JP2014192048A - 燃料電池車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】停止後のディスチャージに係る処理と通信充填に係る処理とを並行して適切な態様で行うこと。
【解決手段】通信充填において、燃料電池車両は、所定の充填開始要求が生じたことに応じて、外部のステーションに充填流量を決定させるため、その時の検出タンク温度及び圧力に基づいて生成した初期タンクデータ信号をステーションへ送信し(S13〜S15)、決定した充填流量でステーションから水素をタンクに充填させる。車両は、システム停止処理を行っている間に通信充填を開始した場合には、最初に決定された充填流量を変更させるため、所定の時期に補正タンク温度及び補正タンク圧力を算出し(S25)、これら補正タンク温度及び圧力に基づいて初期タンクデータ信号を生成し(S26)、再び送信し(S15)、通信充填を再開する。車両は、通信充填の再開前より再開後の方が充填流量が小さくなるように、補正タンク温度及び圧力を算出する。
【選択図】図8
【解決手段】通信充填において、燃料電池車両は、所定の充填開始要求が生じたことに応じて、外部のステーションに充填流量を決定させるため、その時の検出タンク温度及び圧力に基づいて生成した初期タンクデータ信号をステーションへ送信し(S13〜S15)、決定した充填流量でステーションから水素をタンクに充填させる。車両は、システム停止処理を行っている間に通信充填を開始した場合には、最初に決定された充填流量を変更させるため、所定の時期に補正タンク温度及び補正タンク圧力を算出し(S25)、これら補正タンク温度及び圧力に基づいて初期タンクデータ信号を生成し(S26)、再び送信し(S15)、通信充填を再開する。車両は、通信充填の再開前より再開後の方が充填流量が小さくなるように、補正タンク温度及び圧力を算出する。
【選択図】図8
Description
本発明は、燃料電池車両の制御方法に関する。より詳しくは、燃料電池車両への停止指令後に、燃料電池による発電及びディスチャージを継続する燃料電池車両の制御方法に関する。
燃料電池車両は、その電源システムとして燃料電池システムを備える。燃料電池は、燃料ガスである水素ガスと酸化剤ガスである空気とが供給されると発電する。燃料電池に水素ガスを供給するため、燃料電池のアノード流路には水素ガス供給管を介して水素タンクが接続されている。また、燃料電池に空気を供給するため、燃料電池のカソード流路には空気供給管を介してコンプレッサが接続されている。燃料電池システムは、起動されると水素ガス及び空気の供給を開始し、燃料電池による発電を開始する。
システムの停止中に、カソード流路内に酸素が残ったままであると、次回のシステム起動時にアノード系に水素を供給したときに燃料電池のカソード側が高電位状態になってしまい、燃料電池の固体高分子電解質膜が劣化するおそれがある。このため、燃料電池システムでは、システムの停止時にカソード流路内に残留する酸素を用いて燃料電池による発電及びディスチャージを継続し、燃料電池を不活性状態にした上でシステムを完全に停止させている(特許文献1参照)。また、このディスチャージ処理では、カソード側からアノード側への酸素透過をさらに抑制するため、カソード側では残留酸素を消費させ、アノード側には水素タンクから余分に水素ガスを供給し、アノード流路内の圧力を高くしておく方が好ましいことも知られている。
一方、近年では水素タンク内に水素ガスを充填するための技術についても盛んに研究が進められている。例えば特許文献2の技術では、水素ステーションの水素充填装置と燃料電池車両とを接続し、その水素タンク内に水素ガスを充填する際、車両側からはタンクの温度や圧力等に関するデータ信号をステーション側に送信する。ステーション側では、受信したデータ信号に基づいて水素タンクの初期状態を把握し、この初期状態に基づいて最適な水素ガスの充填態様を決定し、この充填態様に従って水素ガスを充填する。このように車両側とステーション側との通信に基づいて水素ガスを充填する技術を、以下では通信充填という。
ここで、上記ディスチャージ処理のようなシステムの停止指令後に行うシステム停止処理と、通信充填とを並行して行う場合について検討する。システム停止処理では、燃料電池による発電を行うため、タンク内の水素を消費する。したがって、システム停止処理と通信充填とを並行して行うと、満充填にするためにステーション側から車両側に供給すべき水素の量は、通信充填を開始した当初の予定より、システム停止処理によって消費した分だけ増加してしまう。図14を参照して、この必要充填量のずれが及ぼす影響について説明する。
図14は、水素タンクに水素を一定の流量で供給した場合におけるタンク温度の変化を示す図である。図14において、縦軸はタンク温度であり、横軸はステーションから水素タンクに供給した水素の量(充填量)である。なお、図14の説明においては、理解を容易にするため、水素タンク内の水素の量はタンク内の圧力に比例するものとする。なお、通信充填開始時におけるタンク温度は30℃であったとする。
上述のように、通信充填では、初めに、車両側からステーション側へ水素タンクの状態に関するデータ信号が送信される。ステーション側では、ここで送信されたデータ信号に基づいて、水素タンクの初期状態(充填開始直前のタンク温度、圧力、満充填容量等)を把握し、この初期状態に基づいて充填態様を決定する。図14に示す例では、ステーションは、取得した初期状態から満充填にするためには、Δ65MPa分だけステーションから車両へ水素を充填する必要があると判断する。またステーションは、できるだけ速やかにかつ充填を行っている間に充填が中断されないように、充填開始時のタンク温度とそのフェール上限値との差(図14の例では、55℃)及び必要充填量(図14の例では、Δ65MPa)等に基づいて充填流量[NL/min]を決定する。図14の例では、ステーションは、充填流量を10[NL/min]と決定する。図14に示すように、充填流量を10[NL/min]とすることにより、充填中にタンク温度が所定のフェール上限(85℃)を超えることなく、必要充填量の水素を充填することができる。すなわち、中断されることなく当初の必要充填量の水素を充填できる。なお、充填流量が10[NL/min]より遅ければ充填時間が長くなってしまい、充填流量が10[NL/min]を超えると充填中にタンク温度がフェール上限を超えてしまうおそれがある。図14に示す例では、以上のようにして充填態様(図14の例では、固定の充填流量)が決定される。
ここで、通信充填とシステム停止処理を並行して行う場合について説明する。例えば、上述のように、充填開始時のタンク初期状態に基づいて定めた充填態様で水素を充填している間に、システム停止処理を並行して行うことで水素タンクからΔ10MPa分の水素が流出した場合を想定する。この場合、満充填にするためには、さらにΔ10MPa分の水素を追加して充填しなければならない。すなわち、必要充填量は、当初のΔ65MPaからΔ75MPaに変更される。したがって、図14に示すように、当初に決定した充填態様のまま水素を充填し続けると、変更後の必要充填量Δ75MPaの水素が充填される前に、タンク温度がフェール上限を超えてしまう。以上のように、通信充填とシステム停止処理とを並行して実行すると、実際の満充填に達する前に充填が中断されるおそれがある。
本発明は、システム停止指令後に燃料電池による発電及びディスチャージを継続して行う燃料電池車両の制御方法であって、停止後のディスチャージに係る処理と通信充填に係る処理と並行して適切な態様で行うことを目的とする。
(1)燃料電池車両(例えば、後述の燃料電池車両V)は、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池(例えば、後述のスタック2)と、燃料ガスを貯蔵する貯蔵容器(例えば、後述の水素タンク31)と、前記貯蔵容器と前記燃料電池とを接続する燃料ガス供給路(例えば、後述の水素供給管32)と、前記燃料ガス供給路に設けられた開閉弁(例えば、後述の主止弁312)と、前記貯蔵容器の状態を検出する容器状態センサ(例えば、後述のタンク温度センサ62、タンク圧力センサ64)と、前記容器状態センサの出力に基づいて生成されたデータ信号を外部の燃料充填装置(例えば、後述の水素ステーション9)へ送信する送信器(例えば、後述の赤外線送信器66)と、を備える。前記外部の燃料充填装置は、前記送信器から送信された前記貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号(例えば、後述の初期タンクデータ信号)に基づいて充填態様(例えば、後述の固定充填流量、及び充填プロトコル等)を決定し、当該決定した充填態様で燃料ガスを前記貯蔵容器へ供給する。本発明の燃料電池車両の制御方法は、前記燃料電池車両への停止指令後に、前記開閉弁を開き、前記燃料電池へ燃料ガスを供給し、前記燃料電池による発電及びディスチャージを継続する停止処理工程(例えば、後述のシステム停止処理の停止時充電処理及びEGR停止処理)と、所定の充填開始要求が生じたことに応じて、前記燃料充填装置に充填態様を決定させるため、その時の前記容器状態センサの出力(例えば、後述の検出タンク温度、及び検出タンク圧力)に基づいて生成した前記貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号(例えば、後述の初期タンクデータ信号)を前記燃料充填装置へ送信する通信充填準備工程(例えば、後述の図8のS13〜S15)と、前記通信充填準備工程で決定した充填態様で前記燃料充填装置から燃料ガスを前記貯蔵容器に充填させる通信充填工程(例えば、後述の図8のS15以降)と、前記停止処理工程を行っている間に前記通信充填準備工程及び前記通信充填工程を開始した場合には、前記通信充填準備工程で決定された充填態様を変更させるため、前記通信充填工程中の所定の時期に、前記容器状態センサの出力を補正し、当該補正された出力(例えば、後述の補正タンク温度、及び補正タンク圧力)に基づいて生成した前記貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号(例えば、後述の図8のS26で生成した初期タンクデータ信号)を前記燃料充填装置へ再び送信する充填態様変更工程(例えば、後述の図8のS24〜S26、及びS15)と、を備える。前記充填態様変更工程では、前記充填態様の変更前より変更後の方が燃料ガスの充填流量が小さくなるように前記容器状態センサの出力を補正する。
(2)この場合、前記充填態様変更工程では、前記停止処理工程を構成する一工程が終了するごとに、当該工程で前記貯蔵容器から前記燃料ガス供給路を介して前記燃料電池へ流出した燃料ガスの量を算出し、当該燃料ガスの流出量(例えば、後述の水素流出量)に基づいて前記容器状態センサの出力に対する補正値を決定することが好ましい。
(3)この場合、前記容器状態センサは、前記貯蔵容器内の温度を検出する温度センサ(例えば、後述のタンク温度センサ62)を含み、前記燃料充填装置は、前記貯蔵容器の温度が高くなるほど充填流量が小さくなるように充填態様を決定し、前記充填態様変更工程では、前記温度センサの出力値を増加側に補正することが好ましい。
(4)この場合、前記容器状態センサは、前記貯蔵容器内の圧力を検出する圧力センサ(例えば、後述のタンク圧力センサ64)を含み、前記燃料充填装置は、前記貯蔵容器の圧力が低くなるほど充填流量が小さくなるように充填態様を決定し、前記充填態様変更工程では、前記圧力センサの出力値を減少側に補正することが好ましい。
(5)この場合、前記制御方法は、前記通信充填工程を行っている間に前記停止処理工程が終了した場合には、前記燃料充填装置の充填態様を、前記通信充填準備工程又は前記充填態様変更工程において決定された態様から、前記燃料充填装置において予め定められた態様に変更させて充填を継続する通信充填終了工程(例えば、後述の図8のS21〜S22)をさらに備えることが好ましい。
(6)燃料電池車両(例えば、後述の燃料電池車両V´)は、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、燃料ガスを貯蔵する貯蔵容器と、前記貯蔵容器と前記燃料電池とを接続する燃料ガス供給路と、前記燃料ガス供給路に設けられた開閉弁と、前記貯蔵容器の状態を検出する容器状態センサと、前記容器状態センサの出力に基づいて生成されたデータ信号を外部の燃料充填装置へ送信する送信器と、前記貯蔵容器から延び前記燃料充填装置が接続される充填口に至る充填流路と、当該充填流路に設けられ前記燃料充填装置から前記貯蔵容器へ流れる燃料ガスの流量を制御する充填流量制御機構(例えば、後述の可変オリフィス317´)と、を備える。前記外部の燃料充填装置は、前記送信器から送信されたデータ信号に基づいて充填態様を決定し、所定の充填終了条件が満たされるまで前記決定した充填態様で燃料ガスを前記貯蔵容器へ供給するように構成されている。本発明の燃料電池車両の制御方法は、前記燃料電池車両への停止指令後に、前記開閉弁を開き、前記燃料電池へ燃料ガスを供給し、前記燃料電池による発電及びディスチャージを継続する停止処理工程と、前記貯蔵容器への燃料ガスの充填開始要求が生じたことに応じて、前記容器状態センサの出力に基づいて生成したデータ信号を前記燃料充填装置へ送信し、当該燃料充填装置に充填態様を決定させる通信充填準備工程と、前記通信充填準備工程で決定した充填態様で前記燃料充填装置から燃料ガスを前記貯蔵容器に充填させる通信充填工程と、を備える。前記停止処理工程を行っている間に前記通信充填準備工程及び前記通信充填工程を開始した場合には、前記充填流量制御機構により充填流量を小さくする充填流量変更工程(例えば、後述の図13のS24、S55、及びS56)と、を備える。
(1)本発明では、充填開始要求が生じた場合には、容器状態センサの出力に基づいて生成した貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号を外部の燃料充填装置へ送信し、当該燃料充填装置によって充填態様を決定させる(通信充填準備工程)。この時、例えば燃料充填装置では、通信充填準備工程において送信されたデータ信号に基づいて貯蔵容器内の初期状態を把握し、この初期状態から満充填にするために燃料充填装置から供給すべき燃料ガスの量(以下、「初期充填量」という)を算出し、満充填に達するまで充填が中断されないように、かつできるだけ速やかに初期充填量の燃料ガスが充填されるように、充填態様を決定する。その後、決定した充填態様で燃料充填装置から燃料ガスを貯蔵容器に充填させる(通信充填工程)。
ここで、停止処理工程を行っている間に通信充填準備工程及び通信充填工程が開始した場合、すなわち停止処理工程によって貯蔵容器内の燃料ガスを消費しながら、同時に燃料充填装置から貯蔵容器へ燃料ガスを充填する場合について検討する。この場合、停止処理工程を並行して行うことによって貯蔵容器内の燃料ガスを消費した分だけ、満充填にするために燃料充填装置から供給すべき燃料ガスの量は、燃料充填装置において把握した初期充填量から増加する。このため、通信充填準備工程において決定した充填態様で充填し続けると、実際に満充填に達する前に充填が中断されるおそれがある。これは、燃料充填装置では、初期充填量の燃料ガスをできるだけ速やかに充填するように充填態様を決定したからである。
これに対し本発明では、停止処理工程を行っている間に通信充填準備工程及び通信充填工程を開始した場合、容器状態センサの出力を実際の値から補正し、この補正した出力に基づいて生成した貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号を燃料充填装置へ送信することによって、通信充填準備工程において最初に定めた充填態様を変更させる。特に本発明では、充填態様の変更前よりも変更後の方が燃料ガスの充填流量が小さくなるように、すなわち貯蔵容器の状態変化がより穏やかになるように、容器状態センサの出力を補正し、これに応じたデータ信号を燃料充填装置へ送信する。これにより、実際に満充填に達する前に充填が中断されるのを防止できる。
ここで、停止処理工程を行っている間に通信充填準備工程及び通信充填工程が開始した場合、すなわち停止処理工程によって貯蔵容器内の燃料ガスを消費しながら、同時に燃料充填装置から貯蔵容器へ燃料ガスを充填する場合について検討する。この場合、停止処理工程を並行して行うことによって貯蔵容器内の燃料ガスを消費した分だけ、満充填にするために燃料充填装置から供給すべき燃料ガスの量は、燃料充填装置において把握した初期充填量から増加する。このため、通信充填準備工程において決定した充填態様で充填し続けると、実際に満充填に達する前に充填が中断されるおそれがある。これは、燃料充填装置では、初期充填量の燃料ガスをできるだけ速やかに充填するように充填態様を決定したからである。
これに対し本発明では、停止処理工程を行っている間に通信充填準備工程及び通信充填工程を開始した場合、容器状態センサの出力を実際の値から補正し、この補正した出力に基づいて生成した貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号を燃料充填装置へ送信することによって、通信充填準備工程において最初に定めた充填態様を変更させる。特に本発明では、充填態様の変更前よりも変更後の方が燃料ガスの充填流量が小さくなるように、すなわち貯蔵容器の状態変化がより穏やかになるように、容器状態センサの出力を補正し、これに応じたデータ信号を燃料充填装置へ送信する。これにより、実際に満充填に達する前に充填が中断されるのを防止できる。
(2)本発明では、停止処理工程を行っている間に通信充填準備工程及び通信充填工程を開始した場合、停止処理工程を構成する一工程が終了するごとに、この工程における燃料ガスの流出量を算出する。そして、算出した流出量に基づいて容器状態センサの出力を補正し、これに応じたデータ信号を燃料充填装置へ送信し、充填態様を変更させる。ここで、上記燃料ガスの流出量は、満充填にするために燃料充填装置から供給すべき燃料ガスの量の初期充填量からの増加分に相当する。したがって、本発明によれば、停止処理工程を構成する一工程が終了するごとに、充填流量はそのときの増加分に応じて段階的に小さくなる。これにより、充填が中断されないように、より満充填に近くなるまで充填を継続することができる。
(3)本発明の充填態様変更工程では、温度センサの出力値を実際の出力値よりも増加側に補正し、これに応じたデータ信号を燃料充填装置へ送信する。これにより、充填流量が変更前より変更後の方が小さくなるように充填態様を変更させることができる。
(4)本発明の充填態様変更工程では、圧力センサの出力値を実際の出力値よりも減少側に補正し、これに応じたデータ信号を燃料充填装置へ送信する。これにより、充填流量が変更前より変更後の方が小さくなるように充填態様を変更させることができる。
(5)例えば、停止処理工程と通信充填工程を並行して行っている間に、先に停止処理工程が終了すると、貯蔵容器からの燃料ガスの流出が止まるため、貯蔵容器内の圧力の上昇速度が増加し、充填が中断されてしまう場合がある。本発明では、充填工程を行っている間に停止処理工程が終了した場合には、充填態様を、通信充填準備工程又は充填態様変更工程で決定した態様から、燃料貯蔵装置において予め定められた態様に変更させて充填を継続する。燃料貯蔵装置では、燃料電池車両の送信器と通信できず、貯蔵容器の状態を把握できない場合を想定して、送信器からのデータ信号に依存しない充填態様が設定されている。そしてこの燃料充填装置で予め設定された充填態様は、貯蔵容器がどのような状態であってもできるだけ長く充填を継続できるように、その充填流量は、燃料電池車両との通信に基づいて決定した場合よりも小さくなっている。本発明では、充填工程を行っている間に停止処理工程が終了した場合には、充填態様を上述のような燃料充填装置で定められた態様に変更させることにより、充填にかかる時間は長くなるものの、中断することなく充填を継続できる。
(6)本発明では、停止処理工程を行っている間に通信充填準備工程及び充填工程を開始した場合、燃料電池車両が備える充填流量制御機構によって充填流量を小さくする。これにより、通信充填準備工程において最初に定めた充填態様にかかわらず、充填流量を小さくできる。したがって、上記(1)の発明と同様の理由により、実際に満充填に達する前に充填が中断されるのを防止できる。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る水素充填システムSの構成を示す図である。水素充填システムSは、水素を燃料ガスとして走行する燃料電池車両Vと、この車両Vの水素タンク31に水素を供給する水素ステーション9と、を組み合わせて構成される。
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る水素充填システムSの構成を示す図である。水素充填システムSは、水素を燃料ガスとして走行する燃料電池車両Vと、この車両Vの水素タンク31に水素を供給する水素ステーション9と、を組み合わせて構成される。
<水素ステーション9の構成>
水素ステーション9は、水素貯蔵タンク91とディスペンサ92とを備える。水素貯蔵タンク91には、車両Vに供給するための水素が高圧で貯蔵されている。この水素貯蔵タンク91内の水素は、液体水素を気化したもの、改質装置により原料を改質することで製造されたもの、或いは電解装置によって製造されたものなどを圧縮機で圧縮したものが用いられる。
水素ステーション9は、水素貯蔵タンク91とディスペンサ92とを備える。水素貯蔵タンク91には、車両Vに供給するための水素が高圧で貯蔵されている。この水素貯蔵タンク91内の水素は、液体水素を気化したもの、改質装置により原料を改質することで製造されたもの、或いは電解装置によって製造されたものなどを圧縮機で圧縮したものが用いられる。
ディスペンサ92は、車両Vに接続される水素充填ノズル93と、この水素充填ノズル93と水素貯蔵タンク91とを接続する水素の流路95に設けられた可変オリフィス96と、を備える。ディスペンサ92は、水素充填ノズル93が車両Vに設けられた水素導入口82に差し込まれると、可変オリフィス96のオリフィス径を適切な大きさに調節し、水素貯蔵タンク91から供給された水素を可変オリフィス96によって減圧し、水素充填ノズル93から水素を供給する。水素充填ノズル93から供給された水素は、車両Vの水素タンク31に充填される。
また、この水素充填ノズル93には、赤外線通信器94が設けられている。赤外線通信器94は、水素充填ノズル93を車両Vの水素導入口82に差し込むことにより、車両Vに搭載された後述の通信充填システム6との間で赤外線を介したデータ信号の送受信が可能となっている。ディスペンサ92では、車両Vへの水素の充填にあたって、通信充填と呼称される充填方法と、非通信充填と呼称される充填方法との2つの充填方法を選択的に実行できる。
通信充填とは、車両V及びステーション9間で通信を行いながら、車両Vに水素を充填する充填方法である。より具体的には、通信充填では、後に詳細に説明するように、車両Vの通信充填システム6から、充填開始直前の水素タンク31の初期状態に関するデータ信号(後述の初期タンクデータ信号)がステーション9側へ送信される。この初期タンクデータ信号には、水素の充填を開始する直前の水素タンク31の温度、圧力、及び水素タンク31の満充填容量等に関する情報が含まれている。ここで、満充填容量とは、水素タンク31に貯蔵できる水素の上限量に相当する。ディスペンサ92は、赤外線通信器94によって初期タンクデータ信号を受信し、このデータ信号に基づいて、できるだけ速やかに満充填にできかつ途中で充填が中断されないように、適切な充填態様を決定し、決定した充填態様で水素を水素タンク31に充填する。通信充填では、可変オリフィス96のオリフィス径、すなわち充填流量を水素の充填中に変化させる場合と、変化させない場合と、がある。以下では、通信充填中に充填流量を変化させない場合について説明する。
図2は、ステーションにおいて初期タンクデータに基づいて固定の充填流量を決定する手順を示すフローチャートである。
始めに、ステーションは、受信した初期タンクデータに含まれるタンク温度及び圧力に基づいて、現在の水素タンク内に貯蔵されている水素の残量を算出する(S1)。より具体的には、この現水素残量は、例えば、取得したタンク温度及び圧力に基づいて理想気体の状態方程式を利用して算出される。
始めに、ステーションは、受信した初期タンクデータに含まれるタンク温度及び圧力に基づいて、現在の水素タンク内に貯蔵されている水素の残量を算出する(S1)。より具体的には、この現水素残量は、例えば、取得したタンク温度及び圧力に基づいて理想気体の状態方程式を利用して算出される。
S2では、ステーションは、受信した初期タンクデータに含まれる満充填容量から算出した現水素残量を減算することにより、必要充填量を算出する。この必要充填量は、水素タンクを満充填にするためにステーション側から車両側へ供給する必要のある水素の量に相当する。
S3では、ステーションは、予め定められたフェール温度上限値から受信した初期タンクデータに含まれるタンク温度を減算することにより、フェール温度差を算出する。このフェール温度上限値は、後に詳細に説明するように、実行中の充填を中断するか否かを判断するための閾値ともなっている。すなわち、このフェール温度差は充填の中断のされやすさを示すパラメータとなっている。
S4では、ステーションは、できるだけ速やかに満充填にできかつ途中で充填が中断されないように、算出した必要充填量及びフェール温度差に基づいて充填流量を算出する。図14を参照して説明したように、充填流量は、概ねフェール温度差に比例しかつ必要充填量に反比例する。
なお、以上のようにして充填流量を定めた後の通信充填時におけるステーション側の具体的な手順については、後に図9を参照して説明する。また、通信充填時における車両側の具体的な手順については、後に図8を参照して説明する。
なお、以上のようにして充填流量を定めた後の通信充填時におけるステーション側の具体的な手順については、後に図9を参照して説明する。また、通信充填時における車両側の具体的な手順については、後に図8を参照して説明する。
図1に戻って、非通信充填とは、車両V及びステーション9間で通信を行うことなく車両Vに水素を充填する充填方法である。より具体的には、非通信充填では、ディスペンサ92は、予め定められた規定の充填態様で水素タンク31に水素を充填する。非通信充填時のディスペンサ92は、現在の水素タンク31の温度はその時の平均的な温度よりも高温であると想定し、したがって充填流量は、通信充填の下で定めた場合より小さな値に設定される。したがって、通信充填と非通信充填とを比較すると、通信充填の方がその時の水素タンク31の状態や仕様に応じて適切に充填流量を制御できるため、速やかに満充填又はその付近まで充填できる。
<燃料電池車両Vの構成>
燃料電池車両Vは、水素タンク31に貯蔵された水素によって発電し、発電した電力を利用して走行する燃料電池システム1と、この燃料電池システム1の制御を担う電子制御ユニット(以下、「FCV−ECU」という)11と、水素タンク31へ水素を充填する際に水素ステーション9との通信を担う通信充填システム6と、この通信充填システム6の制御を担う電子制御ユニット(以下、「通信充填ECU」という)61と、を備える。なお、図1には、燃料電池システム1全体の構成のうち、水素タンク31へ水素を供給するために必要な装置の構成を主に示す。
燃料電池車両Vは、水素タンク31に貯蔵された水素によって発電し、発電した電力を利用して走行する燃料電池システム1と、この燃料電池システム1の制御を担う電子制御ユニット(以下、「FCV−ECU」という)11と、水素タンク31へ水素を充填する際に水素ステーション9との通信を担う通信充填システム6と、この通信充填システム6の制御を担う電子制御ユニット(以下、「通信充填ECU」という)61と、を備える。なお、図1には、燃料電池システム1全体の構成のうち、水素タンク31へ水素を供給するために必要な装置の構成を主に示す。
FCV−ECU11と通信充填ECU61とは、通信線Lで接続されており、相互通信可能となっている。これにより、2つのECU11,61のうち何れか一方で生成した信号を他方に送信したり、2つのECU11,61における判断を同期したりできる。以下では、このようなFCV−ECU11と通信充填ECU61との間の通信線Lを介した相互通信を、「FC−IR間通信」という。
<燃料電池システム1の構成>
図3は、燃料電池システム1の構成を示す図である。
燃料電池システム1は、燃料電池スタック2と、燃料電池スタック2に水素を供給するアノード系3と、燃料電池スタック2に酸化剤ガスとしての空気を供給するカソード系4と、燃料電池スタック2から排出されたガスの後処理を行う希釈器37と、燃料電池スタック2で発電した電力を蓄えるバッテリBと、燃料電池スタック2及びバッテリBからの電力の供給によって駆動する走行モータMと、FCV−ECU11と、を備える。なお、図3には、燃料電池システム1全体の構成のうち、燃料電池スタック2により発電させるために必要な装置の構成を主に示す。
図3は、燃料電池システム1の構成を示す図である。
燃料電池システム1は、燃料電池スタック2と、燃料電池スタック2に水素を供給するアノード系3と、燃料電池スタック2に酸化剤ガスとしての空気を供給するカソード系4と、燃料電池スタック2から排出されたガスの後処理を行う希釈器37と、燃料電池スタック2で発電した電力を蓄えるバッテリBと、燃料電池スタック2及びバッテリBからの電力の供給によって駆動する走行モータMと、FCV−ECU11と、を備える。なお、図3には、燃料電池システム1全体の構成のうち、燃料電池スタック2により発電させるために必要な装置の構成を主に示す。
燃料電池スタック(以下、単に「スタック」という)2は、例えば、数十個から数百個のセルが積層されたスタック構造である。各燃料電池セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成される。膜電極構造体は、アノード電極(陰極)及びカソード電極(陽極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜とで構成される。通常、両電極は、固体高分子電解質膜に接して酸化・還元反応を行う触媒層と、この触媒層に接するガス拡散層とから形成される。このスタック2は、アノード電極側に形成されたアノード流路21に水素が供給され、カソード電極側に形成されたカソード流路22に酸素を含んだ空気が供給されると、これらの電気化学反応により発電する。
発電中のスタック2から取り出される出力電流は、電流制御器29を介してバッテリBや負荷(走行モータM及びエアコンプレッサ41等)に入力される。電流制御器29は、図示しないDC−DCコンバータを備えており、そのチョッピング動作によって発電中のスタック2の出力電流を制御する。特に後述の停止時充電処理やEGRディスチャージ処理では、電流制御器29は、スタック2の出力電流をバッテリBの充電電流とし、これを所定の電流指令値に制御しながらバッテリBに充電する。
バッテリBは、スタック2で発電した電力や、走行モータMによって回生制動力として回収した電気エネルギーを蓄える。また、例えば燃料電池システム1の起動時や車両の高負荷運転時には、バッテリBに蓄えられた電力はスタック2の出力を補うようにして負荷に供給される。
アノード系3は、水素タンク31と、水素タンク31からスタック2のアノード流路21の導入部に至る水素供給管32と、アノード流路21の排出部から希釈器37に至る水素排出管33と、水素排出管33から分岐し水素供給管32に至る水素還流管34と、を含んで構成される。水素を含んだガスの水素循環流路は、水素供給管32、アノード流路21、水素排出管33及び水素還流管34によって構成される。
図1に戻って、水素タンク31は、水素ガスを高圧で貯蔵するタンク本体311と、タンク本体311から延びる水素供給管32に設けられた開閉弁としての主止弁312と、タンク本体311から延びる水素導入管313と、を備える。この水素導入管313は、一端側がタンク本体311に接続され、他端側が後述のリッドボックス81内に設けられた水素導入口82に接続されている。
水素導入管313には、2つの逆止弁314,315と、充填遮断弁316とが設けられている。充填遮断弁316は、タンク本体311へのガスの流入及びタンク本体311からのガスの流出を遮断する。すなわち、充填遮断弁316を開くと、ステーション9からタンク本体311への水素の供給が受容され、充填遮断弁316を閉じると、ステーション9からタンク本体311への水素の供給が拒絶される。逆止弁314,315は、それぞれ、タンク本体311の近傍と水素導入口82の近傍に設けられ、タンク本体311側から車両Vの外側へ水素が逆流するのを防止する。
リッドボックス81は、車両Vの側部後方に設けられており、その内部で水素導入口82を保護する。このリッドボックス81には、リッド83が回動可能に設けられている。水素ステーション9において、利用者はリッド83を開き、水素導入口82を外部に露出させ、ディスペンサ92の水素充填ノズル93を水素導入口82に差し込み、水素を充填する。
図3に戻って、水素供給管32のうち、主止弁312より下流側には、水素タンク31から供給された新たな水素ガスを、スタック2へ向けて噴射するインジェクタ35が設けられている。なお以下では、水素供給管32のうち、インジェクタ35と主止弁312との間の区間を中圧部321という。発電中のスタック2のアノード流路21内の圧力(以下、「アノード圧」という)は、中圧部321内の圧力が十分に高い状態でインジェクタ35を開閉駆動することにより所定の目標圧に制御される。
水素排出管33のうち、上記水素還流管34との接続部より下流側には、パージ弁33aが設けられている。水素循環流路内を循環するガスの水素濃度が低下すると、スタック2の発電効率が低下する。このため、パージ弁33aは、スタック2の発電中に適切なタイミングで開かれる。これにより、水素循環流路内のガスは、希釈器37へ排出される。
カソード系4は、エアコンプレッサ41と、エアコンプレッサ41からカソード流路22の導入部に至る空気供給管42と、カソード流路22の排出部から希釈器37に至る空気排出管43と、空気排出管43から分岐し空気供給管42に至る空気還流管45と、空気排出管43から分岐し水素供給管32及び希釈器37に至るスタックバイパス管48と、を含んで構成される。酸素を含んだガスの酸素循環流路は、空気供給管42、カソード流路22、空気排出管43及び空気還流管45によって構成される。
エアコンプレッサ41は、システム外の空気を、空気供給管42を介してスタック2のカソード流路22に空気を供給する。また、空気排出管43には、カソード流路22内の圧力を調整するための背圧弁43bが設けられている。発電中のスタック2のカソード流路22内の圧力(以下、「カソード圧」という)は、エアコンプレッサ41で空気を供給しながら背圧弁43bの開度を調整することにより、スタック2の発電状態に応じた適切な大きさに制御される。
空気還流管45には、空気排出管43側のガスを空気供給管42に圧送し、酸素循環流路内で酸素を含んだガスを循環させるEGRポンプ46が設けられている。空気供給管42のうち空気還流管45との接続部よりもエアコンプレッサ41側には、システム1の停止中にエアコンプレッサ41側からカソード流路22側へ外気が流入するのを防止する入口封止弁42aが設けられている。また、空気排出管43のうち空気還流管45との分岐部よりも希釈器37側には、システム1の停止中に希釈器37側からカソード流路22側へ外気が流入するのを防止する出口封止弁43aが設けられている。これら封止弁42a、43aは、後述のEGR停止処理(例えば、後述の図5参照)において、カソード流路22に酸素濃度の低い不活性ガスを充填した状態で閉じられ、スタック2の劣化を抑制する。
スタックバイパス管48には、エアコンプレッサ41から希釈器37へ流れる空気の流量を制御するバイパス弁48aと、エアコンプレッサ41から水素供給管32へ流れる空気の流量を制御する掃気弁48bと、が設けられている。バイパス弁48aは、例えば背圧弁43bを閉じており、空気排出管43から希釈ガスを希釈器37に供給できない場合に開かれ、エアコンプレッサ41の直下の空気を希釈器37に供給する。掃気弁48bは、スタック2による発電を停止している間に、水素循環流路内に残留する不純物をエアコンプレッサ41から供給した空気で排出する掃気処理を実行する際に開かれる。
希釈器37は、上述の背圧弁43b、及びバイパス弁48aを介して導入されたガスを希釈ガスとして、パージ弁33aを介して排出された水素を含んだガスを希釈し、システム外に排出する。
アノード圧センサ27は、水素供給管32に設けられ、アノード圧を検出し、検出値に略比例した信号をFCV−ECU11に送信する。カソード圧センサ28は、空気排出管43に設けられ、カソード圧を検出し、検出値に略比例した信号をFCV−ECU11に送信する。
図示しない車両の運転席には、燃料電池システム1の状態を利用者に報知する表示装置としてのインフォメーションパネルPと、運転者が操作可能なイグニッションスイッチIGと、が設けられている。
FCV−ECU11は、燃料電池システム1を構成する各種装置を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、RAM、及び各種インターフェースなどの電子回路を含んで構成される。
イグニッションスイッチIGは、OFFの状態からONにされると、燃料電池システム起動要求信号を発生する。図示しないECU電源は、イグニッションスイッチIGから出力されたシステム起動要求信号を検出すると、FCV−ECU11及び通信充填ECU61を稼動状態にする。
イグニッションスイッチIGは、ONの状態からOFFにされると、燃料電池システム停止要求信号を発生する。FCV−ECU11は、イグニッションスイッチIGから出力されたシステム停止要求信号を検出すると、後述のシステム停止処理を開始する。
図4は、FCV−ECU11の構成を示す図である。FCV−ECU11には、スタックによる発電、燃料電池システムの起動及び停止に係る様々な処理(以下では、FCV−ECU11が担う処理を総称して「燃料電池システム処理」という)を実行するため複数のモジュール111〜116が構成されている。以下、FCV−ECU11に構成された各種モジュールとその機能について説明する。
システム起動部111は、燃料電池システム処理のうち、燃料電池システムの起動に係る処理、すなわちスタックを安定して発電可能な状態にする処理(以下、「システム起動処理」という)を担う。
システム起動処理では、始めに主止弁312を開くとともにエアコンプレッサを駆動し、スタックへの水素及び空気の供給を開始する。また、このシステム起動処理では、パージ弁を開きながら水素タンク内の水素を供給することにより、水素循環流路内に残留していた不純物をシステム外に排出し、替わりに水素タンクから供給された新規の水素で水素循環流路内を満たす。そして、水素循環流路内が新規の水素で置換されることにより、スタックの開放電圧が所定値まで上昇したことに応じて、燃料電池システムの起動が完了したと判断し、図示しないコンタクタを閉じスタックと負荷とを接続する。これにより、システム起動処理が完了する。なお、システム起動処理は、バッテリに蓄えられた電力が利用される。なお、このシステム起動処理は、イグニッションスイッチからのシステム起動要求信号を検出したことに応じてFCV−ECU11が稼動状態となった後、システム起動部111によって実行される。
通常発電部112は、燃料電池システム処理のうち、運転者の要求に応じた発電を行う処理(以下、「通常発電」という)を担う。通常発電では、図示しないアクセルペダルからの入力に基づいてスタックの出力電流に対する要求を取得し、この要求が実現されるようにカソード圧及びアノード圧を制御する。この通常発電は、上記システム起動処理が完了した後、システム停止要求(IG−OFF)が検出されるまで、通常発電部112によって実行される。
システム停止部113は、燃料電池システムの停止に係る処理(以下、「システム停止処理」という)を担う。システム停止処理は、停止時充電処理と、EGR停止処理と、停止時希釈処理との3つの処理で構成される。図5は、システム停止処理における各装置の制御手順を示すタイムチャートである。
停止時充電部113aは、3つのシステム停止処理のうち停止時充電処理を担う。停止時充電部113aは、通常発電を行っていた状態からシステム停止要求(IG−OFF)を検出したことを契機として、以下で説明する停止時充電処理を実行する。停止時充電処理では、次回の燃料電池システムの起動に備えて、システムの停止指令後も主止弁を開いたままスタックによる発電を継続し、発電した電力をバッテリに充電する処理である。この停止時充電処理は、システムの停止指令時におけるバッテリの残容量が不十分であると判断された場合にのみ、システムの停止指令後、直ちに実行される。なお、図5のタイムチャートでは、システムの停止指令時にバッテリの残容量が十分であると判断され、停止時充電処理が行われなかった場合を示す。
EGR停止部113bは、3つのシステム停止処理のうちEGR停止処理を担う。このEGR停止処理は、発電を停止している間におけるスタックの劣化を抑制するための処理であり、システムの停止指令後、システムが完全に停止するまでの間に行われる。このEGR停止処理は、図5に示すように、圧上げ処理(t1〜t2)と、EGRディスチャージ処理(t2〜t3)と、保圧処理(t3〜t4)と、の3つの処理で構成される。
圧上げ処理は、EGRディスチャージ処理の実行に先立ち、予めアノード圧を好ましい圧力まで昇圧する処理である。より具体的には、圧上げ処理では、主止弁を開き中圧部に十分な圧力を確保した状態で、アノード圧が後述の目標圧になるように、アノード圧センサの出力に基づいてインジェクタをフィードバック制御する。
EGRディスチャージ処理は、スタックの劣化を防止するため、システムを完全に停止させる前にスタックのカソード流路に残留する酸素を消費する処理である。EGRディスチャージ処理では、アノード系の装置については、主止弁を開いた状態でインジェクタによってアノード圧を予め定められた目標圧(以下、「ディスチャージ時目標圧」という)に制御しながら、水素ポンプによって水素循環流路内の水素ガスを循環させる。一方、カソード系の装置については、入口封止弁及び出口封止弁を閉じた状態でコンプレッサを駆動することにより、カソード圧を所定の目標圧に維持する。また、EGRポンプを駆動することにより、酸素循環流路内でガスを循環させることにより、酸素循環流路内の酸素濃度を徐々に低下させる。EGRディスチャージ処理では、水素循環流路及び酸素循環流路を上述のような状態に維持しながらスタックによる発電及びディスチャージを所定時間にわたって行い、酸素循環流路内の酸素濃度を低下させる。EGRディスチャージ処理は、酸素循環流路内の酸素濃度が所定濃度まで低下するまで、又は酸素濃度が所定濃度まで低下したと判断できる程度の時間が経過するまで実行される。なお、このEGRディスチャージ処理を実行している間にスタックから取り出された発電電流は、例えばバッテリに供給される。
保圧処理は、EGRディスチャージ処理の終了後に、アノード圧をさらに昇圧する処理である。より具体的には、保圧処理では、主止弁を開いた状態でインジェクタによって上述のディスチャージ時目標圧よりも高い所定の保圧時目標圧までアノード圧を昇圧する。そして、この昇圧が完了した後、主止弁を閉じ、保圧処理を終了する。
以上のような手順でEGR停止処理を実行することにより、スタックのカソード流路には酸素濃度の低い不活性ガスが充填され、アノード流路は水素ガスによって高圧に維持される。これにより、カソード側からの残留酸素の透過が極力抑制され、スタックの劣化を抑制できる。
なお、以上のEGR停止処理は、上記停止時充電処理と同様にスタックによる発電及びディスチャージを伴う処理であるため、基本的には上記停止時充電処理と並行して行うことはできない。そこで本実施形態では、EGR停止処理は、停止時充電処理が終了した後に行う(後述の図10参照)。
停止時希釈部113cは、3つのシステム停止処理のうち停止時希釈処理を担う。この停止時希釈処理は、システムの停止指令時に希釈器内に残留していた水素ガスを希釈し、希釈器内の水素濃度を規定の濃度まで所定時間かけて低下させる処理である。この停止時希釈処理は、スタックへ積極的に水素ガスを供給する必要が無く、かつコンプレッサを駆動しており希釈器内に希釈ガスを導入できる状態であれば実行できる処理であるため、上記EGR停止処理と並行して実行できる。したがって本実施形態では、システム停止要求信号を検出した後、直ちに停止時希釈処理を開始する。
より具体的には、停止時希釈処理では、図5に示すように、コンプレッサを駆動した状態で、背圧弁、及びスタックバイパス弁等を適宜開閉することにより、スタックから排出されたガスやコンプレッサの直下のガスを希釈器に導入し、これを希釈ガスとして希釈器内の水素を希釈する。なお、出口封止弁を閉じている間は、背圧弁を開いても希釈器に希釈ガスを導入できない。このため、EGRディスチャージ処理を行っている間は、スタックバイパス弁を適宜開閉することにより、希釈ガスを希釈器に導入する。
なお、以上説明した一連のシステム停止処理は、利用者によるシステム停止操作が行われた後に、利用者の意図とは無関係に行われる。したがって、システム停止部113は、システム停止処理を実行している間は、インフォメーションパネルPに「停止処理実行中」とのメッセージを表示させ、利用者に報知することが好ましい。
図4に戻って、水素流出量演算部114は、上述のシステム停止処理中における水素の流出量を算出する。システム停止処理のうち、停止時充電処理及びEGR停止処理は主止弁を開いた状態で行われる処理であるから、これらの処理を行うと水素タンクから水素供給管を介してスタックへ向けて水素が流出する。また、このときの水素の流出速度は、システム停止処理を構成する工程ごとに異なる。水素流出量演算部114は、システム停止処理を構成する一工程(停止時充電処理、EGR停止処理の圧上げ処理、EGR停止処理のEGRディスチャージ処理)ごとの水素流出量を算出する。
停止時充電処理では、水素タンクから供給された水素は、スタックの発電により消費されるか、水素循環流路内を循環するか、又はパージ弁を介してシステム外に排出される。したがって、停止時充電処理の水素流出量は、充電中にスタックから取り出された発電電流の積算値、インジェクタの操作量、アノード圧の変化、及びパージ弁の開閉履歴などに基づいて算出できる。
EGR停止処理の圧上げ処理では、水素タンクから供給された水素は、アノード圧を目標圧まで昇圧するために用いられる。したがって、圧上げ処理の水素流出量は、インジェクタの操作量、及び圧上げ処理の実行前後のアノード圧の差などに基づいて算出できる。
EGR停止処理のEGRディスチャージ処理では、水素タンクから供給された水素は、スタックの発電により消費されるか、水素循環流路内を循環するか、又はパージ弁を介してシステム外に排出される。したがって、EGRディスチャージ処理の水素流出量は、ディスチャージ中にスタックから取り出された発電電流の積算値、インジェクタの操作量、アノード圧の変化、及びパージ弁の開弁履歴などに基づいて算出できる。
EGR停止処理のEGRディスチャージ処理では、水素タンクから供給された水素は、スタックの発電により消費されるか、水素循環流路内を循環するか、又はパージ弁を介してシステム外に排出される。したがって、EGRディスチャージ処理の水素流出量は、ディスチャージ中にスタックから取り出された発電電流の積算値、インジェクタの操作量、アノード圧の変化、及びパージ弁の開弁履歴などに基づいて算出できる。
ところで、後に詳細に説明するように、水素タンクにはその温度や圧力を検出するためのセンサが設けられている。したがって、システム停止処理中の水素タンクからの水素流出量は、タンクに設けられたセンサを利用しても算出することはできる。しかしながら、通常の運転時における水素タンク内の圧力は燃料電池システム内(より具体的には、インジェクタより下流の水素循環流路内)の圧力よりも高圧である。したがって、水素タンクに設けられたセンサと燃料電池システム内に設けられたセンサとを比較すると、水素タンクに設けられたセンサの検出レンジは、燃料電池システム内に設けられたセンサの検出レンジより広い。したがって、システム停止処理の水素流出量は、より検出レンジの狭い燃料電池システム内に設けられたセンサを利用して算出した方が、より高い精度で算出できる。
水素SOC演算部115は、現在の水素タンクの水素SOCの演算を担う。なお、水素タンクの水素SOCとは、水素タンクに貯蔵可能な水素の量を1として、現在の水素タンクに貯蔵されている水素の量を百分率で表したものである。水素SOC演算部115は、後述のFC−IR間通信部116を介して送信された水素タンク内の圧力及び温度に関するデータ信号に基づいて、水素SOCを算出する。水素SOC演算部115によって算出された水素SOCは、上述のシステム起動処理、通常発電、及びシステム停止処理において適宜用いられる。
FC−IR間通信部116は、通信線Lを介したFC−IR間通信のFCV−ECU11側の処理を担う。FCV−ECU11側から通信充填ECU61側へは、通信充填ECU61側での処理に必要な情報、例えば、システム停止処理の実行状態に関するデータ信号や、水素流出量演算部114において算出された水素消費量に関するデータ信号などが送信される。また、通信充填ECU61側からFCV−ECU11側へは、FCV−ECU11側での処理に必要な情報、例えば、水素タンク内の温度や圧力に関するデータ信号が送信される。
<通信充填システム6の構成>
図1に戻って、燃料電池車両Vの通信充填システム6の構成について説明する。
通信充填システム6は、水素タンク31の状態を検出する2つのタンク温度センサ62,63及びタンク圧力センサ64と、リッド83の状態を検出するリッドセンサ65と、赤外線送信器66と、通信充填ECU61と、を備える。
図1に戻って、燃料電池車両Vの通信充填システム6の構成について説明する。
通信充填システム6は、水素タンク31の状態を検出する2つのタンク温度センサ62,63及びタンク圧力センサ64と、リッド83の状態を検出するリッドセンサ65と、赤外線送信器66と、通信充填ECU61と、を備える。
タンク温度センサ62は、水素タンク31のうちタンク本体311内の水素温度を検出し、検出値に略比例した信号を通信充填ECU61に送信する。なお、以下では、タンク温度センサ62の検出値、すなわちタンク温度センサ62によって検出されたタンクの温度を「検出タンク温度」という。また、この検出タンク温度を補正して得られたものについては、「補正タンク温度」といい、検出タンク温度と区別する。
タンク圧力センサ64は、水素導入管313のうち逆止弁314よりタンク本体311側の圧力を検出し、検出値に略比例した信号を通信充填ECU61に送信する。なお以下では、タンク圧力センサ64の検出値、すなわちタンク圧力センサ64によって検出されたタンクの圧力を「検出タンク圧力」という。また、この検出タンク圧力を補正して得られたものについては、「補正タンク圧力」といい、検出タンク圧力と区別する。
リッドセンサ65は、リッドボックス81に設けられており、リッド83の開閉状態を検出する。リッドセンサ65は、リッド83が閉じられリッドボックス81内に水素導入口82が保護された状態では、これを示す閉信号を通信充填ECU61に送信する。リッドセンサ65は、リッド83が開かれ水素導入口82が外部に露出した状態では、これを示す開信号を通信充填ECU61及びFCV−ECU11に送信する。
以上のように、水素を充填するためには、リッド83を開かなければならない。したがって、リッド83の開閉は、利用者が水素の充填を開始又は終了するための予備的な行為となっている。したがって、以下では、リッドセンサ65から出力される開信号は、通信充填システム6に対する起動要求信号ともいう。また、リッドセンサ65から出力される閉信号は、通信充填システム6に対する停止要求信号ともいう。
赤外線送信器66は、赤外線LED67とそのドライバ68で構成される。ドライバ68は、通信充填ECU61から送信されたデータ信号に応じた態様で赤外線LED67を点滅させる。以下では、この赤外線送信器66を利用した通信充填システム6とステーション9との間の赤外線通信を、「IR通信」といい、FC−IR間通信と区別して扱う。
通信充填ECU61は、通信充填システム6を構成する各種装置を制御する電子制御ユニットであり、CPU、ROM、RAM、及び各種インターフェースなどの電子回路を含んで構成される。
図6は、通信充填ECU61の構成を示す図である。通信充填ECU61には、通信充填システム6による水素ステーションとの通信、及び水素ステーションからの水素の充填に係る処理(以下では、通信充填ECU61が担う処理を総称して「通信充填システム処理」という)を実行するための複数のモジュール611〜621が構成されている。以下、通信充填ECU61に構成された各種モジュールとその機能について説明する。図示しないECU電源は、リッドが開かれ、リッドセンサ65からの通信充填システム起動要求信号を検出すると、通信充填ECU61を稼動状態にし、以下で説明する各種処理を実行可能な状態にする。
データ信号生成部611は、IR通信によってステーション側へ送信するデータ信号、より具体的には車両及びステーション間で通信充填を行ったり、実行中の通信充填を非通信充填に切り替えたりするために必要なデータ信号を生成する。ここで生成したデータ信号は、IR通信部612によってステーション側へ送信される。
データ信号生成部611は、通信開始指令信号、初期タンクデータ信号、充填中タンクデータ信号、アボート信号、及び非通信切替信号を生成する。
通信開始指令信号は、車両側からステーション側へIR通信及び通信充填の開始を指令するための信号である。データ信号生成部611は、IR通信及び通信充填を開始するための準備が整ったことに応じて通信開始指令信号を生成する。
初期タンクデータ信号は、通信充填の開始直前又は通信充填の再開直前における水素タンクの初期状態に関する情報を含む。データ信号生成部611は、図2を参照して説明したような手順に従ってステーション側で具体的な充填態様を決定させるため、通信充填を開始する際に、その時の検出タンク温度、検出タンク圧力、及び車両固有の満充填容量に基づいて初期タンクデータ信号を生成する。
なお、この初期タンクデータ信号は、通信充填を初めて開始する際だけでなく、通信充填を再開する場合にも新たに生成され、ステーション側へ送信される。ここで、「通信充填の再開」とは、実行中の通信充填の充填態様を変更させ、新たな充填態様の下で再び通信充填を開始することをいう。このように、通信充填を再開する際には、データ信号生成部611は、後述の補正値演算部616によって算出された補正タンク温度、補正タンク圧力、及び満充填容量に基づいて初期タンクデータ信号を生成する。
充填中タンクデータ信号は、充填中の水素タンクの状態に関する情報を含む。データ信号生成部611は、通信充填を開始した後、ステーション側で水素が充填されている間の水素タンクの状態を把握させるため、上記初期タンクデータの送信後、周期的に、その時の検出タンク温度、検出タンク圧力に基づいて充填タンクデータ信号を生成する。
アボート信号は、充填の中断が要求された状態であることを示す信号である。データ信号生成部611は、後述の充填中断判断部614によって実行中の充填を中断する必要があると判断されたことに応じてアボート信号を生成する。
非通信切替信号は、通信充填から非通信充填へ充填方法の切り替えが要求された状態であることを示す信号である。データ信号生成部611は、後述の非通信切替判断部615によって実行中の通信充填を非通信充填に切り替える必要があると判断されたことに応じて非通信切替信号を生成する。
IR通信部612は、データ信号生成部611によって生成したデータ信号を、赤外線送信器66によって適切な赤外線信号に変換し、ステーション側へ送信する(IR通信)。
充填遮断弁制御部613は、所定の充填開始要求を検出したことに応じて、充填遮断弁316を開き、水素タンクを水素充填可能な状態にする。これにより、ステーション側で定められた流量で水素が供給され、水素タンクに充填される。その後、充填遮断弁制御部613は、所定の通信充填終了条件又は非通信充填終了条件が満たされたことに応じて、充填遮断弁316を閉じる。これにより、ステーション側からの水素の供給が終了する。なお、充填遮断弁制御部613は、後述の充填中断要求が生じた場合には、上記充填終了条件が満たされていなくても充填遮断弁を閉じ、水素の充填を強制的に終了する。
充填中断判断部614は、実行中の水素の充填を中断するか否かを判断する。より具体的には、充填中断判断部614は、通信充填又は非通信充填を行っている間に充填中の水素タンクの状態を示す物理量(例えば、その時の検出タンク温度、検出タンク圧力、及びこれら検出タンク温度及び検出タンク圧力に基づいて算出された水素SOC等)を取得し、これら取得した物理量と各々に対して予め設定されたフェール上限値とを比較する。充填中断判断部614は、取得した物理量の何れかが上記フェール上限値を超えた場合には、実行中の水素の充填を中断する必要があると判断する。これにより、通信充填の実行中である場合には、データ信号生成部611はアボート信号を生成し、IR通信部612は生成したアボート信号をステーション側へ送信し、充填遮断弁制御部613は充填遮断弁316を閉じる。以下では、充填の中断要求が生じた後に行われる一連の処理をアボート処理という。
非通信切替判断部615は、通信充填の実行中に、充填方法を通信充填から非通信充填に切り替えるか否かを判断する。より具体的には、非通信切替判断部615は、システム停止処理と通信充填とが並行して行われた場合に、通信充填が終了する前にシステム停止処理のうち主止弁の開弁を伴う処理(停止時充電処理、及びEGR停止処理)が先に終了した場合には、充填方法を通信充填から非通信充填に切り替える必要があると判断する。
上述のような主止弁の開弁を伴う処理が終了すると、水素タンクからの水素の流出が止まるため、水素タンク内の圧力の上昇速度が増加するため、実行中の充填が中断されてしまう場合がある。非通信切替判断部615は、このような水素の流出が停止することに起因した充填の中断を回避するため、通信充填を行っている間にシステム停止処理が終了した場合には、ステーション側において予め充填態様が定められている非通信充填へ切り替える必要があると判断する。
補正値演算部616は、以下で説明する手順に従ってタンク温度センサ62及びタンク圧力センサ64の検出値を補正し、通信充填の再開時における初期タンクデータ信号を生成するために必要となる上述の補正タンク温度及び補正タンク圧力を算出する。この補正値演算部616の機能を説明するため、図7を参照して充填中における水素タンクの状態の変化について説明する。
図7は、水素タンクに水素を一定の流量で供給した場合におけるタンクの温度の変化を示す図である。なお、図7の縦軸、横軸、及び通信充填開始時におけるタンクの状態等については、上述の図14と共通しているので、これらの詳細な説明は省略する。また、図14と同様に、理解を容易にするため、水素タンク内の水素の量はタンク内の圧力に比例するものとする。
図14を参照して説明したように、通信充填と主止弁の開弁を伴うシステム停止処理とを並行して行うと、充填中に必要充填量が増加してしまう(図7の例では、Δ65MPaからΔ75MPaへ増加する)。このため、通信充填の開始時に車両側からステーション側へ送信した初期タンクデータ信号に基づいて決定した充填流量(例えば、10NL/min)で充填し続けた場合、実際の満充填に達する前にタンクの温度がフェール温度上限を超えてしまい、通信充填が中断されるおそれがある。
したがって、この必要充填量の増加分(Δ10MPa)を、タンクの温度がフェール温度上限を超えることなく充填させるためには、充填中のタンクの温度上昇が緩やかになるように、当初の初期タンクデータ信号に基づいて定めた充填流量をより小さく変更する必要がある。図7に示す例では、充填流量を10NL/minから8NL/minへ減少させることにより、充填中のタンクの温度上昇速度を低下させ、充填中にタンクの温度がフェール温度上限を超えることなく満充填にできる。このため、データ信号生成部611は、システム停止処理と通信充填とが並行して行われた場合、当初送信した初期タンクデータ信号に基づいてステーション側で設定された充填流量を変更して通信充填を再開させるため、通信充填中の所定の時期に、初期タンクデータを再び生成し、ステーション側へ送信する。
ただし、初期タンクデータ信号を再送信する場合、この初期タンクデータ信号を、検出タンク温度及び検出タンク圧力に基づいて生成すると、ステーション側では、当初送信された初期タンクデータ信号の下で決定した充填流量と同じ充填流量に再設定される可能性が高い。このため、通信充填を再開する際に送信する初期タンクデータ信号は、検出タンク温度及び検出タンク圧力を補正して得られる補正タンク温度及び補正タンク圧力に基づいて生成する必要がある。
図6に戻って、補正値演算部616は、通信充填の再開前より再開後の方が燃料ガスの充填流量が小さくなるように、検出タンク温度及び検出タンク圧力を補正し、補正タンク温度及び補正タンク圧力を算出する。以下、補正タンク温度及び補正タンク圧力を算出する手順について説明する。
先ず、図2を参照して説明したように、ステーション側で把握されるフェール温度差は、タンクの温度が高くなるほど小さくなる。また、ステーションは、概ねフェール温度差に比例して充填流量を決定する。つまりステーションは、タンクの温度が高くなるほど充填流量を小さく設定する傾向がある。したがって補正値演算部616は、検出タンク温度に所定の正の補正値を加えたものを補正タンク温度とする。また、通信充填の再開時における水素タンクの状態と当初の水素タンクの状態とのずれは、必要充填量の増加分、すなわちシステム停止処理における水素流出量に比例して大きくなる。したがって、水素流出量が大きくなるほど、充填流量を小さくする必要がある。そこで、検出タンク温度に加算する正の補正値は、FCV−ECUによって算出された水素流出量に比例して大きくなるように設定される。
また、図2を参照して説明したように、ステーション側で把握される現水素残量は、タンクの圧力が高くなるほど増加する。また、現水素残量が増加すると、必要充填量は減少する。またステーションは、概ね必要充填量に反比例して充填流量を決定する。つまりステーションは、タンクの圧力が低くなるほど充填流量を小さく設定する傾向がある。したがって補正値演算部616は、検出タンク圧力に所定の負の補正値を加えたものを補正タンク圧力とする。また、この検出タンク圧力に加算される負の補正値は、補正タンク温度の場合と同様の理由により、FCV−ECUによって算出された水素流出量に反比例して小さくなるように設定される。
以上のように、検出タンク温度から増加側に補正された補正タンク温度と、検出タンク圧力から減少側に補正された補正タンク圧力と、に基づいて初期タンクデータ信号を生成することにより、システム停止中に水素タンクから流出した水素の量を考慮して、充填流量を小さくできる。
FC−IR間通信部621は、通信線Lを介したFC−IR間通信の通信充填ECU61側の処理を担う。上述のように、FCV−ECU11側から通信充填ECU61側へは、システム停止処理の実行状態に関する情報を含むデータ信号や、システム停止処理中の水素流出量に関する情報を含むデータ信号等が送信される。また、通信充填ECU61側からFCV−ECU11側へは、検出タンク温度や検出タンク圧力等タンクの状態に関する情報を含むデータ信号が送信される。
以下、図8〜図10を参照して、通信充填の車両側及びステーション側での具体的な手順について説明する。
図8は、通信充填の車両側の具体的な手順を示すフローチャートである。この図8に示す処理は、充填開始要求(例えば、リッドが開かれ、かつステーションの水素充填ノズルが水素充填口に差し込まれること)が生じたことを契機として、通信充填ECUによって実行される。
始めに通信充填ECUは、現在、システム停止処理(主止弁の開弁を伴う停止時充電処理又はEGR停止処理)を実行しているか否かを判別する(S11)。S11の判別がYESである場合には、システム停止処理と通信充填とを並行して実行した状態であることを示す並行実施フラグをオンにし(S12)、S13へ移る。S11の判別がNOである場合には、並行実施フラグをオフにしたまま、S13へ移る。
S13では、通信充填ECUは、現在、すなわち通信充填を開始する直前の検出タンク温度及び検出タンク圧力に基づいて初期タンクデータ信号を生成し、S14に移る。S14では、通信充填ECUは、通信開始指令信号をステーション側へ送信し、S15に移る。
S15では、通信充填ECUは、通信充填を開始又は再開するため、上記S13又は後述のS26において生成した初期タンクデータ信号をステーション側へ送信し、S16に移る。後に図9を参照して説明するように、ステーションは、初期タンクデータ信号を受信したことを契機として充填流量を決定し、決定した充填流量に応じてオリフィス径を調整し、水素の供給を開始する。したがって、S15以降、ステーション側から車両側へ水素が供給される。
S16では、通信充填ECUは、充填中タンクデータ信号をステーションへ送信し、S17へ移る。
S17では、通信充填ECUは、アボートが発生したか否か、すなわち実行中の通信充填を中断する必要があるか否かを判別する。より具体的には、上述のように検出タンク温度、検出タンク圧力、及び水素SOCが各々に対して予め設定されたフェール上限値を超えた場合には、通信充填を中断する必要があると判断する。S17の判別がYESである場合には、S18に移り、アボート処理を実行し、実行中の通信充填を強制的に終了する。なお、このアボート処理では、通信充填ECUは、アボート信号をステーション側へ送信するとともに、充填遮断弁を適切なタイミングで閉じる。S17の判別がNOである場合には、S19へ移る。
S17では、通信充填ECUは、アボートが発生したか否か、すなわち実行中の通信充填を中断する必要があるか否かを判別する。より具体的には、上述のように検出タンク温度、検出タンク圧力、及び水素SOCが各々に対して予め設定されたフェール上限値を超えた場合には、通信充填を中断する必要があると判断する。S17の判別がYESである場合には、S18に移り、アボート処理を実行し、実行中の通信充填を強制的に終了する。なお、このアボート処理では、通信充填ECUは、アボート信号をステーション側へ送信するとともに、充填遮断弁を適切なタイミングで閉じる。S17の判別がNOである場合には、S19へ移る。
S19では、通信充填ECUは、通信充填が適切に終了したか否かを判別する。より具体的には、例えば、ステーション側から通信充填が終了したことを示す信号を受信した場合や、ステーション側からの水素の供給が停止した場合に、通信充填ECUは、通信充填が適切に終了したと判断する。S19の判別がYESである場合には、この処理を終了する。S19の判別がNOである場合には、S20へ移る。
S20では、通信充填ECUは、並行実施フラグがオンであるか否かを判別する。S20の判別NOである場合には、S21以降の処理を行うことなくS16に戻り、通信充填を継続する。この場合、通信充填が再開されることはない。S20の判別がYESである場合には、通信充填を再開する時期を判断するため、S21へ移る。
S21では、通信充填ECUは、前回のS20の判断から今回のS20の判断までの間に、システム停止処理が全て終了したか否かを判別する。より具体的には、S21では、システム停止処理のうち最後に行われるEGR停止処理の保圧処理が終了したか否かを判別する。S21の判別がYESである場合、すなわち通信充填を行っている間にシステム停止処理が終了した場合には、S22へ移る。
S22では、通信充填ECUは、充填方法を通信充填から非通信充填に切り替えて充填を継続すべく、非通信切替指令信号をステーション側へ送信し、この処理を終了する。後に図9を参照して説明するように、ステーションは、この非通信充填への切り替えを指令する信号を受信したことを契機として、充填方法を非通信充填に切り替える。非通信充填ではステーション側で予め定められた充填流量の下で水素が充填されるため、非通信充填の下で水素を充填した場合、通信充填の下で水素を充填した場合よりも満充填にするためにかかる時間は長くなる。しかしながら、非通信充填に切り替えることにより、充填が中断される可能性を低くできるので、より確実に多くの水素を充填できる。
S21の判別がNOである場合には、S23へ移る。S23では、通信充填ECUは、前回のS20の判断から今回のS20の判断までの間に、システム停止処理を構成する複数の処理の1つが終了したか否かを判別する。ここで、システム停止処理を構成する複数の処理とは、より具体的には、停止時充電処理、EGR停止処理の圧上げ処理、及びEGR停止処理のEGRディスチャージ処理である。S23の判別がNOである場合には、通信充填ECUは、通信充填を再開する時期ではないと判断し、S16に戻り通信充填を継続する。
S23の判別がYESである場合には、S24へ移る。S24では、通信充填ECUは、直前まで実行していたシステム停止処理の水素流出量を取得する。この水素流出量は、上述のようにFCV−ECUにおいて、燃料電池システムに設けられたセンサを利用して高い精度で算出される。またこの水素流出量は、満充填にするために当初の予定から追加して供給すべき水素の量に相当する。
S25では、通信充填ECUは、現在、すなわちシステム停止処理の一工程が終了した直後の検出タンク温度及び検出タンク圧力、並びに取得した水素流出量に基づいて、補正タンク温度及び補正タンク圧力を算出する。S26では、通信充填ECUは、補正タンク温度及び補正タンク圧力に基づいて初期タンクデータ信号を生成し、S15へ移る。そしてS15では、通信充填ECUは、生成した初期タンクデータ信号を再びステーションへ送信し、充填流量を小さく変更し、通信充填を再開する。
図9は、通信充填のステーション側の具体的な手順を示すフローチャートである。この図9に示す処理は、例えば、車両側から送信された通信開始指令信号を受信したことを契機としてステーションによって実行される。
S31では、ステーションは、車両側から送信される初期タンクデータ信号を受信したか否かを判別する。S31の判別がYESの場合、S32へ移る。S32では、ステーションは、受信した初期タンクデータ信号に基づいて、例えば図2を参照して説明した手順に従って充填流量を決定し、可変オリフィスのオリフィス径を充填流量に応じて調整する。S33では、ステーションは、水素の充填を開始又は再開する。S31の判別がNOの場合、上記S32〜S33の処理をスキップし、S34へ移る。
S34では、ステーションは、車両側からアボート信号を受信したか否かを判別する。S34の判別がYESである場合には、S35へ移り、アボート処理を開始する。なお、このアボート処理では、ステーションは、水素の供給の停止し、停止が完了した場合には、供給が完了したことを示す信号を車両側へ送信する。S34の判別がNOの場合、S36へ移る。
S36では、ステーションは、車両側から非通信切替信号を受信したか否かを判別する。S36の判別がYESである場合には、S37へ移り、実行中の通信充填を終了し、引き続き非通信充填を開始する。より具体的には、ステーションは、S32において初期タンクデータ信号に基づいて定めた充填流量を、予め定められた非通信充填時の充填流量に変更し、この充填流量の下で水素の充填を継続する。S36の判別がNOの場合、S38へ移る。
S38では、ステーションは、通信充填中に車両側から送信される充填中タンクデータ信号に基づいて、水素SOCを算出する。この水素SOCは、充填中タンクデータ信号に含まれる検出タンク温度及び検出タンク圧力に基づいて、例えば理想気体の状態方程式を利用して算出される。S39では、ステーションは、算出した水素SOCに基づいて、満充填に達したか否かを判別する。満充填に達したか否かは、例えば、算出した水素SOCが100[%]以上となったか否かによって判断される。S39の判別がYESの場合には、通信充填を終了する。S39の判別がNOの場合には、引き続き通信充填を継続すべく、S31へ移る。
図10は、システム停止処理を実行している間に通信充填を開始した場合における、通信充填を再開する時期、ステーション側で把握される必要充填量、及び充填流量の変化を示すタイムチャートである。
図10では、時刻t10においてシステムの停止指令があった後、時刻t10から停止時充電処理を開始し、その後時刻t12において停止時充電処理が終了したことに伴いEGR停止処理を開始した場合を示す。
図10では、時刻t10においてシステムの停止指令があった後、時刻t10から停止時充電処理を開始し、その後時刻t12において停止時充電処理が終了したことに伴いEGR停止処理を開始した場合を示す。
停止時充電処理の実行中である時刻t11では、利用者によってリッドを開かれかつ充填ノズルが水素充填口に挿入されたことを契機として、通信充填開始要求が発生する。車両は、検出タンク温度及び検出タンク圧力に基づいて生成された初期タンクデータ信号をステーションへ送信する(図8のS13〜S15)。ステーションは、この初期タンクデータ信号に基づいて必要充填量を把握するとともに、充填流量を決定し、通信充填を開始する(図9のS31〜S33)。
その後、時刻t12では、停止時充電処理が終了し、EGR停止処理の圧上げ処理が開始する。この時、車両は、この停止時充電処理における水素タンクからの水素流出量を算出し、この水素流出量に基づいて補正タンク温度及び補正タンク圧力を算出し、これらに基づいて初期タンクデータ信号を再び生成し、ステーションへ送信する(図8のS23〜S26)。ステーションは、再び送信された初期タンクデータ信号から、必要充填量が増加したことを把握し、これに応じて充填流量を小さくし、通信充填を再開する(図9のS31〜S33)。
その後、時刻t13では、EGR停止処理の圧上げ処理終了し、時刻t14ではEGR停止処理のEGRディスチャージ処理が終了する。これら時刻t13、t14においても車両は、初期タンクデータ信号を再びステーションへ送信する。ステーションは、再び送信された初期タンクデータ信号から、必要充填量が増加したことを把握し、さらに充填流量を小さくし、通信充填を再開する。
その後、時刻t15では、EGR停止処理の保圧処理が終了する。すなわち、システム停止処理が全て終了する。この時、車両は、非通信切替指令信号をステーションへ送信する(図8のS21、S22)。ステーションは、この指令に応じて充填方法を通信充填から非通信充填へ切り替えて、水素の充填を継続する(図9のS36〜S37)。そして、時刻t16では、所定の非通信充填終了条件が満たされたことに応じて、非通信充填が終了する。
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、上記実施形態では、水素ステーションは、一旦、初期タンクデータ信号に基づいて定めた充填流量を、その後初期タンクデータを再び受信しない限り、変化させない場合について説明したが、本発明はこれに限らない。水素ステーションには、通信充填中に充填流量を変化させるものもある。本発明は、このような水素ステーションと組み合わせてもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成及び処理については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の水素充填システムは、上記第1実施形態の水素充填システムS(図1参照)と、水素ステーションの構成が異なる。第1実施形態の水素ステーションは、通信充填の終了時期を、通信充填中に車両から送信された充填中タンクデータ信号に基づいて算出した水素SOCに基づいて決定する。本実施形態の水素ステーションは、第1実施形態の水素ステーションと、通信充填の終了時期を判断する手順が主に異なる。
次に、本発明の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成及び処理については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の水素充填システムは、上記第1実施形態の水素充填システムS(図1参照)と、水素ステーションの構成が異なる。第1実施形態の水素ステーションは、通信充填の終了時期を、通信充填中に車両から送信された充填中タンクデータ信号に基づいて算出した水素SOCに基づいて決定する。本実施形態の水素ステーションは、第1実施形態の水素ステーションと、通信充填の終了時期を判断する手順が主に異なる。
図11は、通信充填のステーション側の具体的な手順を示すフローチャートである。
S31では、ステーションは、車両側から送信される初期タンクデータ信号を受信したか否かを判別する。S31の判別がYESの場合、S42へ移る。S42では、ステーションは、受信した初期タンクデータ信号に基づいて、通信充填の充填態様を定めた充填プロトコルを設定する。この充填プロトコルとは、充填の開始から終了までの充填流量の変化態様(例えば、可変オリフィスの制御手順)を規定したものである。より具体的には、S42では、ステーションは、受信した初期タンクデータ信号に基づいて、できるだけ速やかに満充填にできかつ途中で充填が中断されないように、適切な充填プロトコルを決定する。S43では、ステーションは、決定した充填プロトコルに従って充填を開始又は再開する。
S31では、ステーションは、車両側から送信される初期タンクデータ信号を受信したか否かを判別する。S31の判別がYESの場合、S42へ移る。S42では、ステーションは、受信した初期タンクデータ信号に基づいて、通信充填の充填態様を定めた充填プロトコルを設定する。この充填プロトコルとは、充填の開始から終了までの充填流量の変化態様(例えば、可変オリフィスの制御手順)を規定したものである。より具体的には、S42では、ステーションは、受信した初期タンクデータ信号に基づいて、できるだけ速やかに満充填にできかつ途中で充填が中断されないように、適切な充填プロトコルを決定する。S43では、ステーションは、決定した充填プロトコルに従って充填を開始又は再開する。
その後、S49では、ステーションは、充填プロトコルが終了したか否かを判別する。S49の判別がYESである場合には、通信充填を終了する。S49の判別がNOである場合には、通信充填を継続すべくS31に戻る。
以上のように、充填の開始から終了まで、開始時に定めた充填プロトコルに従って充填を行う水素ステーションに対しても、本発明は適用できる。すなわち、本実施形態の水素ステーションも、第1実施形態の水素ステーションと同様に、通信充填の開始時に車両側から送信された初期タンクデータ信号に基づいて、できるだけ速やかにかつ途中で中断されないように、その後の充填態様を決定する点では同じである。このため、システム停止処理と通信充填とを並行して行うと、当初定めた充填プロトコルと、水素が流出することにより増加した必要充填量の下で理想とされる充填プロトコルとで、第1実施形態と同様のずれが生じる。このため、車両側からは、図8を参照して説明した手順に従って、システム停止処理の一工程が終了するたびに初期タンクデータ信号を再び送信し、その都度充填プロトコルを新たに規定しなおすことにより、第1実施形態と同様の効果を奏する。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成及び処理については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12は、本実施形態に係る水素充填システムS´の構成を示す図である。
本実施形態の水素充填システムS´は、上記第1実施形態の水素充填システムS(図1参照)と、車両V´の構成が異なる。また、第1実施形態の水素充填システムSは、初期タンクデータ信号を再送信することによって、充填流量を小さくした。これに対し本実施形態の水素充填システムS´は、車両V´が備える充填流量制御機構によって充填流量を小さくする点で、第1実施形態と異なる。
次に、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明では、第1実施形態と同じ構成及び処理については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12は、本実施形態に係る水素充填システムS´の構成を示す図である。
本実施形態の水素充填システムS´は、上記第1実施形態の水素充填システムS(図1参照)と、車両V´の構成が異なる。また、第1実施形態の水素充填システムSは、初期タンクデータ信号を再送信することによって、充填流量を小さくした。これに対し本実施形態の水素充填システムS´は、車両V´が備える充填流量制御機構によって充填流量を小さくする点で、第1実施形態と異なる。
燃料電池システム1´の水素導入管313には、そのオリフィス径を電磁的に調整できる充填流量制御装置としての可変オリフィス317´が設けられている。通信充填システム6´の通信充填ECU61´は、通信充填とシステム停止処理とを並行して行う場合、所定の時期に可変オリフィス317´のオリフィス径を調整することにより、充填流量を制御する。
図13は、通信充填の車両側の具体的な手順を示すフローチャートである。この図13に示す処理は、充填開始要求が生じたことを契機として、通信充填ECUによって実行される。なお、この通信充填の開始時、車両に設けられた可変オリフィスのオリフィス径は、最大に設定される。したがって、通信充填を開始した直後は、初期タンクデータ信号に基づいてステーション側で設定された充填流量に従って水素が充填される。
S24では、通信充填ECUは、これまでに実行していたシステム停止処理の水素流出量を算出する。図7を参照して説明したように、通信充填中に水素タンクから水素が流出すると、必要充填量が増加する。この必要充填量の増加分を、タンクの温度がフェール温度上限を超えることなく充填させるためには、充填中のタンクの温度上昇が緩やかになるように、当初の初期タンクデータ信号に基づいてステーション側で定めた充填流量をより小さく変更する必要がある。この際、充填流量の減少分(図7の例では、2NL/min)は、水素流出量に概ね比例して大きくなる。S55では、通信充填ECUは、算出した水素流出量に基づいて充填流量の減少分を算出する。S56では、通信充填ECUは、S55で算出した分だけ充填流量が減少するように、可変オリフィスのオリフィス径を絞り、充填流量を小さくし、S16へ移る。
V、V´…燃料電池車両
S、S´…水素充填システム
1、1´…燃料電池システム
2…スタック(燃料電池)
31…水素タンク(貯蔵容器)
312…主止弁(開閉弁)
317´…可変オリフィス(充填流量制御機構)
32…水素供給管(燃料ガス供給路)
6、6´…通信システム
61、61´…通信充填ECU
62…タンク温度センサ(容器状態センサ、温度センサ)
64…タンク圧力センサ(容器状態センサ、圧力センサ)
66…赤外線送信器(送信器)
9…水素ステーション(燃料充填装置)
S、S´…水素充填システム
1、1´…燃料電池システム
2…スタック(燃料電池)
31…水素タンク(貯蔵容器)
312…主止弁(開閉弁)
317´…可変オリフィス(充填流量制御機構)
32…水素供給管(燃料ガス供給路)
6、6´…通信システム
61、61´…通信充填ECU
62…タンク温度センサ(容器状態センサ、温度センサ)
64…タンク圧力センサ(容器状態センサ、圧力センサ)
66…赤外線送信器(送信器)
9…水素ステーション(燃料充填装置)
Claims (6)
- 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、
燃料ガスを貯蔵する貯蔵容器と、
前記貯蔵容器と前記燃料電池とを接続する燃料ガス供給路と、
前記燃料ガス供給路に設けられた開閉弁と、
前記貯蔵容器の状態を検出する容器状態センサと、
前記容器状態センサの出力に基づいて生成されたデータ信号を外部の燃料充填装置へ送信する送信器と、を備えた燃料電池車両の制御方法であって、
前記燃料充填装置は、前記送信器から送信された前記貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号に基づいて充填態様を決定し、当該決定した充填態様で燃料ガスを前記貯蔵容器へ供給し、
前記制御方法は、
前記燃料電池車両への停止指令後に、前記開閉弁を開き、前記燃料電池へ燃料ガスを供給し、前記燃料電池による発電及びディスチャージを継続する停止処理工程と、
所定の充填開始要求が生じたことに応じて、前記燃料充填装置に充填態様を決定させるため、その時の前記容器状態センサの出力に基づいて生成した前記貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号を前記燃料充填装置へ送信する通信充填準備工程と、
前記通信充填準備工程で決定した充填態様で前記燃料充填装置から燃料ガスを前記貯蔵容器に充填させる通信充填工程と、
前記停止処理工程を行っている間に前記通信充填準備工程及び前記通信充填工程を開始した場合には、前記通信充填準備工程で決定された充填態様を変更させるため、前記通信充填工程中の所定の時期に、前記容器状態センサの出力を補正し、当該補正された出力に基づいて生成した前記貯蔵容器の初期状態に関するデータ信号を前記燃料充填装置へ再び送信する充填態様変更工程と、を備え、
前記充填態様変更工程では、前記充填態様の変更前より変更後の方が燃料ガスの充填流量が小さくなるように前記容器状態センサの出力を補正することを特徴とする燃料電池車両の制御方法。 - 前記充填態様変更工程では、前記停止処理工程を構成する一工程が終了するごとに、当該工程で前記貯蔵容器から前記燃料ガス供給路を介して前記燃料電池へ流出した燃料ガスの量を算出し、当該燃料ガスの流出量に基づいて前記容器状態センサの出力に対する補正値を決定することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の制御方法。
- 前記容器状態センサは、前記貯蔵容器内の温度を検出する温度センサを含み、
前記燃料充填装置は、前記貯蔵容器の温度が高くなるほど充填流量が小さくなるように充填態様を決定し、
前記充填態様変更工程では、前記温度センサの出力値を増加側に補正することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両の制御方法。 - 前記容器状態センサは、前記貯蔵容器内の圧力を検出する圧力センサを含み、
前記燃料充填装置は、前記貯蔵容器の圧力が低くなるほど充填流量が小さくなるように充填態様を決定し、
前記充填態様変更工程では、前記圧力センサの出力値を減少側に補正することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池車両の制御方法。 - 前記制御方法は、前記通信充填工程を行っている間に前記停止処理工程が終了した場合には、前記燃料充填装置の充填態様を、前記通信充填準備工程又は前記充填態様変更工程において決定された態様から、前記燃料充填装置において予め定められた態様に変更させて充填を継続する通信充填終了工程をさらに備えることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の燃料電池車両の制御方法。
- 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されると発電する燃料電池と、
燃料ガスを貯蔵する貯蔵容器と、
前記貯蔵容器と前記燃料電池とを接続する燃料ガス供給路と、
前記燃料ガス供給路に設けられた開閉弁と、
前記貯蔵容器の状態を検出する容器状態センサと、
前記容器状態センサの出力に基づいて生成されたデータ信号を外部の燃料充填装置へ送信する送信器と、
前記貯蔵容器から延び前記燃料充填装置が接続される充填口に至る充填流路と、
当該充填流路に設けられ前記燃料充填装置から前記貯蔵容器へ流れる燃料ガスの流量を制御する充填流量制御機構と、を備えた燃料電池車両の制御方法であって、
前記燃料充填装置は、前記送信器から送信されたデータ信号に基づいて充填態様を決定し、所定の充填終了条件が満たされるまで前記決定した充填態様で燃料ガスを前記貯蔵容器へ供給し、
前記制御方法は、
前記燃料電池車両への停止指令後に、前記開閉弁を開き、前記燃料電池へ燃料ガスを供給し、前記燃料電池による発電及びディスチャージを継続する停止処理工程と、
前記貯蔵容器への燃料ガスの充填開始要求が生じたことに応じて、前記容器状態センサの出力に基づいて生成したデータ信号を前記燃料充填装置へ送信し、当該燃料充填装置に充填態様を決定させる通信充填準備工程と、
前記通信充填準備工程で決定した充填態様で前記燃料充填装置から燃料ガスを前記貯蔵容器に充填させる通信充填工程と、を備え、
前記停止処理工程を行っている間に前記通信充填準備工程及び前記通信充填工程を開始した場合には、前記充填流量制御機構により充填流量を小さくする充填流量変更工程と、を備えることを特徴とする燃料電池車両の制御方法。
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