JP2014193000A - 回転電機の固定子鉄心の製造方法 - Google Patents

回転電機の固定子鉄心の製造方法 Download PDF

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Abstract


【課題】簡単、かつ安価な構成でありながら高品質・高強度を確保できる積層コアからなる固定子鉄心を経済的に提供する。
【解決手段】帯状のコアシート10のヨーク部13に、局部的な薄肉部15を設けるにあたり、板厚の一方向に向かって板厚以上に変位させて山形状の突出部16を成形する成形工程(第2工程)と、この突出部16を山形状の頂点側(山折り部分)とその裾野の円周方向の両側に位置する基点側(谷折り部分)との3箇所で挟持しつつ板厚方向から押圧していくことで、突出部16を徐々に平坦化する平坦化工程(第3工程)とを有している。とりわけ、平坦化工程は、突出部16を徐々に変形させるため、加工荷重が小さくて済み、コアシート10の連続移送も可能で、小型な設備で連続運転による一環加工を実現して、積層コア、したがって固定子鉄心を経済的に製造できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、回転電機の固定子鉄心、とりわけ自動車用交流発電機の固定子に好適な固定子鉄心の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
近年、この種の固定子鉄心としては、磁性板(例えば鋼板)から内周側にティース部およびスロット部を有するリング状板を打抜き、このリング状板を多数枚円筒状に積層して形成する積層コアに代わって、廃材が少なく材料歩留りが良いとの理由で、片側にティース部およびスロット部を打抜き形成した帯状のコアシートを、螺旋状(ヘリカル)に巻取りながら円筒状に複数層にわたって巻回積層してなる積層コアが、専ら採用されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された従来の固定子鉄心を、図11に基づいて概説する。
この固定子鉄心は、鉄心素材として、帯状の磁性板(例えば鋼板)で形成されたコアシート100を用いるのが最大の特徴である。
当該コアシート100は、図11(a)、(b)に示すように、長さ方向の一方側に固定子コイルを巻装するためのティース(歯)部101およびスロット(溝)部102を有するとともに、長さ方向の他方側にこれらのティース部101およびスロット部102を所定のピッチで連結するヨーク(継鉄)部103を有するものであって、例えば、帯状の磁性板からティース部101およびスロット部102を互い違いに配置して打抜くことにより、一対(2枚)の帯状コアシート100を作製できることから、コアシート100の製造時における廃材部分を最小限にすることが可能となり、材料歩留りが良く、材料コストの低減を図ることができる。
そして、このコアシート100を、図11(c)のごとくヨーク部103が外周側(ティース部101およびスロット部102が内周側)となるように螺旋状に巻取りながら複数層にわたって巻回積層することにより、図11(e)のごとく円筒状の積層コア110とするものである。
なお、この積層コア110を巻回形成する過程においては、コアシート100のヨーク部103に圧延加工を施し、図11(d)に示すように、ヨーク部103の外周縁を圧延ロールによって薄く延ばして両面テーパ状部分104とすることにより、コアシート100のヨーク部103側の実質的な巻取り周長を長くし、螺旋状に巻取りし易くしているのが通例である。
〔従来技術の問題点〕
しかし、上述したように、両面テーパ状部分104を設けて螺旋巻きした円筒状の積層コア110は、ヨーク部103の各巻回層の外周縁の肉厚(板厚)がティース部101に比して薄くなるため、図11(f)に示すように、径方向に沿って切断する仮想断面(図11(e)におけるC−C断面)で見た場合、ヨーク部103の各巻回層間に隙間Gが生じることになり、この隙間Gが存在することによって次に列挙するごとき諸問題を抱えている。
(1) 積層コア110には、最終工程として、巻回層間を固定する外周溶接や外周形状を整えるためのしごき加工等を実施することになるが、隙間Gの存在により、薄くなって外力に対して脆弱な部位となった外周縁が最終工程への搬送過程でいびつに変形したり、損傷するなどの問題を招くほか、最終工程でも溶接不良が生じたり、脆弱な部位となった外周縁がしごき加工時にいびつに変形したり、破損する事態を招き、強度面、品質面で問題となる。
(2)また、自動車用交流発電機のように、固定子鉄心を回転電機の筺体の一部として利用する場合には、積層コア110の外周部の隙間Gの存在が大きな問題となる。
即ち、積層コア110の両端を積層方向(軸方向)からカップ(椀型)状のハウジング(フレーム)で挟持固定しようとすると、ハウジングには隙間Gを縮小する方向に曲げモーメントが作用し、組立てボルトやハウジングに過大なストレスを与えることになる。もっとも、かかる対策としては、例えば特許文献2に記載されているように、積層コアの両端に板厚の厚い特別な環状シートを配設する方法が提案されているが、かえって回転電機の大型化、コスト高を招き、実用し難い。
(3)さらに、隙間Gは、積層コア110の外周部の積層方向における肉厚を減じているため、回転電機に小型・高出力が要求される場合には、ヨーク部103において磁束密度が高くなる部位の有効磁路面積が減り、磁気性能の低下、回転電機の出力低下を招く恐れがある。
本発明者は、かかる問題を究明すべく、種々の実験・研究を重ねた結果、鉄心素材として帯状のコアシートを用いながら、そのヨーク部に施す板厚変更領域の構造を工夫することにより、簡単な構成を充分に満足しつつ、高強度、高品質・高磁気性能の固定子鉄心を実現することのできる効果的な手法を見出した。
つまり、帯状のコアシートのヨーク部に、板厚と同等の厚みを有する厚肉部と、塑性変形加工により板厚より薄く形成された薄肉部とを、積層コアの各巻回層の外周側において円周方向に交互に位置するように配列させることにより、薄肉部が、積層コアを円筒状に巻回形成する過程で塑性変形するため、良好に円筒状の積層コアを形成することができ、しかも、厚肉部が、積層コアの積層方向に整列し、かつ積層コアの各巻回層の外周縁において互いに密接して積層されているため、積層コアの外周縁に隙間を生じることがなく、高品質・高強度を確保することができる。
しかしながら、このような固定子鉄心をどのようにして経済的に製造するかの具体的手法、とりわけ、厚肉部と薄肉部とを円周方向に交互に形成するための工程を、いかにして加工荷重が小さく、小型な設備で連続加工できるように実現するかが、最大の課題となっている。
特許第4497187号公報 特開2001−112197号公報
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な構成でありながら、高強度、高品質・高磁気特性を確保することができる回転電機の固定子鉄心を経済的に製造できる方法を提供することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の発明は、鉄心素材として磁性板からなる帯状のコアシートを用い、内周側に固定子コイルを巻装するためのティース部およびスロット部を有する円筒状の積層コアからなる基本構成を備え、積層コアの各巻回層の外周側には、コアシートの板厚と同等の厚みを有する厚肉部と、塑性変形加工によりコアシートの板厚より薄く形成された薄肉部とが、円周方向に交互に位置するように配列されている、回転電機の固定子鉄心の製造方法であって、次のごとき4つの工程を基本工程として有している。
第1工程として、長さ方向の一方側にティース部およびスロット部を有するとともに、長さ方向の他方側にティース部およびスロット部を所定のピッチで連結するヨーク部を有するように、コアシートを作製するコアシート工程を有している。
第2工程として、コアシートのヨーク部で、かつ積層コアの各巻回層の外周側に位置する領域において、板厚方向の一方側に向かって径方向に突出し、内径側部分より外径側部分の方が大なる突出高さを有する山形状の突出部を、コアシートの長手方向に所定間隔で複数成形する成形工程を有している。
第3工程として、突出部を板厚方向の他方側に向かって変形させて突出部を平坦化することで、ヨーク部の外周側を円周方向に伸長するとともに板厚方向の肉厚を薄くして、薄肉部を厚肉部の間に形成する平坦化工程を有している。
第4工程として、この第3工程を経て得られたコアシートを、ヨーク部が外周側(ティース部およびスロット部が内周側)となるように螺旋状に巻取ることにより、積層コアを円筒状に巻回形成する巻取り工程を有している。
上記4工程を基本工程として備える本発明によれば、帯状のコアシートを、ヨーク部に部分的に塑性変形加工により形成した薄肉部によって良好に螺旋状に巻取ることで積層コアを巻回形成することができ、しかも、積層コアにおいて、各巻回層の外周縁は局部的に凹部が生じるだけで、厚肉部が互いに密接して積層されているため、高強度、高品質の固定子鉄心を提供できる。
とりわけ、請求項1の発明においては、平坦化工程である 第3工程が次のごとき特徴を有している。
つまり、第3工程では、コアシートを長さ方向に送りながら、突出部に対し、山形状の頂点側(山折り部分)とその裾野の円周方向の両側に位置する基点側(谷折り部分)との3箇所で挟持しつつ板厚方向から押圧していくことによって、突出部を徐々に平坦化する手法を採用している。
これにより、コアシートが板厚方向にバタつくことなく、かつコアシートを連続的に送りながら成形速度を低減することで、小さな加工荷重により突出部を押圧変形して平坦にすることができるため、小型な設備で連続運転による一環加工を実現して、積層コア、したがって固定子鉄心を経済的に製造することができる。
本発明方法により製造された固定子鉄心を具備する自動車用交流発電機を模式的に示すもので、(a)は交流発電機の全体構成を示す半断面図、(b)は(a)のA−A断面に沿って固定子鉄心単体の形態を示す上半部分の正面図である(実施例1)。 図1に示す固定子鉄心の基本的な構成をその製造過程とともに説明するためのものであり、(a)は第1工程(コアシート工程)で作製されるコアシートの正面図、(b)および(c)は第3工程(平坦化工程)および第4工程(巻取り工程)の過程説明に供するコアシートの正面図および側面図、(d)および(e)は(b)のA−A線およびB−B線に沿う断面図、(f)は積層コアの側面図、(g)は(f)におけるC−C線に沿う断面図である(実施例1)。 本発明方法の全体説明に供する模式的工程図である(実施例1)。 本発明方法の第2工程(成形工程)で得られるコアシートの要部を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である(実施例1)。 (a)、(b)は、本発明方法で採用する第3工程と比較する平坦化手段を説明するための模式図である(比較例)。 (a)、(b)、(c)は、本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段の機能説明に供する模式図である(実施例1)。 本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段の別の実施形態を示すもので、その機能説明に供する模式図である(実施例2)。 本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段の別の実施形態を示すもので、その機能説明に供する模式図である(実施例3)。 本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段の別の実施形態を示すもので、その機能説明に供する模式図である(実施例4)。 (a)、(b)、(c)は、本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段の機能説明に供する模式図である(実施例3、4)。 従来の回転電機の固定子鉄心の説明に供するもので、(a)は巻取り前のコアシートの正面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は巻取り後のコアシートの正面図、(d)は(c)のB−B線に沿う断面図、(e)は積層コアの側面図、(f)は(e)におけるC−C線に沿う断面図である(従来例)。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例にしたがって詳細に説明する。
本実施例は、本発明の製造方法を適用する固定子鉄心を代表して、自動車用交流発電機(オルタネータ)の固定子鉄心を例示しており、以下の説明では、まず、自動車用交流発電機の基本構成を概説したのち、本発明の各実施例における特徴点およびその基本的機能について順次説明し、最後に本発明の特徴点毎の作用効果を要約列挙する。
なお、各実施例において、同一または均等部分には、同一符号を付し、重複説明を省略することとする。
[実施例1]
本発明の製造方法の一例で製造した固定子鉄心およびこの固定子鉄心を具備する交流発電機ACGの基本構成について、図1および図2に基づいて説明する。
〔交流発電機ACGの基本構成〕
図1(a)に示すように、交流発電機ACGは、エンジンにより駆動される回転軸Jに取付けられた回転子GRと、一対のカップ(椀型)状のハウジング(フレーム)Hに組立てボルトFによって挟持固定された固定子GSとを備えており、この固定子GSには、固定子コイル(多相巻線)Dを装着する鉄心として、図1(b)に示すごとき円筒状の積層コア1からなる固定子鉄心Eが用いられている。
この固定子鉄心Eは、一対のカップ(椀型)状のハウジングHで挟持固定されることにより、交流発電機ACGの筺体の一部として利用されるものであって、内周側に固定子コイルDが巻かれる多数のティース(歯)部E1とスロット(溝)部E2とを交互に備え、外周側に各ティース部E1およびスロット部E2を所定のピッチで環状に連結するヨーク(継鉄)部E3を備える円筒状の積層コア1で構成されている。環状のヨーク部E3は、固定子コイルDが巻かれない非巻線部分であり、ここに後で詳しく説明する板厚変更領域E4が、円周方向に複数配列されている。
〔積層コア1の基本構成〕
積層コア1は、鉄心素材として図2(a)に示すごとき帯状のコアシート10が用いられている。このコアシート10は、例えば、幅広の帯状の磁性板からティース部およびスロット部が互い違いに配置されるように打抜くことにより、一対(2枚)の帯状コアシートとして作製されるもの、もしくは、幅狭の帯状の磁性板からその片側にティース部およびスロット部が交互に配置されるように打抜くことにより、1枚の帯状コアシートとして作製されるものであって、長さ方向の一方側に固定子コイルDを巻装するためのティース(歯)部11およびスロット(溝)部12を有すると共に、長さ方向の他方側にこれらのティース部11およびスロット部12を所定のピッチで連結するヨーク(継鉄)部13を有している。
そして、このコアシート10を、図2(b)に示すように、ヨーク部13が外周側(ティース部11およびスロット部12が内周側)となるように螺旋状に巻取りながら複数層にわたって巻回積層することにより、図2(f)、(g)に示すごとき円筒状の積層コア1とするものである。
〔積層コア1の特徴〕
本発明方法により製造される積層コア1は、コアシート10のヨーク部13に、図2(b)、(c)に示すごとく、板厚変更領域E4を形成するための塑性変形加工を施し、この板厚変更領域E4を巧みに活用して、コアシート10を円形状に丸める点を基本的な特徴としている。
板厚変更領域E4は、図2(b)〜(e)に示すように、コアシート10の板厚と同等の厚みを有する厚肉部(非板厚減少部)14と、塑性変形加工によりコアシート10の板厚より薄く形成された薄肉部(板厚減少部)15とで構成され、図2(f)のごとく、積層コア1の各巻回層の外周縁において、厚肉部14と薄肉部15とが円周方向に交互に位置するように配列されている。
ここで、厚肉部14と薄肉部15とは、ヨーク部13において、薄肉部15を形成したのちの残部の板厚部分がすべて厚肉部14をなす相対関係になっている。よって、ヨーク部13には、全周にわたって板厚変更領域E4が複数配列されていることになる。
特に、本実施例では、図2(b)、(d)、(e)に示すように、厚肉部14と薄肉部15とで構成される板厚変更領域4Eは、コアシート10のヨーク部13において、薄肉部15がティース部11の配列位置に、厚肉部14がスロット部12の配列位置に、それぞれ対応するようにして、ティース部11およびスロット部12と同じ数だけ形成されている。
なお、薄肉部15自体の構造は、径方向の幅Pがヨーク部13の径方向幅Qより短く(P<Q)、径方向に沿って切断する仮想断面(図2(b)におけるB−B断面)において、図2(e)のごとく、板厚が積層コア1の外周縁に向かって一方の端面側から漸減していく片面テーパ形状の凹部15aをなしている。
また、この凹部15aは、円周方向の幅が内径側部分より外径側部分の方が大きくなる「ハ」の字形状(三角形または扇形ともいう。)をなしている。
また、この凹部15aは、図2(e)に示すごとき片面テーパ形状をなしているため、全体として、内径方向から外径方向に向かって傾斜する底面を有し、かつ外周縁で広角的に開口するポケット溝を形成している。
しかして、薄肉部15は、塑性変形加工により形成されるものであって、コアシート10のヨーク部13の外周側を円周方向に伸長することにより、積層コア1の外周部の実質的な巻取り周長を長くするとともに、コアシート10自体をティース部11およびスロット部12が内周側となるように湾曲状に変形させるため、コアシート10を螺旋状に巻取りし易くする機能を有している。
一方、厚肉部14は、ティース部11と同様に、図2(f)、(g)のごとく、積層コア1の積層方向(軸方向)に整列しており、各巻回層においてその外周縁を含めた全面が互いに密接して積層されている。
したがって、積層コア1の外周面には薄肉部15のところで局部的に凹部15aによる凹所Mが形成されるものの、積層コア1の全体では積層コア1の外周縁を含めた全面が積層方向に実質的に密な積層状態にある。
なお、凹所Mは、凹部15aで形成されており、内径方向から外径方向に向かって傾斜する底面を有し、かつ外周縁で広角的に開口するポケット溝をなしているため、たとえこの凹所Mに雨水が浸入したとしても、かかる雨水を良好に排水することができる。
次に、上記構成になる積層コア1の製造方法を図3に基づいて説明する。
図3は、本発明方法の全工程を模式的に示す工程図であって、本発明の製造方法は、大別すると、コアシート10を作製する第1工程(コアシート工程)から第2工程(成形工程)、第3工程(平坦化工程)を経て、積層コア1を完成する第4工程(巻取り工程)までの4つの基本工程で構成される。
まず、上記第1工程から第4工程までの各工程を、図3の模式的工程図にしたがって順次概説する。
○第1工程(コアシート工程)
この第1工程は、一般的に採用されている周知の工程である。例えば帯鋼(SPCC)のごとき帯状磁性板Tをプレス機のような適宜の打抜き手段Uにより打抜き加工し、図2(a)に示すごときコアシート10、つまり、長さ方向の一方側にティース部11およびスロット部12を有するとともに、長さ方向の他方側にティース部11およびスロット部12を所定のピッチで連結するヨーク部13を有する帯状のコアシート10を作製する。
本例では、幅狭の帯状の磁性板Tからその片側にティース部11およびスロット部12が交互に配置されるように打抜くことにより、1枚の帯状コアシート10とする製法を採用しているが、幅広の帯状の磁性板Tからティース部11およびスロット部12が互い違いに配置されるように打抜くことにより、一対(2枚)の帯状コアシート10とする製法を採用することもできる。
○第2工程(成形工程)
この第2工程は、本発明方法の主要工程の一つで、帯状のコアシート10の所定位置に、薄肉部15の基礎となる山形状の突出部16(構造の詳細は後述する。)を打出し成形するための成形工程である。
本工程では、前工程(第1工程;コアシート工程)から移送されてくるコアシート10に対し、そのヨーク部13において、積層コア1の各巻回層の外周側に位置する領域(薄肉部15を形成する位置)に、打出し成形手段20によって山形状の突出部16を突出形成する。この突出部16は、コアシート10の長手方向に所定間隔で複数個所に設けられるものであって、本実施例では、ヨーク部13において、ティース部11の配列位置に対応して設けられている。
打出し成形手段20は、本工程の中枢機能を担うもので具体的構造を簡略化しているが、当該手段20を用いて、基本的には、次の(1)〜(5)のステップからなるプロセスが実行される。
(1)前工程(コアシート工程)から移送されてくる帯状のコアシート10を、ダイ21上に載置する。
(2)このコアシート10に対し、スロット部12にガイド矢22を挿入して、あらかじめヨーク部13に施す突出部16の成形位置を合わせておく。
(3)シート面押さえ23で、コアシート10をダイ21上に押圧固定する。
(4)打出し成形用パンチ24をコアシート10のヨーク部13の所定箇所に押し込み、突出部16を打出し成形する。シート面押さえ23により突出部16以外のコアシート10を拘束することができ、打出し成形による引き込まれ変形を防止すると同時に、打出し成形による突出部16の変位につれて材料が伸び、突出部16自体の板厚が漸減(薄肉化)する。
(5)打出し成形後の帯状コアシート10を次工程(平坦化工程)へ移送する。
なお、図示例では、後工程の説明の都合上、突出部16を上向きに突出させているが、下向きに突出させてもよいことは勿論である。
かくして、コアシート10に打出し成形された各突出部16は、図4に示すごとき形態を有している。
この突出部16は、両端を変位させることなく、中央部分のみを大きく変位させるように山形状に突出形成したもので、図4(a)、(b)に示すように、中央部分を板厚方向の一方側に向かって板厚以上に変位させることにより形成された断面V字状をなしており、頂点側の山折り部分16aと、その裾野の円周方向の両側に位置する基点側の谷折り部分16b、16cを有している。この突出部16は、図4(c)に示すように、根元(ティース部11側=内径側)から先端(反ティース部11側=外径側)に向かって傾斜すると共に、突出高さが次第に大きくなっている。同時に、板厚が漸減してテーパ状になっており、先端が最も突出し、かつ、最も薄くなっている。
○第3工程(平坦化工程)
この第3工程は、上記第2工程(成形工程)と連携した本発明方法の主要工程をなすものであって、第2工程で打出し成形した突出部16を、その山折り部分16aが平坦になるように塑性変形させることで、図2(b)、(c)、(e)に示すように、厚肉部14の間に薄肉部15を形成するものである。
コアシート10の突出部16を平坦化するために平坦化手段30が用いられる。この平坦化手段30は、突出部16を板厚方向の他方側に変位させながら、突出部16の山折り部分16aが板厚内に収容されて平坦になるまで押圧変形させる機能を有するものであればよく、圧延型ローラ装置などの簡単な設備で実現することができる。かくして、薄肉化された突出部16を平坦化することで、薄肉部15が形成される。
この平坦化プロセスを、図3に第3工程として簡略的に示す平坦化手段30の一例にしたがって概説する。
(1)前工程(成形工程)から移送されてくる突出部16を有するコアシート10は、平坦化手段30に投入され、当該手段30で平坦化された後に、コアシート10の先頭のスロット部12が巻取り手段40のティース配列ガイド41aに係合される(引っ掛けておく)という段取りがなされる。
(2)平坦化手段30は、圧延型ローラ装置で構成され、上下一対のローラ31、32と、これらのローラ31、32の挟持圧・回転速度を製造条件に応じてコントロールする制御装置33とを備えている。
(3)したがって、上記平坦化手段30では、各ローラ31、32を制御装置33によって協働(協調)させることにより、ここを通過するコアシート10に対し、突出部16を徐々に平坦化していき、この平坦部分により所望の薄肉部15を形成することができる。
(4)かくして作製された薄肉部15を有するコアシート10は、上記(1)の段取りにしたがい、巻取り手段40のティース配列ガイド41aによって次工程(巻取り工程)へ移送される。
しかして、上記(3)の平坦化過程において、突出部16は、山折り部分16aが平坦になるに伴って突出部16自体の沿面が、径方向および周方向に広がることになる。
特に、突出部16は、外径側が内径側に比して突出高さがあり、周方向の沿面長さが長いため、平坦となった場合には、外径側が周方向により大きく広がる。これにより、コアシート10のヨーク部13の外周側が円周方向に伸長するため、コアシート10が、自動的にティース部11およびスロット部12を内周側として湾曲状に変形していく。
このようにコアシート10が湾曲状に変形していくことは、次工程(巻取り工程)で実施されるコアシート10の螺旋状巻取り作業を至便にする。
○第4工程(巻取り工程)
この第4工程では、ヨーク部13に薄肉部15が形成されたコアシート10を、巻取り手段40によってヨーク部13が外周側(ティース部11およびスロット部12が内周側)となるように螺旋状に巻取ることにより、円筒状に巻回形成された積層コア1を完成する。
この巻取り工程でのプロセスを、図3に第4工程として簡略的に示す巻取り手段40の一例にしたがって概説する。
(1)巻取り手段40は、芯金41が、コアシート10の送り速度に同期して回転される。この芯金41には、上述したティース配列ガイド41aと共に、内径規制ガイド41bが備えられているため、コアシート10を巻取りながら積層コア1の内径側寸法のバラツキが矯正される。
(2)一方、この芯金41に対向して固定側に外径ガイド42が配置されており、この外径ガイド42によって積層コア1の外径側寸法が規制される。
(3)また、外径ガイド42の上端面側には、側面ガイド43が配置されている。この側面ガイド43は、受け取り治具44上に螺旋状コアシート10が順次層状的に重ねられていくように、コアシート10に対してコア軸方向への送り方向を規定している。
(4)かくして、平坦化手段30から芯金41のティース配列ガイド41aによって移送され、上記の各ガイド41b、42、43を順次経由したコアシート10は、その先頭(前端)のスロット部12が、受け取り治具44上に円周方向に所定間隔で植立されたティース配列ガイド45に挿入され、段取りがなされる。
(5)巻取り手段40は、芯金41と受け取り治具44とを同期して回転させる駆動装置46を備えており、芯金41および受け取り治具45を回転させることで、受け取り治具44上に、螺旋状のコアシート10をティース部11およびスロット部12がそれぞれコア軸方向に整列した状態で順次積層(収容)していくことができる。
(6)必要巻回数を経た螺旋状に巻回されたコアシート10の後端を切断し、受け取り治具44から一個の積層コア1として取り出す。
上述のようにして、第1〜第4工程を経て製造された積層コア1(固定子鉄心E)は、次のごとき基本的機能を有している。
(1)コアシート10にはヨーク部13に板厚変更領域E4が設けられており、厚肉部14と薄肉部15とが交互に配列されているため、コアシート10を螺旋状に巻取る際に、薄肉部15の塑性変形により各巻回層を良好に円形状に丸めることができ、高品質の円筒状積層コア1を得ることができる。
特に、薄肉部15は、山形状の突出部16aの平坦化により形成されるもので、先細りの片面テーパ形状のテーパ部15aになっており、しかもこのテーパ部15aが外周縁に向かって円周方向の幅が広くなる扇形状をなし、かつ平坦化される過程でコアシート10を湾曲状に変形させる作用を発揮するため、コアシート10を丸めにあたり、外周長を稼ぎながらより真円に近い円形状に曲げることができる。
(2)また、この積層コア1は、外周面に薄肉部15による凹所Mが局部的に存在しているものの、各巻回層には厚肉部14が存在しており、この厚肉部14が積層コア1の積層方向に整列し、かつ積層コア1の外周縁を含めた全面において互いに密接して積層されているため、外周縁の巻回層間には、図11(f)に示すような全周にわたる隙間Gを実質的に生じることがない。
したがって、固定子鉄心Eの製造最終工程へ積層コア1を搬送する過程で、たとえ外力が加わったとしても、積層コア1の外周縁に変形や損傷を招くことがない。
同様に、上記の製造最終工程において、積層コア1の外周部に、巻回層間を固定するための溶接加工や外周形状を整えるためのしごき加工を実施する際にも、溶接不良や外周縁が変形・破損等することがなく、固定子鉄心Eとして高強度、高品質を確保できる。
(3)さらに、固定子鉄心Eを交流発電機ACGの筺体の一部として利用するために、図1(a)のごとく、一対のハウジングHで挟持し組立てボルトFで締付固定する場合にも、積層コア1を巻回層間が密着した状態でその積層方向の両端面側から締め付けていくことができるため、ハウジングHや組立てボルトFに過大なストレスを与えることがない。
(4)また、固定子鉄心Eは、上述のごとく交流発電機ACGの筺体の一部として利用するために雨水に晒されることになる。凹所Mは、内径方向から外径方向に向かって傾斜する底面を有し、かつ外周縁で広角的に開口するポケット溝をなしているため、この凹所Mに雨水が浸入した場合にも、かかる雨水を都度速やかに排水することができる。
雨水には腐食性成分が含まれているが、この排水効果により、雨水の滞留による積層コア1の発錆を防ぎ、固定子鉄心Eの耐久性を向上できる。
次に、上述した本発明の製造方法において、とりわけ、第3工程(平坦化工程)が、小さい加工荷重で実行でき、かつ連続加工できて経済的であることを、図5および図6に示す模式的モデルに基づいて説明する。
本発明方法における本工程での主眼は、内径側から外径側へ突出高さが大きくなる山形状の突出部16を、山形状の頂点側(山折り部分16a)とその裾野の円周方向の両側に位置する基点側(谷折り部分16b、16c)との3箇所で挟持しつつ、その両側から、つまり板厚方向から押圧していくことで、突出部16を円滑にかつ徐々に平坦化することにある。
まず、比較のために、平坦化手段として、例えば図5に示すごときローラ装置300を用いた場合について説明する。
このローラ装置300は、一対のローラとして、突出部16の頂点側に位置させる径の大きいローラ310と、突出部16の基点側に位置させる径の小さいローラ320とを用いている。
かかるローラ装置300によれば、コアシート10が矢印Xのごとく投入されると、一対のローラ310、320は、図5(a)のごとく、コアシート10の突出部16に対し、頂点側(山折り部分16a)と一方の基点側(例えば谷折り部分16c)との2箇所で挟持しながら頂点側から基点側に向けて押圧していくことになる。このため、突出部16の押圧初期は手前のシート部分10Aが下方に振れ、突出部16の押圧後期にはそのシート部分10Aが図5(b)のごとく上方に振れることになり、押圧過程の進行にしたがってシート部分10Aが上下に揺れる踊り現象が生じる。その結果、突出部16に座屈やしわが生じ、突出部16を円滑に平坦化することができないのみならず、コアシート10が周辺機器に衝突し、傷や曲がりが生じ、ときにはコアシート10の折損事故を招く危惧がある。
これに対し、本発明では、平坦化手段30として、例えば図6に示すごとき圧延型ローラ装置を用いている。このローラ装置は、一対のローラとして、外周面(当接面、挟持面)が突出部16の頂点側(山折り部分16a)に当接する径の小さいローラ31と、外周面(当接面、挟持面)が突出部16の両基点側(谷折り部分16b、16c)に当接する径の大きいローラ32とで構成されている。
かかる平坦化手段30によれば、コアシート10が矢印Xのごとく投入されると、一対のローラ31、32は、図6(a)〜図6(c)の進行過程で示すように、板厚方向の挟持間隔を順次狭めながら(コアシート10がX方向への進行に伴い徐々に狭くなるローラ間隙を通過していく)コアシート10の突出部16を常に押圧していく。つまり、突出部16に対し、径の小さいローラ31で頂点側(山折り部分16a)、径の大なるローラ32でその両側の2箇所の基点側(谷折り部分16b、16c)の都合3箇所を確実に挟持しながら頂点側から基点側に向けて徐々に押し潰していくことになる。このため、手前のシート部分10Aが、上述のごとく押圧過程の進行にしたがって上下に振れることがなく、突出部16の平坦部分に座屈やしわを生じたり、コアシート10の折損事故などを一切招くことなく、突出部16を円滑にかつ徐々に平坦化することができる。
そして、上述のごとく、突出部16を円滑にかつ徐々に平坦化し得ることは、加工荷重が小さくて済み、しかも、コアシート10を移送しながら連続的に平坦化加工を実施していくことができる。
即ち、例えば、突出部16をプレスで押し潰す方式にした場合には、突出部16を一気に(早い速度で)平坦化するために大きな加工荷重を必要とし、大型の設備を要するのみならず、コアシート10の送りを一旦停止させながらプレス加工を行うことになるので、コアシート10の平均送り速度をそれだけ低く設定せねばならず、生産性が悪い。
これに対し、本実施例のごとく、コアシート10の送り方向に沿ってその板厚方向の挟持間隔を順次狭めること(つまりゆっくりした成形速度)で、突出部16を徐々に平坦化していく方式によれば、小さな加工荷重で平坦化することができるため、設備の小型化に資するのみならず、コアシート10を停止させることなく連続移送しながら平坦化加工を実施することができる。
[実施例2]
次に、本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段30の別の実施形態を、実施例2として図7に基づいて説明する。
本実施例の平坦化手段30は、回転するローラ34と固定の倣いガイド35とを併用する併用型圧延装置で構成されており、ローラ34の外周面34Aと倣いガイド35の傾斜面(テーパ面)35Aとでコアシート10を挟持しつつ板厚方向から突出部16を押圧することで、突出部16を平坦化するものである。
具体的には、回転側のローラ34を突出部16の頂点側(山折り部分16a)に位置させ、その外周面34Aが山折り部分16aに当接するようにするとともに、固定側の倣いガイド35を突出部16の基点側(谷折り部分16b、16c)に位置させ、その傾斜面35Aが谷折り部分16b、16cに当接するようにすることを特徴とし、コアシート10の移送(矢印X方向へ送り)に伴なってその板厚方向の挟持間隔、つまりローラ34の外周面34Aとガイド35の傾斜面35Aとの間隔を順次狭めていくことで、突出部16を徐々に平坦化していくようにしている。
上記平坦化手段30によれば、コアシート10が矢印Xのごとく投入されると、ローラ34と倣いガイド35は、コアシート10の突出部16に対し、図7の実線の変移で示すように、常に頂点側(山折り部分16a)とその両側の基点側(谷折り部分16b、16c)との3箇所で挟持しながら板厚方向から押圧していくことになる。このため、突出部16の押圧過程において手前のシート部分10Aが上下に振れることがなく、突出部16を円滑にかつ徐々に平坦化することができる。かくして、本実施例においても、上記実施例1の平坦化手段と同様の作用効果を得ることができる。
[実施例3]
次に、本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段30の別の実施形態を、実施例3として図8に基づいて説明する。
本実施例は、実施例1で採用した平坦化手段30(図6に示す圧延型ローラ装置)の改良タイプに相当するものである。
本実施例の圧延型ローラ装置(平坦化手段30)は、平行な軸線Y、Zを中心にして回転駆動される一対のローラ(小径のローラ31と大径のローラ32)を備えているものの、各ローラにおいてコアシート10との当接面(挟持面)をなす外周面が、それぞれの軸線Y、Zに対して傾斜する円錐面31A、32Aを呈している。そして、一対のローラ31、32は、両者の円錐面31A、32Aが板厚方向に所定の挟持間隔を介して対面するようになっている。
ちなみに、ローラ31、32の当接面(挟持面)が、例えば仮想線のごとく単なる円周面31B、32Bである場合(図6に示す形態の場合)には、突出部16の延展によりコアシート10が湾曲状に変形する際、コアシート10自体も仮想線のごとく同一円を描くように丸まる。つまり、平坦化後のコアシート10Bが同一円を周回するため、当該コアシート10Bの先端がローラ31、32や平坦化前のコアシート10A等と衝当する危惧がある。
これに対し、本実施例では、突出部16を平坦化する過程でコアシート10に対して長手方向を軸線とした捻りを与えることで、実線で示すごとく、コアシート10自体が巻取り中心軸に対し積層方向(軸方向)に傾きながら(ズレながら)湾曲状に変形していく。つまり、コアシート10がローラ31、32等と衝当することなく螺旋状に丸まっていくわけで、平坦化後のコアシート10を良好に積層コア1として巻き取ることができる。
[実施例4]
次に、本発明方法の第3工程で採用する平坦化手段30の別の実施形態を、実施例4として図9に基づいて説明する。
本実施例の平坦化手段30は、実施例1の圧延型ローラ装置と実施例2の併用型圧延装置との両装置を組み合わせるとともに付加機能を追加したもので、具体的には次のごとき構成を有している。
この平坦化手段30は、第1の手段(前段)として、回転する第1ローラ34および固定の倣いガイド35からなる併用型圧延装置30Aを備えるとともに、第2の手段(後段)として、上記第1ローラ34および第2ローラ36からなる圧延型ローラ装置30Bを備え、第1ローラ34を両装置に兼務させている。そして、付加機能の構成要素として、シートピッチローラ37および投入位置合わせガイド38を具備している。
前段の併用型圧延装置30Aにおいて、第1ローラ34と倣いガイド35との関係は、第1ローラ34の外周を取り囲むように倣いガイド35が配設されているが、実施例2と同様に、コアシート10の突出部16に対し、第1ローラ34を突出部16の頂点側(山折り部分16a)に位置させるとともに、倣いガイド35を突出部16の基点側(谷折り部分16b、16c)に位置させて、3箇所で突出部16を挟持する基本構成になっている。
そして、第1ローラ34および倣いガイド35の挟持面(当接面)は、それぞれ円錐面34Aおよび円錐面35Aを呈しており、この両円錐面34A、35Aによる挟持間隔が、コアシート10の移送方向に沿って順次狭くされていて、突出部16を板厚方向から押圧して徐々に平坦化していくようになっている。
ここで、両円錐面34A、35Aの形状は、コアシート10が円錐面の中心軸の周りに沿って良好に走行するように設定されている。
つまり、図10(b)、(c)に示すように、ヨーク部13の反スロット部側の境界およびヨーク部13のスロット部側の境界が位置する当該円錐面の軸方向位置における半径をそれぞれR1、R0とし、平坦化後の円環状になったヨーク部13の外径(コア外径)および内径(スロット部12底部との境界線によるピッチ円の径)をそれぞれD1、D0とすると、
R1:R0=D1:D0
の関係になるように、当該円錐面の形状を設定することで、コアシート10が円錐面の中心軸の周りに沿って良好に走行することができる。
後段の圧延型ローラ装置30Bは、前段の併用型圧延装置30Aで実行される平坦化をアシストし、最終的な平坦化形状を確立するためのもので、平坦化後における薄肉部15の最終形状が、常に安定して所望の形状として得られるように機能する。第2ローラ36は、前段でほぼ平坦化された突出部16の基点側(谷折り部分)を受けるもので、第1ローラより小径を有している。そして、第2ローラ36の挟持面(当接面)は、第1ローラの円錐面34Aと所定間隔で対面する円錐面36Aを呈している。
シートピッチローラ37は、コアシート10を所定のピッチで平坦化手段の前段をなす併用型圧延装置30Aへ導くものであり、外周面にコアシート10のスロット部12に嵌入する突起37Aを備えている。この突起37Aが、コアシート10のスロット部12と確実に嵌まり合い、コアシート10が幅方向に位置ズレするのを防いで、コアシート10を正しい姿勢で平坦化手段へと移送することができる。
このシートピッチローラ37は、第1ローラ34より大なる外径を有し、第1ローラ34と重畳的に配置されるもので、両者は相対的に偏心回転できるようになっている。そのために、第1ローラ34の円筒状駆動軸34Bに対し、シートピッチローラ37の駆動軸37Bが偏心して嵌挿されている。そして、第1ローラ34、第2ローラ36およびシートピッチローラ37は、コアシート10の移送速度(製造条件)に同調して図示しない制御装置によって駆動されるようになっている。
なお、倣いガイド35は、シートピッチローラ37の外周にも沿うようにして配設されていて、コアシート10の導入を補助している。
上記構成の平坦化手段30によれば、次のごときプロセスが実行される。
(1)前工程(成形工程)から送られてくる突出部16を有するコアシート10は、投入位置合わせガイド38によって投入位置が調整されて平坦化手段30に投入される。
(2)まずコアシート10は、シートピッチローラ37の突起37Aに案内されて、所定ピッチで前段の圧延型ローラ装置30Aへ導入される。
(3)この圧延型ローラ装置30Aでは、コアシート10の移送にしたがって、第1ローラ34と倣いガイド35との協働により、突出部16を板厚方向から順次押圧して徐々に平坦化していく。
(4)この前段で平坦化されたコアシート10は、続いて、後段の圧延型ローラ装置30Bへ送られ、第1ローラ34と第2ローラ36との協働により、最終形状として安定した所望の形状の薄肉部15が得られるように、平坦化がなされる。
かくして、本実施例の平坦化手段30によれば、上記実施例1、2の平坦化手段に比し、コアシート10の突出部16に対してより一層螺旋状巻取りに資する平坦化を実現することができる。
以上各実施例について詳述したが、ここで、本発明方法の主要工程である成形工程(第2工程)および平坦化工程(第3工程)について補足説明する。
(1)第1に、平坦化工程の要である平坦化手段30の機能について、図10に基づいて補説する。
(1−1)「平坦化」とは、基本的には図10(a)に示すように、突出部16に対しその板厚方向から矢印Fのごとく所定の押圧荷重を加え押し潰すことである。したがって、上記の各実施例において、突出部16を挟持する3箇所とは、山折り線、谷折り線を厳密に指すのではなく、山折り線や谷折り線を形成する傾斜面等の周辺領域を当然含むものであり、それらを総称して、「山形状の頂点側(山折り部分16a)とその裾野の円周方向の両側に位置する基点側(谷折り部分16b、16c)との3箇所」と定義している。
(1−2)また、「平坦化」とは、上述したように、突出部16を押し潰して図10(b)のごとく薄肉部15を形成することである。換言すれば、突出部16を板厚方向から挟持する面(倣い面)にしたがって当該倣い面が転写されるように薄肉部15が成形される。したがって、各実施例の平坦化手段において、コアシート10の突出部16を板厚方向から押圧する挟持面(当接面)に、図10(c)のごとく適宜の倣い模様Nを形成することによって薄肉部15の薄肉形状を種々変えることができる。
(1−3)また、挟持面(当接面)、例えば実施例4(図9参照)のごとくローラ34の挟持面(当接面)を円錐面34Aとして形成することにより、先の捻り効果とは別に、図10(c)に示すように、コアシート10全体が円錐面34Aに沿ってこれを抱きかかえるように丸く変形していくため、平坦化後のコアシート10を円錐面34Aで保持するようにしながら次工程へ送り込むことができる。よって、コアシート10が垂れ下がるのを抑止することができる。
(2)第2には、上記両工程による突出部16の形成および当該突出部16の平坦化は、いずれも塑性変形を利用するものであるため、形状効果や加工硬化現象を巧みに活用して、コアシート10自体の強度、積層コア1の真円度、固定子鉄心Eとしての磁気特性の改質等を図ることができ、固定子鉄心Eの設計自由度を高めることができる。
即ち、薄肉部15の形状によってコアシート10の強度や積層コア1の真円度を向上することができ、また、変形加工を繰り返すことによる加工硬化によって、強度が高まる反面、磁気抵抗の増加を招くため、加工度合を加減することによりそれらの特性を調整することができる。
その代表的な手法を例示すると、
(2−1)第3工程において、突出部16を、山折り部分16aおよび谷折り部分16b、16cが残留するように平坦化する手段を採用する。
上記手段によれば、突出部16を形成していた折曲げ部分を積極的に残すことにより、この折曲げ部分の形状効果によってコアシート10自体の平坦化後の剛性や形状を安定化することができ、積層コア1の真円度を高めることができる。また、突出部16の一部を残留させることは加工硬化度合を低減して、磁気特性としての磁気抵抗の増加を抑制することができる。
(2−2)上記のごとき残留手法により、谷折り部分16b、16cが厚肉部14と薄肉部15との境界線を形成し、山折り部分16aが薄肉部15内で径方向に伸びる筋金を形成するようにすることができる。
このような平坦化構造にすれば、コアシート10には厚肉部14と薄肉部15とが交互に位置し板厚の薄い薄肉部15で脆弱になりがちな基本構造を、谷折り部分16b、16cと山折り部分16aとの形状効果によって強化し、コアシート10自体の軸方向(積層方向)への曲がり強度を向上することができ、磁気音低減効果に寄与する。
〔変形例〕
以上本発明方法を4つの実施例について詳述してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変形することが可能であり、その変形例を例示する。
(1)上記実施例では、固定子鉄心Eとして、ティース部11に対応させて薄肉部15を配設する構造例を示したが、この薄肉部15を厚肉部14と円周方向に交互に位置するように配列するすべての鉄心構造例に適用できるものであって、例えば、スロット部12に対応させて薄肉部15を配設するタイプや、ティース部11およびスロット部12の両者に対応させて薄肉部15を配設するタイプにも勿論適用することができ、かかる場合には、第2工程(成形工程)において薄肉部15の配列に対応させて突出部16を形成すればよい。また、ティース部11に対応させて配設する薄肉部15については、その径方向幅Pを、ヨーク部13の径方向幅Qより大きくする(P>Q)ことも可能である。
(2)上記実施例では、薄肉部15を片面テーパ状にしたが、山形状の突出部16の突出形状や、この突出部16を平坦化するための平坦化手段30(とりわけ挟持面(倣い面)の形状)を適宜選定することにより、薄肉部15を両面テーパ状にすることもできる。
(3)また、第2工程(成形工程)で形成する突出部16は、板厚方向の一方側に向かって径方向に突出し、内径側部分より外径側部分の方が大なる突出高さを有する山形状をなしていることが肝要であり、具体的な山形形状としては上記実施例の断面V字状のみならず、断面U字状や断面矩形状にしてもよく、軸方向からの投影形状も三角形(扇形)に限らず、台形にしてもよい。
(4)第2工程(成形工程)および第3工程(平坦化工程)で実施する打出し成形加工および平坦化加工は、素材の特質(例えばスプリングバック)を考慮して加工ストロークが適宜決定されることは勿論である。
(5)第3工程(平坦化工程)で実施する平坦化加工で、上記実施例のごとく突出部16を板厚内に収まるように平坦化して薄肉部15を形成した場合には、コアシート10は板厚方向の両面が全面にわたって平面状態になるため、コアシート10の螺旋状巻取り作業の際に突出部16が巻取り障害となるのを防ぐことができる点で有用であるが、突出部16の一部を積極的に突出させて有効活用するようにしてもよい。例えば、第3工程では、突出部16に対し、山折り部分16aの一部が板厚より突出したままの状態で平坦化を完了することによって、薄肉部15を形成するとともに、続く第4工程において、コアシート10を螺旋状に巻取るにあたり、山折り部分16aの突出部分が上下に重なるコアシート10で凹凸嵌合することで、積層コア1の巻回層相互間の位置決めを行えるようにする。かくすることにより、突出部16の一部を、積層コア1における各巻回層の積層位置のズレを抑制する位置決め要素として積極的にかつ有効活用して、積層コア1を高品質に作製することができる。
(6)実施例2、4において、コアシート10の向きを反転させて、突出部16の頂点側に倣いガイド35が位置するように、突出部16に対するローラ34と倣いガイド35との配置を逆転させてもよい。
(7)以上の実施形態では、本発明を自動車用交流発電機(オルタネータ)の固定子鉄心に適用した場合について説明したが、これに限ることなく、鉄心素材として磁性板からなる帯状のコアシートが用いられる固定子鉄心を持つ回転電機、例えば高電圧駆動モータに適用し、同様の作用効果を奏することができる。
以上詳述してきた本発明方法の特徴点および特記すべき作用効果を、特許請求の範囲に記載の各請求項(特に請求項2〜請求項13)の手段にしたがって要約列挙すれば、次の通りである。
〔特徴点1=請求項2の手段〕
請求項1に記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程(平坦化工程)では、突出部16を山形状の頂点側(山折り部分16a)とその裾野の円周方向の両側に位置する基点側(谷折り部分16b、16c)との3箇所で挟持しつつコアシート10の板厚方向から押圧するにあたり、コアシート10の送り方向に沿って前記3箇所のコアシート10の板厚方向における挟持間隔を順次狭めることで、突出部16を徐々に平坦化していくことを特徴としている(各実施例)。
上記手段によれば、突出部16を小さい加工荷重でしかも連続して円滑に平坦化することができる。
〔特徴点2=請求項3の手段〕
請求項1または2に記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程では、突出部16の平坦化によりヨーク部13の外周側を円周方向に伸長させることで、コアシート10を前記ティース部11側が内周側となるように湾曲状に変形させることを特徴としている(各実施例)。
上記手段によれば、この湾曲状変形をコアシート10の螺旋状巻取りに有効活用して、積層コア1を効率的に作製することができる。
〔特徴点3=請求項4の手段〕
請求項3に記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程では、コアシート10を積層コア1の積層方向に傾けさせながら湾曲状に変形させることを特徴としている(例えば、実施例3)。
上記手段によれば、湾曲状に変形したコアシート10の周回を軸方向にずらすことができるため、コアシート10の衝突や折損などを防ぎ、高品質の積層コア1を良好に作製することができる。
〔特徴点4=請求項5の手段〕
請求項1〜4のいずれか1つに記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程では、突出部16を山折り部分16aが板厚内に収容されるまで押圧変形させることによって、薄肉部15を形成することを特徴としている(例えば、実施例1、2)。
上記手段によれば、突出部16がコアシート10の螺旋状巻取り時に巻取り障害になることがなく、積層コア1を円滑にかつ高品質に作製することができる。
〔特徴点5=請求項6の手段〕
請求項1〜4のいずれか1つに記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程では、突出部16に対し、山折り部分16aの一部が板厚より突出したままの状態で平坦化を完了することによって、薄肉部15を形成するとともに、第4工程では、コアシート10を螺旋状に巻取る際に、上下に重なるコアシート10が、山折り部分16aの突出部分で凹凸嵌合することによって、積層コア1の巻回層相互間の位置決めを行うことを特徴としている(変形例5)。
上記手段によれば、突出部16の一部を、積層コア1における各巻回層の積層位置のズレを抑制するための位置決め要素として積極的に有効活用して、積層コア1を高品質に作製することができる。
〔特徴点6=請求項7の手段〕
請求項1〜6のいずれか1つに記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程では、突出部16を、山折り部分16aおよび谷折り部分16b、16cが残留するように平坦化することを特徴としている(実施例1、2)。
上記手段によれば、突出部16を形成する折曲げ部分を残すことにより、この折曲げ部分の形状効果によってコアシート10自体の平坦化後の剛性や形状を安定化することができ、積層コア1の真円度を高めることができる。また、突出部16の一部を残留させることは加工硬化度合を低減して、磁気特性としての磁気抵抗の増加を抑制することができる。
〔特徴点7=請求項8の手段〕
請求項7に記載の固定子鉄心Eの製造方法において、谷折り部分16b、16cが厚肉部14と薄肉部15との境界線を形成し、山折り部分16aが薄肉部15内で径方向に伸びる筋金を形成していることを特徴としている(各実施例)。
上記手段によれば、コアシート10には厚肉部14と薄肉部15とが交互に位置し板厚の薄い薄肉部15で脆弱になりがちな基本構造を、谷折り部分16b、16cと山折り部分16aとの形状効果によって強化し、コアシート10自体の軸方向(積層方向)への曲がり強度を向上することができる。
〔特徴点8=請求項9の手段〕
請求項1〜8のいずれか1つに記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第2工程(成形工程)で突出部16を成形する領域は、ティース部(11)の配列位置に対応していることを特徴としている(各実施例)。
上記手段によれば、ヨーク部13において、磁束密度はティース部11近傍よりスロット部12近傍の方が相対的に高くなるために、ティース部11の背後に薄肉部15を存在させることにより、スロット部12背後のヨーク部分を厚肉部14とし、磁束密度が高くなるスロット部12背後の部位の有効磁路断面積を最大限に活用することができる。
なお、ティース部11の背後の有効磁路面積に余裕がある場合には、薄肉部15の径方向の幅Pをヨーク部13の径方向幅Qと同等以上にしてもよい。
〔特徴点9=請求項10の手段〕
請求項1〜9のいずれか1つに記載の固定子鉄心Eの製造方法において、薄肉部15は、内径側部分より外径側部分の方が円周方向長が大なる「ハ」の字形状の凹部15aをなしていることを特徴としている(各実施例)。
上記手段によれば、凹部15aによって積層コア1の外周に凹所Mが形成されるが、たとえこの凹所Mに雨水が浸入したとしても、凹所M自体外周縁で広角的に開口するため、排水性がよく、積層コア1の発錆を抑制することができる。
〔特徴点10=請求項11の手段〕
請求項1〜10のいずれか1つに記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程は、一対の径の異なるローラ31、32でコアシート10を挟持しつつ板厚方向から前記突出部16を押圧することで、突出部16を平坦化するものであり、一対のローラ31、32のうち、径の小さいローラ31を突出部16の頂点側に位置させるとともに、径の大きいローラ32を突出部16の基点側に位置させることを特徴としている(例えば、実施例1)。
上記手段によれば、平坦化工程を、大小一対のローラ31、32という簡単な設備を用いて実施することができる。
〔特徴点11=請求項12の手段〕
請求項1〜10のいずれか1つに記載の固定子鉄心Eの製造方法において、第3工程は、回転するローラ34と固定の倣いガイド35とでコアシート10を挟持しつつ板厚方向から前記突出部16を押圧することで、突出部16を平坦化するものであり、ローラ34を突出部16の頂点側に位置させるとともに、倣いガイド35を突出部16の基点側に位置させることを特徴としている(例えば、実施例3、4)。
上記手段によれば、平坦化工程を、ローラ34と倣いガイド35とからなる簡単な設備で実施することができる。
〔特徴点12=請求項13の手段〕
請求項11または12に記載の固定子鉄心Eの製造方法において、コアシート10を挟持するローラ31、32、34および倣いガイド35の挟持面は円錐形状をなしていることを特徴としている(例えば、実施例3、4)。
上記手段によれば、簡単な構成で、上記特徴点3のごとくコアシート10を軸方向に傾けることができる。
1…積層コア、10…コアシート、11…ティース部、12…スロット部、13…ヨーク部、14…厚肉部、15…薄肉部、16…突出部、16a…山折り部分(頂点側)、16b、16c…谷折り部分(基点側)、ACG…自動車用交流発電機(回転電機)、D…固定子コイル、E…固定子鉄心。

Claims (13)

  1. 鉄心素材として磁性板からなる帯状のコアシート(10)が用いられ、内周側に固定子コイル(D)を巻装するためのティース部(11)およびスロット部(12)を有する円筒状の積層コア(1)で構成され、前記積層コア(1)の各巻回層の外周側には、前記コアシート(10)の板厚と同等の厚みを有する厚肉部(14)と、塑性変形加工により前記コアシート(10)の板厚より薄く形成された薄肉部(15)とが、円周方向に交互に位置するように配列されている、回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法であって、
    長さ方向の一方側に前記ティース部(11)および前記スロット部(12)を有するとともに、長さ方向の他方側に前記ティース部(11)および前記スロット部(12)を所定のピッチで連結するヨーク部(13)を有するように、前記コアシート(10)を作製する第1工程と、
    前記ヨーク部(13)で、かつ前記積層コア(1)の各巻回層の外周側に位置する領域において、板厚方向の一方側に向かって径方向に突出し、内径側部分より外径側部分の方が大なる突出高さを有する山形状の突出部(16)を、前記コアシート(10)の長手方向に所定間隔で複数成形する第2工程と、
    前記突出部(16)を板厚方向の他方側に向かって変形させて前記突出部(16)を平坦化することで、前記ヨーク部(13)の外周側を円周方向に伸長するとともに板厚方向の肉厚を薄くして、前記薄肉部(15)を形成する第3工程と、
    かくして得られた前記コアシート(10)を、前記ヨーク部(13)が外周側となるように螺旋状に巻取ることにより、前記積層コア(1)を円筒状に巻回形成する第4工程とを備え、
    前記第3工程では、前記コアシート(10)を長さ方向に送りながら、前記突出部(16)に対し、山形状の頂点側(山折り部分16a)とその裾野の円周方向の両側に位置する基点側(谷折り部分16b、16c)との3箇所で挟持しつつ板厚方向から押圧していくことで、前記突出部(16)を徐々に平坦化することを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  2. 請求項1に記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程では、前記突出部(16)を前記3箇所で挟持しつつ板厚方向から押圧するにあたり、前記コアシート(10)の送り方向に沿って前記3箇所の前記コアシート(10)の板厚方向における挟持間隔を順次狭めることで、前記突出部(16)を徐々に平坦化していくことを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程では、前記突出部(16)の平坦化により前記ヨーク部(13)の外周側を円周方向に伸長させることで、前記コアシート(10)を前記ティース部(11)側が内周側となるように湾曲状に変形させることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  4. 請求項3に記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程では、前記コアシート(10)を前記積層コア(1)の積層方向に傾けさせながら湾曲状に変形させることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程では、前記突出部(16)を前記山折り部分16aが板厚内に収容されるまで押圧変形させることによって、前記薄肉部(15)を形成することを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程では、前記突出部(16)に対し、前記山折り部分(16a)の一部が板厚より突出したままの状態で平坦化を完了することによって、前記薄肉部(15)を形成するとともに、
    前記第4工程では、前記コアシート(10)を、前記ヨーク部(13)が外周側となるように螺旋状に巻取る際に、前記山折り部分(16a)の突出部分が上下に重なる前記コアシート(10)で凹凸嵌合して前記積層コア(1)の巻回層相互間の位置決めを行うことを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程では、前記突出部(16)を、前記山折り部分(16a)および前記谷折り部分(16b、16c)が残留するように平坦化することを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  8. 請求項7に記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記谷折り部分(16b、16c)が前記厚肉部(14)と前記薄肉部(15)との境界線を形成し、前記山折り部分(16a)が前記薄肉部(15)内で径方向に伸びる筋金を形成していることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第2工程で前記突出部(16)を成形する前記領域は、前記ティース部(11)の配列位置に対応していることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記薄肉部(15)は、内径側部分より外径側部分の方が円周方向長が大なる「ハ」の字形状の凹部(15a)をなしていることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1つに記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程は、一対の径の異なるローラ(31、32)で前記コアシート(10)を挟持しつつ板厚方向から前記突出部(16)を押圧することで、前記突出部(16)を平坦化するものであり、
    前記一対のローラ(31、32)のうち、径の小さいローラ(31)を前記突出部(16)の頂点側に位置させるとともに、径の大きいローラ(32)を前記突出部(16)の基点側に位置させることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか1つに記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記第3工程は、回転するローラ(34)と固定の倣いガイド(35)とで前記コアシート(10)を挟持しつつ板厚方向から前記突出部(16)を押圧することで、前記突出部(16)を平坦化するものであり、
    前記ローラ(34)を前記突出部(16)の頂点側に位置させるとともに、前記倣いガイド(35)を前記突出部(16)の基点側に位置させることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法において、
    前記コアシート(10)を挟持する前記ローラ(31、32、34)および前記倣いガイド(35)の挟持面は円錐形状をなしていることを特徴とする回転電機(ACG)の固定子鉄心(E)の製造方法。

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