JP2014198283A - 塩素系薬剤による水系の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系に塩素系薬剤を添加して殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールを行うにあたり、水系の腐食性を高めることなく、高い殺菌、菌の増殖抑制、スライムコントロール効果を得る。【解決手段】水系に塩素系薬剤を添加して該水系の殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールを行う方法であって、該水系に結合残留塩素と遊離残留塩素とを共存させ、かつ、該水系の遊離残留塩素濃度を0.1mg/LasCl2以上とする塩素系薬剤による水系の処理方法。【選択図】図1

Description

本発明は塩素系薬剤による水系の処理方法に係り、詳しくは冷却水系、紙パルプ水系、食品工場等の各種水系において、塩素系薬剤を添加して殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールを行う方法に関する。
冷却水、紙パルプ、食品工場などの水系における殺菌剤、菌増殖抑制剤、スライムコントロール剤としては、塩素系、臭素系などの様々な酸化性の無機化合物が使用されているが、これらの薬剤は、その添加濃度の上昇と共に腐食性が上がり、例えば、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)では、銅の腐食に起因するトラブルを起こさない上限濃度として0.2mg/LasClが報告されている。
この問題を解決するために、ハロゲン分子が窒素化合物と反応しやすい性質を利用して、塩素系薬剤を結合型の塩素とし、低腐食性とスライムコントロール能力を両立する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、銅管の孔食防止法として、残留塩素の分解で残留塩素濃度0.2mg/Lに下げて長期使用したことが記載されている(例えば、非特許文献1)。
特許第3915560号公報
「金属の腐食・防食Q&A」(腐食防食協会 丸善株式会社 1988年発行)第50頁
水系における次亜塩素酸ナトリウム等の塩素系薬剤濃度を上げると、殺菌効果は向上するものの、それに伴い腐食性が増大するが、一方で、腐食を抑制するために結合型の塩素系薬剤を用いると、菌の増殖抑制効果はある程度得られるものの、殺菌能力が低く、また、栄養分の高い水系では増殖抑制、スライムコントロール能力も十分とは言えない。
本発明は、腐食性を高めることなく、高い殺菌、菌の増殖抑制、スライムコントロール効果を得ることができる塩素系薬剤による水系の処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水系に結合残留塩素と遊離残留塩素とを共存させた上で、遊離残留塩素濃度を所定濃度以上とすることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
なお、本発明では残留塩素と結合残留塩素と遊離残留塩素を以下のように区別して使用した。
残留塩素濃度=結合残留塩素濃度+遊離残留塩素濃度
[1] 水系に塩素系薬剤を添加して該水系の殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールを行う方法であって、該水系に結合残留塩素と遊離残留塩素とを共存させ、かつ、該水系の遊離残留塩素濃度を0.1mg/LasCl以上とすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
[2] [1]において、前記水系の遊離残留塩素濃度を0.2mg/LasCl以上とすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
[3] [1]又は[2]において、前記水系の結合残留塩素濃度を1〜50mg/LasClとすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記水系の遊離残留塩素濃度と結合残留塩素濃度の合計の残留塩素濃度を1〜52mg/LasClとすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
本発明によれば、水系に結合残留塩素と遊離残留塩素とを共存させた上で、遊離残留塩素濃度を所定濃度以上に制御することにより、腐食性を高めることなく、高い殺菌、菌の増殖抑制、スライムコントロール効果を得ることができる。
実験例1及び比較実験例1における残留塩素濃度と腐食速度との関係を示すグラフである。 実験例1における遊離残留塩素濃度と腐食速度との関係を示すグラフである。 実験例2における残留塩素濃度と電位との関係を示すグラフである。 実験例2における遊離残留塩素濃度と電位との関係を示すグラフである。 実験例3における残留塩素濃度と付着速度との関係を示すグラフである。 実験例3における遊離残留塩素濃度と付着速度との関係を示すグラフである。
以下に本発明の塩素系薬剤による水系の処理方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明においては、水系に塩素系薬剤を添加して該水系の殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールを行うにあたり、該水系に結合残留塩素と遊離残留塩素とを共存させた上で、該水系の遊離残留塩素濃度を0.1mg/LasCl以上、好ましくは0.2mg/LasCl以上とすることを特徴とする。
水系に結合残留塩素と遊離残留塩素とが共存していないと、本発明による優れた腐食抑制と、殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールの効果を得ることができない。また、結合残留塩素と遊離残留塩素とが共存していても、遊離残留塩素濃度が低過ぎると、遊離残留塩素を共存させることによる本発明の効果を得ることはできない。
即ち、従来のように、結合残留塩素のみが存在する水系では、十分な効果が得られず、一方、遊離残留塩素のみが存在する水系では、腐食の問題がある。
これに対して、0.1mg/LasCl以上の遊離残留塩素と、結合残留塩素を共存させることにより、
(1) 同程度の残留塩素濃度において、遊離残留塩素のみのときよりも結合残留塩素と遊離残留塩素を共存させると腐食性を下げることができる。
(2) 遊離残留塩素濃度が上昇しても腐食性が上がらない。
(3) 遊離残留塩素濃度の上昇とともに、生物の呼吸活性阻害作用が増大して、殺菌、抗菌効果が上がる。
(4) 結合残留塩素濃度の上昇とともに、スライムコントロール能力が増大し、かつ共存する遊離残留塩素濃度の上昇とともに、さらにスライムコントロール能力が増大する。
(5) 結合残留塩素濃度が上昇しても腐食性は増大しない。
といった効果で、腐食性を抑えた上で高い殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロール効果を得ることができる。
本発明において、水系の遊離残留塩素濃度は、上記効果を得るために、0.1mg/LasCl以上であることを必要とし、遊離残留塩素濃度は好ましくは0.2mg/LasCl以上である。
本発明においては、結合残留塩素の共存で、遊離残留塩素による腐食性が抑制されるため、水系の遊離残留塩素濃度を上げて殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロール効果を高めることができるが、遊離残留塩素濃度を過度に高くしても効果が頭うちであり、また薬剤コストが高くつくことから、水系の遊離残留塩素濃度は処理対象水系の水質によっても異なるが、1mg/LasCl以下とすることが好ましい。
一方、結合残留塩素濃度については、低過ぎると、結合残留塩素を存在させることによる本発明の腐食抑制効果を十分に得ることができず、一方で、高すぎると薬剤コストが高くつくことから、水系の結合残留塩素濃度は、処理対象水系の水質によっても異なるが、1〜50mg/LasCl、より好ましくは5〜20mg/LasCl程度とすることが好ましい。
また、水系の結合残留塩素濃度と遊離残留塩素濃度との合計である残留塩素濃度については、処理対象水系の水質によっても異なるが、1〜52mg/LasCl、より好ましくは5〜25mg/LasCl程度とすることが好ましい。
なお、水系の結合残留塩素濃度、遊離残留塩素濃度の測定方法としては、例えば後述の実施例の項で記載される方法が挙げられる。
本発明において、水系に結合残留塩素を存在させるには、水系にアンモニウム塩、ヒダントイン、以下のスルファミン酸化合物、イソシアヌル酸、イソシアヌル酸塩等の窒素化合物の1種又は2種以上と、以下の塩素系酸化剤の1種又は2種以上とを予め混合して、或いは水系内で混合されるように添加すればよい。ここで、窒素化合物と塩素系酸化剤との混合量比は、反応当量に対して±20%以内であることが好ましい。
また、水系に遊離残留塩素を存在させるには、上記の結合残留塩素のための薬剤とは別に、以下の塩素系酸化剤の1種又は2種以上を水系に添加すればよい。
<スルファミン酸系化合物>
スルファミン酸化合物としては、下記一般式[1]で表される化合物又はその塩が挙げられる。
Figure 2014198283
(ただし、一般式[1]において、R及びRは、各々独立に、水素又は炭素数1〜8の炭化水素基である。)
このようなスルファミン酸化合物としては、例えば、RとRがともに水素であるスルファミン酸のほかに、N−メチルスルファミン酸、N,N−ジメチルスルファミン酸、N−フェニルスルファミン酸などを挙げることができる。本発明に用いるスルファミン酸化合物のうち、前記化合物の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩、マンガン塩、銅塩、亜鉛塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩などの他の金属塩、アンモニウム塩及びグアニジン塩などを挙げることができ、具体的には、スルファミン酸ナトリウム、スルファミン酸カリウム、スルファミン酸カルシウム、スルファミン酸ストロンチウム、スルファミン酸バリウム、スルファミン酸鉄、スルファミン酸亜鉛などを挙げることができる。スルファミン酸及びこれらのスルファミン酸塩は、1種を単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
<塩素系酸化剤>
塩素系酸化剤としては、例えば、塩素ガス、二酸化塩素、次亜塩素酸又はその塩、亜塩素酸又はその塩、塩素酸又はその塩、過塩素酸又はその塩、塩素化イソシアヌル酸又はその塩などを挙げることができる。これらのうち、塩形のものの具体例としては、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸アルカリ金属塩、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸バリウムなどの次亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウムなどの亜塩素酸アルカリ金属塩、亜塩素酸バリウムなどの亜塩素酸アルカリ土類金属塩、亜塩素酸ニッケルなどの他の亜塩素酸金属塩、塩素酸アンモニウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウムなどの塩素酸アルカリ金属塩、塩素酸カルシウム、塩素酸バリウムなどの塩素酸アルカリ土類金属塩などを挙げることができる。これらの中で、次亜塩素酸塩は取り扱いが容易であり、好適に用いることができる。
これらの薬剤を、処理対象水系の遊離残留塩素濃度、更には結合残留塩素濃度及び残留塩素濃度が上記の好適範囲となるように、例えば、水系に設けた水質測定手段に連動する薬注手段で添加することにより、本発明を実施することができる。
本発明においては、上記の塩素系酸化剤や窒素化合物以外の他の添加剤を水系に添加しても良い。他の添加剤としては、アルカリ剤、アゾール類、アニオン性ポリマー、ホスホン酸類等が挙げられる。
アルカリ剤は、結合残留塩素を安定化させるために用いられ、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。
アゾール類は、ヘテロ原子を2個以上含む5員環を有する芳香族化合物である。本発明で用いるアゾール類としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの単環式アゾール系化合物、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、メルカプトメチルベンゾイミダゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、インダゾール、プリン、イミダゾチアゾール、ピラゾロオキサゾールなどの縮合多環式アゾール系化合物などや、さらにアゾール系化合物の中で塩を形成する化合物にあってはそれらの塩などを挙げることができる。これらのアゾール系化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
アニオン性ポリマーとしては、重量平均分子量が500〜50,000のものが好ましく、1,000〜30,000のものがより好ましく、1,500〜20,000のものがさらに好ましい。
このアニオン性ポリマーを構成するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びこれらの不飽和カルボン酸の塩、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩やマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、さらには無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸の無水物などを挙げることができる。これらのモノマーは単独で重合することができ、また2種以上を共重合することもでき、あるいは、該モノマー1種以上とその他の共重合可能なモノマー1種以上とを共重合させることもできる。他の共重合可能なモノマーとしては、例えば、不飽和アルコール、不飽和カルボン酸エステル、アルケン、スルホン酸基を有するモノマーなどを挙げることができる。不飽和アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、メタリルアルコールなどを挙げることができる。不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルなどを挙げることができる。アルケンとしては、例えば、イソブチレン、n−ブチレン、ジイソブチレン、ペンテンなどを挙げることができる。スルホン酸基を有するモノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アリロキシ−1−プロパンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸などを挙げることができる。
本発明に使用し得るアニオン性ポリマーの例としては、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、アクリル酸と2−ヒドロキシ−3−アリロキシプロパンスルホン酸との共重合物、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合物、アクリル酸とイソプレンスルホン酸との共重合物、アクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの共重合物、アクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとイソプロピレンスルホン酸の共重合物、マレイン酸とペンテンとの共重合物、前記アニオン性ポリマーのアルカリ金属塩及び前記アニオン性ポリマーのアルカリ土類金属塩などを挙げることができる。
また、ホスホン酸類としては、例えば、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ヒドロキシホスホノ酢酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラメチレンホスホン酸又は前記ホスホン酸の塩などを挙げることができる。本発明において、ホスホン酸類は遊離の酸として用いても、塩として用いても良い。ホスホン酸の塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩などを挙げることができる。ホスホン酸の塩は、酸の特性成分である水素が完全に置換された正塩であってもよく、酸成分の水素の一部が残っている酸性塩であってもよい。これらのホスホン酸及びその塩は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、本発明においては塩素系薬剤を使用したが、臭素系薬剤やヨウ素系薬剤についても同様の効果を得ることができる。
また、窒素化合物としてスルファミン酸以外にも蛋白質といった高分子化合物を用いることにより、結合塩素を形成することができる。
更に、殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロール能力のない分離剤や界面活性剤、酵素などを共存させて、添加した薬剤の菌への接触、透過性を促進することもできる。
本発明の処理対象水系としては、塩素系薬剤による殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールが実施されるすべての水系が挙げられ、例えば、各種工場のプラント冷却水系、スクラバー、紙パルプ水系、食品工場水系、廃水処理水系、排水処理水系、鉄鋼水系、切削油水系などが挙げられる。
以下に実施例に変わる実験例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実験例において、残留塩素濃度はハックポケット残留塩素計を用い、Total試薬で測定し、3分後の値を採用した。また、遊離残留塩素濃度はハックポケット残留塩素計を用い、Free試薬によって測定し、30秒後の値を採用した。結合残留塩素濃度は残留塩素濃度から遊離残留塩素をひいた値である。
また、結合残留塩素はスルファミン酸とNaClOをほぼ等モル混合して調製したNaClO濃度10重量%の水溶液(以下「スルファミン酸/NaClO混合液」と称す。)を添加することにより生成させ、遊離残留塩素は、別途調製した0.1重量%NaClO水溶液を添加することにより生成させた。
[実験例1:遊離残留塩素濃度と腐食性の検証]
<試験条件>
回転腐食試験装置を用いて、腐食加速条件で試験を実施した。
純水に、pH7.2、MA(Mアルカリ度)26.2mg/L、TH(全硬度)44mg/L、CaH(カルシウム硬度)32mg/L、SiO:15.5mg/Lとなるように、塩類を添加して試験水を調製した。
実験例1では、この試験水に、銅用防食剤としベンゾトリアゾールを2mg/L添加し、更にスルファミン酸/NaClO混合液とNaClO水溶液を、所定の結合残留塩素濃度及び遊離残留塩素濃度となるように添加し、保有水量1L、連続補給水量4.5L/day(滞留時間5.3h)、試験期間6.3dayで腐食試験を行った。
比較実験例1では、ベンゾトリアゾール2mg/Lを添加し、スルファミン酸/NaClO混合液を添加せず、NaClO水溶液のみを所定の遊離残留塩素濃度となるように添加して実験例1と同様に腐食試験を行った。
実験例1及び比較実験例1における残留塩素濃度と腐食速度との関係を図1に示す。また、実験例1における遊離残留塩素濃度と腐食速度との関係を図2に示す。なお、図1と図2において、実験例1の結合残留塩素濃度は9〜15mg/LasClである。比較実験例1の残留塩素の99%は遊離残留塩素である。
<考察>
図1より次のことが分かる。スルファミン酸/NaClO混合液を添加した実験例1では、腐食速度は1〜1.5mddの範囲であり、残留塩素濃度を15mg/LasClまで上げても腐食性は上昇しなかった。一方、NaClO水溶液のみを添加した比較実験例1では、残留塩素濃度の上昇とともに腐食速度が増大し、残留塩素濃度4mg/LasCl程度で腐食速度が2mdd以上となった。
図2より次のことが分かる。
スルファミン酸/NaClO混合液を添加した実験例1において、遊離残留塩素濃度は0.2〜1.4mg/LasClの範囲で、腐食速度は1〜1.5mddの範囲であり、遊離残留塩素濃度が上昇しても腐食速度は殆ど上昇せず、正相関は認められなかった。
このことにより、結合残留塩素と共存する遊離残留塩素は、濃度が上昇しても腐食が増大しないと考えられる。
[実験例2:遊離残留塩素による生物の呼吸活性阻害の検証]
<試験条件>
生物燃料電池を用い、遊離残留塩素が生物の呼吸活性に及ぼす影響を検証した。生物燃料電池では、アノード側培地を供給すると生物の呼吸により電子伝達系が稼働することによって、カソード側に電子が流れる。一定の抵抗を与えカソード側を標準とした場合、電子が生産されればされるほど、アノード側の電位は下がり電位の絶対値は大きくなる。呼吸が阻害されるとこの電子の生産量が少なくなり電圧の絶対値は0に近づく。この電位を指標として呼吸活性に対する阻害の程度を検証した。試験条件は以下の通りである。
培地:ポリペプトン、酵母エキス、クエン酸ナトリウムを滅菌し、脱塩素水道水に所定量添加して、BOD源とした。BOD16〜45mg/L、pH7〜8
流量:75〜80ml/min(一過性とし循環はしない)
滞留時間:約1min
培養温度:25℃
この生物燃料電池への培地の流入ラインに、スルファミン酸/NaClO混合液とNaClO水溶液とを所定の結合残留塩素濃度及び遊離残留塩素濃度となるように添加した。
残留塩素接触後18〜19h後の生物燃料電池の電位を調べ、遊離残留塩素濃度0.2mg/LasCl未満又は0.2mg/LasCl以上の場合の残留塩素濃度と電位との関係を図3に示す。また、残留塩素共存下(0〜17mg/LasCl)における遊離残留塩素濃度と電位との関係を図4に示す。
<考察>
図3より次のことが分かる。
遊離残留塩素濃度が0.2mg/LasCl未満の場合も0.2mg/LasCl以上の場合も、残留塩素濃度の増加に伴って、電位の絶対値は低下するが、同濃度の残留塩素濃度でも遊離残留塩素が0.2〜0.5mg/LasCl以上存在すると電位絶対値の低下が大きい。
このことから、同程度の結合残留塩素濃度でも遊離残留塩素が共存すると生物の呼吸阻害が大きいことが分かる。
また、図4より、遊離残留塩素濃度と電位の絶対値は負の相関を示し、電位が−0.1V以上を示す(電位絶対値を0.1以下とする。)のは、遊離残留塩素濃度0.2mg/LasCl以上の場合であることが分かる。
[実験例3:遊離残留塩素によるスライムコントロール効果の検証]
<試験条件>
実験例2における生物燃料電池の流出ラインに、透明アクリルカラムを垂直に立設し、流出培地をカラム内に上向流で流した。カラム入口には、燃料電池で消費されたBOD、結合残留塩素、及び遊離残留塩素を補給するために、BOD源、スルファミン酸/NaClO混合液及びNaClO水溶液の所定量を添加し、また、カラム内にはスライドガラスを挿入した。カラム内滞留時間は7minで、その他は実験例3におけると同様の試験条件とした。
この条件で15〜24時間試験を行った後、スライドガラスに付着生育したスライム量を、そのタンパク量をFolin−Ciocalteuのフェノール試薬により定量することにより求め、付着速度を算出した。
なお、結合残留塩素を存在させない場合は、カラムへのスライドガラスの挿入時をゼロ時間とし、結合残留塩素を存在させる場合は、スルファミン酸/NaClO混合液添加前3時間程度生物燃料電池の下流で増養した後スルファミン酸/NaClO混合液を添加し、スルファミン酸/NaClO混合液添加開始時をゼロ時間とした。
遊離残留塩素濃度0.2mg/LasCl未満又は0.2mg/LasCl以上の場合の残留塩素濃度と付着速度との関係を図5に示す。また、結合残留塩素共存下(0〜11mg/LasCl)における遊離残留塩素濃度と付着速度との関係を図6に示す。
<考察>
図5より次のことが分かる。
遊離残留塩素濃度が0.2mg/LasCl未満の場合も0.2mg/LasCl以上の場合も、残留塩素濃度が高くなると、付着速度が低下するが、遊離残留塩素が0.2mg/LasCl以上共存すると、同程度の残留塩素濃度でも付着抑制能力が大きい。
図6より次のことが分かる。
遊離残留塩素濃度と付着速度は負の相関を示し、遊離残留塩素濃度0.1〜0.2mg/LasClで付着速度はほぼ0になる。このことから、遊離残留塩素が共存するとスライムコントロール能力が格段に増大することが分かる。

Claims (4)

  1. 水系に塩素系薬剤を添加して該水系の殺菌、菌の増殖抑制又はスライムコントロールを行う方法であって、該水系に結合残留塩素と遊離残留塩素とを共存させ、かつ、該水系の遊離残留塩素濃度を0.1mg/LasCl以上とすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
  2. 請求項1において、前記水系の遊離残留塩素濃度を0.2mg/LasCl以上とすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
  3. 請求項1又は2において、前記水系の結合残留塩素濃度を1〜50mg/LasClとすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記水系の遊離残留塩素濃度と結合残留塩素濃度の合計の残留塩素濃度を1〜52mg/LasClとすることを特徴とする塩素系薬剤による水系の処理方法。
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