JP2014194003A - 樹脂成形体及び分析用チップ - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な方法によって製造でき、且つ表面の親水性が長期に亘って維持される樹脂成形体を提供することである。
【解決手段】樹脂成形体(T)は、ベース樹脂(P)と、一般式R−X(R;炭素数1〜60のアルキル基、X;親水基)で表される界面活性剤(A)と、ベース樹脂(P)よりも分子量が小さく、且つ界面活性剤(A)よりも分子量が大きな化合物(B)であって、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、無水カルボン酸含有変性オレフィン、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリスチレンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩基含有アクリレート、及びアイオノマー樹脂から選択される少なくとも1種の化合物(B)と、を溶融混合して成形される。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂成形体及び分析用チップに関し、特に微細構造を有する生化学用マイクロチップに関する。
ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂をはじめとする熱可塑性樹脂は、射出成形等の溶融成形が容易であり、また機械的強度等にも優れることから、種々の用途に使用される樹脂成形体の原料として好適である。ところで、オレフィン系樹脂は疎水性が高いため、用途によっては成形体表面を親水化することが求められる。親水化が要求される樹脂成形体の一例としては、微細な流路に検体を流す必要がある生化学用マイクロチップ等の分析用チップが挙げられる。
樹脂成形体の表面を親水化する方法としては、コロナ放電処理が広く利用されている。コロナ放電処理は、電極と誘電体ロールとの間に樹脂成形体を通し、高周波高電圧を印加してコロナ放電を発生させる方法であって、コロナ放電中の加速電子が樹脂表面に衝突することで樹脂表面に極性基を発生させる。しかし、コロナ放電処理は、形状が複雑な成形体への適用が困難であり、また製造コストが高い等の問題がある。そこで、より簡便な親水化手段として、成形体のベース樹脂に界面活性剤を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開平07−214587号公報 特開2005−098790号公報
しかし、界面活性剤を用いる方法では、樹脂成形体の製造後しばらくの間は表面が良好な親水性を有するものの、比較的短期間のうちに当該親水性が失われる。即ち、本発明の目的は、簡便な方法によって製造でき、且つ表面の親水性が長期に亘って維持される樹脂成形体を提供することである。
本発明者らは、界面活性剤を添加した樹脂成形体の表面の状態を詳細に観察することによって、当該樹脂成形体では、界面活性剤がブリードアウトして表面にしみだした後、表面上で凝集することにより親水性が失われることを突き止めた(後述の図2参照)。そして、かかるブリードアウトによる界面活性剤の凝集を防止して表面の親水性を長期に亘り維持すべく鋭意検討した結果、漸く本発明を成すに至った。なお、化合物(B)は、例えば成形体に帯電防止性を付与できるが、詳しくは後述するように、成形体表面を親水化する機能を全く有していない。
本発明に係る樹脂成形体は、ベース樹脂(P)と、一般式R−X(R;炭素数1〜60のアルキル基、X;親水基)で表される界面活性剤(A)と、ベース樹脂(P)よりも分子量が小さく、且つ界面活性剤(A)よりも分子量が大きな化合物(B)であって、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、無水カルボン酸含有変性オレフィン、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリスチレンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩基含有アクリレート、及びアイオノマー樹脂から選択される少なくとも1種の化合物(B)と、を溶融混合して成形されることを特徴とする。
本発明は、種々の用途の樹脂成形体に適用できるが、微細構造を有する生化学用マイクロチップ等の分析用チップに適用することが好適である。
本発明によれば、簡便な方法によって製造でき、且つ表面の親水性が長期に亘って維持される樹脂成形体を提供することができる。
本発明の実施例1で用いた樹脂成形体の表面の電子顕微鏡写真である。 本発明の比較例1で用いた樹脂成形体の表面の電子顕微鏡写真である。
本発明の実施形態について、以下詳細に説明する。
本発明の実施形態の一例である樹脂成形体(以下、樹脂成形体(T)とする)は、ベース樹脂(P)と、界面活性剤(A)と、化合物(B)とを溶融混合して成形される。樹脂成形体(T)は、界面活性剤(A)及び化合物(B)の機能により、ベース樹脂(P)のみからなる成形体に比べて表面が親水化されている。
樹脂成形体(T)が微細構造を有する生化学用マイクロチップ等の分析チップである場合、検体を通す流路やセルにおける水の接触角(以下、接触角とは特に断らない限り水の接触角を意味する)は、少なくとも60°以下が好ましく、50°以下がより好ましく、40°以下が特に好ましい。接触角を当該範囲内に調整することで、微細構造における検体の流動や充填が容易になる。そして、樹脂成形体(T)は、かかる親水性を樹脂成形体の製造後、長期間(例えば、1ヶ月以上)に亘って維持する。
樹脂成形体(T)は、詳しくは後述するように、生産性の観点から、射出成形や押出成形、ブロー成形等の溶融成形により製造されることが好適である。但し、用途によっては、ナノインプリントやレーザー加工により樹脂成形体(T)を成形してもよいが、この場合も、ベース樹脂(P)と、界面活性剤(A)と、化合物(B)とを溶融混合(溶融混練)した原料を用いる。
ベース樹脂(P)には、例えば溶融成形が容易な熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−αオレフィン共重合体(例えば、エチレン−プロピレン共重合体)等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、水素添加型スチレン・ブタジエンランダム共重合体(HSBR)等のポリスチレン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などが例示でき、これらを1種単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
上記例示した熱可塑性樹脂のうち、加工性、機械的強度、材料コスト等の観点から、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw;ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(ポリスチレン換算)による))は、一般的に100000以上である。以下では、ベース樹脂(P)にプロピレンを主成分とするポリオレフィン系樹脂を適用するものとして説明する。
界面活性剤(A)は、一般式R−X(R;炭素数1〜60のアルキル基、X;親水基)で表される化合物である。界面活性剤(A)には、非イオン型界面活性剤、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも適用可能であるが、その分子量(高分子量のものについては上記Mw)は、100〜10000が好ましく、200〜800がより好ましい。なお、上記Rの炭素数(以下、Cと略記する)は5〜25が好ましい。界面活性剤(A)の分子量が当該範囲内であれば、成形体表面の接触角を十分に下げることができる。
上記非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)等のアルキレンオキシド(AO)付加型非イオン性界面活性剤、多価アルコ−ル型非イオン性界面活性剤が例示できる。また、アルキル(C5〜25)エタノールアミン等のアミノアルコールを用いることもできる。
AO付加型非イオン性界面活性剤は、例えば、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪酸(C12〜24)、高級アルキルアミン(C8〜24)等に直接AOを付加させたもの、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールに高級脂肪酸等を反応させたもの、プルロニック型非イオン性界面活性剤等のポリプロピレングリコールにEOを付加させたもの、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン等の多価アルコールに高級脂肪酸を反応させて得られたエステル化物にAOを付加させたもの、多価アルコールアルキルエーテルにAOを付加させたもの、高級脂肪酸アミドにAOを付加させたものなどが挙げられる。
多価アルコ−ル型非イオン性界面活性剤は、例えば、多価アルコール脂肪酸エステル(C3〜60)、多価アルコールアルキルエーテル(C3〜60)、脂肪酸アルカノールアミド(C3〜60)などが挙げられる。
上記アニオン性界面活性剤としては、飽和又は不飽和脂肪酸(C8〜22)等のカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールEO付加物硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール(C8〜60)リン酸エステル塩、高級アルコールEO付加物リン酸エステル塩、アルキル(C4〜60)フェノールEO付加物リン酸エステル塩等のリン酸エステル塩などが例示できる。
上記カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤、アミン塩型カチオン性界面活性剤が例示できる。
第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤は、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド等のテトラアルキルアンモニウム塩、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)等のトリアルキルベンジルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロライド等のアルキル(C2〜60)ピリジニウム塩、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド等のポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウム塩、ステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等のサパミン型第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
アミン塩型カチオン性界面活性剤は、例えば、ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミン等の脂肪族アミン、脂肪族アミンのEO付加物、トリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミン等の3級アミン等の無機酸塩又は有機酸塩などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、高級アルキルアミン(C12〜18)プロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキル(C12〜18)ジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤(カルボン酸塩型)、硫酸エステル塩型両性界面活性剤、スルホン酸塩型両性界面活性剤、リン酸エステル塩型両性界面活性剤などが例示できる。
界面活性剤(A)としては、上記のように、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型、アミノアルコール型等の非イオン性界面活性剤、カルボン酸塩型、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型、リン酸エステル塩型等のアニオン性界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤から選択される少なくとも1種を適用できる。これらのうち、ポリエチレングリコール型が特に好ましい。
界面活性剤(A)は、2種類以上を併用することが好適である。2種類の界面活性剤を併用する場合、1つはポリエチレングリコール型の界面活性剤であることが好ましい。併用の好適な例としては、ポリエチレングリコール型の界面活性剤と、アニオン性界面活性剤との組み合わせが挙げられる。当該アニオン性界面活性剤は、スルホン酸塩型の界面活性剤が特に好ましい。
界面活性剤(A)の含有量は、目的とする成形体表面の親水性の程度(接触角)やベース樹脂(P)の種類等によっても異なるが、一般的にはベース樹脂(P)の重量に対して0.5重量%〜5重量%が好ましい。界面活性剤(A)を併用する場合、界面活性剤のトータルの含有量が10重量%以下であることが好ましい。界面活性剤(A)の含有量が当該範囲内であれば、樹脂成形体(T)の機械的特性等を落とすことなく、成形体表面の接触角を十分に下げることができる。
化合物(B)は、ベース樹脂(P)よりも分子量(Mw)が小さく、且つ界面活性剤(A)より分子量が大きな化合物である。化合物(B)のMwは、20000〜80000が好ましく、40000〜70000がより好ましい。化合物(B)のMwが当該範囲内であれば、樹脂成形体(T)の機械的特性等を落とすことなく、界面活性剤(A)の短期間におけるブリードアウト、及びブリードアウトによる成形体表面での凝集を十分に抑制することができる。
化合物(B)は、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、無水カルボン酸含有変性オレフィン、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリスチレンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩基含有アクリレート、アイオノマー樹脂から選択される少なくとも1種の化合物である。なお、アイオノマー樹脂とは、エチレン−メタクリル酸共重合体、又はエチレン−アクリル酸共重合体の分子間がナトリウムや亜鉛、カリウム等の金属のイオンで分子間結合された樹脂である。
上記ポリエーテルエステルは、例えば下記一般式(1)で表される。

(式中、n,m;重合度を示す(以下同様))
上記ポリエーテルエステルアミドは、例えば下記一般式(2)で表される。

(式中、R1,R2;H又はC1〜25のアルキル基、p;重合度を示す)
上記無水カルボン酸含有変性オレフィンは、例えば下記一般式(3)で表される。

(式中、R1,R2,R3;H又はC1〜25のアルキル基)
上記エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体は、例えば下記一般式(4)で表される。
上記ポリスチレンスルホン酸塩は、例えば下記一般式(5)で表される。
上記4級アンモニウム塩基含有アクリレートは、例えば下記一般式(6)で表される。

(式中、R1,R2,R3,R4;H又はC1〜25のアルキル基)
化合物(B)としては、上記例示した化合物のうち、一般式(3)で表される無水カルボン酸含有変性オレフィンが特に好ましい。
化合物(B)の含有量(重量基準)は、界面活性剤(A)の含有量と等量もしくは多く、且つベース樹脂(P)の重量に対して3重量%〜15重量%が好ましい。より好ましくは、ベース樹脂(P)の重量に対して5重量%〜10重量%である。化合物(B)の含有量が当該範囲内であれば、樹脂成形体(T)の機械的特性等を落とすことなく、界面活性剤(A)のブリードアウト、及びブリードアウトによる成形体表面での凝集を十分に抑制することができる。
樹脂成形体(T)は、上記のように、溶融成形により製造されることが好適である。具体的には、ベース樹脂(P)、界面活性剤(A)、及び化合物(B)を混合して射出成形等により樹脂成形体(T)を製造する。即ち、各原料を混合するという簡便な操作によって、成形体の表面を親水化することができる。例えば、各原料は、ドライブレンドされた後、射出成形機に投入されて当該成形機で溶融混合(溶融混練)される。或いは、各原料をドライブレンド後、一旦溶融混練してから射出成形機に供給してもよい。成形温度は、例えば150℃〜250℃であり、各原料の種類に応じて適宜変更できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳説するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ベース樹脂(P)にポリプロピレン(プライムポリマー社製、J229E)を、界面活性剤(A)にポリエチレングリコール型界面活性剤(三洋化成工業社製、ケミスタット1100)を、化合物(B)に無水カルボン酸含有変性オレフィン(三洋化成工業社製、ユーメックス1001)をそれぞれ用いた。これら原料をドライブレンドした後、射出成形機(東芝機械社製、EC−50SX)に投入して、下記成型条件にてブロック状(幅5mm×厚み5mm×長さ50mm)の成形体サンプルT1を製造した。なお、界面活性剤(A)は、ベース樹脂(P)の重量に対して2重量%の割合で、化合物(B)は、ベース樹脂(P)の重量に対して8重量%の割合でそれぞれ添加した。
[成形条件]
樹脂温度;ノズル195℃、前部210℃、中部200℃、後部190℃
タイマー;射出7秒、冷却18秒、中間8秒
射出圧力;1500kg/cm2
[親水性評価]
成形体サンプルT1を複数準備し、同一条件で保存(室温環境下にて保存)した各成形体サンプルT1について製造直後から35日経過後まで成形体表面の親水性について評価を行った。当該評価は、水の接触角を測定することにより行った。その結果を表1に示す。なお、接触角計には、協和界面科学社製のDM500を用いた。
湿潤条件(25℃、95%RH)で保存した各成形体サンプルT1についても同様に、水の接触角を測定した。その結果を表2に示す。
<実施例2>
化合物(B)にポリエーテルエステル(三洋化成工業社製、ペレクトロン)を用いた以外は、実施例1と同様にして成形体サンプルT2を製造し、表面親水性の評価を行った。評価結果を表1,2に示す。
<実施例3>
界面活性剤(A)として、2重量%(ベース樹脂(P)の重量に対して)のポリエチレングリコール型界面活性剤(三洋化成工業社製、ケミスタット1100)、及び2重量%のスルホン酸塩型界面活性剤(三洋化成工業社製、ケミスタット3033)の2種類を併用した以外は、実施例1と同様にして成形体サンプルT3を製造し、表面親水性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<実施例4>
界面活性剤(A)として、2重量%(ベース樹脂(P)の重量に対して)のポリエチレングリコール型界面活性剤(三洋化成工業社製、ケミスタット1100)、及び2重量%のスルホン酸塩型界面活性剤(三洋化成工業社製、ケミスタット3033)の2種類を併用した以外は、実施例2と同様にして成形体サンプルT4を製造し、表面親水性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
<比較例1>
化合物(B)を用いない以外は、実施例1と同様にして成形体サンプルX1を製造し、表面親水性の評価を行った。評価結果を表1,2に示す。
<比較例2>
界面活性剤(A)を用いない以外は、実施例1と同様にして成形体サンプルX2を製造し、表面親水性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例3>
界面活性剤(A)を用いない以外は、実施例2と同様にして成形体サンプルX3を製造し、表面親水性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例の成形体サンプルT1,T2では、製造後21日以上経過した後においても製造直後と同様の表面親水性が維持されている。一方、化合物(B)を含有しない比較例1の成形体サンプルX1では、製造直後においては実施例よりも低い接触角を示したが、製造後すぐに親水性が失われた。また、界面活性剤(A)を含有しない比較例の成形体サンプルX2,X3は、接触角がベース樹脂(P)のみから成形される成形体(表1のPのみ)と同等であった。即ち、化合物(B)は、成形体表面を親水化する機能を全く有していない。
図1,2に、製造後2ヶ月を経過した成形体サンプルT1,X1の表面の電子顕微鏡写真(SEM像)を示す。図1に示すように、成形体サンプルT1の表面には、塊状物等の異物は全く確認されない。一方、図2に示すように、成形体サンプルX1の表面には、多数の塊状物が確認された。確認された塊状物は、界面活性剤(A)がブリードアウトして表面上で凝集したものであると考えられる。つまり、成形体サンプルT1では、界面活性剤(A)がブリードアウトして表面上で凝集する現象が防止乃至低減されていることが明らかである。
以上のように、本発明は、単独では長期親水性保持に全く効果のない界面活性剤(A)及び化合物(B)を併用することにより、成形体表面の親水性を長期間に亘って維持することを可能にした。
なお、表2に示すように、湿潤条件においても、実施例の成形体サンプルT1,T2は、比較例の成形体サンプルX1に比べて成形体表面の親水性が長期間に亘って維持されている。湿潤条件では、成形体サンプルT2において特に良好な評価結果が得られた。
また、表3に示すように、2種類の界面活性剤を併用(ポリエチレングリコール型の界面活性剤と、アニオン性界面活性剤であるスルホン酸塩型の界面活性剤を併用)することによって、成形体表面の親水性がさらに長期間に亘って維持されることが分かった。

Claims (7)

  1. ベース樹脂(P)と、
    一般式R−X(R;炭素数1〜60のアルキル基、X;親水基)で表される界面活性剤(A)と、
    ベース樹脂(P)よりも分子量が小さく、且つ界面活性剤(A)よりも分子量が大きな化合物(B)であって、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、無水カルボン酸含有変性オレフィン、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリスチレンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩基含有アクリレート、及びアイオノマー樹脂から選択される少なくとも1種の化合物(B)と、
    を溶融混合して成形されることを特徴とする樹脂成形体。
  2. 請求項1に記載の樹脂成形体において、
    界面活性剤(A)の分子量が100〜10000であり、
    化合物(B)の分子量が20000〜80000であることを特徴とする樹脂成形体。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂成形体において、
    界面活性剤(A)の含有量は、ベース樹脂(P)の重量に対して、0.5重量%〜5重量%であり、
    化合物(B)の含有量は、界面活性剤(A)の含有量よりも多く、且つベース樹脂(P)の重量に対して、3重量%〜15重量%であることを特徴とする樹脂成形体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体において、
    界面活性剤(A)が、炭素数5〜25のアルキル基を含有する、ポリエチレングリコール型、スルホン酸塩型、及び4級アンモニウム塩型から選択される少なくとも1種であることを特徴とする樹脂成形体。
  5. 請求項4に記載の樹脂成形体において、
    界面活性剤(A)として、前記ポリエチレングリコール型の界面活性剤、及び前記スルホン酸塩型の界面活性剤を併用することを特徴とする樹脂成形体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂成形体において、
    ベース樹脂(P)が、ポリオレフィン系樹脂であり、
    化合物(B)が、前記無水カルボン酸含有変性オレフィンであることを特徴とする樹脂成形体。
  7. ベース樹脂(P)と、
    一般式R−X(R;炭素数1〜60のアルキル基、X;親水基)で表される界面活性剤(A)と、
    ベース樹脂(P)よりも分子量が小さく、且つ界面活性剤(A)よりも分子量が大きな化合物(B)であって、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、無水カルボン酸含有変性オレフィン、エチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリスチレンスルホン酸塩、4級アンモニウム塩基含有アクリレート、及びアイオノマー樹脂から選択される少なくとも1種の化合物(B)と、
    を溶融混合して成形されることを特徴とする分析用チップ。
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