JP7221460B1 - 開閉装置 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、このアークを効率的に消弧する消弧性能の向上とともに、都市部の地下変電所への適用や経済性の向上に向け、ガス絶縁開閉装置のコンパクト化が求められてきた。アークの消弧性能をさらに高めるために、例えば、操作装置の操作力を強化すること、アークへのガス吹き付け機構を別途設けること等が挙げられるが、開閉装置の機器体格が巨大化してしまう。
特許文献1に記載されているアーク磁気駆動方式は、固定電極と可動電極と別に設けられたスパイラル電極が電極開極時に生成する磁場によって、電極間に発生するアークを回転駆動してアークの消弧性能を向上する方法である。また、特許文献1に記載されているアブレーション冷却方式は、電極のアーク発生部近傍に絶縁カバーを取り付け、アークがスパイラル電極での磁気駆動により絶縁カバーに接触することで絶縁カバーからアブレーションガスが発生してアークを冷却する方式である。
特許文献1に係る発明のスパイラル電極を用いた磁気駆動では、アーク時間の延長によるスパイラル電極の消耗が増え、磁気駆動の効果が薄れてしまうため、アークの消弧性能が低下する問題点があった。
図1、2、3は実施の形態1に係る開閉装置100における、閉極状態、内部空間における遮断途中の開極状態、および開極動作がさらに進み内部空間から抜けた開極状態をそれぞれ示す。図1、2、3は、一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における断面を示す概略図である。
図1に示すように、開閉装置100は、絶縁性ガスが封入されたタンク50内に、開口5を有する電極収容部2と、電極収容部2の内部に設けられた第1電極1aと、電極収容部2の開口5に挿脱可能に嵌合し、電極収容部2の内部に第1電極1aと接離する第2電極1bとを有する。
また、図1に示すように、第1電極1aと第2電極1bとは対向して配置され、互いに接触または離間する一対の同径の電極となる。例えば、第1電極1aを一対の電極のうちの一方の電極とし、第1電極1aに対向して第1電極1aと接触または離間する第2電極1bを他方の電極となる。
電極収容部2はアブレーションガスが発生する消弧部材を有する。消弧部材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、パーフルオロエーテル系重合体、フッ素エラストマー、及び4ービニルオキシー1ーブテン(BVE)環化重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を用いる。
なお、ここでは、電極収容部2の全体を消弧部材で構成した例を示しているが、電極収容部2はその他の部材で形成した円筒部の径方向内側の表面に消弧部材を設けたものであってもよい。また、消弧部材は、電極収容部2の径方向内側の全周に設けられてもよいし、全周の一部にのみ設けられてもよい。なお、以下では、この電極収容部2の全体が消弧部材で構成される場合を例として説明する。
第1電極1aと第2電極1bとが互いに一定の距離まで離間し、閉空間4が形成されたままで第1電極1a、第2電極1b間の開極動作が進む。ここで、一定の距離とは、閉空間4が最大容積となる第1電極1aと第2電極1bとの間の距離である。
電極収容部2は、第2電極1b側の端部となる電極収容部端部2aに開口5を有する。図2は第2電極1bが電極収容部端部2aと接触した状態を示す。第2電極1bが電極収容部端部2aの開口5から離れる直前に形成された閉空間4は最大容積を有する。閉空間4は、第2電極1bの外径面と電極収容部2の内径面との接触により閉塞される。
閉空間4が形成されている開極動作の期間において、アーク3の全側面が電極収容部2で覆われている閉空間4に曝されているため、電極収容部2はより効率的にアーク放電光を受け取ることができ、アブレーションガスの発生量が増加する。タンク50内の閉空間4の外部の空間における圧力に比べて、アブレーションガスの増加によって閉空間4内の圧力がより高圧化される。
なお、前述のように、アークによりアブレーションガスが発生することができれば、電極収容部2の径方向内側の一部、例えば、閉空間4に露出する表面が、消弧部材で構成されても良い。或は、第1電極1aと第2電極1bとのうち、少なくとも一方の閉空間4に露出する表面が、消弧部材で構成されても良い。電極または電極収容部がアブレーションガスを発生する消弧部材を含むため、簡潔な構造により消弧作用を行う。
第2電極1bは図示左側の開極方向となる第1電極1aと反対方向にさらに移動して開極状態が進み、第1電極1aと第2電極1bが互いに離間した距離が一定の距離を超えると、第2電極1bと電極収容部端部2aとの間に閉空間4から閉空間4の外部の空間に開放する開口5が現れる。アーク3を消弧するアーク消弧手段として、閉空間4から開放する開空間となった瞬間、第2電極1bが開口5から離間することにより形成される、第2電極1bと開口5の間の隙間から、閉空間4内の高圧化されたガスが外部方向に、一気に放出され、多量のガスがアーク3に吹き付けられる。このアーク消弧手段により、アーク3が消弧される。
また、例えば、第1電極1aおよび第2電極1bの電極消耗で金属蒸気が発生しても、閉空間4内の圧力をさらに上昇させ、アーク3に吹き付けるガス吹付量が増加するため、消弧性能の向上に寄与する。
アークの磁気駆動機構であるスパイラル電極に依存したアークの消弧性能を向上する方法ではなく、スパイラル電極の電極消耗に起因するアークの消弧性能の低下が防止される。また、スパイラル電極を使用することにより機器体格の大型化、複雑化を抑制し、簡潔な構造により装置の小形軽量化が図れる。
実施の形態2では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態2に係る開閉装置200について説明する。
図4は、実施の形態2に係る開閉装置200において、一対の電極が互いに離間する直前に互いに接触した閉極状態を示す概略断面図である。
図4に示すように、開閉装置200は、絶縁性ガスが封入されたタンク50内に、開口5を有する電極収容部2と、電極収容部2の内部に設けられた第1電極1aと、電極収容部2の開口5に挿脱可能に嵌合し、電極収容部2の内部に第1電極1aと接離する第2電極1bとを有する。
図4に示すように、第1電極1aと第2電極1bはそれぞれ対向する端部として、第1電極端部21aと第2電極端部21bを有する。
閉極状態から開極状態に遷移する際に、第2電極1bは図示左側の開極方向となる第1電極1aと反対方向に移動する。図4に示した状態は、第1電極1aと第2電極1bとが離間する直前に、第2電極端部21bが第1電極端部21aと互いに接触した閉極状態となる。
第1電極1a、第2電極1bが互いに接触した閉極状態において、第2電極端部21bは第1電極1aと電極収容部2との間に延伸し、第1電極1aの第1電極端部21aは第2電極1bの第2電極端部21bの内側に挿入し、第1電極1aと第2電極1bとが互いに嵌合している。
第2電極1bが図示左側の開極方向となる第1電極1aと反対方向に移動し、電極が開離した同時に電極の間にアーク3が点弧する。すなわち、閉空間4において第1電極端部21aと第2電極端部21bとの間にアーク3が発生する。一定の距離まで第1電極1aと第2電極1bとが互いに離間し、閉空間4が形成されたままで第1電極1a、第2電極1b間の開極動作が進む。
この開極動作が進む期間に、アーク3が電極収容部2に触れること、またはアーク3の放電に伴う光となるアーク放電光の照射により、電極収容部2からアブレーションガスが発生する。閉空間4にアブレーションガスおよび絶縁性ガスを含むガスが貯留される。このアブレーションガスの増加により、アーク3の冷却が促進される。また、閉空間4においてアブレーションガスの増加により圧力が高圧化される。
図7(a)、(b)に示すように、閉空間4から開空間となった瞬間、第2電極1bと開口5の間の隙間から外部へのガスの流れは、実線の矢印で示す第1ガス流れ方向25aと、点線の矢印で示す第2ガス流れ方向25bとを有する。第1ガス流れ方向25aは、第2電極端部21bの内側の空間から、第2電極端部21bと開口5との隙間に向かって外部へ流れる方向となる。第2ガス流れ25b方向は、電極収容部2と第1電極1aの間の空間から、第2電極端部21bと開口5との隙間に向かって外部へ流れる方向となる。
第1ガス流れ方向25aと第2ガス流れ方向25bとの2通路のガス流がアーク3に吹き付けることにより、図7(b)に示すようにアーク3は径が細くなったアーク3aになる。アークの径が絞られることにより、アーク抵抗が上昇し、遮断しやすくなり、消弧性能が向上できる。
また、実施の形態1に比べて、電極収容部2から発生したアブレーションガスの量とガスの貯留空間が増加するため、アーク3を冷却する効果が高くなり、アーク3に吹き付けられるガス量が増加する。さらに、2通路のガス流でアーク3に吹き付けられるため、消弧性能をさらに高めることができる。
実施の形態3では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態3に係る開閉装置300について説明する。
図8は、実施の形態3に係る開閉装置300において、一対の電極が互いに離間する直前に互いに接触した閉極状態を示す概略断面図である。
図8に示すように、開閉装置300は、絶縁性ガスが封入されたタンク50内に、開口5を有する電極収容部2と、電極収容部2の内部に設けられた第1電極1aと、電極収容部2の開口5に挿脱可能に嵌合し、電極収容部2の内部に第1電極1aと接離する第2電極1bとを有する。
図8に示すように、第1電極1aと第2電極1bはそれぞれ対向する端部として第1電極端部31aと第2電極端部31bを有する。
閉極状態から開極状態に遷移する際に、第2電極1bは図示左側の開極方向となる第1電極1aと反対方向に移動する。図8に示した状態は、第1電極1aと第2電極1bとが離間する直前に、第2電極端部31bが第1電極端部31aと互いに接触した閉極状態となる。
第1電極1a、第2電極1bが互いに接触した閉極状態においては、第1電極端部31aは第2電極端部31bと電極収容部2との間に延伸し、第2電極端部31bが第1電極端部31aの内側に挿入し、第1電極1aと第2電極1bとが互いに嵌合している。
第2電極1bが図示左側の開極方向となる第1電極1aと反対方向に移動し、電極が開離した同時に電極の間にアーク3が点弧する。すなわち、閉空間4において第1電極端部31aと第2電極端部31bとの間にアーク3が発生する。一定の距離まで第1電極1aと第2電極1bとが互いに離間し、閉空間4が形成されたままで第1電極1a、第2電極1b間の開極動作が進む。
この開極動作が進む期間に、アーク3が電極収容部2に触れること、またはアーク3の放電に伴う光となるアーク放電光の照射により、電極収容部2からアブレーションガスが発生する。閉空間4にアブレーションガスおよび絶縁性ガスを含むガスが貯留される。このアブレーションガスの増加により、アーク3の冷却が促進される。また、閉空間4においてアブレーションガスの増加により圧力が高圧化される。
図11(a)、(b)に示すように、閉空間4から開空間となった瞬間、第2電極1bと開口5の間の隙間から外部へのガスの流れは、実線の矢印で示すガス流れ方向35を有する。ガス流れ方向35は、第1電極端部31aと第2電極端部31bとの間の空間から、第2電極1bと開口5との隙間に向かって外部へ流れる方向となる。
ガス流れ方向35はアーク3と直交するため、図11(a)に示すアーク3の状態から図11(b)に示す電極収容部2側に伸びるアーク3bとなる。アーク3bの長さが伸びることにより、アーク抵抗が上昇し、遮断しやすくなり、消弧性能が向上できる。
実施の形態4では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態4に係る開閉装置について説明する。
図12は実施の形態4に係る開閉装置400の一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における開極状態の断面を示す概略図である。図12は、開閉装置400の完全に開極した絶縁状態を示す。
実施の形態1に係る開閉装置100の電極に比べ、実施の形態4に係る開閉装置400では、電極の内部にアークに対して直交する方向の成分を有する磁場を発生する発生源となる磁場発生部が設けられている。
第1永久磁石7aと第2永久磁石7bの極性は斥力が働く向きであれば、配置位置に図示位置の限りではなく、例えば、第1永久磁石7aと第2永久磁石7bがそれぞれ第1電極1aと第2電極1bの外側、または電極収容部2の外側に配置された電界緩和部材に設置されても良い。また、第1電極1aと第2電極1bの一方のみにアークに対して直交する方向の成分を有する磁場を発生する磁場発生部が設けられても良い。例えば、図12に示す第1永久磁石7aと第2永久磁石7bのうち、一つのみを取り付けても同様の効果が得られる。
この場合、第1電極1aと第2電極1bとの間に発生したアークに対して直交する方向の成分を有する第1磁場6aと第2磁場6bにより生成されるローレンツ力によって、アークが磁気駆動され、冷却されるため、アークの消弧性能が向上できる。また、アークが磁気駆動されることにより、回転して電極収容部2に接触するため、アブレーションガスの発生量が増加し、閉空間の内圧が上昇する。アークに吹き付けられるガス量が増加するため、アークの消弧性能が向上できる。
さらに、アークが磁気駆動されて回転することにより、電極表面の温度を低下させ、かつ、消弧性能の向上によりアーク時間が短くなるため、電極の消耗も防止することができる。
また、アークに対して直交する方向の成分を有する磁場を生成する永久磁石の適用により、アークが磁気駆動され、消弧性能をさら向上することが可能である。
実施の形態5では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態5に係る開閉装置について説明する。
図13は実施の形態5に係る開閉装置500の一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における開極状態の断面を示す概略図である。図13は、開閉装置500の完全に開極した絶縁状態を示す。
実施の形態4では、電極の内部または外側に設けられた永久磁石により、アークに対して直交する方向の成分を有する磁場を生成するが、実施の形態5に係る開閉装置500では、磁場の発生源となる磁場発生部は、電極の内部に設けられた磁性体、および、電極または電極収容部の外側に設けられた永久磁石を用い、アークに対して直交する方向の成分を有する磁場を発生する。
電界緩和部材となる第1電界緩和部材9aと第2電界緩和部材9bは、電極以外の箇所の電界集中を防ぐ効果があり、一般的に、断路器や接地開閉器などに取り付けられている。図13において、第2電界緩和部材9bが第1電極1aを覆う電極収容部2の外側に配置されている。
このように、第1磁性体8aと第1永久磁石7aとの組み合わせ、および、第2磁性体8bと第2永久磁石7bの組み合わせにより、アークに対して直交する方向の第1磁場6aおよび第2磁場6bの強度が増加する。
また、アークに対して直交する方向の成分を有する磁場が生成できれば、磁場発生部は、図13に示す例のほかに、例えば、電極の内部に設けられた磁性体と電極の外側に配置された電界緩和部材に設けられた永久磁石との組み合わせ、或は、電極の内部および電極の外側に配置された電界緩和部材にそれぞれ設けられた永久磁石の組み合わせを用いても良い。
実施の形態6では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態6に係る開閉装置について説明する。
図14は実施の形態6に係る開閉装置600の一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における開極状態の断面を示す概略図である。図14は、開閉装置600の完全に開極した絶縁状態を示す。
実施の形態1に係る開閉装置100の電極に比べ、実施の形態6に係る開閉装置600では、電極にアーク放電光によりアブレーションガスが発生する消弧部材が設けられている。
第1電極端部61aの表面に消弧部材である第1消弧部材10aが取り付けられている。第2電極端部61bの表面に消弧部材である第2消弧部材10bが取り付けられている。第1消弧部材10a、第2消弧部材10bは電極収容部2と同じアブレーションガスが発生する消弧部材を使用することができる。
第1電極1aと第2電極1bが互いに離間することにより、第1電極1a、第2電極1bと電極収容部2が形成された閉空間において第1電極1aと第2電極1bとの間にアークが発生し、アーク放電光によって、電極収容部2からアブレーションガスが発生する。また、アークが第1消弧部材10aおよび第2消弧部材10bに触れること、またはアーク放電光の照射により、第1消弧部材10aおよび第2消弧部材10bからアブレーションガスが発生する。
第1電極1a、第2電極1bと電極収容部2が形成された閉空間において、電極収容部2の消弧部材のほかに、電極に設けられた消弧部材からもアブレーションガスが発生するため、アブレーションガスの発生量が増加し、閉空間の内圧がさらに上昇する。これによりアークを冷却する効率およびアークにガス吹き付ける効率が向上できる。
また、図14において、消弧部材は電極がお互い接触する端部の表面に設けられているが、閉空間において、アーク放電光によりアブレーションガスを発生することができれば、設置位置はこの限りではない。
また、アーク放電光により電極に設けられた消弧部材からもアブレーションガスが発生するため、実施の形態1に比べて、アークを冷却する効率およびアークにガス吹き付ける効率が向上でき、消弧性能をさら向上することが可能である。
実施の形態7では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態7に係る開閉装置について説明する。
図15は実施の形態7に係る開閉装置700の一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における開極状態の断面を示す概略図である。図15は、開閉装置700の完全に開極した絶縁状態を示す。
第2電極1bが第1電極1aと接触または離間するように図示左右方向に移動する。図示左側の離間する開極方向において、電極収容部2は、開口5側の端部となる電極収容部端部72aを有する。図15に示すように、電極収容部端部72aは内径面がテーパー形状に形成されている。
電極収容部端部72aの内径面がテーパー形状に形成されたことにより、アークに吹き付けられるガスが電極収容部端部72aのテーパー形状の内径面に沿って放出されるため、ガス流速が増大する。
また、電極収容部の内径面がテーパー形状に形成されてため、実施の形態1に比べて、アークに吹き付けるガス流速が増大し、消弧性能をさら向上することが可能である。
実施の形態8では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態8に係る開閉装置について説明する。
図16は実施の形態8に係る開閉装置800の一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における開極状態の断面を示す概略図である。図16は、開閉装置800の完全に開極した絶縁状態を示す。
実施の形態7において、電極収容部の端部の内径面がテーパー形状に形成されていることに対して、実施の形態8において、図16に示すように、電極収容部2の開口5側の端部となる電極収容部端部82aは内径面がR形状に形成されている。
電極収容部端部82aの内径面がR形状に形成されたことにより、アークに吹き付けられるガスが電極収容部端部82aのR形状の内径面に沿って放出されるため、ガス流速が増大する。
実施の形態9では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態9に係る開閉装置について説明する。
図17は実施の形態9に係る開閉装置900の一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における開極状態の断面を示す概略図である。図17は、開閉装置900の完全に開極した絶縁状態を示す。
第2電極1bが第1電極1aと接触または離間するように図示左右方向に移動する。図示左側の離間する開極方向において、電極収容部2は、開口5側の端部となる電極収容部端部92aを有する。図17に示すように、電極収容部端部92aは内径面に溝が形成されている。
電極収容部端部92aの内径面に溝が形成されたことにより、アークに吹き付けられるガスは電極収容部端部92aの溝を有する内径面を通って放出されるため、ガスに乱流が発生する。
例えば図17では、電極収容部端部92aの内径面の溝は、電極収容部端部92aの内径面の周方向に延伸するように設けられるが、第2電極1bの移動方向に交わる方向に延伸していればよく、これにより、閉空間から開空間へのガスの流れ方向に対して乱流を形成でき、アークが冷却されやすくなる。なお、当該溝は電極収容部端部92aの内径面の全周に設けられてもよいし、当該全周の一部に設けられてもよい。
また、電極収容部の内径面に溝が形成されたため、実施の形態1に比べて、ガスがアークに吹き付ける際に乱流が発生し、アークが冷却されやすくなり、消弧性能をさら向上することが可能である。
実施の形態10では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態10に係る開閉装置について説明する。
図18、19、20に実施の形態10に係る開閉装置1000における、閉極状態、閉空間における遮断途中の開極状態、および開極動作がさらに進み閉空間から抜けた開極状態をそれぞれ示す。図18、19、20は、一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における断面を示す概略図である。
図18に示すように、開閉装置1000は、絶縁性ガスが封入されたタンク50内に、開口5を有する電極収容部2と、電極収容部2の内部に設けられた第1電極1aと、電極収容部2の開口5に挿脱可能に嵌合し、電極収容部2の内部に第1電極1aと接離する第2電極1bとを有する。
第2電極端部101bの外径面が、電極収容部端部102aの内径面の形状に沿って形成されている。
図19において、第2電極端部101bが第1電極1aと離間し、電極収容部2の電極収容部端部102aに接近した状態となる。第2電極1bが図示左側の開極方向となる第1電極1aと反対方向に移動し、電極が開離した同時に電極の間にアーク3が点弧する。すなわち、閉空間4において第1電極1aと第2電極1bとの間にアーク3が発生する。一定の距離まで第1電極1aと第2電極1bとが互いに離間し、閉空間4が形成されたままで第1電極1a、第2電極1b間の開極動作が進む。
第2電極1bが第1電極1aに対して反対方向にさらに移動して開極状態が進み、第1電極1aと第2電極1bが互いに離間した距離が一定の距離を超えると、第2電極1bの第2電極端部101bと電極収容部端部102aとの間に閉空間4から開空間に開放する開口5が現れる。アーク3を消弧するアーク消弧手段として、閉空間4から開放する開空間となった瞬間、第2電極1bが開口5から離間することにより形成される、第2電極1bと開口5の間の隙間から、閉空間4内の高圧化されたガスが外部方向に、一気に放出され、多量のガスがアーク3に吹き付けられる。このアーク消弧手段により、アーク3が消弧される。
第2電極端部101bの外径面が、電極収容部端部102aの内径面の表面形状に沿って形成されている。図20に示すように、例えば、第2電極端部101bの外径面と電極収容部端部102aの内径面は互いに対向して平行するテーパー面を有する。これにより、閉空間4から、開口5へ吹き付けられたガスの流路の幅が一定であるため、ガス流速が増大し、アーク3の消弧性能が向上する。
また、実施の形態1に比べて、閉空間4から開口5へ吹き付けられたガス流路の幅が一定であるため、アーク3に吹き付けるガスの流速が増大し、消弧性能をさらに高めることができる。
実施の形態11では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態11に係る開閉装置1100について説明する。
図21は実施の形態11に係る開閉装置1100の開極状態を示す概略断面図であり、開閉装置1100の完全に開極した絶縁状態を示す。
実施の形態1に係る開閉装置100の電極に比べ、実施の形態11に係る開閉装置1100では、閉空間4に面する電極の表面から内側に凹む凹部がガスの貯留空間となるガス溜め部として形成されている。
ガス溜め部として、第1電極端部111aの表面に第1ガス溜め部11aが形成されており、第2電極端部111bの表面に第1ガス溜め部11aが形成されている。図21に示す第1ガス溜め部11aと第2ガス溜め部11bは一対の電極の互いに対向する面に設けられている。
第1電極1aと第2電極1bは、互いに接触した閉極状態から一定の距離まで離間し、電極収容部2と密封する閉空間が形成される。第1ガス溜め部11aと第1ガス溜め部11aは、第1電極1aと第2電極1bの互いに離間した距離が一定の距離以下の場合、第1電極1a、第2電極1bと電極収容部2が形成された閉空間の一部である。
すなわち、第1電極1a、第2電極1bおよび電極収容部2が形成された閉空間において、第1ガス溜め部11aと第2ガス溜め部11bは、ガスの貯留空間として閉空間の一部であり、閉空間の合計容積はガス溜め部の容積が含まれるため、閉空間の最大容積が大きくなる。
また、第1電極1aと第2電極1bとのうち、少なくとも一方の表面にガス溜め部として凹部が形成されると、閉空間の最大容積を増やすことができる。例えば、図21に示す第1ガス溜め部11aと第2ガス溜め部11bの片方のみを設置しても良い。
また、図21に示すガス溜め部は電極の互いに対向する端部の表面から内側に凹むように設けられているが、閉空間が形成される際に、ガス溜め部はガスの貯留空間として閉空間の一部であれば、設置位置はこの限りではない。例えば、実施の形態2、または3に示す電極の端部が異径の場合において、ガス溜め部として電極の電極収容部に対向する側面に凹部が設置されても良い。
また、実施の形態1に比べて、閉空間の最大容積がより大きくなることで、閉空間からアーク3に吹き付けるガス量が増加するため、消弧性能をさらに高めることができる。
実施の形態12では、本開示の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を使用し、同一または対応する部分についての説明は省略する。以下、図面を参照して、実施の形態12に係る開閉装置1200について説明する。
図22は実施の形態12に係る開閉装置1200の一対の電極が接触または離間する移動方向となる図示左右方向における開極状態の断面を示す概略図である。図22は、開閉装置1200の完全に開極した絶縁状態を示す。
実施の形態1に係る開閉装置100の電極に比べ、実施の形態12に係る開閉装置1200では、電極に閉空間と閉空間の外部の空間を連通する通気部が形成されている。
通気口12aは、第1電極1aに対向する第2電極1bの端部の表面に設けられている。第1電極1aと第2電極1bは、互いに接触した閉極状態から一定の距離まで離間し、電極収容部2と密封する閉空間が形成された際に、通気口12aが閉空間に露出していることに対して、第2電極1bは、閉空間の外部の空間に露出するように形成されている。
これにより、第1電極1aと第2電極1bの互いに離間した距離が一定の距離以下の場合、通気部12は、通気口12a、12bを介して閉空間と閉空間の外部の空間とを連通させる。
アークを消弧した後に閉空間の外部の空間に対して閉空間内が負圧力になった場合、第1電極1aと第2電極1bとが引き付けられ、開極できない場合がある。
通気部12に設けられた逆止弁により、閉空間から閉空間の外部の空間への方向におけるガスの流動を阻止し、閉空間と閉空間の外部の空間との圧力差が所定の圧力差以上となると、閉空間の外部の空間から閉空間内への方向におけるガスの流動を開通する。ガスが通気部12を通って閉空間の外部の空間から、閉空間内へ流入することにより、閉空間内の圧力を電極の開閉可能な正常状態に戻すことができる。
逆止弁を取り付けた場合、例えば、閉空間と閉空間の外部の空間との圧力差が所定の圧力差として2%以上になると閉空間の外部の空間から閉空間内への方向におけるガスの流動を開通する。ただし、ここでいう所定の圧力差は、この2%に限るものではなく、例えば5%以上、10%以上であってもよい。
また、閉空間と閉空間の外部の空間を連通させ、逆止弁が設けられた通気部が形成されているため、電極間の開離を制御でき、閉空間内の圧力により開極異常を防止できる。
Claims (16)
- 開口を有する電極収容部と、
前記電極収容部の内部に設けられた第1電極と、
前記電極収容部の前記開口に挿脱可能に嵌合し、前記電極収容部の内部で前記第1電極と接離する第2電極とを備え、
前記電極収容部は前記第1電極と前記第2電極の間に発生するアークにより、アブレーションガスを発生する消弧部材を有し、
前記第1電極と前記第2電極が互いに接触した状態から離間し、一定の距離まで離間する間、前記第1電極、前記第2電極および前記電極収容部により形成された閉空間内に前記アブレーションガスを含むガスが貯留され、
前記第1電極と前記第2電極の互いに離間した距離が前記一定の距離を超えると、前記第2電極が前記第2電極よりも外側に位置する前記開口から離間することにより形成される、前記第2電極と前記開口の間の隙間から、前記閉空間内の前記ガスが放出され、前記ガスが前記アークに吹き付けられ、
前記第1電極と前記第2電極の間に発生するアークに対して、前記第2電極と前記開口の間の隙間から、前記閉空間内の前記ガスが交わる方向に放出されることを特徴とする開閉装置。 - 前記電極収容部が、
前記第1電極と前記第2電極の間に発生するアークにより、アブレーションガスを発生し、前記第1電極と前記第2電極とが接触した状態の位置から前記開口まで、前記第1電極および前記第2電極を周方向に覆う前記消弧部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。 - 前記電極収容部の前記閉空間に露出する表面が、前記消弧部材で構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉装置。
- 前記第1電極と前記第2電極とのうち、少なくとも一方の前記閉空間に露出する表面が、前記消弧部材で構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記第1電極と前記第2電極とのうち、一方の端部は、他方と前記電極収容部との間に向かって突出し、他方の外径より大きい内径を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記アークに対して直交する方向の成分を有する磁場を発生する磁場発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記磁場発生部は、前記第1電極と前記第2電極とのうちに、少なくとも一方の中に配置された永久磁石であることを特徴とする請求項6に記載の開閉装置。
- 前記磁場発生部は、前記第1電極と前記第2電極とのうちに、少なくとも一方の中に配置された磁性体と、前記閉空間の外部の空間に配置された永久磁石とを有することを特徴とする請求項6に記載の開閉装置。
- 前記電極収容部の前記開口側の内径面がテーパー形状に形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記電極収容部の前記開口側の内径面がR形状に形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記電極収容部の前記開口側の内径面に溝が形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記第2電極の外径面は、前記電極収容部の前記開口側の内径面の表面形状に沿って形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記第1電極と前記第2電極とのうち、少なくとも一方の表面に、ガス溜め部として凹部が形成されており、
前記ガス溜め部は前記第1電極と前記第2電極の互いに離間した距離が前記一定の距離以下の場合、前記閉空間の一部であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の開閉装置。 - 前記閉空間と前記閉空間の外部の空間とを連通する通気部が形成されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の開閉装置。
- 前記通気部は前記第2電極に形成されていることを特徴とする請求項14に記載の開閉装置。
- 前記通気部に逆止弁が設置されており、
前記通気部は、前記逆止弁により、前記閉空間から前記外部の空間への方向におけるガスの流動を阻止し、前記閉空間と前記外部の空間との圧力差が所定の圧力差以上になると、前記外部の空間から前記閉空間内への方向におけるガスの流動を開通することを特徴とする請求項14または15に記載の開閉装置。
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