JP2014199027A - タービンの回転軸シール方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイナリー発電システムにおいて使用した際に、バイナリー発電システムの性能低下を抑制しつつ、低沸点媒体の蒸気の外部への漏出を防止することができるタービンの回転軸シール方法を提供する。【解決手段】低沸点媒体の蒸気を作動流体として用いるバイナリー発電において使用されるタービンの回転軸シール方法であって、タービンは、ケーシングと、ケーシングを貫通する回転軸と、回転軸に固定された羽根車と、ケーシング内で回転軸を回転自在に支持する軸受と、回転軸の、ケーシング内に位置する部分の軸線方向両端部の外周面側にそれぞれ配置されたメカニカルシール部材とを備えており、タービンのケーシング内に冷却液を流通し、ケーシング内への冷却液の供給圧力を、羽根車を回転させる低沸点媒体の蒸気の圧力よりも低くするタービンの回転軸シール方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、タービンの回転軸シール方法に関し、特には、低沸点媒体の蒸気を作動流体として用いるバイナリー発電において使用されるタービンの回転軸のシール方法に関するものである。
従来、アンモニア等の水よりも沸点が低い低沸点媒体を加熱し、発生した蒸気を用いてタービン発電機のタービンの羽根車を回転させることにより発電するバイナリー発電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、タービン発電機を用いた従来のバイナリー発電システムでは、液状の低沸点媒体を加熱して気化させる蒸発器と、低沸点媒体の蒸気の運動エネルギーを回転軸の回転エネルギーに変換するタービンと、低沸点媒体の蒸気を凝縮させる凝縮器と、液状の低沸点媒体を蒸発器に送る媒体送液ポンプとを備える閉ループ内で低沸点媒体を循環させる。そして、このバイナリー発電システムでは、タービンで得た回転エネルギーがタービン発電機の発電機で電気エネルギーに変換される。
特開2009−221961号公報
ここで、上述したバイナリー発電システムでは、タービンの回転軸と、当該回転軸を回転自在に支持する軸受との間の隙間等からアンモニアなどの低沸点媒体の蒸気が外部へ漏れ出す可能性がある。そのため、回転軸と軸受との間の隙間等からの低沸点媒体の蒸気の漏出を防止する必要がある。
そこで、本発明者らは、ケーシングと、ケーシングを貫通する回転軸と、回転軸に固定された羽根車と、ケーシング内で回転軸を支持する一対の軸受と、回転軸の軸線方向両端部の外周面側にそれぞれ配置されたメカニカルシール部材とを備えるタービンを使用すると共に、メカニカルシール部材でシールされたタービンのケーシング内に冷却液を流通させることに着想した。このようなタービンを用いれば、メカニカルシール部材と、ケーシング内を流れる冷却液との双方を利用して、低沸点媒体の蒸気がバイナリー発電システムから外部へと漏れ出すのを防止することができる。
しかしながら、本発明者らが更に検討を重ねたところ、タービンのケーシング内に冷却液を流通させた場合、流通させる冷却液の圧力が高いと、ケーシング内からバイナリー発電システムの閉ループ内へと冷却液が流れ出し、低沸点媒体の組成が変化してバイナリー発電システムの性能が低下するという問題が生じることを新たに見出した。
そこで、本発明は、バイナリー発電システムにおいて使用した際に、バイナリー発電システムの性能低下を抑制しつつ、低沸点媒体の蒸気の外部への漏出を防止することができるタービンの回転軸シール方法を提供することを目的とする。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のタービンの回転軸シール方法は、低沸点媒体の蒸気を作動流体として用いるバイナリー発電において使用されるタービンの回転軸シール方法であって、前記タービンは、ケーシングと、前記ケーシングを貫通する回転軸と、前記回転軸に固定された羽根車と、前記ケーシング内で前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記回転軸の、前記ケーシング内に位置する部分の軸線方向両端部の外周面側にそれぞれ配置されたメカニカルシール部材とを備えており、前記タービンの前記ケーシング内に冷却液を流通し、前記ケーシング内への前記冷却液の供給圧力を、前記羽根車を回転させる前記低沸点媒体の蒸気の圧力よりも低くすることを特徴とする。このように、メカニカルシール部材を有するタービンを使用すれば、低沸点媒体の蒸気がバイナリー発電システムから外部へと漏れ出すのを抑制することができる。更に、メカニカルシール部材でシールされたタービンのケーシング内に冷却液を流通させれば、メカニカルシール部材のみでは低沸点媒体の蒸気の漏出を防止できなかった場合であっても、低沸点媒体の蒸気をケーシング内で凝縮させることができるので、低沸点媒体の蒸気がバイナリー発電システムから外部へと漏れ出すのを防止することができる。また、ケーシング内に流通させる冷却液の供給圧力を低沸点媒体の蒸気の圧力よりも低くすれば、ケーシング内からバイナリー発電システム内へと冷却液が流れ出すのを抑制して、バイナリー発電システムの性能が低下するのを抑制することができる。
ここで、本発明のタービンの回転軸シール方法は、前記羽根車側に位置するメカニカルシール部材の温度が、前記低沸点媒体の蒸気の凝縮点未満の温度となるように前記冷却液を流通することが好ましい。ケーシング外に設けられた羽根車側に位置するメカニカルシール部材の温度を低沸点媒体の蒸気の凝縮点未満の温度とすれば、メカニカルシール部材と回転軸の外周面との間で低沸点媒体の蒸気を凝縮させ、メカニカルシール部材と回転軸との間の摩擦によりメカニカルシール部材が損傷するのを抑制することができるからである。
そして、本発明のタービンの回転軸シール方法は、前記羽根車を回転させた前記低沸点媒体の蒸気の圧力を測定し、測定した蒸気の圧力に基づいて、前記ケーシング内への前記冷却液の供給圧力が前記測定した蒸気の圧力未満となるように前記冷却液の供給手段を制御することが好ましい。羽根車を回転させた低沸点媒体の蒸気の圧力を測定して冷却液の供給圧力を制御すれば、ケーシング内からバイナリー発電システム内へと冷却液が流れ出すのを確実に抑制することができるからである。
本発明によれば、バイナリー発電システムにおいて使用した際に、バイナリー発電システムの性能低下を抑制しつつ、低沸点媒体の蒸気の外部への漏出を防止することができるタービンの回転軸シール方法を提供することができる。
本発明に従うタービンの回転軸シール方法を使用したタービンを備えるバイナリー発電システムの概略構成を示す説明図である。 図1に示すタービンの構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
ここで、本発明のタービンの回転軸シール方法は、低沸点媒体の蒸気を作動流体として用いるバイナリー発電システムにおいて使用される。なお、本発明のタービンの回転軸シール方法を用いるバイナリー発電システムは、アンモニア、ブタン、ペンタン等の単体を低沸点媒体として用いるランキンサイクル方式のバイナリー発電システムであってもよいし、水とアンモニアとの混合物を低沸点媒体として用いるカリーナサイクル方式のバイナリー発電システムであってもよい。
<バイナリー発電システム>
図1に、本発明のタービンの回転軸シール方法の一例を適用したバイナリー発電システムの一例の概略構成を示す。このバイナリー発電システム10は、カリーナサイクル方式のバイナリー発電システムである。
バイナリー発電システム10は、タービンTと発電機9とからなるタービン発電機を有している。そして、バイナリー発電システム10では、低沸点媒体タンク1と、媒体送液ポンプP1と、再生熱交換器2と、蒸発器3と、流体加熱器4と、分離器5と、蒸気加熱器6と、タービンTと、吸収器7と、凝縮器8とを備える閉ループ内で低沸点媒体を循環させることにより、タービン発電機を用いて発電を行う。
ここで、低沸点媒体タンク1は、液状の低沸点媒体を貯留するタンクである。そして、低沸点媒体タンク1中の低沸点媒体(この一例のバイナリー発電システム10では、水とアンモニアとの混合物)は、媒体送液ポンプP1により、再生熱交換器2を介して蒸発器3へと送られる。
再生熱交換器2は、低温の低沸点媒体と、後に詳細に説明する分離器5において分離された高温の蒸発残液との間で熱交換を行い、低沸点媒体が蒸発器3へと流入する前に低沸点媒体を予加熱する装置である。この再生熱交換器2では、蒸発残液の有する熱エネルギーが低沸点媒体の予加熱に有効利用される。
そして、再生熱交換器2で予加熱された低沸点媒体は、蒸発器3において更に加熱され、少なくとも一部が蒸気となる。具体的には、蒸発器3では、低沸点媒体が加熱され、大部分がアンモニア蒸気よりなる低沸点媒体蒸気と、大部分が水よりなる蒸発残液との混合流体が生成する。なお、蒸発器3において低沸点媒体を加熱する際の熱源としては、焼却炉等からの温排水、加熱炉の排気ガス、温泉、蒸気などのバイナリー発電において通常用いられる熱源を使用することができる。
流体加熱器4は、蒸発器3で得た低沸点媒体蒸気と蒸発残液との混合流体を更に加熱し、低沸点媒体蒸気の量を増やすと共に、低沸点媒体蒸気を加熱する装置である。なお、流体加熱器4において混合流体を加熱する際の熱源としては、蒸発器3と同様の熱源を使用することができる。
分離器5は、流体加熱器4から流出した低沸点媒体蒸気と蒸発残液との混合流体を、低沸点媒体蒸気と、蒸発残液とに気液分離する装置である。そして、分離器5で分離された低沸点媒体蒸気は、蒸気加熱器6へと送られる。また、蒸発残液は、再生熱交換器2を介して吸収器7へと送られる。なお、分離器5としては、ミストセパレーターやサイクロンなどの既知の気液分離装置を用いることができる。
蒸気加熱器6は、分離器5で分離された低沸点媒体蒸気を加熱し、バイナリー発電システム10の発電効率を向上させるための装置である。なお、蒸気加熱器6において低沸点媒体蒸気を加熱する際の熱源としては、蒸発器3や流体加熱器4と同様の熱源を使用することができる。
タービンTは、蒸気加熱器6から流出した低沸点媒体蒸気の運動エネルギーを回転軸の回転エネルギーに変換する装置である。そして、タービンTの回転軸は発電機9に接続されており、タービンTで得た回転エネルギーは、発電機9において電気エネルギーに変換される。
吸収器7は、タービンTの回転軸を回転させた後の低沸点媒体蒸気と、分離器5で分離した蒸発残液とを混合し、低沸点媒体蒸気の一部を蒸発残液に吸収させる装置である。なお、吸収器7としては、スプレー塔等の既知の気液混合装置を用いることができる。
凝縮器8は、吸収器7から流出した低沸点媒体蒸気と蒸発残液との混合流体を冷却し、低沸点媒体蒸気を凝縮させる装置である。そして、凝縮器8において低沸点媒体蒸気を凝縮させて得られる液状の低沸点媒体は、低沸点媒体タンク1に貯留される。
ここで、上述したバイナリー発電システム10のタービンTは、回転軸の軸線方向に沿う断面を図2に示すように、ケーシング100と、ケーシング100を貫通する回転軸110と、回転軸110の軸線方向一端(図2では左側端)に固定された羽根車120と、ケーシング100内で回転軸110を回転自在に支持する一対の軸受131,132と、回転軸110のうちケーシング100内に位置する部分の軸線方向両端部の外周面側にそれぞれ配置されたメカニカルシール部材141,142とを備えている。
ここで、ケーシング100は、回転軸110を挿通可能な筒状体であり、特に限定されることなく、軸線方向一方側(図2では左側)に位置する第1ケーシング部材101、軸線方向中央に位置する第2ケーシング部材102および軸線方向他方側(図2では右側)に位置する第3ケーシング部材103の3つの部材で構成されている。なお、第1ケーシング部材101、第2ケーシング部材102および第3ケーシング部材103は、既知の手法を用いて互いに液密に連結されている。
そして、このタービンTでは、一対の軸受131,132は第2ケーシング部材102の内側に設けられている。また、図2では左側(羽根車120側)に位置する第1メカニカルシール部材141は、第1ケーシング部材101の内周面と、回転軸110の外周面との間に設けられている。更に、図2では右側に位置する第2メカニカルシール部材142は、第3ケーシング部材103の内周面と、回転軸110の外周面との間に設けられている。
また、回転軸110に固定された羽根車120は、ケーシング100の外側に位置し、複数の羽根121を有している。そして、タービンTでは、羽根車120の近傍に設けられた複数の噴出ノズル122から羽根121に向けて低沸点媒体蒸気を噴き付けることにより、羽根車120と、一対の軸受131、132に軸支された回転軸110とを回転させる。
なお、タービンTの回転軸110は、下記の回転軸シール方法を用いてシールされている。そして、このバイナリー発電システム10では、タービンTの回転軸110が下記の方法を用いてシールされているので、羽根121に噴き付けられた低沸点媒体蒸気がタービンT内を通ってバイナリー発電システム10の外へと漏れるのを防止することができる。
<タービンの回転軸シール方法>
図2に示すタービンTの回転軸110は、メカニカルシール部材141,142と、ケーシング100内に流通させた所定圧力の冷却液とを用いてシールされている。具体的には、タービンTでは、ケーシング100内のメカニカルシール部材141,142間に位置する空間Sに所定圧力の冷却液を流通させることにより、羽根121に噴き付けられた低沸点媒体蒸気がタービンT内を通って蒸気のまま外部へと漏れるのを防止している。
なお、ケーシング100内への冷却液の供給は、図2では下側で第2ケーシング部材102の外周面と内周面102Aとを連通する冷却液供給口151を介して行うことができる。また、ケーシング100内からの冷却液の排出は、図2では上側で第2ケーシング部材102の外周面と内周面102Aとを連通する冷却液排出口152を介して行うことができる。因みに、冷却液の供給は、図1に示すように冷却液ポンプP2を用いて行うことができる。
ここで、ケーシング100内に流通させる冷却液の「所定圧力」、即ちケーシング100内に供給する冷却液の供給圧力は、タービンTの羽根121に噴き付けられた低沸点媒体蒸気の圧力よりも低い圧力にする必要がある。
羽根車120側でメカニカルシールを構成する第1メカニカルシール部材141の内周面と回転軸110の外周面との間にはメカニカルシールを形成するための微小な隙間が形成されているので、冷却液の供給圧力を羽根121に噴き付けられた低沸点媒体蒸気の圧力以上にすると、当該微小な隙間を通って冷却液が羽根車120側(閉ループ内)へと漏れ出す。従って、閉ループ内を循環している低沸点媒体の組成が変化してバイナリー発電システム10の性能が低下するのを抑制する観点から、冷却液の供給圧力は、低沸点媒体蒸気の圧力よりも低い圧力にする必要がある。
なお、冷却液の供給圧力を低沸点媒体蒸気の圧力よりも低くした場合、圧力差に起因して羽根車120側からケーシング100内に向かって低沸点媒体蒸気が流入する虞がある。しかし、ケーシング100内の空間Sには冷却液が満たされているので、ケーシング100内に流入した低沸点媒体蒸気は冷却液により冷却されて凝縮し、液状の低沸点媒体となってから冷却液と共に流出する。従って、バイナリー発電システム10では、気体状の低沸点媒体蒸気がタービンT内を通って蒸気のまま外部へと漏れるのを防止することができる。因みに、ケーシング100内に流入する低沸点媒体蒸気の量は少量なので、冷却液と共に流出した液状の低沸点媒体は、そのまま冷却液と共に廃棄してもよいし、任意の処理方法で処理してもよい。また、バイナリー発電システム10を長時間運転した場合などに、低沸点媒体蒸気のケーシング100内への流入により閉ループ内を流れる低沸点媒体の量が減少した際には、低沸点媒体タンク1内に低沸点媒体を補充すればよい。なお、低沸点媒体量の減少は、低沸点媒体タンク1内にレベル計を設置することにより、或いは、閉ループ内に低沸点媒体の比重を測定する比重計を設置することにより簡便に検出することができる。
ここで、冷却液としては、低沸点媒体蒸気を凝縮可能な任意の液体を用いることができるが、低沸点媒体蒸気を溶解可能な液体を冷却液として用いることが好ましい。低沸点媒体蒸気を溶解可能な液体を冷却液として用いれば、低沸点媒体蒸気を冷却液に溶解させて簡便に廃棄または処理することができるからである。具体的には、例えば低沸点媒体としてアンモニアと水との混合物を使用し、低沸点媒体蒸気の大部分がアンモニア蒸気からなる場合には、冷却液として水を用いることができる。
なお、上述した回転軸シール方法では、タービンTの羽根121に噴き付けられた低沸点媒体蒸気の圧力(p)と、冷却液の供給圧力(p)との差(p−p)は100kPa以上200kPa以下であることが好ましい。差(p−p)が100kPa以上であれば、冷却液が閉ループ内へと流出するのを確実に抑制することができるからである。また、差(p−p)が200kPa以下であれば、閉ループ内での低沸点媒体の減少速度を小さくして低沸点媒体の補充頻度を低減することができるからである。
また、上述した回転軸シール方法では、冷却液の供給圧力(p)は、低沸点媒体蒸気の圧力(p)よりも必ず低くなるような一定の設計値としても良いが、上述した回転軸シール方法では、低沸点媒体蒸気の圧力(p)を測定して供給圧力(p)を制御することが好ましい。具体的には、例えば、タービンTと吸収器7との間に設置した圧力計PIを用いて低沸点媒体蒸気の圧力(p)を測定し、測定した圧力(p)に基づいて、冷却液の供給圧力(p)が測定した低沸点媒体蒸気の圧力(p)未満となるように冷却液ポンプP2の吐出圧力を制御することが好ましい。低沸点媒体蒸気の圧力(p)を測定して供給圧力(p)を制御すれば、低沸点媒体蒸気の圧力が経時変化した場合であっても、ケーシング100内からバイナリー発電システム10の閉ループ内へと冷却液が流れ出すのを確実に抑制することができるからである。また、冷却液の供給圧力と低沸点媒体蒸気の圧力との差をできるだけ小さくして、ケーシング100内への低沸点媒体蒸気の流入量を低減することができるからである。
なお、供給圧力の制御には、PID制御などの既知の制御手法を用いることができる。
更に、上述した回転軸シール方法では、羽根車120側に位置する第1メカニカルシール部材141の温度が、低沸点媒体蒸気の凝縮点未満の温度となるように冷却液を流通することが好ましい。冷却液の供給圧力を低くした場合、メカニカルシールを構成する第1メカニカルシール部材141の内周面と回転軸110の外周面との間の微小な隙間に入り込む冷却液の量が減少してシール面が焼きつき、第1メカニカルシール部材141が損傷する虞がある。しかし、第1メカニカルシール部材141の温度を低沸点媒体蒸気の凝縮点未満の温度とすれば、第1メカニカルシール部材141の内周面と回転軸110の外周面との間で低沸点媒体蒸気を凝縮させ、第1メカニカルシール部材141と回転軸110との間の摩擦により第1メカニカルシール部材141が損傷するのを抑制することができるからである。
なお、第2メカニカルシール部材142の摩擦による損傷の抑制は、例えば、冷却液の供給圧力を、低沸点媒体蒸気の圧力未満かつ大気圧以上にしておくことで達成することができる。
以上、一例を用いて本発明のタービンの回転軸シール方法について説明したが、本発明のタービンの回転軸シール方法は、上記一例に限定されることはなく、本発明のタービンの回転軸シール方法には、適宜変更を加えることができる。
また、本発明のタービンの回転軸シール方法を適用したバイナリー発電システムは、流体加熱器や蒸気加熱器を有していなくてもよい。更に、本発明のタービンの回転軸シール方法を適用するタービンは、羽根車を回転軸の中央部に固定し、羽根車の軸線方向両側に、メカニカルシール部材を備え、且つ、冷却液が流通されるケーシングを設けた構造(即ち、回転軸を両側で支持する構造)であってもよい。
本発明によれば、バイナリー発電システムにおいて使用した際に、バイナリー発電システムの性能低下を抑制しつつ、低沸点媒体の蒸気の外部への漏出を防止することができるタービンの回転軸シール方法を提供することができる。
1 低沸点媒体タンク
2 再生熱交換器
3 蒸発器
4 流体加熱器
5 分離器
6 蒸気加熱器
7 吸収器
8 凝縮器
9 発電機
10 バイナリー発電システム
T タービン
P1 媒体送液ポンプ
P2 冷却液ポンプ
100 ケーシング
101 第1ケーシング部材
102 第2ケーシング部材
103 第3ケーシング部材
102A 内周面
110 回転軸
120 羽根車
121 羽根
122 噴出ノズル
131,132 軸受
141,142 メカニカルシール部材
151 冷却液供給口
152 冷却液排出口

Claims (3)

  1. 低沸点媒体の蒸気を作動流体として用いるバイナリー発電において使用されるタービンの回転軸シール方法であって、
    前記タービンは、ケーシングと、前記ケーシングを貫通する回転軸と、前記回転軸に固定された羽根車と、前記ケーシング内で前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記回転軸の、前記ケーシング内に位置する部分の軸線方向両端部の外周面側にそれぞれ配置されたメカニカルシール部材とを備えており、
    前記タービンの前記ケーシング内に冷却液を流通し、
    前記ケーシング内への前記冷却液の供給圧力を、前記羽根車を回転させる前記低沸点媒体の蒸気の圧力よりも低くする、
    ことを特徴とするタービンの回転軸シール方法。
  2. 前記羽根車側に位置するメカニカルシール部材の温度が、前記低沸点媒体の蒸気の凝縮点未満の温度となるように前記冷却液を流通することを特徴とする、請求項1に記載のタービンの回転軸シール方法。
  3. 前記羽根車を回転させた前記低沸点媒体の蒸気の圧力を測定し、
    測定した蒸気の圧力に基づいて、前記ケーシング内への前記冷却液の供給圧力が前記測定した蒸気の圧力未満となるように前記冷却液の供給手段を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載のタービンの回転軸シール方法。
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