JP2014193150A - 栽培方法、育苗方法、超音波病害防除装置、病害防除方法、製造方法及び植物体もしくは苗 - Google Patents

栽培方法、育苗方法、超音波病害防除装置、病害防除方法、製造方法及び植物体もしくは苗 Download PDF

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Abstract

【課題】超音波を栽培対象の植物に照射することで、植物に対して病害抵抗性を誘導し、病害を防除する、あるいは、病害に強い植物体や苗を製造する技術を提供する。
【解決手段】生育期間(栽培期間)を通しての超音波処理によるトマト萎凋病発病抑制効果の検証を行った。本試験では、滅菌土壌を充填したポットにトマトを播種、育苗、接種、生育を連続的に行い、その間継続的に超音波を照射した。その結果、生育期間を通しての超音波処理の萎凋病発病抑制効果がみられた。例えば、実施例1の結果に示すように、発病度については、無処理区の1.61に対して超音波処理区の0.54と大幅に抑制効果が得られた。また、さらにVMA併用区では発病度0.27となり、発病抑制効果が増大することが確認できた。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、糸状菌などの病原菌に対して病害抵抗性を誘導する植物の栽培方法、育苗方法、超音波病害防除装置、病害防除方法、製造方法及び植物体もしくは苗に関する。
植物病害による食料生産の減収は、理想的な収量の15%以上に及ぶと想定されている。現状では植物病害の防除には化学物質特に病原に対する殺菌作用を有する農薬(殺菌剤)が使用されることが一般的である。しかしながら、耐性菌の出現、食料への残留や環境影響等から、化学農薬にたよらない病害防除技術の確立が社会的に求められている。
近年、農業生産現場でも、環境保全に対する関心が高まり、環境への負荷を低減するため、農薬・化学肥料の使用量を極力減少させた栽培技術に取組む生産者が増加している。さらに、有機農業推進法が施行され、環境負荷低減を目指した生産技術に関する研究開発も大学、公立試験機関等で推進しており、化学農薬に依存しない新しい防除技術の開発が望まれている。
そのような技術として各種のものが提案されている。例えば、植物病害虫防除用照明装置において、灰色カビ病、うどんこ病等の糸状菌の胞子形成や菌糸の成長を確実に抑制し、植物に病害抵抗性を確実に誘導して病害発生、植物育成障害を低減し、植物体の花芽形成等への影響を抑え、夜行性害虫の防除を効率的に行う方法がある(例えば特許文献1参照)。また、同様に光を用いた技術として、植物病害防除用照明装置では、光出力の調整を必要としない簡便な構成であり、紫外線照射による植物への葉焼け障害を防ぎつつ植物の病害抵抗性を誘発するのに必要な紫外線照射量を確保し、植物病害を抑制する方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2009−153397号公報 特開2012−61号公報
ところで、上述の特許文献1や2に記載のように、光を利用した抵抗性誘導と病害防除法が数多く提案され、生産現場への普及を目指し、研究や実証試験等が行われている。しかし、光を利用した場合、その波長の種類(色の種類)によって、抵抗性が誘導される植物と抵抗性が誘導されない植物があり、反応が植物の種類によって大きく異なるという課題があった。また、光の種類によって植物の葉色に影響を及ぼすことがあり、利用可能な作物が限定される等の課題があった。また、風を用いた抵抗性誘導に関する技術も提案はされているが、実際に抵抗性が誘導されているか否かの検証が十分でなく、風による病害防徐効果が明確になっておらず、また、生産現場でも、本技術を利用した防除技術は普及しておらず別の技術が求められていた。
化学物質(プラントアクチベーター)や微生物を利用した抵抗性誘導に基づく病害防除法も数多く発明されており、生産現場に普及している技術も多い。しかし、これらを生産現場で利用する場合、農薬登録等の手続きを取らなければならず、多額の経費がかかるため、実用化された技術は少ないのが現状である。また、天然物でない化学物質を農薬として登録した場合、有機農業等の生産現場では利用し難いという課題があり、この観点からも代替あるいは補完技術が求められていた。
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたものであって、上記課題を解決する技術を提供することにある。
本発明に係る栽培方法は、栽培対象の植物に対して超音波を照射する。
また、前記超音波を照射する期間は、生育期間であってもよい。
また、前記超音波を照射する期間は、育苗期間であってもよい。
また、前記超音波の照射とともに、前記栽培対象の植物に対してプラントアクチベーターによる処理を施してもよい。
本発明に係る育苗方法は、本圃に定植する前の育苗期間において、苗植物に対して超音波を照射する。
本発明の超音波病害防除装置は、栽培対象の植物に対して超音波を照射する。
また、所定の周波数の超音波を、長いパルス間隔と短いパルス間隔で交互に発生させてもよい。
本発明の病害防除方法は、上記の栽培方法、育苗方法または超音波病害防除装置を用いて植物病害を防除する。
本発明の製造方法は、上記の栽培方法、育苗方法または超音波病害防除装置を用いて病害に強い植物体もしくは苗を製造する。
本発明の苗は、本圃に定植する前の育苗期間において、超音波が照射されている。
また、前記超音波は、所定の周波数を長いパルス間隔と短いパルス間隔とで交互に発生させたものであってもよい。
本発明によれば、超音波を栽培対象の植物に照射することで、当該及びそれ以外の時期に発生する病害を防除したり、当該及びそれ以外の時期に感染する病害を防除したり、当該及びそれ以外の時期に感染あるいは発病する病原に強い植物体あるいは苗を製造したりすることが可能な技術を提供できる。
第1の実施形態に係る、生育期間を通しての超音波処理によるトマト萎凋病発病抑制効果の検証結果(実施例1、2)を示すテーブルである。 第1の実施形態に係る、育苗時の超音波処理によるトマト萎凋病発病抑制効果の検証結果(実施例3、4)を示すテーブルである。 第1の実施形態に係る、育苗時の超音波処理期間によるトマト萎凋病発病抑制効果への影響の検証結果(実施例5)を示すテーブルである。 第1の実施形態に係る、育苗時の超音波処理期間によるトマト萎凋病発病抑制効果への影響の検証結果(実施例6)を示すテーブルである。 第1の実施の形態に係る、超音波病害防除装置及び超音波の出力パターンを示す図である。 第2の実施形態に係る、育苗時の超音波処理によるイネいもち病防除効果の検証結果(実施例7〜9)を示すテーブルである。 第3の実施形態に係る、40kHzの超音波照射によるいもち病防除効果の検証結果を示すテーブルである。 第4の実施形態に係る、40kHzの超音波照射によるキャベツ萎黄病防除効果の検証結果を示すテーブルである。テーブルである。 第5の実施形態に係る、21kHzと40kHzの2種類の超音波を用いた場合のいもち病防除効果の検証結果を示すテーブルである。テーブルである。 第6の実施形態に係る、21kHz、28kHz及び40kHzの3種類の超音波を用いた場合のトマトうどんこ病防除効果の検証結果を示すテーブルである。
本実施の形態(以下、単に実施形態という)を、図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
第1の実施形態は、トマト萎凋病防除試験に関して、試験1〜試験3の3種類について行った。試験1〜試験3の詳細は後述するが、試験1では栽培期間を通して超音波照射したときの効果の確認、試験2では育苗期間のみ超音波照射した場合の効果の確認、試験3では育苗期間における超音波照射期間の違いによる効果の確認を行った。
超音波暴露:
図5(a)に本試験に用いた超音波病害防除装置10及び図5(b)にパルスの出力パターンを示す。図示のように、本試験に用いた超音波病害防除装置10は、100Wの出力アンプ装置30、前後方向に共振発振するセラミック型振動素子20及びセラミック型振動素子20の駆動制御を行う制御部40とを備える。この超音波病害防除装置10は、周波数40kHzの超音波をパルス幅(T1)5ミリ秒を、長いパルス間隔(T2=約150ミリ秒)で12回出力したものと短いパルス間隔(T3=約30ミリ秒)で10回出力したものとを交互に発生させる。
以降の試験ではこの処理を行った区を「超音波処理区」、超音波を処理していない区を「無処理区」と称する。セラミック型振動素子20を植物を栽培しているポット50から5cm以離し、概ね15cm〜30cm程度の距離で超音波に暴露した。また、セラミック型振動素子20の設置位置は高さ15cm〜30cmであって、植物の斜め上方に位置している。超音波の音圧は、セラミック型振動素子20から30cmの照射対象植物の位置において約130dB、1mの位置で120dB以上である。なお、本試験及び以降の試験では超音波暴露の効果を確認するために、指向性の強いセラミック型振動素子20を用いているが、この型に限定するものではない。同様に、本処理は、超音波の周波数、パルス間隔、音圧、セラミック型振動素子20の設置位置を限定するものではない。
トマト萎凋病防除試験:
トマト種子(品種:Moneymaker)を、28℃光照射条件下で16時間、25℃暗黒条件下で8時間、1週間栽培した。その後、温度20〜30℃の温室で2週間超音波を処理し続けた。なお、トマトの品種はMoneymakerに限る趣旨ではなく例えば桃太郎等でも良い。また、病原菌は本菌に限定されるものではない。
トマト萎凋病菌(Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici race 2 880621a-1株)をポテトデキストロール液体培地で28℃で5日間振とう培養した。トマト萎凋病菌培養液中の胞子濃度を1〜2×10個胞子/mlに蒸留水で希釈し、接種源として用いた。接種は一部断根による潅注接種(時際部土壌に幅約1cm程度のタグを3箇所差し込んでトマトの根を部分的に切り、接種源をトマト1個体あたり1ml灌注)で、接種後3〜6週間で病徴評価を行い、無処理区との比較によって超音波処理の効果を検定した。
各トマト個体の病徴評価は、茎を地際部で切断し、維管束部の褐変程度から0〜4の発病度を調査しておこなった。発病度は次の通り5段階で評価した。
0:健全
1:茎の25%に褐変が認められる
2:茎の26〜50%で褐変が認められる
3:茎の51〜75%で褐変が認められる
4:茎の76〜100%で褐変が認められる、
また平均発病度を下記の式を用いて算出した。
平均発病度=(1×A+2×B+3×C+4×D)/(4×N)
(式中、A,発病度1を示した植物数;B,発病度2を示した植物数;C,発病度3を示した植物数;D,発病度4を示した植物数;N,供試全植物数を表す。)
1. 試験1
試験1では、生育期間(栽培期間)を通しての超音波処理によるトマト萎凋病発病抑制効果の検証を行った。本試験では、滅菌土壌を充填したポットにトマトを播種、育苗、接種、生育を連続的に行い、その間継続的に超音波を照射した。結果を図1のテーブル(実施例1および2)に示す。
試験条件は次の通りである。なお、実施例1及び2の試験は、いずれも同条件による。
・超音波は栽培期間を通して照射し続けた。
・接種28日後に検定。
・防除価は以下の式を用いて計算した。
防除価=(無処理区の発病度−各処理区の平均発病度)×100/無処理区の発病度・VMA処理では、接種1週間前に、純度99%のバリダマイシンA(プラントアクチベーター、住化武田農薬株式会社)を100μg/mlになるように水で溶解(VMAと表記する)し、スプレーを用いて茎葉散布した。他のプラントアクチベーターとして、バリドキシルアミンA、プロベナゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジニル、イソチアニルがある。
図1のテーブルに示すように、上記試験1の結果、生育期間を通しての超音波処理の萎凋病発病抑制効果がみられた。例えば、実施例1の結果に示すように、発病度については、無処理区の1.61に対して超音波処理区の0.54と大幅に抑制効果が得られた。
さらにVMA併用区では発病度0.27となり、超音波処理による発病抑制効果が増大することが確認できた。実施例2についても同様の傾向が確認できた。
2.試験2
試験2では.育苗時の超音波処理によるトマト萎凋病発病抑制効果の検証を行った。本試験では、トマト種子を、滅菌土壌を充填したセルトレーに播種し、1週間栽培した後、温度20〜30℃の温室で2週間超音波を照射した。その後、ポットに移植し、1週間後にトマト萎凋病菌接種源を接種した。結果を図2のテーブル(実施例3および4)に示す。なお、実施例3及び4の試験は、いずれも同条件による。
試験条件は次の通りである
・超音波は育苗中の2週間照射し続けた。
・接種28日後に検定。
・防除価は以下の式を用いて計算した。
防除価=(無処理区の発病度−各処理区の平均発病度)×100/無処理区の発病度
図2のテーブルに示すように、上記試験2の結果、育苗期間2週間の超音波処理で、本圃での萎凋病発病抑制効果がみられた。例えば、実施例3では無処理の発病度が1.73であるのに対して、超音波照射処理区では発病度が0.45となり、大幅な抑制効果が得られている。このように、超音波処理による萎凋病発病抑制効果は持続性があることが確認できた。
3.試験3
試験3では、育苗時の超音波処理期間によるトマト萎凋病発病抑制効果への影響の検証を行った。具体的には、無処理区、1週間超音波照射処理区、2週間超音波照射処理区の3種類について発病抑制効果を調査した。なお、1週間超音波照射処理区については、育苗期間2週間のうち後半の1週間に超音波照射を行った。結果を図3及び4のテーブル(実施例5および6)に示す。なお、実施例5及び6の試験は、いずれも同条件による。
試験条件は次の通りである
・超音波は育苗中の2週間あるいは1週間照射し続けた。
・接種28日後に検定。
・防除価は以下の式を用いて計算した。
防除価=(無処理区の発病度−各処理区の平均発病度)×100/無処理区の発病度
図3及び図4のテーブルに示すように、育苗期間の超音波処理は1週間でも本圃での十分な発病抑制効果は認められるが、2週間の方が効果は高いことが検証された。
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、イネいもち病防除試験に関する。ここでは、育苗時の超音波処理によるイネいもち病発病抑制効果について検証している。なお、超音波暴露には、第1の実施形態と同様に、周波数40kHzでパルス幅(T1)5ミリ秒の超音波を、長いパルス間隔(T2=約150ミリ秒)と短いパルス間隔(T3=約30ミリ秒)で交互に発生させる超音波発振装置を用いている。
イネ(品種:愛知旭)を滅菌土壌を充填した9cmのポットに播種し、30℃光照射条件下で16時間、25℃暗黒条件下で8時間、2週間栽培した。温度20〜30℃の温室で2週間超音波を処理し続けた後、イネの草丈を測定し、2×10個胞子/mlに調整したイネいもち病菌(Magnaporthe oryzae P2)を噴霧接種した。接種後、イネをあらかじめ27℃、相対湿度100%に保持した接種恒湿器(日本医化器械製作所)内に移し、24時間保湿後、ガラス温室に移した。28℃光照射条件下で16時間、25℃暗黒条件下で8時間、1週間栽培したのちに最上位展開葉から3枚目までの葉に形成された伸展型病斑の数を数え発病度とした。結果を図6のテーブル(実施例7〜9)に示す。なお、実施例7〜9の試験は、いずれも同条件による。病原菌は本菌に限らず、品種も愛知旭に限定されるものではない。
防除価は以下の式を用いて計算した。
防除価=(無処理区の発病度−処理区の平均発病度)×100/無処理区の発病度
育苗期2週間の超音波処理で、その後のいもち病発病抑制効果がみられた。例えば、実施例7に示すように、無処理区では平均発病度が7.89であるのに対して、処理区では平均発病度が5.00まで低減している。このように、超音波処理によるいもち病発病抑制効果は持続性があることが確認できた。また、トマトに関する試験では確認できなかったが、イネに関する当該試験では、超音波処理によって苗草丈がやや小さくなる傾向が認められた。育苗中のイネにローラーがけを行うことで苗草丈が小さくなる一方で、苗が強くなることが知られているが、それと同様の現象が発生していると推定される。
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、イネのいもち病防除効果について、病原菌の接種を遅くした場合の発病抑制効果について説明する。図7は、40kHzの超音波照射によるいもち病防除効果の検証結果を示すテーブルである。こここでは、イネ品種「愛知旭」に、上述の同様のパルス出力をする超音波発振装置を用いて、40kHzの超音波を2週間照射した後、圃場で自然感染(感染時期は明確では無いが照射終了後2週間程度と思われる)を促した。処理終了後4週目にT検定を行った。無処理区の場合、病斑数が26.2であったが、40kHzの超音波の処理区では病斑数が3.1で、防除価が88.2であった。また、T検定において、95%信頼区間の外側に来る確率pが0.05未満であり、病斑数低下が有意であり、感染が遅い場合でも効果があることが確認できた。
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、キャベツ萎黄病防除効果について説明する。図8は、40kHzの超音波照射によるキャベツ萎黄病防除効果の検証結果を示すテーブルである。キャベツ品種「四季穫」に上述の同様のパルス出力をする超音波発振装置を用いて40kHzの超音波を播種1週間後から2週間照射し、その後、土壌に病原菌(Fusarium oxysporum f. sp. conglutinans)胞子懸濁液を灌注接種した。接種後3週目に検定を行った。無処理区の場合、平均発病度が3.13であったが、40kHzの超音波の処理区では平均発病度が2.93で、防除価が7.4であった。
<第5の実施形態>
第の5実施形態は、異なる周波数の超音波処理を行った場合によるイネいもち病防除効果について説明する。図9は、21kHzと40kHzの2種類の超音波を用いた場合のいもち病防除効果の検証結果を示すテーブルである。ここでは、イネ品種「愛知旭」に、上述の同様のパルス出力をする超音波発振装置を用いて、上記2種類の超音波を2週間照射した後、圃場で自然感染(感染時期は明確では無いが照射終了後2週間程度と思われる)を促した。処理終了後4週目に検定を行った。無処理区では平均発病度1.61であり、21kHzの超音波処理区では平均発病度1.39(防除価13.7)で、40kHzの超音波処理区では平均発病度0.61(防除価62.1)であった。イネいもち病防除効果に関しては、40kHzの超音波処理が21kHzの超音波処理より効果的であることが確認できた。
<第6の実施形態>
第6の実施形態は、異なる周波数の超音波処理を行った場合によるトマトうどんこ病防除効果について説明する。図10は、21kHz、28kHz及び40kHzの3種類の超音波を用いた場合のトマトうどんこ病防除効果の検証結果を示すテーブルである。ここでは、トマト品種「桃太郎」に上述の同様のパルス出力をする超音波発振装置を用いて、上述の3種類の超音波を播種1週間後から2週間照射し、照射終了1週間後に、感染株と同じ人工気象器に入れ、感染を促進させた。照射終了3週後に検定を行った。無処理区では平均発病度1.78であり、21kHzの超音波処理区では平均発病度0.83(防除価53.4)で、28kHzの超音波処理区では平均発病度1.00(防除価44.9)で、40kHzの超音波処理区では平均発病度1.17(防除価34.3)であった。トマトうどんこ病防除効果に関しては、21kHzの超音波処理がもっとも効果的で、つぎに28kHzの超音波処理が効果的であった。なお、本検定における40kHzの超音波処理区は、相対的には他の処理区より効果は低いが、効果自体は十分なものである。
以上、第1〜第6の実施形態を纏めると次の通りである。
(1)植物を一種の外的ストレスである超音波に暴露することにより病害抵抗性を付与する技術を実現できた。一回の処理によって長期に亘る病害発病予防効果が維持されるため、育苗期において超音波に暴露しておくことで、病害に対して強い苗植物を育成することができ、農薬等も使用しないあるいは使用を低減した育苗方法を実現できる。生産現場における労働力および経費等の大幅削減が可能になる。
(2)上記の技術は、化学物質を使用せず、物理的ストレスで病害抵抗性を賦与できるため、耐性菌の出現、標的外生物への影響、食料での化学物質の残留や、環境残留・蓄積等を考慮する必要がないという顕著な効果を奏する。
(3)上記の技術を利用することにより、育苗業者にとっては付加価値の高い苗の育成が可能になる。また、有機農業に取組む生産者にとっては、農薬を使用できないために防除が困難であった病害を効果的に防除することが可能となり、労力削減、栽培面積拡大等が現実的に可能となる。
(4)上記の技術で誘導した病害抵抗性は、少なくとも数週間持続する。このため、一回の処理によって長期に亘る病害発病予防効果が維持される。その結果、育苗期に暴露しておくことで、病害に対して強い苗植物を育成することができ、農薬等も使用しない又は大幅に低減した育苗方法を提供できる。
(5)具体例1(第1の実施形態)として、トマトを超音波に暴露することによって、土壌伝染性病害である萎凋病(Fusarium oysporum f. sp. lycopersiciによる)の発病を抑制できる技術であることが検証できた。
(6)具体例2(第2の実施形態)として、イネを超音波に暴露することによって、空気伝染性病害であるいもち病(Magnaporthe oryzaeによる)の発病を抑制できる技術であることが検証できた。
(7)生育期間通しても超音波の暴露によって発病を抑制できる技術であることが検証できた。
(8)育苗期の超音波への暴露によって、病害に強い苗の育成が可能であることが検証できた。
(9)育苗期の超音波への暴露によって、本圃定植後も病害抵抗性が維持されることが検証できた。
(10)上記の発病抑制効果を得るために植物に対する超音波の暴露が育苗期のみでもよいことが検証できた。
(11)植物に対する超音波への暴露期間が長い方が発病抑制効果が高いことが検証できた。
(12)植物に対する超音波への暴露による病害発病抑制効果は暴露終了後も少なくとも4週間は持続することが検証できた。
(13)超音波暴露によって草丈の小さな植物体を育苗できること、具体的にはイネについて草丈の小さな個体を育苗できることが検証できた。
(14)プラントアクチベーターを併用することで、超音波暴露による病害発病抑制効果を一層効果的にすることができる。
(15)感染が遅い場合でも一定の病害発病抑制効果があることが検証できた。
(16)発病する病原によって病害発病抑制に効果的な超音波の周波数があることが検証できた。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10 超音波病害防除装置
20 セラミック型振動素子
30 出力アンプ装置
40 制御部

Claims (15)

  1. 栽培対象の植物に対して超音波を照射することを特徴とする栽培方法。
  2. 前記超音波を照射する期間は、生育期間であることを特徴とする請求項1に記載の栽培方法。
  3. 前記超音波を照射する期間は、育苗期間であることを特徴とする請求項1に記載の栽培方法。
  4. 前記超音波の照射とともに、前記栽培対象の植物に対してプラントアクチベーターによる処理を施すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の栽培方法。
  5. 本圃に定植する前の育苗期間において、苗植物に対して超音波を照射することを特徴とする育苗方法。
  6. 栽培対象の植物に対して超音波を照射することを特徴とする超音波病害防除装置。
  7. 所定の周波数の超音波を、長いパルス間隔と短いパルス間隔で交互に発生させることを特徴とする請求項6に記載の超音波病害防除装置。
  8. 請求項1から3のいずれかに記載の栽培方法を用いて植物病害を防除することを特徴とする病害防除方法。
  9. 請求項1から3のいずれかに記載の栽培方法を用いて病害に強い植物体もしくは苗を製造することを特徴とする製造方法。
  10. 請求項5に記載の育苗方法を用いて植物病害を防除することを特徴とする病害防除方法。
  11. 請求項5に記載の育苗方法を用いて病害に強い植物体もしくは苗を製造することを特徴とする製造方法。
  12. 請求項6または7に記載の超音波病害防除装置を用いて植物病害を防除することを特徴とする病害防除方法。
  13. 請求項6または7に記載の超音波病害防除装置を用いて病害に強い植物体もしくは苗を製造することを特徴とする製造方法。
  14. 育苗期間において、超音波が照射されたことを特徴とする植物体もしくは苗。
  15. 前記超音波は、所定の周波数を長いパルス間隔と短いパルス間隔とで交互に発生させたものであることを特徴とする請求項14に記載の植物体もしくは苗。
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