JP2014199018A - ラジエータキャップ - Google Patents
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Abstract
【課題】 部品点数が少なくなって構造が単純になるとともに、負圧時の開弁機能に不具合が生じることを防止できるラジエータキャップを提供すること。
【解決手段】 注水口18に取り付けられるラジエータキャップ20を、注水口18を閉塞するキャップ本体21と、中央部に上部吸引孔24aが形成された加圧プレート24と、ガスケット26と、加圧ばね25a,25bとで構成した。ガスケット26は、上部吸引孔24aを塞いだ状態で加圧プレート24の下面に設置され、加圧プレート24から離れたときに上部吸引孔24aと連通する下部吸引孔26dを備えている。加圧ばね25a,25bは、加圧プレート24を介してガスケット26を細径環状部18bに押圧し、圧力によって押し返されると収縮して細径環状部18bとガスケット26との間に隙間を形成させる。加圧プレート24とガスケット26との間に空間部28が形成されている。
【選択図】 図2
【解決手段】 注水口18に取り付けられるラジエータキャップ20を、注水口18を閉塞するキャップ本体21と、中央部に上部吸引孔24aが形成された加圧プレート24と、ガスケット26と、加圧ばね25a,25bとで構成した。ガスケット26は、上部吸引孔24aを塞いだ状態で加圧プレート24の下面に設置され、加圧プレート24から離れたときに上部吸引孔24aと連通する下部吸引孔26dを備えている。加圧ばね25a,25bは、加圧プレート24を介してガスケット26を細径環状部18bに押圧し、圧力によって押し返されると収縮して細径環状部18bとガスケット26との間に隙間を形成させる。加圧プレート24とガスケット26との間に空間部28が形成されている。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ラジエータやリザーブタンクなどからなる冷却水を収容する容器の上部に設けられた筒状の注水口に取り付けられるラジエータキャップに関する。
従来から、エンジンの冷却に使用されるラジエータや、ラジエータに接続されたリザーブタンクの上部には、筒状の注水口が設けられており、この注水口にラジエータキャップが着脱可能に取り付けられている。(例えば、特許文献1参照)。このラジエータキャップ(圧力調整キャップ)は、オーバーフローパイプによってリザーブタンクに接続されたラジエータの注水口に取り付けられている。そして、このラジエータキャップには、リザーブタンクから冷却水を導入するための吸水口と、ラジエータの冷却水または空気をオーバーフローさせるための出水口とが形成されたキャップ本体が備わっている。また、キャップ本体の開口付近の内部側には、連通穴を備えた環状の内壁が形成され、その内壁の上に、円板状の加圧プレートと、加圧プレートの下面に固着された円板状のゴム部材とからなる加圧弁が配置されている。
加圧弁の中央には、上下に貫通する穴が形成されており、その穴に環状のリテーナが取り付けられている。また、キャップ本体と加圧弁との間には、加圧弁を内壁に押圧するばねが介装され、加圧弁の下には、円板状のゴム部材とそのゴム部材の外周に固着された可撓部材とからなる負圧弁が配置されている。そして、負圧弁には、上下に貫通する複数の連通穴と、ゴム部材の中央からリテーナ内を貫通して上方に延びる軸部とが形成されており、軸部の上端にはフランジが形成されている。このフランジとリテーナとの間には、負圧弁を加圧弁に圧接させるばねが介装されている。また、負圧弁の周縁は、キャップ本体の開口周縁(内壁の下方)に固定されている。
このため、ラジエータ内の圧力が上昇すると、負圧弁の連通穴を介して加圧弁に圧力が加わり、加圧弁が上方に押し上げられる。このとき、ラジエータ内の冷却水は、負圧弁の連通穴から、加圧弁と内壁との隙間およびリテーナと軸部との隙間を通り、出水口を通過してリザーブタンクに流れていく。また、ラジエータ内が負圧になると、負圧弁が下方に引っ張られて加圧弁から離れる。これによって、リザーブタンク内の冷却水は、出水口から内壁の連通穴およびリテーナと軸部との隙間を通り、負圧弁の連通穴を通過してラジエータ内に流れていく。
しかしながら、前述した従来のラジエータキャップでは、ラジエータ内を所定の高圧状態に維持するために設けた、加圧弁およびキャップ本体と加圧弁との間に配置されたばねの他、ラジエータ内を所定の負圧状態に維持するために設けた、負圧弁、上端にフランジが形成された軸部、リテーナ、およびフランジとリテーナとの間に配置されたばねなどが必要になる。このため、部品点数が多くなり、構造も複雑になるという問題がある。また、前述した従来のラジエータキャップでは、加圧弁と負圧弁とが固着して、負圧時の開弁機能に不具合が生じることがある
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、その目的は、部品点数が少なくなって構造が単純になるとともに、負圧時の開弁機能に不具合が生じることを防止できるラジエータキャップを提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前述した目的を達成するため、本発明に係るラジエータキャップの構成上の特徴は、冷却水を収容する容器(10,11)の上部に設けられ、側部に外部に連通する通路(17)が形成され、内周面下部に細径環状部(18b)が形成された筒状の注水口(18)に取り付けられるラジエータキャップ(20)であって、注水口の上部に着脱可能に取り付けられて注水口の上端開口を閉塞するキャップ本体(21)と、細径環状部とキャップ本体との間に上下移動可能に配置され、中央部に上下に貫通する上部吸引孔(24a)が形成された加圧プレート(24)と、上部吸引孔を塞いだ状態で加圧プレートの下面に設置され、加圧プレートにおける上部吸引孔の外周側部分に対向して上下に貫通する複数の下部吸引孔(26d,29d,36d)が円周方向に間隔を保って形成され、上部吸引孔を介して所定の圧力を受けることにより下方に撓んで、上部吸引孔と下部吸引孔とを連通させるゴム製のガスケット(26,29,36)と、キャップ本体と加圧プレートとの間に配置され、加圧プレートを介してガスケットを細径環状部に押圧することにより細径環状部の上端開口を閉塞し、容器内の圧力が所定値をこえると収縮して細径環状部とガスケットとの間に隙間を形成させ、細径環状部の上端開口と通路とを連通させる加圧ばね(25a,25b)とを備え、加圧プレートとガスケットとの間における上部吸引孔の周縁部と外周部との間に空間部(24g,28)が形成されていることにある。
本発明に係るラジエータキャップでは、ガスケットを可撓性を有するゴムで構成し、このガスケットを加圧プレートを介して加圧ばねで注水口の細径環状部に押し付けることにより容器を閉塞するようにしている。このため、ガスケットを上方に押し上げようとする容器内の圧力が加圧ばねの押圧力よりも小さいときには、容器は閉塞状態に維持される。そして、容器内の圧力が加圧ばねの押圧力以上になると、容器内の圧力によってガスケットは加圧プレートに押し付けられ、加圧ばねの押圧力に抗して加圧プレートを上昇させる。これによって、容器内の冷却水、水蒸気または空気からなる流体が細径環状部の上端開口とガスケットとの間を通過して通路から外部に放出される。
また、容器内の圧力が外部の圧力よりも低い負圧の場合には、ガスケットは容器の内部側に吸引される。このとき、容器内の負圧による吸引力が、ガスケットを変形させるために必要な力よりも小さいときには、容器は閉塞状態に維持される。そして、容器内の負圧による吸引力が、ガスケットを変形させるために必要な力よりも大きくなると、容器内からの吸引力によってガスケットの中央側部分が下方に撓んで加圧プレートから離れていく。これによって、外部から通路に入った流体が、加圧プレートの上部吸引孔およびガスケットの下部吸引孔を通過して容器内に吸引される。
このように、容器内の圧力に応じて、容器内から流体を外部に放出したり、容器内に外部から流体を吸引したりすることにより、容器内の圧力を一定の範囲に調整することができる。これによって、容器が破損することを防止できる。また、本発明では、ガスケットを加圧プレートに押し付けて上部吸引孔を閉塞させたり、ガスケットの中央側部分を加圧プレートの下面から離して上部吸引孔と下部吸引孔とを連通させたりするために、ばねやそのばねを取り付けるための部材を用いない。このため、ラジエータキャップを構成する部品の点数が少なくなるとともに、ラジエータキャップの構造が単純になる。すなわち、本発明は、負圧弁を省略するとともに、負圧用のばねに代えてゴムからなるガスケットの弾性を利用したものである。
また、本発明に係るラジエータキャップでは、加圧プレートとガスケットとの間における上部吸引孔の周縁部と外周部との間に空間部が形成されている。このため、加圧プレートとガスケットとの接触面積が小さくなって加圧プレートとガスケットとの間に固着が生じ難くなる。これによって、負圧時に開弁機能が不能になることを防止できる。特に、冷却水中に不凍液等の液体が混在している場合等に、加圧プレートとガスケットとの接触面積が大きいと、ガスケットが加圧プレートに固着し易くなるが、加圧プレートとガスケットとの間に互いの接触面積を小さくするための空間部を設けることによって、この固着の発生を防止できる。この場合の空間部は、ガスケットの上面に凹部や凸部を設けることにより形成してもよいし、加圧プレートの下面に凹部を設けることにより形成してもよい。また、ガスケットの上面と加圧プレートの下面との双方に凹部を設けることにより形成してもよい。
また、本発明に係るラジエータキャップは、例えば、リザーブタンクの上部空間が外部に連通した簡易密閉式ラジエータ装置のラジエータや、リザーブタンクが外部に対して密閉された完全密閉式ラジエータ装置のリザーブタンクに取り付けることができる。そして、ラジエータにラジエータキャップを取り付けたときには、リザーブタンクが本発明に係る外部となり、リザーブタンクにラジエータキャップを取り付けたときには、大気中が本発明に係る外部となる。
なお、本発明に係るラジエータキャップは、ラジエータ装置のリザーブタンクに取り付けることがより好ましい。リザーブタンクの場合、冷却水の上方には空気や水蒸気が入っており、ラジエータキャップを通過してリザーブタンクに出入りするのは殆どが空気である。このため、リザーブタンクに設けられるラジエータキャップはより敏感に作動して開閉することが好ましい。本発明に係るラジエータキャップは、ばねに代えてゴムからなるガスケットの弾性を利用して弁を開閉するためより効果的に作動するようになり、リザーブタンクに設けるラジエータキャップとして好適なものである。また、キャップ本体と加圧ばねとの間に配置される加圧ばねは、キャップ本体と加圧プレートとに直接接した状態で配置されていてもよいし、他の部材を介して配置されていてもよいものとする。
本発明に係るラジエータキャップの他の構成上の特徴は、空間部が、ガスケットに少なくとも上面が凹部になった薄肉部(26c,29c)を設けることにより形成されていることにある。この場合の薄肉部は、ガスケットの上面に凹部を設けることにより形成してもよいし、ガスケットの上下両面に凹部を設けることにより形成してもよい。本発明によると、加圧プレートとガスケットとの間に空間部を形成することにより加圧プレートとガスケットとの接触面積が小さくなって固着が生じ難くなるとともに、ガスケットに薄肉部を設けることによって、ガスケットの中央部分が負圧時に下方に撓み易くなる。これによって、負圧時に良好な開弁機能を発揮できるようになる。
本発明に係るラジエータキャップの他の構成上の特徴は、空間部(24g)が、加圧プレートの下面に複数のリブ(24b,24d)を間隔を保って設けることにより形成されていることにある。この場合の複数のリブは、径方向に延びるものであってもよいし、円周方向に延びるものであってもよい。また、径方向に延びるリブと、円周方向に延びるリブとの双方を用いてもよい。これによると、加圧プレートの下面に複数のリブで区分けされた複数の空間部が形成されるようになり、加圧プレートとガスケットとに固着が生じ難くなる。
本発明に係るラジエータキャップのさらに他の構成上の特徴は、周面部(27a)と下面支持部(27b)と上面支持部(27c)とを備えたリング状部材(27)で、加圧プレートの外周縁部とガスケットの外周縁部とが組み付けられていることにある。本発明によると、ガスケットが脱落したり位置ずれしたりすることを防止した状態で、ガスケットを加圧プレートに組み付けることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係るラジエータキャップ20が取り付けられたリザーブタンク10とラジエータ11とからなる完全密閉式ラジエータ装置を、エンジン12に接続した状態を示している。ラジエータ11の下部とエンジン12の内部に設けられた冷却水路(図示せず)の入口との間は、冷却水配管13aで接続されており、冷却水配管13aの中間部にウォーターポンプ14が設けられている。また、エンジン12の冷却水路の出口とラジエータ11の上部との間は、エンジン12を冷却した冷却水をエンジン12からラジエータ11に送る冷却水配管13bで接続されている。
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係るラジエータキャップ20が取り付けられたリザーブタンク10とラジエータ11とからなる完全密閉式ラジエータ装置を、エンジン12に接続した状態を示している。ラジエータ11の下部とエンジン12の内部に設けられた冷却水路(図示せず)の入口との間は、冷却水配管13aで接続されており、冷却水配管13aの中間部にウォーターポンプ14が設けられている。また、エンジン12の冷却水路の出口とラジエータ11の上部との間は、エンジン12を冷却した冷却水をエンジン12からラジエータ11に送る冷却水配管13bで接続されている。
このため、ウォーターポンプ14が作動すると、ラジエータ11内の冷却水が冷却水配管13aを通ってエンジン12の冷却水路に送られエンジン12を冷却する。そして、エンジン12を冷却することによって熱を吸収した冷却水は、冷却水配管13bを通ってラジエータ11に戻され、ラジエータ11内を通過する。その間に、冷却水は、ラジエータ11に設けられた前後に貫通する複数の隙間を通過する風、および、ラジエータ11に設けられたフィン(図示せず)によって効果的に冷却される。
また、ラジエータ11の上部は、オーバーフローパイプ15でリザーブタンク10の上部に接続されている。リザーブタンク10内の下部には冷却水が収容され、リザーブタンク10内の上部は空間になっている。そして、リザーブタンク10の下部からは、2本の連結パイプ16a,16bが外部に延びており、連結パイプ16aの先端は、ウォーターポンプ14に連結され、連結パイプ16bの先端は、冷却水配管13bに連結されている。また、リザーブタンク10の上端には、側部に通気口17(図2参照)が形成された注水口18が設けられており、この注水口18にラジエータキャップ20が着脱自在に取り付けられている。
リザーブタンク10の注水口18は、図2に示したように、上部が下部よりも大径になった略円筒状に形成されており、その内周面の上部に、ねじ18aが形成されている。また、注水口18の内周面下部には、注水口18の大径部分の内周面と間隔を保って上方に突出する細径環状部18bが形成されている。この細径環状部18bの内周面は、下部側から上部側にいくほど直径が大きくなるテーパ面で構成されており、細径環状部18bの上端はねじ18aよりも下方に位置している。このため、リザーブタンク10の内部は、細径環状部18bの内部、注水口18の上部空間および注水口18の大径部分の内周面と細径環状部18bの外周面との間を介して通気口17に連通している。なお、リザーブタンク10およびラジエータ11は、それぞれ樹脂材料で構成されている。
この注水口18に取り付けられるラジエータキャップ20は、キャップ本体21と、ガイド部22と、リテーナ23と、加圧ばね25a,25bと、ガスケット26と、リング状部材27とを備えている。キャップ本体21は、樹脂を一体成形した部材で構成されており、円板状の天井部21aと、天井部21aの周縁部から下方に延びる環状の周壁部21bと、周壁部21bの内周面と間隔を保って天井部21aの下面から下方に延びる環状の係合部21cとからなっている。係合部21cの外周面には、注水口18のねじ18aに螺合できるねじ21dが形成されており、ラジエータキャップ20は、このねじ21dをねじ18aに螺合させることにより、注水口18に着脱可能に取り付けられる。このとき、注水口18の上部は、周壁部21bと係合部21cとの間に位置する。また、係合部21cの内周面下部には、内部側に突出する複数の係合段部21eが円周に沿って一定間隔で形成されている。
ガイド部22は、樹脂材料で構成されており、天井部22aと、外周係合部22bと、ばね支持部22cとで構成されている。天井部22aは略円板状に形成されており、その外周縁部に下方に延びる外周係合部22bが形成され、下面の中央部分に下方に延びる筒状のばね支持部22cが形成されている。また、外周係合部22bの下端の所定部分からは、下方に延びたのちに内側に突出し、さらに屈曲して上方に延びる複数の係合片22dが円周方向に間隔を保って形成されており、この係合片22dの内周面における上下方向の中央部に内周側に突出する突部22eが形成されている。
ばね支持部22cは、中央側に位置する筒状部22fと、筒状部22fの外周面と天井部22aの下面との間に形成された段部22gとで構成されている。そして、筒状部22fの外周面と段部22gの下面および段部22gの外周面と天井部22aの下面とがそれぞれ交差する角部近傍部分で加圧ばね25a,25bの上端部が支持される。このように構成されたガイド部22は、係合部21c内に押し込まれて外周係合部22bの下端部を係合段部21eに係合させることにより、キャップ本体21に組み付けられている。
リテーナ23は、樹脂材料で構成されており、加圧プレート24および加圧プレート24の上部にそれぞれ設けられた被ガイド部23aとばね支持部23bとで構成されている。被ガイド部23aは、横断面形状が円弧状の4つの板状部分を円周方向に間隔を保って配置することにより略円筒状に形成されており、一部の外面上端には、外側に突出する係合突部23cが形成されている。ばね支持部23bは、ばね支持部22cと直径が同じで、軸方向の長さが少し短い円筒状に形成されており、中央側に位置する筒状部23dと、筒状部23dの外周面下部に形成された段部23eとで構成されている。段部23eは、加圧プレート24の上面における被ガイド部23aの内周側に凹部を設けることにより形成されている。そして、筒状部23dの外周面と段部23eの上面および段部23eの外周面と凹部の底面とがそれぞれ交差する角部近傍部分で加圧ばね25a,25bの下端部が支持される。
加圧プレート24は、中央に上下に貫通してばね支持部23bの内部空間に連通する上部吸引孔24aが形成された円板状に形成されている。そして、図3に示したように、加圧プレート24の下面における上部吸引孔24aの周囲には下方に突出する環状のリブ24bが形成され、そのリブ24bの下面に下方に突出する内周側シール部24cが形成されている。また、リブ24bの外周側には、径方向に延びる8個のリブ24dが円周方向に等間隔で形成されている。
このリブ24dの下面は、内周側から外周側に行くほど高くなって外周側の端部が加圧プレート24の下面に連なるテーパ状に形成されており、加圧プレート24の下面における中心と外周部との中間付近まで延びている。この加圧プレート24の下面と、リブ24bと、リブ24dとで囲まれる複数の空間24gで本発明に係る加圧プレート24の下面の空間が構成される。また、加圧プレート24の下面における外周側には下方に突出する外周側シール部24eが円周に沿って形成されている。そして、加圧プレート24の上面と外周面との間には、傾斜面24fが形成されており、これによって、加圧プレート24の外周部は、他の部分よりも徐々に外周に向かって薄肉になっている。
このように構成されたリテーナ23は、被ガイド部23aを、係合片22dの内部側に入れて、係合突部23cを突部22eの上方に位置させることにより、被ガイド部23aが係合片22dから外れることを防止した状態でガイド部22に組み付けられている。このため、リテーナ23は、被ガイド部23aの上端部が、天井部22aに当接する上昇位置と、係合突部23cが突部22eに当接する下降位置との間で、ガイド部22に対して昇降できる。
そして、互いに組み付けられたガイド部22とリテーナ23とにおけるばね支持部22cとばね支持部23bとの間に、金属製のコイルばねからなる加圧ばね25a,25bが取り付けられている。この加圧ばね25a,25bによって、リテーナ23は、ガイド部22に対して下方に付勢されている。また、加圧ばね25a,25bを設けたことによって、前述したリテーナ23の上昇位置は、加圧ばね25a,25bが最少長さまで収縮した位置で規制されるようになる。
ガスケット26は、ゴムからなる円板体で構成されており、加圧プレート24の下面に設置されている。このガスケット26は、図4および図5に示したように、中央部分26aと外周部分26bとの間に、中央部分26aや外周部分26bよりも薄肉になった薄肉部26cを円周に沿って形成して構成されており、その薄肉部26cに、上下に貫通する4つの円形の下部吸引孔26dが円周方向に等間隔を保って形成されている。
このガスケット26は、中央部分26aを内周側シール部24cに対向させて上部吸引孔24aを閉塞し、薄肉部26cをリブ24dに対向させ、外周部分26bに外周側シール部24eを圧接させた状態で、加圧プレート24の下面に設置され、加圧ばね25a,25bの付勢力によって、注水口18の細径環状部18bの上端部に押し付けられている。また、ガスケット26における薄肉部26cの上方と、前述した加圧プレート24の下面との間には空間部28が形成されており、この空間部28で本発明に係る空間部が構成される。
リング状部材27は、ガスケット26が加圧プレート24から外れることを防止するための部材であり、金属で構成されている。このリング状部材27は、加圧プレート24の傾斜面24fを除いた外周部とガスケット26の合計の厚みよりも少し長い上下方向の長さを備えたリング状の周面部27aと、周面部27aの下端から内部側に向かって突出するフランジ状の下面支持部27bとを備えている。そして、周面部27aの上端には、上方内周側に突出する複数の上面支持部27cが周方向に間隔を保って形成されている。このリング状部材27は、加圧プレート24とガスケット26との外周側に下方から押し上げて組み付け、下面支持部27bをガスケット26の下面に係合させたのちに、上面支持部27cを折り曲げて加圧プレート24の傾斜面24fに係合させることにより、加圧プレート24とガスケット26とに組み付けられている。また、このリング状部材27は、樹脂材料で構成してもよい。
なお、キャップ本体21、ガイド部22およびリテーナ23を構成する樹脂材料としては、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂などを用いることができる。特に、加圧プレート24を含むリテーナ23については、耐久性を要することからポリフェニレンサルファイド樹脂で構成することが好ましい。また、ガスケット26を構成するゴムとしては、HNBR(水素化ニトリルゴム)やEPDM(エチレン・プロピレンゴム)を用いることが好しいが、フッ素ゴム、シリコンゴム、水素アクリロニトル・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴムなどのゴムやエラストマ樹脂などを用いることもできる。
この構成において、エンジン12の作動により、エンジン12の温度が上昇して、サーモスタット(図示せず)が作動すると、ウォーターポンプ14が作動する。その後、ラジエータ11の圧力が所定値を超えると、ラジエータ11内の冷却水が、リザーブタンク10内に送られ、さらに、リザーブタンク10の圧力が所定値を超えると、リザーブタンク10内の空気や水蒸気がラジエータキャップ20から大気中に放出される。また、ラジエータ11とリザーブタンク10との圧力が所定の負圧になると、大気中の空気がラジエータキャップ20からリザーブタンク10の内部に吸引される。
このときのラジエータキャップ20作動状態を、図6ないし図9を用いて説明する。なお、図6ないし図9は、ラジエータキャップ20の要部を簡略化して示したものであり、図2に示したラジエータキャップ20とは多少異なっている部分もある。まず、図6に示した状態から、リザーブタンク10内の圧力が上昇したときには、ガスケット26はリザーブタンク10内の圧力によって加圧プレート24に押し付けられ、ガスケット26の上面における中央部分26aは内周側シール部24cに圧接し、外周部分26bは外周側シール部24eに圧接する。これによって、リザーブタンク10は、図7に示した密閉状態に維持される。そして、リザーブタンク10内の圧力がさらに上昇して、例えば、108kPaに達すると、リザーブタンク10内の圧力が加圧ばね25a,25bの付勢力に抗してガスケット26をリテーナ23とともに上昇させる。
これによって、図8に示したように、細径環状部18bの上端部とガスケット26との間に隙間が生じて、リザーブタンク10内の膨張した空気や水蒸気が、矢印aで示したように、細径環状部18bの内部空間から、細径環状部18bの上端とガスケット26との間を通過していく。そして、その空気や水蒸気は、通気口17を通過して外部に放出される。これにより、リザーブタンク10内の圧力が異常に高くなってリザーブタンク10が破損することが防止される。この場合、ガスケット26が、内周側シール部24cと外周側シール部24eとに圧接されることによって、加圧プレート24とガスケット26との間から水蒸気が漏れ出ることがなくなる。
また、エンジン12の停止などにより、ラジエータ11内の温度が低下し、そのためラジエータ11やリザーブタンク10内の圧力が負圧になると、その負圧によってガスケット26はリザーブタンク10の内部側に吸引される。このとき、負圧による吸引力が小さいと、ガスケット26の中央部分26aは内周側シール部24cに接した状態を維持し、ガスケット26の外周部分26bは細径環状部18bの上端部に圧接して、リザーブタンク10は密閉状態に維持される。そして、リザーブタンク10内の圧力がさらに低下して、例えば、5kPaに達すると、リザーブタンク10内の負圧がガスケット26の弾性力に抗してガスケット26の中央部分26aを下方に向かって撓ませる。
これによって、図9に示したように、内周側シール部24cから中央部分26aが離れて、加圧プレート24の上部吸引孔24aとガスケット26の下部吸引孔26dとが連通する。そして、外部から通気口17を介して吸い込まれる空気が、矢印bで示したように、リザーブタンク10内に送られる。これによって、リザーブタンク10内の圧力が異常に低くなってリザーブタンク10が破損することが防止される。この場合、ガスケット26の中央部分26aと外周部分26bとの間には薄肉部26cが形成されているため、ガスケット26の中央部分26aは、リザーブタンク10内の圧力の変化に敏感に反応して撓むようになる。
以上のように、本実施形態に係るラジエータキャップ20では、ガスケット26を加圧プレート24に押し付けて上部吸引孔24aを閉塞したり、ガスケット26の中央部分26aを加圧プレート24の下面から離して上部吸引孔24aと下部吸引孔26dとを連通させたりするために、負圧用の弁やばねおよびそれらを取り付けるための部材を用いない。このため、ラジエータキャップ20を構成する部品の点数が少なくなるとともに、ラジエータキャップ20の構造が単純になる。
また、本実施形態に係るラジエータキャップ20では、加圧プレート24の下面に複数の空間24gを形成するとともに、ガスケット26に薄肉部26cを形成して、加圧プレート24とガスケット26との間に空間部28を形成している。これによって、加圧プレート24とガスケット26との接触面積が小さくなって加圧プレート24とガスケット26との間に固着が生じ難くなり、負圧時に開弁機能が不能になることを防止できる。また、負圧時に、ガスケット26の中央部分26aが下方に撓み易くなり、良好な開弁機能を発揮できるようになるとともに、これによってもさらに加圧プレート24とガスケット26との間に固着が生じ難くなる。
また、ラジエータキャップ20では、加圧プレート24の下面に内周側シール部24cと外周側シール部24eとを設けて、空気や水蒸気を外部に放出する際に、これらに、ガスケット26が圧接するようにしている。このため、ガスケット26と加圧プレート24との間から空気や水蒸気が流れ出ることがなくなり、ガスケット26に一定の圧力がかかったときに、細径環状部18bの上端部とガスケット26との間に隙間が生じて水蒸気が外部に放出されるようになる。また、本実施形態に係るラジエータキャップ20では、加圧プレート24とガスケット26との外周縁部をリング状部材27で組み付けている。このため、ガスケット26が加圧プレート24から脱落したり位置ずれしたりすることを防止できる。
また、前述したラジエータキャップ20の変形例として、図10に示したガスケット29を用いることができる。このガスケット29では、薄肉部29cを平面状でなく、断面形状における内周側が下方に突出し、外周側が上方に突出するダイヤフラム形状に形成している。これによると、薄肉部29cを延ばしてテーパ状に傾斜させたときの幅が長くなる。このため、外周部分29bを加圧プレート24の下面外周側部分に対して固定した状態で、中央部分29aを下方に付勢する力が加わると、薄肉部29cが容易に変形して中央部分26aは下方に移動するようになる。
この結果、負圧時の開弁機能がさらに良好になるとともに、ガスケット29が加圧プレート24に固着することがより確実に防止されるようになる。また、薄肉部29cをダイヤフラム形状に形成することにより、ガスケット29が膨潤した場合に、薄肉部29cがガスケット29の変形を吸収できるようになる。この結果、中央部分29aと外周部分29bとの平面度を保つことができ、ガスケット29の膨潤によりシール性が劣化することを防止できる。なお、このガスケット29においても下部吸引孔29dは薄肉部29cに形成されている。
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態に係るラジエータキャップに備わったガスケット36を示している。このガスケット36は、全体が均一な厚みになった円板状に形成されており、薄肉部は形成されていない。そして、ガスケット36の中心部と外周部との略中間部分に、円弧状の長穴からなる6つの下部吸引孔36dが円周に沿って等間隔で形成されている。このガスケット36を備えたラジエータキャップのそれ以外の部分の構成は、前述したラジエータキャップ20と同一であり、ラジエータキャップ20と同様の使用方法で用いられる。
図11は、本発明の第2実施形態に係るラジエータキャップに備わったガスケット36を示している。このガスケット36は、全体が均一な厚みになった円板状に形成されており、薄肉部は形成されていない。そして、ガスケット36の中心部と外周部との略中間部分に、円弧状の長穴からなる6つの下部吸引孔36dが円周に沿って等間隔で形成されている。このガスケット36を備えたラジエータキャップのそれ以外の部分の構成は、前述したラジエータキャップ20と同一であり、ラジエータキャップ20と同様の使用方法で用いられる。
本実施形態によると、ガスケット36の製造が容易になるとともに、ガスケット36の強度が増すようになる。本実施形態においては、ガスケット36に薄肉部は設けられていないが、ガスケット36の上方には、加圧プレート24の下面、リブ24bおよびリブ24dで囲まれる複数の空間24gが設けられているため、ガスケット36が加圧プレート24に固着することを防止しながら、負圧時の開弁機能も良好な状態に維持できる。このガスケット36を備えたラジエータキャップのそれ以外の作用効果は、前述したラジエータキャップ20の作用効果と同様である。また、ガスケット36の変形例として、下部吸引孔を複数の円形の穴で構成することもできる。
本発明に係るラジエータキャップは、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、ラジエータキャップ20等を完全密閉式ラジエータ装置のリザーブタンク10に取り付けているが、これに代えて簡易密閉式ラジエータ装置のラジエータにラジエータキャップ20を取り付けてもよい。これによると、水蒸気や空気に換えて、主として冷却水がラジエータとリザーブタンクとの間を行き来するようになるが、この場合も、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、前述した第1実施形態では、加圧プレート24の下面にリブ24bおよび複数のリブ24dを形成することによって複数の空間24gを設けているが、このリブ24bおよびリブ24dを省略して、加圧プレート24の下面を空間24gのない平面状に形成してもよい。この場合、ガスケット26の薄肉部26cの上方に空間部が形成されるため、この空間部によって、加圧プレート24とガスケット26とが固着することが防止される。さらに、前述した実施形態等では、ラジエータキャップ20に含まれるキャップ本体21、ガイド部22およびリテーナ23などの各部材を樹脂材料としているが、これらは、金属で構成してもよい。また、本発明に係るラジエータキャップのそれ以外の部分の構成についても、本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
10…リザーブタンク、11…ラジエータ、17…通気口、18…注水口、18b…細径環状部、20…ラジエータキャップ、21…キャップ本体、24…加圧プレート、24a…上部吸引孔、24b,24d…リブ、24g…空間、25a,25b…加圧ばね、26,29,36…ガスケット、26c,29c…薄肉部、26d,29d,36d…下部吸引孔、27…リング状部材、27a…周面部、27b…下面支持部、27c…上面支持部、28…空間部。
Claims (4)
- 冷却水を収容する容器の上部に設けられ、側部に外部に連通する通路が形成され、内周面下部に細径環状部が形成された筒状の注水口に取り付けられるラジエータキャップであって、
前記注水口の上部に着脱可能に取り付けられて前記注水口の上端開口を閉塞するキャップ本体と、
前記細径環状部と前記キャップ本体との間に上下移動可能に配置され、中央部に上下に貫通する上部吸引孔が形成された加圧プレートと、
前記上部吸引孔を塞いだ状態で前記加圧プレートの下面に設置され、前記加圧プレートにおける前記上部吸引孔の外周側部分に対向して上下に貫通する複数の下部吸引孔が円周方向に間隔を保って形成され、前記上部吸引孔を介して所定の圧力を受けることにより下方に撓んで、前記上部吸引孔と前記下部吸引孔とを連通させるゴム製のガスケットと、
前記キャップ本体と前記加圧プレートとの間に配置され、前記加圧プレートを介して前記ガスケットを前記細径環状部に押圧することにより前記細径環状部の上端開口を閉塞し、前記容器内の圧力が所定値をこえると収縮して前記細径環状部と前記ガスケットとの間に隙間を形成させ、前記細径環状部の上端開口と前記通路とを連通させる加圧ばねとを備え、
前記加圧プレートと前記ガスケットとの間における前記上部吸引孔の周縁部と外周部との間に空間部が形成されていることを特徴とするラジエータキャップ。 - 前記空間部が、前記ガスケットに少なくとも上面が凹部になった薄肉部を設けることにより形成されている請求項1に記載のラジエータキャップ。
- 前記空間部が、前記加圧プレートの下面に複数のリブを間隔を保って設けることにより形成されている請求項1または2に記載のラジエータキャップ。
- 周面部と下面支持部と上面支持部とを備えたリング状部材で、前記加圧プレートの外周縁部と前記ガスケットの外周縁部とが組み付けられている請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載のラジエータキャップ。
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KR20180068064A (ko) * | 2016-12-13 | 2018-06-21 | 현대자동차주식회사 | 차량의 냉각시스템용 압력캡 |
-
2013
- 2013-03-29 JP JP2013074070A patent/JP2014199018A/ja active Pending
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