JP2014199435A - ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透光性基板上に形成された半透過膜の透過率を一定にすることのできるハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、水素を含有する透光性基板上に、露光波長に対し所定の透過率を有し、窒素、遷移金属及びシリコンが含まれる半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法である。本発明は、スパッタリング法により前記透光性基板上に半透過膜を成膜する成膜工程を含む。本発明は、前記成膜工程において、透光性基板中の水素濃度に応じてスパッタリング条件を設定することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法に関する。
波長300nm以下のレーザーを光源とする露光装置に適用するフォトマスクの基板には、その波長域で高い透過率を有する合成石英ガラスが用いられている。合成石英ガラスには、その波長域の透過率を継続して維持するとともに短波長の紫外線からのダメージを防ぐため、水素分子や水酸化物イオンがドープされることがある。例えば、特許文献1には、マスクブランク用の石英ガラス基板中の水素原子濃度を1.0×1018〜1019ppmで均一化することにより、耐光性を向上させる技術が開示されている。特許文献2には、石英ガラス基板中の水素濃度を1.0×1018分子/cmとすることにより、紫外線に対する透明度の確保と維持及び基板の損傷を抑制する技術が開示されている。特許文献3には、水酸基濃度100ppm以上、水素含有量5×1016分子/cm以上の石英ガラスを高出力レーザー光に用いた技術が開示されている。
特開2006−225249号公報 特開2002−87833号公報 特公平6−53593号公報
マスクブランクを製造する場合、石英ガラス基板の表面に遮光膜や半透過膜といったパターニング層を形成するためのスパッタ成膜が行われる。真空環境で行われるスパッタ成膜の場合、成膜された膜には内部応力が発生する。膜に大きな内部応力が発生した場合、エッチング等によって膜にパターンを形成したときに、実際に形成されたパターンの位置が、設計上のパターンの位置からずれてしまう場合がある(パターンの位置ずれ)。そこで、石英ガラス基板上にスパッタリング法によって膜を成膜した後、膜を加熱して膜の内部応力を軽減する処理(アニール処理)が行われる。
近年、転写パターンの解像度を向上させることのできる技術として、位相シフトマスクが用いられている。この位相シフトマスクとは、マスクを透過した露光光間の干渉を利用して転写パターンの解像度を向上させることのできるマスクである。位相シフトマスクの1つとして、ハーフトーン型位相シフトマスクが知られている。このハーフトーン型位相シフトマスクとは、透光性基板上に形成するマスクパターンを、実質的に露光に寄与する強度の光を透過させる光透過部と、実質的に露光に寄与しない強度の光を透過させる光半透過部とで構成するとともに、光透過部を透過した光の位相と光半透過部を透過した光の位相とが180度異なるようにしたマスクである。ハーフトーン型位相シフトマスクを製造する場合にも、透光性基板上にスパッタリング法によって膜を成膜した後、膜の内部応力を軽減するために、アニール処理が実施される。なお、本明細書では、ハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いられるマスクブランクのことを、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクと呼ぶ。
ハーフトーン型位相シフトマスクブランクは、露光光に対する半透過膜の透過率が一定の値(例えば6%)となるように厳密に制御されている必要がある。しかし、従来のハーフトーン型位相シフトマスクブランクは、同一の条件でスパッタ成膜を行った後、同一の条件でアニール処理を実施した場合であっても、半透過膜の透過率にばらつきが発生するという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、透光性基板上に形成された半透過膜の透過率を一定にすることのできるハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの半透過膜の透過率にばらつきが発生する原因について調査・研究を行った。その結果、透光性基板中に含まれる水素濃度が異なることによって、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの半透過膜の透過率にばらつきが発生することを発見した。水素濃度の異なる複数の透光性基板上に半透過膜を形成すると、半透過膜のスパッタリング直後の透過率がほぼ等しくても、アニール後の透過率にばらつきが生じる。具体的には、透光性基板中に含まれる水素濃度が低いほど、半透過膜のアニール処理前後の透過率の変化の割合が小さくなり、透光性基板中に含まれる水素濃度が高いほど、半透過膜のアニール処理前後の透過率の変化の割合が大きくなることがわかった。
透光性基板中の水素濃度が異なることによって半透過膜の透過率が変化する原因は明らかではないが、アニール処理によって加熱された透光性基板中から水素分子が放出され、その放出された水素分子が、半透過膜を構成する金属窒化物層(例えば、MoSi層)と結合または吸着したことが原因であると推察される。
前述の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
(構成1)
本発明は、水素を含有している透光性基板上に、露光波長に対し所定の透過率を有し、窒素、遷移金属及びシリコンが含まれる半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法である。
本製造方法は、スパッタリング法により前記透光性基板上に半透過膜を成膜する成膜工程を含み、前記成膜工程において水素濃度に応じてスパッタリング条件を設定することを特徴とする。
本明細書で記載する「半透過膜」は、少なくとも窒素、遷移金属およびシリコンが含まれる所定の透過率を有する膜であればよく、たとえば、膜の組成に他の元素が含まれる膜も、「半透過膜」に含まれる。
半透過膜に含まれる「遷移金属」としては、例えば、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr、Ni、Fe等を例として挙げることができる。この中では、Mo(モリブデン)を用いることが好ましい。モリブデンシリサイド窒化物を含む膜は、ハーフトーン型位相シフトマスクの半透過膜として優れた特性を有しているためである。また、モリブデンシリサイド窒化物を含む膜は、透光性基板中の水素濃度により透過率に変化が生じやすいため、本発明を特に好ましく適用できる。
半透過膜に含まれる窒素(N)、遷移金属、及びシリコン(Si)を含む材料としては、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)のほかに、モリブデンシリサイド酸化窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)等を挙げることができる。
なお、半透過膜を構成する材料中のシリコンと遷移金属の含有比率(原子%)は、遷移金属:シリコン=1:1.5〜24.0であることが好ましい。
また、半透過膜を構成する材料中の窒素の含有率は、30〜60原子%であることが好ましい。
本構成において、「スパッタリング」方法には、DCスパッタリング、RFスパッタリング及びイオンビームスパッタリングのいずれの方法も適用可能である。遷移金属とシリコンからなるターゲットを用いてスパッタリングを行う場合、ターゲット材料が導電性を有しているので、スパッタリングの方法はいずれでもよい。ターゲット材料の導電性が乏しい場合や、反応性スパッタリングによりターゲット表面の導電性が著しく低下する恐れがある場合は、RFスパッタリング法を採用するとよい。
また、本構成において、スパッタリングは、窒素を含む反応ガスと不活性ガスをスパッタリングガスとした反応性スパッタリングを行うことが好ましい。
なお、本発明によって製造されたハーフトーン型位相シフトマスクブランクの半透過膜にパターンを形成することによって、ハーフトーン型位相シフトマスクを製造することができる。半透過膜にパターンを形成する処理は、周知のリソグラフィー技術(レジスト塗布、電子線描画(露光)、現像、エッチング、レジスト剥離、洗浄など)によって行うことができ、特に制限されない。
上述したように、本発明者らは、透光性基板中に含まれる水素濃度が異なることによって、ハーフトーン型位相シフトマスクの半透過膜の透過率にばらつきが発生することを発見した。具体的には、透光性基板中に含まれる水素濃度が低いほど、その透光性基板を用いて製造されたハーフトーン型位相シフトマスクの半透過膜の透過率が低くなることがわかった。反対に、透光性基板中に含まれる水素濃度が高いほど、その透光性基板を用いて製造されたハーフトーン型位相シフトマスクの半透過膜の透過率が高くなることがわかった。これは、アニール処理によって透光性基板中から放出された水素が、半透過膜を構成する金属窒化物層と反応し、これによって半透過膜の光学特性が変化したことが原因であると考えられる。
本発明の構成によれば、あらかじめ基板中の水素濃度を計測し、水素による透過率変化を予測することで、その透過率変化の割合を勘案した条件でスパッタリングを遂行することにより、半透過膜の透過率を一定に制御することができる。
スパッタリング条件の要素としては、スパッタリング時の基板温度、スパッタリングガスに含まれる反応ガスの割合、スパッタリング時のチャンバー圧力、及び、スパッタリングターゲットの組成などが挙げられる。
(構成2)
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法は、前記成膜工程において使用されるスパッタリングターゲットは、遷移金属シリサイドからなるターゲットであり、透光性基板中の水素濃度に応じて遷移金属の比率が選定されたスパッタリングターゲットであると好ましい。
窒素(N)、遷移金属、及びシリコン(Si)を含む半透過膜は、一般に、遷移金属(例えばモリブデン)の含有比率が高いほど、半透過膜の透過率が低くなり、遷移金属の含有比率が低いほど、半透過膜の透過率が高くなることがわかっている。
本構成によれば、遷移金属シリサイドからなるターゲットに含まれる遷移金属の比率を調整することで、透光性基板中の水素濃度に応じて半透過膜に含まれる遷移金属比率を調整できるので、半透過膜の透過率を一定に制御することができる。具体的には、透光性基板中に含まれる水素量の増加による透過率の上昇を、半透過膜に含まれる遷移金属の増加による透過率の減少によって相殺することができる。あるいは、透光性基板中に含まれる水素分子量の減少による透過率の減少を、半透過膜に含まれる遷移金属の減少による透過率の上昇によって相殺することができる。
(構成3)
本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法は、別の透光性基板を用い、前記別の透光性基板中の水素濃度と、前記スパッタリングターゲット中の遷移金属の比率と、前記半透過膜の透過率との対応関係を予め求める予備試験工程を含むと好ましい。
前記予備試験工程において求められた対応関係、及び、透光性基板中の水素濃度に基づいて、前記成膜工程において使用されるスパッタリングターゲット中のシリコンと遷移金属の比率を決定すると、より確実に所望の透過率の半透過膜を形成することができる。
(構成4)
構成1の発明は、前記成膜工程において、遷移金属およびシリコンの少なくとも一方を含むターゲットであって、シリコンに対する遷移金属の比率が異なる二つのスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行うことが好ましい。スパッタリングにおいて、透光性基板中の水素濃度に応じて、前記少なくとも二つのスパッタリングターゲットから飛翔させるスパッタリング粒子の量を決定すると好ましい。
本構成で用いられるスパッタリングターゲットは、遷移金属の比率が異なるターゲットが用いられておればよく、遷移金属の比率の範囲は特に限定されない。例えば、一つのターゲットがシリコン(Si)であり、他方が遷移金属からなるターゲットも本構成に含まれる。他の例としては、一方が遷移金属シリサイドからなるターゲットで他方がシリコン(Si)であるターゲットの組み合わせや、一方が遷移金属からなるターゲットであり他方が遷移金属シリサイドからなるターゲットである組み合わせや、いずれも遷移金属シリサイドからなるターゲットで、一方の遷移金属の比率が他方の遷移金属の比率よりも低いターゲットを用いた組み合わせも、本構成に含まれる。
さらに、シリコンと遷移金属以外の元素(たとえば、酸素や窒素)を含むターゲットも本構成に含まれる。なお、このような場合、遷移金属の比率とは、ターゲットに含まれる総原子数に対する遷移金属の割合ではなく、シリコンと遷移金属の原子数の和から算出される遷移金属の比率をいう。
また、ターゲットを3つ以上有する場合、すべてのターゲットにおける遷移金属の比率が異なる必要はなく、たとえば、1つのターゲットのみ遷移金属の比率が異なり、他のターゲットの遷移金属の比率が同じであってもよい。
構成2で説明したように、窒素(N)、遷移金属、及びシリコン(Si)を含む半透過膜は、一般に、遷移金属(例えばモリブデン)の含有比率が高いほど、半透過膜の透過率が低くなり、遷移金属の含有比率が低いほど、半透過膜の透過率が高くなることがわかっている。
本構成のように、遷移金属の比率の異なる二以上のターゲットを用いることにより、基板の水素濃度が低濃度の場合は、遷移金属の比率の低いターゲットから飛翔させるスパッタリング粒子の量を多くし、遷移金属の比率の高いターゲットから飛翔させるスパッタリング粒子の量を少なくすることによって、半透過膜の透過率を一定に制御することができる。
なお、スパッタリング粒子の飛翔量は、たとえば、スパッタリングターゲットにかける電圧値によって調整することができる。
(構成5)
構成4のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法は、別の透光性基板を用い、前記別の透光性基板中の水素濃度と、前記少なくとも二つのターゲットから飛翔させるスパッタリング粒子の量と、前記半透過膜の透過率との対応関係を予め求める予備試験工程を含むと好ましい。
前記予備試験工程において求められた対応関係、及び、透光性基板中の水素濃度に基づいて、少なくとも二つのスパッタリングターゲットから飛翔させるスパッタリング粒子の量を決定すると、より確実に所望の透過率の半透過膜を形成することができる。
(構成6)
前記遷移金属は、モリブデンであることが好ましい。
スパッタリングによって形成された窒化モリブデンシリサイドや酸窒化モリブデンシリサイドの薄膜は、その構成元素の組成比と膜厚を調整することにより、ハーフトーン型位相シフトマスクに最適な透過率と位相差の半透過膜になり得る。本製造方法により、透光性基板の水素含有量に起因する透過率変化を予測して、モリブデンシリサイド系の半透過膜を形成することにより、設計通りの位相差及び透過率を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクを製造することができる。
(構成7)
本製造方法は、前記透光性基板上に半透過膜を成膜した後に、前記半透過膜を200℃以上の温度で加熱するアニール工程を含むことが好ましい。
アニール処理を実施することによって、半透過膜の内部応力を低減することができる。これにより、半透過膜にパターンを形成してマスクを製造した際に、パターンの位置ずれが発生することを防止することができる。
(構成8)
前記アニール工程では、前記半透過膜を400℃以上の温度で加熱することがより好ましい。500℃以上に加熱すると、内部応力をより効果的に軽減できるため特に好ましい。
なお、アニール処理で使用する加熱手段としては、例えば、電気加熱炉、ヒータ、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等を用いることができる。
アニール処理を実施することによって、透光性基板中の水素の活性が高くなるため、透光性基板中から水素が放出されやすくなる。この場合、透光性基板中の水素濃度が異なることによって、半透過膜の透過率が大きく変化する。したがって、本発明は、透光性基板上に半透過膜を成膜した後、アニール処理を実施する場合に、特に好ましく適用することができる。
本発明によれば、透光性基板上に形成された半透過膜の透過率を一定にすることのできるハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法を提供することができる。
実施例のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法のフローチャートである。
以下、実施例で開示する製造方法にかかる、上記構成以外の形態について最初に列記する。
(形態1)
波長が200nm以下の露光波長に用いる、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法である。
波長200nm以下の露光波長に用いる位相シフトマスクブランクの場合、半透過膜の膜厚が薄く、その分、水素の吸着または結合による透過率変化が生じやすい。透過率の変化は、位相シフトマスクとしての機能に影響を及ぼすので、200nm以下の波長、たとえばArFエキシマレーザーを露光光として使用する位相シフトマスクのマスクブランクには、本方法を適用することが好ましい。
(形態2)
透光性基板は合成石英ガラスである。
合成石英ガラスは、紫外線の広い波長範囲で高い透過率を有することから、たとえば波長が193nmのArFエキシマレーザーを露光光に使用するフォトマスクの透光性基板の材料として適している。
なお、マスクブランクの製造に用いるものであり、水素が放出される可能性を有する透光性基板(水素分子を含有する透光性基板)であれば、本発明の製造方法は適用することができる。透光性基板の材料としては、合成石英ガラス以外にも、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、低熱膨張ガラス(例えばSiO−TiO系ガラス)、β石英固溶体を析出させた結晶化ガラス等のガラス材料を用いることが可能である。
(形態3)
透光性基板の水素濃度は、1.0×1017分子数/cm〜9.0×1019分子数/cmの範囲である。
(形態4)
半透過膜は、遷移金属シリサイド化合物である。
ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの半透過膜は、転写用マスクの転写パターン形成用薄膜であるため、LSI等の回路パターンを形成する際に使用する露光光に対しレジストを露光しない程度の遮光性と、位相を反転させる効果が付与された薄膜である。
このような機能を発揮できる薄膜として、遷移金属シリサイド化合物が挙げられる。遷移金属シリサイド化合物の例としては、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr、Ni、Fe等から選択される1以上の遷移金属とシリコン(Si)を含む遷移金属シリサイドと酸素(O)、窒素(N)及び炭素(C)などが結合した遷移金属シリサイド化合物が挙げられる。とくに、モリブデンシリサイド(MoSi)の化合物が好ましい。
モリブデンシリサイド系化合物としては、モリブデンシリサイド窒化物(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸窒化物(MoSiON)、モリブデンシリサイド炭窒化物(MoSiCN)、モリブデンシリサイド酸化窒化炭化物(MoSiONC)が挙げられる。
遷移金属シリサイド化合物膜は、遷移金属とシリコンを含むターゲットを使用して反応性スパッタリングによって成膜することができる。
(形態5)
遷移金属シリサイド化合物からなる半透過膜は、遷移金属シリサイドをスパッタリングターゲットとした反応性スパッタリングによって成膜することができる。
ここでいう「遷移金属シリサイド」とは、遷移金属とシリコンの化学的に安定な化合物であるいわゆる「シリサイド」の他、成膜する薄膜の遷移金属とシリコンの組成比に応じて、シリコンまたは遷移金属をドープしたものも含まれる。
遷移金属の例としては、前述の半透過膜で示した例と同様であり、W、Mo、Ti、Ta、Zr、Hf、Nb、V、Co、Cr、Ni、Feなどが挙げられる。
スパッタリングターゲットの製造方法の例としては、ターゲットの組成を決定する原料を調合してプレス工程などを経て焼結する焼結法と、原料を調合して真空溶融して鋳造によって得られる真空溶融法などが挙げられる。本発明に使用するスパッタリングターゲットの製造手法については上記例示に特に限定されない。
遷移金属シリサイドでシリコンと遷移金属の含有比率を調整する場合、前記シリサイドとシリコン、または、シリサイドと遷移金属を調合して行うので、焼結法によって製造されたスパッタリングターゲットが組成比の安定性に優れるため好ましく使用することができる。
(形態6)
遷移金属シリサイド化合物からなる半透過膜は、組成の異なる複数のスパッタリングターゲットを用い、その複数のスパッタリングターゲットからスパッタリング粒子を飛翔させて反応性スパッタリングを行う手法によっても成膜することができる。
このような例として、化学量論的に安定な遷移金属シリサイド(いわゆるシリサイド)からなるスパッタリングターゲットと、シリコン単体からなるスパッタリングターゲットの2つのターゲットを使用してシリコンリッチな遷移金属シリサイド化合物膜を形成する方法が挙げられる。
成膜する半透過膜の組成は、それぞれのスパッタリングターゲットに印加する電圧によって、それぞれのスパッタリングターゲットから飛翔するスパッタリング粒子の飛翔量が決定できるので、それによっての遷移金属とシリコン組成比を調整することができる。
(形態7)
反応性スパッタリングに用いるスパッタリングガスは、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等から選択される1または2種以上の希ガスと1種または2種以上の反応性ガスで構成されている。
本発明に用いられる反応性ガスは、窒素(N)、一酸化窒素(NO)及び二酸化窒素(NO)等の窒素元素を含むガスの他、これらいずれかのガスに加えて、酸素(O)、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)ガスなどを含むガスを反応性ガスとして使用することができる。
前述のスパッタリングターゲットの形態にこれらのスパッタリングガスを組み合わせることにより、窒化遷移金属シリサイド、酸窒化遷移金属シリサイド、窒化酸化炭化遷移金属シリサイドを成膜することができる。
(形態8)
半透過膜の反応性スパッタリングを行った直後の透過率や屈折率の設定は、透光性基板に含まれる水素濃度に応じて行われる。
半透過膜は、ハーフトーン型位相シフトマスクの転写パターンの前身であり、所定の透過率と位相差が要求される。しかしながら、半透過膜の透過率や屈折率(以下「透過率等」ともいう)は、スパッタリング後のアニール処理等の要因によって基板から放出された水素の影響により、変動する。
本発明において、半透過膜のスパッタリング成膜後の透過率等は、前述の水素の影響による透過率等の変動を勘案して決定される。
(形態9)
スパッタリング成膜直後の遷移金属シリサイド化合物からなる半透過膜の透過率の調整は、半透過膜中に含まれる遷移金属の比率によって調整することができる。半透過膜は、遷移金属の比率が高いほど膜の消衰係数が高くなり、等厚の薄膜の場合には透過率が低下するからである。
スパッタリングによって成膜した膜の組成比は、スパッタリングターゲットの組成比に相関するため、スパッタリングターゲットの組成比を調整することによって半透過膜の透過率の調整を行うことができる。
つまり、遷移金属シリサイドからなるスパッタリングターゲットを用いて遷移金属シリサイド化合物の半透過膜を成膜するとき、透過率を低くしたい場合にはスパッタリングターゲットに含まれる遷移金属の割合を多くし、透過率を高くしたい場合には、スパッタリングターゲットに含まれる遷移金属の割合を低くすればよい。
(形態10)
本発明において、スパッタリングターゲットの組成を決定する場合に、予備試験工程を行うことが好ましい。予備試験工程では、例えば、透光性基板中の水素濃度を第1の値(例えば1.80×1017分子数/cm)に固定した場合において、スパッタリングターゲット中の遷移金属比率を変化させ、そのときに得られる半透過膜のアニール後の透過率をそれぞれ測定する。
つぎに、透光性基板中の水素濃度を第1の値とは異なる第2の値(例えば1.85×1018分子数/cm)に固定した場合において、スパッタリングターゲット中の遷移金属比率を変化させ、そのときに得られる半透過膜のアニール後の透過率をそれぞれ測定する。以後、このようなプロセスを必要な回数だけ繰り返す。これにより、(1)透光性基板中の水素濃度、(2)スパッタリングターゲット中の遷移金属比率、及び(3)半透過膜のアニール後の透過率の対応関係を求めることができる。
上記(1)〜(3)の対応関係、及び、透光性基板中の水素濃度に基づいて、成膜工程において使用されるスパッタリングターゲット中の遷移金属比率を決定することができる。例えば、得ようとする半透過膜の透過率が6.0%であり、透光性基板中の水素濃度が1.80×1018(分子数/cm)である場合に、これらの値を予備試験工程において求めた上記(1)〜(3)の対応関係に当てはめる。これにより、成膜工程において使用されるスパッタリングターゲット中の遷移金属比率を決定することができる。
なお、遷移金属成分量を調整すると、半透過膜の透過率のみならず、屈折率にも変動が生じる。屈折率の変動により半透過膜の位相差も変化するため、位相差と透過率の値が最適になるように調整する必要がある。
(形態11)
遷移金属の比率によってスパッタリング成膜直後の半透過膜の透過率を調整する他の手段は、構成元素また組成比の異なる2以上のスパッタリングターゲットを使用して薄膜を成膜することである。この場合は、それぞれのスパッタリングターゲットに印加する電圧値によって、それぞれのターゲットから飛翔するスパッタリング粒子量を調整し、成膜する膜の組成を調整する。
例えば、スパッタリングターゲットとして化学量論的に安定な遷移金属シリサイドからなるターゲットとシリコン単体のターゲットを使用して半透過膜を成膜するとき、透過率を低くしたい場合には、遷移金属シリサイドからなるターゲットに印加する電圧をあらかじめ設定した基準値よりも高くし、半透過膜中の遷移金属の割合を多くすることができる。また、透過率を高くしたい場合には、シリコンターゲットに印加する電圧をあらかじめ設定した基準値よりも高くし、半透過膜中のシリコンの割合を多くすることができる。
このように、複数のスパッタリングターゲットによって半透過膜を成膜する場合には、それぞれのスパッタリングターゲットに印加する電圧値を高く又は低くすることによって、半透過膜に含まれる遷移金属とシリコンの組成比を調整することができる。
本形態においても、前記「あらかじめ設定した基準値」を決定するために、予備試験工程を行うことが好ましい。
なお、透過率の調整のため遷移金属成分量を調整すると半透過膜の屈折率がわずかに変動する。屈折率の変動により半透過膜の位相差も変化するため、位相差と透過率の値が最適になるように調整する必要がある。
(形態12)
スパッタリング成膜直後の遷移金属シリサイド化合物からなる半透過膜の透過率は、半透過膜中に含まれる遷移金属およびシリコン以外の他の元素の割合を変動させることによって調整することもできる。
前記他の元素は、反応性スパッタリングの際の反応性ガスに由来する成分が主たるものであり、具体的には、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)が挙げられる。半透過膜中に含まれる前記他の元素の割合が多いほど、半透過膜の消衰係数は低くなり、等厚の薄膜の場合には透過率が高くなる。
半透過膜の透過率を膜中の他の元素の量によって調整するには、成膜時にスパッタリングチャンバーに導入する反応性ガスの流量を、あらかじめ決定した基準値に対して増減することによって、行うことができる。複数の反応性ガスを導入する場合、少なくとも一つのガス流量を増減させることで半透過膜の透過率の調整を行うことができる。例えば、反応性ガスとして酸素(O)と窒素(N)を導入する場合、酸素(O)のみの流量を増減させてもよく、窒素(N)のみの流量を増減させてもよく、いずれのガスの流量を増減させてもよい。
本形態においても、前記「あらかじめ設定した基準値」を決定するために、予備試験工程を行うことが好ましい。
なお、透過率の調整のため反応性ガス成分を調整すると、半透過膜の屈折率にも変動が生じる。屈折率の変動により半透過膜の位相差も変化するため、位相差と透過率の値が最適になるように調整する必要がある。
(形態13)
スパッタリング成膜直後の半透過膜の透過率は、半透過膜の緻密性によって調整することもできる。
反応性スパッタリングに限らず、スパッタリング法による薄膜の一般的な構造は、微小空隙が形成された構造を形成しやすい。薄膜の構造が、微小空隙が多い疎な場合には、薄膜の消衰係数が低くなる。薄膜の構造が、微小空隙が少ない密な場合には、薄膜の消衰係数が高くなる。つまり、密な構造の半透過膜を成膜すれば、透過率は低くなり、疎な構造の半透過膜を成膜すれば、透過率は高くなる。
半透過膜の疎密調整を行う方法としては、成膜時のスパッタリングチャンバー内のスパッタリングガスの圧力を調整する方法や、スパッタリングガスとして使用する希ガス成分の選定、ターゲットへ印加する電圧値によって成膜時の膜形成速度を調整する方法や、スパッタリング時の基板温度の調整等によって行うことができる。
(形態14)
反応性スパッタリングによって半透過膜が形成された基板は、アニール処理が施される。
スパッタリングによって成膜された薄膜は、膜応力を有するため、アニール処理が施される。アニール処理の方法は特に限定されないが、加熱によるアニール処理と、フラッシュランプアニール処理と、レーザー光を照射する光照射によるアニール処理と、が例として挙げられる。
加熱によるアニール処理に用いる加熱装置は、電気炉、オーブン、ホットプレート等が挙げられる。このほか、ハロゲンランプや赤外線ランプを半透過膜に照射してアニール対象である半透過膜を選択的に加熱する方法も挙げられる。
加熱処理は、酸素雰囲気または大気中で行うことが好ましい。このような環境下で加熱処理を行うと、半透過膜の膜応力が軽減されるとともに、半透過膜の表面に酸化層が形成されるので、半透過膜のArFエキシマレーザーに対する耐光性を向上させることができる。
フラッシュランプによるアニール処理は、エネルギー密度が5〜14J/cmのフラッシュランプ照射によって行われる。フラッシュランプ処理は、酸素雰囲気または大気中で行うことが好ましい。このような環境下で処理を行うことで、光半透過膜の膜応力が軽減されるとともに、半透過膜の表面に酸化層が形成されるので、半透過膜のArFエキシマレーザー光に対する耐光性を向上させることができる。また、フラッシュランプアニール処理中は、パターン形成用薄膜付き基板を加熱しておくことが好適である。基板加熱温度は、例えば、150〜350℃程度の範囲とすることが好ましい。
レーザー光を照射する光照射によるアニール処理は、透光性基板に形成された半透過膜に対してレーザー光を照射することで、光半透過膜をごく短時間(例えば、数十nsec)で高温(例えば、1000℃以上)に加熱し、半透過膜の応力を軽減させる。半透過膜に照射するレーザー光は、半透過膜の構成元素の種類や比率等によっても異なるため一概には言えないが、波長が157nm〜633nmの範囲が好ましく、248nm〜308nmの範囲がより好ましい。また、レーザー光の強度に関しても、半透過膜の構成元素の種類や比率等によって異なるため、一概には言えないが、エネルギー密度が100mJ/cm〜500mJ/cmの範囲が好ましく、200mJ/cm〜400mJ/cmの範囲がより好ましい。例えば、レーザー光として、XeClエキシマレーザー(波長308nm)を適用することが好ましい。
なお、透光性基板の主表面に形成された半透過膜にレーザー光を照射する場合には、半透過膜の表面を走査するように照射するとよい。レーザー発振器から発生したレーザー光を、ラインビーム光学系によってラインビームに成形し、ラインビームによって半透過膜の表面を走査してもよい。また、半透過膜に対するレーザー光の照射は、1回でも複数回でもよい。レーザー光が透光性基板に対して透過可能なときには、レーザー光を基板面側から照射してもよい。
レーザー光を照射する際の基板の雰囲気は、アルゴン等の希ガス、窒素、酸素あるいはこれらのうち2以上の混合ガス、真空中、大気中など、いかなる雰囲気であってもよい。
(形態15)
露光光に対する半透過膜の透過率の設計値は、半透過膜を形成しアニール処理を施した後の状態で例えば6.00%である。
半導体素子等のパターン形成の際に用いるレジストの感度にもよるが、透光性基板上に成膜された半透過膜の露光光に対する透過率は、一般的には、2〜30%程度であると好ましく、2〜20%程度であるとより好ましい。
位相シフトマスクの半透過膜は、被転写基板上のレジストを感光させない程度の遮光機能と、光の位相をシフトさせる位相シフト機能の二つの機能を兼ね備えることが求められる。したがって、位相シフトマスクの半透過膜は、これら二つの機能を兼ね備えるように、露光波長に対する透過率が調整される。透過率が2%未満になると、半透過膜を透過する光の強度が足りず、位相シフト機能が発揮されにくくなる。一方、透過率が30%を超えると、半透過膜を透過する光の強度が強くなり、被転写基板上のレジストを感光させる恐れが生じる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。図1は、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法のフローチャートである。
図1に示すように、実施例に示すハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法は、透光性基板中の水素分子濃度を確認する確認工程(ステップS1)と、予備試験工程(ステップS2)と、スパッタリングターゲットの選定工程(ステップS3)と、スパッタリング法により前記透光性基板上に半透過膜を成膜する成膜工程(ステップS4)と、アニール工程(ステップS5)を有している。
予備試験工程(ステップS2)には、ターゲットの組成による透過率の増減を評価するターゲット因子試験(ステップS21)と、透光性基板の水素分子濃度による透過率の増減を評価する基板因子試験(ステップS22)と、透光性基板の水素分子濃度に対して最適なターゲット組成を設定する最適化工程(ステップS23)が含まれる。
実施例1は、確認工程(ステップS1)、予備試験工程(ステップS2)のターゲット因子試験(ステップS21)に関する実施例である。
実施例2は、確認工程(ステップS1)、予備試験工程(ステップS2)の基板因子試験(ステップS22)に関する実施例である。
実施例3は、予備試験工程(ステップS2)の最適化工程(ステップS23)以降の工程に関する実施例である。
(実施例1)
本実施例では、スパッタリングターゲットのモリブデン比率による透過率の相違を確認する予備試験を行った。
本実施例では、透光性基板の水素分子濃度を確認する確認工程(ステップS1)と、水素分子濃度のほぼ等しい透光性基板を複数用意し、それぞれにモリブデン比率の異なるターゲットを用いて成膜したターゲット因子試験(ステップS21)を実施した。
<水素分子濃度確認工程:ステップS1>
本実施例では、合成石英ガラスからなる透光性基板を複数枚準備した。透光性基板中の水素分子濃度をレーザーラマン分光光度法によって測定したところ、1.85×1018(分子数/cm)であった。
<ターゲット因子試験:ステップS21>
つぎに、水素分子濃度確認後の透光性基板をDCマグネトロンスパッタ装置に導入した。スパッタ装置内にArとNとHeとの混合ガスを導入し(体積流量比=8:72:100)、スパッタリング法によって膜厚69nmの半透過膜の成膜を行った。用意したスパッタリングターゲット中のシリコンとモリブデンの比率は、以下の通りである。
ターゲット1 Si:Mo=95:5(原子数比)
ターゲット2 Si:Mo=92:8(原子数比)
ターゲット3 Si:Mo=90:10(原子数比)
ターゲット4 Si:Mo=88:12(原子数比)
ターゲット5 Si:Mo=80:20(原子数比)
半透過膜が成膜された透光性基板をヒータによって500℃で60分間加熱してアニール処理を行った。アニール処理後、露光光の波長193nmにおける半透過膜の透過率を測定したところ、以下の表1に示す結果が得られた。
Figure 2014199435
表1に示す結果より、スパッタリングターゲット中におけるモリブデンの比率を増加させた場合、半透過膜の透過率が減少することがわかった。
(実施例2)
本実施例では、透光性基板の水素分子濃度による透過率の相違を確認する予備試験を行った。
本実施例では、透光性基板の水素分子濃度を確認する確認工程(ステップS1)と、水素分子濃度の異なる透光性基板を複数枚用意し、それぞれにモリブデン比率の等しいターゲットを用いて成膜した基板因子試験(ステップS22)を実施した。
<水素分子濃度確認工程:ステップS1>
本実施例では、合成石英ガラスからなる透光性基板を複数枚準備した。複数枚の透光性基板は水素分子濃度が異なる。透光性基板中の水素分子濃度をレーザーラマン分光光度法によって測定したところ、以下の通りであった。
透光性基板1 水素分子濃度:1.80×1017分子数/cm
透光性基板2 水素分子濃度:1.85×1018分子数/cm
透光性基板3 水素分子濃度:4.77×1018分子数/cm
透光性基板4 水素分子濃度:6.00×1018分子数/cm
<基板因子試験:ステップS22>
つぎに、透光性基板をDCマグネトロンスパッタ装置に導入した。スパッタ装置内にArとNとHeとの混合ガスを導入し(体積流量比=8:72:100)、スパッタリング法によって膜厚69nmの半透過膜の成膜を行った。スパッタリングターゲット中のシリコンとモリブデンの原子数の比率は、Si:Mo=90:10であった。
半透過膜が成膜された透光性基板をヒータによって500℃で60分間加熱してアニール処理を行った。アニール処理後、露光光の波長193nmにおける半透過膜の透過率を測定したところ、以下の表2に示す結果が得られた。
Figure 2014199435
表2に示す結果より、透光性基板中の水素分子濃度が増加した場合、半透過膜の透過率が上昇することがわかった。
(実施例3)
本実施例では、上記実施例1及び実施例2に示すような予備試験を繰り返すことによって、透光性基板中の水素分子濃度、スパッタリングターゲット中のモリブデン比率、及び半透過膜の透過率との対応関係を求めた。
<最適化工程:ステップS23>
本実施例では、半透過膜の透過率を6.0%に固定した場合、透光性基板中の水素分子濃度とスパッタリングターゲット中のモリブデン比率との対応関係は、以下の表3に示す通りとなった。
Figure 2014199435
<ターゲット選定工程:ステップS3>
つぎに、合成石英ガラスからなる透光性基板を複数枚準備した。透光性基板中の水素分子濃度をレーザーラマン分光光度法によって測定した後、この測定した値を、上記の表3に当てはめた。これにより、スパッタリングターゲット中のモリブデン比率を決定した。透光性基板中の水素分子濃度と、決定したターゲットのモリブデン比率の対応を表4に示す。
<スパッタリング工程:ステップS4>
決定したモリブデン比率を有するスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法によって透光性基板上に半透過膜の成膜を行った。具体的には、透光性基板をDCマグネトロンスパッタ装置に導入し、スパッタ装置内にArとNとHeとの混合ガスを導入し(体積流量比=8:72:100)、スパッタリング法によって膜厚69nmの半透過膜の成膜を行った。
<アニール工程:ステップS5>
半透過膜が成膜された透光性基板をヒータによって500℃で60分間加熱してアニール処理を行った。
<結果>
アニール処理後、露光光の波長193nmにおける半透過膜の透過率を測定したところ、以下の表4に示す結果が得られた。
Figure 2014199435
表4に示す結果より、本発明の方法を用いることによって、透過率が設定値の6.0±0.1%の半透過膜を成膜できた。つまり、透光性基板中の水素分子濃度に応じてスパッタリングターゲット中のモリブデン比率を決定することによって、透過率が一定(6.0%)の半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクを製造することができた。
(比較例)
スパッタリングターゲット中のモリブデン比率を10原子%に固定した以外は上記実施例3と同一の条件により、透光性基板上にスパッタリング法によって半透過膜の成膜を行った。そして、半透過膜が成膜された透光性基板をヒータによって500℃で60分間加熱してアニール処理を行った後、露光光の波長193nmにおける半透過膜の透過率を測定したところ、以下の表5に示す結果が得られた。
Figure 2014199435
表5に示す結果より、透光性基板中の水素分子濃度に応じてスパッタリングターゲット中のモリブデン比率を決定しなかった場合、透過率にばらつきが発生し、透過率が一定(6.0%)の半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクを製造することができなかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
上記実施例では、成膜工程において基板の水素分子濃度に応じて適正なモリブデン含有率のターゲットを選定し、成膜後の半透過膜の透過率を制御する例を示したが、成膜工程における条件設定は、このターゲット選定による方法に限定されない。
例えば、化学量論的に安定なモリブデンシリサイド(MoSi)からなるスパッタリングターゲットと、Siからなるスパッタリングターゲットを使用し、両者のターゲットに印加する電圧値を調整して半透過膜中のモリブデン含有量を調整し、基板の水素分子濃度に応じたモリブデン含有率を有する半透過膜を形成してもよい。
他の例として、基板の水素分子濃度に応じてスパッタリングガスの条件を設定する方法が挙げられる。上記実施例では、体積流量比がAr:N:He=8:72:100の混合ガスを使用したが、Nガス流量を基板の水素分子濃度に応じて増減することにより、半透過膜の透過率を調整することができる。スパッタリングガスにおけるNガスの割合が増えると、成膜過程で半透過膜の窒化が進み、半透過膜の透過率が上がる傾向があるからである。また、半透過膜の成膜時に反応性ガスとしてO(酸素)ガスを導入することによる方法も有効である。この場合、成膜過程で半透過膜の酸化が進み、半透過膜の透過率が上がる傾向がある。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

Claims (8)

  1. 水素を含む透光性基板上に、露光波長に対し所定の透過率を有し、窒素、遷移金属及びシリコンが含まれる半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法であって、
    スパッタリング法により前記透光性基板上に半透過膜を成膜する成膜工程を含み、
    前記成膜工程において、透光性基板中の水素濃度に応じてスパッタリング条件を設定することを特徴とする、ハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
  2. 前記成膜工程において使用されるスパッタリングターゲットは、遷移金属シリサイドからなるターゲットであり、前記透光性基板中の水素濃度に応じて遷移金属の比率が選定されたスパッタリングターゲットであることを特徴とする、請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
  3. 別の透光性基板を用い、前記別の透光性基板中の水素濃度と、前記スパッタリングターゲット中の遷移金属の比率と、前記半透過膜の透過率との対応関係を予め求める予備試験工程を含み、
    前記予備試験工程において求められた対応関係、及び、前記透光性基板中の水素濃度に基づいて、前記成膜工程において使用されるスパッタリングターゲット中の遷移金属の比率を決定することを特徴とする、請求項2記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
  4. 前記成膜工程において、遷移金属の比率が異なる少なくとも二つのスパッタリングターゲットを用い、前記透光性基板中の水素濃度に応じて、前記少なくとも二つのスパッタリングターゲットから飛翔させるスパッタリング粒子の量を決定することを特徴とする、請求項1に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
  5. 別の透光性基板を用い、前記別の透光性基板中の水素濃度と、前記少なくとも二つのターゲットから飛翔させるスパッタリング粒子の量と、前記半透過膜の透過率との対応関係を予め求める予備試験工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
  6. 前記遷移金属は、モリブデンであることを特徴とする、請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
  7. 前記透光性基板上に半透過膜を成膜した後に、前記半透過膜を200℃以上の温度で加熱するアニール工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
  8. 前記アニール工程では、前記半透過膜を400℃以上の温度で加熱することを特徴とする請求項7記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
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