JP2014149971A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池システムにおける燃料ガスの利用効率を向上させる技術を提供する。
【解決手段】燃料電池システム100は、燃料電池10と、カソードガス供給部30と、カソードガス排出部40と、アノードガス供給部50と、アノードガス循環部60と、リークガス送出部70と、を備える。カソードガス排出部40のカソード排ガス配管41には、カソード排ガスに含まれるリークガスである水素を分離する水素分離部42が設けられている。水素分離部42において分離された水素はリークガス送出部70へと送り出され、リークガス送出部70において一時的に貯留される。制御部20は、所定のタイミングで、リークガス送出部70の水素をアノードガス循環部60を介して燃料電池10のアノード3に循環させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に関する。
燃料電池は、通常、酸化剤ガスとして酸素の供給を受けるとともに、燃料ガスとして水素の供給を受けて発電する。従来から、燃料電池に対して水素を供給する方法としては種々の技術が提案されている。特許文献1の技術では、高圧水素タンクに貯蔵されている水素を燃料電池に供給している。特許文献2の技術では、改質部において生成された改質ガスから分離させた水素を燃料電池に供給している。
特開2009−295377号公報 特開2004−265802号公報
ところで、燃料電池を備える燃料電池システムにおいては、従来から、燃料ガスの利用効率を向上させることが要求されている。しかし、燃料電池では、アノードに供給された燃料ガスが燃料電池反応に用いられることなく電解質膜を透過してカソード側にリーク(以下、単に「クロスリーク」とも呼ぶ)してしまう場合があり、燃料ガスが無駄に消費されてしまう原因となっていた。
特許文献1には、アノードオフガスに含まれる水素を燃料電池に循環させて再利用する技術が開示されている。しかし、特許文献1においては、カソード側への水素のクロスリークについては全く考慮されていない。特許文献2には、燃料電池から排出されるアノードオフガスを、改質機の加熱器や、水素分離器で分離された水素の運搬、他の燃料電池における発電反応などにおいて利用する技術が開示されている。しかし、特許文献2においてもカソード側への水素のクロスリークについては全く考慮されていない。
このように、従来から、燃料ガスのクロスリークによって燃料ガスが浪費されてしまうことを抑制し、燃料ガスの利用効率を向上させることについては十分な工夫がなされていなかった。そのほか、従来の燃料電池システムにおいては、燃料ガスの利用効率を向上させるための構成の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、燃料ガスが供給されるアノードと、酸化剤ガスが供給されるカソードと、を有する燃料電池と;前記燃料電池において前記アノードから前記カソードにリークした前記燃料ガスであるリークガスを含む、前記カソードから排出されるカソード排ガスから、前記リークガスを分離して回収するリークガス回収部;を備える。この形態の燃料電池システムによれば、カソード側にクロスリークした燃料ガスを回収することができ、当該クロスリークした燃料ガスを適宜再利用することが可能である。従って、燃料電池システムにおける燃料ガスの利用効率を向上させることができる。
(2)上記形態の燃料電池システムは、さらに、前記アノードに前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と;前記リークガス回収部の前記リークガスを前記燃料ガス供給部へと送出する第1のリークガス送出部と;所定のタイミングで、前記第1のリークガス送出部に、前記燃料ガス供給部に対する前記リークガスの送出を実行させる第1のリークガス送出制御部と;を備えていても良い。この形態の燃料電池システムによれば、リークガス回収部に回収され貯留されているリークガスを、適宜、燃料電池の発電に用いることができ、燃料電池システムにおける水素の利用効率を向上させることができる。
(3)上記形態の燃料電池システムは、さらに、酸化剤ガス供給配管を通じて、前記カソードに前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と;前記リークガス回収部から前記酸化剤ガス供給配管を介して前記カソードへと前記リークガスを送出する第2のリークガス送出部と;前記燃料電池の運転停止中に、前記第2のリークガス送出部に、前記リークガスを前記カソードへと送出させて前記カソードを燃料ガス雰囲気にする第2のリークガス送出制御部と;を備えていても良い。この形態の燃料電池システムによれば、リークガス回収部に回収され貯留されているリークガスを用いて、カソードに配置されている触媒の酸化被膜を除去することができる。即ち、リークガスが燃料電池の保護に利用されるため、燃料ガスの利用効率が向上される。
(4)上記形態の燃料電池システムは、さらに、前記カソードから排出された前記カソード排ガスを、前記リークガス回収部を経由させずに排出するカソード排ガス排出部と;前記カソードの出口の接続先を、前記カソード排ガス排出部と前記リークガス回収部とで切り替える切替部と;前記燃料電池の運転条件に基づいて、前記切替部を制御して、前記カソードの出口の接続先を変更する排ガス経路制御部と;を備えていても良い。この形態の燃料電池システムによれば、必要に応じてカソード排ガスを、リークガス回収部を経由させずに排出させることができる。従って、リークガス回収部を経由させてカソード排ガス排出することによる圧力損失の増大を適宜抑制することができる。
(5)上記形態の燃料電池システムは、さらに、出力要求に応じて前記燃料電池に前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスを供給し、前記燃料電池内部の圧力を制御する反応ガス供給部を備え;前記排ガス経路制御部は、前記燃料電池内部の圧力に基づいて単位時間あたりのリークガスの発生量の推定値を取得し;前記単位時間あたりのリークガスの発生量の推定値に基づいて、前記カソードの出口の接続先を前記リークガス回収部に変更しても良い。この形態の燃料電池によれば、燃料電池内部の圧力制御に伴って変動するリークガスの発生量に基づいて、リークガス回収部によるリークガスの回収の実行を制御することができる。
(6)上記形態の燃料電池システムにおいて、前記排ガス経路制御部は、(i)前記カソードの出口の接続先を、前記カソード排ガス排出部に設定したときと、前記リークガス回収部に設定したときの、前記反応ガス供給部において前記反応ガスの圧力制御のために消費される消費電力の差を取得し、(ii)前記単位時間あたりのリークガスの発生量の推定値と、前記消費電力の差と、に基づいて、前記カソードの出口の接続先を決定しても良い。この形態の燃料電池システムによれば、リークガスの回収によって節約できるエネルギー量と、リークガスの回収のために消費される電力量とを考慮して、リークガスの回収の実行が制御される。従って、リークガスの回収の実行によってシステム効率が低下してしまうことを抑制できる。
(7)上記形態の燃料電池システムは、前記燃料ガスは水素であり;前記リークガス回収部は、前記リークガスを吸蔵する水素吸蔵金属と、前記水素吸蔵金属を収容するとともに、前記カソード排ガスが流通する収容容器と、を備えていても良い。この形態の燃料電池システムによれば、水素吸蔵金属によってカソード排ガス中の水素を補足して貯留しておくことができる。従って、水素がそのまま外部に排出され、無駄に消費されてしまうことを抑制できる。
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
本発明は、装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、燃料電池から排出されるクロスリークした燃料ガスの回収方法や再利用方法、燃料電池システムの制御方法、それらの方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
第1実施形態の燃料電池システムの構成を示す概略図。 水素分離部の構成を示す概略図。 第1実施形態における燃料電池システムの制御手順を示す説明図。 一般的な燃料電池におけるクロスリークの発生による発電効率の低下を説明するための説明図。 第2実施形態の燃料電池システムの構成を示す概略図。 第3実施形態の燃料電池システムの構成を示す概略図。 第3実施形態における燃料電池システムの制御手順を示す説明図。 カソード排ガスの排出経路の切替処理の処理手順を示す説明図。 水素のクロスリーク量の推定値を取得するための第1のマップの一例を示す説明図。 カソードの圧力に対するエアコンプレッサの消費電力の関係が設定されている第2のマップの一例を示す説明図。 第4実施形態の燃料電池システムの構成を示す概略図。
A.第1実施形態:
図1は、本発明の第1実施形態としての燃料電池システム100の構成を示す概略図である。この燃料電池システム100は、例えば、燃料電池車両に搭載され、運転者からの要求に応じて、当該車両の駆動力源や電装品等に用いられる電力を出力する。燃料電池システム100は、燃料電池10と、制御部20と、カソードガス供給部30と、カソードガス排出部40と、アノードガス供給部50と、アノードガス循環部60と、リークガス送出部70と、を備える。
燃料電池10は、燃料ガス(「アノードガス」とも呼ぶ)として水素の供給を受けるとともに、酸化剤ガス(「カソードガス」とも呼ぶ)として酸素の供給を受けて発電する固体高分子型燃料電池である。燃料電池10は、直列に積層配列された、単セルとも呼ばれる複数の発電体を備えている。各単セルは、電解質膜1と、電解質膜1の両側に配置されている酸化剤極2(以後、「カソード2」とも呼ぶ)及び燃料極3(以後、「アノード3」とも呼ぶ)と、を有する膜電極接合体を備えている。なお、図では、便宜上、燃料電池10として、単一の膜電極接合体の概略的構成を模式化したブロック図を図示してある。
電解質膜1は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す固体高分子薄膜であり、例えば、フッ素系のイオン交換樹脂によって構成される。カソード2およびアノード3は、ガス拡散性と導電性とを有する電極であり、燃料電池反応を促進するための触媒が配置されている。カソード2およびアノード3は、例えば、白金担持カーボンと電解質膜1と同じ又は類似の電解質とを溶媒に分散させた触媒インクの乾燥塗膜として形成される。
制御部20は、中央処理装置と主記憶装置とを備えるマイクロコンピュータによって構成される。制御部20は、外部からの出力要求を受け付けるとともに、システム内の各種のセンサ類からの出力信号に基づく計測値を取得し、当該出力要求に応じた発電を燃料電池10に行わせるための制御指令をシステム内の各構成部に発行する。
ところで、一般に、燃料電池では、アノードに供給された水素の一部が発電反応に用いられることなく電解質膜を介してカソードへと移動してしまう、いわゆるクロスリークが発生する。本実施形態の制御部20は、燃料電池10においてクロスリークした水素(以下、「リークガス」とも呼ぶ)を再利用してシステムにおける水素の利用効率を向上させる運転制御を実行するが、その制御手順については後述する。
カソードガス供給部30は、燃料電池10のカソード2に酸化剤ガスである酸素を含有する高圧空気を供給する。カソードガス供給部30は、カソードガス配管31と、エアコンプレッサ32と、エアフロメータ33と、供給バルブ34と、を備える。カソードガス配管31は、燃料電池10のカソード2の入口に接続された配管である。
エアコンプレッサ32は、カソードガス配管31を介して燃料電池10のカソード2と接続されており、外気を取り込んで圧縮した高圧空気を燃料電池10に供給する。エアフロメータ33は、エアコンプレッサ32の上流側において、エアコンプレッサ32が取り込む外気の量を計測し、制御部20に送信する。制御部20は、この計測値に基づいて、エアコンプレッサ32を駆動することにより、カソード2に対する空気の供給量を制御する。
供給バルブ34は、エアコンプレッサ32と燃料電池10との間に設けられている。供給バルブ34は、カソード2に供給されるカソードガスの圧力に応じて開閉し、カソード2への高圧空気の流入を制御する。より具体的には、供給バルブ34は、通常は閉じた状態であり、エアコンプレッサ32から所定の圧力以上の高圧空気が供給されたときに開く。なお、カソードガス供給部30には、燃料電池10に供給される高圧空気を加湿するための加湿部が設けられても良い。
カソードガス排出部40は、カソード2において発電反応に用いられることのなかった未反応ガスや生成水分を含む排ガス(以下、「カソード排ガス」とも呼ぶ)を排出する。カソードガス排出部40は、カソード排ガス配管41と、水素分離部42と、排出バルブ43と、圧力計測部44と、を備える。カソード排ガス配管41は、燃料電池10のカソード2の出口に接続された配管である。カソード排ガス配管41には、燃料電池10の直後に水素分離部42が接続されている。
ここで、カソード排ガスには上述したリークガスである水素が含まれている。本実施形態の燃料電池システム100では、カソードガス排出部40は、水素分離部42によって、その水素を分離させた上でカソード排ガスを外部に排出する。また、水素分離部42によって分離された水素はリークガス送出部70へと送り出される。水素分離部42の詳細な構成については後述する。
排出バルブ43は、水素分離部42の後段(下流側)においてカソード排ガス配管41に取り付けられており、カソード排ガス配管41におけるカソード排ガスの圧力(燃料電池10のカソード2側の背圧)を調整する。排出バルブ43は、制御部20によって、その開度が調整される。圧力計測部44は、排出バルブ43の上流側に設けられており、カソード排ガスの圧力を計測し、その計測値を制御部20に送信する。
アノードガス供給部50は、アノードガス配管51と、水素タンク52と、開閉弁53と、レギュレータ54と、水素供給装置55と、圧力計測部56と、を備える。アノードガス配管51は、燃料電池10のアノード3の入口に接続された配管である。水素タンク52は、アノードガス配管51の上流側端部に接続されており、貯蔵している高圧水素を、アノードガス配管51に供給する。
開閉弁53と、レギュレータ54と、水素供給装置55と、圧力計測部56とは、アノードガス配管51に、この順序で、上流側(水素タンク52側)から設けられている。開閉弁53は、制御部20からの指令により開閉し、水素タンク52から水素供給装置55の上流側への水素の流入を制御する。レギュレータ54は、水素供給装置55の上流側における水素の圧力を調整するための減圧弁であり、その開度が制御部20によって制御される。
水素供給装置55は、例えば、電磁駆動式の開閉弁であるインジェクタによって構成することができる。圧力計測部56は、水素供給装置55の下流側の水素の圧力を計測し、制御部20に送信する。制御部20は、圧力計測部56の計測値に基づき、水素供給装置55を制御することによって、燃料電池10に供給される水素量を制御する。
アノードガス循環部60は、アノード3において発電反応に用いられることのなかった未反応ガス(水素や窒素など)を含むアノード排ガスを、燃料電池10のアノード3に循環させる。また、アノードガス循環部60は、所定のタイミングで、適宜、排水とアノード排ガス中の不活性ガスを外部へと排出する。アノードガス循環部60は、アノード排ガス配管61と、気液分離部62と、アノードガス循環配管63と、循環ポンプ64と、アノード排水配管65と、排水弁66と、圧力計測部67と、を備える。
アノード排ガス配管61は、燃料電池10のアノード3の出口と、気液分離部62と、を接続する配管であり、アノード3において発電反応に用いられることのなかった未反応ガス(水素や窒素など)を含むアノード排ガスを気液分離部62へと誘導する。圧力計測部67は、燃料電池10の出口近傍において、アノード排ガスの圧力(燃料電池10のアノード3側の背圧)を計測し、制御部20の送信する。なお、アノード排ガス配管61には、リークガス送出部70のリークガス配管71が接続されている。
気液分離部62は、アノードガス循環配管63と、アノード排水配管65と、に接続されている。気液分離部62は、アノード排ガスに含まれる気体成分と水分とを分離し、気体成分については、アノードガス循環配管63へと誘導し、水分についてはアノード排水配管65へと誘導する。
アノードガス循環配管63は、アノードガス配管51の水素供給装置55より下流に接続されている。アノードガス循環配管63には、循環ポンプ64が設けられており、循環ポンプ64の駆動力によって、気液分離部62において分離された気体成分に含まれる水素がアノードガス配管51へと送り出される。このように、本実施形態の燃料電池システム100では、燃料電池10の運転中に、アノード排ガスに含まれる水素が再び燃料電池10のアノード3に循環供給され、水素が発電に用いられることなく無駄に排出されてしまうことが抑制されている。
アノード排水配管65は、気液分離部62において分離された水分(排水)やアノード排ガス中の不活性ガスを燃料電池システム100の外部へと排出するための配管である。排水弁66は、アノード排水配管65に設けられており、制御部20からの指令に応じて開閉する。制御部20は、燃料電池システム100の運転中には、通常、排水弁66を閉じておき、予め設定された所定の排水タイミングや、アノード排ガス中の不活性ガスを排出するタイミングで排水弁66を開く。
リークガス送出部70は、カソードガス排出部40の水素分離部42から送り出されたリークガスである水素を一時的に貯留し、制御部20の指示に応じて、その水素を燃料電池10の水素供給経路へと送出する機能を有する。リークガス送出部70は、リークガス配管71と、バッファ部72と、ポンプ73と、を備えている。リークガス配管71は、水素分離部42と、アノードガス循環部60のアノード排ガス配管61と、を接続する配管であり、水素分離部42において分離された水素が流通する。
バッファ部72は、リークガス配管71の途中に設けられており、回収された水素を貯蔵する。ポンプ73はリークガス配管71においてバッファ部72の下流側に設けられている。ポンプ73は、通常は停止しており、制御部20の指令に応じて駆動を開始することによって、リークガス配管71およびバッファ部72に貯留されている水素をアノード排ガス配管61へと流入させる。
なお、図示や詳細な説明は省略するが、燃料電池システム100は、さらに、二次電池と、燃料電池10の出力電圧や二次電池の充放電を制御するDC/DCコンバータと、を備える。二次電池は、燃料電池10が出力する電力や回生電力を蓄電し、燃料電池10とともに電力源として機能する。上述した燃料電池システム100の各構成部は、二次電池の電力を用いることにより、燃料電池10の運転停止後においても駆動することが可能である。
図2は、カソードガス排出部40の水素分離部42の構成を示す概略図である。水素分離部42は、水素収納容器421と、複数の水素分離配管425と、を備えている。水素収納容器421は、カソード排ガス配管41を上流側(紙面右側)と下流側(紙面左側)とに分断するように、2つの対向する壁部にそれぞれカソード排ガス配管41が接続されている。また、水素収納容器421の他の壁部の1つには、貫通孔424が設けられており、カソード排ガス配管41が接続されている。
カソード排ガス配管41が接続されている水素収納容器421の上流側と下流側の壁部にはそれぞれ、複数の貫通孔が配列されたシャワー孔422,423が形成されている。上流側のシャワー孔422の各貫通孔と下流側のシャワー孔423の各貫通孔とは互いの位置が対応するように形成されており、それぞれが水素収納容器421内において、水素分離配管425によって接続されている。水素分離配管425は、パラジウムなどの水素透過性を有する合金によって形成された水素分離膜を環状に構成した配管である。
カソード排ガス配管41から上流側のシャワー孔422を介して各水素分離配管425にカソード排ガスが流入すると、カソード排ガス中のリークガスである水素が、水素分離配管425の外部へと透過する。水素が分離されたカソード排ガスは、そのまま下流側のシャワー孔423を介して、カソード排ガス配管41の下流へと流れる。一方、水素分離配管425の外部に透過した水素は、水素収納容器421の内部空間から、貫通孔424を介して、リークガス配管71へと流入する。なお、水素分離部42に接続されているリークガス配管71には、水素収納容器421内を負圧にして水素分離配管425からの水素の透過を促進するためのポンプが設けられていても良い。
図3は、制御部20による燃料電池システム100の制御手順を示すフローチャートである。本実施形態の燃料電池システム100では、制御部20は、燃料電池10の運転制御として、通常運転と、水素補充運転とを適宜切り替えて実行する。ここで、「通常運転」とは、燃料電池10に対して、アノードガス供給部50とアノードガス循環部60とから水素を供給する運転である。また、「水素補充運転」とは、燃料電池10に対して、アノードガス供給部50とアノードガス循環部60とから供給される水素に、カソード排ガスから回収したリークガスを追加して供給する運転である。
ステップS10では、制御部20は、燃料電池10に対する出力要求を受け付ける。なお、「燃料電池10に対する出力要求」には、燃料電池車両の運転者などの燃料電池システム100の利用者による外的出力要求と、燃料電池システム100の補機類に対して電力を供給するための内的出力要求と、が含まれる。制御部20は、燃料電池10に対する出力要求に応じた燃料電池10の目標出力電力を決定する。
ステップS20では、制御部20は、燃料電池の10の出力電力の増加量(出力増加量)を、ステップS10において決定した目標出力電力と、現在の燃料電池10の出力電力との差を取ることによって取得し、その出力増加量に基づく判定処理を実行する。制御部20は、出力増加量が所定の閾値より小さいときには、ステップS30の通常運転を実行し、出力増加量が所定の閾値以上であるときには、ステップS40の水素補充運転を実行する。なお、ステップS20における閾値は、例えば、燃料電池車両が急加速する場合や急勾配の登坂を開始する場合に想定される出力増加量を基準として予め設定された値であるとしても良い。
ステップS30の通常運転では、制御部20は、リークガス送出部70のポンプ73の駆動を停止した状態のままにする。そして、カソードガス供給部30による高圧空気の供給量と、アノードガス供給部50およびアノードガス循環部60による水素の供給量と、を制御して、燃料電池10に目標出力電力を出力させる。
ステップS40の水素補充運転では、制御部20は、所定の期間、リークガス送出部70のポンプ73を駆動させて、リークガス送出部70に貯留されている水素を燃料電池10のアノード3へと循環させる。同時に、制御部20は、カソードガス供給部30による高圧空気の供給量と、アノードガス供給部50およびアノードガス循環部60による水素の供給量と、を制御して、燃料電池10に目標出力電力を出力させる。
なお、水素補充運転では、制御部20は、アノードガス供給部50からの水素の供給量を、リークガス送出部70からの水素の供給量を考慮して調整することが望ましい。また、制御部20は、前回の水素補充運転が実行された直後など、リークガス送出部70に貯留されている水素量が少ないような状況においては、適宜、水素補充運転に換えて、通常運転を実行しても良い。
制御部20は、燃料電池車両の運転が終了するまで、上記のステップS10〜S40の処理手順を繰り返す(ステップS50)。このように、本実施形態の燃料電池システム100では、水素補充運転において、それまでに回収されたリークガスが燃料電池10に対する供給水素として再利用されるため、クロスリークの発生による水素の利用効率の低下が抑制される。また、水素補充運転では、リークガス送出部70から燃料電池10のアノード3に水素を早期に到達させることができるため、水素の供給遅延に起因する燃料電池10の応答遅れが抑制される。
図4は、一般的な燃料電池におけるクロスリークの発生による発電効率の低下を説明するための説明図である。図4には、燃料電池における損失割合を示す複数の棒グラフを並列に図示してある。「燃料電池における損失割合」とは、燃料電池に供給された反応ガスが全て電力に変換されたとした場合の発電量の理論値に対する実際に燃料電池の発電によって得られない発電量(電力損失)の割合を意味する。燃料電池における電力損失には、熱による損失が主原因であるIV損失と、クロスリークの発生に起因するクロスリーク損失と、がある。
ここで、以下に説明する理由により、クロスリーク損失による損失割合は、IV損失による損失割合に比較して、燃料電池の省力運転時と、高負荷運転時と、で大きく異なってくる。なお、「燃料電池の省力運転時」とは、燃料電池車両が燃費走行を行っている時など、単セルあたりの出力電圧が、例えば0.75V以上の低出力の運転状態である。また、「燃料電池の高負荷運転時」とは、燃料電池車両が高速走行を行っているときなど、単セルあたりの出力電圧が、例えば0.5V以下の高出力の運転状態である。
燃料電池において、アノードからカソードにクロスリークする水素の量は、燃料電池の出力によらず、電解質膜の厚みや、燃料電池内の圧力、アノードとカソードとの間の差圧、運転温度などによって決まってくる。そのため、燃料電池の出力が異なる場合であっても、アノードとカソードの圧力や、それらの間の差圧、運転温度などの運転条件が同じである場合には、電解質膜の膜圧に応じた量の水素が、常時、アノードからカソードへとリークすることになる。従って、このような場合には、発電に必要な水素量が少ない省力運転時の方が、高負荷運転時よりも、クロスリーク損失の割合が高くなる。
上述したとおり、本実施形態の燃料電池システム100では、クロスリークした水素を回収して、燃料電池10の発電に再利用する。従って、図4に示されている、約15%程度の省力運転時におけるクロスリーク損失による損失割合を低減させることができ、燃料電池10の発電効率を向上させることができる。
以上のように、本実施形態の燃料電池システム100であれば、アノード排ガスに含まれる水素の循環利用に加えて、カソード2にリークした水素がカソード排ガスから回収されて循環利用される。従って、高い水素の利用効率が確保される。
B.第2実施形態:
図5は、本発明の第2実施形態としての燃料電池システム100Aの構成を示す概略図である。第2実施形態の燃料電池システム100Aでは、水素分離部42によってカソード排ガスから回収された水素が燃料電池10のカソード触媒の性能回復のために利用される。第2実施形態の燃料電池システム100Aの構成は、以下に説明する点以外は、第1実施形態の燃料電池システム100の構成(図1)とほぼ同じである。
第2実施形態の燃料電池システム100Aでは、リークガス送出部70のリークガス配管71が、アノードガス循環部60のアノード排ガス配管61でなはく、カソードガス供給部30のカソードガス配管31に接続されている。より具体的には、リークガス配管71は、エアコンプレッサ32と供給バルブ34との間において、カソードガス配管31に接続されている。この構成によって、第2実施形態の燃料電池システム100Aでは、カソード排ガスから回収され、リークガス送出部70に貯留されている水素を燃料電池10のカソード2に送り出すことができる。
第2実施形態の燃料電池システム100Aでは、制御部20は、第1実施形態で説明した通常運転(図3のステップS30)と同様な運転制御によって燃料電池10を運転する。即ち、燃料電池10の運転中には、リークガス送出部70のポンプ73は停止されたままであり、水素分離部42からリークガス送出部70に流入した水素は、発電に用いられることなく、リークガス送出部70に貯留され続ける。
制御部20は、燃料電池10の運転が終了し、カソード2に対する高圧空気の供給を停止させた後の所定のタイミングで、ポンプ73を駆動させる。これによって、リークガス送出部70に貯留されている水素がカソード2に供給され、カソード2が水素雰囲気で封止された状態となる。このように、燃料電池10の運転停止後にカソード2が水素雰囲気にされることよって、カソード2の触媒に生成された酸化被膜を還元させることができ、カソード2の性能を回復させることができる。
以上のように、第2実施形態の燃料電池システム100Aであれば、水素分離部42によって回収されリークガス送出部70に貯留された水素が、燃料電池10の運転停止後に、燃料電池10の性能回復のために利用される。従って、クロスリークした水素が無駄に排出されて浪費されてしまうことを抑制でき、水素の利用効率を向上することができる。
C.第3実施形態:
図6は、本発明の第3実施形態としての燃料電池システム100Bの構成を示す概略図である。第3実施形態の燃料電池システム100Bの構成は、以下に説明する点以外は、第1実施形態の燃料電池システム100の構成(図1)とほぼ同じである。第3実施形態の燃料電池システム100Bは、水素分離部42におけるカソード排ガスの圧力損失に起因するシステム効率の低下を抑制する。
第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、カソードガス排出部40Bは、カソード排ガス配管41に加えて、カソード排ガスの迂回経路として機能する第2のカソード排ガス配管46を備えている。以後、第2のカソード排ガス配管46と区別するために、カソード排ガス配管41を「第1のカソード排ガス配管41」とも呼ぶ。
第2のカソード排ガス配管46は、上流側端部がカソード2の出口近傍に設けられた三方弁45を介して第1のカソード排ガス配管41に接続されている。また、第2のカソード排ガス配管46は、下流側端部が三方弁45と排出バルブ43との間において第1のカソード排ガス配管41に接続されている。第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、水素分離部42は、第1のカソード排ガス配管41ではなく、第2のカソード排ガス配管46に設けられている。
図7は、制御部20による燃料電池システム100Bの制御手順を示すフローチャートである。第3実施形態の燃料電池システム100Bの制御手順は、通常運転(ステップS30)の実行開始前に、カソード排ガスの排出経路の切替処理(ステップS25)が実行される点以外は、第1実施形態で説明した燃料電池システム100の制御手順(図3)とほぼ同じである。
ステップS25では、制御部20が、カソードガス排出部40Bの三方弁45を制御してカソード排ガスの排出経路を適宜切り替える。具体的に、カソード排ガスの排出経路としては、カソード排ガスが第1のカソード排ガス配管41のみを経由する第1の排出経路と、カソード排ガスが第2のカソード排ガス配管46の水素分離部42を経由する第2の排出経路と、がある。制御部20は、カソード排ガスの排出経路を以下の手順により切り替える。
図8は、ステップS25において制御部20が実行する、カソード排ガスの排出経路の切替処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップS100では、制御部20は、燃料電池10の運転条件に基づいて単位時間あたりに水素がカソード2にクロスリークする量(以下、単に「水素のクロスリーク量」とも呼ぶ)の推定値を取得する。
ここで、水素分離部42を経由する第2の排出経路でカソード排ガスを排出する場合には、水素分離部42を経由させない第1の排出経路で排出する場合よりも圧力損失が大きい。そのため、第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、燃料電池10に目標出力電力を出力させるためのカソード2の圧力が、カソード排ガスを第1の排出経路で排出する場合よりも第2の排出経路で排出する場合の方が高くなるように設定される。
しかし、このような制御を行うと、カソード排ガスを第2の排出経路で排出する場合には、第1の排出経路で排出する場合よりも燃料電池10にカソードガスを供給するためにシステム内で消費されるエネルギー量が大きくなる。そのため、カソード排ガスを第2の排出経路で排出する場合には、燃料電池システム100Bにおけるシステム効率が低下してしまう可能性が生じる。
そこで、第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、制御部20は、ステップS110において、ステップS100で取得した推定値に基づき、水素分離部42によって水素を回収することによるシステム効率の低下の可能性を判定する。具体的には、制御部20は、水素のクロスリーク量の推定値に基づき、水素分離部42によって回収できる水素量を求め、その水素量によって、水素分離部42を経由させてカソード排ガスを排出したときのシステム効率の低下を補償できるか否かを判定する。
制御部20は、クロスリークした水素の回収によってシステム効率の低下を補償でき、システム効率が低下する可能性が低い判定した場合には、カソード排ガスの排出経路を、水素分離部42を経由する第2の排出経路に設定する(ステップS120)。一方、クロスリークした水素の回収によってもシステム効率の低下を補償することができず、システム効率が低下する可能性が高いと判定した場合には、カソード排ガスの排出経路を、水素分離部42を経由させない第1の排出経路に設定する(ステップS130)。
図9(A)は、ステップS100における水素のクロスリーク量の推定値の取得方法の一例を説明するための説明図である。図9(A)には、ステップS100において用いられる第1のマップMPaの一例を示すグラフを図示してある。
上述したように、水素のクロスリーク量は、燃料電池内の圧力によって変化することが知られている。より具体的には、水素のクロスリーク量は、アノードとカソードの圧力が互いに等しい場合、その圧力が大きいほど、緩やかに凸の曲線を描いて増大する。第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、制御部20は、上記のような、燃料電池10における圧力と、水素のクロスリーク量と、の関係が設定された第1のマップMPaを予め記憶している。
ステップS100では、制御部20は、燃料電池10に目標出力電力を出力させるためのアノード3およびカソード2の共通の圧力の設定値PACを取得する。そして、制御部20は、第1のマップMPaを参照して、圧力の設定値PACに対する水素のクロスリーク量の推定値Cを取得する。このように、図9(A)の第1のマップMPaを用いることによって、燃料電池10における圧力の制御値に基づいて、水素のクロスリーク量の推定値を取得することができる。
図9(B)は、ステップS100における水素のクロスリーク量の推定値の取得方法の他の例を説明するための説明図である。図9(B)には、ステップS100において用いられる第1のマップMPaの他の例を示す模式図を図示してある。図9(A)では、燃料電池10のアノード3とカソード2とが同じ圧力で制御されている場合を説明したが、図9(B)では、燃料電池10のアノード3とカソード2の間に差圧が設けられるように制御される場合について説明する。
上述したように、水素のクロスリーク量は、アノードとカソードとの間の差圧(以下、単に「電極間差圧」とも呼ぶ)の大きさによっても変化することが知られている。より具体的には、アノードの圧力の方がカソードの圧力より高いほど、水素のクロスリーク量は緩やかに下に凸の曲線を描いて増大することが知られている。この例では、制御部20は、アノード3の圧力の値(p0,p1,…,pn-1,pn;nは任意の自然数)ごとの、電極間差圧と水素のクロスリーク量との関係が設定されている第1のマップMPaを予め記憶している。
ステップS100では、制御部20は、燃料電池10に目標電力を出力させるためのアノード3およびカソード2のそれぞれの圧力の設定値PA,PC(PA>PC)を取得し、その設定値PA,PCを用いて電極間差圧PDを算出する(PD=PA−PC)。そして、制御部20は、第1のマップMPaに設定されている関係の中の、アノード3の圧力の設定値PAに対応する電極間差圧と水素クロスリーク量との関係を参照し、電極間差圧PDに対する水素のクロスリーク量Cを取得する。このように、図9(B)の例であれば、アノード3とカソード2とが異なる圧力で制御されている場合であっても、アノード3およびカソード2の設定圧力に応じた水素のクロスリーク量の推定値を取得することができる。
なお、上述したように、水素のクロスリーク量は燃料電池の運転温度によっても変化する。そこで、上述の燃料電池10の圧力と水素のクロスリーク量の関係が設定されている第1のマップMPaは、燃料電池10の運転温度ごとに予め準備されているものとしても良い。この構成であれば、制御部20は、現在の燃料電池10の運転温度に対応する第1のマップMPaを用いることにより、燃料電池10の運転温度に応じた水素のクロスリーク量の推定値を取得することができる。
図10は、ステップS110のシステム効率の判定処理における判定方法の一例を説明するための説明図である。図10には、ステップS110において用いられる第2のマップMPbの一例を示すグラフを図示してある。第2のマップMPbには、カソード排ガスの排出経路の相違による燃料電池システム100Bにおけるエネルギー消費量の差を取得するための関係が設定されている。具体的には、第2のマップMPbには、カソード2の圧力に対するエアコンプレッサ32の単位時間あたりの消費電力の関係が設定されている。
前記したとおり、第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、燃料電池10に目標出力電力を出力させるためのカソード2の圧力が、カソード排ガスの排出経路に応じて異なる値に設定される。そこで、ステップS120では、制御部20は、水素分離部42を経由させない第1の排出経路でカソード排ガスを排出する場合と、水素分離部42を経由させる第2の排出経路でカソード排ガスを排出する場合のそれぞれのカソード2の圧力Pa,Pbを取得する。そして、第2のマップMPbを参照して、各圧力Pa,Pbに対するエアコンプレッサ32の単位時間あたりの消費電力Wa,Wbを取得し、その消費電力差ΔWを算出する(ΔW=Pb−Pa)。
さらに、制御部20は、水素分離部42における水素の回収効率を示す係数η(0<η<1)をステップS110で取得した推定値Cに乗算することによって、単位時間あたりにリークガス送出部70に貯留される水素量の推定値Crを算出する(Cr=η×C)。なお、係数ηは、水素分離部42の構造によって決まる値である。以後、推定値Crを「回収水素量の推定値Cr」とも呼ぶ。
ここで、制御部20は、水素量と燃料電池10の発電量との関係が設定された第3のマップ(図示は省略)を予め記憶している。制御部20は、その第3のマップを参照して、回収水素量の推定値Crに対する燃料電池10の発電量Pを取得する。制御部20は、第2のマップMPbによって取得した消費電力差ΔWと、回収水素量の推定値Crに基づき取得した燃料電池10の発電量Pとを比較する。制御部20は、ΔW>Pである場合には、クロスリークした水素を回収するとシステム効率が低下する可能性があると判定する。一方、ΔW≦Pである場合には、クロスリークした水素を回収するとシステム効率が低下する可能性は無いと判定する。
以上のように、第3実施形態の燃料電池システム100Bであれば、システム効率の低下の可能性が高い場合には、水素分離部42によるクロスリークした水素の回収の実行を中止できる。そのため、クロスリークした水素の回収によるシステム効率の低下を抑制することができ、より効率的に、クロスリークした水素を回収して利用することができる。
D.第4実施形態:
図11は、本発明の第4実施形態としての燃料電池システム100Cの構成を示す概略図である。第4実施形態の燃料電池システム100Cでは、燃料電池10の運転中に水素吸蔵金属によってカソード排ガスに含まれるクロスリークした水素を捕捉し貯留する。
第4実施形態の燃料電池システム100Cの構成は、以下の点以外は、第1実施形態の燃料電池システム100(図1)の構成とほぼ同じである。第4実施形態の燃料電池システム100Cでは、カソードガス排出部40Cが水素分離部42に換えて水素回収部47を有している。また、第4実施形態の燃料電池システム100Cでは、リークガス送出部70が省略されている。
水素回収部47は、水素吸蔵金属48と、収容容器49と、を備える。水素吸蔵金属48は粉体状に構成されており、収容容器49の内部空間に配置されている。水素回収部47は、カソード排ガスが収容容器49の内部空間を通過するように、カソード2の出口の直後において、カソード排ガス配管41の途中に着脱可能に取り付けられている。
第4実施形態の燃料電池システム100Cによれば、カソード排ガスに含まれる水素を、水素回収部47において水素吸蔵金属48によって捕捉させた上で、カソード排ガスを外部に排出することができる。また、水素吸蔵金属48に吸蔵された水素は、燃料電池10の運転停止後に水素回収部47をカソード排ガス配管41から取り外すことにより、適宜、回収して再利用することができる。
以上のように、第4実施形態の燃料電池システム100Cによれば、クロスリークした水素が、カソード排ガスとともに外部に排出されて浪費されてしまうことを抑制することができる。従って、システムにおける水素の利用効率の低下を抑制することができる。
E.変形例:
E1.変形例1:
上記第1実施形態の燃料電池システム100では、燃料電池10の出力増加量が所定の閾値以上であるときに、水素補充運転を実行していた(図3)。しかし、水素補充運転は、他のタイミングで実行されても良い。水素補充運転は、例えば、燃料電池10の目標出力電力が所定の値以上のときに実行されても良いし、所定の時間が到達したときに定期的に実行されても良い。あるいは、水素補充運転は、燃料電池車両の運転モードに応じて適宜実行されても良い。
E2.変形例2:
上記第1実施形態の燃料電池システム100では、リークガス送出部70のリークガス配管71はアノード排ガス配管61に接続されていた。しかし、第1実施形態の燃料電池システム100では、リークガス送出部70のリークガス配管71は、アノードガス配管51に接続されても良いし、水素タンク52に接続されても良い。
E3.変形例3:
上記第1実施形態の燃料電池システム100では、リークガス送出部70にリークガスをアノード3に送出させ、上記第2実施形態の燃料電池システム100Aでは、リークガス送出部70にリークガスをカソード2に送出させていた。しかし、リークガス送出部70のリークガスは、カソード2またはアノード3のいずれか一方のみに送出される構成でなくても良く、カソード2またはアノード3の両方に適宜供給できるように構成されていても良い。具体的には、三方弁を介してリークガス配管71を2方向に分岐させ、カソードガス配管31とアノード排ガス配管61のそれぞれに接続させても良い。この場合には、制御部20は、三方弁を制御して、燃料電池10の運転中には、第1実施形態で説明した水素補充運転を実行し、燃料電池10の運転停止後には、第2実施形態で説明した、カソード2を水素雰囲気にして封止する処理を実行しても良い。
E4.変形例4:
上記第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、カソード排ガスの経路の変更によるシステム効率の低下の可能性を判定した上で、カソード排ガスの排出経路の変更を実行していた(図8)。しかし、カソード排ガスの経路の変更によるシステム効率の低下の可能性についての判定処理は省略されても良い。制御部20は、燃料電池10の運転条件に基づいて、カソード排ガスの排出経路の切替を実行しても良い。また、制御部20は、燃料電池10の運転条件に基づいて得た、水素のクロスリーク量の推定値Cや回収水素量の推定値Crに基づいて、カソード排ガスの排出経路を切り替えても良い。
E5.変形例5:
上記第3実施形態の燃料電池システム100Bでは、制御部20は、電極間差圧と水素のクロスリーク量との関係が設定された第1のマップMPaを用いて、水素のクロスリーク量の推定値Cを取得していた。しかし、制御部20は、他の方法によって、水素のクロスリーク量の推定値Cを取得しても良い。制御部20は、燃料電池10における反応ガスの圧力に基づいて、水素のクロスリーク量の推定値Cを取得すれば良い。
E6.変形例6:
上記第4実施形態の燃料電池システム100Cでは、水素回収部47がカソード排ガス配管41に設けられていた。しかし、水素回収部47は、上記第3実施形態で説明した第2のカソード排ガス配管46に設けられても良い。
E7.変形例7:
上記各実施形態では、燃料電池システム100,100A〜100Cはアノードガス循環部60を備えていたが、アノードガス循環部60は省略されても良い。ただし、アノードガス循環部60を備えることによって、燃料電池システムにおける水素の利用効率を向上させることができる。また、上記第1〜第3実施形態の燃料電池システム100,100A,100Bでは、リークガス送出部70がバッファ部72を備えていたが、バッファ部72は省略されても良い。ただし、リークガス送出部70がバッファ部72を備えていれば、リークガス送出部70はバッファ部72の容積分のリークガスの貯蔵量を確保することができる。
E8.変形例8:
上記実施形態では、水素分離部42や水素回収部47は、燃料電池10のカソード2の出口の直後(近傍)に設けられていた。しかし、水素分離部42や水素回収部47は、アノード排ガスの排出経路であれば、いずれの部位に配置されていても良い。ただし、水素分離部42や水素回収部47は、燃料電池10のカソード2の出口に近い位置に配置されているほど、リークガスである水素をカソード排ガス中の酸素と反応してしまう前に回収できるため、水素の回収効率を向上させることができる。また、水素分離部42や水素回収部47は、カソード2にクロスリークした水素のみを回収できるように、カソード排ガスのみが通過する位置に配置されていることが望ましい。さらに、水素分離部42や水素回収部47における水素の回収効率を向上させるためにも、水素分離部42や水素回収部47には、他のガスが混合されていないカソード排ガスが流入する位置に配置されていることが望ましい。
ここで、燃料電池システムには、アノード排ガスとカソード排ガスとを合流させ、排ガス中の水素を希釈した上で排出する構成を有するものがある。このような燃料電池システムに上記実施形態で説明した水素分離部42や水素回収部47を適用する場合には、カソード排ガスとアノード排ガスとが混合される前の位置に水素分離部42や水素回収部47が配置されていることが好ましい。カソード排ガスとアノード排ガスとの混合排ガスから水素を回収するように水素分離部42や水素回収部47を設けた場合には、アノード排ガスに含まれる水素の分だけ、回収すべき水素量が増加するため、水素分離部42や水素回収部47が大型化してしまう可能性がある。
E9.変形例9:
上記各実施形態では、燃料電池10は固体高分子型燃料電池であったが、燃料電池10は固体高分子型燃料電池でなくても良い。本発明は、固体高分子型燃料電池を備える燃料電池システムに限らず、種々のタイプの燃料電池(例えば、固体酸化物型燃料電池)を備える燃料電池システムに適用することが可能である。また、上記各実施形態では、アノードガス供給部50は、水素の供給源として水素タンク52を備えていたが、アノードガス供給部50は、水素タンク52に換えて、他の水素の供給源を備えていても良い。アノードガス供給部50は、例えば、水素を含有する改質ガスを生成する改質機を水素の供給源として備えていても良い。
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
1…電解質膜
2…カソード(酸化剤極)
3…アノード(燃料極)
10…燃料電池
20…制御部
30…カソードガス供給部
31…カソードガス配管
32…エアコンプレッサ
33…エアフロメータ
34…供給バルブ
40,40B,40C…カソードガス排出部
41…カソード排ガス配管(第1のカソード排ガス配管)
42…水素分離部
43…排出バルブ
44…圧力計測部
45…三方弁
46…第2のカソード排ガス配管
47…水素回収部
48…水素吸蔵金属
49…収容容器
50…アノードガス供給部
51…アノードガス配管
52…水素タンク
53…開閉弁
54…レギュレータ
55…水素供給装置
56…圧力計測部
60…アノードガス循環部
61…アノード排ガス配管
62…気液分離部
63…アノードガス循環配管
64…循環ポンプ
65…アノード排水配管
66…排水弁
67…圧力計測部
70…リークガス送出部
71…リークガス配管
72…バッファ部
73…ポンプ
100,100A〜100C…燃料電池システム
421…水素収納容器
422,423…シャワー孔
424…貫通孔
425…水素分離配管
MPa…第1のマップ
MPb…第2のマップ

Claims (7)

  1. 燃料電池システムであって、
    燃料ガスが供給されるアノードと、酸化剤ガスが供給されるカソードと、を有する燃料電池と、
    前記燃料電池において前記アノードから前記カソードにリークした前記燃料ガスであるリークガスを含む、前記カソードから排出されるカソード排ガスから、前記リークガスを分離して回収するリークガス回収部と、
    を備える、燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記アノードに前記燃料ガスを供給する燃料ガス供給部と、
    前記リークガス回収部の前記リークガスを前記燃料ガス供給部へと送出する第1のリークガス送出部と、
    所定のタイミングで、前記第1のリークガス送出部に、前記燃料ガス供給部に対する前記リークガスの送出を実行させる第1のリークガス送出制御部と、
    を備える、燃料電池システム。
  3. 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
    酸化剤ガス供給配管を通じて、前記カソードに前記酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給部と、
    前記リークガス回収部から前記酸化剤ガス供給配管を介して前記カソードへと前記リークガスを送出する第2のリークガス送出部と、
    前記燃料電池の運転停止中に、前記第2のリークガス送出部に、前記リークガスを前記カソードへと送出させて前記カソードを燃料ガス雰囲気にする第2のリークガス送出制御部と、
    を備える、燃料電池システム。
  4. 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記カソードから排出された前記カソード排ガスを、前記リークガス回収部を経由させずに排出するカソード排ガス排出部と、
    前記カソードの出口の接続先を、前記カソード排ガス排出部と前記リークガス回収部とで切り替える切替部と、
    前記燃料電池の運転条件に基づいて、前記切替部を制御して、前記カソードの出口の接続先を変更する排ガス経路制御部と、
    を備える、燃料電池システム。
  5. 請求項4記載の燃料電池システムであって、さらに、
    出力要求に応じて前記燃料電池に前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスを供給し、前記燃料電池内部の圧力を制御する反応ガス供給部を備え、
    前記排ガス経路制御部は、前記燃料電池内部の圧力に基づいて単位時間あたりのリークガスの発生量の推定値を取得し、
    前記単位時間あたりのリークガスの発生量の推定値に基づいて、前記カソードの出口の接続先を前記リークガス回収部に変更する、燃料電池システム。
  6. 請求項5記載の燃料電池システムであって、
    前記排ガス経路制御部は、
    (i)前記カソードの出口の接続先を、前記カソード排ガス排出部に設定したときと、前記リークガス回収部に設定したときの、前記反応ガス供給部において前記反応ガスの圧力制御のために消費される消費電力の差を取得し、
    (ii)前記単位時間あたりのリークガスの発生量の推定値と、前記消費電力の差と、に基づいて、前記カソードの出口の接続先を決定する、燃料電池システム。
  7. 請求項1記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料ガスは水素であり、
    前記リークガス回収部は、前記リークガスを吸蔵する水素吸蔵金属と、前記水素吸蔵金属を収容するとともに、前記カソード排ガスが導入される収容容器と、を備えている、燃料電池システム。
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