JP6982793B2 - 離型フィルム - Google Patents
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Description
本発明におけるプラスチックフィルムは、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレントリアセチルセルロース、アクリル、ポリイミド等からなるシートあるいはフィルムを例示することができる。中でも、機械特性、耐熱性に優れ、またこれらの特性と価格とのバランスが良いという観点から、ポリエステルからなるフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートからなるフィルムがより好ましい。また、かかるフィルムとしては、二軸延伸フィルムであることが、機械特性、耐熱性にさらに優れるため好ましい。プラスチックフィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合には、該ポリエステルフィルムは従来から知られている方法で製造できる。例えば、ポリエステルを乾燥後溶融し、ダイ(例えばTダイ、Iダイ等)から冷却ドラム上に押出し冷却して未延伸フィルムとし、該未延伸フィルムを二軸方向に延伸し、更に熱固定することによって製造することができる。フィルムの厚みは、特に制限がないが、12〜250μmが好ましい。ポリエステルフィルムとしては滑剤を含まないフィルムが表面平坦性の点で好ましいが、表面粗さ制御のため滑剤、例えば炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、酸化チタン等の如き無機微粒子および/または触媒残渣の析出微粒子等を含有させたフィルムであっても良く、またドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの如き帯電防止剤、色調調整剤等の如き他の添加剤を含有させたフィルムであっても良い。
本発明における離型層は、ポリシロキサンを離型層全固形分に対し70重量%以上含み、かつ、該ポリシロキサン成分が下記式(1)で示される単位と下記式(2)で示される単位よりなり、両者のモル比が80:20〜30:70の範囲である離型層である。
本発明における離型層の厚みは0.01〜1.0μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5μmであり、更に好ましくは0.01〜0.1μmである。離型層厚みが0.01μmを下回るとプラスチックフィルム表面が完全に被覆されず、離型性が失われる場合がある。また、離型層厚みが1.0μmを超えると離型フィルムを工程でロールtoロール搬送する際の曲げや引張に塗膜が耐えられず、塗膜の割れや脱落が発生し、また、塗膜硬化に必要な熱量が増大し、さらに、本発明における離型層を使用する場合必要な熱量が大きいため、生産性が著しく低下する場合がある。
本発明における離型層を設けるためのコーティング組成物には、プラスチックフィルムへの濡れを促進するために界面活性剤を添加することができる。かかる界面活性剤はアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン界面活性等が挙げられるが、好ましくはノニオン系界面活性剤である。なお、イオン性界面活性剤はシランの硬化反応を阻害する可能性があるため好ましくない。
本発明における離型層には架橋反応促進および低分子シラン成分の揮散防止のためにシリカ粒子を添加するのが好ましい。離型層に添加するシリカ粒子は離型面の表面粗さへの影響を小さくするために小粒径のものが良く、一次粒子径は好ましくは1〜100nm、より好ましくは2〜80nm、さらに好ましくは3〜50nmである。一次粒子径が100nmより大きくなると、離型面の表面平滑性が悪化する場合があり、一次粒子径が1nmより小さくなると、表面積が増大し、シリカ粒子表面の反応活性が向上し、被着体との相互作用が増大するため重剥離化する場合がある。
更に、本発明における離型層には、本発明の効果を消失させない範囲において、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、有機フィラー、潤滑剤、ブロッキング防止剤等の他の添加剤を混合することができる。
本発明の離型フィルムは特に限定されないが、例えば以下の様態で製造することができる。すなわち、下記式(3)で示されるトリアルコキシシランと下記式(4)で示されるトリアルコキシシランを加水分解することにより水へ溶解させた水性コーティング組成物を、プラスチックフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで乾燥させることで、離型フィルムを製造できる。塗布は、通常の塗布工程、すなわちポリエステルフィルムに、該フィルムの製造工程と切離して塗布する工程で行ってもよい。しかし、この工程では、芥、塵埃などを巻込み易いから、クリーンな雰囲気での塗工が望ましい。かかる観点よりポリエステルフィルム製造工程での塗工が好ましい。特に、この工程中で結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムに水性コーティング組成物として塗布することが好ましい。
R1−Si(−OR3)3 (3)
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、R3は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
R2−Si(−OR4)3 (4)
(式中、R2はエポキシ基を含有する有機官能基、R4は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
本発明の離型フィルムの離型層を形成した側の表面粗さは、Raが1〜30nmであることが好ましく、1〜20nmであることがより好ましく、1〜15nmであることがさらに好ましい。また、Rzが10〜800nmであることが好ましく、10〜600nmであることがより好ましく、10〜500nmであることがさらに好ましい。表面粗さが該範囲にあることで、離型フィルムのハンドリング性が良好となり、かつ、離型面上に形成する樹脂層の平滑性を満足させることができる。
平均粒子径が0.7μmの炭酸カルシウム粒子を0.1重量%を含むポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)を、20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して未延伸フィルムを得、次に機械軸方向に3.6倍延伸したのち、一軸延伸フィルムの片面に表1に記載の水性コーティング組成物をロールコーターで塗布した。次いで115℃で乾燥し、145℃で横方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理し、厚み30μmの離型フィルムを得た。
水性コーティング組成物を、水性付加重合型ポリジメチルシロキサン(信越化学製、KM−3951)6重量部と白金触媒0.06重量部を水93.9重量部で希釈したコーティング組成物とした以外は実施例1と同条件で離型フィルムを得た。
1)離型層厚み
離型フィルムサンプルを三角形の小片に切り出した後、コーティングにより、厚み2nmのPt(白金)層を離型層表面に形成した。得られたサンプルを多軸包埋カプセルに固定して、エポキシ樹脂を用いて包埋処理し、ミクロトームULTRACUT−Sを用いて、フィルムの面方向に垂直な方向にスライスして、厚さ50nmの超薄サンプルを得た。次いで、得られた超薄サンプルをグリッドに載台して、2%オスミウム酸により、60℃、2時間の条件で蒸気染色した。蒸気染色後の超薄サンプルを用いて、透過電子顕微鏡LEM−2000により、加速電圧100kvの条件でフィルム断面を観測し、離型層の厚みを測定した。測定は、任意の10点について実施し、それらの平均値を離型層の厚み(単位:μm)とした。
非接触式三次元表面粗さ計(ZYGO社製:New View5022)を用いて測定倍率25倍、測定面積283μm×213μm(=0.0603mm2)の条件にて測定し、該粗さ計に内蔵された表面解析ソフトMetro Proにより中心面平均粗さ(Ra)および十点平均粗さ(Rz)を求めた。
フィルム約20mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差走査熱量計(TA Instruments社製、DSCQ100)に装着し、昇温速度20℃/分でDSC曲線を描かせ、融解による明瞭な吸熱ピークより低温側の吸熱ピークを融解サブピーク温度とした。また、融解サブピークが結晶融解ピークに近接しピークとして明瞭でない場合には、DSC曲線の2次微分曲線が0となる点をサブピーク温度とした。
作成した離型フィルム表面を目視で観察し、離型層の均一性を評価した。なお、評価基準は下記の通りである。
○:離型層表面1m2に長径0.5mm以上の塗布欠陥が観察されない。
△:離型層表面1m2に長径1mm以上の塗布欠陥が観察されない。
×:離型層表面1m2に長径1mm以上の塗布欠陥が1つ以上観察される。
作成した離型フィルムの離型層を形成した面上に、ポリビニルブチラール(積水化学製、BM−2)をトルエンーエタノール1:1(w/w)混合液に溶解させた溶液を、アプリケータを用いて樹脂層の厚みが0.5μmとなるように塗布、乾燥させ、樹脂層を形成した。形成した樹脂層のハジキ欠陥を顕微鏡で1cm□検査し、欠点数を計測した。該欠点数が6個/1cm□以上であるとMLCCチップを製造した際に電気特性不良率が高くなる。
作成した離型フィルムの離型層を形成した面上に、ポリビニルブチラール(積水化学製、BM−2)をトルエンーエタノール1:1(w/w)混合液に溶解させた溶液を、アプリケータを用いて樹脂層の厚みが3.0μmとなるように樹脂層を形成した。形成した樹脂層を剥離角度90度、剥離速度300mm/分、サンプル幅25mmで剥離し、その際の剥離抵抗を測定した。剥離強度が7.0g/25mmを超えると樹脂層の伸びや破断が発生するため、実用上問題がある。
Claims (11)
- 離型層の厚みが0.01〜1.0μmである請求項1記載の離型フィルム。
- 離型層がノニオン系界面活性剤を含有する請求項1または2に記載の離型フィルム。
- 離型層が一次粒子径1〜100nmのシリカ粒子を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の離型フィルム。
- 離型層を形成した側の表面粗さRaが1〜30nmであり、Rzが10〜800nmである請求項1〜4のいずれかに記載の離型フィルム。
- プラスチックフィルムがポリエステルフィルムである請求項1〜5のいずれかに記載の離型フィルム。
- プラスチックフィルムの示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱サブピーク温度(Tsm)が180℃以上である請求項1〜6のいずれかに記載の離型フィルム。
- プラスチックフィルムの少なくとも片面に、離型層を設けた離型フィルムの製造方法であって、該離型層が下記式(3)で示されるトリアルコキシシランと下記式(4)で示されるトリアルコキシシランよりなるコーティング組成物を塗布、乾燥することで形成された離型層であることを特徴としており、
下記式(3)で示されるトリアルコキシシランと下記式(4)で示されるトリアルコキシシランのモル比が80:20〜30:70の範囲であり、離型層が、ポリシロキサン成分を離型層全固形分に対し70重量%以上含む、離型フィルムの製造方法。
R1−Si(−OR3)3 (3)
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、R3は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)
R2−Si(−OR4)3 (4)
(式中、R2はエポキシ基を含有する有機官能基、R4は炭素数1〜2のアルキル基を表す。) - コーティング組成物が、上記式(3)で示されるトリアルコキシシランと上記式(4)で示されるトリアルコキシシランを加水分解することにより水へ溶解させた水系コーティング組成物である請求項8記載の製造方法。
- 離型層の厚みが0.01〜1.0μmである請求項8または9に記載の製造方法。
- プラスチックフィルムの示差走査熱量測定(DSC)により求められる吸熱サブピーク温度(Tsm)が180℃以上である請求項8〜10のいずれかに記載の製造方法。
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