JP6691418B2 - 微生物抑制剤組成物および微生物抑制方法 - Google Patents

微生物抑制剤組成物および微生物抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、水系に添加使用される微生物抑制剤および微生物抑制方法に関し、特に、貯蔵安定性の高い酸化性の微生物抑制剤であって、水系に添加した際のバイオフィルムの成長抑制効果やレジオネラ属菌の除菌効果に優れた微生物抑制剤組成物、およびそれを用いた微生物抑制方法に関する。
循環冷却水系、工業用工程水系などの各種の水系において、細菌類や真菌類、藻類などの微生物が原因で、さまざまな障害が発生する。例えば、開放循環式冷却水系においては、ズーグレア状細菌、糸状細菌、鉄バクテリア、イオウ細菌、硝化細菌、硫酸塩還元菌などの細菌類、ミズカビ、アオカビなどの真菌類、藍藻、緑藻、珪藻などの藻類が増殖し、これらの微生物を主体とし、土砂などの無機物や塵埃などが混ざりあって形成される軟泥状のスライムやスラッジが発生する。スライムやスラッジは、熱交換効率の低下や通水の悪化をもたらすばかりでなく、機器、配管などの局部腐食の原因となる。また、循環冷却水系や温泉、プール等で繁殖するレジオネラ属菌は人体の健康に影響を及ぼすので、それらの防止のために様々な技術的提案が行われている。
このような技術のうち、ハロゲン系酸化物による処理は、特開昭64−15200号公報(特許文献1)、特開2000−140857号公報(特許文献2)、特表2003−503323号公報(特許文献3)や特表平11−506139号公報(特許文献4)に開示されており、本出願人も特開2009−160505号公報(特許文献5)で水系水におけるスライム抑制方法を提案している。
この特許文献5により提案された方法は、低濃度のハロゲン系酸化物を含む薬剤を水系水に添加する技術であり、水系の金属材質に対する腐食を防止しながら極めて効果的に微生物の温床となるバイオフィルム(=スライム)の抑制が可能となる。このように、ハロゲン系酸化物は細菌類の殺菌、バイオフィルムの成長抑制には極めて有効である。
しかし、上記ハロゲン系酸化物は、優れた微生物抑制効果を示す一方、貯蔵安定性が悪く、これらを主成分とする微生物抑制剤をプラスチック容器などに充填して屋外などに保管、放置すると、酸化剤成分が徐々に分解し、微生物抑制性能が低下してしまうという課題を有している。
上記課題に対し、本出願人は特開2014−196266号公報(特許文献6)で、分解を受けにくく、長期間安定してスライムコントロール性能を発揮することが可能な酸化性スライムコントロール剤組成物を提案している。
この特許文献6により提案された組成物は、スライムコントロール性能を示す酸化性物質としてクロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種と、アゾール系化合物とを配合し、pHを10以上とするものであり、貯蔵安定性には優れるが、次亜塩素酸塩などと比較すると微生物を殺滅する力が相対的に弱く、効果面の向上が求められていた。
また、ハロゲン系酸化物には、実機においてレジオネラ属菌を十分に殺菌し、増殖を抑制することができないという問題点が存在する。すなわち、ハロゲン系酸化物は、実験室で培養したレジオネラ属菌に対しては優れた殺菌作用を示すが、実際の開放循環冷却水系等をハロゲン系酸化物で処理してみると、十分な殺菌、抑制効果が得られない場合が多く、驚くべきことに、遊離残留塩素濃度として2mg/Lを維持してもレジオネラ属菌を殺菌できない水系も存在する。引用文献6に記載の技術は、この点においても不十分であり、実機水において、レジオネラ属菌の除菌に有効な酸化性殺菌剤が求められていた。
特開昭64−15200号公報 特開2000−140857号公報 特表2003−503323号公報 特表平11−506139号公報 特開2009−160505号公報 特開2014−196266号公報
本発明は、上記課題を解決する、すなわち、酸化性物質でありながら貯蔵安定性に優れ、しかも、細菌類、真菌類、藻類に加えて、アメーバ等の原生動物に対しても殺滅効果を示し、水系に添加した際のバイオフィルムの成長抑制効果やレジオネラ属菌の除菌効果に優れた微生物抑制剤組成物、および当該効果を有する微生物抑制方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物とを水系中に共存させることで、従来技術からは想定できない優れた微生物抑制効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の微生物抑制剤組成物は、請求項1に記載の通り、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物として臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウムおよび臭化アンモニウムから選択される少なくとも1種とを含有することを特徴とする。
また、本発明の微生物抑制剤組成物は、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の微生物抑制剤組成物において、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、臭素化合物の含有量が0.5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明の微生物抑制剤組成物は、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の微生物抑制剤組成物において、前記臭素化合物が臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の微生物抑制方法は、請求項4に記載の通り、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物として臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウムおよび臭化アンモニウムから選択される少なくとも1種とを水系に添加することを特徴とする。
また、本発明の微生物抑制方法は、請求項5に記載の通り、請求項4に記載の微生物抑制方法において、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の微生物抑制剤組成物を水系に添加することを特徴とする。
また、本発明の微生物抑制方法は、請求項6に記載の通り、請求項4または請求項5に記載の微生物抑制方法において、水系中の結合留塩素濃度を、0.1mg/L以上、100mg/L以下とすることを特徴とする。
本発明の微生物抑制剤組成物は、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物の少なくとも1種とを含有し、貯蔵安定性に優れた酸化性殺菌剤であるとともに、本微生物抑制剤組成物を水系に適用することで、優れたバイオフィルムの成長抑制効果やレジオネラ属菌の除菌効果を示すものである。
また、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質の含有量を1質量%以上15質量%以下、臭素化合物の含有量を0.5質量%以上30質量%以下とし、該臭素化合物として臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウムから選択される少なくとも1種を用いることで、組成物の貯蔵安定性をより確実なものとすることができる。
また、本発明の微生物抑制方法は、水系にクロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と臭素化合物の少なくとも1種とを添加することで、細菌類、真菌類、藻類に加えて、アメーバ等の原生動物に対しても殺滅効果を示し、バイオフィルムの成長抑制効果やレジオネラ属菌の除菌効果を得ることが可能となる。この際、水系中の結合留塩素濃度を0.1mg/L以上100mg/L以下とすると、微生物の抑制効果を確実なものとするとともに、酸化性物質による水系内の金属材料の腐食を最小限に抑制することが可能となる。
本発明の微生物抑制剤組成物は、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物の少なくとも1種とを含有する微生物抑制剤組成物である。
本発明で酸化性物質として用いるクロラミンTとは、IUPAC名:N−クロロ−4−メチルベンゼンスルホンアミドのことであり、クロラミンBとは、IUPAC名:N−クロロベンゼンスルホンアミドのことである。通常、ナトリウム塩の水和物の形で市販されているが、水に溶けて酸化力を示し、微生物抑制効果が得られるものであれば、塩の種類を問わず本発明に含まれる。このような塩として、ナトリウム塩の他に、リチウム塩、カリウム塩等が挙げられる。クロラミンTおよびクロラミンBは、水中で結合残留塩素として酸化力を示し、各種微生物の殺滅、増殖抑制に寄与する。市販のクロラミンTおよびクロラミンBを水系に添加した場合、何れも固形分としての水系への添加濃度に対して約4分の1の濃度の結合塩素が水中に検出されるようになる。すなわち、酸化力の消費、分解を無視した場合、クロラミンT、クロラミンBの4mg/L水溶液の示す結合残留塩素濃度は1mg/Lである。
本発明の微生物抑制剤組成物は、前記クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質を含有する。酸化性物質としてクロラミンTやクロラミンBを用いることで、次亜塩素酸ナトリウム等と比較して貯蔵安定性が格段に向上する。好ましい酸化性物質は、入手しやすさの点でクロラミンTである。
本発明の微生物抑制剤組成物中のクロラミンTまたはクロラミンBの少なくとも1種の含有量は、通常は概略0.5質量%以上、20質量%以下程度であるが、1質量%以上15質量%以下とするのが、組成物が安定で、長期間放置しても析出物等が発生しない点で好ましい。
本発明の微生物抑制剤組成物は、臭素化合物を含有する。臭素化合物としては、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウムおよび臭化アンモニウム等が挙げられる。これらのうち、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウムを用いるのが貯蔵安定性の点で好ましく、臭化カリウムを用いると特に貯蔵安定性に優れた製剤が可能となる。
本発明の微生物抑制剤組成物中の臭素化合物の含有量は、通常は概略0.2質量%以上35質量%以下程度であるが、0.5質量%以上30質量%以下とするのが、組成物が安定で、長期間放置しても析出物等が発生しない点で好ましい。
本発明の微生物抑制剤組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、予め臭素化合物の少なくとも1種、及び必要によりその他の添加剤を加えた水溶液に、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質を添加混合する方法が挙げられる。
本発明の微生物抑制剤組成物は、製造の容易性や酸化性物質の安定性を確保するために組成物のpHを9.5以上とするのが好ましい。より好ましい組成物のpHは10.0以上であり、さらに好ましくは11.5以上、13.5未満である。組成物のpH調整に用いるpH調整剤としては、一般的なアルカリ剤が使用でき、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が好適に使用される。
本発明の微生物抑制方法は、微生物抑制対象の水系に対して、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物の少なくとも1種とを添加する方法である。臭素化合物を添加することで、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質のみを添加した場合と比較して、微生物抑制効果が格段に向上する。
本発明の微生物抑制方法において、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物の少なくとも1種、それぞれの水系への添加方法に特に制限はなく、酸化性物質と臭素化合物を別々に添加しても同時に添加しても、本発明の微生物抑制剤組成物のように予め両者を混合し、一剤化したものを添加しても良い。ここで、一剤化したものを水系に添加すると、個別に添加した場合と比較して微生物抑制効果が向上するので、より好ましい形態である。
本発明の微生物抑制方法では、水系中の結合留塩素濃度が0.1mg/L以上100mg/L以下となるようにクロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質の添加量を調整する。結合残留塩素濃度が0.1mg/L未満だと所望の微生物抑制効果が得られず、100mg/Lを超えて添加すると、酸化性物質による水系内の金属材料の腐食リスクが高まるので好ましくない。より好ましい結合塩素濃度は、0.5mg/L以上20mg/L以下である。なお、水系中の結合残留塩素濃度の測定は、常法に従って行えばよく、例えば、JIS K0101 28項に記載された方法を適宜採用することができる。
本発明の微生物抑制方法において、臭素化合物の水系への添加量は、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質の水系への添加量を1としたときに、重量比で0.2から5の範囲とするのが良好な微生物抑制効果を発揮させる上で好ましい。
本発明の微生物抑制剤組成物には、本発明の効果が妨げられない範囲で、さらにその特性を改良するなどの目的で、従来から水処理用途で使用されている公知の防食剤、スケール防止剤、及びクロラミンTおよびクロラミンB以外のスライムコントロール剤を適宜配合することができ、その場合も本発明に含まれる。
本発明の微生物抑制剤組成物に配合可能な防食剤としては、アゾール系化合物が好適である。アゾール系化合物としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾールなどの単環式アゾール系化合物、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、メルカプトメチルベンゾイミダゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、インダゾール、プリン、イミダゾチアゾール、ピラゾロオキサゾールなどの縮合多環式アゾール系化合物などや、さらにアゾール系化合物の中で塩を形成する化合物にあってはそれらの塩などを挙げることができる。これらのアゾール系化合物は、1種のみを配合しても、2種以上を組み合わせて配合しても構わない。好ましいアゾール系化合物は、酸化性物質の分解抑制効果が高い点で、ベンゾトリアゾールあるいはトリルトリアゾールである。
本発明の微生物抑制剤組成物に配合可能なアゾール系化合物以外の防食剤としては、例えば、リン酸またはその塩、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸等の重合リン酸またはその塩、亜鉛塩、モリブデン酸またはその塩、タングステン酸またはその塩、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、フィチン酸、琥珀酸、乳酸等の有機カルボン酸またはその塩等を挙げることができる。
本発明の微生物抑制剤組成物に配合可能なスケール防止剤としては、例えば、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸やこれらの水溶性塩などのホスホン酸類、アクリル酸系、マレイン酸系、メタクリル酸系、スルホン酸系、イタコン酸系、または、イソブチレン系の各重合体やこれらの共重合体等のポリマー類、アクリル酸系重合体の次亜リン酸付加物等のホスフィノカルボン酸類、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノカルボン酸系化合物等を挙げることができる。この中で、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸又はその水溶性塩、マレイン酸、アクリル酸アルキル、ビニルアセテートの三元共重合体、ポリアクリル酸の次亜リン酸付加物、アクリル酸と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体の次亜リン酸付加物から選択される少なくとも1種のスケール防止剤を配合すると、配合したスケール防止剤による酸化性物質の分解がほとんどないので好ましい。
本発明の微生物抑制剤組成物に配合可能なスライムコントロール剤としては、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系化合物、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等のブロモニトロアルコール系化合物、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物、過酸化水素、ヒドラジン、ピリチオン系化合物、ジチオール系化合物、メチレンビスチオシアネート等のチオシアネート系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、四級ホスホニウム塩系化合物、ピリジニウム塩系化合物、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]、(2−ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)などのヨーネンポリマー等のカチオン系化合物等を挙げることができる。
以下に、本発明の微生物抑制剤組成物の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<貯蔵安定性の評価>
表1に記載した、製剤例1〜13の配合組成の組成物を調整した。なお、表中の配合組成欄の数値は、該当化合物の含有量(質量%)であり、残部は各組成物をpH13.0に調整するために使用した水酸化カリウムとイオン交換水である。また、配合組成欄に記載された略号等は以下の化合物を示す。
クロラミンT:N−クロロ−4−メチルベンゼンスルホンアミドナトリウム水和物
クロラミンB:N−クロロベンゼンスルホンアミドナトリウム水和物
NaClO:5%次亜塩素酸ナトリウム溶液
SA:スルファミン酸
KBr:臭化カリウム
NaBr:臭化ナトリウム
上記13種類の組成物を100mL容のポリエチレン製白色細口ビンに100mLずつ分注し、薬剤タンク内の状況を再現するために、栓を緩くし通気可能な状態(半開放)で、45℃の恒温庫内に20日間静置した。20日後に恒温庫から取り出し、各組成物について析出物の有無を確認したところ、全ての組成物に析出物は認められなかった。また、取り出した組成物について、酸化性物質が配合されていない製剤例11を除き、組成物中の酸化力の測定を行い、各組成物の製剤直後の酸化力と比較して残存酸化力の割合(%)を求めた。結果を表1に合わせて記す。なお、組成物中の酸化力の測定は、JIS K0101 28.3項記載のヨウ素滴定法に従って行った。
本発明の微生物抑制剤組成物である製剤例1〜7は、45℃、半開放の条件でも20日後の残存酸化力が93%以上であった。クロラミンT(製剤例8)やクロラミンB(製剤例9)は、元々他の酸化性物質(製剤例10〜13)と比較して貯蔵安定性の良い組成物だが、臭素化合物として臭化カリウムや臭化ナトリウムを配合することで貯蔵安定性がさらに向上していることが理解される。
<実験室で培養したレジオネラ属菌に対する殺菌力の評価>
滅菌したつくば市水道水に、BCYEα培地で2日間前培養したレジオネラ属菌(Legionella pneumophila ATCC33152株)を1mL当たりの菌数が25万個となるように摂取し、これを滅菌済の50mL容の培養フラスコに30mLずつ分取、表2に示す組成物を表2に示す濃度で添加した後、30℃、60rpmで往復振盪しながら24時間放置し、24時間後に各サンプル中のレジオネラ属菌数の測定を行った。結果を表2に合わせて記す。なお、表2中の残留塩素濃度は、各試験系における組成物添加直後の残留塩素濃度の測定値であり、比較例3は遊離残留塩素濃度、その他は結合残留塩素濃度の値である。
実施例1〜10の結果から、本発明の微生物抑制方法は、実験室で培養したレジオネラ属菌に対して遊離塩素(比較例3)と同等の優れた殺菌効果を示すことが理解される。一方、クロラミンTやクロラミンBを単独で作用させた場合(比較例1〜2)、レジオネラ属菌に対する殺菌効果は弱く、塩素化スルファミン酸(比較例4)、臭素化スルファミン酸(比較例5)、臭化カリウム(比較例6)は、実験室で培養したレジオネラ属菌に対しても、殺菌力を殆ど示さないことが判る。
<実機冷却水を用いた微生物抑制力の評価>
茨城県内の某工場で稼働中の、薬剤処理をしていない冷却塔から採取した冷却水を用いて以下の実験を行った。500mL容の滅菌済ポリプロピレン製容器に、冷却水を500mLずつ分取し、表3に示す組成物を表3に示す濃度で添加した後、室温で3日間静置し、3日後に各サンプル中の一般細菌数、従属栄養細菌数、レジオネラ属菌数、アメーバ数の測定を行った。結果を表4に記す。ここで、実施例16は、クロラミンT単独の組成物である製剤例8と、臭化カリウム単独の組成物である製剤例13とを別々に冷却水に添加して、冷却水中に両成分が存在するようにした試験例である。なお、表3中の残留塩素濃度は、各試験系における組成物添加直後の残留塩素濃度の測定値であり、比較例8は遊離残留塩素濃度、その他は結合残留塩素濃度の値である。また、表4中の初期微生物数の値は、組成物添加前の冷却水中の微生物数を測定した値である。
実機冷却水中に生存する微生物を対象に試験を行うと、実験室で培養したレジオネラ属菌に対しては殺菌効果を示した遊離塩素(比較例8)による処理が、冷却水中に生育するレジオネラ属菌に対しては有効でないことが判る。
一方、本発明の微生物抑制方法(実施例11〜16)は、冷却水中に生育するレジオネラ属菌に対しても強い殺菌効果を示すと共に、一般細菌、従属栄養細菌、アメーバ等の水中微生物の数を効果的に抑制できるので、水系におけるバイオフィルムの成長抑制や、レジオネラ属菌の除菌に有効である。また、実施例16の結果から、本発明の微生物抑制方法は、クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物の少なくとも1種とを水系に別々に添加した場合でも、優れた微生物抑制効果を発揮することが明らかになった。
<実機冷却水系における微生物抑制力の評価>
東京都内の某ビルで稼働中の薬剤処理を行っていない冷却塔において、製剤例8の組成物を冷却水中の結合残留塩素濃度が0.5mg/Lを維持するように添加する処理を1ヶ月間行い、その後、製剤例1の組成物を冷却水中の結合残留塩素濃度が0.5mg/Lを維持するように添加する処理を1ヶ月間行った。処理開始前、製剤例8による処理終了時、製剤例1による処理終了時に冷却塔充填剤の付着物の状況を観察するとともに、冷却水中の一般細菌数、従属栄養細菌数、レジオネラ属菌数、アメーバ数の測定を行った。結果を表5に記す。
クロラミンT単独の組成物である製剤例8を実機冷却水系で1ヶ月間継続使用した結果、薬剤処理を行っていないときに充填剤に付着していた細菌類と藍藻類主体のスライムはほぼ消滅したが、その効果は十分ではなく、新たに緑藻類主体のスライムが発生、付着してしまった。また、一般細菌数、従属栄養細菌数は、薬剤処理を行っていないときの100分の1以下に減少したが、レジオネラ属菌やアメーバの数には変化が見られなかった。
一方、本発明の組成物であるクロラミンTに臭化カリウムを配合した製剤例1による処理を1ヶ月間継続した後は、冷却塔充填剤の付着物は殆どなくなり、レジオネラ属菌、アメーバ共に不検出になった。このように本発明の組成物は、実機冷却水系において優れたバイオフィルムの剥離および成長抑制効果、レジオネラ属菌の除菌効果を示すものである。

Claims (6)

  1. クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物として臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウムおよび臭化アンモニウムから選択される少なくとも1種とを含有することを特徴とする微生物抑制剤組成物。
  2. クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質の含有量が1 質量%以上15質量%以下であり、臭素化合物の含有量が0.5質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の微生物抑制剤組成物。
  3. 前記臭素化合物が臭化ナトリウム、臭化カリウム、および臭化リチウムから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微生物抑制剤組成物。
  4. クロラミンTおよびクロラミンBから選択される少なくとも1種の酸化性物質と、臭素化合物として臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウムおよび臭化アンモニウムから選択される少なくとも1種とを水系に添加することを特徴とする微生物抑制方法。
  5. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の微生物抑制剤組成物を水系に添加することを特徴とする請求項4に記載の微生物抑制方法。
  6. 前記水系中の結合残留塩素濃度を、0.1mg/L以上100mg/L以下とすることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の微生物抑制方法。
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