JP2014197987A - 送脱液方法及び培養皿 - Google Patents
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Abstract
【課題】培養皿に対する培養溶液の送脱液時に、培養皿からの培養溶液の漏えいを抑制することができる送脱液方法及び培養皿を提供する。【解決手段】本送脱液方法は、水平に載置される底壁7と、当該底壁7に立設される側壁9と、培養溶液が貯留される閉鎖空間をなす溶液貯留空間11と、側壁9に設けられ液体流路14を形成する液体ポート13と、側壁9に設けられ通気路16を形成する通気ポート15と、を有する培養皿1を準備する準備工程と、液体ポート13側を高くする姿勢に培養皿1を傾け、培養溶液を溶液貯留空間11に送り込む送液工程と、液体ポート13側を低くする姿勢に培養皿を傾け、培養溶液を排出させる脱液工程と、を備え、培養溶液の表面張力が50〜75mN/mであり、側壁9の内壁面9a上における通気路16の開口16aの面積が0.005〜4mm2であることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、細胞培養用の培地を含む培養溶液を培養皿に送脱液する送脱液方法、及び培養皿に関するものである。
従来から、細胞を培養する培養皿は、扁平な皿状のもの(例えば、特許文献1参照。)がよく用いられている。細胞の培養の際には、細胞及び培地を含む培養溶液が培養皿に収容され、培養皿ごとインキュベーターに収容される。この種の培養皿は、上下に複数重ねてインキュベーター内に収容できるように扁平な皿状をなしている。
ところで、細胞培養用の培養皿においては、細胞のコンタミ防止などの観点から、培養溶液が収容される内部空間を閉鎖系(もしくは無菌系)とすることが望まれている。このため、培養皿においては、内部空間を閉鎖空間とし、その内部空間への培養溶液の出入口を設けることが考えられる。この場合、閉鎖空間である内部空間に培養溶液をスムーズに送液・脱液するために、培養溶液の出入口とは別に通気路を設けることも必要となる。通気路は、例えば除菌フィルターを通じて内部空間と外部とを連通させる。このような通気路を設けた場合、培養溶液の送脱液時に、培養皿の通気路から培養溶液が漏えいする可能性がある。
このような問題点に鑑み、本発明は、培養皿に対する培養溶液の送脱液時に、培養皿からの培養溶液の漏えいを抑制することができる送脱液方法及び培養皿を提供することを目的とする。
本発明の送脱液方法は、細胞培養用の培地を含む培養溶液を培養皿に送脱液する送脱液方法であって、水平に載置される底壁と、当該底壁に立設される側壁と、底壁及び側壁によって画成され培養溶液が貯留される閉鎖空間をなす溶液貯留空間と、側壁に設けられ溶液貯留空間に培養溶液を出入りさせる液体流路を形成する液体ポートと、側壁の液体ポートよりも高い位置に設けられ培養溶液の出入りに伴って溶液貯留空間に外気を出入りさせる通気路を形成する通気ポートと、を有する培養皿を準備する準備工程と、液体ポート側を高くする姿勢に培養皿を傾け、培養溶液を液体ポートを通じて溶液貯留空間に送り込む送液工程と、液体ポート側を低くする姿勢に培養皿を傾け、培養溶液を液体ポートを通じて溶液貯留空間から排出させる脱液工程と、を備え、送液工程又は脱液工程における培養溶液の表面張力が50〜75mN/mであり、側壁の内壁面上における通気路の開口の面積が0.005〜4mm2であることを特徴とする。
この送脱液方法では、送液工程又は脱液工程における培養溶液の粘度が表面張力が50〜75 mN/mであり、培養皿の側壁の内壁面上における通気路の開口の面積が0.005〜4mm2であることから、送液工程又は脱液工程で培養皿を傾けたときに液面が通気路の開口に触れても、表面張力の作用により、培養溶液が通気路側に漏れる可能性が低く抑えられる。
また、送液工程又は脱液工程における培養溶液の20℃での粘度が1.0〜10 mPa・sであることとしてもよい。
また、通気路の溶液貯留空間側の端部は、溶液貯留空間にむけて通気路の断面積が小さくなる漸減領域を有することとしてもよい。
また具体的には、培養皿の側壁は円筒の形状をなし、平面視において、円筒の中心と液体流路の溶液貯留空間側の端部とを結ぶ直線と、円筒の中心と通気路の溶液貯留空間側の端部とを結ぶ直線と、がなす角度は、25〜155°であることとしてもよい。
培養溶液の漏えいを防止する観点から、脱液工程においては、培養溶液の液面が通気路の高さに到達しないことが望まれる。そこで、上記の角度を25°〜155°にすることにより、脱液工程のときに液面が通気路の高さに達しないという条件を満たしながら、通気ポートの位置を十分に低い位置にすることができる。これにより、培養皿を薄型化することができる。
本発明の培養皿は、細胞培養用の培地を含む培養溶液を収容する培養皿であって、底壁と、当該底壁に立設される側壁と、底壁及び側壁によって画成され培養溶液が貯留される溶液貯留空間と、側壁に設けられ溶液貯留空間に培養溶液を出入りさせる液体流路を形成する液体ポートと、側壁の液体ポートよりも高い位置に設けられ培養溶液の出入りに伴って溶液貯留空間に外気を出入りさせる通気路を形成する通気ポートと、を備え、側壁の内壁面の水に対する静的接触角が15〜90°であり、側壁の内壁面上における通気路の開口の面積が0.005〜4mm2であることを特徴とする。
この培養皿では、側壁の内壁面の水に対する静的接触角が15°〜90°であり、培養皿の側壁の内壁面上における通気路の開口の面積が0.005〜4mm2であることから、送液時又は脱液時に培養皿を傾けたときに液面が通気路の開口に触れても、表面張力の作用により、培養溶液が通気路側に漏れる可能性が低く抑えられる。
本発明によれば、培養皿に対する培養溶液の送脱液時に、培養皿からの培養溶液の漏えいを抑制することができる送脱液方法及び培養皿を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る送脱液方法及び培養皿の一実施形態について詳細に説明する。
図1に示す細胞培養用の培養皿1は、細胞の培養に用いられるものであり、培地を含む培養溶液を収容する容器として用いられるものである。例えば、培養皿1は、白血球と培地とを含む培養溶液を収容し、白血球中の単球を培養して樹状細胞に分化させるといった目的に使用される。
培養皿1は、扁平な円形皿状をなす皿本体3と、皿本体3の蓋として機能するカバー部材5とを備えている。皿本体3の基材の材料は、例えばポリスチレン系樹脂である。皿本体3は、水平に載置される円形の底壁7と、当該底壁7の円周縁部に立設される円筒形状の側壁9と、を有する。底壁7と側壁9とにより、培養溶液を貯留するための溶液貯留空間11が画成される。そして、側壁9の上端部に円形のカバー部材5が被せられることにより、溶液貯留空間11が閉鎖空間とされ、培養に係る細胞のコンタミネーション防止が図られている。なお、培養皿1の寸法は、例えば、直径約23cm、高さ約3cmである。
溶液貯留空間11の底面7a(底壁7の上面)及び内側面9a(側壁9の内壁面)は表面処理により変性され、接着細胞を付着させる培養面12として形成されている。培養面12は、接着細胞が付着しやすいように親水性が付与された面であり、例えば、皿本体3の基材表面にプラズマ処理等を施して形成される。例えば、培養面12の水に対する静的接触角は、15°〜90°とされている。
側壁9には、径方向外側に張り出すように液体ポート13と、通気ポート15と、が形成されている。液体ポート13は、側壁9の下端部から斜め上方に直状に延びている。通気ポート15は、液体ポート13よりも高い位置において側壁9からほぼ水平に直状に延びている。通気ポート15は、例えば、底壁7から約2cmの高さの位置に設けられている。
液体ポート13は、外部と溶液貯留空間11とを連通させる液体流路14を形成しており、閉鎖空間である溶液貯留空間11に培養溶液を出入りさせる。通気ポート15は、外部と溶液貯留空間11とを連通させる通気路16を形成している。通気路16は、液体流路14を通じた培養溶液の出入りに伴って溶液貯留空間11に外気を出入りさせる。
液体ポート13には培養溶液チューブ31(図2参照)が接続され、当該培養溶液チューブ31を通じて溶液貯留空間11に対する培養溶液の導入及び排出が行われる。また、通気ポート15には、除菌フィルター33(図2参照)が接続され、溶液貯留空間11には、当該除菌フィルター33を通過した外気が導入される。
培養皿1の使用時には、液体流路14を通じて、培養溶液を培養皿1の溶液貯留空間11に送り込む(送液)。この培養溶液は、少なくとも培養対象の接着細胞と培地とを含む液体である。ここでは、液体ポート13の先端及び通気ポート15よりも低い位置まで溶液貯留空間11に培養溶液が満たされる。溶液貯留空間11において、培養溶液に含まれる接着細胞は、高い親水性をもつ培養面12に付着する。その後、液体流路14を通じて溶液貯留空間11の培養溶液を外部に排出する(脱液)。そうすると、接着細胞は培養面12に付着した状態で溶液貯留空間11内に残り、浮遊細胞及び培地は外部に排出される。
以上の送液と脱液とを数回繰り返すことで、培養面12上の接着細胞が増加していく。その後、培養皿1をインキュベーターに収納し、培養面12上に付着した接着細胞を培養し所望の細胞に分化させて、目的の細胞を得る。このように、液体ポート13及び通気ポート15の存在により、カバー部材5を開かず溶液貯留空間11を閉鎖空間としたままで、培養溶液を導入・排出することができる。なお、培養皿1は扁平な形状をなしているので、複数の培養皿1を上下に積み重ねてインキュベーター内に収納することができる。
続いて、培養皿1に培養溶液を送液・脱液するための送脱液方法の一例について説明する。まず、当該送脱液方法を含む樹状細胞の培養工程は、次の手順(1)〜(9)を備えている。
(1)複数の培養皿1を準備し、アイソレーター内で、細胞入り培養液を、各培養皿1に導入する。
(2)各培養皿1をアイソレーターから取出し、後述するスタック台51(図2)に設置する。
(3)所定時間静置し、培養面12への細胞の接着を待つ。
(4)各培養皿1から、培養面12に接着していないリンパ球とともに培養溶液を脱液する。
(5)各培養皿1に、培養溶液を送液する。なお、手順(4)と手順(5)とを複数回繰り返してもよい。
(6)各培養皿1をインキュベーターに移し、培養する。
(7)各培養皿1をインキュベーターから取出し、スタック台51に設置する。
(8)各培養皿1から、培養溶液を脱液する。
(9)各培養皿1に、培養溶液およびIL2(分化の誘導剤)を送液する。
(1)複数の培養皿1を準備し、アイソレーター内で、細胞入り培養液を、各培養皿1に導入する。
(2)各培養皿1をアイソレーターから取出し、後述するスタック台51(図2)に設置する。
(3)所定時間静置し、培養面12への細胞の接着を待つ。
(4)各培養皿1から、培養面12に接着していないリンパ球とともに培養溶液を脱液する。
(5)各培養皿1に、培養溶液を送液する。なお、手順(4)と手順(5)とを複数回繰り返してもよい。
(6)各培養皿1をインキュベーターに移し、培養する。
(7)各培養皿1をインキュベーターから取出し、スタック台51に設置する。
(8)各培養皿1から、培養溶液を脱液する。
(9)各培養皿1に、培養溶液およびIL2(分化の誘導剤)を送液する。
本実施形態の送脱液方法は、上記の手順(5),(9)に適用される送液工程と、上記の手順(4),(8)に適用される脱液工程とを備えており、複数の培養皿1に対してほぼ同時に送液を行い(送液工程)、ほぼ同時に脱液を行う(脱液工程)。具体的には、図2に示すように、複数の水平棚を有するスタック台51が準備され、各々の棚に1つずつの培養皿1がセットされる。このとき、各培養皿1の底壁7が水平になり、各培養皿1の液体ポート13及び通気ポート15の位置が上下に揃うように培養皿1が載置される。そして、各培養皿1の液体ポート13には培養溶液チューブ31が、通気ポート15には除菌フィルター33がそれぞれ接続される。なお、図を見易くするため、図2及び図3においては、最上段の培養皿1に接続された培養溶液チューブ31及び除菌フィルター33のみを図示し、それ以外の培養皿1ではその図示を省略している。
(送液工程)
送液工程は次のように実行される。図3(a)に示すように、送液工程では、培養皿1の液体ポート13側を最も高くする方向に、スタック台51を角度θ1だけ緩やかに傾ける。角度θ1は、例えば6°である。そして、各々の培養溶液チューブ31から培養溶液を供給し、液体ポート13を介して各々の培養皿1の溶液貯留空間11に培養溶液を送り込む。このとき、培養溶液の導入に伴って溶液貯留空間11の空気が通気ポート15の通気路16から外部に抜けていくので、培養溶液が溶液貯留空間11に円滑に導入される。次に、スタック台51を水平に戻して静置する。ここで各培養皿1の溶液貯留空間11に貯留された培養溶液の深さをDとする。
送液工程は次のように実行される。図3(a)に示すように、送液工程では、培養皿1の液体ポート13側を最も高くする方向に、スタック台51を角度θ1だけ緩やかに傾ける。角度θ1は、例えば6°である。そして、各々の培養溶液チューブ31から培養溶液を供給し、液体ポート13を介して各々の培養皿1の溶液貯留空間11に培養溶液を送り込む。このとき、培養溶液の導入に伴って溶液貯留空間11の空気が通気ポート15の通気路16から外部に抜けていくので、培養溶液が溶液貯留空間11に円滑に導入される。次に、スタック台51を水平に戻して静置する。ここで各培養皿1の溶液貯留空間11に貯留された培養溶液の深さをDとする。
(脱液工程)
脱液工程は次のように実行される。図3(b)に示すように、脱液工程では、培養皿1の液体ポート13側を最も低くする方向に、スタック台51を角度θ2だけ緩やかに傾ける。角度θ2は、例えば12°である。そして、各々の培養溶液チューブ31からポンプ引きをし、液体ポート13を介して各々の培養皿1の溶液貯留空間11に貯留されている培養溶液を排出する。このとき、培養溶液の排出に伴って通気ポート15の通気路16から溶液貯留空間11内に外気が流入してくるので、溶液貯留空間11の培養溶液が円滑に排出される。また、ここで流入してくる外気は除菌フィルター33を通過してくるので、溶液貯留空間11内の細胞のコンタミネーションも抑制される。次に、スタック台51を水平に戻して静置し、所定時間経過後に次の送液工程を行う。
脱液工程は次のように実行される。図3(b)に示すように、脱液工程では、培養皿1の液体ポート13側を最も低くする方向に、スタック台51を角度θ2だけ緩やかに傾ける。角度θ2は、例えば12°である。そして、各々の培養溶液チューブ31からポンプ引きをし、液体ポート13を介して各々の培養皿1の溶液貯留空間11に貯留されている培養溶液を排出する。このとき、培養溶液の排出に伴って通気ポート15の通気路16から溶液貯留空間11内に外気が流入してくるので、溶液貯留空間11の培養溶液が円滑に排出される。また、ここで流入してくる外気は除菌フィルター33を通過してくるので、溶液貯留空間11内の細胞のコンタミネーションも抑制される。次に、スタック台51を水平に戻して静置し、所定時間経過後に次の送液工程を行う。
続いて、培養皿1の各部の好ましい構成や寸法の一例、及びその作用効果について説明する。
図4は、液体ポート13近傍の鉛直断面を示す断面図である。図4に示すように、液体流路14をなす丸穴の下端14bは底面7aよりも僅かに下方に潜り込むように形成されており、内壁面9a上における液体流路14の開口14aの下端は、底面7a上にある。この構成によれば、脱液工程において、溶液貯留空間11内の培養溶液が確実に液体流路14に流れ込むので、培養溶液が確実に排出される。
図5(a)は、通気ポート15近傍の鉛直断面を示す断面図であり、図5(b)は、そのVb矢視図である。図5(a)に示すように、通気路16の溶液貯留空間11側の端部は徐々に細くなるように断面積が絞られており、溶液貯留空間11にむけて通気路16の断面積が小さくなる漸減領域16bが形成されている。そして、図5(b)に示すように、内壁面9a上における通気路16の開口16aは、上に凸をなす半円形状を呈している。また、開口16aの面積は0.005〜4mm2である。
例えば、培養溶液の表面張力を50〜75 mN/mとすれば、面積0.005〜4mm2である開口16aに溶液貯留空間11内の培養溶液が接触したとしても、表面張力の作用により、培養溶液は通気路16側にほとんど漏出しない。従って、培養皿1を用いた上述の送脱液方法によれば、培養溶液の送脱液時に、培養溶液が通気路16を通じて漏えいする可能性が低く抑えられる。またこの場合、培養溶液の20℃での粘度が1.0〜10 mPa・sであればより好ましい。なお、圧力損失の観点から、開口16aの面積は、1〜2 mm2であることがより好ましい。
表面張力の測定方法としては、リング法、プレート法、懸滴法などが挙げられるが、測定誤差の小ささから懸滴法が好ましい。懸滴法による測定装置としては、例えば、フィブロシステム社の“PG-X+”があげられる。また、液粘度の測定は、粘度計を用いて測定する。粘度計としては、例えば、毛細管粘度計、気泡粘度計、落体粘度計、ヘプラ粘度計、ビスコレータ、回転粘度計、振動粘度計、平板粘度計などが挙げられるが、測定精度、取扱いの容易さの点で回転粘度計が適している。
送液工程及び脱液工程は、それぞれ複数回実行し得るが、少なくとも1回の送液工程又は少なくとも1回の脱液工程において、培養溶液の表面張力が50〜75mN/mとの条件が満たされればよい。この場合、上記の粘度条件が満たされた送液工程又は脱液工程においては少なくとも、上記のように培養溶液の漏えいの可能性が低減される。
また、前述のとおり、内壁面9a(培養面12)の水に対する静的接触角が、15°〜90°であり、開口16aの面積が0.005〜4mm2であることとしても、表面張力の作用により、培養溶液は通気路16側にほとんど漏出しないと言える。従って、培養皿1を用いた上述の送脱液方法によれば、培養溶液の送脱液時に、培養溶液が通気路16を通じて漏えいする可能性が低く抑えられる。
また、図6に示すように、培養皿1を平面視した場合を考える。円筒形をなす側壁9の中心をCとすれば、中心Cと液体流路14の開口14aの中心とを結ぶ直線と、中心Cと通気路16の開口16aの中心とを結ぶ直線と、がなす角度αは、例えば30°である。角度αは、25〜155°であることが好ましい。
培養溶液の漏えいを防止する観点から、脱液工程において、培養溶液の液面が開口16aの高さに到達しないことが望まれる。その一方、培養皿1にはインキュベーター内にコンパクトに収納可能であることも要求される。
そこで、上記の角度αを25〜155°以上にすることにより、脱液工程のときに培養溶液の液面が開口16aの高さに達しないという条件を満たしながら、開口16aの位置(ひいては通気ポート15の位置)を十分に低い位置にすることができる。これにより、培養皿を薄型化することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形したものであってもよい。例えば、開口16aの形状は、実施形態のものに限られず、半円、三角形、四角形等であってもよい。
続いて、本発明の効果を確認すべく本発明者らが行った実験について説明する。
容器の内側壁面にそれぞれ開口面積16, 9, 4, 1, 0.005mm2の孔をあけた培養器を準備し、各培養器に培養溶液を入れ、上記孔の開口に液が触れるようにゆっくりと傾けることで液が漏れ出すか否かを検証した。ここで用いた培養溶液の表面張力は63mN/mであった。また、ここで用いた培養溶液の20℃での粘度は1.1mPa・sであった。上記の培養溶液の表面張力の測定は、フィブロシステム社の“PG-X+”を用いて測定温度20℃で行った。上記の培養溶液の粘度の測定は、粘度計(東機産業TVE-25L)を用いて測定温度20℃で行った。実験結果を下表に示す。
上表に示すように、開口面積0.005〜4mm2の孔では、液が孔の開口に触れても液が漏れ出さなかった。以上の実験の結果から、本発明の送脱液方法及び培養皿によって、送脱液時の培養皿からの培養溶液の漏えいが抑制されることが確認された。
上表のように、開口面積0.005 mm2以上の孔をもつ培養器では圧上昇が小さい状態で圧抜きが可能であった。
1…培養皿、7…底壁、9…側壁、9a…内壁面、11…溶液貯留空間、13…液体ポート、14…液体流路、15…通気ポート、16…通気路、16a…開口、16b…漸減領域。
Claims (5)
- 細胞培養用の培地を含む培養溶液を培養皿に送脱液する送脱液方法であって、
水平に載置される底壁と、当該底壁に立設される側壁と、前記底壁及び前記側壁によって画成され培養溶液が貯留される閉鎖空間をなす溶液貯留空間と、前記側壁に設けられ前記溶液貯留空間に培養溶液を出入りさせる液体流路を形成する液体ポートと、前記側壁の前記液体ポートよりも高い位置に設けられ培養溶液の出入りに伴って前記溶液貯留空間に外気を出入りさせる通気路を形成する通気ポートと、を有する前記培養皿を準備する準備工程と、
前記液体ポート側を高くする姿勢に培養皿を傾け、培養溶液を前記液体ポートを通じて前記溶液貯留空間に送り込む送液工程と、
前記液体ポート側を低くする姿勢に培養皿を傾け、培養溶液を前記液体ポートを通じて前記溶液貯留空間から排出させる脱液工程と、を備え、
前記送液工程又は前記脱液工程における培養溶液の表面張力が50〜75 mN/mであり、前記側壁の内壁面上における前記通気路の開口の面積が0.005〜4mm2であることを特徴とする送脱液方法。 - 前記送液工程又は前記脱液工程における培養溶液の20℃での粘度が1.0〜10 mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の送脱液方法。
- 前記通気路の前記溶液貯留空間側の端部は、前記溶液貯留空間にむけて前記通気路の断面積が小さくなる漸減領域を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の送脱液方法。
- 前記培養皿の前記側壁は円筒の形状をなし、
平面視において、前記円筒の中心と前記液体流路の前記溶液貯留空間側の端部とを結ぶ直線と、前記円筒の中心と前記通気路の前記溶液貯留空間側の端部とを結ぶ直線と、がなす角度は、25〜155°であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の送脱液方法。 - 細胞培養用の培地を含む培養溶液を収容する培養皿であって、
底壁と、当該底壁に立設される側壁と、
前記底壁及び前記側壁によって画成され前記培養溶液が貯留される溶液貯留空間と、
前記側壁に設けられ前記溶液貯留空間に前記培養溶液を出入りさせる液体流路を形成する液体ポートと、
前記側壁の前記液体ポートよりも高い位置に設けられ前記培養溶液の出入りに伴って前記溶液貯留空間に外気を出入りさせる通気路を形成する通気ポートと、を備え、
前記側壁の内壁面の水に対する静的接触角が15〜90°であり、
前記側壁の内壁面上における前記通気路の開口の面積が0.005〜4mm2であることを特徴とする培養皿。
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