JP2014192236A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オン抵抗の増加と耐圧の低下とを同時に抑制する半導体装置を提供すること。
【解決手段】基板上に形成された窒化物系半導体からなる第1半導体層と、前記第1半導体層の表面に形成され、前記第1半導体層よりもバンドギャップが広い窒化物系半導体からなる第2半導体層と、前記第2半導体層の表面に形成された絶縁体からなる保護膜と、前記第2半導体層上に形成された第1電極と、前記第2半導体層の表面に接触する第2電極と、を備え、前記第1半導体層の前記第2半導体層との界面にはキャリアが発生しており、前記第1半導体層は、少なくとも前記第1電極の前記第2電極側端部の直下において、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向と交差する第2方向において、前記キャリアのキャリア密度が所定値である第1領域と該所定値よりも低い第2領域とを有する半導体装置。
【選択図】図1
【解決手段】基板上に形成された窒化物系半導体からなる第1半導体層と、前記第1半導体層の表面に形成され、前記第1半導体層よりもバンドギャップが広い窒化物系半導体からなる第2半導体層と、前記第2半導体層の表面に形成された絶縁体からなる保護膜と、前記第2半導体層上に形成された第1電極と、前記第2半導体層の表面に接触する第2電極と、を備え、前記第1半導体層の前記第2半導体層との界面にはキャリアが発生しており、前記第1半導体層は、少なくとも前記第1電極の前記第2電極側端部の直下において、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向と交差する第2方向において、前記キャリアのキャリア密度が所定値である第1領域と該所定値よりも低い第2領域とを有する半導体装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体装置に関するものである。
ワイドバンドギャップ半導体は、高い絶縁破壊耐圧、良好な電子輸送特性、良好な熱伝導度を持つので、高温環境用、大パワー用、あるいは高周波用半導体デバイスの材料として非常に魅力的である。代表的なワイドバンドギャップ半導体として、GaN、AlN、InN、BNまたはこれらのうち2以上の混晶である窒化物系半導体がある。また、たとえばAlGaN/GaNヘテロ接合構造を有する半導体装置は、ピエゾ効果によって、ヘテロ接合界面に2次元電子ガスが発生している。この2次元電子ガスは、高い電子移動度とキャリア密度を有している。そのため、このようなAlGaN/GaNヘテロ接合構造を有する半導体装置、たとえばショットキーバリアダイオードや電界効果トランジスタは、高耐圧、低いオン抵抗、および速いスイッチング速度を有し、パワースイッチング応用に非常に好適である。
また、より高い耐圧を実現するために、AlGaN/GaNヘテロ接合構造を有する素子において、ショットキー電極が、半導体層の表面に形成された絶縁体からなる表面保護膜上に乗り上げてフィールドプレート構造を形成した電界効果トランジスタが開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載される構成の場合、ゲート電極−ドレイン電極間に逆電圧を印加すると、ゲート電極側から2次元電子ガスが徐々に空乏化していく際に、フィールドプレート部のドレイン電極側端部と、空乏化した領域に隣接するまだ空乏化していない2次元電子ガスとの間に強い電界集中が発生する。このとき表面保護膜中での電界が絶縁破壊電界を超えると、素子特性が劣化する。このため、素子の耐圧が低下するという問題が生じる。
一方、電界集中を緩和するために、2次元電子ガスのキャリア密度を低くして、ピンチオフ電圧を低下させることで強い電界集中を抑制する方法も考えられる。しかし、2次元電子ガスのキャリア密度を低くすると、順電圧印加時のオン抵抗が高くなるという問題が生じる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、オン抵抗の増加と耐圧の低下とを同時に抑制する半導体装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、基板上に形成された窒化物系半導体からなる第1半導体層と、前記第1半導体層の表面に形成され、前記第1半導体層よりもバンドギャップが広い窒化物系半導体からなる第2半導体層と、前記第2半導体層の表面に形成された絶縁体からなる保護膜と、前記第2半導体層上に形成された第1電極と、前記第2半導体層の表面に接触する第2電極と、を備え、前記第1半導体層の前記第2半導体層との界面にはキャリアが発生しており、前記第1半導体層は、少なくとも前記第1電極の前記第2電極側端部の直下において、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向と交差する第2方向において、前記キャリアのキャリア密度が所定値である第1領域と該所定値よりも低い第2領域とを有することを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第2領域上の前記第2半導体層の表面に形成され、前記第2半導体層よりもバンドギャップが狭い窒化物系半導体からなる第3半導体層をさらに備えることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第3半導体層の厚さが5nm〜100nmであることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1および第2領域上において前記第2半導体層の表面に形成され、前記第2半導体層よりもバンドギャップが狭い窒化物系半導体からなり、前記第2領域上における厚さが、前記第1領域上における厚さよりも厚い第3半導体層をさらに備えることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1領域上における前記第3半導体層の厚さが0nmより大きく5nm以下であり、前記第2領域上における前記第3半導体層の厚さが5nm〜100nmであることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第2領域上における前記第2半導体層の厚さが、前記第1領域上における前記第2半導体層の厚さよりも薄いことを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第2半導体層は、前記第2領域上におけるバンドギャップが、前記第1領域上におけるバンドギャップよりも狭いことを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1領域は2つの前記第2領域の間に位置することを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1領域の前記第2方向おける幅が0.1μm〜2μmであることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1電極は前記第2半導体層とショットキー接触するアノード電極であり、ショットキーダイオードであることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1電極はゲート電極であり、電界効果トランジスタであることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1電極は前記第2半導体層とショットキー接触していることを特徴とする。
本発明に係る半導体装置は、上記発明において、前記第1電極は前記第1半導体層とゲート絶縁膜を介して接触していることを特徴とする。
本発明によれば、オン抵抗の増加と耐圧の低下とを同時に抑制する半導体装置を実現できるという効果を奏する。
以下に、図面を参照して本発明に係る半導体装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の模式的な平面図である。図2は、図1に示す半導体装置のA−A線断面図である。図3は、図1に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10は、ショットキーバリアダイオードであって、基体1上に形成された、第1半導体層2、第2半導体層3、第1電極4、第2電極5および保護膜6を備えている。
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の模式的な平面図である。図2は、図1に示す半導体装置のA−A線断面図である。図3は、図1に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10は、ショットキーバリアダイオードであって、基体1上に形成された、第1半導体層2、第2半導体層3、第1電極4、第2電極5および保護膜6を備えている。
基体1は、第1半導体層2の下地となる層であり、たとえば、Si、SiC、サファイア、GaN等からなる基板上に、適宜バッファ層等の所望の半導体層が形成された構成を有する。
第1半導体層2は、窒化物系半導体からなる層であり、電子走行層として機能する。第2半導体層3は、第1半導体層2の表面に形成され、第1半導体層2よりもバンドギャップが広い窒化物系半導体からなり、電子供給層として機能する。たとえば、第1半導体層2はGaNからなり、第2半導体層3はAlGaNからなるが、第1半導体層2および第2半導体層3を構成する窒化物系半導体材料は、バンドギャップが所望の関係を満たすものであれば特に限定はされない。また、第2半導体層3はAlGaN単層に限らず、AlN層とGaN層を複数層交互に積層させた疑似混晶層であってもよい。その場合は、疑似混晶層を厚さ方向で平均した時のバンドギャップエネルギーが電子走行層より大きければ良い。また、疑似混晶層中に2DEGが発生しない程度にAlN層とGaN層の厚さを調整してもよい。
第2半導体層3の層厚はたとえば10nm〜50nm、好ましくは20〜25nmである。また、第2半導体層3の平均Al組成はたとえば25%であるが、1%〜99%でもよく、20%〜35%であればより好ましい。
保護膜6は、第2半導体層3の表面に形成されており、たとえばSiNやSiO2、Al2O3等の絶縁体からなる。尚、本明細書において、SiNやSiO2と記載しているものは、一般的な呼称としてSiN、あるいは、SiO2と呼ばれるものの集合を指す。つまり、例えば、SiNxやSiONなども含む。
第1電極4は、第2半導体層3とショットキー接触している。第1電極4はたとえばNi/Au構造を有する。この第1電極4はアノード電極として機能する。一方、第2電極5は、第1電極4とは保護膜6を隔てて第2半導体層3の表面に形成されており、第2半導体層3にオーミック接触している。第2電極5はたとえばTi/Al構造を有する。この第2電極5はカソード電極として機能する。
第1半導体層2の第2半導体層3との界面にはキャリアである2次元電子ガス2aが発生している。ここで、第1半導体層2は、少なくとも第1電極4の第2電極5側端部の直下において、第1電極4から第2電極5に向かう第1方向と直角に交差する第2方向において、第2領域2b、2cと、第2領域2b、2cの間に位置する第1領域2dとを有している。なお、第2領域2b、2cの第1方向における幅は、0.5μm〜1.5μmであることが好ましい。
図1に示すように、A−A線断面は第2領域2bを横断し、B−B線断面は第1領域2dを横断している。ここで、図1〜3では、キャリア密度を破線の太さで表している。図2に示すように、A−A線断面では、第2領域2bの2次元電子ガス2abのキャリア密度は、A−A線断面の他の領域の2次元電子ガス2aのキャリア密度よりも低くなっている。一方、図3に示すように、B−B線断面では、第1領域2dを含めて2次元電子ガス2aのキャリア密度は或る一定の所定値である。このように、第1半導体層2は、キャリ密度が所定値である第1領域2dとこの所定値よりも低い第2領域2bとを有している。なお、第2領域2cについても、第2領域2bと同程度または等しいキャリア密度であるとする。
図4は、図1に示す半導体装置10に掛かる電界の説明図であって、C−C線断面を示している。半導体装置10のアノード電極(第1電極4)−カソード電極(第2電極5)間に逆電圧を印加すると、第1電極4側から2次元電子ガス2a、2abが徐々に空乏化していく。このとき、第1電極4の第2電極5側端部と、その直下であって距離が近い第1領域2d、第2領域2b、2cの2次元電子ガス2a、2ab、2acとの間に強い電界が発生する。しかしながら、第2領域2b、2cでは、2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度が低くされているので空乏化しやすいため、第1電極4の第2電極5側端部との間の電界が強くなる前に空乏化する。さらに、空乏化した第2領域2b、2cの電位は空乏化したときの第2電極5の電位で固定されるため、空乏化した第2領域2b、2cと、2次元電子ガス2aのキャリア密度が高くまだ空乏化していない第1領域2dとの間に、電界Eが発生する。その結果、第1領域2dは縦方向及び横方向からの電界Eによって空乏化が促進され、より低い電界強度で空乏化する。これによって、保護膜6中での強い電界の発生が抑制ないし防止される。その結果、半導体装置10の耐圧の低下が抑制され、素子特性の劣化も抑制される。
一方、アノード電極(第1電極4)−カソード電極(第2電極5)間に順電圧を印加した場合には、キャリア密度が高い第1領域2dが存在するため、第1領域2d、第2領域2b、2c全体のキャリア密度を低下させる場合に比して、アノード−カソード間のオン抵抗の増大は抑制される。このように、半導体装置10は、オン抵抗の増加と耐圧の低下とが同時に抑制されたものとなっている。
なお、第2領域2b、2cの間に位置する第1領域2dの第2方向における幅W(図1参照)は、0.1μm〜2μmであることが好ましい。0.1μm以上であればオン抵抗増大抑制の効果が好適に発揮され、2μm以下であれば第2領域2b、2cからの電界Eによる空乏化の効果が十分であり、耐圧の低下が好適に発揮される。
以上説明したように、本実施の形態1に係る半導体装置10は、オン抵抗の増加と耐圧の低下とが同時に抑制されたものである。
以下、本発明の実施の形態2〜7として、実施の形態1に係る半導体装置10のような第1領域2dと第2領域2b、2cとのキャリア密度差を実現する構成を有する半導体装置を説明する。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の模式的な平面図である。図6は、図5に示す半導体装置のA−A線断面図である。図7は、図5に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Aは、図1に示す半導体装置10において、第1電極4を第1電極4Aに置き換え、さらに、第2半導体層3の表面に形成された第3半導体層7b、7cを備えているものである。第3半導体層7b、7cは、第2領域2b、2c(図1参照)上に形成されている。また、第1電極4Aは、第2電極5側端部が第3半導体層7b、7cに乗り上げているフィールドプレート部4Aaを備えている。また、図6において、保護膜6は第2電極5と第3半導体層7bとの間に形成されているが、一部が第3半導体層7bの上に乗り上げるように形成されていても良い。
図5は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の模式的な平面図である。図6は、図5に示す半導体装置のA−A線断面図である。図7は、図5に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Aは、図1に示す半導体装置10において、第1電極4を第1電極4Aに置き換え、さらに、第2半導体層3の表面に形成された第3半導体層7b、7cを備えているものである。第3半導体層7b、7cは、第2領域2b、2c(図1参照)上に形成されている。また、第1電極4Aは、第2電極5側端部が第3半導体層7b、7cに乗り上げているフィールドプレート部4Aaを備えている。また、図6において、保護膜6は第2電極5と第3半導体層7bとの間に形成されているが、一部が第3半導体層7bの上に乗り上げるように形成されていても良い。
第3半導体層7b、7cは、第2半導体層3よりもバンドギャップが狭い窒化物系半導体からなる。第3半導体層7b、7cはたとえばGaNからなるが、バンドギャップが所望の関係を満たす窒化物系半導体であれば特に限定はされず、たとえばInGaN等のInを含むものでもよい。
第3半導体層7b、7cは、第2半導体層3よりもバンドギャップが狭いため、第1半導体層2と第2半導体層3との界面に働くピエゾ効果を弱める働きがある。これによって、第2領域2b、2cにおける2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度の低減が実現される。なお、第1領域2dでは、第1半導体層2と第2半導体層3との関係で定まる、界面に働くピエゾ効果によって、高いキャリア密度の2次元電子ガス2aとなっている。
第3半導体層7b、7cの厚さtは、2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度を所望の値に低減できる程度の厚さであればよいが、たとえば第3半導体層7b、7cがGaNからなる場合は、たとえば5nm〜100nmが好ましい。第3半導体層7b、7cの厚さをより厚くするか、第2半導体層3とのバンドギャップ差をより大きくすることで、2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度をより低減することができる。
図8は、半導体装置10AのB−B線断面において第2領域における厚さ方向に沿ったエネルギーバンドおよびキャリア密度の一例を示す図である。図9は、半導体装置10Aの半導体装置のA−A線断面において第1領域における厚さ方向に沿ったエネルギーバンドおよびキャリア密度の一例を示す図である。図8に示すように、第3半導体層7b、7cの無いB−B線断面においては、第1半導体層2の第2半導体層3との界面にピーク値が2.5E+19cm−3(すなわち2.5×1019cm−3)程度の高密度の2次元電子ガスが発生している。一方、図9に示すように、第3半導体層7bを有するA−A線断面においては、第1半導体層2の第2半導体層3との界面での2次元電子ガスのピーク値が5E+18cm−3(すなわち5×1018cm−3)程度に低減されている。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の模式的な平面図である。図11は、図10に示す半導体装置のA−A線断面図である。図12は、図10に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Bは、図1に示す半導体装置10において、第2半導体層3、第1電極4を第2半導体層3B、第1電極4Bに置き換えたものである。第2半導体層3Bでは、第2領域2b、2c上における厚さが、第1領域2dやその他の領域上における厚さよりも薄くなるようにリセス部3Bb、3Bcが形成されている。
図10は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の模式的な平面図である。図11は、図10に示す半導体装置のA−A線断面図である。図12は、図10に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Bは、図1に示す半導体装置10において、第2半導体層3、第1電極4を第2半導体層3B、第1電極4Bに置き換えたものである。第2半導体層3Bでは、第2領域2b、2c上における厚さが、第1領域2dやその他の領域上における厚さよりも薄くなるようにリセス部3Bb、3Bcが形成されている。
リセス部3Bb、3Bcの直下では、第1半導体層2と第2半導体層3Bとの界面に働くピエゾ効果が弱まる。これによって、第2領域2b、2cにおける2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度の低減が実現される。
リセス部3Bb、3Bcにおける第2半導体層3Bの層厚は、2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度を所望の値に低減できる程度の厚さであればよいが、たとえば第2半導体層3Bが、Al組成が25%のAlGaNからなる場合は、1nm〜40nm、好ましくは10nm〜20nmである。リセス部3Bb、3Bcにおける第2半導体層3Bの層厚をより薄くすることで、2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度をより低減することができる。
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4に係る半導体装置の模式的な平面図である。図14は、図13に示す半導体装置のA−A線断面図である。図15は、図13に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Cは、図1に示す半導体装置10において、第2半導体層3を第2半導体層3Cに置き換えたものである。第2半導体層3Cは、第2領域2b、2c上に部分3Cb、3Ccを有し、部分3Cbにおけるバンドギャップは、第1領域2dやその他の領域上における第2半導体層3Cのバンドギャップよりも狭くなっている。
図13は、本発明の実施の形態4に係る半導体装置の模式的な平面図である。図14は、図13に示す半導体装置のA−A線断面図である。図15は、図13に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Cは、図1に示す半導体装置10において、第2半導体層3を第2半導体層3Cに置き換えたものである。第2半導体層3Cは、第2領域2b、2c上に部分3Cb、3Ccを有し、部分3Cbにおけるバンドギャップは、第1領域2dやその他の領域上における第2半導体層3Cのバンドギャップよりも狭くなっている。
部分3Cb、3Ccの直下では、第1半導体層2と第2半導体層3Cとの界面に働くピエゾ効果が弱まる。これによって、第2領域2b、2cにおける2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度の低減が実現される。
部分3Cb、3Ccのバンドギャップは、2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度を所望の値に低減できる程度の値であればよいが、たとえば第2半導体層3Cが、その他の領域におけるAl組成が25%のAlGaNからなる場合は、部分3Cb、3CcにおけるAlGaNのAl組成は、1%〜24%、好ましくは10%〜20%である。このように、第2半導体層3Cおよびその部分3Cb、3CcがAlGaNからなる場合は、部分3Cb、3CcにおけるAl組成をより小さくすることで、バンドギャップがより狭くなるので、2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度をより低減することができる。
なお、このような部分3Cb、3Ccは、まず第2半導体層3Cを形成し、その後部分3Cb、3Ccを形成すべき領域の第2半導体層2Cを選択的にエッチング等によって除去し、除去した箇所に部分3Cb、3Ccを選択再成長することで、実現することができる。
(実施の形態5)
図16は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の模式的な平面図である。図17は、図16に示す半導体装置のA−A線断面図である。図18は、図16に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Dは、図5に示す半導体装置10Aにおいて、第1電極4Aを第1電極4Dに置き換えたものである。
図16は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の模式的な平面図である。図17は、図16に示す半導体装置のA−A線断面図である。図18は、図16に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Dは、図5に示す半導体装置10Aにおいて、第1電極4Aを第1電極4Dに置き換えたものである。
第1電極4Dは、保護膜6に乗り上げて多段の階段状をなしているフィールドプレート部4Daを備えている。このように、フィールドプレート部4Daが多段の階段状をなしており、電界が集中しやすい角部を複数備えていることによって、フィールドプレート部4Daの角部一箇所あたりに掛かる電界が分散されるので、半導体装置10Dの耐圧は向上する。
(実施の形態6)
図19は、本発明の実施の形態6に係る半導体装置の模式的な平面図である。図20は、図19に示す半導体装置のA−A線断面図である。図21は、図19に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Eは、電界効果トランジスタである高移動度トランジスタ(HEMT)であって、基体1上に形成された、第1半導体層2、第2半導体層3、第1電極4E、第2電極5、第3電極8、第3半導体層7b、7c、および保護膜6を備えている。
図19は、本発明の実施の形態6に係る半導体装置の模式的な平面図である。図20は、図19に示す半導体装置のA−A線断面図である。図21は、図19に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Eは、電界効果トランジスタである高移動度トランジスタ(HEMT)であって、基体1上に形成された、第1半導体層2、第2半導体層3、第1電極4E、第2電極5、第3電極8、第3半導体層7b、7c、および保護膜6を備えている。
第3半導体層7b、7cは、第2半導体層3の表面の第2領域2b、2c上に形成されている。
第3電極8は、第1電極4Eを挟んで第2電極5とは反対側の位置にて第2半導体層3の表面に形成されており、第2半導体層3にオーミック接触している。第3電極8はたとえばTi/Al構造を有する。この第3電極8はソース電極として機能する。また、第2電極5はドレイン電極として機能する。
第1電極4Eは、第2半導体層3とショットキー接触するとともに、第3半導体層7b、7cおよび保護膜6に乗り上げて階段形状を成すフィールドプレート部4Ea、4Ebを有する。フィールドプレート部4Eaは第2電極5側に伸び、フィールドプレート部4Ebは第3電極8側に伸びている。第1電極4EはたとえばNi/Au構造を有する。この第1電極4Eはゲート電極として機能する。
この半導体装置10Eにおいても、第3半導体層7b、7cによって、第2領域2b、2cにおける2次元電子ガス2ab、2acのキャリア密度の低減が実現される。その結果、ソース電極(第3電極8)−ドレイン電極(第2電極5)間に逆電圧を印加したときに、第2領域2b、2cおよびその間の第1領域2dの2次元電子ガス2ab、2ac、2aの空乏化が低い電界強度で行われる。その結果、半導体装置10Eの耐圧の低下が抑制され、素子特性の劣化も抑制される。
一方、ソース電極(第3電極8)−ドレイン電極(第2電極5)間に順電圧を印加した場合には、キャリア密度が高い第1領域2dが存在するため、オン抵抗の増大は抑制される。このように、半導体装置10Eは、オン抵抗の増加と耐圧の低下とが同時に抑制されたものとなっている。
(実施の形態7)
図22は、実施の形態7に係る半導体装置の模式的な平面図である。図23は、図22に示す半導体装置のA−A線断面図である。図24は、図22に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Fは、MOS構造を有するHEMTであって、図19〜21に示す半導体装置10Eと比較して、第2半導体層3Fの表面から第1半導体層2Fに到る深さを有するリセス部Rが形成され、リセス部Rにゲート絶縁膜9が形成されている点が異なる。なお、第1電極4Fは第1半導体層2Fとはゲート絶縁膜9を介して接触している。ゲート絶縁膜9は保護膜6と同様の材料で形成することができる。また、第1電極4Fは、第3半導体層7Fb、7Fcおよび保護膜6に乗り上げて階段形状を成すフィールドプレート部4Fa、4Fbを有する。フィールドプレート部4Faは第2電極5側に伸び、フィールドプレート部4Fbは第3電極8側に伸びている。第1電極4FはたとえばNi/Au構造を有する。この第1電極4Fはゲート電極として機能する。
図22は、実施の形態7に係る半導体装置の模式的な平面図である。図23は、図22に示す半導体装置のA−A線断面図である。図24は、図22に示す半導体装置のB−B線断面図である。この半導体装置10Fは、MOS構造を有するHEMTであって、図19〜21に示す半導体装置10Eと比較して、第2半導体層3Fの表面から第1半導体層2Fに到る深さを有するリセス部Rが形成され、リセス部Rにゲート絶縁膜9が形成されている点が異なる。なお、第1電極4Fは第1半導体層2Fとはゲート絶縁膜9を介して接触している。ゲート絶縁膜9は保護膜6と同様の材料で形成することができる。また、第1電極4Fは、第3半導体層7Fb、7Fcおよび保護膜6に乗り上げて階段形状を成すフィールドプレート部4Fa、4Fbを有する。フィールドプレート部4Faは第2電極5側に伸び、フィールドプレート部4Fbは第3電極8側に伸びている。第1電極4FはたとえばNi/Au構造を有する。この第1電極4Fはゲート電極として機能する。
この半導体装置10Fにおいても、第3半導体層7Fb、7Fcによって、第2領域2Fb、2Fcにおける2次元電子ガス2Fab等のキャリア密度の、第2領域2Fdの2次元電子ガス2Faに対する低減が実現される。その結果、半導体装置10Fは、オン抵抗の増加と耐圧の低下とが同時に抑制されたものとなっている。
ところで、上記各実施の形態において、電子供給層としての第2半導体層はたとえばAlGaNの混晶からなる。この電子供給層としての第2半導体層としては、疑似混晶構造で構成してもよい。疑似混晶構造は、たとえばAlN層/GaN層等の、異なる2つの組成の窒化物系半導体層を交互に複数層だけ積層してなる超格子構造によって実現できる。この場合の第2半導体層のバンドギャップは、たとえば積層方向における平均的なバンドギャップによって規定される値となる。尚、第2半導体層のAl組成は、積層方向における平均的なAl組成とする。また、電子供給層としての第2半導体層は、電子供給層内に2次元電子ガスが発生しない範囲で、組成の異なるAlGaN層を複数層だけ積層してなる超格子構造で構成しても良い。この場合も第2半導体層のバンドギャップは、たとえば積層方向における平均的なバンドギャップによって規定される値となる。また、第2半導体層のAl組成は、積層方向における平均的なAl組成とする。
なお、2次元電子ガスのキャリア密度が低い領域を形成する方法としては、上記実施の形態で採用している各方法に限定されず、たとえば第1半導体層に、イオン注入法等にて2次元電子ガスを中和する不純物を導入する方法でもよい。
また、上記実施の形態2、5〜7では、第2領域上に第3半導体層が形成されており、第1領域上には第3半導体層が形成されていないが、第1領域上にも第3半導体層を形成してもよい。この場合、第2領域上における第3半導体層の厚さを、第1領域上における第3半導体層の厚さよりも厚くする。これによって、第1領域と第2領域とで所望のキャリア密度差を形成することができる。この場合、たとえば第2領域上における第3半導体層の厚さを5nm〜100nmとし、第1領域上における第3半導体層の厚さを、0nmより大きく5nm以下とすればよい。
また、上記実施の形態では、第1半導体層は、少なくとも第1電極の第2電極側端部の直下において、第1電極から第2電極に向かう第1方向と交差する第2方向において、第1領域と、第1領域よりもキャリア密度が低い第2領域とを有しているが、さらに第1領域および第2領域のキャリア密度とは異なるキャリア密度を有する第3領域とを有していてもよい。また、上記実施の形態では、第1領域が1つ、第2領域が2つであるが、第1領域および第2領域、さらには第3領域の数は特に限定されない。さらには、上記実施の形態では、第1領域および第2領域のそれぞれではキャリア密度が一様であり、その境界ではステップ状のキャリア密度プロファイルとなっているが、領域の内部または境界において、連続的に変化するキャリア密度プロファイルとなっていてもよい。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1 基体
2、2F 第1半導体層
2a、2ab、2ac、2Fa、2Fab 2次元電子ガス
2b、2c、2Fb、2Fc 第2領域
2d、2Fd 第1領域
3、3B、3C、3F 第2半導体層
3Bb、3Bc リセス部
3Cb、3Cc 部分
4Aa、4Da、4Ea、4Eb 、4Fa、4Fb フィールドプレート部
4、4A、4B、4D、4E、4F 第1電極
5 第2電極
7b、7c、7Fb、7Fc 第3半導体層
8 第3電極
9 ゲート絶縁膜
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F 半導体装置
E 電界
R リセス部
t 厚さ
W 幅
2、2F 第1半導体層
2a、2ab、2ac、2Fa、2Fab 2次元電子ガス
2b、2c、2Fb、2Fc 第2領域
2d、2Fd 第1領域
3、3B、3C、3F 第2半導体層
3Bb、3Bc リセス部
3Cb、3Cc 部分
4Aa、4Da、4Ea、4Eb 、4Fa、4Fb フィールドプレート部
4、4A、4B、4D、4E、4F 第1電極
5 第2電極
7b、7c、7Fb、7Fc 第3半導体層
8 第3電極
9 ゲート絶縁膜
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F 半導体装置
E 電界
R リセス部
t 厚さ
W 幅
Claims (13)
- 基板上に形成された窒化物系半導体からなる第1半導体層と、
前記第1半導体層の表面に形成され、前記第1半導体層よりもバンドギャップが広い窒化物系半導体からなる第2半導体層と、
前記第2半導体層の表面に形成された絶縁体からなる保護膜と、
前記第2半導体層上に形成された第1電極と、
前記第2半導体層の表面に接触する第2電極と、
を備え、前記第1半導体層の前記第2半導体層との界面にはキャリアが発生しており、
前記第1半導体層は、少なくとも前記第1電極の前記第2電極側端部の直下において、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向と交差する第2方向において、前記キャリアのキャリア密度が所定値である第1領域と該所定値よりも低い第2領域とを有することを特徴とする半導体装置。 - 前記第2領域上の前記第2半導体層の表面に形成され、前記第2半導体層よりもバンドギャップが狭い窒化物系半導体からなる第3半導体層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第3半導体層の厚さが5nm〜100nmであることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
- 前記第1および第2領域上において前記第2半導体層の表面に形成され、前記第2半導体層よりもバンドギャップが狭い窒化物系半導体からなり、前記第2領域上における厚さが、前記第1領域上における厚さよりも厚い第3半導体層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
- 前記第1領域上における前記第3半導体層の厚さが0nmより大きく5nm以下であり、前記第2領域上における前記第3半導体層の厚さが5nm〜100nmであることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
- 前記第2領域上における前記第2半導体層の厚さが、前記第1領域上における前記第2半導体層の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置。
- 前記第2半導体層は、前記第2領域上におけるバンドギャップが、前記第1領域上におけるバンドギャップよりも狭いことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置。
- 前記第1領域は2つの前記第2領域の間に位置することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の半導体装置。
- 前記第1領域の前記第2方向おける幅が0.1μm〜2μmであることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
- 前記第1電極は前記第2半導体層とショットキー接触するアノード電極、ショットキーダイオードであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の半導体装置。
- 前記第1電極はゲート電極であり、電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の半導体装置。
- 前記第1電極は前記第2半導体層とショットキー接触していることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
- 前記第1電極は前記第1半導体層とゲート絶縁膜を介して接触していることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013064543A JP2014192236A (ja) | 2013-03-26 | 2013-03-26 | 半導体装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013064543A JP2014192236A (ja) | 2013-03-26 | 2013-03-26 | 半導体装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014192236A true JP2014192236A (ja) | 2014-10-06 |
Family
ID=51838257
Family Applications (1)
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JP2013064543A Pending JP2014192236A (ja) | 2013-03-26 | 2013-03-26 | 半導体装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2014192236A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016143865A (ja) * | 2015-02-05 | 2016-08-08 | 株式会社豊田中央研究所 | ダイオード |
JP7513484B2 (ja) | 2020-10-09 | 2024-07-09 | 株式会社デンソー | 半導体装置 |
-
2013
- 2013-03-26 JP JP2013064543A patent/JP2014192236A/ja active Pending
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