JP2014194178A - 容量可変型斜板式圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】駆動軸55は、駆動軸55に連結される連結部92と、連結部92から駆動軸55に沿って延在し、挿通孔70に挿入され、連結部92を支点として、駆動軸55の回転に伴う遠心力により、一端が駆動軸55に対して傾動して離間可能な可動式の可動部材88を備え、アーム部89は、アーム部89の傾動によって挿通孔70内で斜板69を付勢する第1付勢部位と、斜板69の最小傾角時に、アーム部89の傾動によって挿通孔70内で斜板69を付勢し、第1付勢部位より連結部92側に設けられた第2付勢部位とを有する略L字状の付勢面を有する。
【選択図】 図1
Description
特許文献1に開示された圧縮機は、複数のシリンダボアを備えたハウジングと、対となるシリンダボアにまたがって挿入される双頭のピストンと、ハウジングに支持される回転軸と、を備えている。
斜板は回転軸に摺動可能に挿通された球状部分とスリーブ部分を有する支持部材上にて傾斜可能に支持されている。
斜板には一対の腕が突出して設けられており、2本の腕の間に掛け渡されたピン軸が、回転軸と一体化されたブロックのカム溝に係合している。
従って、支持部材を軸方向へ移動させると、支持部材の球状部分に支持されている斜板の中心も軸方向に移動する。
これにより、斜板の腕に設けられたピン軸が回転軸のブロックのカム溝内を移動することになるため、斜板の傾角も同時変化する。
斜板が傾斜することによりピストンの往復動の行程が変化し、ピストンとシリンダボアにより形成される圧縮室における行程体積も変化する。
これらのバランスウエイトは斜板の中心からできるだけ離れた位置に各重心ができるようにオフセットして、表裏アンバランスに取り付けられている。
バランスウエイトの重心に作用する遠心力により、斜板を立て起こして傾斜角を小さくさせるモーメントが発生する構成となっている。
因みに、近年では圧縮機のコンパクト化が求められているため、斜板にバランスウエイトを設けるためのスペースに余裕がない場合が多い。
特に、斜板の傾角を変化させるためのリンク機構が存在する側の面にバランスウエイトを設けることは困難である。
また、高回転による最大容量時の運転では、ピストンの往復移動方向の慣性力をバランスウエイトにより低減することが必要であり、高回転による最小容量時の運転では、斜板の最小傾角から傾角を大きくするために、バランスウエイトの影響を小さくすることが要請されている。
最大容量運転時では、アーム部の傾動によって挿通孔内で前記斜板を付勢し、ピストンの慣性力を打ち消す方向の力が生じる可動部材と斜板との接触点が形成される。
また、斜板が最小傾角となる最小容量運転時には、アーム部の傾動によってアーム部の第2付勢部位が斜板を付勢し、ピストンの往復移動方向に対する可動部材の影響を小さくする可動部材と斜板との接触点が形成される。
本発明によれば、斜板にバランスウエイトを設けることができない場合でも、可動部材によって、斜板に対してバランスウエイトとしての機能を適切に発揮することができる。
この場合、特に、スペースの制約を受け易い両頭ピストンを備えた容量可変型斜板式圧縮機において、斜板に対してバランスウエイトとしての機能を適切に発揮する可動部材を設けることができる。
この場合、可動部材の駆動軸に対する組み付けが容易となる。
この場合、アーム部を長くすることができるとともに、ウエイト部をアーム部の先端に設けることで、遠心力による荷重を大きくすることができる。
この場合、斜板の傾角が最小になる最小傾角時に、斜板の傾角を減少させようとする方向の力をより低減することができる。
以下、本発明の第1の実施形態に係る容量可変型斜板式圧縮機(以下、単に「圧縮機」と表記する)について図面を参照して説明する。
図1に示すように、圧縮機10のシリンダブロック11は、第1シリンダブロック12と第1シリンダブロック12に接合された第2シリンダブロック13により形成されている。
第1シリンダブロック12の端部には、リヤ側となる第1ハウジング14が接合され、第2シリンダブロック13の端部には、フロント側となる第2ハウジング15が接合されている。
第1シリンダブロック12、第2シリンダブロック13、第1ハウジング14および第2ハウジング15は、複数本のボルト(図示せず)によって共締めされている。
本実施形態のハウジングは、第1シリンダブロック12、第2シリンダブロック13、第1ハウジング14および第2ハウジング15から構成されている。
本実施形態では、第1吐出室16は第1ハウジング14の径方向において第1吸入室17の外周に形成されている。
第1シリンダブロック12と第1ハウジング14との間には、第1バルブプレート18と、第1吸入弁形成プレート19と、第1吐出弁形成プレート20と、第1リテーナ形成プレート21が介在されている。
また、第1バルブプレート18には、連通孔24が形成されている。
第1吸入弁形成プレート19にはリード式の第1吸入弁25が形成されている。
第1吸入弁25は、第1吸入ポート22を開閉する。
第1吐出弁26は、第1吐出ポート23を開閉する。
第1リテーナ形成プレート21には第1リテーナ27が形成されている。
第1リテーナ27は第1吐出弁26の最大開度を規定する。
第1ハウジング14には、冷媒が通る外部冷媒回路(図示せず)と第1吸入室17とを連通する吸入口28が形成されている。
第1ハウジング14の中心部には圧力調整室30となる凹部が形成されている。
本実施形態では、第2吐出室31は第2ハウジング15の径方向において第2吸入室32の外周に形成されている。
第2シリンダブロック13と第2ハウジング15との間には、第2バルブプレート33と、第2吸入弁形成プレート34と、第2吐出弁形成プレート35と、第2リテーナ形成プレート36が介在されている。
また、第2バルブプレート33には、連通孔39が形成されている。
第2吸入弁形成プレート34にはリード式の第2吸入弁40が形成されている。
第2吸入弁40は、第2吸入ポート37を開閉する。
第2吐出弁41は、第2吐出ポート38を開閉する。
第2リテーナ形成プレート36には第2リテーナ42が形成されている。
第2リテーナ42は第2吐出弁41の最大開度を規定する。
第1シリンダブロック12は斜板室43の外周壁を形成する円筒状の壁部44を備えている。
第1シリンダブロック12には、複数個の第1シリンダボア45が同心円状に等角度の間隔を以って互いに平行に形成されている。
本実施形態の圧縮機10は10気筒タイプであり、第1シリンダブロック12には5個の第1シリンダボア45が形成されている。
図1に示すように、第1軸孔46の第2シリンダブロック13側には、第1軸孔46と同軸であって、第1軸孔46よりも大きな径を有する第1凹部47が形成されている。
第1シリンダブロック12には、第1バルブプレート18の連通孔24と連通する複数の連通路48が形成されている。
従って、斜板室43と第1吸入室17は連通孔24および連通路48により連通される。
第2シリンダボア50は第1シリンダボア45と同軸となるように形成されている。
従って、第2シリンダブロック13には5個の第2シリンダボア50が形成されている。
第2軸孔51は第2シリンダブロック13の中心部を貫通して形成されている。
第2軸孔51の第1シリンダブロック12側には、第2軸孔51と同軸であって、第2軸孔51よりも大きな径を有する第2凹部52が形成されている。
第2シリンダブロック13には、第2バルブプレート33の連通孔39と連通する連通路53が形成されている。
従って、斜板室43と第2吸入室32は連通孔39および連通路53により連通される。
駆動軸55の入力端は第2ハウジング15を貫通して、圧縮機外で回転駆動源に接続される。
駆動軸55の第2吸入室32からハウジング外へと延びる入力端側であって、第2ハウジング15と駆動軸55との間には軸封装置56が介在されている。
軸封装置56により第2吸入室32と外部空間との遮断が図られており、第2吸入室32の冷媒は外部空間へ漏出しない。
駆動軸55の入力端の反対側となる軸端には、フランジを有する筒状体57が嵌装されており、筒状体57は駆動軸55と一体回転する。
筒状体57のフランジは第1凹部47に位置しており、第1凹部47における筒状体57のフランジの第1ハウジング14側にはスラスト軸受59が備えられている。
駆動軸55の第2凹部52に位置する部位にはフランジ部60が形成されており、フランジ部60の第2軸孔51側にはスラスト軸受61が備えられている。
アクチュエータ62は、駆動軸55に固定され、駆動軸55と一体回転する回転体としての固定体63と、駆動軸55の軸心P方向へ移動可能な可動体64を備えている。
固定体63は円形の端面を備え、可動体64は円筒状である。
可動体64には斜板室43側へ突出する連結部65が設けられ、連結部65は連結ピン66を介して斜板室43に収容された斜板69と連結されている。
可動体64と固定体63により制御圧室67が形成され、制御圧室67の空間容積は、可動体64の軸心P方向への往復動により変動する。
図1、図2に示すように、斜板69において連結部65と対向する位置には、長孔状のピン孔71が形成されている。
図3に示すように、ピン孔71には可動体64における連結部65の連結ピン66が軸心P方向と直交する方向へ挿通される。
なお、図3では、説明の便宜上、斜板69の傾角が最小傾角の状態を示す。
斜板69の傾角は駆動軸55と直交する径方向の面と斜板69の面との角度を指す。
斜板69と固定体63との間には、ヒンジ機構72が設けられている。
ヒンジ機構72は、斜板69を駆動軸55と一体回転させるとともに、駆動軸55の軸心P方向への傾動可能かつ変位可能とする。
固定体63は斜板69へ向けて延在する固定体側突起部73を備えている。
図3に示すように、固定体側突起部73の両側にはカム面74がそれぞれ形成されており、カム面74は駆動軸55の軸心P方向に傾斜する面である。
斜板69は、固定体63へ向けて突出する一対の斜板側突起部75を備えている。
斜板側突起部75の先端は円弧状に形成された面を備え、カム面74に対して摺動可能である。
本実施形態では、ヒンジ機構72は、固定体側突起部73、カム面74および一対の斜板側突起部75により構成される。
斜板69が可動体64と連結されていることから、可動体64が移動すると、斜板側突起部75はカム面74を摺動し、斜板69は駆動軸55の軸心P方向へ傾動しつつ、駆動軸55の軸心P方向に変位する。
両頭ピストン76は、第1シリンダボア45において第1圧縮室78を区画する第1ヘッド部77と、第2シリンダボア50において第2圧縮室80を区画する第2ヘッド部79と、第1ヘッド部77と第2ヘッド部79との間の中間部81を有する。
第1ヘッド部77は両頭ピストン76の一方の端部に相当し、第2ヘッド部79は両頭ピストン76の他方の端部に相当する。
中間部81の中心付近には凹部82が形成されており、凹部82内には半球状の一対のシュー83が配設され、シュー83の間に斜板69の外周部が位置し、斜板69がシュー83に対して摺動する。
従って、斜板69およびシュー83は駆動軸55の回転運動を両頭ピストン76の往復運動に変換する変換機構である。
従って、可動体64は制御圧室67と斜板室43との差圧に応じて移動する。
駆動軸55に対する斜板69の傾角変更が許容されているため、可動体64の移動により斜板69が軸心P方向へ変位して、斜板69の傾角が変更される。
圧縮機10の最大容量運転では、斜板69の傾角は最大となり、最小容量運転では斜板69の傾角は最小となる。
なお、図1では最大容量運転時の斜板69の状態を実線にて示し、最小容量運転時の斜板69の状態を二点鎖線にて示す。
また、第1ハウジング14には圧力調整室30と第1吸入室17とを連通する絞り(図示せず)を有する抽気通路87が形成されている。
容量制御弁86は圧力調整室30へ供給する高圧の冷媒供給量を調整する機能を備え、容量制御弁86の制御により、圧力調整室30の圧力が調整される。
圧力調整室30の調整により制御圧室67の圧力が調整され、制御圧室67と斜板室43との差圧に応じてアクチュエータ62の可動体64が移動する。
可動体64の移動により斜板69の傾角が変更され、両頭ピストン76のストロークが変更されて圧縮機10の吐出容量が制御される。
可動部材88は、駆動軸55に連結される連結部92と断面が略L字状のアーム部89とウエイト部90とを備えている。
可動部材88は、駆動軸55に連結ピン91を介して連結される連結部92を備えており、連結部92から駆動軸55に沿って、アーム部89が延在し、アーム部89は斜板69の挿通孔70を通り抜けている。
アーム部89の連結部92の反対側となる可動端93は径方向外側へ向けて屈曲しており、駆動軸55の軸心P方向において斜板69と第1凹部47との間に位置し、駆動軸55の径方向において両頭ピストン76より中心側に位置する。
ウエイト部90は、ウエイト機能を果たすための重量が設定されており、固定体側突起部73又は可動体64の外周を一部覆う。
なお、ウエイト部90のほかアーム部89もウエイト機能の一部を果たす。
可動部材88は、駆動軸55の駆動時において遠心力を受けて連結部92の連結ピン91を支点としてアーム部89が駆動軸に対して径方向に傾動可能である。
図4(c)に示すように、アーム部89は、アーム部89の傾動によって挿通孔70内で斜板69を付勢する略L字状の付勢面94を有する。
図1、図2に示すように、本実施形態では、支点となる連結部92の連結ピン91の位置は、斜板69が傾動する範囲および軸心P方向に変位する範囲から外れた位置に設定されている。
本実施形態の可動部材88は、径方向外側へ変位しても両頭ピストン76と干渉しないように変位する範囲が設定されている。
斜板69とアーム部89が接触する接触点Sを介して可動部材88から斜板69へ力が作用するが、可動部材88から斜板69へ作用する力の向きは、斜板69の傾角に応じて変化する。
つまり、斜板69の傾角と可動部材88の径方向への変位との関係により接触点Sの位置が異なる。
本実施形態では、最大容量運転では、図5(a)に示すように、作用する力Fの軸心P方向への成分が大きくなる接触点S(S1)が形成される。
斜板69の最大傾角時に、アーム部89の傾動によって挿通孔70内で斜板69を付勢する接触点S1に対応する付勢面94の部位は、第1付勢部位に相当する。
また、最小容量運転では、図5(b)に示すように、作用する力Fの軸心P方向への成分が殆ど無くなる接触点S(S2)が形成される。
斜板69の最小傾角時に、挿通孔70内で斜板69を付勢する接触点S2に対応する付勢面94の部位は、第2付勢部位に相当する。
駆動源からの駆動力を受けて駆動軸55が回転すると、駆動軸55と一体的に回転する斜板69の回転運動は、シュー83を介して両頭ピストン76へ伝えられ、両頭ピストン76が第1シリンダボア45、第2シリンダボア50内を往復動する。
両頭ピストン76の往復動により、外部冷媒回路における吸入圧の冷媒が吸入口28を通じて第1吸入室17へ導入される。
第1吸入室17へ導入された冷媒の一部は、第1ヘッド部77が下死点へ向けて移動する吸入行程において第1圧縮室78へ吸入される。
第1圧縮室78に吸入された冷媒は第1ヘッド部77が上死点へ向けて移動する圧縮行程において圧縮され、圧縮された冷媒は第1吐出室16へ吐出される。
第2吸入室32へ導入された冷媒は、第2ヘッド部79が下死点へ向けて移動する吸入行程において第2圧縮室80へ吸入される。
第2圧縮室80に吸入された冷媒は第2ヘッド部79が上死点へ向けて移動する圧縮行程において圧縮され、圧縮された冷媒は第2吐出室31へ吐出される。
第1吐出室16および第2吐出室31に吐出された吐出圧の冷媒は、外部冷媒回路へ吐出される。
制御圧室67の圧力が斜板室43の圧力よりも高くなると、アクチュエータ62の可動体64が第1凹部47に入り込む方向へ移動して、斜板69の傾角が大きくなる。
図5(a)に示すように、斜板69の傾角が最大になると、両頭ピストン76の第1ヘッド部77および第2ヘッド部79ストロークは最大となり、圧縮機10は最大容量の運転となる。
最大容量運転時における可動部材88と斜板69との接触点S1における可動部材88の接線L1は駆動軸55の軸心P方向に対して十分な角度を設定する状態にある。
最大容量による高回転運転では、両頭ピストン76の往復方向の慣性力が大きくなる。
この慣性力は、斜板69の傾角をさらに大きくしようとする力である。
最大容量による高回転運転時において、可動部材88は大きな遠心力を受け、連結部92の連結ピン66を支点として径方向の外側へ傾動して変位しようとするが、斜板69に規制されており、可動部材88から斜板69に作用する力Fが生じる。
最大容量運転時において可動部材88から接触点S1を介して斜板69に作用する力Fの向きは、可動部材88の接線L1と直角方向となる。
この力Fは、軸心P方向の成分Ftと径方向の成分Frとに分解することができる。
軸心P方向の成分Ftは、斜板69の慣性力を低減する力であり、斜板69の傾角を小さくさせようとする方向の力である。
回転数が高くなるほど両頭ピストン76の往復方向の慣性力が大きくなるが、可動部材88から斜板69に作用する力における軸心P方向の成分Ftも回転数の増大により大きくなり、斜板69の慣性力が低減される。
制御圧室67の圧力が斜板室43の圧力よりも低下すると、アクチュエータ62の可動体64が第1凹部47から抜け出る方向へ移動して、斜板69の傾角が小さくなる。
図5(b)に示すように、斜板69の傾角が殆ど0°に近い傾角になると、両頭ピストン76の第1ヘッド部77および第2ヘッド部79のストロークは最小となり、圧縮機10は最小容量運転となる。
最小容量運転では、第1ヘッド部77のストロークは下死点から上死点側に僅かな範囲となり、第2ヘッド部79のストロークは上死点から下死点側に僅かな範囲となる。
従って、最小容量運転時では、第1シリンダボア45には第2圧縮室80と比較してデッドボリュームの大きな第1圧縮室78が形成され、第2シリンダボア50は第1圧縮室78と比較して極めて小さな空間の第2圧縮室80が形成される。
最小容量運転では高回転運転であっても、両頭ピストン76の往復方向の慣性力はほとんど影響が無い程度に小さい。
このため、最小容量による高回転運転では、両頭ピストン76に対する可動部材88の影響を無くすことが必要となる。
可動部材88は、最小容量による高回転運転時においても大きな遠心力を受け、連結ピン91を支点として径方向の外側へ傾動して変位しようとするが、斜板69に規制されており、可動部材88から斜板69に作用する力Fが生じる。
最小容量運転時において可動部材88から接触点S2を介して斜板69に作用する力Fの向きは、可動部材88の接線L2と直角方向となる。
このとき、可動部材88から斜板69に作用する力Fの向きは径方向に近い。
このため、可動部材88から斜板69に作用する力Fの軸心P方向の成分Ftは、径方向の成分Frと比較して十分に小さくなっており、両頭ピストン76の往復方向への作用は殆どない。
つまり、最小容量運転では回転数が高くても、可動部材88による両頭ピストン76の往復方向への力の作用は殆どなく、斜板69の傾角変更に対する可動部材88の影響は小さい。
(1)可動部材88は遠心力を受けて径方向へ変位し、斜板69に当接することにより斜板69に対して力を作用する。最大容量運転時では、両頭ピストン76の慣性力を打ち消す方向の力が生じる可動部材88と斜板69との接触点S1が形成される。また、最小容量運転時には斜板69の傾角変更に対する可動部材88の影響を小さくする可動部材と斜板69との接触点S2が形成される。その結果、斜板69に従来のようなバランスウエイトを設けることができない場合でも、可動部材88によって斜板69に対してバランスウエイトとしての機能を適切に発揮することができる。
(3)可動部材88において支点となる連結部92の連結ピン91が、斜板69が傾動する範囲および軸心P方向に変位する範囲から外れた位置に設定されているから、可動部材88の駆動軸55に対する組み付けが容易となる。
(4)可動部材88はアーム部89の一端にウエイト部90を有し、ウエイト部90と連結部92とは斜板69を挟んで位置している。このため、アーム部89を長くすることができるとともに、ウエイト部90をアーム部89の先端に設けることで、遠心力による荷重を大きくすることができる。
次に、第2の実施形態に係る圧縮機について説明する。
本実施形態は、ピストンの一方の端部にのみ圧縮室が形成される片頭ピストンを備えた圧縮機である。
シリンダブロック101、フロントハウジング102及びリヤハウジング103は、複数の通しボルト104(図6(a)においては1つのみ示す)により相互に接続されている。
シリンダブロック101、フロントハウジング102及びリヤハウジング103は、圧縮機のハウジングの全体を構成する要素である。
シリンダブロック101には軸孔106が形成されている。
軸孔106には駆動軸107が挿通され、駆動軸107はシリンダブロック101にラジアル軸受108を介して回転自在に支持されている。
また、フロントハウジング102には、軸孔109が形成されており、軸孔109にラジアル軸受110を介して駆動軸107が挿通されている。
軸孔109には軸封装置111が設けられている。
制御圧室105から外部へ突出する駆動軸107は、エンジン等の外部駆動源(図示せず)から回転駆動力を得る。
回転支持体112とフロントハウジング102の内壁面との間には、駆動軸107の軸心P方向への荷重を受けるスラスト軸受113が介在されている。
回転支持体112には、斜板114が駆動軸107の軸心P方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。
斜板114の中心側には駆動軸107が挿入される挿通孔115が形成されている。
本実施形態の制御圧室105は、斜板114が収容されることから斜板室に相当する。
斜板側突起部117は、回転支持体112における支持体側突起部116の両側に位置する。
斜板側突起部117は、支持体側突起部116を挟むような状態で移動可能である。
図6(a)では、一方の斜板側突起部117が図示され、他方の斜板側突起部117は図示されない。
支持体側突起部116の両側に形成されている面にはカム面118が形成されており、斜板側突起部117の先端部はカム面118と摺接する。
斜板114は、支持体側突起部116を挟む一対の斜板側突起部117と、カム面118との連係により駆動軸107の軸心P方向へ傾動可能かつ駆動軸107と一体的に回転可能である。
支持体側突起部116、斜板側突起部117およびカム面118は、斜板114と回転支持体112との間に設けられるヒンジ機構119を構成する。
ヒンジ機構119は、回転支持体112に対して斜板114を傾動可能、かつ駆動軸107から斜板114へトルク伝達可能に連結する。
コイルスプリング120は斜板114を回転支持体112から離す付勢力を斜板114に付与する。
斜板114の最大傾角は、回転支持体112と斜板114との当接により規定される。
因みに、図6(a)に示す斜板114は最大傾角の状態にある。
シリンダボア121と片頭ピストン122の端面とにより圧縮室123が区画される。
斜板114の回転運動は、シュー124を介して片頭ピストン122の前後往復運動に変換され、片頭ピストン122がシリンダボア121内を往復動する。
シリンダブロック101とリヤハウジング103との間には、バルブプレート128、弁形成プレート129、130及びリテーナ形成プレート131が介在されている。
バルブプレート128、弁形成プレート130には吸入ポート132が形成されている。
バルブプレート128及び弁形成プレート129には吐出ポート133が形成されている。
弁形成プレート129には吸入弁134が形成されており、弁形成プレート130には吐出弁135が形成されている。
リテーナ形成プレート131には、吐出弁135の開度を規制するリテーナ136が形成されている。
リヤハウジング103には容量制御弁138が設けられており、容量制御弁138は給気通路137を通る冷媒ガスの流量を制御する。
吸入室126と制御圧室105は抽気通路139により連通している。
抽気通路139は容量制御弁138よび給気通路137との協働により制御圧室105の圧力を制御する要素である。
これにより、斜板114の傾角が減少する。
容量制御弁138の弁開度の減少により給気通路137を通る冷媒ガスの流量が減少すると、制御圧室105内の圧力が低くなる。これにより、斜板114の傾角が増大する。
可動部材140は、駆動軸107に連結される連結部144と略L字状のアーム部141とウエイト部142とを備えている。
可動部材140は、駆動軸107に連結ピン143を介して連結される連結部144を備えており、連結部144から駆動軸107に沿ってアーム部141が延在し、アーム部141は斜板114の挿通孔115を通り抜けている。
アーム部141の連結部144の反対側となる可動端145は径方向外側へ向けて屈曲しており、駆動軸107の軸心P方向において斜板114と回転支持体112との間に位置し、駆動軸107の径方向においてヒンジ機構119より外側に位置する。
可動端145には、円筒を縦に分割したような形状のウエイト部142が形成されている。
ウエイト部142は、ウエイト機能を果たすための重量が設定されており、支持体側突起部116および斜板側突起部117の外周を一部覆う。
なお、ウエイト部142のほかアーム部141もウエイト機能の一部を果たす。
可動部材140は、駆動軸107の駆動時において遠心力を受けて連結部144の連結ピン143を支点としてアーム部141が駆動軸107に対して径方向に傾動可能である。
図6(b)に示すように、アーム部141は、アーム部141の傾動によって挿通孔115内で斜板114を付勢する略L字状の付勢面146を有する。
本実施形態では、支点となる連結部144の連結ピン143の位置は、斜板114が傾動する範囲および軸心P方向に変位する範囲から外れた位置に設定されている。
斜板114とアーム部141が接触する接触点Sを介して可動部材140から斜板114へ力が作用するが、可動部材140から斜板114へ作用する力の向きは、斜板114の傾角に応じて変化する。
図7(a)、図7(b)に示すように、可動部材140から斜板114へ作用する力Fは、軸心P方向の成分Ftと径方向の成分Frとに分解することができる。
軸心P方向の成分Ftは、斜板114の慣性力を低減する力であり、斜板114の傾角を小さくさせようとする方向の力である。
また、最小容量運転では、図7(b)に示すように作用する力の軸心P方向への成分Ftが殆ど無くなる接触点S(S2)が形成される。
斜板114の最大傾角時に、アーム部141の傾動によって挿通孔115内で斜板114を付勢する接触点S1に対応する付勢面146の部位は、第1付勢部位に相当する。
接触点S2における接線L2の軸心P方向に対する傾斜角度は、接触点S1における接線L1の軸心P方向に対する傾斜角度よりも小さくなっている。
斜板114の最小傾角時に、挿通孔115内で斜板114を付勢する接触点S2に対応する付勢面146の部位は、第2付勢部位に相当する。
従って、最大容量運転時では、片頭ピストン122の慣性力を打ち消す方向の力が生じ、また、最小容量運転時には片頭ピストン122の往復移動方向に対する可動部材140の影響を小さくすることができる。
本実施形態は、片頭ピストン122を備えた容量可変型斜板式圧縮機であっても、可動式の可動部材140を適用することができる。
○ 上記の実施形態では、可動部材のウエイト部は円筒を縦に分割した形状としたが、ウエイト部の形状は特に限定されず、他の部材と干渉しない形状であれば自由である。
○ 上記の第1の実施形態では、吸入口を第1ハウジングに設ける構成としたが、吸入口の位置は特に限定されない。例えば、斜板室に冷媒を導入することができるようにシリンダブロックに吸入口を設けてもよい。
○ 上記の第1の実施形態では、圧縮機10の最小容量運転では、作用する力Fの軸心P方向への成分Ftが殆ど無くなる接触点S(S2)が形成されたが、例えば、圧縮機10の最小容量運転では、作用する力の軸心P方向への成分が全く無くなる接触点S(S2)が形成される可動部材を用いてもよい。具体的には、図8に示す別例に係る可動部材88を用いる。図8に示す可動部材88のアーム部89は、アーム部151の傾動によって挿通孔70内で斜板69を付勢する略L字状の付勢面94を有する。付勢面94の接触点S2に対応する部位は、圧縮機10の最小容量運転では、接線L2が駆動軸55の軸心P方向と平行となる。このため、可動部材88から斜板69に作用する力Fの軸心P方向の成分Ftは、0となっており、両頭ピストン76の往復方向への作用は全くない。その結果、斜板69の傾角が最小になる最小傾角時に、斜板69の傾角を減少させようとする方向の力をより低減することができる。なお、第2の実施形態の可動部材についても別例に係る可動部材と同様の構成を適用することができる。
11、101 シリンダブロック
12 第1シリンダブロック
13 第2シリンダブロック
14 第1ハウジング
15 第2ハウジング
30 圧力調整室
43 斜板室
45 第1シリンダボア
50 第2シリンダボア
55、107 駆動軸
62 アクチュエータ
63 固定体
64 可動体
67 制御圧室
69、114 斜板
70、115 挿通孔
72、119 ヒンジ機構
76 両頭ピストン
86、138 容量制御弁
88、140 可動部材
89、141 アーム部
90、142 ウエイト部
91、143 連結ピン
92、144 連結部
93、145 可動端
94、146 付勢面
105 制御圧室(斜板室)
112 回転支持体
121 シリンダボア
122 片頭ピストン
P 軸心
S1 接触点(最大容量時)
S2 接触点(最小容量時)
F 力
Ft 軸心方向の成分
Fr 径方向の成分
L1 接線(最大容量時)
L2 接線(最小容量時)
Claims (5)
- 複数のシリンダボアを備えたハウジングと、
前記ハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
前記駆動軸と一体回転する回転体と、
前記駆動軸が挿通される挿通孔を有し、前記回転体を介して前記駆動軸からの駆動力を得て回転するとともに、前記駆動軸に対する傾角変更が許容される斜板と、
前記シリンダボア内に摺動自在に配設され、前記斜板の回転運動を受けて、前記シリンダボア内を往復動するピストンと、を備えた容量可変型斜板式圧縮機において、
前記駆動軸は、
前記駆動軸に連結される連結部と、
前記連結部から前記駆動軸に沿って延在し、前記挿通孔に挿入され、前記連結部を支点として、前記駆動軸の回転に伴う遠心力により、一端が前記駆動軸に対して傾動して離間可能なアーム部とを有する可動部材を備え、
前記アーム部は、
前記斜板の最大傾角時に、前記アーム部の傾動によって前記挿通孔内で前記斜板を付勢する第1付勢部位と、
前記斜板の最小傾角時に、前記アーム部の傾動によって前記挿通孔内で前記斜板を付勢し、前記第1付勢部位より前記連結部側に設けられた第2付勢部位とを有する略L字状の付勢面を有することを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。 - 前記ピストンは、両頭ピストンであり、
前記両頭ピストンの一端によって前記シリンダボア内に区画される第1圧縮室と、
前記両頭ピストンの他端によって前記シリンダボア内に区画される第2圧縮室と、を備えることを特徴とする請求項1記載の容量可変型斜板式圧縮機。 - 前記連結部は、前記斜板が傾動する範囲および軸心方向に変位する範囲から外れた位置に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の容量可変型斜板式圧縮機。
- 前記可動部材は前記アーム部の一端にウエイト部を有し、該ウェイト部と前記連結部とは前記斜板を挟んで位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の容量可変斜板式圧縮機。
- 前記第2付勢部位での前記付勢面は、前記駆動軸の軸線方向と平行であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の容量可変型斜板式圧縮機。
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