JP2014199732A - ニッケル水素蓄電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明にかかる電池は、Y、Pr、NdおよびSmからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含有する希土類−Ca−Mg−Ni系の水素吸蔵合金を含む負極と、ナトリウムイオンを2.0mol/l以上含むアルカリ電解液とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
前記結晶相としては、菱面体晶La5MgNi24型結晶構造からなる結晶相(以下、単にLa5MgNi24相ともいう)、六方晶Pr5Co19型結晶構造からなる結晶相(以下、単にPr5Co19相ともいう)、菱面体晶Ce5Co19型結晶構造からなる結晶相(以下、単にCe5Co19相ともいう)、六方晶Ce2Ni7型の結晶構造からなる結晶相(以下、単にCe2Ni7相ともいう)、菱面体晶Gd2Co7型の結晶構造からなる結晶相(以下、単にGd2Co7相ともいう)、六方晶CaCu5型結晶構造からなる結晶相(以下、単にCaCu5相ともいう)、立方晶AuBe5型結晶構造からなる結晶相(以下、単にAuBe5相ともいう)、菱面体晶PuNi3型結晶構造からなる結晶相(以下、単にPuNi3相ともいう)等を挙げることができる。
なかでも、前記結晶相の積層中にGd2Co7相およびCe2Ni7相を含有する水素吸蔵合金が好適に使用される。Gd2Co7相およびCe2Ni7相が積層されてなる水素吸蔵合金は、各結晶相間の膨張収縮率の差が小さいために歪みが生じ難く、水素の吸蔵放出を繰り返した際の劣化が起こりにくいという優れた特性を有する。
また、La5MgNi24型結晶構造とは、A2B4ユニット間に、AB5ユニットが4ユニット分、挿入された結晶構造であり、Pr5Co19型結晶構造とは、A2B4ユニット間に、AB5ユニットが3ユニット分、挿入された結晶構造であり、Ce5Co19型結晶構造とは、A2B4ユニット間に、AB5ユニットが3ユニット分、挿入された結晶構造であり、Ce2Ni7型の結晶構造とは、A2B4ユニット間に、AB5ユニットが2ユニット分、挿入された結晶構造であり、AuBe5型結晶構造とは、A2B4ユニットのみで構成された結晶構造である。
また、Aは、希土類元素とMgからなる群より選択される何れかの元素を表し、Bは、遷移金属元素とAlからなる群より選択される何れかの元素を表すものである。
R1uR2vCawMgxNiyR3z
で表される合金が好適である。
なお、前記一般式中、R1は、Yおよび希土類元素からなる群より選択される1種又は2種以上の元素であり、好ましくは、La、およびCeからなる群より選択される1種又は2種の元素であり、R2は、Y、Pr、NdおよびSmからなる群より選択される1種又は2種以上の元素である。
また、R3は、Co、Cu、Mn、Al、Cr、Fe、Zn、V、Nb、Ta、Ti、ZrおよびHfからなる群より選択される1種又は2種以上の元素であり、好ましくは、CoおよびAlからなる群より選択される1種又は2種以上の元素である。
また、前記u、v、w、x、yおよびzは、u+v+w+x+y+z=100を満たす数であり、uは6.7≦u≦17.9が好ましく、11.3≦u≦16.7がより好ましい。vは、2.2≦u≦9.3が好ましく、2.2≦u≦7.7がより好ましい。wは、0.7≦w≦9.5が好ましく、1.1≦w≦4.4がより好ましい。xは、3.3≦x≦5.6が好ましい。yは、73.3≦y≦78.7が好ましく、74.4≦y≦78.3がより好ましい。zは、0≦z≦4.4が好ましく、0≦z≦3.3がより好ましい。
かかる添加量の範囲の組成をもつ水素吸蔵合金を使用した電池は、高い初期放電容量を達成しつつ、充放電を繰り返しても劣化が進行しにくい効果が顕著であるだけでなく、初期から10サイクル程度のサイクル充放電をおこなう間の放電容量の低下を抑制する効果も顕著となるため、好ましい。
即ち、一実施形態としての水素吸蔵合金の製造方法は、所定の組成比となるように配合された合金原料を溶融する溶融工程と、溶融した合金原料を1000K/秒以上の冷却速度で急冷凝固する冷却工程と、冷却された合金を加圧状態の不活性ガス雰囲気下で860〜1000℃の温度範囲で焼鈍する焼鈍工程とを備えたものである。
かかる観点から、該冷却方法としては急冷と称されるもの、具体的には、冷却速度が100000K/秒以上であるメルトスピニング法、冷却速度が10000K/秒程度であるガスアトマイズ法等を好適に用いることができる。
かかる焼鈍工程により、結晶格子の歪みが取り除かれ、該焼鈍工程を経た水素吸蔵合金は、最終的に、互いに異なる結晶構造を有する結晶相が2以上積層されてなる水素吸蔵合金となる。
電極製作時の水素吸蔵合金の粉砕は、焼鈍の前後のどちらで行ってもよいが、粉砕により表面積が大きくなるため、合金の表面酸化を防止する観点から、焼鈍後に粉砕するのが望ましい。粉砕は、合金表面の酸化防止のために不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
前記粉砕には、例えば、機械粉砕、水素化粉砕等が用いられる。
本発明にかかるアルカリ電解液は、ナトリウムイオン濃度が2.0mol/リットル以上である。また、ナトリウムイオン濃度が5.0〜7.0mol/リットルである場合、初期から10サイクル程度のサイクル充放電をおこなう間の放電容量の低下を抑制する効果が顕著に高くなり、好ましい。
水酸化ニッケル複合酸化物以外の添加物としては、導電改質剤としての水酸化コバルト、酸化コバルト等を用いることができ、また、前記水酸化ニッケル複合酸化物に水酸化コバルトをコートしたものや、これらの水酸化ニッケル複合酸化物の一部を酸素又は酸素含有気体、又は、K2S2O8、次亜塩素酸等の薬剤を用いて酸化したものを用いることができる。
また、添加剤としては、酸素過電圧を向上させる物質として、Y、Yb等の希土類元素の化合物や、Ca化合物を用いることができる。Y、Yb等の希土類元素は、その一部が溶解して、負極表面に配置されるため、負極活物質の腐食を抑制する効果も期待できる。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカー、炭素繊維、気相成長炭素、金属(ニッケル、金等)粉、金属繊維等の導電性材料を1種又は2種以上の混合物として含ませることができる。
これらのなかでも、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、アセチレンブラックが好ましい。導電剤の添加量は、正極又は負極の総重量に対して0.1質量%〜10質量%が好ましい。特に、アセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると、必要炭素量を削減できるため望ましい。
これらを混合する方法としては、できる限り均一な状態とし得るものが好ましく、例えば、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといった粉体混合機を、乾式、あるいは湿式で用いる方法を採用しうる。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。該結着剤の添加量は、正極又は負極の総量に対して、0.1〜3質量%が好ましい。
前記増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、キサンタンガム等の多糖類等を1種又は2種以上の混合物として用いることができる。増粘剤の添加量は、正極又は負極の総量に対して、0.1〜0.3質量%が好ましい。
これらの集電体のうち、正極用としては、アルカリに対する耐食性と耐酸化性に優れたニッケルを材料とし、集電性に優れた構造である多孔体構造の発泡体としたものを用いることが好ましい。また、負極用としては、安価で、且つ導電性に優れる鉄箔に、耐還元性向上のためニッケルメッキを施した、パンチング板を使用することが好ましい。
パンチング径は2.0mm以下、開口率は40%以上であることが好ましく、これにより、少量の結着剤でも負極活物質と集電体との密着性を高めることができる。
該セパレータの目付は、40g/m2から100g/m2が好ましい。40g/m2未満であると、短絡や自己放電性能が低下する虞があり、100g/m2を超えると単位体積当たりに占めるセパレータの割合が増加するため、電池容量が下がる傾向にある。該セパレータの通気度は、1cm/secから50cm/secが好ましい。1cm/sec未満であると、電池内圧が上昇する虞があり、50cm/secを超えると、短絡や自己放電性能が低下する虞がある。該セパレータの平均繊維径は、1μmから20μmが好ましい。1μm未満であるとセパレータの強度が低下し、電池組み立て工程での不良率が増加する虞があり、20μmを超えると、短絡や自己放電性能が低下する虞がある。
また、該セパレータは、親水化処理を施すことが好ましい。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂繊維の表面にスルフォン化処理、コロナ処理、フッ素ガス処理、プラズマ処理を施したり、これらの処理を既に施されたものを混合したものを用いても良い。特に、スルフォン化処理を施されたセパレータは、シャトル現象を引き起こすNO3-、NO2-、NH3-等の不純物や負極からの溶出元素を吸着する能力が高いため、自己放電抑制効果が高く、好ましい。
表1に示した各化学組成の原料インゴット(合金原料)を所定量秤量してルツボに入れ、減圧アルゴンガス雰囲気下で高周波溶融炉を用いて1200℃〜1600℃に加熱し、材料を溶融した。溶融後、メルトスピニング法を適用して1000K/秒以上の冷却速度で急冷し、合金を固化させた。
次に、得られた合金インゴッドを0.2MPa(ゲージ圧、以下同じ)に加圧されたアルゴンガス雰囲気下、電気炉にて930℃で5時間加熱した。
さらに、各水素吸蔵合金を平均粒径D50=50μmに粉砕し、得られた粉末を、X線回折装置(BrukerAXS社製、品番M06XCE)を用い、40kV、100mA(Cu管球)の条件下でX線回折測定を行った。さらに、リートベルト法(解析ソフト:RIETAN2000)による解析を行い、結晶相の生成割合を算出した。結晶相の生成割合を表1に示す。
上記のようにして得られた水素吸蔵合金粉末100質量部に、ニッケル粉末(INCO製#210)3質量部を加えて混合した後、増粘剤(メチルセルロース)を溶解した水溶液を加え、さらに、結着剤(スチレンブタジエンゴム)を1質量部加えてペースト状にしたものを厚さ35μmの穿孔鋼板(開口率50%)の両面に塗布して乾燥させた後、厚さ0.33mmにプレスして、負極板とした。
また、正極板には負極容量の3倍の容量をもつシンター式水酸化ニッケル電極を用いた。
セパレータを介して負極を正極で挟み込み、これらの電極に1kgfの圧力がかかるようにこれらの電極を固定して表2に示すイオン種および濃度に調整したアルカリ水溶液を注入し、開放形セルを組み立てた。
20℃で、0.1 ItA(30mA/g)で15時間の充電、休止1時間、0.2ItAでHg/HgO参照電極に対して−0.6Vまで放電をおこなう充放電サイクルを繰り返し、各サイクルにおける放電容量を測定した。この12サイクル中における最大の放電容量を負極に含まれる合金質量で除した値を「最大放電容量(mAh/g)」とし、また12サイクル目の放電容量を負極に含まれる合金質量で除した値を、「12サイクル目放電容量(mAh/g)」とした。そして、下記式に基づいて放電容量維持率を算出した。
放電容量維持率(%)=12サイクル目放電容量/最大放電容量×100
結果を表2に示す。
Claims (2)
- Y、Pr、NdまたはSmからなる群より選択される1種又は2種以上の元素を含有する希土類−Ca−Mg−Ni系の水素吸蔵合金を含む負極と、ナトリウムイオンを2.0mol/l以上含むアルカリ電解液とを備えたことを特徴とするニッケル水素蓄電池。
- 前記アルカリ電解液は、ナトリウムイオンを5.0mol/l以上7.0mol/l以下含むことを特徴とする請求項1記載のニッケル水素蓄電池。
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