JP2014193597A - ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリエステルフィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014193597A
JP2014193597A JP2014012107A JP2014012107A JP2014193597A JP 2014193597 A JP2014193597 A JP 2014193597A JP 2014012107 A JP2014012107 A JP 2014012107A JP 2014012107 A JP2014012107 A JP 2014012107A JP 2014193597 A JP2014193597 A JP 2014193597A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
region
cooling drum
water
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014012107A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6217409B2 (ja
Inventor
Jun Takahashi
潤 高橋
Tomoko Hayano
知子 早野
Kunimitsu Shimizu
国光 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2014012107A priority Critical patent/JP6217409B2/ja
Publication of JP2014193597A publication Critical patent/JP2014193597A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6217409B2 publication Critical patent/JP6217409B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
    • B29C48/03Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor characterised by the shape of the extruded material at extrusion
    • B29C48/07Flat, e.g. panels
    • B29C48/08Flat, e.g. panels flexible, e.g. films
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
    • B29C48/25Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C48/88Thermal treatment of the stream of extruded material, e.g. cooling
    • B29C48/911Cooling
    • B29C48/9135Cooling of flat articles, e.g. using specially adapted supporting means
    • B29C48/914Cooling of flat articles, e.g. using specially adapted supporting means cooling drums
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
    • B29C48/25Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C48/88Thermal treatment of the stream of extruded material, e.g. cooling
    • B29C48/911Cooling
    • B29C48/9135Cooling of flat articles, e.g. using specially adapted supporting means
    • B29C48/915Cooling of flat articles, e.g. using specially adapted supporting means with means for improving the adhesion to the supporting means
    • B29C48/9165Electrostatic pinning
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C48/00Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
    • B29C48/25Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C48/88Thermal treatment of the stream of extruded material, e.g. cooling
    • B29C48/911Cooling
    • B29C48/9135Cooling of flat articles, e.g. using specially adapted supporting means
    • B29C48/9175Cooling of flat articles, e.g. using specially adapted supporting means by interposing a fluid layer between the supporting means and the flat article

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】フィルム表面に凹凸欠点がなく、フィルムの厚みムラがよく、長期製膜安定性に優れたフィルムの提供。亦、フィルム厚みが2〜3μmと薄膜なフィルムや結晶化度が低いフィルムが必要な用途にも、好適に使用することができるフィルムの製造方法の提供。
【解決手段】溶融したポリエステル樹脂3をフィルム状にダイ2から押し出し、水膜7が形成される冷却ドラム1上に静電印加を施しながら冷却固化し、冷却ドラム1から剥離して未延伸フィルム4を得る工程を有するポリエステルフィルム4の製造方法であって、冷却ドラム1は、B領域/A領域/B領域からなる水膜が形成されてなり、水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後剥離されるまでの気体雰囲気中の水分量を10〜20g/mの範囲に制御するポリエステルフィルムの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、水膜が形成される冷却ドラム上にポリエステル樹脂を冷却固化する工程を有するポリエステルフィルムの製造方法に関する。詳しくは、冷却固化後の未延伸フィルムの凹凸欠点と厚みムラ、さらには、長期キャスト安定性を全て満足することができるポリエステルフィルムの製造方法に関する。
ポリエステル樹脂は機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。そのポリエステル樹脂をフィルム化したポリエステルフィルム、中でも二軸配向ポリエステルフィルムは、その機械的特性、電気的特性などから、感熱転写用途、感熱孔版用途、写真用途、グラフィック用途、粘着テープ、包装材料、自動車用材料、建築材料、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、もしくはフラットケーブルなどの電気絶縁材料、磁気記録材料や、コンデンサ用材料などの各種工業材料として使用されている。
ポリエステルフィルムは、溶融したポリエステル樹脂をフィルム状にダイから押出し、回転する冷却ドラムとは反対の面から静電印加を施しながら、冷却固化し、冷却ドラムから冷却固化されたフィルムを剥離して未延伸フィルムを得る工程を経て、必要に応じて、フィルムの走行する方向および/または走行する方向とは直交する方向にそれぞれ延伸しフィルムに必要な強度やバリア性等、最終的に得られる物性を未延伸フィルムの冷却固化後に付与させて、一軸配向ポリエステルフィルムや二軸配向ポリエステルフィルムを得ている。特に、フィルム表面の凹凸欠点とフィルムの厚みムラがないフィルムが求められており、中でも凹凸欠点をなくするために、冷却ドラムに水膜を形成させるという手法が採用されている。この手法は、回転する冷却ドラムの幅方向表面に連続的に水蒸気を当てて水膜を形成させ、その水膜形成部に溶融したポリエステル樹脂を押し流し、静電印加を施しながら冷却固化し、冷却固化後のポリエステル樹脂を剥離して未延伸フィルムを得ている。また、未延伸フィルムを得た後には、再度、冷却ドラム表面に均一な水膜を形成するために、残存する水膜を除去する水膜除去部を設けている(特許文献1)。
このように溶融したポリエステル樹脂と冷却ドラム表面との間に水膜を介在させることにより、溶融したポリエステル樹脂に随伴する空気が水膜によって排除され、未延伸フィルムの表面に形成されやすい微小気泡の発生が大幅に抑えられ、凹凸欠点を抑制することができる。水膜の形成手段は、冷却ドラム上に水蒸気を噴霧させて、表面に水膜を形成させるものである。
また、近年では、生産性を向上させるために、フィルムの生産速度自体を速めているが、フィルムの製膜速度を早くすると、冷却ドラムの回転速度も速めることになるため、溶融した樹脂と冷却ドラム表面との間に空気の噛み込みが多くなる傾向にあり、この技術は必須な技術となってきている。
特開昭58−63415号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造装置のみでは、フィルムの表面の凹凸欠点は考慮されているものの、凹凸欠点の抑制、フィルムの厚みムラの抑制、フィルムの製膜安定性のすべてを兼ね備えるものではなかった。
冷却ドラムの表面に形成する水膜が少なすぎると、随伴気流が溶融したポリエステル樹脂と冷却ドラムとの間に巻き込まれ、未延伸フィルムの表面に凹凸の表面欠陥を形成させるため、冷却ドラム上に不足なく水膜を形成させることが好ましい。水膜を十分にするため、水蒸気を多く冷却ドラムに噴霧すると、溶融したポリエステル樹脂と冷却ドラムとの間に介在する空気は押出されやすくなるが、冷却ドラム上で噴霧された水が表面張力によって集結し、波形状を形成するため水膜の厚みムラが発生する。この水膜の厚みムラは、そのまま未延伸フィルムの厚みムラへと影響を与えることとなるため、水膜の水分量は、波形状が形成されない範囲で水膜を形成することが好ましい。
また、水蒸気を噴霧した後、溶融樹脂が冷却ドラムに着地するまでに、溶融したポリエステル樹脂の輻射熱により水膜の蒸発が起こる。水膜形成が薄膜であると全てが蒸発により水膜形成がされず、また、ところどころに水膜のムラがあると薄膜の箇所のみ水膜が無い結果となり、均一に水膜を形成せしめる技術が適用されないことになりかねない。
また、このような水膜の厚みムラは、樹脂を剥離する際にも、冷却ドラムに強力に引っ付いた樹脂がところどころ発生し、冷却ドラムから冷却固化されたフィルムを剥離する際に、フィルムが割れる、という問題を引き起こしている。冷却ドラム上では、静電印加とよばれる冷却ドラムに溶融樹脂を引っ付ける役割を果たす装置を冷却ドラムとは反対側に設けるが、この蒸発は、静電印加が、局所的に強く働いたり、弱く働いたりする部分を発生させるため、冷却固化されたフィルムを冷却ドラムから引き剥がす際に、フィルム破れを起こさせやすくしている。
このように、未延伸フィルムに凹凸欠点や厚みムラがあると、未延伸フィルムを得た後にフィルムの走行方向と、その走行方向とは垂直な方向それぞれに二軸に延伸するか、いずれか一方の方向に延伸して二軸配向ポリエステルフィルムとする場合には、最終的に得られるフィルムの凹凸欠点が拡大されて、微小であった凹凸欠点が大きく現れてしまうという二次問題を発生させている。
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、冷却ドラム上に水膜を所定の厚みで均一に形成し、フィルムの凹凸欠点、厚みムラ、長期キャスト安定性を目的とする。
すなわち、本発明は以下にかかるものである。
(イ)溶融したポリエステル樹脂をフィルム状にダイから押し出し、水膜が形成される冷却ドラム上に静電印加を施しながら冷却固化し、冷却ドラムから剥離して未延伸フィルムを得る工程を有するポリエステルフィルムの製造方法であって、冷却ドラムは、水膜が形成されてなり、水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後剥離されるまでの気体雰囲気中の水分量を10g/m以上20g/m以下の範囲に制御することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
(ロ)前記溶融したポリエステル樹脂が、共重合ポリエステルを含有することを特徴とする(イ)に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
(ハ)冷却ドラムにB領域/A領域/B領域からなる水膜が形成されてなり、溶融したポリエステル樹脂が冷却ドラムに接地する直前の、該A領域における水膜の厚みムラが20%以下であることを特徴とする(イ)又は(ロ)の記載のポリエステルフィルムの製造方法。
(ニ)冷却ドラムは、B領域/A領域/B領域からなる水膜が形成されてなり、該各B領域に、溶融したポリエステル樹脂の両端部が接地した際の、前記A領域の水膜厚みが0.1〜0.5μmであり、前記B領域の水膜厚みが0.1〜1.5μmであることを特徴とする(イ)〜(ハ)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
(ホ)前記未延伸フィルムの厚みが10〜150μmであり、該フィルム幅方向の厚みムラが6%以下であることを特徴とする(イ)〜(ニ)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
(ヘ)ポリエステル樹脂の示差走査熱量測定(DSC)で測定される結晶化度が30%以上60%以下であることを特徴とする(イ)〜(ホ)のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
本発明によれば、ポリエステル樹脂の未延伸フィルム、さらには、フィルムの結晶化度が低い未延伸フィルムでも凹凸欠点がなく厚みムラ、長期キャスト安定性に優れたポリエステルフィルムを提供することができる。かかるポリエステルフィルムは、感熱孔版、感熱孔版用途、写真用途、グラフィック用途、粘着テープ、包装材料、自動車用材料、建築材料、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、もしくはフラットケーブルなどの電気絶縁材料、磁気記録材料や、コンデンサ用材料などの凹凸欠点・厚みムラが少ないことを必要とする各種工業材料に好適である。
本発明の冷却工程を示した例である。
本発明において、溶融したポリエステル樹脂をフィルム状にダイから押し出し、水膜が形成される冷却ドラム上に静電印加を施しながら冷却固化し、冷却ドラムから剥離して未延伸フィルムを得る。水膜は、冷却ドラムに水蒸気を噴霧して幅方向に形成する。その水膜上に溶融したポリエステル樹脂を静電印加で冷却ドラムに密着させ、冷却した後、冷却固化されたフィルムを剥離し、この工程で連続的に未延伸フィルムを得る。

ポリエステル樹脂は、ジオール成分とジカルボン酸成分から重縮合により得られるエステル基を主鎖に持つポリマーであり、前記ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、ダイマー酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸などが、また上記ジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、およびビスフェノールなどがそれぞれ代表例として用いられる。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、およびポリエチレン−2,6−ナフタレートなどがあげられるが、これらはホモポリマーであっても、またジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどの他のジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの他のジカルボン酸成分を共重合成分として含むコポリマーであってもよい。
上記ポリマーに公知の添加剤、例えば安定剤、粘度調整剤、酸化防止剤、充填剤、滑り剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、剥離剤、離型剤などを含有させてもよい。
なお、本発明においては、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレン−2,6−ナフタレートが、得られるフィルムの機械的強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性、および汎用性などの観点から特に好ましく使用される。
本発明における静電荷印加法は、例えば特公昭48−29311号公報に示されたように、直流、交流の高電圧を溶融体、口金あるいはドラムなどに印加させて溶融体を冷却ドラムに静電気力をかりて密着させる方法であり、空気の噛み込みや溶融したポリエステル樹脂の厚みムラを抑制するために必要な技術である。
本発明における冷却ドラムは、フィルムの幅方向に沿ってB領域/A領域/B領域からなる水膜が形成されてなることが好ましい。B領域とA領域は、水膜が連続して形成されており、領域の境界において水膜の途切れた部分は存在しない。なお、本発明において、B領域/A領域/B領域と表記するものは、水膜が存在する領域を表記するために用いるものであり、溶融したポリエステル樹脂の端部の接地位置を表記するために用いるものであって、冷却ドラムの形状が領域によって異なることを意味するものではない。
本発明は、水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後剥離されるまでの気体雰囲気中の水分量を10g/m以上20g/m以下の範囲に制御することが重要である。
本発明の、水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後剥離されるまでの気体雰囲気は、冷却ドラムの周りがパーテーションで仕切られており、図1の符号8で示される領域が該当する。符号2のダイからポリエステル樹脂が押出され、符号1の冷却ドラムでポリエステル樹脂が冷却されるが、その後、符号5の引き離しロールを用いて、冷却ドラムからポリエステル樹脂は剥離され、符号4の未延伸フィルムを得ることができる。気体雰囲気は、上述した符号2で押出されてから符号5でポリエステル樹脂が冷却ドラムから引き離されるまで、他領域とは隔離される。ただし、この隔離は、ポリエステルフィルムが連続製膜されるため、完全には隔離することができず、その隔離との隙間は狭幅であることが好ましい。本発明での気体雰囲気中の水分量の測定については、符号6の噴霧器を符号1の冷却ドラムに吹き当てた後に符号8の水蒸気が存在する箇所で測定するものとする。詳しくは、後述する。
気体雰囲気中の水分量は、本発明における水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後、剥離されるまでの範囲で、キャスティングドラムから50mm以内の距離で測定した場合に、10g/m以上20g/m以下であればよい。
この領域(水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後、剥離されるまでの範囲で、キャスティングドラムから50mm以内の距離)で、冷却ドラム上に形成された水膜の蒸発及び、冷却ドラム上での結露が生じにくくなるため、所定の厚みの水膜を持続的に形成することが可能になる。気体雰囲気中の水分量が10g/m未満であると、雰囲気中の水分量が少なくなるため、水膜の蒸発がされやすくなり、溶融したポリエステル樹脂と冷却ドラムの間に空気を噛み込みやすくさせるため好ましくない。水分量が20g/mを超えると、水分量が多くなりすぎるために結露が生じ、水膜の厚みムラが発生する傾向となる。
上記製造方法を実施する装置は特に限定されるものではないが、少なくとも、水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後剥離されるまでの外周を囲い、冷却ドラム周囲に向けて水分を含む気体を供給する気体供給手段と該水分を含む気体の供給量制御手段とを設けることで、水分量を10g/m以上20g/m以下に制御することができる。
本発明において、溶融したポリエステル樹脂は、共重合ポリエステルを含有することが好ましい。該共重合ポリエステル中の共重合成分の割合は、10モル%以上が好ましく、本発明の目的とする表面の凹凸欠点と厚みムラと製膜安定性の全てを満足することが可能である。より好ましくは、共重合ポリエステル中の共重合成分の割合が12%以上、さらに好ましくは15%以上である。溶融したポリエステル樹脂として共重合ポリエステルを含有することにより、冷却ドラム水膜上で溶融したポリエステル樹脂が固化する際の結晶化を抑えることができ、フィルムの割れも防止できる。溶融したポリエステル樹脂中に、共重合ポリエステルを含有させる方法としては、共重合成分の割合が低い共重合ポリエステルを全量用いてもよいし、共重合成分の割合が高い共重合ポリエステルマスタを作成し、それを共重合していないホモポリエステルで薄めてもよい。
溶融したポリエステル中に共重合ポリエステルを含有させるのに適する用途は、例えば、フィルムをひねった際に、ひねりの形状がそのまま維持できる包装用途がある。また、例えば、感熱孔版と呼ばれる用途は、穿孔熱によってフィルムを溶かす技術が適用されるため、共重合ポリエステルが混合される場合がある。
このように、溶融したポリエステル樹脂が共重合ポリエステルを含有するような場合には、フィルムの製造工程による熱のかかり方にもよるが、なるべく冷却固化後の熱のかかりを80℃〜110℃と低温にし、フィルム自体の結晶化を抑えると、その結晶化度が低い状態でフィルムを得ることができるが、このような結晶化度が低いフィルムは、ひねり後も、その形状が維持されやすいし、穿孔熱によって樹脂が溶けやすく、穿孔しやすいという性質を有している。
一方、このように共重合ポリエステルを含有せずとも、冷却ドラムの低温化などにより未延伸フィルムの結晶化度を下げることも可能である。しかし、冷却ドラムの温度を下げすぎると冷却ドラムが結露し冷却ムラが生じることで、フィルム割れをひきおこすことがある。
本発明における冷却ドラムには、B領域/A領域/B領域からなる水膜が形成されてなることが好ましいが、ここで言うB領域とは、冷却ドラム幅方向に対して、形成された水膜の端から中央部方向に150mmの領域であり、A領域とは、両B領域より内側の幅方向領域である。
本発明において未延伸フィルムを二軸延伸する際、フィルムの端部をクリップで把持してフィルムの走行方向と直交する方向に延伸する。そのため、その端部は最終的に得られるフィルム製品からは切断されて、廃棄されるか再度のポリエステルフィルムの製造工程に回収原料として再利用されるため、製品とはならない。また、一軸延伸フィルムを製造する際には、フィルムの長手方向のみに延伸する場合が多く、その場合でも、フィルムの端部はなんら把持されていないため、フィルムの端部は波形となっており、これを巻き取ったフィルムロールは、端部が不揃いのフィルムとなるため、大抵は一軸延伸フィルムであっても端部は切り落とされて製品とはならない。
このように、接地するポリエステル樹脂の両端部領域とは、上述した製品とならない端部位置となるもとの未延伸部位をいう。したがい、本発明において、A領域においては、フィルムの凹凸欠点と厚みムラが未延伸フィルムになければよく、溶融したポリエステル樹脂が冷却ドラムに接地する直前のA領域における水膜の厚みムラが20%以下であることが好ましい態様となる。通常、上述のA領域は、接地するポリエステル樹脂の両端部10cmを切り落とした位置より内側であり、上述した最終製品として使用しない部分が両端部10cm未満であっても、製品になんら影響を与えない。また、水膜は、樹脂が接地する両端部から2mm幅方向に広い方が好ましく、さらに好ましくは1mmである。A領域における水膜の厚みムラは小さい方が好ましいため、下限の理想は0%である。
次に本発明において前記各B領域に、溶融したポリエステル樹脂の両端部が接地する際、前記A領域の水膜厚みが0.1〜0.5μmであり、前記B領域の水膜厚みが0.1〜1.5μmであることが好ましい。
A領域の両端部に位置するB領域は、A領域と同一の水膜を形成することも可能であるが、ポリエステル樹脂の両端部をクリップにて把持する場合には、ポリエステル樹脂の両端部の厚みをフィルムのA領域より厚くして、フィルムの幅方向の延伸時におけるクリップ破れを防止することが好ましい。このため、ポリエステル樹脂の端部は冷却されにくい傾向となるため、A領域の水膜厚みよりもB領域の水膜厚みを厚くして冷却効果を高めることが好ましい態様である。
A領域の水膜厚みは0.1〜0.5μmであり、好ましくは0.2〜0.4μmである。0.1μm未満では空気のかみ込みむらによるフィルムの表面の凹凸欠点やが生じたり、冷却ドラムからフィルムを引剥す際、静電印加による密着力が強くなり過ぎてフィルム破れを起こす。また0.5μmを超えると、水の表面張力により水の島形状の発生が引き起こされ厚みムラを発生させやすくする。また、その水の表面張力によって空洞となった水膜が形成されない部分にフィルムの表面の凹凸欠点が発生しやすくなる傾向になる。
B領域の水膜厚みが、1.5μmを超える場合には、A領域に与える水蒸気量が過剰なため、水膜がA領域に流れこみ、厚みムラを発生させる可能性が高くなるため好ましくない。
なお、本発明において、A領域とB領域において、水膜の形成厚みをそれぞれ規定することが可能であるが、これを達成するには、A領域とB領域を共通とする噴霧器(以下、第1の噴霧器という)で水蒸気を拭きつけた後に、さらにB領域にもうひとつ別の噴霧器(以下、第2の噴霧器という)を設けて、もしくは、第2の噴霧器でB領域に水膜を形成した後に、第1の噴霧器で、A領域とB領域の水膜を形成して、B領域の水膜を厚くすることが可能となる。第1の噴霧器、第2の噴霧器のどちらを先に噴霧しても、本発明には特段に影響を与えない。また、第1の噴霧器は、A領域とB領域を共通とせずとも、A領域とB領域の間に水膜が形成されない空間が発生しなければ、多数の噴霧器を用いてもよく、第2の噴霧器のほか、B領域に第3の噴霧器をさらに用いて厚みを増すことも可能である。
本発明における水膜の形成方法としては、上述したとおり、水蒸気を含んだ空気を、その露点以下に保たれた冷却ドラム表面に吹き付けて結露させる方法(結露法)や、静電荷を帯びた水蒸気を噴霧する方法、ローラーでしみ出し、あるいは転写塗布する方法などがある。
水膜の形成は、塗布時点では連続の水膜や結露、水蒸気のように点状であってもよく、フィルムが接地する時点で膜状になるものであれば良い。A領域とB領域の塗布方法は、特に限定されるものではなく、上述したように噴霧器に用いる手段を別領域で噴霧量を変える方法による同一手法が簡易であるが、異種の方法でもよく、一段、多段階であっても良い。溶融したポリエステル樹脂が冷却ドラムに接地する時点に前述した特定の水膜を形成していればよい。
また、この水膜は、ドラム上で形成されたフィルムがキャスティングドラム表面から剥離されたのちにキャスティングドラム表面に残存する水が幅方向、長手方向共に水膜厚みむらを作ることが多いため、フィルム剥離後、新しい水膜が形成されるまでの間に完全にエアーブロー真空法や吸引ロールなどで除去することが好ましい。
このようにして表面の凹凸欠点がなく、フィルムの厚みムラのない、製膜安定性に優れた実用可能なポリエステルフィルムが得られる。
本発明において、未延伸フィルムの厚みが10〜150μmであり、未延伸フィルムの幅方向の厚みムラが6%以下が好ましく、本発明の目的とする凹凸欠点がないフィルムを得ることができる。
また、未延伸フィルムの厚みが150μmを超える場合や、後述する未延伸フィルムの端部に厚みを設ける場合には、フィルム状に押し出されたポリエステル樹脂の冷却ドラム側の面とは反対側から溶融したポリエステル樹脂(以下、単に溶融樹脂という)を同時に冷却するのが好ましい。冷却ドラム側の面とは反対側から溶融樹脂を冷却する手段としては、エアーを送風するノズルを冷却ドラムの回転の流れ方向に並べたエアチャンバーなどの機器があげられる。未延伸フィルムの厚みが150μmを超える場合、押し出される樹脂量も多くなり放熱により水膜が蒸発し、冷却ドラム上の溶融樹脂が剥離しやすくなるが、冷却ドラム側の面からの冷却により、水膜の蒸発を抑制することが可能となるからである。その結果、未延伸フィルムの厚みが150μmを超えても、厚みムラが6%以下の未延伸フィルムを得ることが容易となる。冷却ドラム側の面とは反対側から溶融樹脂を冷却する場合における、好ましい未延伸フィルムの厚みは、150μmを超え500μm以下である。
また、同時二軸延伸、逐次二軸延伸において、フィルムの端部をクリップにて把持して幅方向に延伸する工程で生じる破れを防止する目的で、フィルムの端部を中央部より厚くした未延伸フィルムを用いる場合があるが、この場合、未延伸フィルムの端部は中央部よりも厚みが厚いため、冷却ドラムからの冷却熱が伝わりにくく、端部が中央部に比べて結晶化が促進し、未延伸フィルムを冷却ドラムから剥離する際に、端部と中央部の境目付近から割れが発生する場合がある。このように、未延伸フィルムの中央部よりも端部の厚みを厚くした場合においても、冷却ドラムの反対面から冷却することは割れを抑制するのに有効である。
なお、冷却ドラム側の面とは反対側から溶融樹脂を冷却する手段として好適なエアチャンバーで冷却する場合、そのエアーは、厚み斑の観点から、風温30℃以下、風速1m/sec以上10m/secで吹き付けることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、同時二軸、もしくは遂次二軸延伸を採用することができ、例えば、同時二軸でも逐次二軸延伸でも、フィルムの走行方向または幅方向に合計10〜30倍の面積倍率の延伸を行った際には、最終的に得られるフィルムは1〜5μmと薄膜のフィルムを得ることができる。最終的に得られるフィルムの厚みが1〜5μm程度の薄膜フィルムを得る場合、上述したとおり、空気の噛み込みが多くなる傾向にあるが、本発明の製造方法によれば、最終的に得られるフィルムの凹凸欠点と厚みムラは良好である。未延伸フィルムの幅方向の厚みムラも小さい方が好ましいため、下限の理想は0%であるが、実用上は3%程度である。
薄膜フィルムは、得られる未延伸フィルムをフィルムの走行方向や幅方向に延伸して引き伸ばす工程を設けて薄膜にすることが一般的であるが、フィルムをなるべく高い倍率で延伸すると、フィルム破れが多発するためその延伸倍率にも限界があり、もともとの未延伸フィルムを薄膜に成型する方法を採用して製膜している。このように未延伸フィルムの厚みが薄膜の場合には、水膜の厚みムラが直接未延伸フィルムに反映されやすい。また、未延伸フィルムが薄膜であると、最終的に得られるフィルムの厚みが薄いために、凹凸の表面欠点は延伸後のフィルムの厚みに与える影響が大きくなる。
薄膜フィルムを得る目的で冷却固化する樹脂を冷却ドラムに押し出す際、溶融樹脂が押し出されて冷却ドラムに接触するまでの速度より、冷却ドラムの回転速度を速くして、冷却固化する際のフィルムの厚みを薄膜化させて未延伸フィルムの厚さを薄くする技術が採用されているが、薄膜化のためにさらに冷却ドラムの回転速度を速めなければならないために、溶融樹脂に随伴する空気がフィルムとドラムの間に巻き込まれやすくなるため、特に薄膜なフィルムは、未延伸フィルムの空気の噛み込みによる表面欠点(凹凸)による凹凸欠点が悪化するという問題も有している。
さらに、本発明においてポリエステル樹脂の示差走査熱量測定(DSC)で測定される結晶化度が30%以上60%以下であることが好ましい。例えば、上述したとおり、樹脂に共重合成分を10モル%以上混在させてフィルムを製膜した場合には、結晶化度が低くなる傾向にあるが、結晶化度が低くても、本発明のポリエステルフィルムの製造方法を採用した場合には、凹凸欠点、厚みムラ、製膜安定性をすべて満足できる品質のよいフィルムを提供することができる。
最終的に得られるフィルムの結晶化度が低いフィルムにおいて、例えば、厚み1〜5μmといった薄膜なフィルムを製造する場合には、さらに本発明を好適に用いることができる。
[物性の測定法]
(1)凹凸欠点
最終的に得られたフィルムロールからまず長手方向にロール2周分を切り出した後、その切り出し部からさらに1.0mの長さをとり、切り出し部と平行にカットし、矩形のサンプルを得る。矩形で平坦な鉄製台に水平にフィルムが四方向全てに荷重均一にかかるようサンプルの四方に50g/10cmにてセットする。このサンプルの幅方向に水平に糸を張り、この糸が、フィルム上の少なくとも1ヶ所に接触するようにセットする。この時、凹凸欠点の悪いフィルムはこの糸より離れたところにあり、この距離を読み取り以下の評価基準により示した。凹凸欠点がまったく問題ない場合は、全幅にわたり、この糸に接触していることになる。また、幅方向で糸間が多数ある場合には、その最大値を求めた。これを該サンプル上で幅方向に10回繰り返し、その平均値を求め、下記の評価基準で評価した。
評価基準(最も離れた部分で評価)
○:フィルム〜糸間が2mm未満
△:フィルム〜糸間が2mm以上で10mm未満
×:フィルム〜糸間が10mm以上
フィルム〜糸間が2mm未満では、全く問題がないので○印で示した。10mm以上では未延伸フィルムとしても使用不能であり、延伸用としてもしわの発生などで使用不能であり×印で示した。2mm以上10mm未満では凹凸欠点が悪いことは認められるが、使用法によって使えるものであり、△印で示した。
(2)長期キャスト安定性
フィルムの割れ、(冷却ドラムとの)滑り、フィルムの蛇行などが起こるまでの時間を長期キャスト安定性評価の基準とした。
評価基準
◎:24時間以上全く問題なし
○:8時間以上24時間未満で問題なし
×:問題の生じなかった時間が8時間未満
(3)二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みムラ
電子マイクロメータK306を用い、幅方向に1400mm長にサンプリングしたフィルムで5mm毎に厚みを測定する。測定長での厚み最大値Tmax(μm)、最小Tmin(μm)から、
R=Tmax(μm)−Tmin(μm)
を求め、Rと平均厚みTave(μm)から
厚みむら(%)=R/Tave×100
として求めた。これを10回繰り返し、この平均値をフィルムの厚みムラとした。
(4)水膜厚み、水膜厚みムラ
(株)チノー社製、IR−300赤外線式微量水分計を用いて、冷却固化中のフィルム表面からドラムまでの距離を測定する。検量線は、ドラム上の水を吸い取り紙に吸収させ、その重量を上記水分計の目盛りに対してプロットし、水膜形成領域のA領域、B領域それぞれについて求めた。また、水膜の厚みムラは、A領域において水膜を幅方向に10点測定し、それを平均し、その平均厚みを100%として、測定した10点の最大厚みと最小厚みの厚み増減比を求め、最小厚みと最大厚みの差分を水膜厚みムラとした。
(5)未延伸フィルムの厚み、未延伸フィルムの厚みムラ
横河電気(株)製、WG31F6A三波長赤外線式厚さ計を用いてキャスティング後、延伸前の未延伸フィルムで連続的に厚みを測定する。フィルムの端から中央部に向かって100mmの範囲を除く範囲を測定し、厚み最大値T’max(μm)、最小T’min(μm)から、
R=T’max(μm)−T’min(μm)
を求め、Rと平均厚みT’ave(μm)から
厚みむら(%)=R/T’ave×100
として求めた。これを20回繰り返し、この平均値をフィルムの厚みムラとした。
(6)雰囲気の水分量
水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後剥離されるまでの気体雰囲気に関し、冷却ドラムの周りがパーテーションで仕切られ、図1の符号8で示される領域において、次の通り測定する。
水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後、剥離されるまでの間の、冷却ドラムから50mm離れた点で、冷却ドラム両端部位置からそれぞれ10cm内側の冷却ドラム上、幅方向に平行に直線を引いた際に、その直線を20等分した計21箇所で、雰囲気の水分量を測定する。気体雰囲気中の水分量は、日本特殊陶業(株)社製セラミック湿度センサ高温用湿度検出器を用いて測定し、平均値を雰囲気の水分量とした。
(7)結晶化度
樹脂単独を任意の条件で結晶化度の異なるサンプルを作成する。このサンプルを液体窒素冷却しながら粉砕して、粉砕した試料を理学電機社製ロータフレックスRU−200B(グラファイト・モノクロメーター使用)を用い、加速電圧:50KV、管球電流:160mA(ターゲット:Cu)、2θ:5〜36°で測定を行った。また、上記方法で結晶化度が明確になったサンプルについて、DSC(パーキンエルマー社製DSC−2:昇温速度=10℃/分、サンプル量=10mg、インジウムを標準として熱量を計算)で融解熱を求めて検量線を作成する。次いで、フィルムでDSC測定を行い、180〜300℃に現れた2nd runピークの面積から融解熱量を求め、上記検量線を用いて結晶化度を求めた。これを10回繰り返し、平均値を結晶化度とした。
以下本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1〜6、実施例8〜18、実施例20、比較例1〜5]
ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレートペレットとイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートペレットを用い、ポリエステル樹脂中のイソフタル酸成分の量が、表1の通りとなるよう調整し(表中、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂中のジカルボン酸成分の量における、イソフタル酸成分の量をmol%で表す)、該ポリエステル樹脂を140℃で真空乾燥し、押出機に供給し、270℃で溶融させたのち、Tダイより溶融したポリエステル樹脂を吐出させ、全幅に静電荷を印加させながら、水膜が形成された表面温度25℃の冷却ドラム上で冷却固化させ、冷却固化された樹脂を冷却ドラムから剥離して未延伸フィルムを得た。

該未延伸フィルムを95℃に保たれた長手方向の延伸ロールにて長手方向に4倍に延伸し、続いてフィルムの端部をクリップで保持したまま100℃に保たれた幅方向延伸機にて4倍延伸し、徐々に冷却して巻き取り、フィルムロールとした。フィルムロールから巻き返して得られた二軸延伸ポリエステルフィルムの物性を表1に示す。
水膜の塗布装置は結露法をとり、水蒸気を含む空気の送気量で水膜の塗布厚みをコントロールした。中央部となるA領域と、端部となるB領域はそれぞれ別の結露装置を用いた。また、冷却ドラムに残存する水膜は、フィルムが剥離された後に、次の水膜が形成される塗布までの間に、硬度50のマスロール((株)増田製作所製)を取り付け、荷重0.7kg/cmをかけ、500L/(min・m)の吸引ポンプで余剰水を除去した。
冷却ドラム周辺をパーテーションにより覆い、パーテーション内に加湿装置を設置し、加湿装置の流量を変えることで雰囲気中の水分量を変えた。その結果、目的とする雰囲気中の水分量を得た。
[実施例7、実施例19]
ポリエステル樹脂としてイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートペレットを用い、真空乾燥温度を130℃、溶融温度を190℃とすること以外は実施例1と同様にして、未延伸フィルムを得た。
冷却ドラム周辺をパーテーションにより覆い、パーテーション内に加湿装置を設置し、加湿装置の流量を変えることで雰囲気中の水分量を変えた。その結果、目的とする雰囲気中の水分量を得た。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法によれば、フィルム表面に凹凸欠点がなく、フィルムの厚みムラがよく、長期製膜安定性に優れたフィルムを提供することができる。また、フィルム厚みが2〜3μmと薄膜なフィルムや結晶化度が低いフィルムが必要な用途にも、好適に使用することができる。
1 冷却ドラム
2 ダイ
3 ポリエステル樹脂
4 未延伸フィルム
5 引き離しロール
6 噴霧器
7 水蒸気
8 ポリエステル樹脂が冷却固化された後、剥離されるまでの気体雰囲気中の領域

Claims (6)

  1. 溶融したポリエステル樹脂をフィルム状にダイから押し出し、水膜が形成される冷却ドラム上に静電印加を施しながら冷却固化し、冷却ドラムから剥離して未延伸フィルムを得る工程を有するポリエステルフィルムの製造方法であって、冷却ドラムは、水膜が形成されてなり、水膜形成部からポリエステル樹脂が冷却固化された後剥離されるまでの気体雰囲気中の水分量を10g/m以上20g/m以下の範囲に制御することを特徴とするポリエステルフィルムの製造方法。
  2. 前記溶融したポリエステル樹脂が、共重合ポリエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  3. 冷却ドラムにB領域/A領域/B領域からなる水膜が形成されてなり、溶融したポリエステル樹脂が冷却ドラムに接地する直前の、該A領域における水膜の厚みムラが20%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  4. 冷却ドラムは、B領域/A領域/B領域からなる水膜が形成されてなり、該各B領域に、溶融したポリエステル樹脂の両端部が接地した際の、前記A領域の水膜厚みが0.1〜0.5μmであり、前記B領域の水膜厚みが0.1〜1.5μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  5. 前記未延伸フィルムの厚みが10〜150μmであり、該フィルム幅方向の厚みムラが6%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
  6. ポリエステル樹脂の示差走査熱量測定(DSC)で測定される結晶化度が30%以上60%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムの製造方法。
JP2014012107A 2013-02-27 2014-01-27 ポリエステルフィルムの製造方法 Active JP6217409B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014012107A JP6217409B2 (ja) 2013-02-27 2014-01-27 ポリエステルフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013036807 2013-02-27
JP2013036807 2013-02-27
JP2014012107A JP6217409B2 (ja) 2013-02-27 2014-01-27 ポリエステルフィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014193597A true JP2014193597A (ja) 2014-10-09
JP6217409B2 JP6217409B2 (ja) 2017-10-25

Family

ID=51839226

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014012107A Active JP6217409B2 (ja) 2013-02-27 2014-01-27 ポリエステルフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6217409B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020104303A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 東レ株式会社 フィルムの製造方法
JP2020121820A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 富士フイルム株式会社 フィルム搬送方法及びフィルム搬送装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5314762A (en) * 1976-07-28 1978-02-09 Teijin Ltd Method of producing polymer film
JPH0316714A (ja) * 1989-06-15 1991-01-24 Toray Ind Inc 熱可塑性樹脂シートのキャスト方法
JPH03219928A (ja) * 1990-01-26 1991-09-27 Toray Ind Inc 熱可塑性樹脂シートのキャスト方法
JP2003082202A (ja) * 2001-06-27 2003-03-19 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2006104444A (ja) * 2004-09-08 2006-04-20 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびポリエステルフィルム
JP2009078490A (ja) * 2007-09-27 2009-04-16 Toray Ind Inc 樹脂フィルム製造装置の水膜形成装置及びそれを用いたフィルム製造方法
JP2012210759A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Toray Ind Inc 白色積層ポリエステルフィルム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5314762A (en) * 1976-07-28 1978-02-09 Teijin Ltd Method of producing polymer film
JPH0316714A (ja) * 1989-06-15 1991-01-24 Toray Ind Inc 熱可塑性樹脂シートのキャスト方法
JPH03219928A (ja) * 1990-01-26 1991-09-27 Toray Ind Inc 熱可塑性樹脂シートのキャスト方法
JP2003082202A (ja) * 2001-06-27 2003-03-19 Toray Ind Inc 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2006104444A (ja) * 2004-09-08 2006-04-20 Toray Ind Inc ポリエステル樹脂組成物、その製造方法およびポリエステルフィルム
JP2009078490A (ja) * 2007-09-27 2009-04-16 Toray Ind Inc 樹脂フィルム製造装置の水膜形成装置及びそれを用いたフィルム製造方法
JP2012210759A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Toray Ind Inc 白色積層ポリエステルフィルム

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020104303A (ja) * 2018-12-26 2020-07-09 東レ株式会社 フィルムの製造方法
JP2020121820A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 富士フイルム株式会社 フィルム搬送方法及びフィルム搬送装置
JP7059212B2 (ja) 2019-01-29 2022-04-25 富士フイルム株式会社 フィルム搬送方法及びフィルム搬送装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6217409B2 (ja) 2017-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007185898A (ja) 二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2023126231A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルムロール
JP6217409B2 (ja) ポリエステルフィルムの製造方法
JP5481239B2 (ja) 薄膜付シートの製造装置及び薄膜付シートの製造方法、並びにこれらに用いられる円筒状ロール
US20220251314A1 (en) Biaxially oriented polyester film
JP5919635B2 (ja) 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2006051681A (ja) 離型フィルム
JP2020059252A (ja) 離型フィルム
JP6961928B2 (ja) ポリエステルフィルム
JP6982793B2 (ja) 離型フィルム
JP2000143830A (ja) 熱可塑性樹脂シートの製造方法
JP2002355883A (ja) ポリエステルフイルムの製造方法
JP2008297415A (ja) プラスチックフィルムおよびその製造方法
JP2009203357A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP2009137221A (ja) 透明蒸着用フイルム及び透明蒸着フイルム
KR100193687B1 (ko) 폴리에스테르 필름의 제조방법
JP3918288B2 (ja) 熱可塑性樹脂シートのキャスト方法
KR100193688B1 (ko) 폴리에스테르 필름의 제조방법
JP2004299099A (ja) 熱可塑性樹脂シートの製造方法
JP2020104303A (ja) フィルムの製造方法
JPH02218726A (ja) 極薄フイルム
JP2009039890A (ja) ポリエステル系樹脂未延伸シートの製造方法
TW202242007A (zh) 雙軸配向聚酯薄膜及其製造方法
JP2003291203A (ja) 熱可塑性樹脂シートの製造方法
JPH0992691A (ja) Tab用ポリエチレンナフタレートフイルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160916

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170911

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6217409

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151