧された消弧性ガスを、絶縁ノズルを介してアークに強力に吹き付けることにより、両アーク接触子の絶縁性能を回復させ、アークを消弧し、電流の遮断を完了させる。
特開2007―294358号公報
上記のような従来のガス遮断器において、蓄圧空間は、例えば、一端面が有底の円筒形状のシリンダと、ドーナツ形状の平板であるピストンと、シリンダと連結し、当該シリンダを移動させる円筒形状の操作ロッドとによって囲まれて形成される。蓄圧空間は、シリンダの一端面と対向するようにピストンを、シリンダ内に嵌め込んで配置し、ピストンのドーナツ開口に操作ロッドを挿通し、操作ロッドをシリンダ内に貫通させて形成される。換言すると、シリンダの一端面及び側面が蓄圧空間の一端面及び外周面となる。また、操作ロッドの外周面が蓄圧空間の内周面となる。ピストンが蓄圧空間のもう一方の一端面となる。
上記の蓄圧空間の容積の減少は、操作ロッドの移動に伴い、シリンダが移動することでシリンダの一端面がピストンに接近することで引き起こる。この際、シリンダ及び操作ロッドはピストンに対して摺動する。
シリンダとピストンとの間、及び、操作ロッドとピストンとの間には、摩擦を小さくする摺動材が配置されている。この摺動材には、低摩擦特性が求められており、現状はPTFE系材料が主として用いられている。ところが、PTFE材料はSFガス雰囲気中で膨潤することが知られており、低摩擦特性に悪影響を与える場合がある。そこで、その特性改善のため、ガラス繊維等の充填材を混合している。
しかしながら、多数回の開極閉極による摺動動作において粉塵等を発生させ、摺動材の表面が粗くなることで、摩擦抵抗の上昇や絶縁性能の低下などの問題を引き起こす。そして、このことが、ガス遮断器の機器信頼性の向上の弊害となっていた。
また、PTFE材料にガラス繊維等の充填材を混合させた場合でも、摺動材はその表面からSFガスを吸収し膨潤する虞があった。
本実施形態に係るガス遮断器用の摺動部材は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、低摩擦かつガスバリア性を実現する摺動部材を提供することを目的としている。また、当該摺動部材を用いたガス遮断器を提供することも目的の一つとする。
上記の目的を達成するために、本実施形態のガス遮断器用の摺動部材は、ガス遮断器において、互いに接触し相対的に摺動可能である部材間に配置されるガス遮断器用の摺動部材であって、前記摺動部材は、母材と、前記母材の表面の少なくとも一部にイオン注入されて形成されたイオン注入層と、を有し、前記イオン注入層は、多価イオンがイオン注入されて形成されていることを特徴とする。
また、前記摺動部材を用いたガス遮断器も本発明の態様に含まれる。
第1の実施形態に係るガス遮断器の全体構成を示す断面図であって、(a)は通常時の閉極(電流通電)状態を示すガス遮断器の断面図、(b)は開極(電流遮断動作中)の状態を示すガス遮断器の断面図である。 第1の実施形態に係るガス遮断器のシリンダ近傍の拡大断面図である。 第1の実施形態に係るガス遮断器用の摺動部材の一部断面図である。 第2の実施形態に係るガス遮断器用の摺動部材の一部断面図である。 第3の実施形態に係るガス遮断器用の摺動部材の一部断面図である。
[第1の実施形態]
(構成)
以下では、図1〜3を参照しつつ、本実施形態のガス遮断器の全体構成を説明する。図1は、本実施形態のガス遮断器の全体構成を示す断面図であり、図1(a)は、通常時の閉極(電流通電)状態を示し、図1(b)は開極(電流遮断動作中)の状態を示している。
本実施形態のガス遮断器は、接地された金属からなる密閉容器1を有し、その内部に消弧性ガスが充填されている。
消弧性ガスは、消弧性能及び絶縁性能に優れたガスであり、例えば六フッ化硫黄ガス(SFガス)が挙げられる。但し、SFガスは、二酸化炭素ガスの23900倍の地球温暖化効果を有すると言われており、環境保全の観点から、SFガスよりも地球温暖化係数の小さいガスを用いるようにしても良い。この地球温暖化係数の小さいガスとしては、空気、二酸化炭素、酸素、窒素またはそれらの混合ガス等が挙げられる。
本実施形態のガス遮断器は、図1に示すように、大別すると固定接点部3と可動接点部4とに分けられ、円筒を主体とする形状を有する複数の部材で構成される。各部材は中心軸(以下、単に軸という。)を一致させて密閉容器1内に配置されている。なお、以下では、各部材の位置関係及び方向を説明するのに、固定接点部3側の方向を前方、その反対側の可動接点部4側の方向を後方と呼ぶ。
固定接点部3とは、固定通電接触子6及び固定アーク接触子5をいう。可動接点部4とは、可動アーク接触子8、可動通電接触子10、絶縁ノズル9、可動シリンダ7、及び操作ロッド12をいう。以下、各部材について、詳細に説明する。
密閉容器1には、図1に示すように、固定通電接触子6及び可動通電接触子10が、また、固定アーク接触子5及び可動アーク接触子8が同軸上に延びるようにそれぞれ対向配置されている。
固定通電接触子6及び可動通電接触子10は、それぞれ端面が開口した円筒形状を有する導体であり、互いに開口を向かい合わせて同一軸上に配置されている。固定通電接触子6の開口縁は内部に膨出しており、開口縁部分の内径と可動通電接触子10の外径は一致している。
可動通電接触子10は、固定通電接触子6に対して移動可能となっており、固定通電接触子6の開口に可動通電接触子10が差し込まれることで、固定通電接触子6の内面と可動通電接触子10の外面とが接触し、電気的に導通できる状態となる。
固定通電接触子6は、固定支え31に固定されている。すなわち、固定支え31は中空で概略円筒形状の導体であり、固定通電接触子6は、固定支え31の縁に筒形状が続くように固定されている。固定アーク接触子5は、一端が丸みを帯びた中実の円柱状の導体である。固定支え31の内壁面には、棒状又は板状の部材である支持部32が、固定支え31の内壁面から固定支え31内部に突き出るように固定されている。固定アーク接触子5は、この支持部32を介して固定支え31内に固定支持されている。
可動アーク接触子8は、両端が開口した円筒形状を有する導体である。電流遮断過程では、可動アーク接触子8が固定アーク接触子5から開離して両接触子5、8間にアークが発生するアーク空間が形成される。
可動アーク接触子8の開口縁は内部に膨出し、その内径は固定アーク接触子5の外径と一致する。可動アーク接触子8は固定アーク接触子5に対し移動が可能であり、固定アーク接触子5が可動アーク接触子8の開口に差し込まれることで、両接触子5、8が互いに接触し、導通できる状態となる。
なお、可動アーク接触子8の先端は円周方向に分割され、指状電極となっている場合もある。その場合、可動アーク接触子8は可撓性を有し、可動アーク接触子8の開口縁の内径は、固定アーク接触子5の外径より若干小さくされてすぼめられている。固定アーク接触子5が可動アーク接触子8の開口に差し込まれることで、両接触子5、8が互いに接触し、導通できる状態となる。
固定アーク接触子5に対する可動アーク接触子8の移動は、可動アーク接触子8に固定支持された操作ロッド12によって引き起こされる。操作ロッド12は前方の一端が開口し後方の他端が有底の円筒形状を有し、内部が中空になっており、可動アーク接触子8や固定アーク接触子5と同軸上に配置されている。可動アーク接触子8と操作ロッド12は同径であり、可動アーク接触子8は操作ロッド12の前端の開口縁に立設している。
操作ロッド12は、絶縁性を有する中実の円柱である絶縁ロッド22を介して、密閉容器1と連結された機構部11に接続されている。機構部11は、絶縁ロッド22を介して操作ロッド12を軸方向に押し引きして移動させるものである。可動アーク接触子8と可動通電接触子10は、この操作ロッド12の移動の程度に応じて、固定アーク接触子5や固定通電接触子6と接触し、又は離反する。
操作ロッド12の全長のうち、固定接点部3側の一部の周囲には、可動シリンダ7、操作ロッド12、及びピストン19によって囲まれたバームクーヘン形状の蓄圧空間20が形成されている。
可動シリンダ7は、一端面が有底の円筒形状を有する導体であり、有底である端面を前方にして、その側面が操作ロッド12を取り囲むように同軸上に配置されている。可動シリンダ7の前端面は操作ロッド12の前端と面一になるように揃えられて連結されている。可動シリンダ7の前端面及び内周面が蓄圧空間20の前方の端面及び外周面となる。また、可動シリンダ7の内部を貫くように操作ロッド12が同軸上に配置され、操作ロッド12の周面が蓄圧空間20の内周面となる。ピストン19は、板状でドーナツ形状に成形されており、ドーナツ形状の開口に操作ロッド12が摺動可能に貫通し、外径が可動シリンダ7の内径と略一致する。すなわち、ピストン19は蓄圧空間20の後方の端面となる。
蓄圧空間20は、操作ロッド12の移動により可動シリンダ7の前端面が移動することでその容積が可変となる。可動シリンダ7の前端面のピストン19に対する接近により蓄圧空間20の容積が減少し、蓄圧空間20内の消弧性ガスが圧縮されて蓄圧し、蓄圧空間20内にガス流が発生するようになっている。
ピストン19は、図1に示すように、ピストン支え19aを介してサポート33、絶縁支持台34によって密閉容器1内に固定支持されている。ピストン支え19aは、ピストン19から軸方向に直線的に延びる円筒形状で、途中から屈折してサポート33に向けて延び、その先端がサポート33で固定される。サポート33は、概略円筒形状の導体であり、有底の端面を後方にして、前方の開口に可動シリンダ7が嵌め込まれるようにして配置されている。サポート33後方の端面は開口しており、操作ロッド12はこの開口に挿通されて、サポート33内部を貫通できるようになっている。
サポート33の後端面には、円筒形状を有する絶縁支持台34が、同軸上に配置されている。絶縁支持台34は、通電状態で電路の一部となる部材を支持するものである。絶縁支持台34は絶縁性の部材であり、その一端がサポート33に接続され、他端は密閉容器1に固定連結された機構部11に固定されて、サポート33、ピストン支え19a及びピストン19を固定支持するとともに、サポート33と機構部11及び密閉容器1とを絶縁する。絶縁ロッド22は、これらサポート33及び絶縁支持台34によって取り囲まれる。
通電状態では、固定支え31、固定通電接触子6、可動通電接触子10、可動シリンダ7及びサポート33が電気的に接続されており、これらの部材が電路の一つとなる。電流は、固定支え31、サポート33に接続された導体2a、2bを介して外部に引き出される。なお、固定支え31とサポート33との間には、絶縁体で構成された絶縁筒23が継合されており、固定支え31とサポート33とは絶縁されている。
サポート33の前方側には摺動部33aが設けられている。図1及び2に示すように、サポート33とピストン支え19aとの間には空間が形成されており、遮断過程において、可動ピストン7の側面は、この空間内を操作ロッド12によって、密閉容器1内に固定された摺動部33a及びピストン19に対し、軸方向に摺動するようになっている。また、操作ロッド12もピストン19とピストン支え19aに対し、軸方向摺動するようになっている。
図1及び2に示すように、ピストン19の外周面と内周面、ピストン支え19aの内周面及びサポート33の摺動部33aには、円周方向に溝が設けられ、この溝に円環状の摺動材13がそれぞれ配置されている。摺動材13は、当該溝に配置された状態で、可動シリンダ7、操作ロッド12等の可動部材と摺動可能に接触する。
図3は、本実施形態に係る摺動材13の一部断面図である。摺動材13は、図3に示すように、母材15とイオン注入層16と摺動面17とから構成される。母材15は、摺動材13の本体であり、摺動性の良いPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂材料からなる。イオン注入層16は、母材15の表面に多価イオンがイオン注入されて形成された層であり、イオン注入によって母材15内部が改質し、イオン注入層16の表面は滑らかになっている。イオン注入層16は、所定の厚みをもって形成されており、多価イオンとしては、B(ボロン)、BN(窒化ボロン)及びC(カーボン)等のイオンとすることができる。摺動面17は、イオン注入層16の表面であり、可動シリンダ7又は操作ロッド12などの可動部材と摺接する面である。
サポート33の摺動部33aには、金属材料からなるマルチラムバンド接点14が設けられている。マルチラムバンド接点14は、可動シリンダ7の側面と接触し、可動シリンダ7とサポート33とを電気的に接続している。すなわち、マルチラムバンド接点14は、可動シリンダ7側面がサポート33の摺動部33aに対して摺動する過程における通電特性を確保している。
なお、マルチラムバンド接点14は、サポート33の摺動部33aにおいて、図1及び2に示すように、2つの摺動材13の間に挟まれるようにして配置されている。これにより、マルチラムバンド接点14は、これらの摺動材13と摺動部33aと可動シリンダ7側面とによって囲まれ、密閉されている。
可動シリンダ7の前端面には、絶縁ノズル9が立設している。可動シリンダ7の前端面には貫通孔7aが設けられており、絶縁ノズル9は、蓄圧空間20で発生したガス流を、貫通孔7aを介してアーク空間へ誘導する整流手段である。絶縁ノズル9は可動アーク接触子8を包囲するように、軸方向に固定アーク接触子5側へ延び、可動アーク接触子8の先端を通過後、内径が固定アーク接触子5の外径よりも若干大きい程度まで窄み、最小内径部分となるスロート部に至ったところで先端に向けて直線的に拡がる形状となっている。
遮断動作過程では、絶縁ノズル9内部空間に、ガスが通るガス流路が形成される。すなわち、絶縁ノズル9と可動アーク接触子8との間の空間、アーク空間、スロート部より前方の絶縁ノズル9の内部空間、及び密閉容器1内が連通している。この連通した空間がガス流路となり、蓄圧空間20で発生したガス流の密閉容器1内への排気流路の一つとなる。
(作用)
以上の構成を有するガス遮断器の電流遮断動作を以下に説明する。
電流遮断動作は、事故電流、進み小電流、リアクトル遮断等の遅れ負荷電流、又は極めて小さな事故電流の遮断を要する場合など、ガス遮断器を電流の通電状態から遮断状態に切り替える操作である。
通電状態から電流遮断動作を行う場合、機構部11を駆動させる。機構部11により、可動接点部4が固定接点部3に対し軸方向に移動する。すなわち、固定通電接触子6に対して可動通電接触子10が開離するとともに、固定アーク接触子5に対して可動アーク接触子8が開離し、両アーク接触子5、8間のアーク空間にアークが発生する。このアークは非常に高温であるため、アークから高温のガスが発生するとともに、加熱された周りの消弧性ガスも高温となる。
また、このとき、可動接点部4の移動によって、可動シリンダ7の前端面がピストン19に対して接近するように移動するため、蓄圧空間20が圧縮され、蓄圧空間20内の消弧性ガスが蓄圧される。遮断動作が進行し、両アーク接触子5、8間の距離が十分開き、かつ蓄圧空間20に十分蓄圧されると、蓄圧空間20内にガス流が発生する。このガス流は、貫通孔7aを介して、絶縁ノズル9と可動アーク接触子8との間に形成されるガス流路を通じ、非常に高温なアークに対して強力に吹き付けられる。その後、アーク空間の高温のガスは、前方の固定接点部3側へと排出される。固定接点部3側への高温ガスは、絶縁ノズル9及び固定支え31の内部を通った後、密閉容器1内に排出される。
遮断過程後半では、電流零点に向けてアークが小さくなり、蓄圧空間20からのガスの吹き付けにより消弧に至り、電流遮断が完了する。
以上のような遮断動作過程において、可動シリンダ7の側面は、サポート33の摺動部33aとピストン19の外周面に対して摺動する。またこの過程において操作ロッド12は、ピストン19の内周面及びピストン支え19aの内周面に対して摺動する。
本実施形態では、密閉容器1内に固定される部材と、当該部材に対して摺動する可動部材との間に摺動材13を設けた。摺動材13の母材15にイオン注入することで母材自体の組成が変化する。イオン注入層16は、多価イオンのイオン注入により、母材15の内部組成が変化して緻密な分子構造が形成されたものである。これにより、イオン注入層16の表面、特に摺動面17が滑らかになり、低摩擦で摺動特性に優れた摺動材13を得ることができる。
また、母材15の表面全体に、緻密な分子構造のイオン注入層16が形成されることで母材15へのSFガスなどの消弧性ガスの侵入を防止することができるので、摺動材13にガスバリア性を得ることができる。
特に、母材15がPTFE若しくはPEEKなどの樹脂材料で構成される場合に、イオン注入層16によって消弧性ガスが侵入できないので、膨潤を防止することができる。なお、本実施形態では、ピストン19の外周面やその内周面などに溝を設け、当該溝に摺動材13を配置する構成とすることで、可動シリンダ7の側面や操作ロッド12の外周面等の面積の広い部分に摺動材13を設ける場合と比べて、充填された消弧性ガスに触れる摺動材13の表面積をかなり小さくできるので、コスト削減となる他、摺動材13の磨耗等によって生じる膨潤発生を起こりにくくすることができる。
なお、マルチラムバンド接点14は、これらの摺動材13と摺動部33aと可動シリンダ7側面とによって囲まれて、密閉されている。従来では、密閉されていたとしても、多数回の開極閉極による摺動動作において、摺動材13が磨耗し、密閉性が損なわれていた。一方、例えば可動シリンダとマルチラムバンド接点が金属材料からなる場合、多数回の摺動動作によって金属粉が発生する。上記密閉性が損なわれていることで、当該金属粉が密閉容器1内を浮遊し絶縁部材に付着することで絶縁性能が低下する場合があった。
本実施形態では、摺動材13が低摩擦で摺動特性に優れるため、上記密閉性を保つことができる。このため、多数回の開極閉極による摺動動作において、可動シリンダ7とマルチラムバンド接点14とが擦れ合ってこれらの粉塵が生じても、当該粉塵が絶縁筒23等の絶縁部材に付着することがなくなるので、当該粉塵が付着することによる絶縁性能の低下を防止することができる。
(効果)
(1)本実施形態では、摺動材13を、母材15と、母材15の表面に多価イオンをイオン注入して形成したイオン注入層16とにより構成した。これにより、低摩擦で摺動特性の良い摺動材13を得ることができ、多数回の開極閉極による摺動動作においても高い摺動性能を有する摺動材13を得ることができる。
(2)母材15の材料をPTFE若しくはPEEKとしたことにより、摺動性の良い摺動材13を得ることができる。また、母材15の材料をPTFE若しくはPEEKとしたことにより、金属同士を摺動させた場合と比較して、多数回の摺動動作の際に生じる絶縁上問題となる金属粉の発生を抑制することができる。また、母材15の材料をPTFE若しくはPEEKする場合であっても、イオン注入層16は多価イオンのイオン注入により、母材15内部の組成が変化し、SFガスなどのガス雰囲気中でも母材15の膨潤を防止することができる。
(3)多価イオンをB(ボロン)、BN(窒化ボロン)、C(カーボン)のうち、少なくともいずれか1種類を含んで構成することにより、母材15内部には緻密な分子構造が形成され、低摩擦で摺動特性の優れた摺動材13を得ることができる。また、イオン注入層16が緻密な構造になるため、イオン注入層16からのガスの浸入を防止できる。従って、母材15表面全体にイオン注入層16を形成することで、母材15全面でガスバリア性を得ることができる。その結果、母材15の膨潤を防止することができる。
(4)本実施形態の摺動材13を用いたガス遮断器によれば、摺動材13が摺動特性に優れるので、可動シリンダ7、操作ロッド12等の可動接触部4をより低エネルギーで操作することができる。そのため、機構部11を大型化することなく、ガス遮断器の小型化を図ることができる。
[第2の実施形態]
(構成)
第2の実施形態について、図4を用いて説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同じである。第1の実施形態と異なる点のみを説明し、第1の実施形態と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図4は、第2の実施形態に係る摺動材の一部断面図である。第2の実施形態に係る摺動材13は、イオン注入層16の厚みの点で異なる。すなわち、イオン注入層16は、母材15の表面全体に形成される点で第1の実施形態と共通しているが、摺動面17におけるイオン注入層16が、他の部分のイオン注入層16よりも厚くなっている。
(作用効果)
本実施形態に係るガス遮断器は、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。本実施形態では、摺動面17におけるイオン注入層16の厚みを、他の部分よりも厚くしたことにより、摺動面17において磨耗が生じた場合でも摺動特性をより長く維持することができる。これにより、多数回の開極閉極による摺動動作においても高い摺動性能を有する摺動材13を得ることができる。本実施形態の摺動材13を用いることにより、機構部11を大型化することなく、ガス遮断器の小型化を図ることができる。
[第3の実施形態]
(構成)
第3の実施形態について、図5を用いて説明する。第3の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同じである。第1の実施形態と異なる点のみを説明し、同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図5は、第3の実施形態に係る摺動材13の一部断面図である。図5に示すように、摺動材13のイオン注入層16は、摺動面17における部分のみに形成されており、他の部分については形成されていない。当該イオン注入層16が形成されていない部分が、ピストン19の外周面及び内周面に設けられた溝、サポート33の摺動部33aに設けられた溝等に嵌合している。すなわち、イオン注入層16が形成されていない部分は密閉容器1内に露出しないようになっている。
(作用効果)
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。すなわち、母材15表面において、特に低摩擦の摺動性が要求されるのは摺動面17である。摺動面17におけるイオン注入層16以外の部分については、当該部分が、ピストン19の外周面及び内周面に設けられた溝、サポート33の摺動部33aに設けられた溝等に嵌合されているので、当該部分は密閉容器1内のガス雰囲気中には露出せず、また、摺動面17を含み露出する部分についてはイオン注入層16が形成されているので、母材15へのSFガスなどの消弧性ガスの侵入を摺動材13全体として防止することができる。そのため、摺動性が要求される部分だけに対してイオン注入すれば良いので、製造コストを削減でき、また生産性を向上させることができる。
[その他の実施形態]
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。具体的には、第1乃至第3の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせたものも包含される。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
(1)第1乃至第3の実施形態で示した摺動材13は、多価イオンの価数と当該多価イオンを加速させる加速エネルギーをコントロールすることで注入深さを制御して製造することができる。加速エネルギーは、例えば、多価イオンに電圧を印加することで与えることができる。このように、注入するイオン価数と、当該イオン価数に対して加速エネルギーをコントロールすることで、深さ方向におけるイオン注入量の不均一が低減でき、イオン注入層の厚みを一定にすることができる。これにより、摺動特性の安定した摺動材を製造することができる。
(2)第1乃至第3の実施形態では、固定接点部3を固定して、可動接点部4のみ軸方向に移動させるよう構成したが、固定接点部3に対して可動接点部4が相対的に移動するように、固定接点部3も軸方向に移動させ、相対的開極速度を向上させようとするいわゆるデュアルモーション機構にしても良い。
(3)第1乃至第3の実施形態では、機構部11による機械的作用による蓄圧空間を有するガス遮断器を示したが、本発明には、機械的作用の蓄圧空間と熱エネルギー作用による蓄圧空間を有するガス遮断器に対しても適用可能である。
1 密閉容器
2a、2b 導体
3 固定接点部
4 可動接点部
5 固定アーク接触子
6 固定通電接触子
7 可動シリンダ
7a 貫通孔
8 可動アーク接触子
9 絶縁ノズル
10 可動通電接触子
11 機構部
12 操作ロッド
13 摺動材
14 マルチラムバンド接点
15 母材
16 イオン注入層
17 摺動面
19 ピストン
19a ピストン支え
20 蓄圧空間
22 絶縁ロッド
23 絶縁筒
31 固定支え
32 支持部
33 サポート
33a 摺動部
34 絶縁支持台

Claims (7)

  1. ガス遮断器において、互いに接触し相対的に摺動可能である部材間に配置されるガス遮断器用の摺動部材であって、
    前記摺動部材は、母材と、前記母材の表面の少なくとも一部にイオン注入されて形成されたイオン注入層と、を有し、
    前記イオン注入層は、多価イオンがイオン注入されて形成されていることを特徴とするガス遮断器用の摺動部材。
  2. 前記母材は、前記相対的に摺動可能である部材と摺動可能に接触する摺動面を有し、
    前記イオン注入層は、前記摺動面を含んで前記母材表面に形成され、
    前記摺動面における前記イオン注入層が、他の部分の前記イオン注入層よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載のガス遮断器用の摺動部材。
  3. 前記イオン注入層は、前記母材の表面全体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス遮断器用の摺動部材。
  4. 前記母材の材料は、PTFE若しくはPEEKであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス遮断器用の摺動部材。
  5. 前記多価イオンは、B(ボロン)、BN(窒化ボロン)、C(カーボン)のうち、少なくともいずれか1種類を含んでなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス遮断器用の摺動部材。
  6. 前記イオン注入層の厚みが一定であることを特徴とする請求項1、3〜5のいずれか1項に記載のガス遮断器用の摺動部材。
  7. 通電又は遮断を切り替えて電路を開閉するガス遮断器であって、
    消弧性ガスが充填された密閉容器と、
    前記密閉容器内に配置され、前記遮断過程において、互いを開離させて両方の間にアークが発生する第1のアーク接触子及び第2のアーク接触子と、
    前記密閉容器内に配置され、一端面が有底の筒形状のシリンダと、
    前記シリンダ内に前記一端面と対面するように嵌めこまれた、開口を有する平板であるピストンと、
    前記開口を摺動可能に貫通して前記シリンダ内に挿通され、前記シリンダを移動させる操作ロッドと、
    前記ピストンの外周面及び内周面の少なくともいずれか一方に設けられた溝に、前記シリンダ又は前記操作ロッドが摺動可能に配置された摺動部材と、を備え、
    前記シリンダを移動させることで、前記シリンダ内で前記消弧性ガスを蓄圧し、前記アークを消弧させるためのガス流を発生させ、
    前記摺動部材は、母材と、前記母材の表面の少なくとも一部に多価イオンがイオン注入されて形成されたイオン注入層と、を有することを特徴とするガス遮断器。
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