JP2014192047A - 燃料電池車両の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】停止後の処理と通信充填に係る処理とを適切な態様で行うこと。
【解決手段】燃料電池車両の制御方法は、イグニッションスイッチがOFFにされた後に、主止弁を開き、スタックへ水素を供給し、スタックによる発電及びディスチャージを継続する停止時充電処理及びEGR停止処理(t10〜t15)と、水素タンクへの水素の充填開始要求が生じたことに応じて(t11)、水素タンクの状態を示すデータ信号を外部の水素ステーションに送信しながら、この水素ステーションから供給された水素を水素タンクに充填する通信充填(t15〜t16)と、停止時充電処理又はEGR停止処理を行っている間に充填開始要求が生じた場合には、実行中の停止時充電処理及びEGR停止処理が終了するまで通信充填の開始を待機する待機工程(t11〜t15)と、を含む。
【選択図】図9

Description

本発明は、燃料電池車両の制御方法に関する。より詳しくは、燃料電池車両への停止指令後に、燃料電池による発電及びディスチャージを継続する燃料電池車両の制御方法に関する。
燃料電池車両は、その電源システムとして燃料電池システムを備える。燃料電池は、燃料ガスである水素ガスと酸化剤ガスである空気とが供給されると発電する。燃料電池に水素ガスを供給するため、燃料電池のアノード流路には水素ガス供給管を介して水素タンクが接続されている。また、燃料電池に空気を供給するため、燃料電池のカソード流路には空気供給管を介してコンプレッサが接続されている。燃料電池システムは、起動されると水素ガス及び空気の供給を開始し、燃料電池による発電を開始する。
システムの停止中に、カソード流路内に酸素が残ったままであると、次回のシステム起動時にアノード系に水素を供給したときに燃料電池のカソード側が高電位状態になってしまい、燃料電池の固体高分子電解質膜が劣化するおそれがある。このため、燃料電池システムでは、システムの停止時にカソード流路内に残留する酸素を用いて燃料電池による発電及びディスチャージを継続し、燃料電池を不活性状態にした上でシステムを完全に停止させている(特許文献1参照)。また、このディスチャージ処理では、カソード側からアノード側への酸素透過をさらに抑制するため、カソード側では残留酸素を消費させ、アノード側には水素タンクから余分に水素ガスを供給し、アノード流路内の圧力を高くしておく方が好ましいことも知られている。
一方、近年では水素タンク内に水素ガスを充填するための技術についても盛んに研究が進められている。例えば特許文献2の技術では、水素ステーションの水素充填装置と燃料電池車両とを接続し、その水素タンク内に水素ガスを充填する際、車両側からはタンクの温度や圧力等に関するデータ信号をステーション側に送信し、ステーション側では受信したデータ信号に基づいて最適な態様で水素ガスを充填する。このように車両側とステーション側とで通信を行いながら水素ガスを充填する技術を、以下では通信充填という。
特開2003−115317号公報 特開2011−33068号公報
上記ディスチャージ処理は、利用者によるシステム停止操作を契機として、システム停止操作後も継続して行われる処理である。そして水素ガスの充填は、システム停止操作後に、利用者の意思に基づいて行われる処理である。したがって、システム停止操作後にディスチャージ処理を行っている間に、水素ガスを充填する操作が行われることがあり得るが、このような場合にどちらの処理を優先して行うか、又はどのような態様で両方の処理を並行して行うか等については十分に検討されていない。例えば、通信充填と並行してディスチャージ処理を行うとなると、水素タンクの状態が変動してしまい、車両側からは正確な水素タンクの状態に関するデータを送信できず、充填に時間がかかったり満充填できなくなったりするおそれがある。
本発明は、停止指令後に燃料電池による発電及びディスチャージを継続して行う燃料電池車両の制御方法であって、停止後の処理と通信充填に係る処理とを適切な態様で行うことを目的とする。
(1)燃料電池車両(例えば、後述の燃料電池車両V)は、燃料ガス及び酸化剤が供給されると発電する燃料電池(例えば、後述のスタック2)と、燃料ガスを貯蔵する貯蔵容器(例えば、後述の水素タンク31のタンク本体311)と、前記貯蔵容器と前記燃料電池とを接続する燃料ガス供給路(例えば、後述の水素供給管32)と、前記燃料ガス供給路に設けられた開閉弁(例えば、後述の主止弁312)と、前記貯蔵容器の状態を示すデータ信号を外部へ送信する送信手段(例えば、後述の赤外線送信器66)と、を備える。この燃料電池車両の制御方法は、前記燃料電池車両への停止指令後に、前記開閉弁を開き、前記燃料電池へ燃料ガスを供給し、前記燃料電池による発電及びディスチャージを継続する停止処理工程(例えば、後述の図5のS1〜S6)と、前記貯蔵容器への燃料ガスの充填開始要求が生じたことに応じて、前記貯蔵容器の状態を示すデータ信号を外部の燃料供給源に送信しながら、当該外部の燃料供給源から供給された燃料ガスを前記貯蔵容器に充填する通信充填工程(例えば、後述の図7のS11〜S13)と、前記停止処理工程を行っている間に前記充填開始要求が生じた場合には、実行中の停止後ディスチャージ工程が終了するまで前記通信充填工程の開始を待機する待機工程(例えば、後述の図8の時刻t3〜t5、図9の時刻t11〜t15)と、を含む。
(2)この場合、前記燃料電池車両は、蓄電装置(例えば、後述のバッテリB)をさらに備え、前記停止処理工程は、前記燃料電池車両の停止指令後に、前記蓄電装置の残容量が所定の目標量(例えば、後述の停止時目標SOC)になるまで、前記燃料電池によって発電した電力を当該蓄電装置に充電する停止時充電工程を含み、前記停止時充電工程を開始する前又は前記停止時充電工程を行っている間に前記充填開始要求が生じた場合には、前記目標量は、前記充填開始要求が生じなかった場合よりも少なく設定されることが好ましい。
(1)停止処理工程を行っている間は、開閉弁が開かれているため、貯蔵容器内の燃料ガスが燃料電池へ向けて流出し、貯蔵容器内の状態が変動する。本発明では、このような停止処理工程を行っている間に充填開始要求が生じた場合には、実行中の停止処理工程が終了するまで通信充填工程の開始を待機する。これにより、停止指令後であっても停止処理工程が終了するまで通信充填を開始できなくなってしまうものの、燃料電池車両側からは貯蔵容器内の状態を正確に反映したデータ信号を外部充填装置へ送信できる。したがって、正確でないデータ信号を送信した場合と比較すれば、充填にかかる時間を短くでき、かつより確実に満充填にすることができる。また、満充填にすることにより、燃料電池車両の航続距離を延ばすことができる。
(2)本発明では、燃料電池車両の停止指令後に停止時充電工程を行うことにより、蓄電装置の残容量を所定の必要残容量まで充電し、次回の燃料電池車両の起動の際に必要となる電力を蓄電装置に確保しておくことができる。また本発明では、このような停止時充電工程を開始する前又は停止時充電工程を行っている間に充填開始要求が生じた場合には、充填開始要求が生じなかった場合よりも残容量の目標量を少なくすることにより、停止時充電工程にかかる時間を短くする。したがって、停止処理工程にかかる時間も短くできるため、その分だけ通信充填の開始を早めることができるので、利用者の利便性を向上できる。
本発明の一実施形態に係る燃料電池車両及び水素ステーションとの構成を示す図である。 燃料電池システムの構成を示す図である。 FCV−ECU及び通信充填ECUの構成を示す図である。 システム停止処理における各装置の制御手順を示すタイムチャートである。 FCV−ECUにおいて実行されるシステム停止処理のうち、停止時充電処理とEGR停止処理とを実行する手順を示すフローチャートである。 停止時目標SOCの大きさを模式的に示す図である。 通信充填ECUにおいて実行される通信充填の具体的な手順を示すフローチャートである。 システムの停止指令後に行われるシステム停止処理及び通信充填の第1の例を示すタイムチャートである。 システムの停止指令後に行われるシステム停止処理及び通信充填の第2の例を示すタイムチャートである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、水素充填システムSの構成を示す図である。水素充填システムSは、水素を燃料ガスとして走行する燃料電池車両Vと、この車両Vの水素タンク31に水素を供給する水素ステーション9と、を組み合わせて構成される。
<水素ステーション9の構成>
水素ステーション9は、水素貯蔵タンク91とディスペンサ92とを備える。水素貯蔵タンク91には、車両Vに供給するための水素が高圧で貯蔵されている。この水素貯蔵タンク91内の水素は、液体水素を気化したもの、改質装置により原料を改質することで製造されたもの、或いは電解装置によって製造されたものなどを圧縮機で圧縮したものが用いられる。
ディスペンサ92は、その水素充填ノズル93が車両Vに設けられた水素導入口82に差し込まれると、水素貯蔵タンク91から供給された水素を減圧し、水素充填ノズル93から水素を供給する。水素充填ノズル93から供給された水素は、車両Vの水素タンク31に充填される。また、この水素充填ノズル93には、赤外線通信器94が設けられている。赤外線通信器94は、水素充填ノズル93を車両Vの水素導入口82に差し込むことにより、車両Vに搭載された後述の通信充填システム6との間で赤外線を介したデータ信号の送受信が可能となっている。ディスペンサ92では、車両Vへの水素の充填にあたって、通信充填と呼称される充填方法と、非通信充填と呼称される充填方法との2つの充填方法を選択的に実行できる。
通信充填とは、車両V及びステーション9間で通信を行いながら、車両Vに水素を充填する充填方法である。より具体的には、通信充填では、ディスペンサ92は、通信充填システム6から、水素タンク31の状態を示すデータ信号を赤外線通信器94によって受信し、このデータ信号に基づいて定められた充填態様(例えば、充填流量)で水素タンク31に水素を充填する。
非通信充填とは、車両V及びステーション9間で通信を行うことなく車両Vに水素を充填する充填方法である。より具体的には、非通信充填では、ディスペンサ92は、予め定められた規定の充填態様(例えば、充填流量)で水素タンク31に水素を充填する。非通信充填時のディスペンサ92は、現在の水素タンク31の温度はその時の平均的な温度よりも高温であると想定し、したがって充填流量は比較的小さな値に設定される。ただし非通信充填では、ディスペンサ92は水素タンク31の現在の状態を把握できないため、充填中にタンク内の温度が上昇しても、これに応じて充填流量を低減したりすることはできず、一定の流量で充填し続ける。このため、非通信充填では、充填中に水素タンク31内の温度が規定の上限温度に近づいてしまい、実際の満充填に達する前に充填が中断される場合がある。したがって、充填中に水素タンク31内の温度が規定の上限温度を超えないことを条件とすれば、通信充填と非通信充填とを比較すると通信充填の方が充填流量を適切に制御できるため、速やかに満充填又はその付近まで充填できる。
<燃料電池車両Vの構成>
燃料電池車両Vは、水素タンク31に貯蔵された水素によって発電し、発電した電力を利用して走行する燃料電池システム1と、この燃料電池システム1の制御を担う電子制御ユニット(以下、「FCV−ECU」という)11と、水素タンク31へ水素を充填する際に水素ステーション9との通信を担う通信充填システム6と、この通信充填システム6の制御を担う電子制御ユニット(以下、「通信充填ECU」という)61と、を備える。なお、図1には、燃料電池システム1全体の構成のうち、水素タンク31へ水素を供給するために必要な装置の構成を主に示す。
FCV−ECU11と通信充填ECU61とは、通信線Lで接続されており、相互通信可能となっている。これにより、2つのECU11,61のうち何れか一方で生成した信号を他方に送信したり、2つのECU11,61における判断を同期したりできる。以下では、このようなFCV−ECU11と通信充填ECU61との間の通信線Lを介した相互通信を、「FC−IR間通信」という。
<燃料電池システム1の構成>
図2は、燃料電池システム1の構成を示す図である。
燃料電池システム1は、燃料電池スタック2と、燃料電池スタック2に水素を供給するアノード系3と、燃料電池スタック2に酸化剤ガスとしての空気を供給するカソード系4と、燃料電池スタック2から排出されたガスの後処理を行う希釈器37と、燃料電池スタック2を冷却する冷却装置5と、燃料電池スタック2で発電した電力を蓄えるバッテリBと、燃料電池スタック2及びバッテリBからの電力の供給によって駆動する走行モータMと、FCV−ECU11と、を備える。なお、図2には、燃料電池システム1全体の構成のうち、燃料電池スタック2により発電させるために必要な装置の構成を主に示す。
燃料電池スタック(以下、単に「スタック」という)2は、例えば、数十個から数百個のセルが積層されたスタック構造である。各燃料電池セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成される。膜電極構造体は、アノード電極(陰極)及びカソード電極(陽極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜とで構成される。通常、両電極は、固体高分子電解質膜に接して酸化・還元反応を行う触媒層と、この触媒層に接するガス拡散層とから形成される。このスタック2は、アノード電極側に形成されたアノード流路21に水素が供給され、カソード電極側に形成されたカソード流路22に酸素を含んだ空気が供給されると、これらの電気化学反応により発電する。
発電中のスタック2から取り出される出力電流は、電流制御器29を介してバッテリBや負荷(走行モータM及びエアコンプレッサ41等)に入力される。電流制御器29は、図示しないDC−DCコンバータを備えており、そのチョッピング動作によって発電中のスタック2の出力電流を制御する。特に後述の停止時充電処理やEGRディスチャージ処理では、電流制御器29は、スタック2の出力電流をバッテリBの充電電流とし、これを所定の電流指令値に制御しながらバッテリBに充電する。
バッテリBは、スタック2で発電した電力や、走行モータMによって回生制動力として回収した電気エネルギーを蓄える。また、例えば燃料電池システム1の起動時や車両の高負荷運転時には、バッテリBに蓄えられた電力はスタック2の出力を補うようにして負荷に供給される。
アノード系3は、水素タンク31と、水素タンク31からスタック2のアノード流路21の導入部に至る水素供給管32と、アノード流路21の排出部から希釈器37に至る水素排出管33と、水素排出管33から分岐し水素供給管32に至る水素還流管34と、を含んで構成される。水素を含んだガスの水素循環流路は、水素供給管32、アノード流路21、水素排出管33及び水素還流管34によって構成される。
図1に戻って、水素タンク31は、水素ガスを高圧で貯蔵するタンク本体311と、タンク本体311から延びる水素供給管32に設けられた開閉弁としての主止弁312と、タンク本体311から延びる水素導入管313と、を備える。この水素導入管313は、一端側がタンク本体311に接続され、他端側が後述のリッドボックス81内に設けられた水素導入口82に接続されている。
水素導入管313には、2つの逆止弁314,315と、充填遮断弁316とが設けられている。充填遮断弁316は、タンク本体311へのガスの流入及びタンク本体311からのガスの流出を遮断する。逆止弁314,315は、それぞれ、タンク本体311の近傍と水素導入口82の近傍に設けられ、タンク本体311側から車両Vの外側へ水素が逆流するのを防止する。
リッドボックス81は、車両Vの側部後方に設けられており、その内部で水素導入口82を保護する。このリッドボックス81には、リッド83が回動可能に設けられている。水素ステーション9において、利用者はリッド83を開き、水素導入口82を外部に露出させ、ディスペンサ92の水素充填ノズル93を水素導入口82に差し込み、水素を充填する。
図2に戻って、水素供給管32のうち、主止弁312より下流側には、水素タンク31から供給された新たな水素ガスを、スタック2へ向けて噴射するインジェクタ35が設けられている。なお以下では、水素供給管32のうち、インジェクタ35と主止弁312との間の区間を中圧部321という。発電中のスタック2のアノード流路21内の圧力(以下、「アノード圧」という)は、中圧部321内の圧力が十分に高い状態でインジェクタ35を開閉駆動することにより所定の目標圧に制御される。
水素還流管34には、水素排出管33側のガスを水素供給管32へ圧送し、水素循環流路内で水素を含んだガスを循環させる水素ポンプ36が設けられている。水素排出管33のうち、上記水素還流管34との接続部より下流側には、パージ弁33aが設けられている。水素循環流路内を循環するガスの水素濃度が低下すると、スタック2の発電効率が低下する。このため、パージ弁33aは、スタック2の発電中に適切なタイミングで開かれる。これにより、水素循環流路内のガスは、希釈器37へ排出される。
カソード系4は、エアコンプレッサ41と、エアコンプレッサ41からカソード流路22の導入部に至る空気供給管42と、カソード流路22の排出部から希釈器37に至る空気排出管43と、空気排出管43から分岐し空気供給管42に至る空気還流管45と、空気排出管43から分岐し水素供給管32及び希釈器37に至るスタックバイパス管48と、を含んで構成される。酸素を含んだガスの酸素循環流路は、空気供給管42、カソード流路22、空気排出管43及び空気還流管45によって構成される。
エアコンプレッサ41は、システム外の空気を、空気供給管42を介してスタック2のカソード流路22に空気を供給する。また、空気排出管43には、カソード流路22内の圧力を調整するための背圧弁43bが設けられている。発電中のスタック2のカソード流路22内の圧力(以下、「カソード圧」という)は、エアコンプレッサ41で空気を供給しながら背圧弁43bの開度を調整することにより、スタック2の発電状態に応じた適切な大きさに制御される。
空気還流管45には、空気排出管43側のガスを空気供給管42に圧送し、酸素循環流路内で酸素を含んだガスを循環させるEGRポンプ46が設けられている。空気供給管42のうち空気還流管45との接続部よりもエアコンプレッサ41側には、システム1の停止中にエアコンプレッサ41側からカソード流路22側へ外気が流入するのを防止する入口封止弁42aが設けられている。また、空気排出管43のうち空気還流管45との分岐部よりも希釈器37側には、システム1の停止中に希釈器37側からカソード流路22側へ外気が流入するのを防止する出口封止弁43aが設けられている。これら封止弁42a、43aは、後述のEGR停止処理(例えば、後述の図4参照)において、カソード流路22に酸素濃度の低い不活性ガスを充填した状態で閉じられ、スタック2の劣化を抑制する。
スタックバイパス管48には、エアコンプレッサ41から希釈器37へ流れる空気の流量を制御するバイパス弁48aと、エアコンプレッサ41から水素供給管32へ流れる空気の流量を制御する掃気弁48bと、が設けられている。バイパス弁48aは、例えば背圧弁43bを閉じており、空気排出管43から希釈ガスを希釈器37に供給できない場合に開かれ、エアコンプレッサ41の直下の空気を希釈器37に供給する。掃気弁48bは、スタック2による発電を停止している間に、水素循環流路内に残留する不純物をエアコンプレッサ41から供給した空気で排出する掃気処理を実行する際に開かれる。
希釈器37は、上述の背圧弁43b、及びバイパス弁48aを介して導入されたガスを希釈ガスとして、パージ弁33aを介して排出された水素を含んだガスを希釈し、システム外に排出する。
冷却装置5は、スタック2を経路に含む冷媒循環流路51と、冷媒循環流路51内の冷媒を所定の方向に圧送するウォータポンプ52と、冷媒循環流路51の一部となるラジエタ53と、ラジエタ53を通流する冷媒を冷却するラジエタファン54と、を備える。冷却装置5は、ウォータポンプ52によって冷媒を循環しスタック2と冷媒との熱交換を促進するとともに、ラジエタファン54によって冷媒を冷却することにより、スタック2を保護するために定められた上限温度を上回らないようにする。
アノード圧センサ27は、水素供給管32に設けられ、アノード圧を検出し、検出値に略比例した信号をFCV−ECU11に送信する。カソード圧センサ28は、空気排出管43に設けられ、カソード圧を検出し、検出値に略比例した信号をFCV−ECU11に送信する。
図示しない車両の運転席には、燃料電池システム1の状態を利用者に報知する表示装置としてのインフォメーションパネルPと、運転者が操作可能なイグニッションスイッチIGと、が設けられている。
FCV−ECU11は、燃料電池システム1を構成する各種装置を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、RAM、及び各種インターフェースなどの電子回路を含んで構成される。
なお以下の説明では、FCV−ECU11には図示しないECU電源からの電力が供給されており、ECU11では要求に応じて各種処理を即時実行可能である場合、ECU11は稼動状態であると定義する。また、ECU11にはECU電源からの電力が供給されていないか、又は当該ECU11が省電力スリープモード状態となっており、したがってECU11では要求に応じて各種処理を即時実行できない場合、ECU11は非稼動状態であると定義する。なお、これら稼動状態、非稼動状態の定義については、通信充填ECU61についても同様である。
イグニッションスイッチIGは、OFFの状態からONにされると、燃料電池システム起動要求信号を発生する。図示しないECU電源は、イグニッションスイッチIGから出力されたシステム起動要求信号を検出すると、FCV−ECU11及び通信充填ECU61を稼動状態にし、後に図3を参照して説明する機能を実行可能にする。
イグニッションスイッチIGは、ONの状態からOFFにされると、燃料電池システム停止要求信号を発生する。FCV−ECU11は、イグニッションスイッチIGから出力されたシステム停止要求信号を検出すると、後述のシステム停止処理を開始する。
<通信充填システム6の構成>
図1に戻って、燃料電池車両Vの通信充填システム6の構成について説明する。
通信充填システム6は、水素タンク31の状態を検出する2つのタンク温度センサ62,63及びタンク圧力センサ64と、リッド83の状態を検出するリッドセンサ65と、赤外線送信器66と、通信充填ECU61と、を備える。
第1タンク温度センサ62は、水素タンク31のうちタンク本体311内の水素温度を検出し、検出値に略比例した信号を通信充填ECU61に送信する。第2タンク温度センサ63は、水素タンク31のうちタンク本体311内の水素温度を検出し、検出値に略比例した信号を通信充填ECU61に送信する。タンク圧力センサ64は、水素導入管313のうち逆止弁314よりタンク本体311側の圧力を検出し、検出値に略比例した信号を通信充填ECU61に送信する。
リッドセンサ65は、リッドボックス81に設けられており、リッド83の開閉状態を検出する。リッドセンサ65は、リッド83が閉じられリッドボックス81内に水素導入口82が保護された状態では、これを示す閉信号を通信充填ECU61に送信する。リッドセンサ65は、リッド83が開かれ水素導入口82が外部に露出した状態では、これを示す開信号を通信充填ECU61及びFCV−ECU11に送信する。
以上のように、水素を充填するためには、リッド83を開かなければならない。したがって、リッド83の開閉は、利用者が水素の充填を開始又は終了するための予備的な行為となっている。したがって、以下では、リッドセンサ65から出力される開信号は、通信充填システム6に対する起動要求信号ともいう。また、リッドセンサ65から出力される閉信号は、通信充填システム6に対する停止要求信号ともいう。
赤外線送信器66は、赤外線LED67とそのドライバ68で構成される。ドライバ68は、通信充填ECU61から送信されたデータ信号に応じた態様で赤外線LED67を点滅させる。以下では、この赤外線送信器66を利用した通信充填システム6とステーション9との間の赤外線通信を、「IR通信」といい、FC−IR間通信と区別して扱う。
通信充填ECU61は、通信充填システム6を構成する各種装置を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、RAM、及び各種インターフェースなどの電子回路を含んで構成される。図示しないECU電源は、リッドが開かれ、リッドセンサ65からの通信充填システム起動要求信号を検出すると、通信充填ECU61を稼動状態にし、後述の図3に示す機能を実行可能にする。
図3は、FCV−ECU11及び通信充填ECU61の構成を示す図である。FCV−ECU11には、スタックによる発電、燃料電池システムの起動及び停止に係る様々な処理(以下では、FCV−ECU11が担う処理を総称して「燃料電池システム処理」という)を実行するため複数のモジュール111〜114が構成されている。また、通信充填ECU61には、通信充填システム6による水素ステーションとの通信、及び水素ステーションからの水素の充填に係る処理(以下では、通信充填ECU61が担う処理を総称して「通信充填システム処理」という)を実行するための複数のモジュール611〜615が構成されている。以下、これらECU11,61に構成された各種モジュールとその機能について説明する。
<FCV−ECU11の構成>
FCV−ECU11のシステム起動部111は、燃料電池システム処理のうち、燃料電池システムの起動に係る処理、すなわちスタックを安定して発電可能な状態にする処理(以下、「システム起動処理」という)を担う。
システム起動処理では、始めに主止弁312を開くとともにエアコンプレッサを駆動し、スタックへの水素及び空気の供給を開始する。また、このシステム起動処理では、パージ弁を開きながら水素タンク内の水素を供給することにより、水素循環流路内に残留していた不純物をシステム外に排出し、替わりに水素タンクから供給された新規の水素で水素循環流路内を満たす。そして、水素循環流路内が新規の水素で置換されることにより、スタックの開放電圧が所定値まで上昇したことに応じて、燃料電池システムの起動が完了したと判断し、図示しないコンタクタを閉じスタックと負荷とを接続する。これにより、システム起動処理が完了する。なお、システム起動処理は、バッテリに蓄えられた電力が利用される。なお、低温環境下である場合、上記処理に加えてスタックを暖機する暖機処理が実行される。また、このシステム起動処理は、イグニッションスイッチからのシステム起動要求信号を検出したことに応じてFCV−ECU11が稼動状態となった後、システム起動部111によって実行される。
通常発電部112は、燃料電池システム処理のうち、運転者の要求に応じた発電を行う処理(以下、「通常発電」という)を担う。通常発電では、図示しないアクセルペダルからの入力に基づいてスタックの出力電流に対する要求を取得し、この要求が実現されるようにカソード圧及びアノード圧を制御する。この通常発電は、上記システム起動処理が完了した後、システム停止要求(IG−OFF)が検出されるまで、通常発電部112によって実行される。
システム停止部113は、燃料電池システムの停止に係る処理(以下、「システム停止処理」という)を担う。システム停止処理は、停止時充電処理と、EGR停止処理と、停止時希釈処理と、停止時冷却処理との4つの処理で構成される。図4は、システム停止処理における各装置の制御手順を示すタイムチャートである。
停止時充電部113aは、4つのシステム停止処理のうち停止時充電処理を担う。停止時充電部113aは、通常発電を行っていた状態からシステム停止要求(IG−OFF)を検出したことを契機として、以下で説明する停止時充電処理を実行する。停止時充電処理では、次回の燃料電池システムの起動に備えて、システムの停止指令後も主閉弁を開いたままスタックによる発電を継続し、発電した電力をバッテリに充電する処理である。この停止時充電処理は、システムの停止指令時におけるバッテリの残容量が不十分であると判断された場合にのみ、システムの停止指令後、直ちに実行される。なお、図4のタイムチャートでは、システムの停止指令時にバッテリの残容量が十分であると判断され、停止時充電処理が行われなかった場合を示す。
EGR停止部113bは、4つのシステム停止処理のうちEGR停止処理を担う。このEGR停止処理は、発電を停止している間におけるスタックの劣化を抑制するための処理であり、システムの停止指令後、システムが完全に停止するまでの間に行われる。このEGR停止処理は、図4に示すように、圧上げ処理(t1〜t2)と、EGRディスチャージ処理(t2〜t3)と、保圧処理(t3〜t4)と、の3つの処理で構成される。
圧上げ処理は、EGRディスチャージ処理の実行に先立ち、予めアノード圧を好ましい圧力まで昇圧する処理である。より具体的には、圧上げ処理では、主止弁を開き中圧部に十分な圧力を確保した状態で、アノード圧が後述の目標圧になるように、アノード圧センサの出力に基づいてインジェクタをフィードバック制御する。
EGRディスチャージ処理は、スタックの劣化を防止するため、システムを完全に停止させる前にスタックのカソード流路に残留する酸素を消費する処理である。EGRディスチャージ処理では、アノード系の装置については、主止弁を開いた状態でインジェクタによってアノード圧を予め定められた目標圧(以下、「ディスチャージ時目標圧」という)に制御しながら、水素ポンプによって水素循環流路内の水素ガスを循環させる。一方、カソード系の装置については、入口封止弁及び出口封止弁を閉じた状態でコンプレッサを駆動することにより、カソード圧を所定の目標圧に維持する。また、EGRポンプを駆動することにより、酸素循環流路内でガスを循環させることにより、酸素循環流路内の酸素濃度を徐々に低下させる。EGRディスチャージ処理では、水素循環流路及び酸素循環流路を上述のような状態に維持しながらスタックによる発電及びディスチャージを所定時間にわたって行い、酸素循環流路内の酸素濃度を低下させる。EGRディスチャージ処理は、酸素循環流路内の酸素濃度が所定濃度まで低下するまで、又は酸素濃度が所定濃度まで低下したと判断できる程度の時間が経過するまで実行される。なお、このEGRディスチャージ処理を実行している間にスタックから取り出された発電電流は、例えばバッテリに供給される。
保圧処理は、EGRディスチャージ処理の終了後に、アノード圧をさらに昇圧する処理である。より具体的には、保圧処理では、主止弁を開いた状態でインジェクタによって上述のディスチャージ時目標圧よりも高い所定の保圧時目標圧までアノード圧を昇圧する。そして、この昇圧が完了した後、主止弁を閉じ、保圧処理を終了する。
以上のような手順でEGR停止処理を実行することにより、スタックのカソード流路には酸素濃度の低い不活性ガスが充填され、アノード流路は水素ガスによって高圧に維持される。これにより、カソード側からの残留酸素の透過が極力抑制され、スタックの劣化を抑制できる。
なお、以上のEGR停止処理は、上記停止時充電処理と同様にスタックによる発電及びディスチャージを伴う処理であるため、基本的には上記停止時充電処理と並行して行うことはできない。そこで本実施形態では、EGR停止処理は、停止時充電処理が終了した後に行う(後述の図8、9参照)。
停止時希釈部113cは、4つのシステム停止処理のうち停止時希釈処理を担う。この停止時希釈処理は、システムの停止指令時に希釈器内に残留していた水素ガスを希釈し、希釈器内の水素濃度を規定の濃度まで所定時間かけて低下させる処理である。この停止時希釈処理は、スタックへ積極的に水素ガスを供給する必要が無く、かつコンプレッサを駆動しており希釈器内に希釈ガスを導入できる状態であれば実行できる処理であるため、上記停止時充電処理及びEGR停止処理と並行して実行できる。したがって本実施形態では、システム停止要求信号を検出した後、直ちに停止時希釈処理を開始する(後述の図8、9参照)。
より具体的には、停止時希釈処理では、図4に示すように、コンプレッサを駆動した状態で、背圧弁、及びスタックバイパス弁等を適宜開閉することにより、スタックから排出されたガスやコンプレッサの直下のガスを希釈器に導入し、これを希釈ガスとして希釈器内の水素を希釈する。なお、出口封止弁を閉じている間は、背圧弁を開いても希釈器に希釈ガスを導入できない。このため、EGRディスチャージ処理を行っている間は、スタックバイパス弁を適宜開閉することにより、希釈ガスを希釈器に導入する。
停止時冷却部113dは、4つのシステム停止処理のうち停止時冷却処理を担う。この停止時冷却処理は、ウォータポンプ及びラジエタファンを適宜駆動することにより(図4参照)、スタックの温度を例えば常温まで所定時間かけて低下させる処理である。この冷却処理は、スタックへ積極的に水素ガスを供給する必要が無く、かつウォータポンプやラジェタファンなどスタックによる発電や希釈器の状態とは無関係の装置を駆動することによって実行する処理であるため、上記停止時充電処理、EGR停止処理、及び希釈処理と並行して実行できる。したがって本実施形態では、システム停止要求信号を検出した後、直ちに停止時冷却処理を開始する(後述の図8、9参照)。
なお、以上説明した4つのシステム停止処理のうち、停止時充填処理及びEGR停止処理は主止弁を開かなければ行うことができない処理であり、停止時希釈処理及び停止時冷却処理は主止弁を開かなくても行うことができる処理である。
また、以上説明した4つのシステム停止処理は、上述のようにシステム停止要求信号を検出したことを契機として実行される。そして、上記4つのシステム停止処理の全てが終了した後、FCV−ECUは非稼動状態になる。
FC−IR間通信部114は、通信線Lを介したFC−IR間通信のFCV−ECU11側の処理を担う。FCV−ECU11側から通信充填ECU61側へは、通信充填ECU61側での処理に必要な情報が送信される。より具体的には、FC−IR間通信部114は、停止時充電処理又はEGR停止処理が実行されている間は、これら処理と並行して通信充填が実行されるのを防止するため、停止時充電処理又はEGR停止処理が実行されていることを示す信号を通信充填ECU61へ送信する。これにより、通信充填ECU61では、停止時充電処理又はEGR停止処理が実行されている状態であることを把握できる。
<通信充填ECU61の構成>
データ信号生成部611は、IR通信によって送信するデータ信号、より具体的には通信充填を行うために必要なデータ信号を生成する。データ信号生成部611は、後述のタンク状態監視部614によって算出された水素タンクの温度及び圧力に基づいてデータ信号を生成する。
IR通信部612は、通信充填を行うために必要なデータ信号、より具体的にはデータ信号生成部611によって生成した水素タンクの温度(T)及び圧力(P)に関するデータ信号を、赤外線送信器66によって適切な赤外線信号に変換し、ステーション側へ送信する(IR通信)。先に説明したように、水素ステーションは、受信した温度及び圧力に関するデータ信号に基づいて、適切な態様で水素を車両に供給する。
充填遮断弁制御部613は、通信充填又は非通信充填を行うために充填遮断弁316を開き、水素タンクを水素充填可能な状態にする。これにより、ステーション側で定められた流量で水素が供給され、水素タンクに充填される。その後、充填遮断弁制御部613は、所定の通信充填終了条件又は非通信充填終了条件が満たされたことに応じて、充填遮断弁316を閉じる。これにより、ステーション側からの水素の供給が終了する。
タンク状態監視部614は、水素タンクの状態を検出するセンサ62,63,64の出力に基づいて、水素タンク内の温度、圧力、及び水素SOCを算出する。より具体的には、タンク状態監視部614は、タンク圧力センサ64の出力に基づいて、水素タンク内の圧力を算出する。また、タンク状態監視部614は、2つのタンク温度センサ62,63の出力に基づいて、水素タンク内の温度を算出する。図1を参照して説明したように、2つのタンク温度センサ62,63は、タンク本体311のうちほぼ同じ位置の温度を検出する。したがって、第2タンク温度センサ63の出力は、第1タンク温度センサ62が正常であることを裏付けるためのチェック信号として用いられる。また、タンク状態監視部614は、算出された温度及び圧力に基づいて水素SOCを算出する。
FC−IR間通信部615は、通信線Lを介したFC−IR間通信の通信充填ECU61側の処理を担う。通信充填ECU61側からFCV−ECU11側へは、FCV−ECU11側での処理に必要な情報が送信される。より具体的には、FC−IR間通信部615は、タンク状態監視部614によって算出された温度及び圧力に関するデータ信号や、通信充填の開始が要求された状態であることを示す後述の通信充填開始要求信号をFCV−ECU11へ送信する。これにより、FCV−ECU11では、現在の水素タンクに貯蔵されている水素の量を算出したり、通信充填の開始が要求された状態であることを把握したりできる。
図5は、FCV−ECUにおいて実行されるシステム停止処理のうち、停止時充電処理とEGR停止処理とを実行する手順を示すフローチャートである。図5に示す処理は、通常発電を行っている間にイグニッションスイッチがONからOFFに操作されたこと、すなわちFCV−ECUがシステムの停止指令を検出したことを契機として開始する。なお、図5において、S1〜S6に示す処理が停止時充電処理に相当し、S7〜S9に示す処理がEGR停止処理に相当する。なお、システム停止処理のうち停止時冷却処理と停止時希釈処理は、FCV−ECUがシステムの停止指令を検出したことを契機として、図5に示す処理と並行して実行される。
始めにS1では、FCV−ECUは、現在のバッテリのSOC[%]を算出し、S22に移る。なお、バッテリのSOCとは、バッテリの定格容量を1として現在の残容量[kW]を百分率で表したものであり、図示しないバッテリ電流センサ及びバッテリ電流センサの出力に基づいて既知の方法により算出される。
S2では、FCV−ECUは、通信充填の開始が要求された状態であるか否かを判別する。後に図7を参照して説明するように、利用者によって通信充填の開始を要求する操作が行われた場合には、通信充填ECUはこれを検出し、FCV−ECUにその旨を示す通信充填開始要求信号を送信する。S22の判別がNOである場合には、引き続き通信充填を行う予定がないと判断し、所定の第1目標値を停止時目標SOCとして設定し(S3)、S5に移る。S2の判別がYESである場合には、引き続き通信充填を行う予定があると判断し、所定の第2目標値を停止時目標SOCとして設定し(S4)、S5に移る。
図6は、停止時目標SOCの大きさを模式的に示す図である。
この図に示すように、第2目標値は、短期間で再起動されることを想定して第1目標値より小さな値に設定される。上述のように、停止時充電処理は、次回の起動時に必要となる電力を、システムを停止する際にバッテリに蓄えておく処理である。このシステム起動処理に必要となるエネルギーは、システムを停止してから、次回の起動までの時間が長くなるほど増加する。これは、システムを停止している時間が長くなるほどスタックの温度が低下し、また通路内の不純物の量が増加するためである。すなわち、システムを停止してから次回の起動までの時間が短くなるほど、停止時充電処理によってバッテリに確保しておくべき残容量を少なくできる。また、通信充填が行われる予定があるということは、この通信充填が終了すると直ちにシステム起動処理が行われる可能性が高いことを意味する。したがって、通信充填を行う予定があり、通信充填の終了後直ちにシステムが起動されると予測される場合には、第1目標値よりも小さな第2目標値を停止時目標SOCとして設定しても差し支えない。また、停止時目標SOCを小さくした分だけ、停止時充電処理にかかる時間も短縮できるので、その分だけ早く通信充填を開始できる。
なお、上記第1、第2目標値は、停止時充電処理におけるバッテリSOCの目標値となるものである。しかしながら、この停止時充電処理の後、引き続き行われるEGRディスチャージ処理(後述のS8参照)でも、スタックの発電を伴うため、僅かながらバッテリの充電が可能である場合がある。したがって、上記第1、第2目標値は、EGRディスチャージ処理によって充電される分を見込み、真の目標値からその分だけ差し引いてもよい。
図5に戻って、S5では、FCV−ECUは、S1で算出した現在のバッテリSOCが、S3又はS4で設定した停止時目標SOCより小さいか否かを判断する。S5の判別がYESであり、現在のバッテリSOCが停止時目標SOCより小さい場合には、S6へ移り、スタックによる発電及びバッテリへの充電を継続し、S1に戻る。S5の判別がNOであり、現在のバッテリSOCが停止時目標SOC以上である場合には、停止時充電処理を終了し、S7へ移る。
停止時充電処理が終了したたら、FCV−ECUは、圧上げ処理(S7)、EGRディスチャージ処理(S8)、及び保圧処理(S9)からなるEGR停止処理を実行する。なお、主止弁は、保圧処理が終了したことにより閉じられる。
図7は、通信充填ECUにおいて実行される通信充填の具体的な手順を示すフローチャートである。図6に示す処理は、利用者によって通信充填の開始を要求する操作が行われたことを通信充填ECUが検出したことを契機として開始する。なお、この通信充填の開始を要求する操作とは、より具体的には、リッドが開かれかつ水素ステーションの水素充填ノズルが水素導入口に差し込まれることと定義するが、これに限るものではない。
始めにS11では、通信充填ECUは、通信充填開始要求信号をFCV−ECUへ送信し、S12へ移る。上述のように、この時点において、停止時充電処理が実行される前又は停止時充電処理の実行中である場合には、停止時目標SOCは通常時よりも小さな値に持ち替えられる(図5のS2〜S4参照)。S12では、通信充填ECUは、停止時充電処理又はEGR停止処理の実行中であるか否かを判別する。
S12の判別がYESである場合、すなわち停止時充電処理又はEGR停止処理の何れかが実行されている場合には、通信充填ECUは、S13に移り、インフォメーションパネルに「通信充填はシステム停止まで待機して下さい」と表示し、S12に戻る。これにより、利用者は、システム停止処理が行われているために通信充填を開始できないことを把握できる。
S12の判別がNOである場合、すなわち停止時充電処理及びEGR停止処理が終了した場合には、通信充填ECUは、S14に移り通信充填を実行する。すなわち、通信充填ECUは、停止時充電処理及びEGR停止処理の両方が終了するまで、通信充填の開始を待機する。S14では、通信充填ECUは、充填遮断弁を開くとともに、IR通信による水素タンクの状態に関するデータ信号の送信を開始する。これにより、ステーション側から供給された水素が水素タンクに充填される。
図8は、システムの停止指令後に行われるシステム停止処理及び通信充填の第1の例を示すタイムチャートである。
図8では、時刻t0においてシステムの停止指令があった後、時刻t0から停止時充電処理と、停止時冷却処理と、停止時希釈処理とを並行して開始し、その後時刻t1において停止時充電処理が終了したことに伴いEGR停止処理を開始した場合を示す。また図8には、停止時充電処理が終了した後に通信充填開始要求が生じた場合を示す。
時刻t1〜t2の間では圧上げ処理が実行され、これによりアノード圧は、ディスチャージ時目標圧まで昇圧される。圧上げ処理が完了した後、時刻t2からはEGRディスチャージ処理が開始する。これにより、アノード圧がディスチャージ時目標圧に維持されながら、カソード側に残留する酸素が消費される。
時刻t2においてEGRディスチャージ処理を開始してから、時刻t3では、利用者により通信充填の開始を指令する操作が行われる。しかし、図F1を参照して説明したように、停止時充電処理及びEGR停止処理を行っている間、すなわち、図8中の時刻t0〜t5までの間、通信充填は禁止される。したがって、時刻t3において通信充填開始要求が生じてから、EGR停止処理が終了するまで、通信充填の開始は待機する。
一方、図5を参照して説明したように、EGR停止処理は、通信充填開始要求の有無に関わらず実行される。したがって、通信充填開始要求が生じた後も、引き続きEGRディスチャージ処理が実行される。時刻t4には、EGRディスチャージ処理が終了し、時刻t5には、主止弁が閉じられ、保圧処理が終了する。これにより、EGR停止処理が終了する。また、時刻t5では、EGR停止処理が終了したことに伴い、通信充填が開始する。そして時刻t6には、通信充填が終了する。
以上のように、本実施形態の燃料電池車両では、4つのシステム停止処理のうち主止弁を開いた状態で行う必要のある停止時充電処理及びEGR停止処理と、通信充填とが並行して行われることはない。したがって、通信充填では、水素タンク内の状態を正確に反映したデータ信号をステーション側へ送信できるので、上記システム停止処理と通信充填とを並行して行った場合と比較して、通信充填にかかる時間(図8中、時刻t5〜t6)を短くでき、かつより確実に満充填にすることができる。なお、4つのシステム停止処理のうち停止時冷却処理と停止時希釈処理は、主止弁を閉じた状態でも行うことができる点で、上記停止時充電処理及びEGR停止処理と異なる。したがって、図8に示すように、これら停止時冷却処理及び停止時希釈処理は、通信充填と並行して行ってもよい。
図9は、システムの停止指令後に行われるシステム停止処理及び通信充填の第2の例を示すタイムチャートである。
図9に示す第2の例は、停止時充電処理を実行している間に通信充填開始要求が生じた点で、図8の第1の例と異なる。
時刻t10では、システムの停止指令が生じたことに応じて、停止時充電処理と、停止時冷却処理と、停止時希釈処理とが並行して開始する。ここで、停止時充電処理を開始することにより、バッテリSOCは所定の停止時目標SOCへ向けて徐々に上昇する。またこの停止時目標SOCは、この時点では、第1目標値に設定される(図5のS3参照)。
時刻t10において停止時充電処理を開始してから、時刻t11では、利用者により通信充填の開始を要求する操作が行われる。しかし、図7の第1の例と同様に、停止時充電処理及びEGR停止処理を行っている間(図8中の時刻t10〜t15までの間)、通信充填は禁止される。したがって、時刻t11において通信充填開始要求が生じてから、EGR停止処理が終了するまで、通信充填の開始は待機する。
また、時刻t11では、停止時充電処理を行っている間に通信充填開始要求が生じることにより、停止時充電処理における停止時目標SOCは、より第1目標値より小さな第2目標値に持ち替えられる(図5のS4参照)。したがって、この停止時目標SOCが小さくなった分だけ、停止時充電処理にかかる時間(図9中、時刻t10〜t12までの間)は、第1の例と比較して短くなる。また、停止時充電処理にかかる時間が短くなった分だけ、システムの停止指令からEGR停止処理が完了するまでにかかる時間(図8中、時刻t10〜t15までの間)も短くなる。したがって、通信充填開始要求が生じてから、実際に通信充填が開始するまでの時間(図9中、時刻t11〜t15までの間)もその分だけ短くなるので、利便性を向上できる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、上記実施形態では、水素を貯蔵する貯蔵容器を高圧タンクとした例について説明したが、これに限らず、吸蔵合金を備えた水素タンクを貯蔵容器としてもよい。
上記実施形態では、図3に示すように、燃料電池システム処理(システム起動処理、通常発電等)の実行に係るモジュールと、通信充填システム処理(データ信号生成処理、IR通信処理等)の実行に係るモジュールとを、それぞれ別体のECU11,61に構成した例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、上記2つのモジュール間で通信可能であれば、これらを同一のECUに構成してもよい。
V…燃料電池車両
B…バッテリ(蓄電装置)
1…燃料電池システム
11…FCV−ECU
2…スタック(燃料電池)
31…水素タンク
311…タンク本体(貯蔵容器)
312…主止弁(開閉弁)
32…水素供給管(燃料ガス供給路)
6…通信充填システム
61…通信充填ECU
66…赤外線送信器(送信手段)

Claims (2)

  1. 燃料ガス及び酸化剤が供給されると発電する燃料電池と、
    燃料ガスを貯蔵する貯蔵容器と、
    前記貯蔵容器と前記燃料電池とを接続する燃料ガス供給路と、
    前記燃料ガス供給路に設けられた開閉弁と、
    前記貯蔵容器の状態を示すデータ信号を外部へ送信する送信手段と、を備えた燃料電池車両の制御方法であって、
    前記燃料電池車両への停止指令後に、前記開閉弁を開き、前記燃料電池へ燃料ガスを供給し、前記燃料電池による発電及びディスチャージを継続する停止処理工程と、
    前記貯蔵容器への燃料ガスの充填開始要求が生じたことに応じて、前記貯蔵容器の状態を示すデータ信号を外部の燃料供給源に送信しながら、当該外部の燃料供給源から供給された燃料ガスを前記貯蔵容器に充填する通信充填工程と、
    前記停止処理工程を行っている間に前記充填開始要求が生じた場合には、実行中の停止後ディスチャージ工程が終了するまで前記通信充填工程の開始を待機する待機工程と、を含むことを特徴とする燃料電池車両の制御方法。
  2. 前記燃料電池車両は、蓄電装置をさらに備え、
    前記停止処理工程は、前記燃料電池車両の停止指令後に、前記蓄電装置の残容量が所定の目標量になるまで、前記燃料電池によって発電した電力を当該蓄電装置に充電する停止時充電工程を含み、
    前記停止時充電工程を開始する前又は前記停止時充電工程を行っている間に前記充填開始要求が生じた場合には、前記目標量は、前記充填開始要求が生じなかった場合よりも少なく設定されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の制御方法。
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